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三河黒網足猪口 その3

2017年の名古屋は雨が少なかった。
たまに降ってもタイミングが合わなかったのか
キノコは例年に比べると驚くほど少なかった。

 

ここ数年追い求めているミカワクロアミアシイグチも
去年までだったら9月一杯発生を見ていたのだが
今年は8月以降、発生の確認は出来無かった。
それも雨が少なかった所為なのだろうなぁ。

そんな2017年のミカワクロアミアシイグチを以下に

ズラズラダラダラと列挙。

 

 

先に書いたが雨が少ないとは言え、8月までの発生は比較的順調だった。

mkwkramasigc2017 (22).JPG

mkwkramasigc2017 (8).JPG

 

中にはこんな大きな個体も。

mkwkramasigc2017 (40).JPG

 

場所によってはこんな風に菌輪を描く様に発生していた。

mkwkramasigc2017 (34).JPG

mkwkramasigc2017 (35).JPG

黒いマットな質感のキノコなので

引いた画像だと判り難いのが残念だ・・・・・・

 

とある一角に発生していた一群は

何故か水玉模様になっていた。

mkwkramasigc2017 (37).JPG

mkwkramasigc2017 (36).JPG

暗褐色地に黒の水玉がシックでオシャレ(・∀・)♪

 

何でこんな風になったのだろうなぁ。

他の菌やウィルスとかに感染したのだろうか。

同じフィールド内に他のミカワクロアミアシイグチもあったのだが

水玉模様だったのはこの一角のみだったしなぁ。

謎だ。

 

実はこれは「ミズタマミカワクロアミアシイグチ」とでも

名付けるべき新種だったりしてw

等と言う事は無く、まぁたまたまそうなっただけなのだろうな。

本当にそうなのかどうかも含めて

来年もこの場所の発生には注意して行きたい。

 

今の所、当方は名古屋東部では4か所で
ミカワクロアミアシイグチの発生を確認している。

名古屋東部はミカワクロアミアシイグチの
多発生地点と言って良いのだろうなぁ。

 

 

さて、2017年に確認した柄の具合は以下の通り。

 

こちらは比較的彫りは浅いが二重構造の網目が判りやすいタイプ。

mkwkramasigc2017 (42).JPG

mkwkramasigc2017 (43).JPG

この画像、右下辺りは網目の中に更に別の網目が見えると言う

二重構造が特に判りやすいかと。

 

こちらも同じく。

mkwkramasigc2017 (10).JPG

mkwkramasigc2017 (11).JPG

こちらの方が全体に二重構造が判りやすいかな。

 

 

こちらは目が粗く、彫りが深いタイプ。

mkwkramasigc2017 (38).JPG

mkwkramasigc2017 (39).JPG

やや干乾びている所為か、二重構造は判り難い。

 

 

こちらは目が細かく、彫りが深いタイプ。

mkwkramasigc2017 (30).JPG

mkwkramasigc2017 (31).JPG

目が細かいので判り難いが、二重構造になっているのは何とか判る。

 

 

こちらは目が細かく、彫りのやや浅いタイプ。

mkwkramasigc2017 (25).JPG

mkwkramasigc2017 (26).JPG

二重構造なのはちょっと判り難いか。

 

 

こちらは目が粗く、彫りのかなり浅いタイプ。

mkwkramasigc2017 (18).JPG

mkwkramasigc2017 (19).JPG

それでも何となく二重構造なのは感じられる。

 

 

こちらは縦の稜線が目立つ、目の細かいタイプ。

mkwkramasigc2017 (16).JPG

mkwkramasigc2017 (17).JPG

これも二重構造なのはちょっと判り難い。

 

こちらも同じく。

mkwkramasigc2017 (23).JPG

mkwkramasigc2017 (24).JPG

こちらの方が二重構造なのは何となく判るかな。

 

 

こちらは縦の稜線が目立つがやや目が粗く彫りの深いタイプ。

mkwkramasigc2017 (6).JPG

mkwkramasigc2017 (7).JPG

二重構造なのが判りやすい。

 

 

目が粗い/細かい、深い/浅いは当方の主観なので

厳密に捉えないで頂きたいが

何となくの傾向は読み取って頂けたのではないだろうか。

 

この様に、柄の網目の様子には色々なタイプがあるのだが

これは発生場所によって違っている訳では無かった。

色々なタイプの物が、それぞれの場所に混在していたのだ。

それが個体差の範疇の物なのか、DNA的に異なる物なのかは判らない。

取り敢えず当方はその差異を見て楽しんでいる次第。

 

 

 

所で、以前の記事で

ミカワクロアミアシイグチには2015年に初遭遇、と書いたのだが

過去のキノコ画像を整理して居たら2013年と

mkwkramasigc2013 (1).JPG

mkwkramasigc2013 (2).JPG

 

2014年にも遭遇して居た事が判った。

mkwkramasigc2014 (1).JPG

mkwkramasigc2014 (2).JPG

mkwkramasigc2013 (3).JPG

当時はミカワクロアミアシイグチの特徴を良く認識して居なかったので

「謎の黒いイグチ」として処理してしまっていたのだ。

そして、こう言うキノコに遭遇して居た事すら忘れてしまっていた。

今回の記事を書くにあたって古い画像を見直していたら

「あれ?」と気が付いた次第。

今は外見的特徴を理解出来る様になったので判明。

何事にも「予習」と「復習」は大事だなぁ。

 

 

さて、当方はミカワクロアミアシイグチに遭遇して以来

疑問に感じている事があった。

それは老熟してグズグズになった物や

mkwkramasigc2017 (9).JPG

 

役目を終えた後に

カビの生えたミカワクロアミアシイグチはあったのだが

mkwkramasigc2017 (2).JPG

mkwkramasigc2017 (1).JPG

mkwkramasigc2017 (4).JPG

mkwkramasigc2017 (3).JPG

当方が以前何回も記事にした  Sepedonium (セペドニウム)、

つまりアワタケヤドリの分生子型(→こちらこちら)に

罹患したミカワクロアミアシイグチには遭遇していない、と言う事だ。

 

Sepedonium は多くのイグチに寄生する菌で

罹患したイグチは最初は白い菌糸で覆われ

成熟すると鮮やか黄橙色に変化する為にフィールドでとても良く目立つ。

今迄、沢山のミカワクロアミアシイグチに遭遇していたのだが

 Sepedonium に罹患した物は一つも無かったのだ。

 

多くのイグチに寄生するとは言え、

イグチも種類によって耐性の差異がある様で

確かに Sepedonium に罹患し難いイグチの種類もある。

ミカワクロアミアシイグチもその一つの可能性もあるだろう。

 

そうなのかなぁ、と思いながらも

ミカワクロアミアシイグチの観察をしていた所、

2017年になってこんな物に遭遇した。

mkwkramasigc2017 (32).JPG

mkwkramasigc2017 (33).JPG

この鮮やかな黄橙色は Sepedonium では無いか!

そして灰色のモケモケはフタマタケカビと思われる。

フタマタケカビもキノコに良く生える種類のカビだ。

 

その近くにはこんな個体も。

mkwkramasigc2017 (27).JPG

mkwkramasigc2017 (29).JPG

mkwkramasigc2017 (28).JPG

こちらも Sepedonium とフタマタケカビのコンボ。

 

Sepedonium に罹患したキノコ、

フタマタケカビに罹患したキノコは何度も遭遇したが

その両方に罹患したキノコは初めての対面だった。

両種は共存できる程に相性が良いのか、

またはフタマタケカビに重複寄生性があるのか、

それともたまたまなのかは不明。

これも中々に興味深い現象だなぁ。

 

 

その後、別の場所でも

Sepedonium に罹患したミカワクロアミアシイグチに幾つも遭遇した。

mkwkramasigc2017 (21).JPG

mkwkramasigc2017 (20).JPG

mkwkramasigc2017 (15).JPG

mkwkramasigc2017 (14).JPG

mkwkramasigc2017 (13).JPG

mkwkramasigc2017 (12).JPG

mkwkramasigc2017 (5).JPG

去年までは全く遭遇しなかったのに、今年いきなりの連続遭遇。

これは一体どう言う事なのだろうか。

 

ミカワクロアミアシイグチと Sepedonium が

今迄永年に渡り攻防を繰り広げていて

今年になってやっと Sepedonium が勝利した、と言う事なのか。

いや、まさかなぁ・・・・・・

 

これもまぁ、たまたまなのだろうな。

今年の気候がミカワクロアミアシイグチを

 Sepedonium に罹患しやすくする何かがあったのだろうなぁ。

 

来年は果たしてどうなのか。

これからもミカワクロアミアシイグチの発生には注目して行きたい。

 

 

※ミカワクロアミアシイグチの記事のアーカイブス→こちら

 


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| イグチ科 | 00:01 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
薄葉

ある日のこと。
近所の住宅街の中の小さな神社を散策。
何かキノコが生えてないかなぁ。
だが土壌が整備されすぎていてキノコ的には今一つ。
住宅街だし場所的にはまぁ、こんなもんか。

帰ろうとふと脇に目をやると
丸太を積み上げた物が。
年始の篝火やお焚き上げ用の薪なのだろうなぁ。
と、それに何かキノコが生えているのが見える。
kgnusbtak (1).JPG
カワラタケかな?
いや、ちょっと違う感じだ。
でも、それ系の硬質菌だなぁ。


この手の物は種類が多いのだが外見の似た物、

同じ種類でも個体差が大きく外見だけでは判別の難しい物が多い。
これも種不明として処理せざるを得ないかなぁ。
でも一応撮影しておこうかな。

 


まずは上から撮影。

kgnusbtak (2).JPG

やっぱりカワラタケぽいけどちょっと違うなぁ。
念のために裏側も撮影しておこう。
裏側の様子が種の決め手になる事もあるしね。

で、裏側を見る。

kgnusbtak (3).JPG

kgnusbtak (10).JPG

kgnusbtak (4).JPG

と、これは!!!?

硬質菌にありがちな管孔状ではない。

板状の鍾乳石の様な物がびっしりと並んでいる。
こういう形状の物を「薄葉状」(または「ヘラ歯状」)と言う。
しかも鮮やかな黄金色。
これは恐らく「コガネウスバタケ」だろう。

コガネウスバタケは発生が多くないからなのか
発生していても目立たないからなのか
掲載されている図鑑もwebでの情報も少ない。
掲載されている図鑑でも、
あまり目立たない様な扱いをされている。
こんな綺麗な黄金色なのになぁ。

その薄葉。
本当に綺麗だよなぁ。
視点を変えると次々に違う同心円が見えてくる。

kgnusbtak (5).JPG

kgnusbtak (6).JPG

kgnusbtak (7).JPG

kgnusbtak (8).JPG

kgnusbtak (9).JPG

kgnusbtak (12).JPG

kgnusbtak (13).JPG

まるで指紋みたいだw

 

ん?同心円???

図鑑を見てもwebを見ても
コガネウスバタケの薄葉は同心円状とはなっていない。

掲載されている数少ないキノコ図鑑でも

 

 『日本のきのこ』

   ── 放射状に並ぶ薄葉状の突起

 『続原色日本新菌類図鑑』

   ── ほぼ放射状に並ぶ薄葉状の突起をそなえ、

      しばしば長い溝状〜迷路状の網目を作る

 『YAMA-KEI Field Books きのこ』

   ── 不規則でひだに近い迷路状〜網目状

 

となっている。  

 

念の為に画像検索をしてみると、

薄葉が同心円状になっている画像は無い様だ。(→こちら

となると、このキノコはコガネウスバタケとは違うのか?

薄葉が同心円状に並ぶ近縁種があるのだろうか。

それとも、個体差の範疇でたまたまこうなっしまったのだろうか。

顕微鏡を持たない当方にはこれ以上探りようが無い。

うーむ・・・・・・

 


考えたら大概のキノコは
同心円状に組織が広がって大きくなって行くのだから
ヒダに当たる薄葉の部分が
同心円状に分布・整列している方が自然な気がする。

逆に言えば多くのキノコのヒダが
放射状に並んでいることの方が不思議だ。
当方が追い続けているウズタケ等、同心円状のヒダのキノコが
発生の少ない珍菌である事が逆に不思議だ(ウズタケまとめ→こちら)。


キノコにとってヒダを同心円状で無く
放射状に配置させることの方が得な理由が何かあるのだろうなぁ。

それは恐らく、その方が省エネなのだろう。

何故そうなのかは良く判らないのだが。

 


先に書いたがこの丸太。
篝火やお焚き上げ用の薪なので

恐らく今度の正月には燃やされてしまうだろう。
この謎のコガネウスバタケ?も
恐らく燃やされてしまうのだろう。

今後、またこのキノコに遭遇出来たら

薄葉がどう並んでいるのかを確認したい。

また、これはコガネウスバタケだ!と確信出来るキノコにも遭遇したい。
更に、他の薄葉状の傘裏を持つキノコが
どの様な配列になっているのかを、ちゃんと確認したいと思う。

 

 


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| 多孔菌科 | 01:12 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
ツノシメジの事 その2「試食篇」

以前、ツノシメジの事を記事にした(→こちら)。

その時に

 今度遭遇出来たら食べてみたいと思わないでも無いような気が
 しないでも無い、みたいな・・・・・・

と〆た。

 

ヨーロッパでは食キノコとして扱われており

日本でも食べた事のある人がいる、と言う事で

積極的に食べたいと言う訳では無いけれど

機会があったら食べてみても良いかなぁ、程度の

軽いお茶濁し程度の気持ちで書いたのだ。

 

その後、友人が信州でツノシメジに大量に遭遇した。

当方の話から食キノコと判断し、食べてみた、との事。

因みに、友人はツノシメジには初遭遇の由。

毎年徘徊しているシマで初遭遇と言う事なのだから

矢張りツノシメジの発生は全国的に増加しているのかも知れないなぁ。

 

で、友人によると美味しいキノコの由(→こちら)。

blogには書かれていないが、煮ると良い出汁は出る物の

ツノシメジ自身はフニャフニャで出汁ガラ状態になってしまうので

炒める等、油を使った料理にした方が良い、との事だった。

 

で、大量に収獲したとの事で、一部を送ってくれた。

それがこれ。

tnsmj171031 (1).JPG

とても大きな物ばかり。

最大の物で傘径12〜3cm。

当方が飛騨で遭遇していたのは精々5〜6cmだったので

その点でまずびっくり!

さすがキノコ王国信州だなぁ。

 

で、早速調理を。

取り敢えず、一部を食べやすい大きさに切る。

tnsmj171031 (2).JPG

 

それを炒める。

tnsmj171031 (3).JPG

 

まずはパスタで食べる事に。

予想だにしなかったツノシメジの大きさに気を取られて

撮影をするのをうっかり忘れてしまったのだが

ショウゲンジも同時に送られてきていたので

そのショウゲンジとベーコン、ホウレンソウを加え、

牛乳でブルーチーズを溶かしてクリームソース風に。

インスタ映え?を意識してブロッコリースプラウトをトッピング♪

tnsmj171031 (5).JPG

ツノシメジの傘の毛羽が黒々としていてちょっとグロいw

恐る恐る食べる事に。

で、味は?

 

 

 

 

 

 

 

美味い!!

 

実に美味しい!!

 

 

 

 

 

 

味の事を文字だけで表現する事は

グルメレポーターでも無い当方にはまず不可能なのだが

シイタケやポルチーニとも違う、甘味すら感じる様な旨味がある。

確かに歯応えは弱いのだが

グニャグニャで気持ち悪いと言う程軟らかな訳でも無いので

当方はそれほど気にならなかった。

 

一緒に入れたショウゲンジもそれなりに美味しかったのだが

はっきり言って比べ物にならないくらいツノシメジの方が美味しかった。

いやー、これは意外だった。

友人から美味しいとは聞いていたが、こんなに美味しかったとは。

こんな美味しいキノコがつい最近まで知られていなかっただなんて。

 

 

翌日になっても腹具合、体調には特に変化は無かった。

少なくとも友人達と当方にとっては毒キノコでは無い様だ。

 

前夜の残りのツノシメジ、今日は別の料理で食べてみようかな。

青梗菜とニンジン、豚バラ肉で中華風の炒め物にしてみた。

tnsmj171031 (4).JPG

比較の為にシイタケも入れてみた。

さてお味は。

 

 

 

 

 

 

 

美味い!!

 

矢張り美味しい!!

 

 

 

 

 

 

中華でも合うなぁ、

ツノシメジは油系料理で食べるべし、と言って良いだろう。

一緒に調理したシイタケと食べ比べてみた。

シイタケは勿論美味しい。歯応えもある。

だが、味だけで言えば

ツノシメジの方が断然美味しい、と当方は感じた。

しっかりした歯応えを望む人には物足りないかも知れないが

ツノシメジはそれを補うほどの美味しさがあると思う。

とにかく、これだけは言える。

 

ツノシメジは美味しい!

 

 

 

 

ただ、これは当方の個人的な感想だ。

他の人が皆そう思うかどうかは判らない。

また、ツノシメジが本当に安全な食キノコかどうかもまだ判らない。

他の人には何らかの中毒症状を起こす、と言う可能性もある。

 

更に言えば、日本に発生しているツノシメジが

1種類だけかどうかも判らない。

友人が信州で採取したツノシメジが

たまたま安全だっただけなのかも知れないのだ。

当方が飛騨で遭遇したツノシメジと同一種である保証も無い。

 

実際の話、この9月に発刊されたばかりの

『青森県産きのこ図鑑』 工藤伸一著 アクセス21出版刊 によると

青森で発生しているツノシメジは色が全体に薄く

「今後同一種か詳細な検討が必要である」と記載されている。

掲載画像を見ると確かにアイボリー〜淡褐色で

当方の知るツノシメジにはとても見えない。

そして、青森ではツノシメジを食べた人はまだいない様だ。

 

この記事はあくまでも当方の体験記だ。

読者の皆様にツノシメジを食べる事をお勧めしている訳では無い。

この記事を読んだから、とツノシメジを食べた為に

何らかの健康被害が出たとしても当方には責任は取れない。

思わぬ被害を生まない為には安易に食べるべきでは無いだろう。

 

 

 

 

今後当方がツノシメジに遭遇したら

採取してモリモリ食べるけどね( ̄∀ ̄)

 

 


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| キシメジ科 | 00:05 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
巾着

とある初夏の日。
キノコ仲間と共に岐阜県各務ヶ原の森林公園でキノコ探索をしていた。
その場所はとてもキノコ向きな環境で、あちこちに色々なキノコがあった。
何かを見付けると一斉にしゃがんで撮影を始めてしまう為に、
駐車場から50m位を進むのにも1時間くらい掛かる程だった。

 

そんなこんなで山道を歩き始め、ふと道の脇の水路に目をやる。
その水路は底も側壁も木の板で作られており
中に入ってしゃがめる程の幅と深さ。
板は結構腐朽が進んでいた様で幾つかのキノコが生えていた。
その中にとても小さな、直径4〜5伉の白い丸い物があった。

kinchakutake (2).JPG

 

丸くて白いキノコ、となるとホコリタケの仲間がまず頭に浮かぶ。
これもその辺りかなぁ、と推定し、取り敢えず撮影。

森蔭の中の水路の側面なのでとても暗く、
当方のカメラの性能と、当方の撮影技術ではこれが精一杯。

kinchakutake (4).JPG

 

トリミングして更にアップ。

kinchakutake (3).JPG

見た感じ幼菌だろうし、こんなに小さいと種類の判別は難しい。

周りには更に小さな丸い物が。

直径1mmも無いのもある。

それこそ発生初期の物なんだろうなぁ。


ホコリタケの仲間は種類は多いのに図鑑にはあまり載っていない。
多分「正体不明菌」として処理せざるを得ないだろうなぁ。

なので、簡単に撮影しただけで終わらせようと思ったのだが
何となく、それこそ本当に何となく、その中を見てみたくなった。

 

白くて丸いキノコ、と言う事で

単純にホコリタケの仲間を思い浮かべたのだが

所謂「腹菌類」の仲間には様々なタイプのキノコがある。

また、「塊菌目」と言う一群のキノコもその名の通り、丸い塊のキノコで

世界3大珍味のトリュフもその中の一つだ。

どれも丸い塊のキノコ、と言う特徴は共通している。

なので、外見だけでの判別はとても難しいが

中の様子を見ればある程度は種類の範囲を狭められるかも知れない。

 

近くを見ると、色が淡い褐色になった個体があった。
色が違うから成菌なのだろうなぁ。
それを手に取り、指で裂いてみた。

kinchakutake (1).JPG
すると、小さな豆みたいな物が出て来たのでびっくり!
すっかりホコリタケの仲間だと思い込んでいたので
まさかこんな物が出て来るとは全くの予想外。


気を付けて周囲を見ると、

袋が破れて中の豆が外にこぼれている個体もあった。

kinchakutake (5).JPG

 

 

こう言う豆状の物、と言えばチャダイゴケの仲間が真っ先に思い浮かぶ。
チャダイゴケの仲間はカップの中に豆が詰まった形が特徴のキノコだ。
こちらはハタケチャダイゴケ。

hatakechadaigoke (5).JPG

hatakechadaigoke (3).JPG
幼菌の段階では蓋がされた状態。

 

成熟すると蓋が破れ、中の豆が見えて来る。

hatakechadaigoke (4).JPG

hatakechadaigoke (2).JPG

この豆状の物は小粒塊(ペリジオール)と言い、中に胞子が詰まっている。
雨粒がこのカップを直撃すると、その衝撃で小粒塊が外に飛び出し
それによって胞子を飛散させている。

 

成熟しても直径5伉度のとても小さなキノコ。

だが、画像の様に群生する事が多いので発生すると結構目立つ。

hatakechadaigoke (1).JPG

 

こちらは小粒塊を飛ばし終わってカップが萎れた状態。

hatakechadaigoke (6).JPG

これだけの群生で、全ての小粒塊を飛ばし終わったのだから

この周辺は小粒塊だらけだったのだろうなぁ。

物が小さいし、色も黒いので気付かなかったのだけど。

 

以前、とある場所でチャダイゴケに水を垂らし小粒塊を飛ばす、

と言う実験に立ち会った事がある。
その結果、小粒塊は物によっては

50〜60cm離れた場所の物に張り付いていた。

その障害物が無かったら1mは飛んでいたかもなぁ。

 

50〜60cmと言うと大した距離では無いと思うかも知れないが

元は直径5伉度のキノコから発射された

直径2mmにも満たない様な小粒塊なのだ。

キノコ本体の大きさの100倍の距離は飛んだ訳だ。

これはかなり凄い事だと思う。

 

実はチャダイゴケはカップの形状が
雨粒の衝撃によって小粒塊を上手く遠くに飛ばす様な、
絶妙な形状をしているのだとか。

何故、どうして、そしてどうやってそう言う風に進化したのだろうかなぁ。
本当に不思議で仕方無い。

 

 

と、話はずれたが、小粒塊と言う同じ特徴があるので
恐らくチャダイゴケに近い仲間なのだろうなぁ。
その線で調べてみよう。

 

で、色々調べた結果、

「キンチャクタケ(巾着茸)」もしくはその近縁種、と言う事が判った。
「巾着」とは今で言えばポーチに当たるのだろうか。
小銭や薬等の小物を入れて持ち歩く為の、日本古来の布の袋だ。
恐らく小粒塊を小銭に見立てたのだろう。
風流でユーモアの利いた命名だと思う。

 

名前が判明してから見たら

山渓刊の『日本のきのこ』に載っていたので逆にビックリしてしまった。
全然気付かなかったなー
そう言えばこんなの載ってたっけなぁ。
説明文を良く読んでいなかったのと
画像だけを見て、もう少し大きいキノコだと勝手に思い込んで居たのもあって
各務ヶ原で遭遇したこのキノコと
図鑑のこれが結びつかなかったよ。
もっとちゃんと読み込まないとダメだなぁ……

 

さて、この「キンチャクタケ」。
チャダイゴケと違って小粒塊を飛ばす事はしない由。
成熟すると袋が破れ、昆虫などに食害される事によって
胞子を飛散するのだとか。
雨や風で飛ばされたりもするのだろうかなぁ。

 

ただ、この「キンチャクタケ」は垂直面に発生していたので

この様に下に落ちるだけだ。

kinchakutake (6).JPG

あまり「飛散」はしていないなぁ。

でも、これが昆虫などに食害されて

胞子があちこちに運ばれる訳なのだろうなぁ。

 

考えてみれば、最初にこの「キンチャクタケ」が

この場所に発生する事になったのも

昆虫か何かによって最初の胞子が此処に運ばれて来た訳なのだろうし。

だから小粒塊を殊更に遠くに飛ばさなくても

良いのかも知れないよなぁ。

 

そうなると、少しでも胞子を遠くに飛ばそうと

涙ぐましい努力をしている多くのキノコ達の

立つ瀬が無いかも知れないけれど。

まぁ、キノコそれぞれで胞子の飛散方法が違っている様に

胞子の性質や構造もそれぞれ違っているだろうから

一概には言えないのだろうけれど。

 

 

所で、この「キンチャクタケ」。

2002年の京都府のレッドデータブックでは

「絶滅寸前種」とされている(→こちら)。

その選定理由は

「小型のため発見するのが困難で情報が不足している」との事。

確かに小さいから中々見付け難いだろうなぁ。

 

所が2015年版では「要注目種」となっている(→こちら)。

改定理由として

「稀産ではあるが、発生基質・環境とも減少要因はない。

 積極的に絶滅寸前種に挙げる要因に欠ける。」

との事。

これもつまり

「小型のため発見するのが困難で情報が不足している」

からなのだろうなぁ。

今回は板に発生していたので見付ける事が出来たが

落葉の中の落ち枝に生えていたら見付けられた自信は無い。

今後も注意はして行く積りだけれどね。

 

 

で、小型のため発見するのが困難で情報が不足している、と言う

この「キンチャクタケ」。

その為、web上での情報もとても少ない。

国内のサイトの画像検索で出て来るのも

2017年9月29日現在、上掲の京都府レッドデータベースと

「旭川きのこの会」のサイト(→こちら)くらいしか無い模様。

当方のこのblogが3件目になるのだと思われる。

これはちょっと自慢したくなるなぁw

 

まぁ、キンチャクタケの事を検索しようとする人が

日本中でどれ位居るのかは判らないけれど。

 


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| チャダイゴケ科 | 00:06 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
アミウズ その2

こちらはウズタケ。

uz-shkw (1).JPG

uz-shkw (4).JPG

uz-shkw (3).JPG

ヒダが同心円状なのがとても印象的。
岐阜県荘川村で遭遇。

 

以下、画像をズラズラ列挙し、ダラダラと記述。

 

  ウズタケに関しては何回か記事にした事があります(アーカイブス→こちら)。

  若干内容が被ってしまいますが、画像は新しい物なので

  その点はご容赦下さい。

  m( _ _ )m

 

 

この場所での遭遇は3回目。
2010年に初遭遇し、翌年も同じ場所で遭遇。
それ以来ご無沙汰だったが今年は6年振りの遭遇。

だが、根元を見ると、昨年発生していたと思しき残骸が見える。

uz-shkw (2).JPG
当方とはタイミングが合わなかっただけで
発生はし続けていたみたいだなぁ。
当方がこの場所を訪れるのは年に1〜2回だから
タイミングが合わないのは仕方無い。
むしろ、こうやって何回も遭遇できるのは奇跡的と言えるだろう。

 

この場所のウズタケは御覧の通り華奢だ。
ウズタケはニッケイタケ、オツネンタケの近縁種との事。
ニッケイタケはこの通り、薄い華奢なキノコ。

nkitk (5).JPG

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オツネンタケも同様なので(画像検索の結果→こちら)、
その近縁種のウズタケが華奢なのは当然かも知れない。

だが、図鑑に掲載されているのは割とガッシリしている感じ。
ウズタケが掲載されている図鑑自体多くは無いのだが
画像検索で出て来る物もそう言うのが多い(画像検索の結果→こちら)。

 


図鑑によると、ウズタケの発生は稀との事だが
当方の普段のフィールドにもウズタケが頻繁に発生しているポイントがある。
其処のウズタケがこちら。

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この個体はガッシリした感じなので図鑑の物に近い。


ただ、此処に発生する個体は同心円状のヒダでは無く、管孔状の部分が多い。

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仮にこれを「名古屋Aタイプ」と呼ぶ。

 

 

同じポイントだが、少し離れた場所に発生しているのはこのタイプ。

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妙にゴツゴツした感じで、不定形な事が多い。

柄が短い為に地面を這う様に発生している。

 

そして傘裏はこちらも網目が多い。

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こちらは「名古屋Bタイプ」と呼ぶ事にする。

 

 

以前も書いたが、「ウズタケ」は分類学的には

「アミウズタケ」の一変種との事。
傘裏が管孔状(網目状)の「アミウズタケ」が本来の姿で
それが何故か同心円状のヒダに変化したのが「ウズタケ」の由。
なので、このポイントに発生している物は

「アミウズタケ」と言うべきなのだろう。
尚、山渓カラー名鑑『日本のきのこ』によると
ヨーロッパにはアミウズタケが、日本と北米にはウズタケが多い由。
と言う事は、このポイントは「ヨーロッパ的」とでも言うべきか。


「名古屋Aタイプ」は、華奢さの点では違うが
柄があって傘が逆三角形に広がっている漏斗型、と言う点では
先の「荘川タイプ」と似ているかも知れない。
だが、「名古屋Bタイプ」はあまりにも形が違っている。
柄は殆ど伸びず、地面を這う様に傘が広がっている。
その形も類円形では無く、不定形だ。

地面と傘裏は殆ど接触しているので、

胞子の飛散には役立っていない様に思える。

実際、枯葉に埋もれて発生している為に傘裏が枯葉に癒着してしまっている。

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こんなに地面に近くては昆虫などの食害は不可避だろう。
実際、この様にヒダが食い荒らされて

殆ど無くなってしまっている物もあった。

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画像では判り難いが、網目が見えない部分は

全て食害を受けて管孔及びヒダが消失してしまっている。
逆に、菌食生物に食害される事によって
胞子の飛散を手伝って貰う様に進化しているのか、とさえ思えてしまう。

 


さて、2016年の転居に伴い、当方の観察範囲が変化した事により
新たなウズタケの発生ポイントの発見も出来た。
それがこちら。

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最初に見た時はサルノコシカケ系の何かが
斜面の埋もれ木から生えているのかと思った。
で、傘裏を見たらウズタケのそれだったのでビックリしてしまった。

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見事な同心円。
網目部分は全くと言ってよい程見当たらない。
今迄とは違うので、これを「名古屋Cタイプ」と呼ぶ事にする。

 

 

その近くにあったこちらの個体。

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これは所謂「ウズタケ」の形。


傘裏はこんな感じ。

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綺麗な同心円。

 

こちら別の個体。

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古い個体の所為かカビで埋まってしまっているが
それでも同心円と網目は確認出来る。
こちらは「Aタイプ」なのかもなぁ。


もう一つ、別のポイントも発見。
こちらはかなり小さな個体。

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これはもしや???と思って裏を見たらウズタケだと判った次第。
破片的な小さな個体だったが、同心円だけでなく網目部分も確認出来る。
地面に這う様になっていた点からすると「Bタイプ」なのかもなぁ。

それにしても名古屋東部はウズタケの一大発生地帯なのだなぁ。

 


さて、以上の荘川・名古屋A〜Cの4種類のタイプ。
ヒダの形が特徴的なので、どれも「ウズタケ」と言う事になってしまうが
本当にこれは全てDNA的に同じなのだろうか。
荘川タイプは名古屋タイプに比べるとあまりにも華奢だ。
そして名古屋タイプと比べると、傘表面の質感が全く違う。

 

荘川タイプにはニッケイタケ同様、絹の様な質感がある。

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こちらはニッケイタケ。

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良く似ているなぁ。

 

対して名古屋タイプはどれもゴツゴツとした凸凹があり
しかもそれはマットな質感。

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どちらかと言う、全体の雰囲気はアズマタケを思わせる。

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AタイプとCタイプは「アミウズタケ」と「ウズタケ」の差かも知れないが
Bタイプは「地面を這う生え方」の特徴から
それともまたちょっと違う様に感じる。

外見だけで見ると、とても同じ「ウズタケ」とは思えない。

 

つまり、ウズタケがアミウズタケの一変種である様に
ニッケイタケの近縁種以外にも
例えばアズマタケ辺りの一群の中に
傘裏が同心円状になってしまう種があるのでは無いだろうか。

外見だけで観察するに、どうしてもそうとしか思えない。

 

まぁ、顕微鏡もDNA解析器も持たない当方には
これ以上の事は判らないし、調べようも無い。
こうやって疑問を並べ立てる事しか出来無いのだ。

 

ウズタケ専門の研究者、と言う人がいるのなら、

それを是非解明して頂きたい。
その為なら当方手持ちの各標本を提供しますので。
当方はそれが判明すればスッキリして、それだけで満足ですので。
例え、それで新種が判明しても献名などして頂かなくても結構ですのでw

研究者様、どうぞよろしくお願い申し上げますです (-人-) ナム〜

 

当方が知らないだけで、既に解明済みならスミマセン・・・・・・

 

 


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