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フォトジェニック
今年の冬は長かったので例年よりは遅かったが
4月ともなると春のキノコはちゃんと出て来てくれた。

その一つがオオセミタケ。
冬虫夏草不毛の地と言われる名古屋地域だが
このオオセミタケだけはとても発生が多い。

オオセミタケだけで毎年百枚以上は撮影しているが
中々これ!と言うのが撮影出来無い。
セミ生冬虫夏草の場合、普通のキノコの撮影と違って
地上部の子実体だけでなく
地下の寄主の部分も写さないと全体像を写した事にならないのだ。
特に、地上部は小さくて地味で目立たないので
それだけでは絵として面白くないのだ。

例えば、密生している場所を撮影してもこんな様子。

矢印を付けてもやっぱり良く判らない。

なので、地下の寄主を含めて撮影したくなるのだ。
だが、地上部と地下部を上手く写す事はとても難しい。


例えばこの個体。
oosemi-long3-1.JPG

掘ってみたら、地下部が意外に長く
寄主を写す事が出来無かった。

oosemi-long3-2.JPG
出来たら寄主が地下に埋まっている状態で撮影したいのだ。
結局この個体は、全体を取り出さないと寄主を撮影出来無かった。


こちらの個体は柄が長過ぎて
掘り出しを断念せざるを得なかった・・・・・
oosemi-longX1-1.JPG
oosemi-longX1-2.JPG


こちらの個体は、柄が長過ぎた上に
途中でギロチンしてしまった物。
oosemi-longX2-1.JPG
oosemi-longX2-2.JPG
oosemi-longX2-3.JPG
地下では柄がどの様に伸びているのか判らず
木や草の根、石等が邪魔をしている事が多い。
それを退かそう、取り除こうとしていて
こうやってうっかり切断してしまう事も少なくない・・・・・・


こちらの個体も、地下部分が思いの外長く、
しかも途中でギロチンしてしまった・・・・・・
oosemi-longX4-1.JPG
oosemi-longX4-2.JPG
こんなもやしみたいな柄もちょっと珍しいかも。


こちらの個体は柄の長さは適度だったのだが
地下で寄主の方向が良くなかった物。
oosemi-mukiX1-1.JPG

これでは何だか判らない。
oosemi-mukiX1-2.JPG

掘り出してクリーニングした所、
仰向けだった事が判った。
oosemi-mukiX1-3.JPG
それはそれでちょっと珍しいと思う。


こちらの個体。
oosemi-mukiX2-1.JPG

ちょっと掘っただけで寄主が見えた。
これは行けるか???
oosemi-mukiX2-2.JPG

だが、寄主は横倒し状態だった。
oosemi-mukiX2-3.JPG
寄主の形がはっきりと判る状態で
撮影出来無かったから今イチだった・・・・・・


こちらの個体は柄が地中で妙にカーブしていたので
そこがちょっと残念。
oosemi-mukiX3-1.JPG
oosemi-mukiX3-2.JPG
これはこれで悪くないんだけどねー


この2本の子実体は別々の物かと思って掘り出したら
一つの寄主から2本出ていた個体だった。
oosemi-hen-1.JPG
oosemi-hen-2.JPG
しかも仰向けで、頭の方と、尻の方の2箇所から出ていた。
これは面白い生え方だけど、
寄主が地中にある状態では上手く撮影出来無かった。
残念。

それにしても、これ!と言う画像が中々撮影出来無いなぁ。
図鑑に載っている伊沢正名さんの画像は矢張りさすがだよなぁ。
あれに至るまでに、どれだけの数を撮影したのかなぁ・・・・・・


さて、この個体。
oosemi-OK-1.JPG

ちょっと掘ると寄主の姿が見えて来た。
oosemi-OK-2.JPG
これは良い感じだ。

寄主を露出させた状態で慎重にクリーニング。
oosemi-OK-3.JPG
寄主も横向きで、セミの幼虫だと言う事がとても良く判る。
うん、これは良いなぁ♪
こう言う画像が欲しかったのよ。

掘り出して本核的にクリーニング。
oosemi-OK-4.JPG
足を破損する事も無く、ほぼ完璧に掘り出せた。
柄がもうちょっと長い方が
尚バランスが良かったかも知れないけど
それは贅沢と言う物。
良い感じの画像と、綺麗な標本。
やっと揃えられて嬉しい(・∀・)♪

でも、それはそれとして、より良い画像を
撮りたくなってしまうのがマニアの性(さが)と言う物。
なので、その後も探索と掘り取りを継続中。
地上部の形が良くて、
掘りやすそうな場所に生えている個体を見付けると
取り敢えず掘ってみている。


と、先日の事。
例によってオオセミタケを掘っていたら
「何やってるの?」と声を掛けられた。
見ると、小学5年生?と思われる少年の姿。
公園の斜面でしゃがんで作業をしていると
怪訝な目で見られる事は多かったが
こんな風に声を掛けられたのは初めてだった。

どう答えた物か、ちょっと考えてしまったが
「ちょっと珍しいキノコを探しているんよ」
と、先に掘り出した物を見せて
「こうやってセミの幼虫から生えてるんよ。
 この時期にだけ出るんよねー」
と正直に答えた。

すると少年は「僕もやりたい!」と言い出した。
ほぅ、これは面白い。
こんな事を言い出す人は初めてだ。
折角ならやらせてみよう。

道具を渡し、「此処にあるよ」と教える。
すると早速掘り始めた。
oosemi-shounen-1.JPG
が、其処は子供の事。
慎重に掘る、等と言う事はしない。
あっと言う間にギロチンをしてしまう。

もっと周囲から丁寧に掘らないと、と指導をするが
それでも矢張り作業が雑。
当然寄主も破壊されてしまう・・・・・・
oosemi-shounen-2.jpg
この場所は発生が多いとは言え、貴重なオオセミタケ。
そんな次から次に破壊されては堪らない・・・・・・(;´Д`)
しかも、掘ったら掘りっ放しだし。

其処で、もっと丁寧に周りから掘り始める事、
掘った穴はきちんと埋め戻す事を指導。
すると、やっと綺麗に掘り取れた様子。
 oosemi-shounen-3.JPG
少年はその後も幾つか掘り取った。
もっと掘りたそうにしていたが、
折角の貴重な発生坪をあまりザクザクと荒されてもアレだ。
当方がこのままこの場で探索を続けると
この子も掘らずには居れないだろうから
今日は引き上げる事にした。
少年は、自分の掘り取った物を当方にくれた。
なので、お礼を言って立ち去った。

実はこの少年が、のちに冬虫夏草の研究の
世界的権威となる◎◎◎◎氏だ、となったら面白いのだけどなぁw
生まれて初めて見た冬虫夏草を気味悪がらない所か
掘り出すのを楽しんだのだ。
その素質は十分にあるのではと。

それはともかく、この少年が今後
冬虫夏草やキノコ、広く菌類に興味を持ってくれたら嬉しいなぁ。

お望みならば特訓しますよん( ̄∀ ̄)



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| 昆虫寄生菌 | 00:10 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
Sepedonium 色々
今回は前回の話のオマケ。

前回、 Sepedonium chrysospermum (分生子型アワタケヤドリ)は
色々なイグチ類に寄生する、と書いた。
なので、その「色々」を以下に列挙。


2011年の名古屋東部はベニイグチの発生がとても多かった。
そうなると、それに応じてベニイグチの Sepedonium も
とても多く見掛けた。
ベニイグチとはその名の通り紅色で、
比較的大きくなる為に、とても目立つイグチだ。
beni.JPG

こちらは老菌の傘に白い菌糸が広がり始めている。
beni-sepe-1.JPG

こちらは前回も使った画像。
大きなベニイグチのあちこちに菌糸が広がっている。
Sepe-N110909.JPG

左の個体は全体が白くなってしまっている。
右の個体はまだ傘だけが白い状態。
beni-sepe-2.JPG
左の個体は柄の部分だけが肥大した上に屈曲し
傘の部分は極端に小さい状態の奇形化となっている。

こちらも柄が極端に肥大化している。
beni-sepe-3.JPG
柄の凸凹は、寄主であるベニイグチの柄の網目が
そのまま出ている物。

こちらは分生子が成熟し始めた為に黄色くなりかかっている。
beni-sepe-4.JPG
完熟するともっと綺麗な黄橙色になる筈だ。
この様に「赤→白→黄橙(なりかけ)」と言う変遷を観察出来た。


同じく2011年の名古屋東部はキアミアシイグチも多かった。
kiami-1.JPG

キアミアシイグチは文字通り柄の網目がとても顕著。
kiami-2.JPG

で、キアミアシイグチも多くが Sepedonium にやられていた。
kiami-sepe-1.JPG

こちらは柄の下部が菌糸に覆われていない為に
寄主がキアミアシイグチだと確認出来る。
kiami-sepe-3.JPG

こちらはすっかり菌糸に覆われ全体が白くなってしまっている。
kiami-sepe-2.JPG
傘の付け根の一部が露出していて
寄主がキアミアシイグチだと確認出来る。
こちらは「黄褐色→白」までだったのが残念。


こちらはヤマイグチ。
岐阜県荘川村内にて撮影。
yama.JPG

こちらは4日後の様子。
yama-sepe.JPG
萎びて倒れ、傘が白い菌糸に覆われている。
こちらも「灰黒色→白」止まり。


こちらはブドウニガイグチ。
こちらも岐阜県荘川村内にて撮影。
budouniga.JPG

こちらは傘裏左側が白い菌糸に覆われている。
budouniga-sepe-1.JPG
白い部分の右側の一部は胞子が成熟し、黄色くなっている。
管孔が元々黄色っぽいので良く判らないが……

こちらは全体が真っ白。
budouniga-sepe-2.JPG
発生場所の状況から寄主はブドウニガイグチだと思われる。

こちらは柄の部分に地色のブドウ色が透けて見えている。
budouniga-sepe-3.JPG
こちらは「紫色→白→(一部)黄橙」と言う変遷を観察出来た。


こちらはムラサキヤマドリタケ。
こちらも岐阜県荘川村内にて撮影。
murasaki.JPG

こちらは柄の根元部分がうっすら白くなっている。
murasaki-sepe-1.JPG

やがてこの様に全体が白く覆われる事になるのだろう。
murasaki-sepe-2.JPG
回りの状況と、柄に浮かぶ凸凹模様から
寄主はムラサキヤマドリタケだと推定出来る。
こちらは「紫色→白」止まり。


こちらは成熟した「分生子型アワタケヤドリ」。
Sepe-R060830-1.jpg
菌糸で覆われて白い物も
やがてこの様に、とても鮮やかな黄橙色になる。


所が、一見すると成熟した「分生子型アワタケヤドリ」だが
実は元からそんな色のイグチもある。
それがこちら、ハナガサイグチ。
色の鮮やかさを「花笠」に見立てた命名なのだろう。
hanagasa.JPG
もとから鮮やかな黄橙色な上に、マットな質感なので
遠目では「分生子型アワタケヤドリ」の成熟個体に見えてしまった。

で、そんなハナガサイグチも矢張り
Sepedonium にやられてしまう。
hanagasa-sepe.JPG
成熟するとこれも黄橙色になる筈だ。
つまり「黄橙色→白→黄橙色」と言う変遷を辿る事になる次第。
最終的な黄橙色を見届けられなかったのが残念……


こちらはキイロイグチ。
こちらも元々黄色いイグチだ。
kiiro.JPG

キイロイグチも矢張り Sepedonium にやられていた。
kiiro-sepe-1.JPG
だが、傘の表面にも濃褐色の水滴が点在していた。 

傘裏には大きな水滴がビッシリ!
kiiro-sepe-2.JPG
恐らくこれは分解水だろう。
分解水とは、菌糸が有機物を分解した際に
放出される余分な水分の事。
実は上で真っ白になったブドウニガイグチにも
小さな水滴が点在しているのだが
こんなに派手に水滴が付いているのにはびっくりした。
それだけ菌糸がキイロイグチを旺盛に分解している、と言う事なのだろう。
これもその後の様子を観察出来無かったので
「黄→白→黄橙」の変遷を見届けられず残念。


他に、名古屋東部では白いイグチの発生に遭遇しているが
その時は Sepedonium の寄生は確認出来無かった。
「白→白→黄橙」が観察出来ず残念。

また、黒系イグチ及びミドリニガイグチも発生していたが
そちらも Sepedonium は確認出来ず。
「黒→白→黄橙」「緑→白→黄橙」も見たかったなぁ。

もし青系イグチがあるならば
それの Sepedonium も是非見てみたい物だ。
まぁ、見たからどうだ、て話では無いのだけどw

そんな楽しみ方もある、と言うお話でした(^−^)



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| 子嚢菌類 | 00:07 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
アワタケヤドリの事
※当方は顕微鏡を持っていませんので
  今回の記事で取り上げた菌類の種類は
  正確に同定された物ではありません。
  あくまでも肉眼で素人判断した物である事を
  お含みの上、お読み下さい m( _ _ )m 


キノコ、カビ等の糸状菌類は
有機物を無機物に分解する事で
栄養を吸収している。
つまり糸状菌類は有機物に依存、寄生しないと
生きていけないのだ。
寄生の相手が生体の場合は寄生菌となり
死体の場合が腐朽分解菌となる。
 
多くの糸状菌類は植物を相手にしているが
中には他のキノコに寄生する一群がある。
有機物を無機物に分解・吸収した事によって
形成、成長した有機物であるキノコを
栄養源にしている訳なのだ。
言わば、他の菌の上前を跳ねている、と
言って良いかも知れない。

その中でも一番良く見かけるのが
Sepedonium(セペドニウム)の仲間だ。
当方は菌類の寄生的性格の部分が好きなのだが
更に寄生的性格を持つ、この仲間が好きだったりする。
特にイグチ類に寄生する S. chrysospermum は
長らく当方の行動範囲であった東大阪市内、
現在の行動範囲である名古屋市内は元より
滋賀県栗東市内、岐阜山中でも良く見かけるので
全国的に良く発生しているのかも知れない。
以下、 S. chrysospermum の画像を列挙。

こちらは2007年7月3日、東大阪市内で撮影。
寄主は恐らくクリイロイグチ。
Sepe-H070703.JPG
全体がうっすらと白い菌糸に覆われているj。

翌日、7月4日の様子。
Sepe-H070704.JPG
完全に白い菌糸で覆われてしまった。

7月5日。
Sepe-H070705.JPG
黄色いのは胞子(分生子)の色。
かなり形成されている様だ。

7月6日。
Sepe-H070706.JPG
寄主は既に崩壊していた。


こちらは近くにあった別の個体。
既に全体が菌糸で覆われている。
Sepe-H070703B.JPG

黄色くなって来た。
Sepe-H070704B.JPG

かなり黄色に。
Sepe-H070705B.JPG

寄主が随分と萎びてしまった。
Sepe-H070706B.JPG

この様に、寄主のイグチ類を白い菌糸で覆い
橙黄色の分生子を形成するのが大きな特徴だ。
ただ、菌糸の覆い方や、分生子の形成具合には個体差がある様だ。


こちらは大きなベニイグチがまだらに菌糸に覆われている。
Sepe-N110909.JPG
2011年9月9日、名古屋市内。

こちらは菌糸がコブ状になっている。
寄主はクリイロイグチ?
Sepe-H050827.JPG
2005年8月27日。東大阪市内。

こちらは薄く均一に覆われている。
寄主(不明)の形がそのままなので
最初見た時は普通の白いキノコかと思ったw
Sepe-S070813-1.JPG
Sepe-S070813-2.JPG
良く見えないが、持った時の指紋の跡が付いてしまった。
2007年8月13日、岐阜県荘川村。

こちらは菌糸の影響で寄主が奇形となってしまっている。
寄主はベニイグチ?
Sepe-N110906.JPG
2011年9月6日、名古屋市内。

こちらはまるで力瘤を誇示している様だw
寄主はベニイグチ?
Sepe-N110805.JPG
2011年8月5日、名古屋市内。


こちらは菌糸がやや黄色くなり始めた状態。
以下、寄主は全て不明。
Sepe-N080708-1.JPG
2008年7月8日、名古屋市内。

こちらは更に黄色になって来ている。
Sepe-N080708-2.JPG
右の個体は一部は成熟しているが
一部はカビにやられ、黒くなっている。
2008年7月8日、名古屋市内。

こちらはコブ状菌糸がかなり黄色くなって来ている。
Sepe-N080905.JPG
2008年9月5日、名古屋市内。

こちらは完熟に近い個体。
Sepe-H070918-2.JPG
2007年9月18日、東大阪市内。

こちらは完熟近くの個体と、未熟個体が寄り添っている。Sepe-H070918-1.JPG
2007年9月18日、東大阪市内。

こちらは傘裏、ヒダの部分のみが完熟していて
まるで砂糖菓子の様に見えるw
Sepe-N100917.JPG
2010年9月17日、名古屋市内。

こちらは完熟した個体。
薄暗い森の中で実に良く目立っていた。
Sepe-R060830-1.jpgSepe-R060830-2.jpg
寄主の形が比較的良く残っている。
2006年8月30日、栗東市内。

こちらは寄主がやや萎びた感じ。
Sepe-H070702.JPG
2007年7月2日、東大阪市内。

こちらの完熟個体はかなり萎びていた。
Sepe-N110826-1.JPG
Sepe-N110826-2.JPG
2011年8月26日、名古屋市内。


こちらはかなり崩壊して、殆ど残骸の状態。
Sepe-zanN110930.JPG
2011年9月30日、名古屋市内。

そして最終的には跡形も無く消えてしまう。
Sepedonium-zan.JPG
2005年8月31日、東大阪市内。

この様に、いずれかの段階の物を
毎年必ず見掛けている。
それだけ発生が多い、と言う事だろう。


所で以前、当方はこの Sepedonium chrysospermum を
「Hypomyces(ヒポミケス)菌の一種=アワタケヤドリ」として
色々な人に説明していたが
それは完全な間違いでは無い物の、実は正確では無かった。
本来の「アワタケヤドリ」はこちらなのだ。
Hypomyces-3.JPG
Hypomyces-4.JPG
表だけから見ると、褐色系イグチの何かに見えるが
裏を見ると、全体が何かの菌に覆われているのが良く判る。
全体の質感としてはタケリタケ(→こちら)に似ている。
2011年9月6日、名古屋市内。

こちらは形がタケリタケっぽいw
Hypomyces-1.JPG
Hypomyces-2.JPG
2009年8月5日、名古屋市内。

こちらの学名は Hypomyces chrysospermus 。
見た目も全然違う Hypomyces chrysospermus と
Sepedonium chrysospermum は、
実はとても深い関係にある。
Hypomyces chrysospermus は有性世代、
つまり有性生殖で繁殖をするが、それの無性世代、
つまり無性生殖をすると
Sepedonium chrysospermum になるのだ。

菌類には、一つの種類でありながら
有性生殖と無性生殖と言う、
全く別の繁殖方法を持つ物が少なくない。
そして全く異なる外見を持つために当初は別種として認識され、
それぞれに別の学名が与えられているのだ。
因みに有性生殖を「有性世代」または「完全世代」、
無性生殖を「無性世代」「分生子世代」または「不完全世代」と言う。

Hypomyces chrysospermus が1920年に学術報告された時に
「アワタケヤドリ」と命名されているが、
それの分生子世代が Sepedonium chrysospermum である事が
報告されたのは1975年との事だ。
だから Sepedonium chrysospermum は
「アワタケヤドリの分生子世代」と呼ぶべきだろう。
だが何処かでそれを取り違えてしまった様だ。

webで検索すると当方以外にも
「アワタケヤドリ= Hypomyces菌」と書いている人が居るので
そう書かれている何かを参照してしまったのだろう。
当方と同じ物を見て間違えたのかもなあ。
今となっては、それが何なのかは判らないのだけど。
なので、「アワタケヤドリ=Hypomyces菌」と
当方から聞かされた方はその点修正をお願い致します。

  以下、学名表記だけだとややこしくなるので 
  Hypomyces chrysospermus を「完全型アワタケヤドリ」
  Sepedonium chrysospermum を「分生子型アワタケヤドリ」
  として表記します。
  尚、それは当方の勝手な造語ですので、
  学術的には使用するべき言葉ではありません。
  他所で使って叱られても当方は責任は持ちませんw
  尚、最初に報告された個体が
  たまたまアワタケに寄生した物だった為に
  「アワタケヤドリ」と命名された、と思われますが
  上述の様に、実際には様々なイグチ類に寄生します。


所で、「分生子型アワタケヤドリ」に比べると
「完全型アワタケヤドリ」の発生は圧倒的に少ない。
当方は完全世代の方は今までに画像の2例しか出逢っていない。
大雑把に言えば200〜300:1ぐらいの感覚だろうか。

確かに無性生殖=クローン繁殖の方が
有性生殖に比べて楽で簡単だろう。
遺伝的多様性を必要としないのならば
わざわざ有性生殖をしなくても良いだろう。
こんなにも「分生子型アワタケヤドリ」の発生が多い、と言う事は
分生子がそれだけ様々な環境への適応力が高く
より汎用性が高い、と言う事だろう。

となると、どんなキッカケで
有性生殖をし始めるのかが不思議だ。         
普段、楽な無性生殖をしていて
それで十分過ぎる程に繁殖出来ているのに
何故わざわざ有性生殖に
切り替えなければならないのだろう。

当方が出逢った「完全型アワタケヤドリ」は
見た限りでは「分生子型アワタケヤドリ」とは
発生環境がなんとなく違う気がする。
あくまでも雰囲気なのだが
「完全型アワタケヤドリ」の方が
やや乾燥した環境に発生していた様に思う。
ひょっとしたらその辺が
有性生殖になる切っ掛けの一つなのかも知れないなぁ。

「完全型アワタケヤドリ」が
そんなにも少ない、と言う事は
「完全型アワタケヤドリ」の発生条件がそれ程厳しい、
もしくはややこしいのかも知れないなぁ。
または、「分生子型アワタケヤドリ」の分生子を
余程の危機的状況に陥らせて
「ヤバイ!このままだと絶滅してしまうかも知れないから
 何とかして遺伝的多様性を持たなければ!」
と追い詰めないと有性生殖を始めようとしないのだろうかなぁ。

逆に、「完全型アワタケヤドリ」の胞子でも
飛散した先がアワタケヤドリ的に厳しい環境じゃないと
すぐにだらけて(?)「分生子型アワタケヤドリ」になってしまう、
と言う事なのかなぁ。
うーむ、良く判らないや。
まぁ何にせよ、たったの2例だけで
あれこれと推測や判断をするのは危険だけどね。


取り敢えず、これからも完全型にせよ分生子型にせよ
アワタケヤドリは探索と観察をして行く積もり。
また、イグチ類の寄生菌には他の種類もあるし
イグチ類以外に寄生する種類もあるので
可能な限り見付けてみたい物だ。



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| 子嚢菌類 | 00:05 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
縦か横か
gorosukeさんによりますと愛知県内には
オオミノコフキタケとコフキサルノコシカケが混在しており、
御神木の個体はコフキの可能性がある、との事です。
確かに『北陸のきのこ図鑑』の記載文

【コフキサルノコシカケ】
 馬蹄形〜腎臓形で年を経るほど鈍縁
 灰褐色〜暗褐色の濃淡、環溝で環紋を顕著に表わす
 (環紋が明瞭で細かい)

【オオミノコフキタケ】
 半円形〜腎臓形でやや鈍縁
 淡灰褐色〜灰褐色〜暗褐色の乱れた環紋と環溝を示す
 (前者より白っぽく、縁部が薄く環紋が乱れている場合が多い)
 
で見ると、御神木の個体は
コフキサルノコシカケの方が良く当て嵌まっている様です。
「年を経るほど鈍縁」の意味が良く判らなかったのですが
年を経るほど厚みを増す、と言う事だったみたいですね。

今更本文の全面改訂はしませんが、以上の事をお含みの上
お読み下さいます様、お願い申し上げます。

gorosukeさん、ご教示有難う御座居ました。

                  (2012年2月7日追記)



こちらはオオミノコフキタケ。
kofuki-N-080723-1.JPG
以前は「コフキサルノコシカケ」と思われていたが
研究の結果、それとは別種で
新たに「オオミノコフキタケ」と名付けられた、と言う件は
以前も書いた事がある(→こちら)。
上画像のオオミノコフキタケはその記事中でも登場した物。
近所の神社の御神木に生えている。
2008年7月23日に撮影。

サルノコシカケの仲間は多年生の物が多い。
このオオミノコフキタケも支障が無ければ
この先何十年も成長し続けるだろう。
なので、それ以来、経過観察を続けている。
その画像が結構溜まったので以下に並べてみる。
既出の画像もあるが、その点は御容赦を。

こちらは2008年7月23日。
kofuki-N-080723-2.JPG
ここから始まり。

8月25日。
kofuki-N-080825.JPG
一番下の部分が微妙に膨らんでいる様に見える。

2009年6月19日。
kofuki-N-090619.JPG
明らかに段が増えている。

2010年5月8日。
kofuki-N-100508.JPG
更に段が増えている。

2010年9月17日。
kofuki-N-100917.JPG
かなり段が増えている。

2010年10月4日。
kofuki-N-101004.JPG
微妙に段が増えている。

2010年10月29日。
kofuki-N-101029.JPG
最下部が少し厚みが増している様だ。

2011年3月2日。
kofuki-N-110302.JPG
変化は無い様子。

2011年7月4日。
kofuki-N-110704.JPG
段が増えている。

2011年7月22日。
kofuki-N-110722.JPG
更に段が増えている。

2012年1月23日。
kofuki-N-120123.JPG
最下部が微妙に膨らんでいる。


不定期の撮影なので、正確な成長具合は判らないのだが
縦方向に成長し、どんどん厚みを増していっているのが良く判る。
こうして通して見てみると、ある程度の傾向が読み取れる。

この個体は6月から8月頃までの間、胞子を飛散させている。
それに合わせて、と言うか、それに備えて厚みを増している様だ。
そして秋から翌年の6月頃迄は
多少の成長をしつつ、エネルギーを蓄えているのだろう。

傘の裏の管孔部分は胞子を形成する器官(子実層)だ。
恐らくその部分を毎年更新し
新鮮な器官で健康な胞子を形成しているのだろう。
前年の子実層は性質が変化し
新鮮な子実層の土台となっているのだろう。

だが、どうせ同じエネルギーを使うのなら
横方向に成長し、子実層の面積を広げて
胞子をより多く形成・飛散出来る様にした方が
得策だと思うのだがなぁ。
それよりも子実層を毎年更新する方を選んでいる訳なのだなぁ。
と言う事は、胞子を形成する器官(担子器)が
元々毎年更新を前提に作られているのだろうなぁ。

だが、このまま成長を続け、厚みを増大し続けて行って
管孔面が地面に付く様になったらどうするのだろう。
その時は仕方無く横に広がるのかなぁ。
それが何十年先になるのか判らないけど
取り敢えず、今後も観察は続ける予定。


こちらは少し離れた、別の神社の境内の切り株に発生していた個体。
2008年10月7日撮影。
kofuki-N2-081007.JPG

2008年12月2日。
kofuki-N2-081202.JPG
殆ど変化は無い。

2009年4月22日。
kofuki-N2-090422.JPG
こちらも特に変化は感じられない。

2009年6月23日。
kofuki-N2-090623.JPG
下側が少し膨らんでいる様に見える。

2009年8月10日。
kofuki-N2-090810.JPG
折り取られて転がっていた。
恐らく近所のガキにでも蹴られたのだろう。
成長の変化があまり感じられないまま終わってしまったのが残念だ。

折り取られた部分には白い幼菌が見えている。
今後はこの幼菌の成長を観察しよう、と思ったら
暫く後にこの切り株自体が撤去され
境内全体が砂利敷きに整備されてしまった。残念。
他人の土地での長期に及ぶ経過観察とは難しい物だよなぁ……


こちらも以前に紹介したオオミノコフキタケ(→こちら)。
以前住んでいた東大阪市の
とある学校のフェンス際に生えていた。
2005年4月25日撮影。
kofuki-H-050425-1.JPG
その時にも比較したのだが、再度掲載。

こちらは2005年4月25日。
kofuki-H-050425-2.JPG

こちらは2008年2月14日。
kofuki-H-080214.JPG
3年間で一回り大きくなっているだけだ。
この個体は横の成長を基本にしているタイプの様だ。
良く見ると厚みも増している様に見えるが
先の御神木の個体程の成長では無い。
横に成長するタイプは、縦に成長するタイプに比べて
成長のスピードがかなりゆっくりなのかもなぁ。

そうなると、縦に成長するタイプと、横に成長するタイプとで
本当にDNA的に同じオオミノコフキタケなのかが疑わしくなる。
以前は「コフキサルノコシカケ」として一纏めにされていた物が
コフキサルノコシカケとオオミノコフキタケに分けられた様に
この2タイプも将来的には別種に分けられるのかも知れないなぁ。

因みに、この個体も矢張り毎年梅雨〜夏に掛けて
この様に胞子を飛散させていた。

つまり、毎年更新では無く
何年も同じ子実層で胞子を形成していた事になる。
となると、毎年更新の縦成長タイプの個体とは
細胞の成り立ちが根本的に違うのだろうなぁ。
矢張りDNA的に同じ物とは思えないよなぁ。

この後、名古屋に転居してしまったので
このオオミノコフキタケの事は気になっていた。
で、最近、東大阪に行く機会があったので4年振りに様子を見てみた。
すると……

こんな状態になっていた。
kofuki-H-120112-1.JPG

kofuki-H-120112-2.JPG
立ち枯れの木は撤去され、
オオミノコフキタケも金網に食い込んでいる一部を残すだけとなっていた。
うーむ、残念……

別にフェンスを改築した訳でも無いのだから
そのまま成長させてやれば良いのになぁ。
気持ち悪いだとか、何か苦情でもあったのかなぁ。
勿体無いし、可哀相だよなぁ……
特に何かの邪魔になっていた訳でも無かったのにこれだ。
事程左様に、他人の土地での経過観察は難しい……


最初の縦方向タイプの個体は御神木に生えている。
なので、ガキに蹴り折られる事も無いし
神社の人も無碍な事はしないだろう。
とにかく今後の成長を気長に見続けて行きたいと思う。


ただ、社務所からの死角の位置にある御神木のそばで
うずくまって何か(撮影だけどw)をしている怪しい風体の男、として
何回も注意されてしまっているので(その都度説明はしているけど)
立ち入り禁止になって観察不能になったりして……(;´Д`)

とにかく長期の経過観察は色々と難しい物だよなぁ……


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| 多孔菌科 | 00:28 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
赤団子を求めて その3

今年を振り返るに……

6月になり、名古屋も梅雨に入った。
すると、名古屋市東部の古本まゆさん(→こちら)から
某所(以下「A公園」と表記)にて
赤団子病発生の知らせを頂いた。
当方が名古屋に転居して以来初めてだ。
とすると5年振り位の発生なのだろうか。
遂に!やっと!名古屋でも赤団子が発生してくれた。
これは是非見に行かなくては。
早速現地へ向かう算段をする。

と、その前に。
兼ねてから目を付けていた
別の某所(以下「B公園」と表記)へ向かう。
昨年、Discomaniaさんから発生を教えて頂き
京都まで現場を見に行って以来、
名古屋市内にもそれらしい場所は無いか、と
似た感じの環境を探し、
とある場所に見当を付けていたのだ。


そのB公園に到着。
早速藪に分け入り、あちこちを探してみる。
すると、あった。
mk-0607-1.JPG
mk-0607-2.JPG
思った通り、此処は発生しやすい環境だったのだ。
狙い通りに見付かったので
嬉しくなってしまった。
やはり現場を知る、と言うのは
何よりも重要な事なのだなぁ。

この場所の個体は
昨年京都で見た物より全体的に小さい感じ。
mk-0607-4.JPG
mk-0607-5.JPG
mk-0607-7.JPG
これは環境の違いによるのか
寄主の竹、もしくは
赤団子菌の系統の違いによる物なのかは不明。

あまり固まって発生はしていないが
敷地内を探すと全体としては結構な量になる様だ。
mk-0614-1.JPG
mk-0614-2.JPG
100個体以上は優にあるのではと。
って、全くのあてずっぽうだけどw


とある個体を見ると、
脇からなにやら透明な液体が出ている。
そして、それにアリがたかっている。
mk-0607-3.JPG
mk-0607-3@.JPG
そう言えば「赤団子は甘露を分泌する」と
書いてある資料もあったっけなぁ。
すると、これがその甘露なのだろうか。
早速、枝先にすくってその液体を舐めてみた。 

あ、甘い!滅茶苦茶甘い!
白蜜その物の味。
正にこれは甘露だ!
『本草綱目』等にあった「味は蜜に勝り」と言うのは
これの事を言っているのだったのか。
中国の事だから「白髪三千丈」的に
大袈裟に記述されているかと疑っていたのだが
間違いでは無かった様だ。
昨年の記事(→こちら)で
「わざわざ採取する程の物では無い」と書いたが
これだけ甘いのであれば
わざわざ採取する必然性は十分にある。
赤団子を食べた時、最初に一瞬感じるほのかな甘みは
これが元になっていたのだなぁ。


それにしても、
何故赤団子病は甘露を分泌するのだろう。
植物の例で言えば
蜜で虫を引き寄せる事によって
花粉の散布を担わせたり、
又は、アリに餌を提供する事によって
他の害虫から植物本体を守って貰う、等の例がある。

しかし、この個体は比較的発生初期の様で
まだ胞子を散布していないと思われるので
胞子の飛散を手伝っている訳では無さそうだ。
また、赤団子を食害する昆虫を
この蜜を供給する事によって
防いで貰っている訳でもなさそうだ。

そもそも、当方は昨年今年と
数多くの赤団子病の個体を見て来たのだが
その中で甘露を分泌していたのは
この個体だけだ。
甘露の分泌によって蟻に重要な任務を負わせるには
あまりにも例が少な過ぎる。

元々赤団子病の情報自体が多くない中、
webで検索しても甘露の情報は全くhitしない。
赤団子病の中でも甘露の分泌自体が
実際にはあまり多くない現象なのかも知れない。
そうなると、ますます甘露の分泌理由が判らないなぁ。

甘露を分泌する事に
赤団子側のメリットがあまり思い当たらない、
と言う点から想像するに
赤団子が成長するに当たって
竹の樹液を吸収、分解して行く際に
排出される物がたまたま甘露になってしまう、
と言う事なのだろうかなぁ。
積極的に生成する物では無いからこそ
分泌する個体も量も少ないのかも知れない。
当方が遭遇した例では
赤団子本体からでは無く
周縁部から発生していた、と言うのも
その場所が、竹の稈内での赤団子の菌糸の
最前線基地に近いからだ、と考える事も出来る。
竹の樹液の状態や流通量、
そして赤団子菌の伸張度合いや旺盛さの兼ね合いで
甘露が分泌されるかどうかが決まるのかもなぁ。
だから甘露の分泌例が多くないのかも知れないなぁ。
わざわざ記事にしているくらいだから
ひょっとしたら中国の赤団子は
甘露の分泌が多い系統なのかも知れない。
勿論、DNA的に同一種なのかどうかも問題だけど。
ま、たった一例の観察から推論するのは
乱暴な話だけどね。


他には、橙色の物体を纏っている個体も結構見掛けた。
mk-0607-6.JPG
mk-0607-8.JPG
mk-0705.JPG
これは分生子塊との事。
他のキノコでも、未熟な時代には無性生殖の分生子を放出し
完熟したら有性生殖の胞子を放出する、と言うのは少なくないので
赤団子病もそのタイプなのだろう。
とは言え、分生子塊を噴出していない個体の方が遥かに多い。
その個体差に何か意味があるのだろかなぁ……



その後、古本まゆさんに教えて頂いたA公園へ移動。
少し探して発見。
it-0607-1.JPGit-0607-4.JPG
it-0607-5.JPG
it-0607-6.JPG
A公園、と言う大まかな場所しか聞いておらず
広大な敷地の中から
ピンポイントで探し出せるか不安だったが
ヤマ感が当たったとは言え
ちゃんと見付けられた自分を誉めてあげたいw


A公園では範囲は広くないが、割と密集していた。
it-0614-2.JPG

また、A公園には大きな個体が幾つもあった。
it-0614-1.JPG

個体が大きいと分生子塊の放出具合も派手な様だ。
it-0607-7.JPG
全体的にA公園の個体はB公園のに比べるとかなり大きい。
それが先の様に環境の違いに因るものか
寄主の竹、又は赤団子菌の系統の違いに因る物かは判らない。
これだけ大きかったら、さぞ食べでがあるだろうなぁ
勿論食べないけどw


所で、この大きな個体を良く見たのだが
甘露は分泌していない様だった。
周辺の他の個体も同様だった。
甘露の分泌は子実体本体の旺盛さとは関係が無いのだろうかなぁ。
益々持って不思議だ。
 

その後、A公園敷地内の北部でも別の発生場所を発見。
it-0627-1.JPG
今年の名古屋東部は
赤団子病の当たり年だったのかも知れないなぁ。
となると、他の地域では
どうだったのかが気になる所だ。



A公園の1週間後の様子。
大きな個体は成長も早く、既に色が黒っぽくなって来た。
また、個体の表面全体が分生子塊に覆われる様になった。
it-0621-1.JPG
it-0621-2.JPG
有性生殖と同時に無性生殖もしている訳なのだろうか。
何だか良く判らないなぁ……

更に2週間後。
組織は既に死んでいる模様。
it-0627-2.JPG

更に1週間後。
完全に死んでいる様で、全体に黒くなっていた。
it-0705-1.JPG
it-0705-2.JPG
他の小さな個体はまだまだ元気だったが
大きな個体は成長速度が桁違いだった。

こちらは上の個体が雨を受けてふやけた物。
it-0721.JPG
ふやけると幾分か赤みを取り戻す様だ。
とは言え、もう胞子を放出する事は無いだろう。

その後A公園は夏草が旺盛になり
赤団子の発生地帯が完全に覆われてしまった。
なのでA公園での経過観察は約1ヶ月あまりで断念……


こちらはB公園。
最初に観察してから約一ヵ月半後。
此処でも個体の組織は既に死んでいた。
mk-0721.JPG
mk-0805.JPG
mk-1028-2.JPG
小さな個体でも、その寿命は凡そ一ヶ月程度の様だ。

こちらはとある個体の4ヵ月後の様子。
mk-1014-2.JPG
あまり様子は変わっていない。
組織が死滅すると、そのままかなり長く残存する様だ。


最終的にどうなるのか、
剥落、脱落するとしたらどのタイミングでか、を観察する為に
6月の発生当初からずーっ撮影し続けていた個体があったのだが
草刈に遭って、その枝が切り払われてしまった。
残念……

なので、試しにまだ残っていたとある個体を剥がしてみる事にした。
mk-1014-3.JPG

赤団子病自体が堅いので手応えはあったが
比較的簡単に剥がれた。
mk-1014-4.JPG

貼り付いていた部分を見ると、殆ど痕跡も残っていない。
mk-1014-5.JPG
見た感じでは赤団子病の菌糸は
他の寄生病に比べると稈自体を殆ど損傷していない様だ。
また、結構簡単に剥がれた事からすると
稈と赤団子の結合はあまり強くない様だ。
発生頻度も高くない事からしても
赤団子病は病原性と言う点ではあまり強くない様だ。


最後はこんな感じになるのだなぁ。
どの資料にもこんな事は載っていなかった物なぁ。
経過観察が出来たのも
地元で発生してくれたからこそだ。
有難い事だなぁ……


2009年は香港で赤団子の実物を入手出来た。
2010年は京都で赤団子の発生状況を見る事が出来た。
そして2011年は名古屋市内で
赤団子病の経過観察をする事が出来た。
甘露を味わう事も出来た。
段々に赤団子病の真実(?)に
迫って来れているのが嬉しい。

さて、来年も赤団子は発生してくれるのか、
また甘露を分泌してくれるのか。
そして来年は赤団子病及び
赤団子病を取り巻く諸相に何処まで迫れるのか。
今後が楽しみで仕方無い。


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