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赤富士

こちらはニクウスバタケ。

2019nkusbtk (4).JPG

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広葉樹の枯れ木に発生するキノコだ。

多くの場合、画像の様に多数が重なる様に発生して居る。

 

漢字で書くと「肉薄葉茸」。

2019nkusbtk (25).JPG

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傘の裏はヒダでも管孔でも無く、薄葉状の突起が密に並んでいる。

なので「肉色の薄葉茸」との事。

 

「肉色の」と言いながら、褪色しやすい種類の様で

フィールドではとても肉色には見えない個体群を

見掛ける事も少なくない。

2019nkusbtk (6).JPG

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とても肉色には見えないよなぁ。

 

そして、基物である材上に背着的に広がっている事も多い。

2019nkusbtk (3).JPG

同じニクウスバタケでありながら色と形の個体差がとても大きい。

それが発生環境による物なのか系統差なのか、

実はDNA的には別種なのかは勿論当方には判らない。

 

実際の話、これ↓と

2019nkusbtk (1).JPG

2019nkusbtk (5).JPG

これ↑が同じキノコだとはパッと見は信じられないよなぁ。

もっとも、当方は図鑑との絵合わせで同定しているだけなので

「これは絶対同じニクウスバタケだ!」と断言は出来無いのだけど。

 

背着的な広がりが垂直方向の時には上掲画像の様な形状になるが

水平方向に広がった時にはまた別の形状になる事が多い。

こちらはまるでバラの花の様な形になっている。

2019nkusbtk (10).JPG

因みに右側に見えるのはカワラタケ。

この枯れた切り株の中で勢力争いを繰り広げている模様。

 

 

こちらは傘状にならずに、ただただ平らに広がっている状態。

2019nkusbtk (11).JPG

 

2019nkusbtk (12).JPG

上を向いた不完全な薄葉状の突起が全面的に形成されている。

この不完全な薄葉はこれからちゃんとした薄葉になるのだろうか。

ちゃんとした薄葉になったとして、上下逆になるのだが

それでも胞子飛散は可能なのだろうかなぁ。

謎だ。

 

こちらは同じ場所で10か月後に発生して居た物。

2019nkusbtk (14).JPG

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少し立体的になっている。

これなら薄葉がちゃんと形成されそうに見える。

こうやって成長するからには胞子の飛散が可能なのだろうなぁ。

 

こちらはその2年後の様子。

2019nkusbtk (21).JPG

2019nkusbtk (20).JPG

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かなり立体的な広がり方をする様になっていた。

傘の形成としては不完全だが、

こちらの方が胞子の飛散と言う点では

最初の物と比べるとかなり改善されている様に思える。

この3年程で、このニクウスバタケは此処の切り株の平面上で

どの様に成長すれば胞子を飛散しやすくなれるかを勉強した、

と言う事なのだろうかなぁ。

 

 

さてこのニクウスバタケ。

材上の広い範囲に大量に発生する事が少なくない。

こちらはそんな実例。

一本の立ち枯れの木全体をニクウスバタケが覆っていた。

2019nkusbtk (30).JPG

2019nkusbtk (31).JPG

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とてもじゃないが一枚の画像には収まり切れなかった。

 

こちらもその一例。

大きな切り株全体を大量のニクウスバタケが覆っていた。

2019nkusbtk (27).JPG

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ちょうど雨上がりだったので肉色がとても鮮やか。

まるで赤富士みたいに綺麗だった。

 

実はこの切り株は以前からニクウスバタケが発生していた。

こちらは赤富士状態の一年前の様子。

2019nkusbtk (23).JPG

全体的に薄く広くにニクウスバタケが分布している感じ。

 

こちらは赤富士状態の一年後の様子。

2019nkusbtk (28).JPG

赤富士以前の状態と比べると

ニクウスバタケの密度が低くなっている様に見える。

 

この切り株には何年も前からニクウスバタケが発生して居たのだろう。

そして切り株の中で年々勢力を広げていたと思われる。

あの年は余程ニクウスバタケ的に条件が良かったのだろう。

切り株の中をニクウスバタケの菌糸で充満させた時に

タイミング良く大雨が降ったので傘を爆発的に大発生させ

その結果「赤富士」になったのだろうなぁ。

 

あれだけ大発生した、と言う事は

この切り株でのニクウスバタケが吸収できる養分は

もう取り尽してしまったのかも知れない。

一年後の状態はそれを伺わせる。

だとしたら今後はどんなに雨が降っても

もう赤富士は見れない可能性が高い。

当方は運が良かったのかも知れないなぁ。

正に僥倖。
 

 

所でニクウスバタケについては

以前にも記事を書いた事がある(→こちら)。

その時にも書いたが、カワラタケの発生している枯れ木に

クワガタムシの幼虫が生息している、と言うのだが

中でもニクウスバタケの発生して居る枯れ木には

オオクワガタが生息している可能性が高いのだと言う。

その為「赤いカワラタケを探せ」と言うのが

オオクワマニアの間での秘伝、との事。

ニクウスバタケとカワラタケは別物だが

重なり合う様に多数の傘を発生させている、と言う点で

両者は良く似ている。

 

「赤いカワラタケ」と言う意味では

ヒイロタケの方が分類的には近いのだが

当方の知る限りカワラタケやニクウスバタケに比べると

傘の発生させ具合ではヒイロタケは密度が低い(→こちら)。

外見的にはニクウスバタケの方が

よりカワラタケに近く感じるだろう。

オオクワマニアにしたらニクウスバタケの分類的位置など関係無い。

見た目で判り易ければ「赤いカワラタケ」で十分なのだ。

 

で、その為なのか、カワラタケなどが発生して居る枯れ木が

派手に粉砕されている場面に遭遇する事がたまにある。

名古屋の里山にオオクワが居るとは思えないのだが

それでもクワガタの仲間が居る事を期待して

材を破壊して探しているのだろう。

 

この赤富士の切り株がクワガタマニアに

破壊されない事を切に願うなぁ。

出来る事なら、また鮮やかな赤富士を見てみたいものだ。

 

 

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| 多孔菌科 | 00:05 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
毒あり 毒無し その4

2018年9月のある日。

二日続いた雨が上がったので何時もの場所へ。

何かキノコが生えていないかなぁ。

 

するとシロテングタケが大発生して居た。

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そのフィールドのあちこちに大きな白い傘が開いていた。

 

これから傘を開く物も其処此処に。

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坊主頭が並んでいるみたいで可愛い♪

 

傘の開いた物はツバが特徴的。

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おどろおどろしいなぁ。

 

そして場所によっては列をなして発生していた。

1812srtngtk (8).JPG

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多分、大きな菌輪の一部なのだろう。

 

このフィールドは元々シロテングタケの発生坪ではあったのだが

2018年は余程条件が合ったのだろうなぁ。

これだけ纏まって一斉に発生している様子は実に壮観。

思わず興奮してしまったよw

 

 

 

さて、何度も書いている事なのだが

シロテングタケは図鑑的には

致死例のある猛毒キノコなのだが

北東北の一部では「シラフタケ」の名で

マツタケの代用品として珍重されている、との事。

 

シロテングタケとマツタケは分類学的に近い訳では無い。

なのに本当に香りがそんなに似ているのだろうか???

それを確かめるべく、シロテングタケとマツタケの

香りの比較実験をこの数年行っている。

 

昨年は安価な中国産マツタケの中でも

更に安価な物を使用した為に失敗の結果となってしまった。

矢張りちゃんと比較する為には国産マツタケを

使わないとならないかなぁ。

 

だが、国産マツタケはとにかく高価だ。

都心の高級店だと下手したら

万単位だもんなぁ (∩;゚皿゚)ヒイィィィッッッ!

 

そんなのをニオイを嗅ぐ実験の為だけに

とてもじゃないけど買えないよ・・・・・・

まぁ、そんな超高級品は別世界の話だね。

 

 

所で、今年はマツタケが大豊作だった、とかで

当方の住んでいる名古屋東部の場末のスーパーにも

国産マツタケが並ぶ日もあった。

以前はそんな事無かったと思うから、

こんな場末のスーパに流れて来る程に

それだけ豊作だった、と言う事なのだろうなぁ。

 

とは言え税抜き3980円。

矢張りちょっと手が出ないなぁ・・・・・・

1812mttk (3).JPG

それに、食べたい訳じゃ無いからスダチはいらないし。

 

別の店では税抜き3800円。

スダチが別売りの分、ちょっと安いw

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隣には中国産マツタケが税抜き1980円。

うーむ・・・・・・

 

 

更に別の店でも矢張り1980円の中国産マツタケが。

1812mttk (4).JPG

この店は上掲の2店舗に比べると

品質の高さを売りにしている系列。

同じ中国産でも信用出来るかもなぁ。

マツタケ香料を振り掛けてゴマ化した物だったりしたら

オシャレな品揃えをしている、と言う

その会社のイメージを破壊しかねないしね。

 

 

なので思い切って買ってみた!

1812mttk (6).JPG

買ってしまったよ!!

 

同じ中国産でも去年買った物とは全然違うなぁ。

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こちらは前回買ったショボい中国産マツタケ。

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やっぱり見た目からして全然違うw

 

 

で、早速水煮に。

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塩をまぶして瓶詰に。

1812mttk (11).JPG

 

以前作ったシロテングタケの塩蔵品と匂いを比べてみる。

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うん、やっぱり似ている。

シロテングタケはマツタケの代用品に十分なり得ると思う。

マツタケの採れない地域に

食べられるシロテングタケが発生して居たら

マツタケの代用品にするのはごく自然な発想だろう。

これは納得。

いや、食べないけどね。

 

 

だが、それは当方の個人的な感想だ。

以前も書いたが、当方はマツタケにあまり思い入れは無い。

マツタケに対する姿勢に関しては

世間とはかなりズレていると思われる。

そんな当方が「マツタケに似ている」と言っても

今一つ説得力に欠けるだろう。

 

となると、マツタケに対して

世間的な姿勢を持っている人に

シロテングタケの匂いを嗅いで貰わないと

検証としては不十分と言える。

 

そこで、信州出身の友人にシロテングタケを送ろう、と連絡をした所

 

「毒キノコなんか送って来るなっっ!」

 

と思い切り拒絶されてしまったw

 

 

比較実験は不十分なまま。

うーん、「シラフタケの検証」の道はまだ遠いなぁ・・・・・・

 

 

 

 

※シロテングタケ関連の記事のアーカイブ→こちら
 
 

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| - | 18:17 | comments(3) | trackbacks(0) | pookmark |

こちらはヤグラタケ。

2016年、岐阜県飛騨地方にて遭遇。

黒い部分は古くなって朽ちた状態のクロハツ。

左側に見える白いポツポツがヤグラタケの幼菌。

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ヤグラタケはクロハツの老菌の上に発生する、と言う

ちょっと変わった生態を持つ。

 

その場所にはヤグラタケを発生させたクロハツの老菌が

幾つも並んでいた。

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こちらはひっくり返った状態のクロハツだった為

ヒダの部分から発生して居たヤグラタケ。

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こんな発生の仕方もあるのだなぁ。

 

ヤグラタケは人為的には様々なキノコから発生させる事が出来るが

自然下ではクロハツからしか発生しないのだとか。

その理由は不明の由。

不思議だなぁ。

 

クロハツと思われるキノコは

当方の徘徊する名古屋東部や飛騨地方では良く発生して居る。

そしてヤグラタケは図鑑的には特に珍しいキノコでは無い、との事。

だが、当方は中々ヤグラタケに遭遇出来無かった。

 

デジカメを持っていなかった20数年前に

一度だけ飛騨地方で遭遇したのだが

それ以来さっぱりだった。

それが2016年に遭遇出来た次第。

 

やっとの遭遇だったのでとても嬉しかったのだが

暗い森の中で、真黒な土台の上に生えている

真っ白な小さなキノコだった為、撮影が中々上手く出来無かった。

当方の撮影技術では上掲画像が精一杯・・・・・・

なので、ちゃんとした外見はこちらにて(→Google画像検索)。

 

 

先にも書いたが、クロハツと思われるキノコは

名古屋東部にも発生して居る。

ヤグラタケが名古屋でも発生して居る、と言う報告も

we上では散見していたのだが当方は遭遇した事は無かった。

 

それが今年(2018年)8月にやっと遭遇出来た。

ygrtk (2).JPG

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飛騨での画像は発生したて真っ白な幼菌だったが

こちらは胞子が形成され始めた様で傘が褐色になっている。

 

ヤグラタケは胞子を成熟させる際に

普通のキノコの様にヒダで形成するのでは無く、

キノコ全体が胞子に変化する、と言う

もう一つの不思議な生態を持つ(→その状態)。

このヤグラタケも数日後にはそうなるのだろうなぁ。

 

キノコ全体が胞子になるのに

ヤグラタケにはちゃんとヒダがある。

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ygrtk (3).JPG

なのに、ヒダも傘も関係無く、全体が胞子になってしまうのだ。

それも不思議だよなぁ。

わざわざ傘やヒダを形成するのになぁ。

ひょっとしたら、ヒダの無い形に進化している途中なのかもなぁ。

 

 

最初の方に書いたが、飛騨地方では20数年振りの

ヤグラタケとの遭遇だったので

折角ならこれは標本にしたいと思った。

 

なので持ち帰って冷凍庫に入れ、凍結乾燥標本の処理をした。

タッパの中に粉状のシリカゲルと共に収め

冷凍庫内で時間を掛けて水分を取り除き乾燥させるのだが

時々シリカゲルを入れ替えなければならない。

何分、土台は朽ちた状態のクロハツ。

とても脆いのだ。

入れ替え作業で動かす度に崩れてしまい、

完成した時にはこの状態に。

小さな破片は廃棄して、残ったのがコレ。

折角の土台のクロハツが何だか良く判らない状態に。

 

この残った部分はヤグラタケの菌糸によって

脆くなくなったクロハツの組織の部分、と言う事なのだろうなぁ。

次回、遭遇・収穫出来た時には

もうちょっと気を付けて標本にしたいなぁ。

 

 

 

所でこのヤグラタケ。

漢字で書くと「櫓茸」となる。

では「櫓」って何?

 

多くの場合、「櫓」は「火の見櫓」「太鼓櫓」等の

塔の様に背の高い構造物を指すのだが

ヤグラタケはキノコとして特に細長かったり

柄が長い訳では無い。

なのに何故「櫓茸」なのだろう。

 

思うに、ヤグラタケの「櫓」は「塔の櫓」では無く

「城郭の櫓」を意味しているのではないだろうか。

城郭の櫓は塔のような形では無い。

しっかりとした石垣や土塁の上に築かれた構造物だ。

そして天守閣などと比較すると小さな建物だ。

多くの場合、城郭全体を構成する広大な石垣の土台の上に

ちょこんと乗っている、と表現出来る状態だ。

               週末おでかけMAPさんのサイト「龍野城【霞城】隅櫓」より引用

 

     日本の城さんのサイト 城の見方ガイド(10) 櫓の分類と名前の付け方とは?より引用

 

大きなクロハツの土台の上に発生した

小さなキノコのその様子を城郭の櫓に見立てたのだ、とすれば

「ヤグラタケ」と言う命名も

しっくり来るのと思うのだがどうだろうか。

ヤグラタケの白さも城壁っぽいし

土台の石垣も黒々としてるしなぁ。

うん、確かにそれっぽい。

 

 

と、それはともかく。

今後もヤグラタケは探索するつもり。

明るい場所で撮影した筈の名古屋での個体も

今イチ綺麗に撮影出来無かったしなぁ。

標本もそうだけど、画像も綺麗な物が欲しいなぁ。

 

来年は遭遇出来るかなぁ。

まさかまた20数年後???(;´Д`)

 


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| キシメジ科 | 19:14 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
反省と言い訳

当blogでは当方が採取したり
遭遇したキノコを題材に記事を書いているが
今回はまだ遭遇も採取もしていないキノコの事を

取り上げるのをご容赦願いたい。

 


さて前回、地下生菌に寄生するキノコの事を書いた。
それを当方は「ハナヤスリタケ」と同定し、
「何故ハナヤスリタケと言うのか」から
命名に対してイチャモンを付ける

展開の記事にした(→こちら)。

所が、コメントで「これはハナヤスリタケではなく
タンポタケモドキではないのか?」とご指摘を頂き
当方の同定が間違いである事が判った。


今更の言い訳だが、実を言うと当方もこのキノコが
ハナヤスリタケなのかタンポタケモドキなのかには
かなり迷った。
自分なりに検討し、ハナヤスリタケだとしたのだが
それが間違いだった、と言う訳だ。

 

だが記事内容は、そのキノコが
「ハナヤスリタケ」である事が前提だったため
全面的に書き換える事が不可能で
かと言って記事を削除するのもアレだったので

記事冒頭に「これはハナヤスリタケではなく
タンポタケモドキだ」との一文を加え
その上でこの記事を読んで欲しい、と
但し書きをしなければならない羽目となった。

 

これは実に恥ずかしい。
普段、偉そうに記事を書き
誰かに「このキノコが何か教えて欲しい」と言われたら
「このキノコを見分けるポイントは云々」と
偉そうに言っていたのに、この体たらく。
全く持って恥ずかしい事この上ない。
そこで、何故間違えてしまったのかを検証し
当blogを読んで下さっている皆様にも
当方と同じ間違いをしない様に注意をしていただければ、と
反省と自戒を込めて以下書いていく次第。

書いている内に思いの外長くなってしまったのはお許しの程。

 


前回、当方が間違ってしまったキノコはこちら。

hnysrtk180930 (1).JPG

hnysrtk180930 (11).JPG

これを当方はハナヤスリタケだと思ってしまった。

 

で、典型的なハナヤスリタケがこちら。

                 迷写真館ねいちゃーさんのサイトから引用
柄が細く、こまかくなって繋がっている。

 

 

そして典型的なタンポタケモドキがこちら。

                    遊々きのこさんのサイトから引用

寄主のツチダンゴからいきなり生えている。

 

こうやって見ると当方が掘り出したキノコは
タンポタケモドキとしてはかなり異例の発生の仕方だ。
なので混乱し、間違ってしまったのだ。


そもそもがハナヤスリタケの掲載されている図鑑は

はっきり言って多くない。
そして、タンポタケモドキの掲載されている図鑑は
更に少ない。
それはweb上でも同様で、とにかく情報が少ない。
その少ない情報の中でも
掘り出した状態を撮影していない画像も多い。
つまり地上部分だけの画像が多いのだ。
その少ない情報を元に同定しようとした場合
発生の仕方が典型的でないと
どうしても判断が難しくなってしまう。

 

以下、図鑑から引用。

 

まずはハナヤスリタケ。

こちらは『カラー版 冬虫夏草図鑑』家の光協会刊より。

hnysrtk-01.jpg

「地際から地中の柄は細分岐。

 この部分が朱色を帯びるのがいちじるしい特徴である」とある。

 

こちらは『山渓カラ―名鑑 日本のきのこ』山と渓谷社刊より。

地中部への言及は無し。

 

こちらは『京都のキノコ図鑑』京都新聞社刊より。

hnysrtk-02.jpg

「地中は柄が黄色で著しく細かく枝分かれの根状柄となり(略)」

とあるが、掘り出した画像は無し。

 

こちらは『原色日本菌類図鑑』保育社刊より。

hnysrtk-03.jpg

「基部は根に分かれて寄生体と連なる」とあるが

画像ではそう見えない。

 

こちらは『山渓fieldbooksきのこ』山と渓谷社刊より。

hnysrtk-04.jpg

「地下部は細根状で橙黄色」とある。

 

こちらは『青森県のきのこ』東奥日報社刊より。

hnysrtk-05.jpg

「基部は急に細まり、橙黄褐色で分岐し、

 地中のツチダンゴと連なっている」との文章のみ。

 

 

こちらは『続 北海道のキノコ』北海道新聞社刊より。

hnysrtk-07.jpg

地中部への言及は無し。

 

以下2件は『冬虫夏草生態図鑑』誠文堂新光社刊より。

hnysrtk-08.jpg

hnysrtk-09.jpg

「地中部は細根状に分岐し、黄褐色から朱色」とある。

 

 

そしてタンポタケモドキ。

こちらは『カラー版 冬虫夏草図鑑』家の光協会刊より。

tnptkmdk-01.jpg

「基部は白色。直根状に寄主とつらなる。」とある。

だが、典型的な発生状態とは言えない画像だ。

 

こちらは『山渓fieldbooksきのこ』山と渓谷社刊より。
tnptkmdk-03.jpg

「基部は白色。直根状に寄主とつらなる。」との事。

 

こちらは『カラー版きのこ 見分け方・食べ方』家の光協会刊より。

「基部は寄主のツチダンゴに直結する」とある。

今回気付いたのだが、この画像は

上掲の『山渓fieldbooksきのこ』の画像の個体を

掘り出した状態の物の様だ。

 

こちらは『岩手・青森のきのこ500種』トリョーコム刊より。

tnptkmdk-02.jpg

「柄は細長く黄色味を帯びる」との事。

 

こちらは『信州のキノコ』信濃毎日新聞社刊より。

tnptkmdk-04.jpg

地中部への言及は無し。

 

こちらは『山渓カラ―名鑑 日本のきのこ』山と渓谷社刊より。

tnptkmdk-05.jpg

地中部への言及は無し。

 

こちらは『冬虫夏草生態図鑑』誠文堂新光社刊より。

tnptkmdk-06.jpg

この画像の他に『山渓カラ―名鑑 日本のきのこ』と

同じ画像も掲載されている。

「宿主から直生」との事。

 

 

 

以上、ズラズラと図鑑の画像を列挙。

「掲載されている図鑑は多くない」と書いたが

掲載されている図鑑は幾つもあった。

とは言え、マツタケやヒラタケの様に

どの図鑑にも必ず載っていると言う訳では無い。

矢張りマイナーなキノコと言う点は間違い無いだろう。

 

因みに当方が調べられた範囲では他に

 『標準原色図鑑全集14 菌類』保育社刊

 『冬虫夏草ハンドブック』文一総合出版刊

 『阿寒国立公園のキノコ』前田一歩財団刊

 『青森県産きのこ図鑑』アクセス21出版

 『北国のキノコ』トリョーコム刊

があったが省略。

 

 

上掲画像を見ても判る様に、図鑑によって

掲載されている物の様子はかなり差異がある。

色々な図鑑を調べると余計に混乱してしまいそうだ。

なので当方が採取したキノコはどっちにも見えてしまう。

hnysrtk180930 (10).JPG

これは間違ってしまうよなぁ。

ボク、ワルクナイモン!


で、コメントで指摘されたのが
「地中部は白色を呈し、オレンジ色に染まることはありません」

と言う点。


掘り出した直後の画像で見ると確かに地下にあった部分は白い。

hnysrtk180930 (5).JPG
これがこのキノコがハナヤスリタケでは無く
タンポタケモドキである根拠である、との事。

確かに「基部は白色」と書かれている図鑑はあった。

 

そして、数時間経って帰宅し

クリーニングした時には地中の根状の部分と同じ

橙黄色に変色してしまっていた。

hnysrtk180930 (7).JPG

その時は単に「あぁ、変色したんだなぁ」としか思っていなかった。

そして、柄が橙黄色だったので

このキノコはハナヤスリタケだと判断したのだ。

 

キノコの観察において、採取直後の色合いの記録は重要だ、と言われている。
それはこの様に空気に晒されることによって

変色してしまう事があるからだが、
掘り出した直後の柄の状態が
ハナヤスリタケかタンポタケモドキかの同定をするに当たって
そんなに重要な要素になるなんて思いもしなかったよ。

「地下部分は白いが変色する」と言うのは
どの図鑑にも書かれていなかったしなぁ。

 

所で実は図鑑にも重要な一文があった。

『信州のキノコ』のタンポタケモドキの解説文に
「ハナヤスリタケは本種に似るが、頭部付近の粒子が大きい」

との記述があったのだ。

そして『カラー版 冬虫夏草図鑑』の画像でも

子実体の質感に関して

の様に描き分けられていたのだ。

これはまさに『信州のキノコ』の記述通りだ。

 

これも実は同定に迷っていた点の一つ。

図鑑やwebのハナヤスリタケは確かに粒子が大きく

当方が採取した物は粒子が細かかったのだ。

だが、図鑑でもwebでも質感は色々だった。

タンポタケモドキとされている物でも

粒子が大きく見える物が幾つもあるのだ。

その点でもとても悩んでしまった。

各々の粒子の大きさの差異が個体差の範囲なのか、

実は両種が混同されているのかは当方には判らない。

 

 

取り敢えず、もっと色々な情報を仕入れて
勉強しておかないとなぁ。
こうやって偉そうにキノコblogを書いている以上、
それはもっと心して置かないとならないよなぁ。

 

因みに、色々検索したところ
当方の他にもハナヤスリタケとして掲載した後に
「タンポタケモドキに訂正」としていたblogがあった。
やはり紛らわしい発生の仕方をしやすいのかも知れないなぁ。

 

 

 

以下は蛇足の話。

 

所で、「タンポタケモドキ」と言うからには
「モドキ」じゃないキノコもある筈だ。
それがこちら、タンポタケ。

                 Wild Mushrooms From Tokyoさんのサイトより引用

 

タンポタケとタンポタケモドキの外見的な違いは子実体の形。

丸いか細長いか、で判別出来る。

どちらも寄主のツチダンゴからニョキッと生えている。

 

ハナヤスリタケについては
「何故ハナヤスリタケなのか?」について追求した。
では、タンポタケは何故「タンポタケ」なのだろうか。

 

タンポタケのタンポは
「タンポ」と言う道具から来ている様だ。
そして「タンポ」と言われる物には何種類かある。

一つはタンポ槍。

tanpo4.jpg

tanpo5.jpg

                    チームアズラさんのサイト「武器ペディア」より引用
棒の先を布で巻いて安全性に考慮した練習用の槍だ。

 

更に、拓本用の道具のタンポ。

tanpo1.jpg

                     武蔵野美術大学さんのサイト 造形ファイルより引用


拓本とは石碑などの文字や文様を和紙に写し取る技術で
湿らせた和紙を写し取る対象の凹凸に馴染ませ、
そこに墨を乗せる際に使用される。

tkhn.jpg

                        天来書院さんのサイトより引用

 

そして刀剣の手入れに使用されるタンポ。

tanpo2.jpg

                            勝山剣光堂さんのサイトより引用
刀剣を保管する際には錆を防ぐ為に
表面に丁子(チョウジ)油を塗布するのだが
丁子油は古くなると却って刀身に取ってよろしくないので
時々塗り代える必要がある。
古くなった丁子油を除去する為には

砥石の微粉末を刀身に振りかけ布や和紙で拭い取る、

と言う作業が必要で、その際に使用されるのがタンポだ。

砥石の微粉末を布で包んだ物で刀身を軽く叩く事によって

適量の粉を振りかける為の道具で、
時代劇などで良く見る、刀をポンポン叩いているシーンの、あれだ。

tanpo3.jpg

                        「人生の中の日本刀」さんのサイトより引用

因みに、正式にはこれは「タンポ」では無く「打ち粉」と言う、との事。

 

 

思うに、タンポタケのタンポは
槍や拓本のでは無く、刀剣手入れ用のそれなのだろう。
タンポタケの命名は『日本産菌類集覧』によると

日本菌類学の先駆者、川村清一によるとの事。

だが、正確な命名年は不明の様だ。

 

川村清一の生没年は1881〜1946との事なので

命名されたのは戦前なのは確実だろう。

当方はあくまでも聞いた話でしかないが

当時は好戦気分は鼓舞する為に「武士道」が称揚されていたと言う。

武士には刀剣は欠かせない。

そして軍人と刀剣の関係も深い。

 

実は当方の祖父と大伯父は陸軍の将校だった為、

実家には軍刀があった。

軍刀は刃の付いていない模擬刀とは言え、手入れの道具も揃っていた。

子供の頃、遊びで軍刀にタンポをぽんぽん、と

時代劇を真似て良くやっていた物だ。

なので、当方はタンポに馴染があった為、

タンポタケの名には何の疑問も持たなかった。

 

命名時の時代状況と言い

当時すでに高齢であったろう命名者の状況と言い
棒状の物の先端に丸い物のある形状を見た時に
真っ先に浮かぶのが刀剣手入れ用のタンポだったであろう事は

想像に難くない。

むしろ当然と言えよう。

 

ただ、今の時代に「タンポ」と言って
それが何を指しているかを解説無しで
理解できる人がどれくらいいるのだろう。
タンポを日常的に見る機会なんてまず無いもんなぁ。


もしタンポタケの命名者が

音楽家だったら「モッキンノバチタケ」、

又はその品名の「マレット」から「マレットタケ」に、

mallet.jpg

                        musics .percussion さんのサイトり引用


報道や放送関係者だったら「マイクタケ」に

                  パナソニックさんのサイトより引用


ボードゲーム好きの人だったら
「ジンセイゲームノコマタケ」なっていたかも知れないよなぁ。

                   タカラトミーさんのサイトより引用

 


現代にこのキノコが新種として命名されるとしたら
何になるのか想像も付かないが
少なくとも「タンポタケ」にはならないのでは無いだろうか。
キノコの命名には時代背景が大きく影響しているのだなぁ。

 


取り敢えず、行く行くはちゃんとハナヤスリタケを採取したいな、と。
タンポタケモドキもちゃんと

「これはタンポタケモドキだ!」と認識した上で採取したいな、と。
そしてタンポタケも採取したいな、と。
勿論、それ以外のキノコも当然そうなのだけど。

 

今後もフィールド探索は続けていく予定。

 

 

 

 

※おまけ

こちらは『北陸のきのこ図鑑』橋本確文堂刊より。

tnptkmdk-07.jpg

タンポタケモドキとあるが、この画像の物は

どうしてもエリアシタンポタケに見えてしまうのだが

どうなのだろうかなぁ・・・・・・

 

 

 


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花鑢

※記事中のキノコはハナヤスリタケでは無く、
 タンポタケモドキでは無いか、とのご指摘を頂きました。
 検討し直したところ、タンポタケモドキであると判明しました。
 当記事は植物のハナヤスリと工具のヤスリを中心にした内容の為、
 全面的な書き換えは出来ませんので
 記事中はハナヤスリタケの記述のままとしますが
 実際にはハナヤスリタケでは無く、タンポタケモドキです。
 その点お含みの上、お読み頂けます様、お願い申し上げます。

 

 

6月末のこと。

ヤマドリタケモドキを求めて何時ものシロを徘徊していた。
かなりの不猟で諦めて帰り掛けた所、こんな物に遭遇。

sepe-akymdr200930 (2).JPG

ヒポミケス菌に寄生されたキノコだ。

その手のは今までに結構な数を撮影している。Hypomyces菌まとめ→こちら
なので一度は「あぁ、あれね・・・・・・」と通り過ぎてしまった。

 

だが、全てのキノコは一期一会。
このヒポミケス菌罹患キノコも今この時でないと撮影出来無い。
なので、せっかくなら、と少し戻って撮影する事に。
時期的にホストはアカヤマドリの可能性が高い。
だとしたらヒポミケス菌に罹患したアカヤマドリは多分初遭遇。

 

撮影しようと近づくと、キノコにユミアシキマワリ?が
陣取っているのが判った。

sepe-akymdr200930 (3).JPG

sepe-akymdr200930 (1).JPG

これはこれで面白い。


良い絵が撮れたなぁ、と満足してふと周りに目をやる。
と、こんな物が目に付いた。

hnysrtk180930 (1).JPG

ぱっと見はマメザヤタケだと思った。

 

マメザヤタケは枯れ木に発生するキノコだ。

本来、広葉樹の枯れ木に発生するのだが

これは孟宗竹の古い切り株に発生していた物。

 

その外見から「死者の指」の異名を持つ。
東大阪時代は普通に目にしていたのだが名古屋転居後は未遭遇。
世界的に分布している種類の木材腐朽菌でも

地域差が結構あるのだなぁ。

 

そのマメザヤタケに名古屋で初遭遇か!?
だが、どうも雰囲気が違う様子。
試しに一つ手に取ってみる。

hnysrtk180930 (2).JPG

マメザヤタケとは違うなぁ。
あれ?これは!?
これはひょっとしてハナヤスリタケ?

 

ハナヤスリタケは冬虫夏草の仲間だが
昆虫ではなく地下生菌のツチダンゴに寄生する、と言う菌寄生菌だ。
だとしたら初遭遇。
これは是非掘り出したい。

 

で、出てきた物がこれ。

hnysrtk180930 (3).JPG

hnysrtk180930 (4).JPG

hnysrtk180930 (5).JPG

思わぬ初遭遇に興奮してしまい
掘り出し前の状況や、掘り出し中の様子を
撮影するのをすっかり忘れてしまっていたよ・・・・・・

 

帰宅後、泥をクリーニング。

hnysrtk180930 (12).JPG

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hnysrtk180930 (7).JPG

hnysrtk180930 (6).JPG

ホストのツチダンゴが思いの外大きかった。
団子状では無く、靴みたいな形だしw

にしても中々立派だ。

 

図鑑やwebで画像を見ると地上部とツチダンゴの繋ぎ目が

細い物が多い様で「掘り取りに注意を要する」とあったが

今回の個体は幸い頑丈だったので

当方の雑なやり方でも綺麗に掘り取れて良かった。

hnysrtk180930 (9).JPG

ホストのツチダンゴが大きかったので

栄養が十二分だったからかな。

 

 

上にも書いたがキノコの中には「地下生菌」と言う物がある。
地下で発生し、成熟すると匂いを発し
その匂いに誘われた昆虫や小動物に食べられる事によって
胞子を飛散して貰う、と言う生態を持つ。
高級キノコのトリュフもその一つで
何しろ地下に発生する為に発見するのが難しい。

 

トリュフ探しの場合は訓練された犬や豚に

匂いを嗅ぎつけさせて見付けるのだが
日本ではその様な犬や豚はまず居ないので
ありそうな場所を人手で探すしかない。
当方もトリュフの探索はしているのだが今の所発見には至っていない。

 

で、今回のツチダンゴ。
これは食用キノコで無い為にツチダンゴをわざわざ探す人はまず居ない。
だが、ハナヤスリタケの様にツチダンゴに寄生して
子実体を発生させるキノコが複数種ある為に
それによって「此処にツチダンゴがあったのだ」と
結果的に見付かる事が多い。

 

地下生菌はとにかく見付け難い為に研究があまり進んでいないらしい。
だが、それでも近年は多くの新種が発見され
分類も進んで来ている、との事。

 

何回も書くが、地下生菌は地下に発生するために発見するのが難しい。

だが、発見するのが難しいだけで、
実はそこら中に発生して居るかも知れないのだ。
実際、当方が数え切れないほど通っていた道路脇に
こうやって発生して居たんだもんなぁ・・・・・・

 

それにしても、意外な場所にあったもんだ。
緑地の辺縁部とはいえ、結構な交通量のある道路の
歩道脇の植え込みだもんなぁ。

hnysrtk180930 (13).JPG
まさかこんな所にあるなんて予想もしていなかったよ。
正にキノコは神出鬼没。
ほんと、キノコは侮れないよなぁ。

 

 

 

以下は蛇足の話。

 

所でこのキノコ、ハナヤスリタケと言うのだが
そもそも「ハナヤスリ」って、何?

 

調べたところ、どうやら「ハナヤスリ」という植物が由来らしい。

ex-hnysr (6).jpg

        rsytw766さんの山野草図鑑歳時記3 より引用

ハナヤスリはシダ植物の一種で
ハナヤスリ目ハナヤスリ科と言う
世界でも70種程の小さな一群を形成している、との事。

 

多くのシダ植物は所謂「シダ状」の葉の裏に胞子嚢を形成するが
ハナヤスリは大きな一枚葉が茎を包むように開き、
その茎の先端に胞子嚢を形成する、と言う点が大きく異なる。
その為、一見すると普通の植物の様で
胞子嚢も花のつぼみの様にも見える。

ex-hnysr (7).jpg

                   (同上)
知らなければそれがシダの仲間だとはとても思えないだろう。

 

で、茎の先端の胞子嚢が並んでいる状態が
まるで工具のヤスリの様だ、と言う事で
「花鑢(ハナヤスリ)」と命名された由。

 

所で当方は昔、金属工芸に携わっていた時期がある。
金属の加工にはヤスリが欠かせない。
で、多くのヤスリはこの様な形をしている。

ex-hnysr (4).jpg

                     丸半金物.com より引用

ハナヤスリとはかなり違う形状だ。

 

実はハナヤスリの様な形のヤスリもあるにはある。
それがこちら。

ex-hnysr (3).jpg

               切削工具製造 株式会社オリエント より引用

ex-hnysr (2).jpg

               彫金工具資材専門店CAST HAUSE より引用

「コテヤスリ」と言う工具だ。

通常のヤスリと違い、凹んだ曲線部や
細かい部分を研磨する時に使用される特殊工具だ。

 

更にハナヤスリのヤスリ目は平行線の縞状で
普通のヤスリ目とは異なっている。

実は縞状のヤスリ目、と言うのもあるが
それは仕上げや繊細な研磨に使用される「単目」と言われる特殊なヤスリだ。

更に断面を考えると「丸」でも「角」でも「平」でも無いだろう。
恐らく「楕円」が形としては近いだろう。

ex-hnysr (5).jpg

                      コトバンク より引用

 

なので、ハナヤスリの胞子嚢部分を簡単に「ヤスリ」に例えるのは
金属加工の経験者からするとあまりにも大雑把でどうにも頷き難い。
より正確に例えるとしたら
「ハナダエンタンメコテヤスリ(花楕円単目鏝鑢)」とするべきか。
まぁ、門外漢がこんな事を言っても仕方無いのだけど。


所で実は、ヤスリよりもっと近い形の物がある。
それがこちら。

ex-hnysr (1).jpg

             ニトリのステンレスウロコ取り

魚のウロコ取りだw
ハナヤスリの命名者がこのウロコ取りの事を知っていたら
「ハナウロコトリ」となっていたかも知れないよなぁ。
まぁ、殆どの学者は男性だからウロコ取りの存在自体知らなかったかもね。


さて、植物のハナヤスリはまぁ、良いとしよう。
だが問題はハナヤスリタケだ。
植物のハナヤスリは百歩譲って「花鑢」だとしよう。
だが、ハナヤスリタケの子実体はヤスリには見えない。

hnysrtk180930 (8).JPG

そもそもがヤスリ的要素が全く無いし。

これは幾ら何でも「ヤスリ」とは呼びたくないなぁ。


当方にはマッチの先端か、綿棒にしか見えないよ。

ex-hnysr (8).jpg

                            ピクト缶フリー素材の画像

ex-hnysr (9).jpg

                    フリー素材ドットコムの画像

 

もしくはキリコのマネキンか。

ex-hnysr (10).jpg

     MUSEY「不安を与えるミューズ達」より引用

 

だからと言って「マッチタケ」「メンボウタケ」
「キリコノマネキンタケ」の命名が良いとは思わないけれど。
今更変えられないし、当方にはその権限がある訳も無いしね。


そもそも植物のハナヤスリ自体が知名度の低い植物だ。
何故そんな物を当て嵌めてしまったのだろうなぁ。
それが風流もしくは風雅と思ったのかなぁ。
勿論、今となっては知り様も無い。

 


「ハナヤスリタケ」と言う種名に
こんな悶々とした思いを抱えているのは
世界中でも当方だけだろうなぁ。

これからもハナヤスリタケを見付けたいとは思うよ。
見付ける度に悶々とするのだろうけど・・・・・・

 

 

※続編があります。併わせてお読み下さい→こちら

 


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