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アミウズ その2

こちらはウズタケ。

uz-shkw (1).JPG

uz-shkw (4).JPG

uz-shkw (3).JPG

ヒダが同心円状なのがとても印象的。
岐阜県荘川村で遭遇。

 

以下、画像をズラズラ列挙し、ダラダラと記述。

 

  ウズタケに関しては何回か記事にした事があります(アーカイブス→こちら)。

  若干内容が被ってしまいますが、画像は新しい物なので

  その点はご容赦下さい。

  m( _ _ )m

 

 

この場所での遭遇は3回目。
2010年に初遭遇し、翌年も同じ場所で遭遇。
それ以来ご無沙汰だったが今年は6年振りの遭遇。

だが、根元を見ると、昨年発生していたと思しき残骸が見える。

uz-shkw (2).JPG
当方とはタイミングが合わなかっただけで
発生はし続けていたみたいだなぁ。
当方がこの場所を訪れるのは年に1〜2回だから
タイミングが合わないのは仕方無い。
むしろ、こうやって何回も遭遇できるのは奇跡的と言えるだろう。

 

この場所のウズタケは御覧の通り華奢だ。
ウズタケはニッケイタケ、オツネンタケの近縁種との事。
ニッケイタケはこの通り、薄い華奢なキノコ。

nkitk (5).JPG

nkitk (4).JPG

nkitk (3).JPG

nkitk (1).JPG

nkitk (2).JPG
オツネンタケも同様なので(画像検索の結果→こちら)、
その近縁種のウズタケが華奢なのは当然かも知れない。

だが、図鑑に掲載されているのは割とガッシリしている感じ。
ウズタケが掲載されている図鑑自体多くは無いのだが
画像検索で出て来る物もそう言うのが多い(画像検索の結果→こちら)。

 


図鑑によると、ウズタケの発生は稀との事だが
当方の普段のフィールドにもウズタケが頻繁に発生しているポイントがある。
其処のウズタケがこちら。

uz-itk (15).JPG

uz-itk (14).JPG

この個体はガッシリした感じなので図鑑の物に近い。


ただ、此処に発生する個体は同心円状のヒダでは無く、管孔状の部分が多い。

uz-itk (17).JPG

uz-itk (16).JPG

仮にこれを「名古屋Aタイプ」と呼ぶ。

 

 

同じポイントだが、少し離れた場所に発生しているのはこのタイプ。

uz-itk (1).JPG

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妙にゴツゴツした感じで、不定形な事が多い。

柄が短い為に地面を這う様に発生している。

 

そして傘裏はこちらも網目が多い。

uz-itk (3).JPG

uz-itk (10).JPG
こちらは「名古屋Bタイプ」と呼ぶ事にする。

 

 

以前も書いたが、「ウズタケ」は分類学的には

「アミウズタケ」の一変種との事。
傘裏が管孔状(網目状)の「アミウズタケ」が本来の姿で
それが何故か同心円状のヒダに変化したのが「ウズタケ」の由。
なので、このポイントに発生している物は

「アミウズタケ」と言うべきなのだろう。
尚、山渓カラー名鑑『日本のきのこ』によると
ヨーロッパにはアミウズタケが、日本と北米にはウズタケが多い由。
と言う事は、このポイントは「ヨーロッパ的」とでも言うべきか。


「名古屋Aタイプ」は、華奢さの点では違うが
柄があって傘が逆三角形に広がっている漏斗型、と言う点では
先の「荘川タイプ」と似ているかも知れない。
だが、「名古屋Bタイプ」はあまりにも形が違っている。
柄は殆ど伸びず、地面を這う様に傘が広がっている。
その形も類円形では無く、不定形だ。

地面と傘裏は殆ど接触しているので、

胞子の飛散には役立っていない様に思える。

実際、枯葉に埋もれて発生している為に傘裏が枯葉に癒着してしまっている。

uz-itk (4).JPG
こんなに地面に近くては昆虫などの食害は不可避だろう。
実際、この様にヒダが食い荒らされて

殆ど無くなってしまっている物もあった。

uz-itk (8).JPG

画像では判り難いが、網目が見えない部分は

全て食害を受けて管孔及びヒダが消失してしまっている。
逆に、菌食生物に食害される事によって
胞子の飛散を手伝って貰う様に進化しているのか、とさえ思えてしまう。

 


さて、2016年の転居に伴い、当方の観察範囲が変化した事により
新たなウズタケの発生ポイントの発見も出来た。
それがこちら。

uz-obt-E (1).JPG

最初に見た時はサルノコシカケ系の何かが
斜面の埋もれ木から生えているのかと思った。
で、傘裏を見たらウズタケのそれだったのでビックリしてしまった。

uz-obt-E (2).JPG
見事な同心円。
網目部分は全くと言ってよい程見当たらない。
今迄とは違うので、これを「名古屋Cタイプ」と呼ぶ事にする。

 

 

その近くにあったこちらの個体。

uz-obt-E (5).JPG
これは所謂「ウズタケ」の形。


傘裏はこんな感じ。

uz-obt-E (4).JPG

綺麗な同心円。

 

こちら別の個体。

uz-obt-E (5).JPG

uz-obt-E (6).JPG

uz-obt-E (7).JPG

uz-obt-E (8).JPG

古い個体の所為かカビで埋まってしまっているが
それでも同心円と網目は確認出来る。
こちらは「Aタイプ」なのかもなぁ。


もう一つ、別のポイントも発見。
こちらはかなり小さな個体。

uz-hgsym (1).JPG

uz-hgsym (2).JPG
これはもしや???と思って裏を見たらウズタケだと判った次第。
破片的な小さな個体だったが、同心円だけでなく網目部分も確認出来る。
地面に這う様になっていた点からすると「Bタイプ」なのかもなぁ。

それにしても名古屋東部はウズタケの一大発生地帯なのだなぁ。

 


さて、以上の荘川・名古屋A〜Cの4種類のタイプ。
ヒダの形が特徴的なので、どれも「ウズタケ」と言う事になってしまうが
本当にこれは全てDNA的に同じなのだろうか。
荘川タイプは名古屋タイプに比べるとあまりにも華奢だ。
そして名古屋タイプと比べると、傘表面の質感が全く違う。

 

荘川タイプにはニッケイタケ同様、絹の様な質感がある。

uz-shkw (4).JPG

 

こちらはニッケイタケ。

nkitk (4).JPG

良く似ているなぁ。

 

対して名古屋タイプはどれもゴツゴツとした凸凹があり
しかもそれはマットな質感。

uz-itk (15).JPG

uz-itk (1).JPG


どちらかと言う、全体の雰囲気はアズマタケを思わせる。

azmtk (1).JPG

azmtk (2).JPG

azmtk (3).JPG

azmtk (4).JPG


AタイプとCタイプは「アミウズタケ」と「ウズタケ」の差かも知れないが
Bタイプは「地面を這う生え方」の特徴から
それともまたちょっと違う様に感じる。

外見だけで見ると、とても同じ「ウズタケ」とは思えない。

 

つまり、ウズタケがアミウズタケの一変種である様に
ニッケイタケの近縁種以外にも
例えばアズマタケ辺りの一群の中に
傘裏が同心円状になってしまう種があるのでは無いだろうか。

外見だけで観察するに、どうしてもそうとしか思えない。

 

まぁ、顕微鏡もDNA解析器も持たない当方には
これ以上の事は判らないし、調べようも無い。
こうやって疑問を並べ立てる事しか出来無いのだ。

 

ウズタケ専門の研究者、と言う人がいるのなら、

それを是非解明して頂きたい。
その為なら当方手持ちの各標本を提供しますので。
当方はそれが判明すればスッキリして、それだけで満足ですので。
例え、それで新種が判明しても献名などして頂かなくても結構ですのでw

研究者様、どうぞよろしくお願い申し上げますです (-人-) ナム〜

 

当方が知らないだけで、既に解明済みならスミマセン・・・・・・

 

 


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| 多孔菌科 | 00:10 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
コロ?
こちらはクジラタケ。
kujiratake (8).JPG
kujiratake (9).JPG
広葉樹の枯れ木に発生する菌で
全国的に分布している菌、との事。
が、このキノコも名古屋ではしょっちゅう遭遇しているのに
東大阪では滅多に出逢えなかった種類だ。

発生が多いだけあってか個体差も大きい様子。
先の画像はかなり白かったが、こちらは褐色系。
kujiratake (7).JPG

褐色と白色で環紋が鮮やかなタイプ。
kujiratake (5).JPG
kujiratake (6).JPG

灰褐色と白色の環紋のタイプ。
kujiratake (24).JPG

白色、淡褐色、灰褐色での環紋のタイプ。
kujiratake (32).JPG

こちらは斜めになった倒木に階段状に発生していた。
kujiratake (31).JPG
UFOの編隊に見えなくもない様な。


その一つを取ってみる。
kujiratake (19).JPG
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断面も白色。
kujiratake (25).JPG

裏側は管孔がきれい。
kujiratake (22).JPG
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群生しているのにも結構出会う。
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これはまだ幼菌だから
成長した時には壮観になるだろうなぁ。

こちらは成長の様子。
とある年の3月15日。
kujiratake (3).JPG

5月20日の様子。
kujiratake (4).JPG
成長はかなりゆっくりなのかな。
その後の様子を撮影して居ないので
経過観察が中途半端なのは残念。

こちらはかなり老菌。
kujiratake (10).JPG
kujiratake (11).JPG

老菌に群がるキノコムシの仲間。
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集合ホルモンでも出ているのか
この一つの老菌にだけ群がっていた。

こちらは別の老菌。
kujiratake (27).JPG
美味しい処は食べ尽されたのか虫の姿は無かった。

約一か月後の様子。
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雨に晒されてヘタって来ている。

こちらも別の老菌。
kujiratake (15).JPG

完全にボロボロ。
kujiratake (14).JPG

裏返すとこんな感じ。
kujiratake (17).JPG
間も無く消失してしまうだろう。
こんなになる迄に食べ尽される、と言う事は
クジラタケは菌食性昆虫に取って
とても美味しいキノコ、と言う事なのだろうなぁ。


処で当方が最初に遭遇したクジラタケがこれ。
kujiratake (1).JPG
kujiratake (2).JPG
某神社に放置されていた伐採木に発生していた。
この個体がずんぐりむっくりした、厚みのある物だったので
当方は長い間、クジラタケは他の多くの猿の腰掛けの様に
分厚いキノコを発生させる種類なのだと思いこんでいた。
だが、その後多くのクジラタケを観察したり図鑑等を見る内に
それは刷り込みによる当方の勘違いなのだ、と言う事が判明した。
上掲の数々の画像を見ても判る様に
クジラタケは元々はあまり厚くないキノコを
発生させる事の方が多い種類の様だ。



所で、何故このキノコは「クジラタケ」なのだろう。
鯨と言えば、黒い大きな塊をイメージするが
このキノコはどう見ても白い。
白鯨をイメージした、と考えるのも無理があるし
そうならば「シロクジラタケ」とでも言うべきだろう。
そもそも「クロクジラタケ」と言うキノコは無いしなぁ。
因みに『日本産菌類集覧』によると命名者は安田篤氏で、1918年の事の由。

以前、別の場所でこの疑問を呈した所、
それに対して思わぬ意見が寄せられた。
曰く「鯨の皮=コロをイメージしてるのでは無いか」。

今では高価で珍しい食材で、スーパーで見ることはまず無いが
昔は「コロ」と呼ばれる鯨の皮を加工した食材が普通に売られていた物だ。
鯨の皮から油脂分を搾り取った後の、
いわば絞り滓を油で揚げた物、との事で
廃物利用でもあり、日本が世界に誇る
「勿体無い精神」の表れの産物、と言えるだろう。
安価でカサが大きかった事もあって
昔々の当方の学生時代、おでん種として重宝もされた。
因みにその当時、「コロ」は「オバケ」とも呼ばれていたと記憶していたが
今調べてみると「コロ」と「オバケ」は別物の由。
「コロ」は皮付きの皮下脂肪の部分。
「オバケ」は尾鰭の部分、との事。
当方の記憶違いか、当時の大阪府南部では混同されていたのかもしれない。

で、そのコロ。
こうしてみると確かに似ている。
koro (2).jpg
GIGAZINE2013年12月31日の記事より引用


クジラ屋店長の気まぐれブログから引用

kujiratake (18).JPG
kujiratake (4).JPG
kujiratake (26).JPG
色合いや質感が似ていると思うが、どうだろうか。

安田氏の命名当時、クジラのコロはありふれた食材だった筈だ。

 白っぽいマットな質感の塊
  ↓
 コロ=クジラ

のイメージの連想は説明不要だったのだろう。
だが100年近く経った今、
日本の食を取り巻く状況はすっかり変わってしまった。
若い人達の中にはクジラを口にした事が無い人の方が多いだろう。
現代では「クジラタケ」は意味が中々通じない名前になってしまった様だ。
クジラは今後益々日本の食卓から遠ざかるだろうしなぁ。

キノコの事を知ろうと思った時に
命名された当時の社会情勢、文化の状況まで
考慮に入れなければならなくなってしまったのだなぁ。
探せば他にもそう言うキノコがあるのだろうなぁ。
今、普通に呼んでいるキノコでも
将来その意味が判らなくなるキノコもあるのかも知れないよなぁ・・・・・・


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| 多孔菌科 | 16:15 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
前衛絵画
こちらはチャウロコタケ。
chauroko (3).JPG
chauroko (4).JPG
chauroko (5).JPG
各種の広葉樹の枯れ木に長径3〜4cm程の茶色の傘を
魚の鱗のようにびっしりと発生させる事が多い為に
その様に名付けられたのだろう。

このキノコも東大阪時代には全く見かけなかったのだが
名古屋では毎年何処かで必ず遭遇している。
名古屋の環境はチャウロコタケに取って、かなり居心地が良い様だ。
あまりにもしょっちゅう遭遇するので
小規模の発生状況ならばスルーしてしまう程だ。

チャウロコタケは、はっきりとした環紋が特徴的だ。
上掲の画像の個体では判り難いが
数種の色を交えた鮮やかな環紋の個体になる事が多い。
chauroko (6).JPG
chauroko (7).JPG

こちらは古くなった個体が色褪せた事によって
環紋がより露わになった物。
chauroko (8).JPG

多くはびっしりと子実体を発生させるのだが
時としてこの様に閑散とした状態の個体群もある。
chauroko (1).JPG
何か、とても貧相で可哀想に見えてしまうなぁ……


同じ様にびっしりと発生するキノコにカワラタケがある。
こちら↓がカワラタケと呼ばれ


こちら↓がウロコタケと呼ばれるのは
chauroko (5).JPG
色合いの関係もあるだろうが
各々の個体の厚みの違いがあるからだと思われる。

カワラタケも厚さ1〜2mm程度の薄いキノコだが
チャウロコタケはそれよりも更に薄い0.5〜1mmだ。
その薄さと、薄さから来る縁の鋭さが魚の鱗を連想させるのだろう。
各個体のうねりの大きなカワラタケに比べて
チャウロコタケはうねりが小さく全体に平らで
より鱗っぽい事も関係しているかもなぁ。

試しにチャウロコタケの一枚をむしり取ってみる。
表側。
chauroko (9).JPG

横から薄さを。
chauroko (11).JPG
っても、これではちょと判り難いなぁ。

こちらは裏面。
chauroko (10).JPG
裏側にも環紋がある。
表面に比べると薄い色合い。


先にも書いたが
チャウロコタケの各個体は3〜4cm程度の物が多いが
時としてとても大きな個体になる事がある様だ。
こちらは切り株全体に発生していた個体群。
chauroko (12).JPG

上から見たらこんな感じ。
chauroko (14).JPG
長径7〜8cmの大きな個体が多く
中には複数の個体が癒着していて10cmを超えている物もあった。
余程栄養状態が良かったのだろうなぁ。

こちらはすぐそばにあった倒木から発生していた個体群。
chauroko (15).JPG
こちらも大きな個体ばかりだった。

先の個体群の一部を拡大してみる。
chauroko (13).jpg
この画像だけを見たらキノコには見えないかもなぁ。


円形のヤツはメノウの断面みたいだし
Argentina003.jpg
(アルゼンチン産のメノウ)
(ailoveiさんのサイト『世界の最も美しい鉱石・鉱物』より引用)

全体で見ると前衛抽象絵画みたいだ。
20150603085908.jpg
滋賀県立近代美術館公式blogより引用)
frank-stella-1.jpg
(『アート×現場』サイト内、「アートの視点」より引用)
(どちらもフランク・ステラの作品)

もっとそっくりな絵画があった様な気もするが思い出せない……


ローマ帝国の政治家・哲学者・詩人、
ルキウス・アンナエウス・セネカの言葉に
「すべての芸術は自然の模倣に過ぎない」、
手塚治虫の『火の鳥』の中のセリフに
「人間の作ったものは、すべて自然の模倣に過ぎない」があるが
こう言うのを見ると正にそうだなぁ、と思わされてしまうなぁ。


ただ、これは芸術作品では無いので時間と共に朽ち果ててしまう。
こちらは約4か月後の様子。
chauroko (17).JPG
chauroko (16).JPG
冬場だからかなり形は残っているが、全体に萎びた感じだ。
これも遠からず、完全に消滅してしまうだろう。

今回はたまたまこの光景に遭遇出来たので
「前衛絵画みたいだ」と愛でる事が出来たが
こう言う「決定的瞬間」はあちこちで発生しているのだろうなぁ。
これからも可能な限り、そう言う光景に出逢いたい物だ。

勿論それは、ただの自己満足でしか無いのだけど。


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| 多孔菌科 | 00:43 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
その名はヒイロタケ
こうしてblogを書いていると
色々な方が見に来て下さる。
中には語句検索でこのblogに辿り着かれた方も居り
どんな語句でこのblogにhitしたのかを見るのも楽しい物だ。

で、件数は多く無い物の毎年必ずあるのが
「桜の木 赤いキノコ」の語句。
恐らくそれはヒイロタケを検索していたのだろう。

ヒイロタケは広葉樹の枯木に発生するキノコで
名前の通り全体が綺麗な赤橙色〜緋色の為
遠目でもとても良く目立つ。
hiirotake (1).JPG
hiirotake (2).JPG
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当方が見る限り、桜の木に発生している例がとても多い。

こちらは名古屋市東部の某貯水池の桜の木。
hiirotake (13).JPG
hiirotake (14).JPG
こんな感じで良く目立つ。

他にも、とある神社の御神木?の大枝に
びっしりと発生していて枝全体が赤く見えたのがあったのだが
車で走行中に見掛けた物だった為に、
画像を撮る事が出来無かったのは残念だった。

東大阪時代には在住17年で2度しか遭遇出来なかったのだが
名古屋では毎年必ず何度も遭遇している。
名古屋はヒイロタケに取ってとても居心地の良い場所の様だ。

だが、今までヒイロタケの事を当方は
簡単な内容しか書いて来なかった。
その所為か「桜の木 赤いキノコ」の語句で検索すると
何故かこぶ病の記事(→こちら)がhitしてしまう。
期待を持って開いたら、さぞがっかりされた事だろう。
そこで、改めてヒイロタケの事をちゃんと書いてみようかと。


先に書いたが、ヒイロタケは良く目立つ赤いキノコだが
その色合いは個体差が大きい。
こちらは赤橙色の個体。
hiirotake (24).JPG

その3週間後の様子。
hiirotake (26).JPG
幼菌の時よりは若干赤みが強くなっている。

こちらは別の個体。
hiirotake (8).JPG
名古屋ではこんな感じの色合いの個体が多い様だ。

こちらは赤味の強い個体。
hiirotake (17).JPG
hiirotake (18).JPG
裏側は更に鮮やかな赤。

こちらはやや沈んだ色合い。
hiirotake (10).JPG
ちょっと古くなった個体だろうか。

こちらは更に沈んだ色合い。
赤錆色とでも言うべきか。
hiirotake (27).JPG
hiirotake (28).JPG
古い個体なので沈んだ色になったのだろうなぁ。


こちらは成長の様子を。
hiirotake (4).JPG
hiirotake (5).JPG
アベマキ?の丸太に点々と生えだした所。

その18日後の様子。
hiirotake (9).JPG
かなり傘が広がっている。
この先を観察出来無かったのは残念。


ヒイロタケはカワラタケと同様に
多数重なって発生するのが普通なのだが
時には妙な生え方をする。
こちらは樹皮の表面に背着的に広がっていた個体。
hiirotake (6).JPG
hiirotake (7).JPG
管孔が普段とは真逆の向きになるのだが
胞子の飛散には影響無いのだろうかなぁ。

こちらは普通に生えていた個体の足元に
背着的に広がっていた個体。
hiirotake (11).JPG
こちらは胞子の飛散には影響無さそうだなぁ。


ヒイロタケとよく似たキノコにシュタケがある。
そちらは朱色のキノコ、と言う事になっているが
表から見ただけではヒイロタケと区別が付かない。
肉眼的に差異があるのは孔口の大きさ。
ヒイロタケは一見しても判らないくらい孔口が小さいが
hiirotake (19).JPG
hiirotake (12).JPG
シュタケは孔口がかなり大きい(→こちら※かなり古い個体の様子)。
ただ、webで検索しても
ヒイロタケとシュタケは混同されている様で
シュタケとされていてもヒイロタケに見える個体の画像もある。

もう一つの肉眼的判別法としてヒイロタケに比べて
シュタケの方が子実体の厚みがある、と言うのだが
当方が揚げた画像を見ても厚みの個体差もかなり大きい様だ。
それが環境による変化なのか、系統差による物なのか、
またはDNA的には別種になるべき物なのかは判らない。
因みに、ヒイロタケは南方系、シュタケは北方系との事。
残念ながら当方はまだシュタケに遭遇した事は無い。


ヒイロタケは子実体だけでなく菌糸も赤い様子。
こちらはヒイロタケの生えていた枯れ枝の断面。
材がヒイロタケの菌糸で赤くなっている。
hiirotake (25).JPG
取り残された部分をよく見ると
黒い線で囲まれている様になっている。
これは恐らく、この部分は別の菌が入っていて
ヒイロタケとの境界線争いが
この黒い線となって見えているのだと思う。


さてこのヒイロタケ。
古くなると色は褪せてしまう。
こちらはやや褪せ始めた状態。
hiirotake (21).JPG

更に褪せた状態。
hiirotake (23).JPG
hiirotake (22).JPG
白く色が抜けた部分が環状になっている。

色の白い部分が増えて来た。
hiirotake (30).JPG
hiirotake (15).JPG

更に白くなり、赤い部分が環状に残っている。
hiirotake (29).JPG

殆ど全体が白くなってしまった。
hiirotake (20).JPG
赤い痕跡があるのでヒイロタケの老生体だと判るが
それが無かったら別種のキノコとして
判断してしまっていたかも知れない。

こちらは褪色の3段階が並んでいる。
hiirotake (16).JPG
ヒイロタケの枯死後の経過を一望出来るなぁ。
標本として持ち帰りたかったけど
丸太が重くて断念・・・・・・

因みに、ヒイロタケを煎じて飲むとガンに効く、と
何処かで見た記憶があるのだが真偽の程は不明。
また、出汁取りに使える!?ともあったが、それも不明。



所で、オオクワガタマニアの間で言われている秘伝に
「オレンジ色のカワラタケを探せ」と言うのがある、との事だが
此処で言われている「オレンジ色のカワラタケ」とは
ヒイロタケの事では無くニクウスバタケの事。
ニクウスバタケを上から見るとヒイロタケとよく似ているが
nikuusubatake (1).JPG
nikuusubatake (2).JPG
裏側を見ると全然違う。
この状態から「肉色の薄歯茸→ニクウスバタケ」と
命名されたのだろう。
ニクウスバタケについては以前に
簡単な記事を書いた事がある(→こちら)。



さて、これでヒイロタケを調べようとして
このblogに来られた方にはご満足ご納得頂けたでしょうか。
もしよろしければまた覗きにいらして下さいませ。
(^−^)


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| 多孔菌科 | 00:01 | comments(5) | trackbacks(0) | pookmark |
有精と無精
こちらの画像はヒラフスベ。
hirafusube2015 (1).JPG
hirafusube2015 (2).JPG
hirafusube2015 (3).JPG
かなりの老菌の個体。
周囲の幹に胞子が飛散・付着しているのが確認出来る。
2011年9月5日に撮影。

ヒラフスベに関しては何回か記事にした事がある。
  ・手抜きの逞しさ
  ・マスタケはややこしい
  ・マスタケは美味しい
ヒラフスベはサルノコシカケ(多孔菌)の仲間だが
有性生殖をするとマスタケ(もしくはアイカワタケ)になり、
無性生殖をするとヒラフスベになる。
有性世代のマスタケ(もしくはアイカワタケ)の時は
他の多孔菌の仲間と同様、個体下面から胞子を飛散させるのだが
無性世代のヒラフスベの時は
成熟すると個体全体が胞子(分生子)の塊になるのが特徴だ。
その特徴ゆえに、以前ヒラフスベは
ホコリタケの仲間に分類されていた時代もあったのだとか。


こちらは17日後、9月22日の様子。
hirafusube2015 (4).JPG
hirafusube2015 (5).JPG
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一部の残骸を残して殆ど分生子は飛散してしまった模様。

根元を見ると塊が落ちていた。
hirafusube2015 (9).JPG
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一体、どれだけの数の分生子が飛散されたのかは判らないが
こうやって勢力拡大を目指しているのだよなぁ。


名古屋市東部の某神社のこの樹木(樹種不明)には
毎年ヒラフスベが発生している。
以前の記事にも書いたがヒラフスベは食べられる。
発生したての個体を天ぷらにすると絶品の由(→こちら)。
だが、収穫のタイミングが難しい。
以前、収穫→試食した際には採り頃を過ぎてしまっていた様で
全然美味しくなかった。
一度、ちゃんとした物を食べてみたいなぁ。


2013年10月17日。
様子を見に行くとかなり新しい個体が。
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試しに一つ、もぎ取ってみる。
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内部を見たら、かなり粉っぽい感じ。
これは完全に採り頃を過ぎているのだろうなぁ。

こちらの個体はどうかな。
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こちらはまだ新しい感じ。
食べれるかな?
取り敢えず収穫してみた。

帰宅後、早速調理。
hirafusube2015 (17).JPG

一口大にスライス。
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今回は手抜きして素揚げにしてみた。
hirafusube2015 (19).JPG
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で試食。
hirafusube2015 (21).JPG
うーん、矢張り採り頃を過ぎていたので不味い。
残念。
残り共々、廃棄処分。
勿体無い&申し訳無い。
それにしても採り頃が難しい。


2014年10月3日。
更に様子を見に行った所、
またヒラフスベが発生していた。
本当にこの場所は毎年発生するのだなぁ。
hirafusube2015 (22).JPG

しかも、それこそ発生したての様で
今迄の個体とは質感が違う。
hirafusube2015 (23).JPG

試しにもぎ取ってみる。
hirafusube2015 (25).JPG
hirafusube2015 (24).JPG
内部は真っ白。
正に発生初期の模様。
これこそ採り頃か???
取り敢えず収穫する事に。

帰宅後、早速調理を。
hirafusube2015 (26).JPG

一口大にスライス。
hirafusube2015 (30).JPG
はんぺんみたいに真っ白。
でもジャガイモの様な質感。

今回はちゃんと衣を付けて天ぷらに。
hirafusube2015 (27).JPG
hirafusube2015 (29).JPG

早速試食。
hirafusube2015 (28).JPG
トロッとした歯触り。
マスタケと良く似ているなぁ。
矢張り丁度採り頃だった様だ。
良かった良かった♪

だが、当方としてはマスタケの方が美味しく感じた。
食感は良く似ていたが
旨みがヒラフスベにはあまり感じられなかった。
マスタケを先に食べていなかったら
それなりに美味しく食べれたのかも知れないが
比べてしまうとマスタケの圧勝だなぁ。

有性生殖と無性生殖で、こんなにも差が出てしまうのだなぁ。
鶏の卵でも有精卵の方が美味しい、と言う話があって
本当かどうかは不明だし、実際には違いは無い、とも言うが
マスタケとヒラフスベの場合は
明らかに有精物の方が美味しいと言えると思う。
勿論、環境条件の違いによる個体差の可能性もあるけれど。


残りのヒラフスベ。
捨てるのも勿体無いので加工する事に。
取り敢えず煮てみた。
hirafusube2015 (31).JPG

すると、生クリームの様なねっとりとした細かな泡が湧いて来た。
hirafusube2015 (32).JPG

そのまま煮続けると、細かな泡が消えて、普通の泡になった。
hirafusube2015 (33).JPG
何かの物質が熱で変化したのだろうなぁ。
何が何にどう変わったのかは勿論判らないが。

火が通った所で引き揚げ、布巾で水気を取る。
hirafusube2015 (34).JPG

味噌をまぶす。
hirafusube2015 (35).JPG
名古屋なので八丁味噌w

4〜5日後、取り出して味噌をぬぐう。
hirafusube2015 (36).JPG
ヒラフスベの味噌漬け。
酒の肴になりそう♪



と、思ったのだが、矢張り旨みに乏しかった。
味噌を浸透させても今一つ。
思った程、美味しくならなかった。
うーん、残念。
当方的にはヒラフスベは食キノコ候補からは外さざるを得ない。
まぁ、ヒラフスベにしたら
立候補もしていないのに勝手に落選させられて、
何勝手な事言うてんねん!かも知れないけど。


こちらは3日後、10月6日の様子。
hirafusube2015 (37).JPG
hirafusube2015 (38).JPG
前回収穫しなかった個体がかなり成長している。

折角なので画像を並べてみた。
左が10月3日、右が10月6日の様子。
hirafusube2015 (39).jpg
3日でかなり成長するのだなぁ。
因みに、一番上の個体が
逆に小さくなっている様に見えるのは
その一部をもぎ取って収穫したから。

当方はヒラフスベを収獲する事はもう無いだろう。
今後は成長・成熟して分生子を飛散させる様子の
観察だけをして行こう。
勿論、その方がヒラフスベの望みだろうしね。

また今年もこの場所でヒラフスベに遭遇したい物だ。



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| 多孔菌科 | 17:48 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
アミウズ

当方が拘っている
幾つかのキノコの一つがウズタケだ。
ウズタケとは傘裏のヒダが
同心円状をしていると言う珍しいキノコ。
外見が地味な上、発生も稀な為、掲載されている図鑑も多くない。
ウズタケに付いては以前にも書いた事がある(→こちら)。

発生が稀、との事だが
名古屋東部のとあるフィールドは発生坪の一つのようで
ほぼ毎年、発生を確認している。

今年の9月にもそれらしきキノコが発生していた。
uzutake2014 (1).JPG

此処はウズタケの良く発生している場所なので
ウズタケで良いと思うのだが、念の為に傘裏を確認せねば。
uzutake2014 (2).JPG

しかしこれは中々の大きさだ。
uzutake2014 (8).JPG
uzutake2014 (9).JPG
この感じは矢張りウズタケっぽい。

が、裏返して良く見てみたら同心円状では無く
全体に網目状だった。
uzutake2014 (3).JPG
以前の記事にも書いたが
ウズタケにはヒダが同心円状にならず、網目状になるタイプがある。

だが、中には同心円と網目を混在させる事もあるとの事。
実際に前回の記事で扱った個体は一部が網目状になっていて
同心円と網目が混在しているタイプだった。
uzutake20120910-4.JPG
uzutake20120910-3.JPG

で、今回の個体。
上掲画像の様に様に全面的に網目状だった。
つまり、このキノコは「アミウズタケ」と言う事になる。

ただ、ウズタケとアミウズタケは個体差の範疇で
同一種として扱われる事もある、との事で
例えば『北陸のきのこ図鑑』では
「(アミ)ウズタケ」と表記し
ウズタケとアミウズタケを別種にはしていない。
因みに学名ではアミウズタケは Coltricia montagnei。
別種扱いにした場合のウズタケの学名は
Coltricia montagnei var. greenii と
C. montagnei のバラエティ(変種)の一つである、
と言う扱いになっている。

山渓カラー名鑑『日本のきのこ』によると
ウズタケ(アミウズタケ)は北半球に広く分布するが
ヨーロッパではアミウズタケが多く
日本と北米ではウズタケが多い、との事らしい。
と言う事は、名古屋のこの発生坪は
ヨーロッパ的、と言う事になるのかもなぁ。

ヒダが同心円状である筈のウズタケに取って
ヒダが網目状になる事が
先祖帰りになるのか、進化に当たるのかは不明との事。
どちらにしても、このフィールドの個体は
正にその狭間で揺れている状態の物なのだなぁ。


と、こちらの個体。
黒い地面に黒い物体なので判り難いが
古びたキノコがある。
uzutake2014 (12).JPG
同じフィールドとは言え
先ほどの個体を見つけた場所とは割と離れている地点で遭遇。
ふと見たら足下に転がっていた。
uzutake2014 (13).JPG

ヒダの様子を見ると綺麗な同心円状。
uzutake2014 (14).JPG
だが、かなり古い個体の様子。
雨に晒されてきた所為で砂まみれ。

今までこの辺りでは
ウズタケの発生は確認出来無かったが
雨や風で何処からか転がり落ちて来たのだろう。
何せ地味なキノコの事。
地面と枯れ葉に紛れて目立たない事この上無い。
良くぞ気付いた物だと自分で自分を誉めたい。
それにしても、まるで当方に拾って貰う為に
この場所に転がり出て来たみたいだ。
当方は、この場所のウズタケヌシ様には
気に入って頂けているのかも知れないなぁ。


と、こちらの個体。
uzutake2014 (6).JPG
uzutake2014 (7).JPG
先の「アミウズタケ」があった場所の近くに
発生していた個体。
まだ発生初期の様で、とても小さい。
幅も精々3cmと言った所。

こちらの個体もすぐ近くにあった物。
uzutake2014 (4).JPG
uzutake2014 (5).JPG
こちらも直径が2僂△襪どうか。

この個体はウズタケ・アミウズタケ、
どちらに成長するのだろうか。
観察して行こう。

約一か月後、様子を見ると全く成長していない。
uzutake2014 (11).JPG
uzutake2014 (10).JPG
それ所か、干からびてしまっているでは無いか。
この時期、そんなに乾燥が続いた訳でも無かったのだけどなぁ。
成長できずに枯れてしまった様子。

キノコには往々にしてこう言う事がある。
この個体がウズタケ・アミウズタケどちらに成長したのかを
確認出来なかったのは残念だ。
また次の機会があれば是非観察したい物だ。

このヨーロッパ的?な坪で発生する個体達が
ヨーロッパ風に染まってしまうのか
はたまた日本風で巻き返すのか。
今後の発生状況の観察が欠かせない。
このままウズタケヌシ様には好かれ続けたい物だw


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| 多孔菌科 | 01:54 | comments(5) | trackbacks(0) | pookmark |
うずうず

キノコの傘裏の形状は
柄や基部を中心に放射状に広がるヒダと、
傘裏全体を細かい穴が覆う管孔の、
2種類に大きく分類され
傘を持つキノコの殆どがそのどちらかに分かれる。

所がそれに収まらない数少ないキノコがある。
その一つがウズタケだ。
発生の少ないキノコ、との事で
そのためか、掲載されている図鑑も少ない。

名古屋東部の某所では
2007年5月28日に残骸を見付けた事がある。
uzutake20070528-1.JPG
uzutake20070528-2.JPG
その時は上手く画像に収める事が出来ず
とても残念な思いをした(→こちら)。

今年の9月10日の事。
同所を歩いていて、ふとこのキノコが目に留まった。
uzutake20120910-1.JPG
一見、アズマタケの様に見える(→こちらこちらの5枚目)。

だが、これはもしかして???と気になり、裏面を見てみた。
uzutake20120910-4.JPG
と、渦模様になっているでは無いか。
やはりこれはウズタケだったのだ。

と、良く見ると、渦ヒダの一部が管孔状になっている。
uzutake20120910-3.JPG
実はウズタケは、時としてこの様になるのらしい。
それに関する解説を、長くなるが
保育社刊「原色日本菌類図鑑」(1965)から引用する。

「ウズタケのヒダはしばしば一部分が管孔状を呈することがある。
 したがって、このヒダはかなり不安定な形質であり、
 ウズタケの同心的なヒダは管孔を形づくる壁のうち
 放射方向の位置を占める壁が発達しないために
 このような配列のヒダになったものであるが
 もしそれが発達すれば容易に管孔状になる性質をもっているのである。
 ヒダ状のものが本来の形で、それから管孔状に進む過程にあるのであるか
 或は管孔状が本来の形で、それが一部退化してヒダ状になるのか、
 即ちヒダを進化形と見るか退化形と見るかは不明である。」
 
まさにこれがその状態なのだなぁ。
また、

「ウズタケの子実層托が完全に管孔状を呈する形のものを
 アミウズタケ Coltricia montagnei (Fr.) Murr (Syn. Polyporus
 montagnei Fr. ; Polyporus greenii Yasuda) とよぶ。」

ともある。
また、保育社刊「原色日本新菌類図鑑」(1987)には

「本種の近縁種で子実層托が管孔状を呈するものが
 アミウズタケ Coltricia montagnei (Fr.) Murr である。
 Gilbertson (1986) はウズタケをその中に含めているが
 筆者(今関)は変種とした。」


とあり、続く文章では分類上の所属について
今後の変更の可能性を示唆している。
近年のDNA解析の導入によってどの様な結果が出ているかは
残念ながら当方は知らない。


その後、10月9日に同敷地内でこのキノコを見つけた。
uzutake20121009-1.JPG

見たら、これもウズタケだった。
uzutake20121009-2.JPG
uzutake20121009-3.JPG
古い個体だった所為で、かなり食害されている。

周辺を探すと同じ物が幾つもあった。
uzutake20121009-4.JPG

判り難いので矢印を入れてみた。
uzutake20121009-5.jpg
色が地味なので、やっぱり判り難い・・・・・・

更に周囲を探すとゾロゾロ見付かった。
uzutake20121009-6.JPG
uzutake20121009-7.JPG

uzutake20121009-8.JPG
uzutake20121009-9.JPG

uzutake20121009-10.JPG
uzutake20121009-11.JPG

uzutake20121009-12.JPG
uzutake20121009-13.JPG
uzutake20121009-14.JPG
だが、どれも残骸状の古い個体だった。

殆ど枯れ葉に埋もれていたとは言え
この場所は今まで何回も通っていたのだが
全然気付かなかったなぁ……
しかもこんなに幾つもあるなんてなぁ。

残念ながら残骸以前に、どれも異形のウズタケだ。
図鑑で見るウズタケからはかなり懸け離れている。
以前の「残念な個体」は
この場所のウズタケとしては標準的な形だった様だなぁ。


少し移動した場所にはこのキノコ。
uzutake20121009-16.JPG

これもウズタケだった。
uzutake20121009-17.JPG
こちらはまだ新しい個体だった。
だが、これも異形のウズタケだった。

この個体もヒダが一部、管孔状になっていた。
uzutake20121009-18.JPG
この場所のウズタケは管孔状になりやすい系統なのかもなぁ。


先に書いたが、ウズタケは発生の少ない種類だという。
だが、この名古屋東部はウズタケの一大発生坪だった様だ。
しかも、何年にも渡って発生している様だ。
此処は貴重な場所なのかも知れない。


実は、以前の記事に書いた荘川村のウズタケ(→こちら)も
翌年の2011年に全く同じ場所で再採取している。
uzutake20110816-1.JPG
uzutake20110816-3.JPG
uzutake20110816-4.JPG
此処でもウズタケは継年発生している様だ。

と言う事は、当方はウズタケの発生坪を
2カ所知っている事になる。
これは自慢して良い事なの……かな?
ただ、2012年は時期が合わなかったのか
荘川村での発生は確認出来無かったのが残念だった。


所で、当方が岐阜県荘川村で出逢ったウズタケは
上掲の画像で見ても判る様に
名古屋市東部産の物と比べると、かなり華奢だ。
傘の質感も違っており
「大きさが違う」以上の差異がある。
とても同じ種類とは思えない。
また、名古屋東部産のウズタケも
webや図鑑で見る個体(→こちら)とも、かなり差異がある。
ウズタケにも系統の違う物があるのだろうか。

ひょっとしたらウズタケが
アミウズタケ Coltricia montagnei の一変種、
とされている様に
一変種として管孔が同心円状になるキノコが
他にもあるのかも知れないよなぁ。

荘川村のウズタケは、近縁種の
オツネンタケ(→こちらこちら)に外見が似ているが
名古屋東部のウズタケは、
分類的には離れているアズマタケの方に似ていたしなあ。

ヒダの形が同心円状と言う特徴が強烈過ぎる為に
同じ「ウズタケ」とされてしまっているが
実はこれらは別種なのかも知れない。
つまり、ウズタケは将来的には
複数の種類に分類されるのかも知れない、と予想。

当たってたら密かに誉めて下さいw



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| 多孔菌科 | 11:36 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
マスタケは美味しい
画像はマスタケ。
岐阜県荘川村内にて撮影。
1210masutake-2.jpg
1210masutake-1.jpg
マスタケは、色合いが鱒の肉に似ている事から名付けられた、と言う。
そして、マスタケと良く似ている物に、シロカイメンタケの幼菌がある。
どちらも発生環境が同じで、しかも色合いも形もそっくりなのだ。

以前、これはマスタケだろう、と思い、
それらしきキノコを切って水煮にした事がある。
1210shirokaimen-14.JPG
1210shirokaimen-15.JPG
マスタケは天ぷらが絶品で
その他の料理法はあまり向かない、との事だが
その時は天ぷらをする準備が無い場所で
帰宅までに数日の間があった為に
保存の為に取り合えず水煮にする事にしたのだ。

小さく切って鍋で煮る。
1210shirokaimen-17.JPG
1210shirokaimen-18.JPG
1210shirokaimen-19.JPG
程良く火が通ったであろう頃合いに
試しに一口かじってみた。
と、味も素っ気もなく、
ただ木を齧っている様な感覚だった。
表面がちょっとぬめっとした食感だったので
一瞬「お!?」と期待しただけにショックだった。
どうやらそれはシロカイメンタケだった様だ。

マスタケとシロカイメンタケの食感は全く違うと言う。
「トロリとした」と表現されるマスタケに対して
シロカイメンタケは「木を齧る様な」と表現される。
で、文字通り、本当に、それこそ
木を齧っているとしか思えない食感だった。
それはシロカイメンタケ以外には有り得ない。

シロカイメンタケとマスタケの違いの目安として、
マスタケは畳生、シロカイメンタケは単生と言うのがある。
先のキノコは畳生していたので
マスタケだと思ったのだが、それは違っていた。

この荘川村はこういう風に
畳生しているマスタケ色のキノコを良く見かける。
1210shirokaimen-8.JPG
1210shirokaimen-9.JPG
傘の表面がゴツゴツしているので
これはシロカイメンタケの方だろうな、と思えるのだが、
こちらになるとどちらとも言えない感じだ。
1210masutake-7.JPG

こちらは白くなって来ているのでシロカイメンタケかなぁ。
1210shirokaimen-1.JPG

こうなると完全にシロカイメンタケだよなぁ。1210shirokaimen-2.JPG1210shirokaimen-3.JPG

更に、シロカイメンタケだ。
1210shirokaimen-4.JPG
1210shirokaimen-5.JPG
1210shirokaimen-6.JPG

そして最終的にはこうなる。
1210shirokaimen-7.JPG
これだけ古くなっては何だか判らないけど
多分シロカイメンタケの残骸だと思う。

それはともかく、判断が難しいのが多いよなぁ。


と、こちらのキノコ。
これはちょっと質感が違う感じだ。
1210masutake-3.JPG
1210masutake-4.JPG

今までのシロカイメンタケと思われるキノコに比べて
何となくぬぼ〜っとした印象がある。
これこそマスタケか???

早速切り取ってみる。
1210masutake-5.JPG
切断の際の感覚も全然違う。
こちらの方が刃が通りやすい。

実はこちらがうっかり煮込んでしまったシロカイメンタケの表面。
1210shirokaimen-16.JPG
こうして比べると明らかに違うよなぁ。
ますます期待が高まる。

これは帰宅直前に見付けたので
生でそのまま持ち帰る事にした。
帰宅後、早速一部をてんぷらに。
1210masutake-6.JPG
出来上がりの様子がとてもキノコに見えない。
恐る恐るかじってみる。

と・・・・・・
美味い!
トロリとした食感。
キノコとは思えない風味。
何となく魚のような風味を感じた。
それもあってマスタケなのだろうか。
シロカイメンタケがあまりにも味も素っ気も無さ過ぎたので
とにかく対比が大きかったよ。
マスタケは天ぷらが絶品!と言うのも頷ける。

残りのマスタケは、他の土産物と共に友人に送った。
友人も早速天ぷらにした由。
キノコの天ぷらに見えないその外見と
「元は多孔菌だよなぁ・・・・・・」と言う先入観から
恐々食べた所、その美味しさに驚愕。
(;´Д`)ハァハァ……しながらあっと言う間に完食したらしい。

友人達は「肉の様な風味」と感じたらしい。
何れにせよ、キノコとはまたひと味違う
実に美味しい風味、と言う事だろう。
マスタケ、また是非収穫したい物だ。
 

所で、マスタケの別形態にヒラフスベがある。
その件に関しては以前書いた事がある(→こちら)。
ヒラフスベとマスタケはDNA的には同一だが
有性生殖をするとマスタケに、
無性生殖をするとヒラフスベになるのだ。
とすると、ヒラフスベも食べられるのだろうか。
実はヒラフスベも美味のキノコ、との事だ。
こちらに試食体験記がある(→こちら)。
やはり天ぷらにするとトロリとした食感で美味との事。

とある日、名古屋市内でヒラフスベに遭遇した。
見た所、まだ新しそうだ。
1210hirafusube-2.JPG
1210hirafusube-3.JPG

取り敢えず収穫してみた。
1210hirafusube-4.JPG
1210hirafusube-5.JPG
こちらは断面。

早速天ぷらに。
1210hirafusube-6.JPG
1210hirafusube-7.JPG
1210hirafusube-8.JPG
1210hirafusube-1.JPG
で、お味は・・・・・・


あまり美味しくなかった。
それ程トロリとしていなかった。
味や風味もあまり感じなかった。

採り頃を過ぎてしまっていたのだろうかなぁ。
それこそ発生初期の幼菌でないとダメなのかもなぁ。
うーむ、残念・・・・・・

実は、このヒラフスベを先に体験して、この様な結果だったので
マスタケを食べるのはかなり勇気が要った。
所が、案に相違してマスタケがあまりにも美味だったので
このヒラフスベはタイミングを逸した、
残念な状態の物だったのでは、と実感した次第。
機会があれば新鮮なヒラフスベでリベンジしたい物だ。
リベンジした記事はこちら→「有精と無精」


所で、今回の件で
マスタケとシロカイメンタケ幼菌の
外見的な違いが良く判った。
シロカイメンタケはどんな幼菌でも
俺はホントは堅いんだぜぇ、と訴えている、と言うか
何となくゴツゴツザラザラとした感じなのだが
マスタケは全体にぬぼ〜っとした質感だ。
先に上げた画像で判る様に
比べて見ると明らかに違っている。

マスタケの老菌には出逢った事が無いのだが
多分老菌だと余計に差がでるのでは無いだろうか。
先に上げたこの画像。
これだけ成長してもあまりゴツゴツした感じもしないので
何となくマスタケの老菌では無いかと思うのだけどなぁ。
1210masutake-7.JPG
勿論、何の確証も無いけど。
マスタケだったとして、多分採り頃は過ぎてるだろうしなぁ。

とにかく、これでもう今後はマスタケとシロカイメンタケを
間違て収穫してしまう事は無いだろう。
あの味気ない木の塊をうっかり齧ってしまう事も無い筈だ。


今回、判った事がもう一つ。
岐阜県荘川村界隈はシロカイメンタケが圧倒的に多く
マスタケはとても少ない、と言う事。
しかも、シロカイメンタケも畳生するタイプがとても多い、と言う事。
今まで荘川村界隈で「マスタケ色」のキノコを沢山見てきたが
それの殆どはシロカイメンタケの幼菌だった様だ。
確実にマスタケだったのは今回も含めて2回だけだ。

今後もこの荘川村界隈でマスタケ色のキノコに出逢う事はあるだろう。
それが実際にマスタケだったら嬉しいなぁ。
またあのトロリとした食感と
キノコとは思えない不思議な風味を味わってみたい物だ。


と言う訳で、以前「マスタケ」としてUPしたこちらの ↓ キノコ。
1210shirokaimen-10.JPG
1210shirokaimen-12.JPG
1210shirokaimen-11.JPG
この質感は、どうやらシロカイメンタケだったのでは、と思われます。
此処に謹んで訂正させていた頂きますm( _ _ )m
当該の記事はこちら



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| 多孔菌科 | 00:10 | comments(15) | trackbacks(0) | pookmark |
玉の汗

 フィールドでキノコ観察をして居ると
沢山の水滴の付いているキノコに出逢う事が時々ある。
キノコも炎天下で大汗をかいている、と言う訳では無く
それは「分解水」または「代謝水」と言う物で
キノコが成長する為に有機物を分解し
吸収する際に排出される水分だ。
とは言え、どのキノコにでも見られる物では無い。
一番それを良く見掛けるのはツガサルノコシカケだ。

それがこちらの画像。
bunkaisui-tsuga-24.JPG
若い、成長力の旺盛な時期に良くこの様な光景が見られる。
饅頭型の盛り上がった幼菌の全面に水滴が付いている。

キノコムシ?は友情出演w
bunkaisui-tsuga-25.JPG


こちらは丸太の切断面に発生していた所、
その丸太を立てられてしまった為に
妙な形になってしまった個体。
bunkaisui-tsuga-12.JPG

全体的に幼菌だが、
新たに成長し始めた部分だけに分解水が付いている。



こちらは成長段階毎の様子。
2011/05/20。
出始めたばかりの小さな幼菌の全面に分解水が付いている。
bunkaisui-tsuga-1.JPG
bunkaisui-tsuga-2.JPG

2011/07/22。
傘縁の部分に少しだけ分解水が付いているのが見える。
bunkaisui-tsuga-4.JPG

2011/08/26。
この時には分解水は見当たらなかった。
bunkaisui-tsuga-5.JPG
成長による物なのか、たまたまなのかは不明。

2011/10/18。
ここ迄になったらもう分解水は全く出ない様だ。
bunkaisui-tsuga-6.JPG

2012/04/27。
その子実体が何者かに取り去られた後、
同じ場所に更に幼菌が出始めていた。
bunkaisui-tsuga-7.JPG
bunkaisui-tsuga-8.JPG
矢張り分解水が全面にびっしり。

2012/07/23。
傘縁の部分には引き続き分解水がびっしりだった。
bunkaisui-tsuga-10.JPG
bunkaisui-tsuga-11.JPG
此処の個体はとにかく成長力が旺盛な様だ。
その分、分解水の排出も多いのかも知れない。


だが、若いからと言って、必ず分解水が出ている訳では無い。
こちらの個体は成長が旺盛な筈なのだが分解水は見当たらない。
not-bunkaisui-tsuga-1.JPG
not-bunkaisui-tsuga-2.JPG
分解水の有無は個体差が大きい様だ。


成菌になってしまうと勿論分解水は見られない。
not-bunkaisui-tsuga-3.JPG
分解水は若さの象徴だ、とも言えるだろう。


ツガサルノコシカケの分解水はご覧の様に透明だが
中には色付きの物もある。
こちらはチャハリタケ(Hydnellum)属と思われるキノコが
排出していた物。    
bunkaisui-chahari-2.JPG
bunkaisui-chahari-1.JPG
bunkaisui-chahari-3.JPG
この様にグロさが目を引く為に、
web上にUPされている画像もかなり多い(→
こちら)。
このキノコはニクウチワタケでは無いか、とのご指摘を頂きました。
調べた所、ニクウチワタケの可能性が高く、
少なくともチャハリタケ属では無い事が判りました。
Iさん、ご指摘頂きまして本当に有難う御座居ました。
【2012年9月1日追記】

硬質菌以外ではホシアンズタケのそれが有名だ(→こちら)。


中には分解水が付着する事が報告されていないキノコにも
分解水が観察される事もある。
こちらはヒラフスベ。
bunkaisui-hirafusube-1.JPG
bunkaisui-hirafusube-2.JPG
毒々しい色の分解水が見受けられる。

ティッシュに吸わせてみると褐色の色合いだった。
bunkaisui-hirafusube-3.JPG
この画像に関しては以前の日記で取り上げた事がある(→こちら)。


普段、分解水を発生させない種類でも
何かの加減で付着させる事があるのかも知れない。
こちらは種不明のキノコ幼菌から発生していた物(→こちら)。
こちらは以前UPした画像。
kiiro-sepe-2.JPG
キイロイグチに寄生した Sepedonium chrysospermum から
排出されていた物。
こんな例もあるのだよなぁ。

実は分解水はキノコの栽培現場に於いては「吐水症」と言われ
好ましからざる現象とされている。
分解水の有無の意味は種によってかなり違う様だ。


所でこの分解水。
成分に何かが含まれていてどうだ、と言う話は聞かない。
中国でも分解水は見られるとは思うのだが
本草書や漢方の分野で言及された例を知らない。
例えば菊の花に降りる朝露を「菊の露」又は「菊の雫」と言って
それを飲む事によって無病息災、長生の効果がある、とされているが
(「菊の露」「菊の雫」の名の清酒や食品、
 化粧品があるのはその縁起を担いだ為と思われる)
「キノコの露」に対してはそんな話は無い様だ。
先にも書いたが、分解水は若さの象徴の筈なのだがなぁ。

この世にある、あらゆる物に
薬性を見出そうとした中国でも相手にされなかった、
もしくは結果の報告が伝承されていないのだから
分解水には実質的にも呪術的にも特段の毒性も
何がしかの薬効も無いのだろう。

うーむ、残念だ。
何かの劇的効果があるのなら見付け次第飲むのになぁ。
木の根元にしゃがみ込んででもベロベロ舐めるよ。
なんてねw

もっとも、白樺の樹液が飲料水として売られる時代だ。
それならば、キノコの幼菌が排出する分解水に
商品価値を見出す人が現れても不思議は無いだろう。
もし販売されたら、ちょっと飲んでみたい気はするなぁ。
当方がその商売に手を出す気は無いけどね。
だって、とてもじゃないけど
商売として成功するとは思えないしなぁ……w


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| 多孔菌科 | 00:07 | comments(10) | trackbacks(0) | pookmark |
縦か横か
gorosukeさんによりますと愛知県内には
オオミノコフキタケとコフキサルノコシカケが混在しており、
御神木の個体はコフキの可能性がある、との事です。
確かに『北陸のきのこ図鑑』の記載文

【コフキサルノコシカケ】
 馬蹄形〜腎臓形で年を経るほど鈍縁
 灰褐色〜暗褐色の濃淡、環溝で環紋を顕著に表わす
 (環紋が明瞭で細かい)

【オオミノコフキタケ】
 半円形〜腎臓形でやや鈍縁
 淡灰褐色〜灰褐色〜暗褐色の乱れた環紋と環溝を示す
 (前者より白っぽく、縁部が薄く環紋が乱れている場合が多い)
 
で見ると、御神木の個体は
コフキサルノコシカケの方が良く当て嵌まっている様です。
「年を経るほど鈍縁」の意味が良く判らなかったのですが
年を経るほど厚みを増す、と言う事だったみたいですね。

今更本文の全面改訂はしませんが、以上の事をお含みの上
お読み下さいます様、お願い申し上げます。

gorosukeさん、ご教示有難う御座居ました。

                  (2012年2月7日追記)



こちらはオオミノコフキタケ。
kofuki-N-080723-1.JPG
以前は「コフキサルノコシカケ」と思われていたが
研究の結果、それとは別種で
新たに「オオミノコフキタケ」と名付けられた、と言う件は
以前も書いた事がある(→こちら)。
上画像のオオミノコフキタケはその記事中でも登場した物。
近所の神社の御神木に生えている。
2008年7月23日に撮影。

サルノコシカケの仲間は多年生の物が多い。
このオオミノコフキタケも支障が無ければ
この先何十年も成長し続けるだろう。
なので、それ以来、経過観察を続けている。
その画像が結構溜まったので以下に並べてみる。
既出の画像もあるが、その点は御容赦を。

こちらは2008年7月23日。
kofuki-N-080723-2.JPG
ここから始まり。

8月25日。
kofuki-N-080825.JPG
一番下の部分が微妙に膨らんでいる様に見える。

2009年6月19日。
kofuki-N-090619.JPG
明らかに段が増えている。

2010年5月8日。
kofuki-N-100508.JPG
更に段が増えている。

2010年9月17日。
kofuki-N-100917.JPG
かなり段が増えている。

2010年10月4日。
kofuki-N-101004.JPG
微妙に段が増えている。

2010年10月29日。
kofuki-N-101029.JPG
最下部が少し厚みが増している様だ。

2011年3月2日。
kofuki-N-110302.JPG
変化は無い様子。

2011年7月4日。
kofuki-N-110704.JPG
段が増えている。

2011年7月22日。
kofuki-N-110722.JPG
更に段が増えている。

2012年1月23日。
kofuki-N-120123.JPG
最下部が微妙に膨らんでいる。


不定期の撮影なので、正確な成長具合は判らないのだが
縦方向に成長し、どんどん厚みを増していっているのが良く判る。
こうして通して見てみると、ある程度の傾向が読み取れる。

この個体は6月から8月頃までの間、胞子を飛散させている。
それに合わせて、と言うか、それに備えて厚みを増している様だ。
そして秋から翌年の6月頃迄は
多少の成長をしつつ、エネルギーを蓄えているのだろう。

傘の裏の管孔部分は胞子を形成する器官(子実層)だ。
恐らくその部分を毎年更新し
新鮮な器官で健康な胞子を形成しているのだろう。
前年の子実層は性質が変化し
新鮮な子実層の土台となっているのだろう。

だが、どうせ同じエネルギーを使うのなら
横方向に成長し、子実層の面積を広げて
胞子をより多く形成・飛散出来る様にした方が
得策だと思うのだがなぁ。
それよりも子実層を毎年更新する方を選んでいる訳なのだなぁ。
と言う事は、胞子を形成する器官(担子器)が
元々毎年更新を前提に作られているのだろうなぁ。

だが、このまま成長を続け、厚みを増大し続けて行って
管孔面が地面に付く様になったらどうするのだろう。
その時は仕方無く横に広がるのかなぁ。
それが何十年先になるのか判らないけど
取り敢えず、今後も観察は続ける予定。


こちらは少し離れた、別の神社の境内の切り株に発生していた個体。
2008年10月7日撮影。
kofuki-N2-081007.JPG

2008年12月2日。
kofuki-N2-081202.JPG
殆ど変化は無い。

2009年4月22日。
kofuki-N2-090422.JPG
こちらも特に変化は感じられない。

2009年6月23日。
kofuki-N2-090623.JPG
下側が少し膨らんでいる様に見える。

2009年8月10日。
kofuki-N2-090810.JPG
折り取られて転がっていた。
恐らく近所のガキにでも蹴られたのだろう。
成長の変化があまり感じられないまま終わってしまったのが残念だ。

折り取られた部分には白い幼菌が見えている。
今後はこの幼菌の成長を観察しよう、と思ったら
暫く後にこの切り株自体が撤去され
境内全体が砂利敷きに整備されてしまった。残念。
他人の土地での長期に及ぶ経過観察とは難しい物だよなぁ……


こちらも以前に紹介したオオミノコフキタケ(→こちら)。
以前住んでいた東大阪市の
とある学校のフェンス際に生えていた。
2005年4月25日撮影。
kofuki-H-050425-1.JPG
その時にも比較したのだが、再度掲載。

こちらは2005年4月25日。
kofuki-H-050425-2.JPG

こちらは2008年2月14日。
kofuki-H-080214.JPG
3年間で一回り大きくなっているだけだ。
この個体は横の成長を基本にしているタイプの様だ。
良く見ると厚みも増している様に見えるが
先の御神木の個体程の成長では無い。
横に成長するタイプは、縦に成長するタイプに比べて
成長のスピードがかなりゆっくりなのかもなぁ。

そうなると、縦に成長するタイプと、横に成長するタイプとで
本当にDNA的に同じオオミノコフキタケなのかが疑わしくなる。
以前は「コフキサルノコシカケ」として一纏めにされていた物が
コフキサルノコシカケとオオミノコフキタケに分けられた様に
この2タイプも将来的には別種に分けられるのかも知れないなぁ。

因みに、この個体も矢張り毎年梅雨〜夏に掛けて
この様に胞子を飛散させていた。

つまり、毎年更新では無く
何年も同じ子実層で胞子を形成していた事になる。
となると、毎年更新の縦成長タイプの個体とは
細胞の成り立ちが根本的に違うのだろうなぁ。
矢張りDNA的に同じ物とは思えないよなぁ。

この後、名古屋に転居してしまったので
このオオミノコフキタケの事は気になっていた。
で、最近、東大阪に行く機会があったので4年振りに様子を見てみた。
すると……

こんな状態になっていた。
kofuki-H-120112-1.JPG

kofuki-H-120112-2.JPG
立ち枯れの木は撤去され、
オオミノコフキタケも金網に食い込んでいる一部を残すだけとなっていた。
うーむ、残念……

別にフェンスを改築した訳でも無いのだから
そのまま成長させてやれば良いのになぁ。
気持ち悪いだとか、何か苦情でもあったのかなぁ。
勿体無いし、可哀相だよなぁ……
特に何かの邪魔になっていた訳でも無かったのにこれだ。
事程左様に、他人の土地での経過観察は難しい……


最初の縦方向タイプの個体は御神木に生えている。
なので、ガキに蹴り折られる事も無いし
神社の人も無碍な事はしないだろう。
とにかく今後の成長を気長に見続けて行きたいと思う。


ただ、社務所からの死角の位置にある御神木のそばで
うずくまって何か(撮影だけどw)をしている怪しい風体の男、として
何回も注意されてしまっているので(その都度説明はしているけど)
立ち入り禁止になって観察不能になったりして……(;´Д`)

とにかく長期の経過観察は色々と難しい物だよなぁ……


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