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毒あり 毒無し その5

名古屋に限った事では無いだろうが
ここ数年は天気の流れが妙な気がする。
たまに雨が降ったかと思うと
何週間もの間カラッカラで一切雨が降らなかったりする。
まるで雨季と乾季を短いサイクルで繰り返している様だ。


洗濯物は良く乾くので有難い事ではあったが
キノコ的にはあまり好ましい状態ではない。

特に秋口に極度の乾燥状態になる事が多かった。
なのでこの数年、シロテングタケの発生は少なかった。

 

勿論発生がゼロだった訳では無いが
遭遇した時点ではあまり良い状態では無かったりで
当方にとってはタイミングが合わなかったのだ。
その為、「シラフタケの実証実験」がこの数年止まったままだった。

 

過去に何度も触れているが、

致死毒キノコであるシロテングタケは
東北北部のとある地域ではマツタケの代用品として
シラフタケ、シラフマツタケと呼ばれて

重宝されている、と言う。

※シロテングタケ関連の記事のアーカイブ→こちら


そのシラフタケとシロテングタケとは外見的には差異が無い。
だが、DNA的にどうなのか、の研究は成されてはいない様だ。

そのシロテングタケと思われるキノコが名古屋でも発生している。
それがシラフタケだとしたら

マツタケの代用品として使えるかもしれない。
果たして・・・・・・

 

だが、上記の様にここ数年、名古屋での発生があまり見られなく
その追及は中断していた。
2020年の9月も雨は少なく、

今年もダメかなぁ・・・・・・、と半ば諦めていたのだが

9月下旬にシイノトモシビタケを

観に連れて行って貰った際(当該記事→こちら)、

途中で立ち寄った場所に
シロテングタケがとてもたくさん発生していた。

シロテングタケの大きな特徴の一つの

幼菌の時にヒダの部分を保護して居た被膜が

成長とともにちぎれて

レースの様に垂れ下がっているのがハデで綺麗(・∀・)♪

 

今後名古屋でシロテングタケが発生するかどうかは判らない。
なので、その一部を持ち帰る事にした。

その後、名古屋では

シロテングタケに遭遇する事は結局無かったので
ここで持ち帰っていて本当に良かった。
F氏とTさん、本当に有難う御座居ました (-人-) ナム〜

 

さて、持ち帰ったシロテングタケは一部は水煮に、

そして一部は生のままSさんに送った。

因みに、瓶詰や梱包した状態を撮影するのを

すっかり忘れてしまってたーよ・・・・・・(;´Д`)


Sさんは信州出身のキノコ猛者。
キノコを採取し食べる、と言う事への情熱は高く、そして深い。
信州を離れて暮らしている今では
フリマサイトで山採りキノコを取り寄せる事にも情熱を注いでいる。

 

当然マツタケも自分で信州で採取する他に
フリマサイトや通販で色々なマツタケを入手し食している。
その追及意欲は中国産マツタケ、北米産マツタケに留まらず
2020年の岩手産マツタケ、トルコ産マツタケ、
果てはマツタケモドキ、ニセマツタケにまで及んでいる。

 

尚、バカマツタケは今年フリマサイトで購入したのだが
実際に送られて来た物はニセマツタケだったので
バカマツタケはまだ食べた事は無い、との事。
因みにその件は、出品者がバカマツタケの事を良く知らなかっただけで
詐欺の意図は無かった事が判明している。
Sさんの指摘に素直に反省と謝罪があった由。

 

と言う訳でマツタケに対する有難みに疎い当方と違って
Sさんなら「シラフタケ問題」に対しての正確な判定をして貰える筈だ。

到着してすぐに開封し、匂いを嗅いだ由。
で、Sさん曰く全っ然違う!との事。

 

やっぱりそうかー
まぁ、収穫してた時にF氏も同じ事を言っていたよ。
いや、当方だってマツタケと同じだと迄は思ってなかったよ。
マツタケに疎い当方からしたら似た系統の芳香かな、と思ったのだけど
それはダイコンやニンジンに比べたらマツタケに近い、

と言う程度の事だったのかもなぁ・・・・・・

やっぱマツタケとシロテングタケは別物かー

まぁ、当然か。

 

 

その後、色々やり取りをして考察した事を以下に。


シラフタケをマツタケの代用品に、と言うのは
香りの問題だけでは無いのではないのかも知れない。
スライスした時の形と歯応えが重要で
更に「出汁が出る事」がポイントだったのでは無いだろうか。

 

スライス品がマツタケに近い物で言えばエリンギがある。
webで検索するとエリンギを使った

「なんちゃってマツタケご飯」のレシピが

それこそ山ほど出て来る。

そう言えば昔見たTV番組で
スライスエリンギにマツタケ香料を掛けて作った物を
「マツタケご飯」として出した所、

それを食べたタレント達は全員が見事に騙されていた、

てのがあったっけ。
それだけ形と歯応えはマツタケに似ていると言う訳なのだろう。

 

だが、エリンギはマツタケの様な出汁が出ない。
エリンギはヨーロッパ原産の種類なのだが
日本に自生していたとしても
それが理由でマツタケの代用品にはされなかったかも知れない。

 

また、Sさんによると信州ではマツタケが採れなかった時には
仕方無いから、と言う理由でオオツガタケを代用品にしていたと言う。
その為か、地元ではオオツガタケを「サマツ」と呼んでいた由。

オオツガタケとマツタケでは全くの別物だが

スライスした時の形状はとても良く似ている。

そして独得の良い香りと出汁が出る点で共通している。

それ程「出汁が出る」事が重要と言う事なのだろう。

Sさんによると瓶詰のシロテングタケからは
出汁が出ている香りがした、との事。


その昔、京都の人達は上流階級では無くとも
季節になるとマツタケを普通に食していたと言う。
その頃の評価では伏見や竜安寺産のマツタケが最上品で
今では最高級ランクの丹波産などは下等品だった、との事。
当時は輸送技術、保存技術が低かった為に
収穫してすぐに食べられる近場の物以外は
丹波産の物ですら香りが落ちてしまう為に下等品扱いだったらしい。

 

それ程迄に新鮮さを重視していたマツタケだが

当時でもマツタケを長期保存する為に

マツタケを塩漬けにする事は盛んに行われており

「漬け松茸」「塩松茸」の名で市場でも売られていた由。

塩漬けマツタケは会食や懐石料理等

ちょっとした御馳走の食材として、

多くは吸い物の具材として一年中使用されていたらしい。

 

それを使用する際には水に浸して塩抜きしなければならない。
そうなると香りは殆ど抜けてしまうのだが
そうしてでも「マツタケの吸い物」を

特別な食事として食べたかった訳なのだろう。
となると形と歯応えと出汁が重要視されるのも当然だろう。
シラフタケは他のキノコに比べると

それに相応しいと言う事なのかも知れないなぁ。

 

尚、マツタケの保存法としては塩漬けの他に

乾燥させた「干し松茸」と言うのもあったそうだが

香りが飛んでしまう点では変わらないだろう。

技術の進んだ現代でも

マツタケの香りを失わさせずに長期保存するのは不可能の由。

マツタケが高価なのもむべなるかな、て事か。

  小川真『「マツタケ」の話』、岡村利久『まつたけの文化誌』等より適宜要約


因みにSさんによると水煮のシロテングタケの香りは
ニセマツタケのそれに似ていたらしい。

その意味でもシラフタケは

マツタケの代用品なのかもなぁ。
ただ、飲んでいないので
シロテングタケから本当に出汁が出ていたかどうかは不明。
どんなに薦めても飲んでくれなかったなー
残念w

 


結局シラフタケ問題の完結は出来無かったが

一つの区切りは出来たかと思う。

お陰で色々な知識を得る事が出来た。

それが合っているかどうかは別として色々な考察も出来た。

Sさん、有難う御座居ました。
そしてそのチャンスをくれたF氏とTさん、有難う御座居ました。

 

 

2021年も、色々なキノコに出逢えます様に。

(-人-) ナム~

 

 

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| テングタケ科 | 20:15 | comments(2) | - | pookmark |
毒あり 毒無し その3

2017年夏、名古屋東部ではまたシロテングタケが発生していた。

srtngtk180131 (1).JPG

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殻を破ってすくすく成長中、て感じ。

 

こちらは育ち過ぎ。

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こんな老菌の段階でも外皮幕の残骸が残るのだなぁ。

 

シロテングタケに関しては既に何回か記事にしている。

   ※シロテングタケまとめ→こちら

 

其処でも書いているが、北東北の一部では
このシロテングタケを「シラフタケ」と呼んで食用としている。
マツタケと似た香りがするので塩蔵し
正月の吸い物用として重宝しているのだと言う。

 

だが図鑑上ではシロテングタケは致死性の猛毒キノコとされている。

恐らく「シラフタケ」とシロテングタケは
外見的には区別出来無いのだが、DNA的には別種なのだろう。
シロテングタケの類似種にドクシロテングタケと言うのもあるし
その他にも未知種があるのだろう。
「シラフタケ」がその一つである可能は高い。

ただ、「シラフタケ」に関しての研究は進んでいない様だ。

まぁ、当方が知らないだけで既に研究し尽されているのかも知れないけれど。

 

さて、名古屋に発生しているこのシロテングタケ。
猛毒キノコなのか、無毒の食用キノコなのかは不明。
誰も試食していないのだから判らない。
当方も試食する予定は今の所無い。

だが当方は以前、シロテングタケを水煮の瓶詰にした。
匂いが本当にマツタケのそれに似ているのかを検証する為だ。

 

 

でも、考えたらそれだけでは不十分だよなぁ。
北東北では塩蔵しているのだ。
それを再現してこそ「シラフタケ」の扱いに言及出来るのでは無いだろうか。

と言う訳で、早速シロテングタケを採取して水煮→塩蔵してみた。
それがこれ。

srtngtk180131 (6).JPG

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ニオイを嗅ぐと、所謂「きのこ臭」とは違う独特の香り。

 

そして、更に「シラフタケの検証」に必要な物がある。
それはマツタケだ。
マツタケの塩蔵品と匂いを比較して初めて

北東北の人達がこれをマツタケの代用品にしている理由が

実感・実証出来ると言う物。

 

国産のシロテングタケと比較させる為には
国産のマツタケを使用するべきだろう。
だが、マツタケは周知の通り、とても高価だ。
国産の物だと1本数万円するのもザラだ。
輸入物の普及品と言えど大概数千円する。
それを塩蔵する実験の為だけに購入するのは
低所得者の当方あまりにもハードルが高い。

でもこのままでは中途半端だしなぁ。
どうした物か……

 

と思っていたら近所のスーパーでこんな物を見付けた。

mttk180131 (1).JPG

安い!あまりにも安い!w

しかも元から安いのに更に半額だしw


これだけ安いと香りが本物かどうか判らないなぁ。
匂わないクズの物、もしくは元々匂わないマツタケ類似品に
合成のマツタケ香料を振り掛けた物かも知れないのだ。
でもまぁ、それでも良しとしよう。
これを逃したら当方がマツタケを買うチャンスは
もう2度と無いかも知れないだろうからなぁ。

 

なので早速購入。

帰宅し、包みを開ける。

mttk180131 (2).JPG

うん、一応マツタケの香りはする。
人工の香りかも知れないが、当方には天然物との違いは良く判らない。
これで充分だ。

 

早速水煮を。

mttk180131 (3).JPG

その作業中、室内に漂う香りで言うと
シロテングタケもマツタケも全く同じに思えた。


で、塩蔵。

mttk180131 (4).JPG

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で、ニオイを嗅いでみる。

 

うーん、香りがしないw

煮ている際に飛んでしまった様子。

確かに作業中、香りが家中に充満していたなぁ。

矢張り合成のマツタケ香料を後から振り掛けた物だったみたいだ。

矢張り国産のマツタケを使わないとダメなのだなぁ。

買うのはとてもじゃないけど無理なので

自力で探さないとならないか・・・・・・

名古屋東部にそんな環境が中々無いのが問題だけど。

 

 

と言う訳で、「シラフタケの検証」は不十分なまま。

道はまだ遠いなぁ・・・・・・

 

 

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| テングタケ科 | 00:11 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
毒あり 毒無し その2

こちらはシロテングタケ。

shirotengu2016 (1).JPG

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転居先の近くの里山に幾つも発生していた。

 

シロテングタケは以前にも記事にしたことがある(→こちら)。
その時にも書いたが
シロテングタケは本州の中北部に多く分布する毒キノコだが
東北北部のごく一部地域で発生する物は無毒の為、食用にされている由。
マツタケの様な香りがするので保存してマツタケの代用品として
正月に吸い物として供されている、との事。

 

名古屋東部はこのシロテングタケに取って

居心地の良い場所の様で頻繁に発生している様子。

更にこの場所は余程合っている環境なのか

とても多くの個体が発生して居た。

shirotengu2016 (5).JPG

 

こちらでは列をなして発生して居た。

shirotengu2016 (7).JPG

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大きな菌輪の一部なのかも知れないなぁ。

 

前回も書いたが、シロテングタケの大きな特徴の一つに

放射状に避けたツバの残骸が

傘の周辺にカーテン状に垂れ下がる、と言うのがある。

 

傘が開く前はこの様に全体が覆われているが

shirotengu2016 (3).JPG

 

傘が開くと共に、まず柄から剥がれる様に裂け

shirotengu2016 (6).JPG

 

やがて放射状に裂け始める。

shirotengu2016 (4).JPG

 

そしてこの様に垂れ下がる。

shirotengu-14.JPG

因みに、こちらは前回の記事からの引用。

今回の場所ではタイミングの問題だったのか

個体差なのかは不明だが

この様な状態に垂れ下がっている個体は見られなかった。

 

 

先にも書いたがシロテングタケはマツタケのような香りがする、との事。

前回シロテングタケに遭遇した際に
うっかりその匂いを嗅ぐ事をしていなかった。
その後、良い状態のシロテングタケに遭遇出来なかった為に
匂いの確認をすることが出来ず、悶々としていた。
それが2016年、この場所で状態の良いシロテングタケに遭遇できたのだ。
これで匂いを嗅がずに居れようか。

 

で、その匂い。
いわゆる菌臭では無い、揮発的な香り。
マツタケの芳香臭に確かに似ている。

これで毒キノコで無いのなら
マツタケの代用品にするのは当然と言えるだろう。

 

所で当方、マツタケにそれ程思い入れは無い。

マツタケの芳香にも特別な感情は無い。

実を言うと「良い香り」とは思えないのだ。

欧米人からするとマツタケの芳香は「靴下のすえたニオイ」と感じる由。

当方は其処までの臭気とは感じないが

その表現に「あぁ、成程」と納得は出来る。

当方は見た目は完全な日本人のオッサンだが

嗅覚に関しては欧米人的なのかも知れないw

なので、マツタケの芳香が好きで堪らない人からしたら

シロテングタケのニオイは「マツタケと全然違うやんけ!」

となるかも知れないが

あくまでも当方には「同じ方向性の臭気」と感じられた次第。

ただ、北東北の産地のシロテングタケはもっと強烈なニオイらしい。

前回の記事でも紹介したサイトに

その辺りの事が詳細に書かれている(→こちら)。

このニオイの違いは種類が違う事による差異なのか

地域差もしくは個体差なのかは不明。

 

さて、北東北ではこのキノコを塩蔵保存し

塩抜きして正月の吸い物に供する、との事だが
それでは塩抜きしてから調理する際に
かなり香りが抜けてしまうだろう。
なので当方は水煮にする事にした。

 

手頃な物を収獲。

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柄の部分を接写。

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この見た目も何となくマツタケぽいかも。

 

泥の付いた表皮を剥いてみる。

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白色が綺麗。

 

輪切りにしてみるとこんな様子。

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かなり虫に喰われている。

シロテングタケは虫に取って美味しいキノコの様子。

うーむ、これでは使えないなぁ。

 

仕方無いので傘の部分のみを使う事に。

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暫く煮立たせる。

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火が通ると色合いが変わった。

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手頃な空き瓶に入れ、水煮の瓶詰めの完成。

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これなら香りはそれなりに保存される筈だ。

 

さて、このシロテングタケ。
先にも書いたが無毒なのが確認されているのは北東北の一部のみで
それ以外の場所で発生している物は死亡例のある猛毒キノコとの事。
名古屋で発生している物も猛毒である可能性は高い。


だが、恐らくそれを実際に確認した人はいないと思われる。
だから無毒で食べられる可能性も否定できない。

マツタケの気分が味わえるこのキノコ。
先にも書いたが当方はマツタケに特に思い入れは無いので
その香りを味わいたいとはそんなに思わない。
なので、どなたかこれを試食していただけないだろうか。
これが当たり(中り)でも外れでも
菌学の貴重なデータになる事は間違い無し!


ご希望の方にこの瓶詰めを進呈しますので是非ご一報を。

 

  

※シロテングタケ関連の記事のアーカイブ→こちら

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| テングタケ科 | 00:05 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
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こちらの画像はヘビキノコモドキ。
何とも不気味な名前のキノコだ。
hebikinoko-18.JPG
「モドキ」が付いているからには
それの付かない「ヘビキノコ」と言うのが
ある事になる訳なのだが
「ヘビキノコ」は「キリンタケ」の別名となっている。
どちらも動物の名前由来になっているが
命名の理由は判らない。
傘の模様からの連想なのだろうかなぁ。

ヘビキノコモドキは灰褐色の地に
地色より濃色のイボ(ツボの残骸)がある。
そして、柄の暗褐色のだんだら模様が特徴。
hebikinoko-4.JPG
hebikinoko-6.JPG
キリンタケも良く似ているが
キリンタケは傘の地色とイボの色の関係が
ヘビキノコモドキと逆なので見分けが付くだろう。
勿論、個体差もあるので確実な判別法とは言えないが。

東大阪在住時、その界隈では見た事が無かったのだが
此処、名古屋東部では結構発生が多い。
愛知県が花崗岩地域で、
名古屋市東部には第四期更新世の土壌が露出している、
と言うのと関係があるのかも知れないなぁ。

加えて、名古屋で発生しているヘビキノコモドキは
傘の色が銀色がかっているが多く
ややもすると金属光沢の様に見えてしまう。
まぁ、当方がヘビキノコモドキと思っている物が
DNA的に本当に「ヘビキノコモドキ」なのかは勿論判らないが。

先にも書いたがヘビキノコモドキは
灰褐色の地に、地色より濃色のイボがあるのが特徴。
大人な、シックな配色と言えるかもなぁ。
だが、その様子には個体差がとても大きい。
以下、成長の様子と共に、その個体差の色々を列挙。

こちらは発生したばかりの超幼菌。
hebikinoko-2.JPG
傘は全体がマットな暗灰褐色。
これが成長と共にひび割れてイボとなって行く。

こちらは少し成長した個体。
hebikinoko-3.JPG
傘の灰色部分がひび割れ、イボとなり始めた。


こちらは褐色系の個体。
hebikinoko-11.JPG
小型の個体なので、イボが相対的に大きく見える。
因みに、この固体は傘の地色がかなり金属光沢している。

傘が開き始めた個体。
hebikinoko-15.JPG
ツバが見えている。
この固体はかなり明色タイプだなぁ。

こちらは成菌。
hebikinoko-16.JPG
hebikinoko-5.JPG
傘のイボ、だんだら模様の柄、膜質のツバ、
環状模様の残骸状のツボ、と全ての特徴が揃った個体。
図鑑向きの画像かもw

こちらは柄が太短い個体。
hebikinoko-13.JPG
こう言う個体も結構見掛ける。

こちらは柄のだんだら模様が目立たない個体。
hebikinoko-1.JPG
ちょっと悩んだが、これはヘビキノコモドキだと思う。

こちらは傘のイボが目立たない個体。
hebikinoko-8.JPG
これもちょっと悩んだが、矢張りヘビキノコモドキだと思う。
この個体も傘が金属光沢していた。


傘のイボのアップを。
こちらはとても均質的な分布。
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こちらは環状に分布している。
hebikinoko-14.jpg

こちらは不均質にまばら。
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こちらは均質的にまばら。
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こちらはモザイク模様的。
hebikinoko-9.JPG

それのまばらバージョン。
hebikinoko-7.JPG
本当に色々で面白いなぁ。
これからももっと撮影して行こう♪


今思えば、このネタは昨年(へび年)の1月の記事として
UPするべきだったなぁ……


 
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| テングタケ科 | 00:02 | comments(8) | trackbacks(0) | pookmark |
毒あり 毒無し
こちらはシロテングタケ。
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当方が以前住んでいた東大阪でも
今迄に何度も探索していた滋賀県や
飛騨高山界隈でも一度も遭遇した事が無かったが
名古屋市東部では毎年、
しかも大量に見掛けるキノコだ。
どうやらこのキノコに取って
名古屋市東部はとても居心地が良いらしい。

シロテングタケはツバの具合が特徴的。
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柄の近くから裂け、
傘の縁にボロボロのカーテン状に垂れ下がるので
とても「ツバ」とは言えない形だ。

そして傘には幼菌時のツボの残骸が乗っている。
こちらはその幼菌。
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最初、これを見付けた時は
腹菌類の何かかと思ってしまった。
だが、良く見ると、シロテングタケの幼菌だった。

こちらは少し成長し、外皮がひび割れている。
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更に成長。
こちらはヒビ割れ方が違っている為に
外皮をカリメロみたいに被った状態だ。
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更に成長し傘が広がっているが
外皮はそのまま取り残されている。
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完全に成長し、老菌に差し掛かった個体。
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最後まで外皮は派手に取り残されたままだ。


こちらはツバの形成状況を成長と共に観察。
最初はヒダは完全に覆われている。
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柄の付近から裂け始めた。
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裂け目がかなり広がって来た。
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裂け目は更に広がり、
柄の付近のツバと、傘の縁に垂れ下がる部分に完全に分かれた。
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そして傘の縁から垂れ下がる様になった。
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何か痛々しいと言うか、おどろおどろしいと言うか、
独特の外見だ。

そして最終的には粉々になって散ってしまう。
shirotengu-20.JPG


こちらはオマケ。
老菌になって萎び、カビが生えてしまっている。
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shirotengu-23.JPG
これはフタマタケカビと言う種類かも。
こうやって分解され、他の菌類や植物の栄養源となり
また次の世代に受け渡されて行くのだなぁ。


所で、このシロテングタケは図鑑によると
致死例のある毒キノコとなっている。
所が東北の一部ではこのシロテングタケが
「シラフタケ」の名で食用として重宝されている、との事。
松茸の様な香りがする為に
正月用の吸い物の食材として貴重品扱いの由。

「シラフタケ」は報告者の畠山陽一氏が
地元で呼ばれていた「シラフマツタケ」から命名した物。
こちらのサイトに、その詳細が紹介されている(→こちら)。
ただ、日本で報告された菌類情報が網羅されている筈の
『日本産菌類集覧』には「シラフタケ」の名が無かった。
と言う事は、畠山氏の報告は正式な物とはされなかったのだろうか。
因みに、畠山氏による「シラフタケ」の報告・命名は昭和48年、
野村正治氏によるシロテングタケの登録は昭和51年、との事である。


シロテングタケが掲載されている図鑑は少なくない。
以下、当方が調べた限りで列挙。

食キノコとして掲載されている図鑑
 ・『秋田のきのこ図鑑』無明舎出版刊
 ・『岩手・青森のきのこ500種』トリョーコム刊

食毒不明として掲載されている図鑑
 ・『日本のきのこ』山と渓谷社刊
 ・『カラー版きのこ図鑑』家の光協会刊
 ・『原色新日本菌類図鑑』保育社刊
 ・『東北のキノコ』無明舎出版刊
 ・『京都のキノコ図鑑』京都新聞社刊
 ・『広島県のキノコ』中国新聞社刊

毒キノコとして掲載されている図鑑
 ・『山渓フィールドブックスきのこ』山と渓谷社刊
 ・『いわきキノコガイド』いわき市観光協会刊
 ・『北陸のきのこ図鑑』橋本確堂刊
 ・『新潟の食用キノコ』(刊行者不明)
 ・『福井の里山奥山きのこ図鑑』福井新聞社刊
 ・『茨城のきのこ』茨城新聞社刊
 ・『栃木のおいしいキノコ』下野新聞社刊
 ・『群馬のきのこ』上毛新聞社刊
 ・『生田緑地のきのこ』川崎市青少年科学館刊
 ・『信州のキノコ』信濃毎日新聞社刊
 ・『長野県のきのこ』上小食品衛生協会刊
 ・『静岡のきのこ』静岡新聞社刊
 ・『豊田のきのこ』豊田市刊
 ・『兵庫のキノコ』神戸新聞総合出版センター刊
 ・『大分産気になるきのこ』遠藤正喜刊

上記で判るのは、地方のキノコ図鑑では
本州の北半分の地域での図鑑に掲載が多く
四国の図鑑には掲載が無く、九州では大分の図鑑のみ、と言う事。
勿論、当方が全ての全国のキノコの情報、
及び地方のキノコ図鑑の情報を知っている訳では無いし
ページ数の都合でたまたま掲載されなかっただけなのかも知れないが
これがシロテングタケの発生の状況を表しているのかも知れないなぁ。
ひょっとしたら、シロテングタケは本来、北方系のキノコなのかも知れない。
ただ、北海道のキノコ図鑑は4種類を見てみたが
シロテングタケの掲載は無かった。
『原色新日本菌類図鑑』では分布域は「本州以南」となっていた。
シロテングタケが実際に北海道には発生していないのかどうかは不明だ。
そうなると「シロテングタケ北方起源説」も怪しくなって来るなぁ。
困ったもんだ。
菌類でもブラキストン線が関係しているのだろうかなぁ・・・・・・

上記でもう一つ判る事。
掲載されている図鑑の内、「食」になっているのは東北北部の2冊だけで
福島県いわき市の図鑑では毒キノコとなっている。
「食べられるシロテングタケ」は本当に極一部にしか発生していない様だ。
尚、同じ無明舎出版刊の『秋田のきのこ図鑑』と『東北のキノコ』で
「食」と「食毒不明」と扱いが違うのは
「秋田」と「東北」の、取り扱っている地域の違いを考慮した物、
と思われる。


所で『北陸のきのこ図鑑』によると
シロテングタケと外見上酷似した近縁種で
「ドクシロテングタケ」と言うのがある、と言う。
ドクシロテングタケ、と言うからには
シロテングタケには毒が無いか、と言うと
先に書いた通りシロテングタケも毒キノコだ。
そして「シラフタケ」も
シロテングタケ、ドクシロテングタケも
外見上は全く区別が付かない。
とすると、無用の混乱を避けるためにも「シラフタケ」は
「ドクナシシロテングタケ」とでも言うべきでは無いだろうか。

東北の一部地域で食べられている
「シロテングタケにしか見えないキノコ」は
たまたま毒が無い種類なのだ、として置けば
シラフタケの知識がある人が
他地域でシロテングタケに遭遇した際に
誤って毒のシロテングタケを食べてしまわない様に
注意喚起が出来ると思うのだが、どうだろうか。
実際、シロテングタケの中毒事故は
シラフタケと誤認したのが原因らしいし。

因みに、シロテングタケ・ドクシロテングタケと
シラフタケがDNA的に近縁なのかどうかは当方には判らない。
たまたま外見が酷似した赤の他人の可能性も無い訳では無い。
だが、DNA解析の結果「シラフタケ」は
実はドクシロテングタケの近縁種だった、となったら
「ドクナシドクシロテングタケ」となるのかも知れない。
そうなると「トゲアリトゲナシトゲトゲ」みたいだなぁw


さて、名古屋で発生している「シロテングタケ?」は
「シロテングタケ」なのか「ドクシロテングタケ」なのか
それとも食用の「シラフタケ」なのか。
はたまたそれ以外の類似種なのか、果たして一体どれなんだろう。
ひょっとしたら、他地域で毒キノコとされているシロテングタケが
本当は食キノコのシラフタケだった、なんて言う可能性もある。
他地域では食べる人が居ないから
毒のシロテングタケと思い込んでいるだけかも知れないのだ。

とは言え、今迄色々な怪しいキノコ(及び菌類)を食べて来た当方だが
さすがにこれは食べる気にはなれないなぁ・・・・・・

 
※シロテングタケ関連の記事のアーカイブ→こちら

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| テングタケ科 | 00:27 | comments(8) | trackbacks(0) | pookmark |
何故に臭うのか

※その後の調べによると当記事中のキノコは
 「オオシロタマゴタケ」の可能性が高い様です。
 本文の訂正はしておりませんが
 その事をお含みの上、お読み下さると有難いです。




 こちらはハマクサギタマゴタケ(多分)。
070731hamakusagi-1.JPG
070731hamakusagi-4.JPG
当方は以前、このキノコをミヤマタマゴタケと思い込んでいて
その旨の日記を書いてしまっている。
webで検索すると当方以外でもその様に思っていた人が少なくないらしく
後々に「実はこれはハマクサギタマゴタケだったのね……」と
なっている様子。

ハマクサギタマゴタケは近年になって登録された種との事で
学名もまだ確定していないらしい。
名の由来は、このキノコのにおいが
ハマクサギ(浜臭木)と言う植物に似ているから、との事。
ハマクサギは「浜に生える臭木」の意味で
独特の臭気があるらしい。

最初、このキノコのにおいを嗅いだ時に
ちょっと変わったにおいだな、と思っていたのだが
その時はこれがハマクサギタマゴタケだとは知らなかったし
そもそもハマクサギの臭いを知らないので
判断のしようが無かった訳で。
その後、ハマクサギタマゴタケの存在を知り
あれが実はそうだったのか、となった次第。

そして、におい以外のもう一つの大きな特徴がツバの構造。
070731hamakusagi-2.JPG
070731hamakusagi-3.JPG
この個体は「厚みのあるスカート状」と言った外見。
調べると「二重構造」と表現されているのだが、
どう言う事だか良く判らない。
画像を検索すると、こんな形の事を言っているらしい(→こちら)。
当方の画像では此処まで顕著では無いが
確かにそれらしい構造にはなっている。

名古屋へ転居し、某所でそれらしいキノコを見付けたのだが
幼菌で特徴がはっきりとは判らなかったり
100710hamakusagi-1.JPG

老菌でも無いのに何故か崩れたり、欠けたりした物ばかりだったので
特徴をよく観察する事が出来無かった。
100710hamakusagi-2.JPG
100710hamakusagi-4.JPG
でも、誰かが蹴飛ばした訳でも無いだろうに
何故こんなにも欠けているのかは不明。

中には齧り痕が顕著な物もあった。
110704hamakusagi-1.JPG
110705hamakusagi-1.JPG
このキノコはネズミかリスかに取ってとても美味しい物らしいなぁ。

この場所でのこのキノコは
ご覧の様に正常な形の物が何故か少ない。
だが、大きく欠けた事によって
成長途中の物の断面を見る事が出来た個体があった。
それによって「二重構造のツバ」の意味が良く理解出来た。
100710hamakusagi-5.JPG

テングタケの仲間のツバの多くは、通常一枚のペラペラな板状の物で
一端は傘の縁に、もう一端は柄に繋がっていて
傘の縁側が切り離される事によって
柄にスカート状に垂れ下がる事になる。
柄に繋がっている場所が、柄の中部や上部、傘と柄の結合部等
種類によって違っているのだが
ハマクサギタマゴタケの場合、板が二枚重ねになっていて
両方とも一端は傘の縁と結合しているが
柄側の一端は一枚は柄の上部で、もう一枚は柄の中部で結合していて
その為、断面で見ると柄と傘の縁の間に
三角形の空間が出来る事になる。
100710hamakusagi-5a.jpg
ちょっと判り難いかも知れないが、
この断面ではそれが見て取れる。
そして、傘の縁から切り離されると
「厚みのあるスカート状」に見える様になる訳だ。
100710hamakusagi-6.jpg

こちらの数少ない、綺麗な形の個体ではそれが良く保存されていた。
110708hamakusagi-3.JPG
110708hamakusagi-4.JPG

こんな複雑な構造にしてまで
そんなにもヒダを保護したいのだろうか、と思ったのだが
当方の撮影した個体はツバが薄く、そこ迄丈夫な物では無い。
中には痕跡程度にしかツバが形成されていない物もあった。
それではヒダを十分に保護出来るとは思えない。
何でこんな構造のツバなのだろう。
このツバに、どんな有利な必然性があるのだろう。
まぁ、「たまたまこうなった」としか言い様が無いのだろうなぁ。

今年はもうちょっと良く観察したいなぁ、と思い
時機を見て現場へ向かうと、こんな状態だった。
120721hamakusagi-1.JPG
120721hamakusagi-2.JPG
こうなってはハマクサギ臭や二重構造のツバ所では無い。
また来年に期待せねばなぁ・・・・・・


さて、このハマクサギタマゴタケ。
何故ハマクサギの臭いをしているのだろう。
ハマクサギは防虫の為に臭気を発している、との事だ。
植物の中には臭気、または芳香によって
防虫の効果を果たしている種類は少なくない。
だが、ハマクサギタマゴタケのハマクサギ臭に
そんな効果があるのか、ちょっと疑問だ。

キノコの中には、所謂「菌臭」以外のにおいを持つ物が幾つかある。
例えばスッポンタケの仲間は腐臭、糞臭でハエを呼び
胞子飛散の役を負わせている。
taimatsu-hae.JPG
これはその必然性が理解出来る。
因みに画像はキツネノタイマツの老菌。

だが、アンズのさわやかな香りのアンズタケ。
anzutake-1.JPG

杏仁豆腐の甘い香りのクサハツモドキ。
kusahatsumodoki-1.JPG

都市ガス臭のオキナクサハツ。
okinakusahatsu.JPG

カブトムシのニオイのニオイコベニタケ。
nioikobeni.JPG

・・・等に、そのニオイを持つ事によるメリットが何かあるとも思えない。
アンズタケなんかは、アンズの香りを持ったが為に
人間に採取されてしまう訳だしなぁ。

これも「たまたまこうなった」としか言い様が無いのだろうなぁ。
キノコが養分を分解・吸収、成長をする際に生成される副産物が
たまたま人間には「ハマクサギの臭い」だったり
「腐臭、糞臭」だったり「アンズの香り」だったり
「杏仁豆腐の香り」をしているだけなのだろうなぁ。
大体、キノコが「よし!杏仁豆腐の香りになろう!」と
決意と努力をするとも思えないしなぁ。
何万何十万種とあるキノコが、それぞれ生成する副産物の内の幾つかが
たまたま人間にとって覚えのある
何かのにおいになってしまっているだけなのだろうなぁ。
全く持って不思議としか言い様が無い。
しかし、たまたまツバが二重構造になり
たまたまハマクサギのニオイを発している、とは
ハマクサギタマゴタケはかなり個性的なヤツではあるよなぁ。


それにしても、「ハマクサギ」と言う、全く知らなかった、
そして当方の行動範囲に生えているとも思えない植物のニオイを
予め知っていないとキノコの判定が出来無いなんてなぁ。
キノコは本当に奥が深いなぁ・・・・・・



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| テングタケ科 | 00:09 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
ティラミスと
画像はテングタケ科の一種。
名古屋東部では比較的発生が多く、年に何回も見掛ける。 
Tiramisu-3.JPG
Tiramisu-2.JPG
Tiramisu-1.JPG
ご覧の様に小〜中型。
粉をまぶした様な外見から
当初はこれをコナカブリテングタケかと思っていた。

だが、コナカブリテングタケの粉は
どちらかと言うと繊維質で、綿ホコリと言う感じだ。
konakaburi-1.JPG
konakaburi-2.JPG

それに対し、このキノコの粉は本当に粉だ。
そして、傘の周縁部に白いフリルが付いている。
Tiramisu-face-3.JPG
Tiramisu-face-1.JPG
Tiramisu-face-2.JPG

そして、コナカブリテングタケにはツバは無いが
konakaburi-3.JPG

このキノコにはツバ、もしくはツバの残骸がある。
Tiramisu-frill-5.JPG
Tiramisu-frill-3.JPG

中にはツバの痕跡しか無い場合や
Tiramisu-frill-2.JPG
Tiramisu-frill-1.JPG

痕跡すら残っていない場合もあるが
Tiramisu-frill-4.JPG

どちらにしても、柄のもけもけの質感も違っている。
これはどうやらコナカブリテングタケでは無い様だ。
一体何だろう……

色々調べていたら、同じキノコが
幾つかのキノコ関係の掲示板に上がっているのを知った。
その中で、gajinさんと言う人が面白い提案をしていた。

この褐色の粉をたっぷりとまぶした感じ。
Tiramisu-face-2.JPG

これはティラミスにそっくりだ!
Tiramisu_Fanes.jpg
(画像はWikipediaより引用)

と言う事で、「ティラミステングタケ」と言うのを
提唱しているのだ(→こちら)。
これは正に、名は体を表す秀逸な命名だなぁ。
とても判りやすいw
これは是非正式な和名として登録して欲しいなぁ♪

だが、実は既に別の命名がされている由。
「マクツバコナカブリテングタケ」と言うのがそれらしい。
検索しても殆どデータが出て来ないし
図鑑にも掲載されていないので良く判らないのだが
恐らくこれがそうなのだろう。

コナカブリテングタケに似て
膜質のツバがあるのだから確かにそうだよなぁ。
間違っては居ないし、判りやすい。
練り過ぎて変な名前になっている訳では無いし
献名等で、そのキノコの形態や生態とは
無関係な命名がされている訳でも無いから
いたずらな混乱も招かないだろう。
文句の付け様が無い。
確かにこれは「マクツバコナカブリテングタケ」だ。

でも、ティラミステングタケの方が個人的には好きだなぁ。
残念だw
因みに、もしイタリアにこのキノコが生えていたら
きっと「ティラミスキノコ(Tiramisù fungo)」と
呼ばれるのだろうなぁ。
イタリアに是非生えていて欲しいなぁ……


所で、ティラミスに対抗してこのオオミノコフキタケを
「ミルフィーユ」として並べようかと考えた。
kofuki-1.JPG
この幾層にも積み重なった状態はミルフィーユに似ている。
中でも、クレープ生地を使った
ミルクレープと言うのにそっくりだ(→こちら)。

だが、念の為に現在の様子を見に行ったら
成長が進んでこの様になっていた。
kofuki-2.JPG
うーん、これでは「ミルクレープ」では無くて
「クォーターパウンダー」だなぁ(→こちら)。
しかも、サイズ的にトリプルでチーズ抜きかな。
もしくは「ギガマック」かな?(→こちら
って、そんなメニューは無いけれどw
(因みに、海外には似た様な物はあるらしい→こちら

スイーツのオシャレ感はなくなってしまったなぁ。
残念……
いや、これはこれで美味しそうなんだけどねw



【余計なおまけ】
当方、マスカルポーネを使ったティラミスは好きだけど
チーズを効かせたタイプの物は苦手です……



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| テングタケ科 | 00:20 | comments(12) | trackbacks(0) | pookmark |
ぺりぺり

画像はシロオニタケ。
この個体で傘経20cmは勇に超えていた。
shirooni-1.JPG
真っ白な、威風堂々たる容姿には
気高ささえ感じてしまった。

何時もの様に1000円札で比較。
shirooni-2.JPG
傘の大きさが良く判るw

全身を大きな尖ったイボで覆われており
それを角に見立てて
「オニ」と付けられたのだろう。
shirooni-3.JPG
shirooni-4.JPG

アップで見ると、メレンゲのデコレーションみたいに見えるw
shirooni-5.JPG

中にはこんな風にツノの目立たない個体も。
shirooni-6.JPG
当方の徘徊している名古屋市東部では、
このシロオニタケの発生が比較的多い。

実は最初の画像のシロオニタケには
大きな特徴の一つが欠けている。
それはツバだ。
シロオニタケはその堂々たる体躯にふさわしい
立派なツバを持っている。


ツバは胞子を形成する器官であるヒダを
保護する為の蓋の役割をしている。
ヒダは薄く柔らかい部分なので
ナメクジやカタツムリ、その他昆虫等からの食害を受けやすい。
その為、未熟なヒダをツバによって防御しているのだ。

その蓋の大きさ厚さ、
どの時点で、どの様にして蓋の役割を終えるかで
キノコの種類によってツバの形は実に様々な形になる。
以下、シロオニタケの成長過程を見て
ツバの出来方を検証。

シロオニタケは最初、こんな形。
shirooni-8.JPG
まるで雪ダルマみたいだw

少し成長した状態。
ここから3点は滋賀県栗東市内で撮影。
shirooni-9.JPG

更に成長した状態。
shirooni-10.JPG

傘裏を見ると、ツバで完全に覆われているのが判る。
shirooni-11.JPG

こちらは傘がかなり開いて来た状態。
shirooni-12.JPG

傘裏を見るとツバが半分剥がれていた。
ぺりぺり……と言う音が聞こえて来そうだ。
shirooni-13.JPG

そして、。先程の画像の様に
柄にマント状にぶら下がる事になる。
ただ、このぺりぺり剥がれ中のツバは
柄の部分から既に離れているので
縁から完全に分離したらそのままストンと落ちてしまうだろう。

こちらの個体は
傘の縁より、柄の方から先に離れてしまったので
のれんや花傘の様に垂れ下がってしまっている。
shirooni-14.JPG
shirooni-15.JPG

ただ、このキノコ。
ツバの裏側に溝線が見える点と、


柄の途中に段差の様な隆起がある点からすると
近縁種のスオウシロオニタケかも知れない。
スオウシロオニタケのツバも
通常は柄を中心にして垂れ下がるので
この様にのれん状に垂れ下がるのはちょっと珍しいと思う。

ツバがこの様な剥がれ方をするキノコでは
シロテングタケが知られている(→こちら)。
これを最初に遠目に見た時は
シロテングタケか?と思ったのだが
全体の特徴からすると
スオウシロオニタケ?と推定出来た。
ツバの形の違いはキノコを外見で判別する際の
大きな要素の一つなので
こんなにも差があっては困るよなぁ。

こちらは傘がかなり開いた状態。
この個体は滋賀県栗東市内で撮影。
shirooni-16.JPG
shirooni-17.JPG
だが、ツバはまだヒダを覆ってしまっている。
ツバが丈夫過ぎて剥がれ切れない様だ。
これでは胞子飛散の邪魔にしかならないよなぁ。


こちらはツバの一部が剥がれ落ちてしまった物。
shirooni-18.jpg
shirooni-20.JPG
シロオニタケのツバは剥がれやすく
成熟するとこの様になる個体が多い。

ツバはヒダを保護する為の器官。
ヒダが成熟し、胞子を飛散出来る様になれば用済みで
何時までも付着していては
先の画像の個体の様に逆に邪魔にもなってしまう。
だから、こうやってちぎれ落ちてしまうのは
機能的、合理的とも言えるが、
何かちょっと切ない気もしないでも無い。

こちらは粉々になって散らばっている。
shirooni-21.JPG
実はこの様になっている個体も結構多い。
一番最初の画像の個体も
根元周辺に細かい破片となって散らばっているのが
少し見えている。

そして、胞子飛散の役割を終えると
やがてこの様に萎びてしまう。
shirooni-22.JPG
shirooni-23.JPG
どんな雄大なキノコも
こうなっては情け無いと言うか哀しいと言うか。
まぁ、役目を立派に終え、燃え尽きた証しではあるので
本人は満足なのだろうけど。


それにしても、ツバの白い残骸は
藪の中に落ちていると結構目立つ。
使用済みのティッシュみたいに見えて
ちょっとアレな気がしないでも無い(^^;)☆\バキ
または、用済みだからと無惨にも捨てられ、
流れた涙を拭ったハンカチか?

物が白いだけに、
あらぬ想像を掻き立てられてしまうなぁw


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| テングタケ科 | 00:27 | comments(10) | trackbacks(0) | pookmark |
噂の食材
画像はハイカグラテングタケ。
2005年9月20日、岐阜県荘川村にて撮影。

文字通り、灰の様な粉を全身に纏った
大型のテングタケの一種だ。

「灰神楽天狗茸」との風流な名に合わず威風堂々の風貌。

テングタケ科なのでひだがとても綺麗。
つばは膜質で、かなり厚手だ。



キノコの大きさの比較には1000円札、と決めているw

この後も成長したら、傘径は優に20cmにはなるだろう。

こちらの画像は2009年8月15日に撮影。
上の画像と同じ場所。

判り難いが、大小4本が写っている。

だが、今年はタイミングが合わず、老菌ばかりだ。


傘裏を見ると、つばが無くなっている。

どうやら脱落しやすいらしい。

周囲を見ると、幼菌が何本かあった。


少なくとも6本生えている訳だ。
この場所はハイカグラテングタケの大きなシロらしい。
2005年は1本だけしか見付からなかったのだが
その時も周囲を良く探せば他にもあったのかもなぁ。

幼菌も結構な大きさだ。

成菌になれば、これも威風堂々になるのだろう。


所で、ハイカグラテングタケは食べられる、と言う。
致死の猛毒菌の多いテングタケ科。
しかも、最近新種登録された目新しいキノコなので
当然、食毒不明扱いだったのだが
何とそれを食べた猛者が居たのだ。
そして、無毒で美味なキノコだ、と言う事が判明したのだ。
しかも、それを売っているサイトさえある(→こちら)。

2005年にこのキノコに出逢った時には
その事は知らなかったので収穫はしなかった。
その後、美味だと言う事を知り、
是非収穫してみたい、と思う様になった。
だが、中々出逢う機会が無かったのだ。

ハイカグラテングタケは目立つキノコなので
幾つものサイトに画像が掲載されている。
そして、「一度食べてみたい」と書いているサイトも幾つもあった。
「美味」との噂を聞いて、気になる人が多い様だ。
それが今回、4年振りに出逢った訳なのだ。
これは食さない手は無い。
だが今年は生憎老菌ばかりだったので
この幼菌を収穫し、食べてみる事にした。

取り敢えず根元を掘ってみる。

柄は地面の中に長く伸びていた。

取り出してみると、柄の長さが約3倍になった。


こちらは近くにあったタケリタケ。


並べてみると、ぱっと見、同じ様に見えてしまうw


早速調理の準備を。


表面の粉は洗い落とす。

すると、何となくぬぼ〜っとした外見に。

石突を切り落とす。


まるで山芋みたいに見えるw


傘を切断。


中華料理に出て来るフクロタケみたいで可愛いw

更に細かく切断。


取り敢えず味噌汁に。

こうしてみるとますます山芋に見えてしまう。



食べてみた感想。
結構美味しいキノコだった。
独特の味わいと、食べでのあるボリューム感。
高値で取引されるのも判る。

今回は簡単に味噌汁の具にしたのだが
もっと濃い味付けの料理が合うと思った。
汁物にするにしても、けんちん汁の方が合うだろう。
そう言えば、販売しているサイトには
「焼き物や中華に」と書いてあったっけ。
確かに中華には良く合うと思う。

今度収穫する機会があったら
是非このキノコの実力を引き出して
より美味しく食べてみたいなぁ
このキノコは優秀な食菌である事は
この地域で知っている人は居ない、と言うのも嬉しいしね( ̄∀ ̄)

皆様も是非一度お試しあれ。
万が一の時は、当方は責任を取りませんが……


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| テングタケ科 | 00:28 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
悩んだ結果
こちらの画像は昨年の7月26日、裏山にて撮影した物。

山道脇の斜面にイキナリ大きな老菌があった。
テングタケ科だろう事は判ったが、それ以上は不明。
この裏山に、こんなにも大きなキノコが生えていた、
と言う事にまず驚いた。

その5日後、また裏山に行ったら
同じ場所に成菌と幼菌があった。



立派なテングタケ科のキノコだ。

1000円札と比較すると、先ほどの老菌と同等の大きさなのが判る。


ひだがとてもキレイ(・∀・) ♪


そう言えば何年か前、この山でキノコを撮影していた時に
通りがかった初老のオッサンが
「上の神社の脇にでっかい白いキノコがあったで!」と言っていたのは
このキノコの事だったのかも知れないなぁ。
オッサンの言うその場所は、かなり山道を上った所なので
その時は見に行くのを断念していたのだ。

で、当初、当方はこれをドクツルタケだと思っていた。
白い大きなテングタケ科のキノコとしては
ドクツルタケが有名だ。
ドクツルタケは名の通り毒キノコ。
それも、一本食べればまず死ぬ、と言う猛烈な毒だ。
割と普通に生える種類で
知らないと美味しそうに見えるのか、毎年中毒事故が起きている。

ドクツルタケは全体が純白のキノコで
その色合いから「死の天使」の異名がある。
だが、画像のキノコはドクツルタケにしては
傘の色がベージュがかっている。
ドクツルタケは、まれに傘がピンクを帯びている事があるそうだが
それとはどうも違う感じだ。
また、良く見ると傘周縁に条線がはっきりと見えている。
それはドクツルタケには無い特徴だ。

また、ドクツルタケは柄に大きなササクレがあるのだ特徴だが
このキノコのササクレはかなり控えめで
画像でははっきり見えない程度だ。
その点ではシロタマゴテングタケとも思える。
だが、どうもそれでも無い様だ。
となると何だろうか……

色々調べた結果、画像のキノコは
ミヤマタマゴタケでは無いか、と考えるようになった。
ミヤマタマゴタケは「深山卵茸」の意味。
以前、一度岐阜の山中で出逢った事がある。



その場所が海抜1000m地帯だった事と、
その名に引きずられてしまった為に
ミヤマタマゴタケは深山に発生するキノコなのだ、と
勝手にイメージしてしまっていた。
裏山のこの場所は海抜100mも無い筈だ。
なので、ミヤマタマゴタケがこんな場所に生える訳は無い、
こう言う場所に生えるのはドクツルタケか
シロタマゴテングタケなのだ、と思い込んでしまっていたのだ。
だが、webで調べるとミヤマタマゴタケは
必ずしも深山に生える訳では無いらしい。

また、ミヤマタマゴタケは傘色の個体差が大きいらしく
白色〜褐色まで多岐にわたる、との事。
淡色タイプ1】【淡色タイプ2
褐色タイプ

そうなると、白色タイプはドクツルタケ、
褐色タイプはタマゴテングタケモドキ
ドウシンタケ、更にチャタマゴタケ
と紛らわしくなってしまう。

ミヤマタマゴタケが独立した種として
新種記載されたのは2001年。
幾つかの仮称があったが
正式な新種記載を機に「ミヤマタマゴタケ」に統一された、との事。
2002年時点では、北海道、千葉、静岡、岐阜の4道県と
発生報告例はあまり多くなかったのだが
その後あちこちから報告される様になったらしい。
と言う事は、突然ミヤマタマゴタケの発生が増えたと言うより
長い間、他のキノコとと混同されていた物が、
ミヤマタマゴタケと認識される様になった、と言う事なのだろう。

以前、とある方から「熊本でも採取記録がある」と
教えて頂いた事もある。
となると、大阪で発生していても不思議は無いだろう。

と言う訳で、この裏山のキノコは
白色に近い淡色タイプのミヤマタマゴタケだ、と言う事にして置こう。
いやぁ、結構悩んだけど、その分とても楽しませて貰ったよw


※その後、ハマクサギタマゴタケと言う
 種類があるのを知りました(→こちら)。
 ツバの形状から見ると、
 当方が「ミヤマタマゴタケ白色タイプ」とした今回のキノコは
 ハマクサギタマゴタケの可能性が高いです。
 匂いを嗅いでおかなかったのが残念です……


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| テングタケ科 | 15:24 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
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