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白と黒

こちらはシロキクラゲ。

広葉樹の枯れ木に発生する。
外見的にはキクラゲに似ているが
細胞レベルで構造が違っている為に
キクラゲとは別の分類群になっている。
 
鮮やかな白色は森の中で良く目立つ。

 

こちらも良く目立った。

このキノコも東大阪や滋賀県では遭遇していなかった種類だ。

 

広葉樹の枯れ木なんて何処にでもあるのになぁ。
何か目に見えない様な微妙な環境の差なのだろうか。


とにかく、名古屋東部では遭遇する事が割と多い。

 

こちらは老菌の様子。

色がくすんでいる上に一部溶け掛けている。

 

こちらはHypomyces菌にやられているのだろうか。

一部が黄色くなっている。

キノコはHypomyces菌にやられると黄色くなる事が多い。

シロキクラゲに寄生するHypomyces菌があるのかどうかは

残念ながら調べきれなかったが。

 

 


因みにシロキクラゲは優秀な食菌だ。
中国では「銀耳」と呼ばれ
乾燥品がスーパーの中華食材コーナーに置かれている事が多い。

普通に中華料理の食材として使われるが
透き通った白色を生かしてデザートとしても使われる。
 
一番上の画像のシロキクラゲは

新鮮な状態でとても綺麗だったので早速それを収穫。

何か売り物っぽい♪

 

一度湯通しして冷やして置いた物を
市販のあんみつに加えてデザートに。

クニュクニュとした歯触りが楽しい。

(゚д゚)ウマー

 

また新鮮なシロキクラゲに遭遇したら是非収穫しよう。

今度は杏仁豆腐に混ぜてみようかな。

それも中々良さそうだ♪

 

 

 

所で、このシロキクラゲ。
フィールドで観察していると
クロコブタケと隣接している事が多い。

クロコブタケとは文字通りの黒いコブ状の塊のキノコだ。

広葉樹の枯れ木なら普通に見掛けるが

色も形も地味な上、毒でも薬でも無く、更に食べられない為か

キノコマニアの間でも人気が無い。

当方はその地味さが好きだったりするがw


で、上掲画像も実はクロコブタケが映り込んでいる。

小さくて判り難いので矢印で図示してみた。

わーい、白と黒だ〜♪と
なるべく両方が写り込む様に撮影していた。

 


そんな事に特に気を止めず暢気に過ごす事幾星霜。
少し前にTwitterを眺めていて驚いた。
何と、シロキクラゲはクロコブタケに寄生している、との事。

しかもそれが周知の事実として書かれていた。
 
そーだったのか!

だから何時も隣接していたのか!
隣接しているのは偶然では無く、当然の必然だったのか!
白と黒だ、わ〜い♪なんて暢気にしている場合では無かった!

しかもそれがキノコマニアの間では

周知の事実となっていたなんて当方は全く知らなかった・・・・・・

 
当方、キノコが全般的に好きなのだが
中でも寄生的な性格のキノコ・菌類が好きなのだ。
だから冬虫夏草や植物寄生菌、菌類寄生菌に
特に目が行ってしまうのだ。
なのに、シロキクラゲとクロコブタケが
隣接している光景を何度も目にしていたのに
それが偶然では無く、当然の必然なのだと言う事に、
「寄主と寄生菌」と言う関係なのだと言う事に
全く思いが至らなかった・・・・・・
 
うーむ、情けないと言うか残念と言うか。
2度目は偶然であっても3度目は偶然では無い、は
何時だったかのゴルゴ13の台詞だ。

それに全く思いが至らなかったよ。
もっと俯瞰的に総合的に
発想を柔らかくしなければなぁ・・・・・・

 

 
その話を知って、手持ちのシロキクラゲ画像を
全部見直してみた。
すると確かに殆どの場合、
クロコブタケが何処かに写り込んでいた。

 

両者が写り込んだ他の画像を以下に。

 

こちらは図示する迄も無い状態。

 

中には写った画像の範囲には見当たらない物もあったが

恐らく見えない部分にはあったのだろうなぁ。

 
シロキクラゲは白くて瑞々しい見た目に合わず
獰猛で狡猾な性格であったのだなぁ。

にしても、これだけ両者が映り込んだ画像を撮っていたのに

その理由について全く考えが及ばなかったのは

我ながら情けなくなってしまうなぁ・・・・・・
 
 
所でシロキクラゲは栽培品が市販されていると書いた。
クロコブタケの発生している枯れ木と言う
中々にニッチな発生環境を再現するのは

とても難易度が高いと思うのだが
栽培状況を見るに、それを再現しているとは思えない。
普通におがくずの菌床栽培にしか見えない。
 

                         (种植致富网様より引用)

 

おがくずにクロコブタケ成分を

単に混ぜただけではダメだろうなぁ。

だが、おがくずにクロコブタケを侵食させてから

シロキクラゲの菌を植える、なんて

そんな手間を掛けているとも思えないよなぁ。

となると、シロキクラゲはクロコブタケに依存しなくても
発生出来る性質がある、もしくはそう言う系統もある、
と言う事なのだろうなぁ。

 

実際、『家庭きのこ : 作り方・食べ方』(家の光協会刊)によると

 

(シロキクラゲは)「栽培の方法はキクラゲ、アラゲキクラゲと

 全く同じなので、三種を同一場所で同時に栽培うることができます」

 

とある。

矢張りクロコブタケとは無関係の環境で育てる事が出来る様だ。

 
まぁ、菌根菌なのに菌床栽培しているダイコクシメジ、

                        (雪国まいたけ様より引用)


冬虫夏草なのに培地栽培しているサナギタケ、

                      (カイタックグループ様より引用)
なんてのがある訳だしなぁ。
キノコは一筋縄では行かない物だなぁ。

それを見付け出す人間側も中々にしたたかだとも思うけどね。
 
それはともかく。
今後もシロキクラゲを見付けた時には
周囲にも気を付けながら撮影して行くよ。


勿論、他のキノコの場合も同様。
ミクロとマクロの視点を常に持っていたい物だ。
 
それはキノコに限った話では無いだろうけどね。

 

 

 

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異形のキノコ その3

今回は箸休め的な内容、かな。

 

 

野外で観察をしていると色々なキノコに出逢う。
色々な種類、と言うのは勿論だが

文字通り「色々な形のキノコ」に遭遇するのだ。
種類にもよるが、キノコは個体差が結構大きく、
図鑑通りの外見を呈していない事も少なくない。
キノコの形成には発生して居る環境によって様々な影響を受けており

中には極端に形が違っている為に何のキノコか判断に迷う事もある。
様々な原因でキノコは本当に色々と不思議な形になったりする。

 

今回はそんなキノコを幾つか。

 

 

 

こちらはキクバナイグチの仲間。

傘肉が白く、鱗片が厚いので本家の「キクバナイグチ」かな?

かなり褪色してしまっている様子

 

こちらも同様なので矢張り「キクバナイグチ」だろうか。

どちらも傘の中心部がまるで溶岩が噴出したみたいに

異常にボコボコになっている。

火山で言えばストロンボリ式噴火になるのだろうか。

火山岩塊がとても大きいので溶岩の粘度がかなり高い様子w


キクバナイグチの仲間はかなりの数を見ているが

こうなっていたのはこの2個体だけ。

これはウィルスか何かにやられてしまったのかなぁ。

時期も場所も違うのに同様の変容。

キクバナイグチ特有の何かの症状なのだろうか。

謎だ。

 

 

 

 

こちらはアンズタケの仲間。

特徴はアンズタケだったが杏の香りは感じられなかった。

 

通常のアンズタケはこんな感じ。

だが、このアンズタケ?はヒダの様子が違う。

全体に委縮してしまっている状態。

出始めの幼菌とも違うので

これから伸展して成長する様には思えない。

ヒポミケス菌とかに罹患した様にも見えない。

これもウィルスにでもやられてしまったのだろうかなぁ。

 

所で最後の画像、オナペッツを思い出してしまったよw

            (オナペッツ主義様のサイトより引用)

 

アンズタケの仲間には何度も遭遇しているが

こんな状態の個体はこの一度だけ。

謎だ。

 

 

 

 

こちらはノウタケ。

握り拳の様な形だが


 

当方には全盛期のボブ・サップに見えてしまったw

                (2枚とも闘道館様のサイトより引用)

スキルフルな相手をパワーで押し切る格闘スタイルは

見ていて気持ち良かったなぁ。

キャラクターも面白かったな。
wikiによると、今はグアテマラで

プロレス関連のビジネスをしているのだとか。

元々プロレスラーだったからこれは謎では無い。

何故グアテマラで、は謎だが。

 

 

 

こちらはオオコゲチャイグチ。

隣り合って発生しているのかと思ったら

傘も柄も融合していた。

 

ぼってりと膨らんだ柄の形が豊満な臀部の様だw

元々根元が太くなる種類なのでそれが融合するとモロだなぁw

穴の位置が此処なのは良かったのか残念だったのか・・・・・・

オオコゲチャイグチは名古屋東部での発生は割と多いが

こんな状態なのはこの個体が初めてだった。

 

何となく石器時代のビーナスを思い出したw

                           (wikipediaより引用)

持ち帰って祀っておけば五穀豊穣大漁大猟になってたかもなぁ。


 

 

 

こちらはモエギアミアシイグチ。

かなり大きな傘が倒れていた。

 

柄を見ると様子がおかしい。

 

傘との連結部が徳利の様に妙に細くなっている。

 

裏側は大きく抉れていた。

その為に変形してしまったのだろう。

 

因みに通常のモエギ〜の柄はこんな感じ。

通常は上下同大なので如何に妙な状態なのかが判る。

 

幼菌の段階で傘の継ぎ目から下の柄の部分を

ヨトウムシか何かに齧られてしまい

そのまま成長した、という事なのだろうかなぁ。

それにしても、この状態で良く傘がもげずに成長出来た物だ。

執念、と言うべきか。

 

柄の抉れた感じと、極端に細くなっている所、

そしてアンバランスに広がった傘の感じが

ハート形土偶を思い起こさせてしまったw

                   (縄文ドキドキ会様のサイトより引用)

 

抉れた部分がハート型だったしね♪

これも持ち帰って祀っておけば何かになったのかなぁ?

 

 

 

 

フィールドでどんな種類のキノコに出逢えるか、は勿論楽しみだが

この様な「どんな形のキノコに出逢えるか」も楽しみの一つだ。

 

今年は果たしてどんなキノコに遭遇出来るかなぁ・・・・・・

 

 

 

 

※異形のキノコまとめ→こちら

 

 

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邪魔! その2

ある日の事、

何時もの場所を探索して居た所、こんな物に遭遇。

ari-kiamiashi (1).JPG

この場所には良く発生して居るキアミアシイグチだが

ちょっと様子が普通では無い。

 

近寄ってみるとこんな状態。

ari-kiamiashi (2).JPG

ari-kiamiashi (3).JPG

アメイロオオアリと思われる小さなアリが沢山集っている。

しかも一斉に柄を齧っている様だ。

結構抉られているから、かなり齧り続けていた模様。

 

アリがキノコを食べるとは珍しいなぁ。

このキアミアシイグチの柄が

何かアリの好む物質でも分泌しているのだろうか?

 

だが、そんな話は聞いた事が無い。

しかも、キアミアシイグチは他の場所にも生えていたのだが

アリが集っているのはこのキノコだけだった。

これはどういう事なのだろう・・・・・・

 

 

同様の光景は以前にも見た事がある。

その時はヒメカタショウロ?だった。

ari-niseshouro (1).JPG

ari-niseshouro (2).JPG

ari-niseshouro (3).jpg

この時もアメイロオオアリと思われるキノコが

この一角のヒメカタショウロ?だけに集っていた。

 

ヒメカタショウロ等からアリの好む成分が分泌される、と言う話も

聞いた事が無い。

そして、近くには別のヒメカタショウロ?が発生して居たのだが

アリが集っていたのはこの場所の物だけだった。

 

暫く観察していて気が付いた。

このヒメカタショウロ?は

アリの巣の出入り口を塞いでしまっているのだ。

アリ達はヒメカタショウロ?を退かそうとして右往左往しているのだ。

その時の話は以前記事にした事がある(→「邪魔!」)。

 

 

となると、先のキアミアシイグチも

巣の出入り口を塞いだ状態で発生してしまった為に

退かそうとしてアリが必死になっているのかも知れないなぁ。

 

キノコは当然ながら、自分の好きな場所に生えて来る。

となると、アリの巣に取って

邪魔な場所に生えてしまう事もあるだろう。

ある日突然、キノコに巣の出入り口を塞がれてしまうのだ。

アリはパニックになってしまうだろうなぁ。

 

ヒメカタショウロ?の時は動かす事を断念し、

巣の出入り口を別の場所に作る事で事態を回避して居た。

だが、キアミアシイグチの時は

齧ってキノコの存在を消す事を選んだ様だ。

ari-kiamiashi (3).JPG

誰がどう考えてそれを決断したのだろうかなぁ。

偉くまた遠い道を選んだ物だ。

 

しかも、アリはこのキノコを

人間の様に俯瞰して見る事が出来ない。

現場監督の立場のアリが居ないのだから

何処を集中的に攻めれば良いかを指示出来無い。

その為、皆が思い思いの場所を齧っている。

結果として広範囲を齧る事となり

かなりの労力のロスをしてしまっている。

このアリの一齧りの大きさを考えると

気が遠くなってしまう。

 

その後の様子を見ていないので

果たして齧り尽くして退かす事に成功したのかどうかは不明。

ヒメカタショウロ?の場合の様に

巣の入り口を別の場所にした方が良かったと思うのだが

それをしなかったのは

ヒメカタショウロ?の表面はアリにとっては齧るには硬く、

キアミアシイグチの柄は幸か不幸か

齧り取れる程度には柔らかかったからかも知れないなぁ。

 

 

こちらは別の場所。

ヤマドリタケモドキの柄の上を小さなアリが沢山這い回っている。

ari-ymdrtkmdk2 (1).JPG

ari-ymdrtkmdk2 (2).JPG

 

この時は動画でも撮っていた。

このアリは大きさ的にアメイロアリと思われる。

 

これも矢張り入り口を塞がれてしまったのだろうなぁ。

パニックになって右往左往している真っ最中かと。

このアリ達はこのキノコにどう対処したのかは

その後を見ていないので不明。

このアリの大きさで、

この大きさのキノコを齧って無き物にしようとしたとしたら

それこそ気が遠くなってしまうよ。

 

 

こちらもヤマドリタケモドキの上をアリが這っている。

ari-ymdrtkmdk1 (1).JPG

ari-ymdrtkmdk1 (2).JPG

柄の上で無く、傘の上を数匹のアリが居るだけなので

これはたまたまなのかな?

管孔部分が凹んでいるのはアリに齧られたから?

食料として齧り取って巣に持ち帰ろうとしているのか?

暫く観察していたが、どうにも判断が出来無かった・・・・・・

 

 

それにしても、キノコとアリが地球に誕生して

それぞれ何千万年何億年経っているのかは良く知らないが

今迄世界中で何億回もこんな場面が繰り返されて来たのだろうなぁ。

その度にアリは余計な労力を強いられたのだろうなぁ。

 

キノコを食べる様に進化していれば問題無いと思うのだけど

そうは行かなかったのは何故なのだろうか。

「キノコを食料として栽培する」と言うハキリアリは居るが

実際に食べるのは菌床表面に形成される菌糸の緩い塊部分だけで、

キノコその物は食べない、と言う話だしなぁ。

 

アリの巣穴の通気性がキノコ発生に及ぼす影響とか、

ひょっとしたらキノコのシロの部分に巣穴が掘られた刺激によって

キノコが発生しているのでは?とか、

考えたら色々ありそうだなぁ。

アリとキノコの関係、と言うのも中々に興味深い。

 

 

アリとキノコに限らず

これからも色々な場面を目撃したい物だ。

 


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| 複数 | 00:05 | comments(2) | - | pookmark |
ダイダイ

ある日の事。

何時もの公園を歩いているとこんなキノコが目に入った。

20200229daidaitake (5).jpg

これは硬質菌の何かだな。

でもカワラタケでは無いなぁ。

全体に厚みが感じられず、かなり薄いみたいだから

まばらに生えた、形の悪いチャウロコタケとかかな?

 

チャウロコタケは広葉樹の枯れ木に群生する硬質菌。

東大阪時代には殆ど遭遇した事が無かったのだが

名古屋周辺では頻繁にお目に掛かる。

20200229chaurokotake (1).JPG

20200229chaurokotake (2).JPG

この様に大量に群生して居る事が多いのだが

場合によってはまばらに生える事もある。

これもそうなのかもなぁ。

 

近寄って裏側を見てびっくり!

20200229daidaitake (4).JPG

20200229daidaitake (3).JPG

何と綺麗な黄橙色!

 

因みにチャウロコタケの裏側はこんな感じ。

20200229chaurokotake (3).JPG

全く違う事が判る。

これはチャウロコタケでは無くて多分ダイダイタケだ。

 

ダイダイタケも広葉樹の枯れ木に発生する硬質菌だ。

上掲画像の様に、表から見ると良くある硬質菌に見えるが

裏側の鮮やかな橙色が特徴のキノコ。

図鑑的にはアジアを中心に発生する普通種、との事だが

当方は初めて見た。

 

普通種と言う割には掲載されている図鑑もかなり少ない。

食用は勿論、毒でも無く薬効成分も無い様なので

取り上げる価値のないキノコ、とされてしまっているのかも知れない。

その為か、webでの情報も多くない。

2020年2月時点で

"ダイダイタケ"で検索してもhitするのは100件弱(→こちら

旧学名の Hymenochaete xerantica (→こちら)、

現学名の Inonotus xeranticus でも同様だ(→こちら)。

 

「普通種」なのにこの情報量。

つまり、世界的に興味を持たれていないキノコと言えるだろう。

なのでどんなに検索しても

図鑑に掲載されている以上の情報は得られなかった。

当方も「ダイダイタケに遭遇した」以上の情報は特に無い。

 

 

さて、このダイダイタケ。

裏側の鮮やかな橙色から命名されたのは明らかだろう。

「色名+タケ」とはまた大雑把な判りやすい命名だなぁ。

で、ふと気になった。

他にも「色名+タケ」の和名のキノコはあるのかな?

 

実は以前にもそのキノコは記事にした事はある。

それは「ヒイロタケ」だ。

070529-000501-ヒイロタケ (6).JPG

ヒイロタケも一目瞭然、「緋色」のキノコだ(当該記事→こちら)。

 

他にアカタケと言うのもある。

20200229akatake (1).JPG
20200229akatake (2).JPG

アカタケは図鑑によると北方系のキノコとの事。

名古屋に生えていたこれはDNA的には別種かも知れないが

外見的にはアカタケにしか見えなかった。

 

他にどれくらいあるのだろうか、と気になったので

日本産きのこ目録2020』を元に調べてみた。

キノコの和名の一覧をシラミ潰しに見て

「色名+タケ」を抽出した結果、29種類あった(50音順)。

     ※「色名+タケ」のみを抽出(漏れはあるかも知れません)

      「オオ」等の修飾語や他の言葉が含まれている物は除外

      手持ちの画像がある物は逐次差し込んだ

 

アカタケ(上掲)

アカネタケ
ウグイスタケ

ウスクレナイタケ

ウスズミタケ

エビタケ

カバイロタケ

キツネタケ

070705-130529-キツネタケ.JPG

クサイロアカネタケ

クリタケ

クロガネタケ(色名からかどうかは不明)
コウバイタケ

コガネタケ

コケイロタケ

サクライロタケ

サクラタケ

20200229sakuratake (1).JPG

20200229sakuratake (2).JPG

シュタケ

ソライロタケ 

ダイダイタケ(上掲)

ニッケイタケ

nkitk (5).JPG

ヒイロタケ(上掲)
フジイロタケ
ブドウタケ

ベッコウタケ

ミドリタケ

ムラサキタケ

モエギタケ
レンガタケ
ワカクサタケ

20200229wakakusatake (2).JPG

 

 

因みに、以下のキノコは除外した。

 

アイタケ:キノコシーズンの合間に生えるの意で色名では無い
カレバタケ:枯葉に生えるの意で色名では無い

キハツダケ:ルールから外れる

ベニタケ:種名では無い

オウバイタケ:「黄梅の色」の意だが「黄梅色」と言う色名は無い

カラスタケ:「烏羽色(からすばいろ)」はあるが「烏色」は無い

イタチタケ: 同様の理由

ムササビタケ: 〃
チシオタケ: 〃
ニシキタケ: 〃
ネンドタケ: 〃
ヤケイロタケ: 〃
ヤケコゲタケ: 〃
ヤニタケ: 〃
ヤミイロタケ: 〃


ボタンタケ:牡丹ではなく釦

フジタケ:由来不明

 

 

抽出してみたら結構あったなぁ。

軽く考えて探し始めた事を後悔したよ・・・・・・

でも、そうなると他のパターンのも探してみたくなると言う物。

例えば他にキノコの代表的な括りで言うと「〜ガサ」もある。

そこで「色名+ガサ」を抽出してみた所、9種類あった。

 

 

アクイロガサ
ウコンガサ
ウスムラサキガサ
オレンジガサ

シュイロガサ

ダイダイガサ

070601-015029-ダイダイガサ (26).JPG

ハダイロガサ
ヒイロガサ

20200229hiirogasa.jpg
ヒスイガサ


 

更についでに。

「タケ」「ガサ」に比べると一多くないが

キノコの名前の括りとしては他に「シメジ」もある。

スーパーなどではブナシメジが、

以前はヒラタケが「シメジ」の名で売られていたりもする。

シメジは「占地」の意で、本来は地面に群生するキノコを指すが

多くの種類のキノコ和名に使用されている。

「色名+シメジ」を抽出した所、14種類あった。

 

ウスムラサキシメジ
オウドシメジ

キシメジ

20200229kishimeji.jpg
クロシメジ
コガネシメジ→現和名:タモギタケ

サクラシメジ

20200229sakurashimeji.jpg
シロシメジ

ダイダイシメジ 

ネズミシメジ

ハイイロシメジ
ハダイロシメジ
バライロシメジ

ミドリシメジ 
ムラサキシメジ

 

尚、以下の物は除外した。

 

アイシメジ:キシメジとシモフリシメジの中間の見た目だから

クロズミシメジ:色名では無い
スミゾメシメジ: 〃

 

 

更に「イグチ」もある。

イグチは傘の裏側がスポンジ状のキノコの総称で

ハナイグチが中でも良く知られた和名だろう。

「色名+イグチ」を抽出してみた所、7種類あった。

 

アヤメイグチ
ウグイスイグチ

キイロイグチ

20200229kiiroiguchi.jpg
クリイロイグチ

クロイグチ
コゲチャイグチ

ダイダイイグチ

20200229daidaiiguchi (2).JPG

20200229daidaiiguchi (3).JPG

 

 

更についでに。

ベニタケ科で多くのキノコに使用されている名称に「ハツ」がある。

「色名+ハツ」で抽出すると23種類あった。

 

アカハツ
ウグイスハツ
ウコンハツ
ウスズミハツ
ウスチャハツ

ウスハイイロハツ
ウスフジイロハツ
ウスボタンハツ
ウスムラサキハツ
ウスモモハツ

カバイロハツ
カレバハツ
キイロハツ

キツネハツ
キチャハツ

クサイロハツ
クロハツ

シュイロハツ
シロハツ

20200229shirohatsu.jpg

ツチイロハツ

ハダイロハツ
バライロハツ

ヤマブキハツ

レモンハツ

 

 

 

以下の物は除外した。

クサハツ:臭いハツの意で色名では無い

チシオハツ:血潮は色名では無い

 

 

 

 

ダイダイタケとダイダイガサ、

ヒイロタケとヒイロガサは

名前は似てるけど形も何も全く違うキノコだから

ややこしいよなぁ。

「ダイダイ」は他に

ダイダイイグチもダイダイシメジもあるんだなぁ。

ダイダイハツがあればコンプリートだなw

 

それにしても色名を命名の基準にしたキノコは

思ったより多かった。

軽い気持ちで調べ始めたのだが

こんな大変な事になるとは思わなかった(-_-;) 

しかも、色名の種類の多い事。

命名者の苦労が偲ばれる。

 

だがサクラとかコウバイとかウスクレナイとか

ウスモモとか色合いの良く似た感じの微妙な色名も少なくない。

アカタケとヒイロタケとシュタケとアカネタケ、

ミドリタケとモエギタケとワカクサタケ、

オレンジガサとダイダイガサ、

シュイロガサとヒイロガサ等は

聴いただけでは色がどの様に違うのか想像も出来無いしなぁ。

その辺、何とかならない物かなぁ。

まぁ、どうしようも無いか・・・・・・

 

今後も新たに色名のある和名が付けられるキノコが

どんどん出て来るだろう。

これからの命名者も大変だろうなぁ。

 

ひょっとしたら今迄使われていない色名、例えば

利休鼠タケ(リキュウネズタケ)」とか

鉄納戸タケ(テツナンドタケ)」とか

一斤染カサ(イッコンゾメカサ)」とか

秘色シメジ(ヒソクシメジ)」とか

空五倍子色カサ(ウツブシイロカサ)」とか

憲房色タケ(ケンボウイロタケ)」

なんて聞いただけでは色目の判らない名前のキノコが

出て来るかも知れないよなぁ。

 

当方が命名者になれるのならば、そう言うキノコを発見してみたいな♪

 

 


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こちらはオニタケ。

林内地上に発生する世界的公布種との事。

2019ontk (1).jpg

東大阪時代は良く遭遇して居たが

名古屋ではたまにしかお目に掛かれない。

土壌の関係なのだろうなぁ。

 

「鬼茸」の名は傘表面のトゲトゲを鬼の角に見立てた物の由。

名前はイカツイが、実際には結構繊細なキノコ。

2019ontk (8).JPG

2019ontk (9).JPG

図鑑では傘径7〜10cmとあるが

当方が遭遇するのは5cm〜の物が多い様だ。

 

「鬼」と言う程大きくもないし、

傘裏のヒダはとても緻密で更にイカツク無い。

2019ontk (3).JPG

組織も柔らかく、柔和な感じ。

当方がこのキノコだったら「鬼」なんて名付けられて

ちょっと気恥ずかしくなってしまうかもなぁ。

 

トゲトゲの色合い、大きさ、配置は個体差が大きい様だ。

2019ontk (2).JPG

2019ontk (4).JPG

2019ontk (7).JPG

2019ontk (10).JPG

 

上掲画像で膜質のツバがハッキリ確認出来るが

幼菌の時にはそれとは別に蜘蛛の巣状のツバ?が見て取れる。

2019ontk (5).JPG

その点だけを見るとフウセンタケ科とかと間違えてしまいそうだが

オニタケはハラタケ科なので

市販のマッシュルームに近い仲間と言える。

 

こちらは成長中に乾燥した為か傘が大きくひび割れている。

2019ontk (6).JPG
花みたいでカワイイ♪

 

オニタケは一応食キノコとなっているが

食べでが無い事と、旨味が少ないとの事で

あまり利用されていない様だ。

当方も食べる気にはならず一度も収穫した事は無い。

 

 

こちらはシロオニタケ。

こちらも林内地上に発生するが、東アジアに分布する種類との事。

2019srontk (3).JPG

2019srontk (2).JPG

2019srontk (7).JPG

こちらも傘のトゲトゲを角に見立てた命名なのだろう。

シロオニタケは高さ30cm、

傘径が20cmを超える事もある堂々たる体躯なので

「鬼」の名に相応しいキノコと言えるかも知れない。

シロオニタケについては以前に記事にした事がある(→こちら)。

 

その時にも書いたが、シロオニタケは丈夫な膜質のツバが特徴。

2019srontk (5).JPG

 

傘の伸展と共に剥がれ、ヒダを露出させて行く。

2019srontk (1).JPG

 

こちらは殆ど剥がれた状態。

2019srontk (4).JPG

 

こちらは菌輪の一部なのだろうか。

2019srontk (6).JPG

当方の観た範囲ではあまり群生する事の無い種類の様に思う。

 

こちらは何故か竹の葉が傘を貫いてしまっている。

2019srontk (8).JPG

ヤクザな感じでちょっとカッコイイ(・∀・)♪

 

こちらは発生初期の幼菌。

2019srontk (9).JPG

雪ダルマみたいでカワイイ(^-^)♪

これが数日経つと高さ30cm傘径20cmとかになるのだもんなぁ。

 

因みにシロオニタケはオニタケと名前は良く似ているが

こちらはテングタケ科なので種として近い訳では無い。

傘の突起が目立つと言う共通点があるだけだ。

オニタケは可食のキノコとの事だが

シロオニタケは毒キノコ。

猛毒キノコの少なくないテングタケ科の

見るからに禍々しい感じのこのキノコを食べた人が居るのが凄いよなぁ。

 

 

こちらはシロオニタケモドキ。

2019srontkmdk (4).JPG

2019srontkmdk (2).JPG

2019srontkmdk (1).JPG

シロオニタケと良く似ているが

外見的な違いは全体に褐色がかっている事。

「黄ばんだシロオニタケ」と言った風情。

 

他の外見的特徴としては

シロオニタケのツバが剥落しやすいのに比べて

シロオニタケモドキのツバは永続性が高い、との事。

2019srontkmdk (3).JPG

剥落しないで柄に接続されたまま、との事だが

当方の画像ではそれの確認が出来無いのは残念。

 

シロオニタケとシロオニタケモドキの一番の外見的差異は

上記したようにその色合いだが

シロオニタケも古くなるとやや褐色を帯びる様になるし

真っ白なシロオニタケも撮影時の光の加減や露出の設定などで

黄ばんだり褐色を帯びて写る事もある。

どちらも似た環境に発生するのでその点もややこしい。

 

柄の形状がシロオニタケモドキの方が少しずんぐりとしてて

シロオニタケの方がスラッとしている、というのもあるが

それも個体差もあるしね。

 

各々、実物では結構はっきりと違いが判る事が多いが

画像だけでの判別は難しい場合があるだろう。

上掲画像でも、シロオニタケと言いながら

褐色がかって見える物もあるが

きっとシロオニタケで合っている筈・・・・・・

 

因みにシロオニタケモドキは食毒不明との事。

無毒だが食不適、との説も。

まぁ、当方は食べる気になれないけど。

 

今の所、当方の行動範囲・名古屋東部では

シロオニタケの発生がとても多く

ほぼ毎年、何度も遭遇して居るが

シロオニタケモドキは数える程しか遭遇出来ていない。

webで検索してもシロオニタケの方が情報量は圧倒的に多い。

勿論それがそのまま

両種の発生量の差を表している、と言う保証は無いのだが

取り敢えずは名古屋東部は

シロオニタケに取ってとても住みやすい環境の様だ。


 

と、そんな今年(2019年)、こんなキノコに遭遇。

2019hiirontk (2).JPG

遠目で見た時はシロオニタケだと思った。

だが全体に灰色っぽい。

 

シロオニタケモドキに様に黄ばんでいない。

2019hiirontk (3).JPG

個体差と言うにはあまりにも色合いの違いが大きい。

 

周辺にあった別の個体。

既に誰かに折られた後だった。

2019hiirontk (4).JPG

2019hiirontk (5).JPG

観察の為に採った、と言うより

単に遊びで蹴り倒しただけなのだろうなぁ。

 

こちらは並んで生えてる幼菌。

2019hiirontk (6).JPG

カワイイ(・∀・)♪

 

左側の一本を採取。

2019hiirontk (7).JPG

持ち帰って標本にしようかな。

 

こちらはミニミニな幼菌。

2019hiirontk (8).JPG

これは成熟しても大きくはならないのだろうなぁ。

 

灰色を帯びたシロオニタケ、となると

「ハイイロオニタケ」とでも言うべきか、と思って調べてみたら、

実際に「ハイイロオニタケ」と言う和名のキノコがあったので

多分それで良いのだろう。


この周辺は今迄シロオニタケは何度も生えて来ていた場所。

だが、今年はシロオニタケは生えて来ず

その代わりなのかハイイロオニタケに初遭遇。

今年の名古屋は雨が異常に少なかったのだが

それがシロオニタケに取っては具合が悪く

ハイイロオニタケに取っては具合が良かったのかなぁ。

来年以降どうなのか、是非とも観察したい物。

 

ハイイロオニタケは掲載されている図鑑も殆ど無く

web上の情報も少ない。

当然食毒不明。

当方も食べる気にはなれない。

 

それにしても「こんな外見ならこんな名前かなぁ」と想像した名前が

実際にそのキノコの和名として存在しているとなると

まるで自分が命名したみたいな気になって何となく嬉しい。

命名者からしたら「何勝手な事言うとんねん!」なのだろうけど。

 

 

しかし「鬼茸」があって「白鬼茸」があって、

更に「灰色鬼茸」があるのだから

折角なら「赤鬼茸」「青鬼茸」も欲しい所。

 

例えばこんな感じで「アカオニタケ」、

2019fake-ontk (1).jpg

 

「アオオニタケ」があるかもw

2019fake-ontk (2).jpg

これは当方が画像をいじって色を変えた物です。実際にこう言うキノコがある訳ではありません(多分)

 

この広い地球の事。

世界には当方の想像の及ばないキノコが沢山あるのだ。

だから世界の何処かには実際に

こんな「アカオニタケ」「アオオニタケ」があるかも知れないよなぁ。

「そんなん絶対ある訳無いやん(プ」と否定出来無い筈だよ。

「無い事の証明」は不可能だしね。

 

世界の何処かのまだ見ぬキノコにこんなのがあれば面白いのになぁ。

 

 

 


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ハナビラ色々

こちらはハナビラタケ。

hnbrtk2019 (3).JPG

hnbrtk2019 (2).JPG

 

岐阜県旧荘川村の某所、モミの木の根元に
大きな塊がまるで其処に置かれた様に生えていた。

hnbrtk2019 (4).JPG
ハナビラタケは食キノコ。
近年では栽培品も売られている。
 
ハナビラタケの名はその見た目から。
この個体は淡褐色だが、もっと色の薄いタイプだと
白い花びらが一塊になった様だ。

hnbrtk2019 (8).JPG

hnbrtk2019 (5).JPG

 

因みに栽培品はかなり白いので

「ハナビラタケ」の商品名により似合う様に

色の白い系統を選抜しているのだと思われる。

                   Mマートさんのサイトより引用

 

真っ二つに切るとこんな感じ。

hnbrtk2019 (7).JPG

hnbrtk2019 (10).JPG

幹状の部分を中心にハナビラが広がっているのが判る。

断面に年輪の様な縞模様が見えているが、これが本当に年輪の様に

成長速度の違いを表しているのかどうかは不明。

 

因みにこの時はホイル焼きで食べた。

hnbrtk2019 (6).JPG

(゚д゚)ウマー

 

こちらは老菌。

hnbrtk2019 (11).JPG

hnbrtk2019 (12).JPG
採り頃を過ぎるとこんな感じなのだなぁ。

また来年、遭遇出来たら良いなぁ。

  
 
こちらはハナビラニカワタケ。

hnbrnkwtk2019 (4).JPG

hnbrnkwtk2019 (1).JPG

hnbrnkwtk2019 (3).JPG

色の個体差はかなりあるが、赤みがかった淡い色が多い。

 

こちらはやや古い個体。

hnbrnkwtk2019 (2).JPG

若干萎れかけている。

 

こちらは更に古い個体。

hnbrnkwtk2019 (5).JPG

一部、溶け始めている。

 

こちらは更に古い個体。

hnbrnkwtk2019 (8).JPG

hnbrnkwtk2019 (9).JPG

殆ど溶けている。

 

その10日後。

hnbrnkwtk2019 (12).JPG

どんどん溶けている。

 

更に17日後。

hnbrnkwtk2019 (11).JPG

最末期。

経過観察していたからこれがハナビラニカワタケな事は判るが

これだけにいきなり遭遇したら何が何だか判らないよなぁ。

 

こちらは古くなった上に

乾燥して萎びている状態だと思われる。

hnbrnkwtk2019 (6).JPG

hnbrnkwtk2019 (7).JPG

 

こちらは古くなって萎びかけなのか、

生え始めだけど乾燥してしまったのかは不明。

hnbrnkwtk2019 (10).JPG

 

こちらは発生初期。

hnbrnkwtk2019 (13).JPG

別の種類のキノコ(例えばモモイロダクリオキン→こちらにも見えてしまうが

近くに別のハナビラニカワタケがあったので

これが発生初期の状態と考えて良いだろう。


ハナビラタケと名前もパッと見も似ているが、実は全く別の種類。

ハナビラタケは分類学的に言うと

 菌界
  └担子菌門
    └ハラタケ鋼(真正担子菌鋼)
      └タマチョレイタケ目
        └ハナビラタケ科
          └ハナビラタケ属
            └ハナビラタケ

 

ハナビラニカワタケは
 菌界
  └担子菌門
    └シロキクラゲ鋼(異型担子菌綱)
      └シロキクラゲ目
        └シロキクラゲ科
          └シロキクラゲ属
            └ハナビラニカワタケ

 

と、「鋼」から違っている。
「鋼」が違うと言う事は「ヒト」を基準に考えた場合、
脊椎がある事が共通しているだけで
「ヒト」と「魚」「カエル」「キリン」位の遠さと言える。

他人の空似、と言った所だろう。

 

因みに、「鋼」の名前にもなっているシロキクラゲはこちら。

hnbrtk2019 (1).JPG

ぱっと見はハナビラニカワタケに確かに似ている。

白いハナビラタケの方が似ているとも言えるが

実物で比較するとシロキクラゲの方は透明感がある点が違う。

 

ハナビラタケに比べるとハナビラ部分に厚みがあるのが

外見的な大きな違いだ。

ただ、ハナビラタケは淡褐色〜灰白色だが
ハナビラニカワタケは赤みがかった色合いで、

個体によってはそれこそ花の様に綺麗なので
どちらかと言えばハナビラニカワタケの方が

花びらぽいと言えてしまいかねないのがややこしい所だが。

 

因みにハナビラニカワタケは食べられる。
一度だけ食べた事があるが、柔らかいキクラゲの様だった記憶がある。
図鑑には「良い出汁が出る」とあったが
当方はその時は特にそう感じなかった。
ひょっとしたら雨に当たって

風味が抜けてしまっていた個体だったのかもなぁ。

 


こちらはクロハナビラニカワタケ。

krhnbrnkwtk2019 (3).JPG

krhnbrnkwtk2019 (4).JPG

krhnbrnkwtk2019 (5).JPG

分類学的に言うと

 菌界

  └担子菌門
    └シロキクラゲ鋼
      └シロキクラゲ目
        └シロキクラゲ科
          └シロキクラゲ属
            └クロハナビラニカワタケ

 

ハナビラニカワタケと「属」まで一緒なので
「ヒト」を基準に考えた場合、
ネアンデルタール人や北京原人くらいの違い、
獣で言えばライオンとジャガー、虎ぐらいの違いだ。
かなり近いと言える。

 

だが、実際に見てみると
クロハナビラニカワタケはハナビラニカワタケに比べると
シロキクラゲの仲間と言う程には厚みを感じない。
薄さの点ではハナビラタケに近いと言える。
だが、分類学で言うと「ヒト」と「魚」くらいに遠いのだ。
ホント、キノコは難しいなぁ。

 

尚、ハナビラニカワタケとクロハナビラニカワタケは

実は同一の種類なのだと主張する研究もある、との事。

ますますもって、良く判らないw

 

クロハナビラニカワタケの裏側はこんな感じ。

krhnbrnkwtk2019 (6).JPG

krhnbrnkwtk2019 (7).JPG

断面は撮っていないので厳密には比べられないのだが
ハナビラタケの様に「幹」に当たる部分は無く
一点の根元からワサワサ分岐している様だ。
その点では確かにシロキクラゲと共通している。

 

こちらはやや古いクロハナビラニカワタケ。

krhnbrnkwtk2019 (1).JPG

全体に萎び始めている。

 

こちらはかなり古い個体。

krhnbrnkwtk2019 (2).JPG

殆ど溶けてしまっている。

近くに別のクロハナビラニカワタケがあったので

それの末期的な個体だと判断したのだが

勿論そうだと断言出来る訳では無い。

 

因みにクロハナビラニカワタケは食毒不明との事。
近縁には食べられる種類が多いので
クロハナビラニカワタケも可食の可能性が高い。
実際、クロハナビラニカワタケの可食と書いているサイトもあったが
少なくともweb上では試食例を見付けられなかった。

 


こちらはクロハナビラタケ。

krhnbrtk2019.JPG
名前は上記の種類と似ているが外見はかなり違っている。
上記の3種はカリフラワー状にワサワサしているのだが
こちらは皿状の物が群生している、と言った感じ。
暗い場所に発生していて、黒い小さなキノコだった為に
当方の技術では上手く撮影出来無かったのが残念だった。

 

因みに分類学的には

 菌界

  └子嚢菌門
    └ズキンタケ鋼
      └ビョウタケ目
        └ビョウタケ科
          └クロムラサキハナビラタケ属

           (クロハナビラタケ属)

            └クロハナビラタケ

 

何と「門」から違っている。

「門」が違うと言えば「動物(生物)」と言う点で共通しているだけの
「ヒト」と「ウニ」「ミミズ」「カブトムシ」くらい程遠い。
それなのに、こんな似た名前と言うのもどうなのかなぁ。


因みに、クロハナビラタケの上位の括りはビョウタケ目。

その名の基準となっているビョウタケはこちら。

bytk2019.JPG

正に、画鋲を刺したような外見だ。

 

大枠の形で言えば確かにクロハナビラタケは

ハナビラタケやクロハナビラニカワタケに比べると

ビョウタケの仲間の方だ、と言うのはお判り頂けるだろうか。


さて、このクロハナビラタケは毒キノコとの事。
中国名では「毒木耳」、つまり「ドクキクラゲ」と言う由。
その名の通り、キクラゲと間違えて食べてしまった為に

中毒してしまった人が居たのだろう。

因みにキクラゲはこちら。

kkrg2019.JPG
だがクロハナビラタケはキクラゲと比べると一つ一つはとても小さい為
採取も調理する手間も結構な物だと思うのだがなぁ。
その点で違和感を感じなかったのだろうかなぁ。

 

因みにキクラゲは分類学的に言うと

 菌界
  └担子菌門
   └シロキクラゲ綱
     └キクラゲ目
       └キクラゲ科
         └キクラゲ属
           └キクラゲ

 

と、「門」から違うので全く遠い関係と言える。

他人の空似どころでは無いし、そもそもそんなに似ているとも思えない。

 

でもまぁ、クロハナビラタケの事を予め知らなかったら
「これは小さなキクラゲだ!」と思い込んでしまうかもなぁ。
そう思い込まないとこれを食べようとは中々思わないよなぁ。
と言うのは当方の想像でしか無いのだけれど。

 

それはともかく、そうやって食べた人が居たからこそ
クロハナビラタケが毒キノコである事が判った訳で。
だから当方はクロハナビラタケを

うっかり食べずに済んでいる訳で(かな?)。


クロハナビラタケが毒キノコだと言う事を
身をもって証明してくれた人、どうも有難う!

 

 

 

所で「毒キノコ」と言えば
この度菌友・畏友で日本唯一のキノコライター・堀博美氏が
『毒キノコに生まれてきたあたしのこと。』と言う本を上梓した。

タイトルの通り、全編が毒キノコについての本。

44種の毒キノコについてデータと事例を踏まえたエッセイ集。
ヒグチユウコ氏のカバーがまた素晴らしい。
恐縮する事に、資料を提供した縁で当方の名前も出して頂いているし
データの一つとして当方のこのキノコblogも一部引用して頂いている。

 

とにかく全編毒キノコの事が詳細に、
そしてとても読みやすく纏められているので
これを読めばあなたも毒キノコのエキスパートに???

 

一家に一冊、是非(・∀・)つドゾー(amazonのサイト→こちら

 

また、発売記念イベントも開催される由。

そちらも是非(・∀・)つドゾー(Loft PlusOne Westのサイト→こちら

 

 

※本文中の分類学的位置付け部分は2019年10月現在の物です。

 今後、表記や内容が変わる可能性もあります。

 


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異形のキノコ その2

※グロい画像もありますのでご注意を

 

野外で観察をしていると色々なキノコに出逢う。
色々な種類、と言うのは勿論だが

文字通り「色々な形のキノコ」に遭遇するのだ。
種類にもよるが、キノコは個体差が結構大きく、
図鑑通りの外見を呈していない事も少なくない。
キノコの形成には発生して居る環境によって様々な影響を受けており

中には極端に形が違っている為に何のキノコか判断に迷う事もある。

様々な原因でキノコは本当に色々と不思議な形になったりする。

 

 

 

例えばこちら。

ymdrtkmdk-monjiro (1).JPG

ymdrtkmdk-monjiro (2).JPG

ヤマドリタケモドキの柄が割れて剥がれてしまっている。

恐らく成長途中で空気が乾燥してしまい

その為に表面がヒビ割れ、成長と共にそれが大きくなって

この様に剥がれてしまったのだろう。

 

キノコの表面にヒビが入る事は少なく無いが

この様に大きく捲れるのは多くは無いと思う。

まるで木枯らし吹き荒ぶ野道を行く股旅物の渡世人みたいだ。

木枯し紋次郎のロケ地より引用)

そう言えば股旅物のドラマや映画って見なくなったなぁ。

今も残ってるのは大衆演劇の舞台くらいかもなぁ。

「股旅物」と言う言葉自体、聞かなくなったし。

今の若い人はその言葉自体知らないだろうなぁ。

「またたび物」の音だけだと

「猫のオヤツ」か何かと思われかねないかもなぁ。

 

 

 

こちらもヤマドリタケモドキ。

ymdrtkmdk-dkbk (1).JPG

一見、普通の状態に見えるが。

 

裏側、管孔部分がちょっと妙な感じ。

ymdrtkmdk-dkbk (2).JPG

 

良く見ると不自然なほどにデコボコ。

ymdrtkmdk-dkbk (3).JPG

ymdrtkmdk-dkbk (4).JPG

台所のスポンジみたいになっている。

 

もしくは、巨大竜巻が表れる前兆と言われる乳房雲か。

大気現象〜乳房雲(マンマ)から引用)

不穏な感じはむしろこっちかな。

 

それにしても何故こんな形になったのだろう。

全面的にきれいなデコボコになっている点からすると

虫やナメクジに食べられたと言う訳では無いだろうしなぁ。

ウィルスか何かに感染して正常な発育が出来無くなったのかなぁ。

何分、初めて見た状態の物だから想像すら出来無い。

この時、ヤマドリタケモドキは幾つも見たのだが

こんなんなってたのはこの個体だけだったし。

ひょっとして、標本として保存しておくべき

貴重な物だったのかも知れない……???

 

 

 

フィールドでキノコを見付けた時、

遠目で「あれは〇〇かな?」と予想してから近付くのだが

時々予想が出来無い物に出逢う事がある。

こちらもその一つ。

beniiguchi-drdr-veil (4).JPG

遠目で見て「キノコ?キノコか?キノコなのか???」と

それが何か全く想像すら出来無かった物。

 

近付いて見たら、

ベニイグチからベールが垂れている状態の物だった。

beniiguchi-drdr-veil (3).JPG

beniiguchi-drdr-veil (2).JPG

古くなったキノコが溶けてドロドロになる事は良くあり

フィールドでもちょいちょい見掛ける。

だが、こんな風に柄と傘の形は残っているのに

管孔の部分だけ溶けて

しかもそれが綺麗にベール状になって流れているのは初めて見た。

 

それにしても見れば見る程奇妙な状態だなぁ。

色々な条件が上手く重なってこう言う風になったのだろうなぁ。

beniiguchi-drdr-veil (1).JPG

beniiguchi-drdr-veil (6).JPG

beniiguchi-drdr-veil (8).JPG

この禍々しさは「悪魔の花嫁」てイメージか。

色々な想像を掻き立てられてしまう。

 

 

 

こう言う思いもよらない、不思議な形の物と遭遇出来るので

フィールド探索は止められないなぁ♪

 

 

 

※異形のキノコまとめ→こちら

 


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タイミング
 こちらの画像はシロスズメノワン。
shirosuzumewan-1.JPG
shirosuzumewan-2.JPG
shirosuzumewan-6.JPG
shirosuzumewan-5.JPG
ご覧の様に小さな椀型で、内側が白いので
この様に命名されたのだろう。
外側を覆う毛が茶色だ、と言うのも
雀をイメージさせたのかも知れない。
shirosuzumewan-4.JPG
とても可愛い、風流な命名だと思う。
比較的腐朽の進んだ広葉樹の枯れ木や
腐食土上に発生する種類の様だ。

実は、このキノコがシロスズメノワンだと最初は気付かなかった。
と言うのも、図鑑の画像では
幼菌の抹茶茶碗状の物が載っており(→こちら
当方が出逢った皿〜鉢状の個体とは
雰囲気がかなり違っていたので
これがシロスズメノワンだとはすぐには判らなかったのだ。
shirosuzumewan-3.JPG
この色と質感は何処かで見たなぁ、と
少し考えて「あ、そうか!」と気が付いた次第。
当方は図鑑の絵合わせだけでしか同定出来ないので
成長段階での形態差が大きいと困ってしまう事がある。


同様の例がこちら。
この状態では何と言う種類のキノコだか
ちょっと判り難いのだが
kurigechahira090803-1.JPG
kurigechahira090803-2.JPG
こちらの前日の様子を見れば
これはクリゲノチャヒラタケだと言う事が判る。
kurigechahira080902-1.JPG
kurigechahira080902-2.JPG
kurigechahira080902-3.JPG
クリゲノチャヒラタケも図鑑では
基本的に綺麗な成菌の状態しか見る事が出来ないからなぁ。
たまたま前日も見ていたから判ったけど
成長後の物だけを見ていたら正体不明菌として
処理してしまっていたかも知れないよなぁ。
たった一日でこんなに変化をしてしまうのだからなぁ。


キノコ図鑑は基本的にそのキノコの
特徴が一番良く表れている画像が使われるので
実際にフィールドで出逢うノコと違って見える事が多い。
また、図鑑編纂時に良い画像が撮れなかった為に
あまり典型的で無い画像が使用される事も少なくない。
特に地方出版社発行の図鑑ではまま見られる事だ。

まして、成長の早いキノコの事。
図鑑に載っている画像の状態に
フィールドで出逢える確率なんて当然低い筈だ。
実際、オオツエタケの幼菌がイグチの様に見える、だなんて
この目で見るまで想像だにしていなかったしなぁ。

(当該記事はこちら

当方の様な絵合わせでしか同定する事の出来ない素人は
そのために判断に迷うことが多い。
なので経過観察をして多くのキノコの
成長段階による変化を見ておくのは大事な事だろう。
それによって、他のキノコの幼菌、老菌の状態を類推する事も
ある程度は可能だと思う。

とは言え、先のオオツエタケの例の様に
中にはその類推・予想を上回る物もある訳で。
この辺がキノコの難しい所だよなぁ。


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呉越同舟
昨年、 Xylaria liquidambar (キシラリア リクイダンバル)
の事を書いた(→こちら)。
古くなったフウの実から発生するキノコで
以前は「フウノミタケ」と言われていたが
その名を別のキノコに奪われてしまい(→こちら
現在は和名が無い状態の悲運のキノコだ。

所で、昨年 X.liquidambar を撮影する前に
その場所の近くで
別のキノコを撮影していた。
fuunomi-1.JPG
fuunomi-2.JPG
fuunomi-3.JPG
fuunomi-4.JPG
fuunomi-5.JPG
色合い、質感で言うと
一見、キツネタケの仲間に見える(→こちら)。
が、良く判らない。
でも、何か見たことがある感じだなぁ。
これはひょっとして……

「フウノミタケ」では無いだろうか。
フウノミタケはフウの実だけで無く
フウの実の積もった周辺の地面や
埋もれたフウの枝からも
発生する事がある、と言う(→こちら)。
これはどうやらフウノミタケぽいなぁ。

だが、先に書いた様に
他のキノコにも見えてしまう。
当方は顕微鏡を持っていないので
正確な同定が出来無い。
どうもそれっぽいのだけどなぁ、止まりだ。

念のため、更に周辺を探す。
するとこんな物を発見。
fuunomi-6.JPG
fuunomi-7.JPG
矢張りこれはフウノミタケだった様だ。
だが、干からびてしまっているのが残念だ。
せっかくなら新鮮な状態の物が見てみたいなぁ。

で、今年。
2011年の X.liquidambar の様子はどんな物だろう、と
定点観察をしに行った。
すると今年も X.liquidambar は盛大に発生していた。
X liquid-3.JPG
X liquid-1.JPG
X liquid-2.JPG

幾つかを取り上げてみる。
X liquid-4.JPG
X liquid-5.JPG
相変わらず形は様々。

と、こんな個体もあった。
沢山の子実体が融合して一塊になり
雄々しいと言うか、猛々しい状態になっている。
X liquid-6.JPG
X liquid-7.JPG
まるで縄文の火炎土器や
岡本太郎の作品みたいだ。
本当に形も様々で、それを見るのだけでも楽しい♪

更に色々探す。
と、フウノミタケと思われるキノコが生えている一角が今年もあった。
X liquid-fuunomi-1.JPG
fuunomi-8.JPG

取りあげてみるとフウの実から生えている。
矢張りこれはフウノミタケだ。
fuunomi-9.JPG
fuunomi-10.JPG
fuunomi-11.JPG
新鮮な個体で確認が出来て嬉しい。


と、中にはこんな個体が。
一つのフウの実から
 X.liquidambar とフウノミタケが発生している。
X liquid-fuunomi-2.JPG
こんな事もあるのだなぁ。


探すと、そう言う状態の物が幾つもあるでは無いか。
X liquid-fuunomi-3.JPG
X liquid-fuunomi-4.JPG

この場所はフウの実を巡って
2種の菌がせめぎ合っている様だ。
去年は気が付かなかったなあ。
今年になってフウノミタケが
X.liquidambar の楽園に攻め入って来たのだろうかなぁ。

webで検索してもこんな例は出てこなかった。
と言う事は、これは珍しい現象なのかも知れないなぁ。
恐らくこの2種は共生関係にある訳では無いのだろう。
寄主を同じくする別種の菌が、たまたま同居をし
栄養を奪いあっているだけなのだろう。

キノコと言う物の形がユーモラスなので
一見平和に同居している様に見えてしまう。
フウの実が丸いので
「星の王子様」のイラストを想像させてしまうが(→こちら
この小さなフウの実の中では
熾烈な争い、壮絶な殺し合いによる
2種の菌糸の陣取り合戦が繰り広げられている筈だ。
実際、和名を奪われた憎き相手(?)な訳だしなぁw
それにしても、新旧揃い踏みが見られるとは思わなかった。

来年、フウノミタケは
このX.liquidambar の楽園で
どの程度のテリトリーを獲得しているだろうか。
それともX.liquidambar は新参のフウノミタケを
駆逐しているだろうか。
この争いを暫く見物したいと思う。

この場所が造成されて
2種の菌糸の争い所じゃなくなってしまわない事を
ひたすら祈るのみだ……



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異形のキノコ

野外で観察をしていると色々なキノコに出逢う。
色々な種類、と言うのは勿論だが

文字通り「色々な形のキノコ」に遭遇するのだ。
種類にもよるが、キノコは個体差が結構大きく、
図鑑通りの外見を呈していない事も少なくない。
キノコの形成には発生して居る環境によって様々な影響を受けており

中には極端に形が違っている為に何のキノコか判断に迷う事もある。

様々な原因でキノコは本当に色々と不思議な形になったりする。


こちらの画像もその一つ。
御覧の様に、柄が妙にささくれている。
なので、遠目で見た時には何の種類かさっぱり判らなかった。
2008/08/18、岐阜県荘川村にて撮影。

で、近付いてみたら、オオツルタケの柄が
ささくれてしまっている物だった次第。

因みに、反対側から見ると、普通にオオツルタケだった。

成長中に湿度の変化で組織のバランスが崩れて
柄の表面がひび割れ、それがささくれてしまったのだろうか。
実はこう言う外見になるキノコは結構少なくない。


こちらはシロタマゴテングタケと思われる個体。
2008/06/30、名古屋市内にて撮影。

先程のオオツルタケと同じく、柄の一部がひび割れて
ささくれてしまっている。

一つだけ大きくささくれた状態は笹野一刀彫(→こちら)、
もしくは手塚マンガに出て来る
「おむかえでゴンス(正式名称はスパイダーと言う由→こちらの左上)」を
想像してしまったw


こちらはカレエダタケと思われる個体。
2007/10/12、東大阪市内にて撮影。


一部が妙に肥大してしまって、殆ど原型を留めていない。
植物ならば虫こぶか、との疑いを持ってしまう所だが
キノコにはそう言うのは無い筈だ。
何かの加減で、この一部だけが異常に成長してしまったのだろう。
ひょっとしたら、別の菌やウィルスによる病気なのかもなぁ。

こちらは通常のカレエダタケ。
どちらも2008/10/14、名古屋市内にて撮影。


文字通り、枯木の様な形状をしている。
上の肥大カレエダタケが、如何に異常かが判る。


こちらは奇妙なチチタケ。
2008/09/14、岐阜県荘川村にて撮影。


正常な個体はこちら。
2008/08/18、岐阜県荘川村にて撮影。


あまりに奇妙な形をしているので
どんな角度で撮っても
全体像が判る様に撮影する事が出来無かった。
また、発生している場所の関係もあって
反対側から撮影する事が出来無かったのが残念だった。

で、あまりにも奇妙な形をしているので
その構造を理解するのに時間が掛かってしまった。

このキノコ、柄を見ると基部は一つになっていた。
本来大きな1本だった筈の個体が
2本に分かれて成長を始めた様だ。
それが、成長に伴い傘が衝突し、融合してしまった。

そのまま更に成長したので、向かい合わさって
V字型になってしまったのだろう。
そして、融合した傘の一部から、
小型の子実体が成長して2階建てになっている。
思う様に成長出来無かった為に鬱積したエネルギーが
此処で噴出した、と言う事なのかも知れない。

2階の子実体も、やや変形している様だ。

とにかく、あまりにも奇妙な形をしている。
何故こんな事になってしまったのだろう。
近くに原子力発電所でもあれば怖い話になるが
此処は普通の山の中だ。
周辺の植物やキノコには特に異常は無い様だし。
何が何でも成長したい!と言う意欲があまりにも強過ぎて
実体がそれに伴わなかったのかなぁ。

このチチタケ。
此処まで異形だと神々しささえ感じてしまった。
なので、収穫して標本にしたい気もあったが
敢えて収穫しなかった。
イチ素人の当方が、もぎ取ってしまうのは
何か申し訳無い様な気持ちになったのだ。
このチチタケには、このままこの場所で
胞子を撒いて貰いたくなってしまったのだ。
来年この場所で、また新たなチチタケに出逢えたら良いなぁ。
それは普通のチチタケでも十分だしw


でも、今にして思えば
やっぱりちょっと勿体無かったかなぁ……w

 

 

※異形のキノコまとめ→こちら



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