こちらはシロキクラゲ。
広葉樹の枯れ木に発生する。
外見的にはキクラゲに似ているが
細胞レベルで構造が違っている為に
キクラゲとは別の分類群になっている。
鮮やかな白色は森の中で良く目立つ。
こちらも良く目立った。
このキノコも東大阪や滋賀県では遭遇していなかった種類だ。
広葉樹の枯れ木なんて何処にでもあるのになぁ。
何か目に見えない様な微妙な環境の差なのだろうか。
とにかく、名古屋東部では遭遇する事が割と多い。
こちらは老菌の様子。
色がくすんでいる上に一部溶け掛けている。
こちらはHypomyces菌にやられているのだろうか。
一部が黄色くなっている。
キノコはHypomyces菌にやられると黄色くなる事が多い。
シロキクラゲに寄生するHypomyces菌があるのかどうかは
残念ながら調べきれなかったが。
因みにシロキクラゲは優秀な食菌だ。
中国では「銀耳」と呼ばれ
乾燥品がスーパーの中華食材コーナーに置かれている事が多い。
普通に中華料理の食材として使われるが
透き通った白色を生かしてデザートとしても使われる。
一番上の画像のシロキクラゲは
新鮮な状態でとても綺麗だったので早速それを収穫。
何か売り物っぽい♪
一度湯通しして冷やして置いた物を
市販のあんみつに加えてデザートに。
クニュクニュとした歯触りが楽しい。
(゚д゚)ウマー
また新鮮なシロキクラゲに遭遇したら是非収穫しよう。
今度は杏仁豆腐に混ぜてみようかな。
それも中々良さそうだ♪
所で、このシロキクラゲ。
フィールドで観察していると
クロコブタケと隣接している事が多い。
クロコブタケとは文字通りの黒いコブ状の塊のキノコだ。
広葉樹の枯れ木なら普通に見掛けるが
色も形も地味な上、毒でも薬でも無く、更に食べられない為か
キノコマニアの間でも人気が無い。
当方はその地味さが好きだったりするがw
で、上掲画像も実はクロコブタケが映り込んでいる。
小さくて判り難いので矢印で図示してみた。
わーい、白と黒だ〜♪と
なるべく両方が写り込む様に撮影していた。
そんな事に特に気を止めず暢気に過ごす事幾星霜。
少し前にTwitterを眺めていて驚いた。
何と、シロキクラゲはクロコブタケに寄生している、との事。
しかもそれが周知の事実として書かれていた。
そーだったのか!
だから何時も隣接していたのか!
隣接しているのは偶然では無く、当然の必然だったのか!
白と黒だ、わ〜い♪なんて暢気にしている場合では無かった!
しかもそれがキノコマニアの間では
周知の事実となっていたなんて当方は全く知らなかった・・・・・・
当方、キノコが全般的に好きなのだが
中でも寄生的な性格のキノコ・菌類が好きなのだ。
だから冬虫夏草や植物寄生菌、菌類寄生菌に
特に目が行ってしまうのだ。
なのに、シロキクラゲとクロコブタケが
隣接している光景を何度も目にしていたのに
それが偶然では無く、当然の必然なのだと言う事に、
「寄主と寄生菌」と言う関係なのだと言う事に
全く思いが至らなかった・・・・・・
うーむ、情けないと言うか残念と言うか。
2度目は偶然であっても3度目は偶然では無い、は
何時だったかのゴルゴ13の台詞だ。
それに全く思いが至らなかったよ。
もっと俯瞰的に総合的に
発想を柔らかくしなければなぁ・・・・・・
その話を知って、手持ちのシロキクラゲ画像を
全部見直してみた。
すると確かに殆どの場合、
クロコブタケが何処かに写り込んでいた。
両者が写り込んだ他の画像を以下に。
こちらは図示する迄も無い状態。
中には写った画像の範囲には見当たらない物もあったが
恐らく見えない部分にはあったのだろうなぁ。
シロキクラゲは白くて瑞々しい見た目に合わず
獰猛で狡猾な性格であったのだなぁ。
にしても、これだけ両者が映り込んだ画像を撮っていたのに
その理由について全く考えが及ばなかったのは
我ながら情けなくなってしまうなぁ・・・・・・
所でシロキクラゲは栽培品が市販されていると書いた。
クロコブタケの発生している枯れ木と言う
中々にニッチな発生環境を再現するのは
とても難易度が高いと思うのだが
栽培状況を見るに、それを再現しているとは思えない。
普通におがくずの菌床栽培にしか見えない。
(种植致富网様より引用)
おがくずにクロコブタケ成分を
単に混ぜただけではダメだろうなぁ。
だが、おがくずにクロコブタケを侵食させてから
シロキクラゲの菌を植える、なんて
そんな手間を掛けているとも思えないよなぁ。
となると、シロキクラゲはクロコブタケに依存しなくても
発生出来る性質がある、もしくはそう言う系統もある、
と言う事なのだろうなぁ。
実際、『家庭きのこ : 作り方・食べ方』(家の光協会刊)によると
(シロキクラゲは)「栽培の方法はキクラゲ、アラゲキクラゲと
全く同じなので、三種を同一場所で同時に栽培うることができます」
とある。
矢張りクロコブタケとは無関係の環境で育てる事が出来る様だ。
まぁ、菌根菌なのに菌床栽培しているダイコクシメジ、
(雪国まいたけ様より引用)
冬虫夏草なのに培地栽培しているサナギタケ、
(カイタックグループ様より引用)
なんてのがある訳だしなぁ。
キノコは一筋縄では行かない物だなぁ。
それを見付け出す人間側も中々にしたたかだとも思うけどね。
それはともかく。
今後もシロキクラゲを見付けた時には
周囲にも気を付けながら撮影して行くよ。
勿論、他のキノコの場合も同様。
ミクロとマクロの視点を常に持っていたい物だ。
それはキノコに限った話では無いだろうけどね。