※クモの画像がありますのでご注意下さい
こちらはクモタケ。
名古屋市内某所にて撮影。
キシノウエトタテグモと言う、地中に穴を掘って
巣を作るクモに寄生する冬虫夏草の一種だ。
画像の様に、薄紫色の細長い子実体を地表に伸ばしているので
発生して居れば比較的目に付きやすい。
以前住んでいた東大阪はクモタケの一大発生地帯だった。
毎年7月になると、とある場所に多数発生して居たのだ。
当方が目視出来た範囲だけでも毎年少なくとも50本以上、
周囲の目視出来無い場所を含めたら
その数倍は生えていたのではないだろうか。
それだけのクモタケが毎年生える事自体が凄いと思うのだが
毎年それだけ生えてもキシノウエトタテグモが減らない、
と言う事がまた凄いなぁ、と思う。
その場所が割と特殊だろうな、と言うのは当時から感じてはいた。
所でクモタケは日本では千葉県以西に分布すると言う。
当方が最初にクモタケを見たのは明治神宮の鎮守の森だった。
その後、上記の様に東大阪で遭遇出来た訳で
なるほど、千葉県以西に分布しているのだなぁ、と実感した。
なので、名古屋に転居しても東大阪程でなくても
それなりに遭遇出来る物だと思っていた。
だが、2008年に名古屋に転居して以来、
探し続けていたのだが中々見付ける事が出来無かった。
クモタケに遭遇出来たのは2019年になってから。
上掲画像の1個体と、こちら↓の瀬戸市内での1個体。
画像は撮影出来無かったが萎びた老菌状態の1個体(同日)と
僅か3個体だけだった。
クモタケが生えている、と言う事は
キシノウエトタテグモが棲息している、と言う訳だ。
キシノウエトタテグモがこの3匹しか居ない、
と言う訳は無いだろうから
クモタケがもっと発生しても良いと思うのだが
このクモさえ居ればクモタケが発生出来る、と言う訳では無い様だ。
東大阪に比べたらクモタケが発生し難い理由が何かあるのだろう。
それは地質なのか何なのか、気候の影響なのか良く判らない。
それを研究している人が居るのかどうかも判らない。
謎だ、としか言いようが無い・・・・・・
さて、それまで当たり前の様に見ていた季節の物が
パタッと見られなくなってしまうととても寂しい物だ。
毎年初夏になると普通に遭遇出来ていたクモタケに
何せ10年以上に渡って出逢えなかったのだ。
そしてやっと出逢えた物も小さな個体が3個だけ。
名古屋市内の個体はあまりにも貴重だな、と思ったので
掘り出してからは元の場所に埋め戻したよ。
※因みに瀬戸市内の個体は観察会での遭遇だったので主催者が資料として持ち帰った
そうなると東大阪のクモタケが恋しくなるよなぁ・・・・・・
まだあそこに生えているのかなぁ・・・・・・
と言う訳で、今年7月の某日に
東大阪にクモタケを見に行って来た。
いや〜、12年振りの現場だよ。
名古屋へ転居以来、仕事では東大阪に行く事はあったけど
キノコ探索で行くのは初めてだよ。
とにかく12年振り。
一体現場はどうなっているのかなぁ・・・・・・
クモタケは生えていてくれるのかなぁ・・・・・・
当時、原付バイクで通っていた場所に初めて電車で行ってみた。
駅を降りて暫く歩く。
すると12年の間に現場の様相がすっかり変わってしまっていた。
この数年の大雨でか斜面が崩れ、道が一部塞がれてしまっていた。
取り敢えず周囲を探す。
するとあった!
あるにはあったが、既に萎びてしまった物ばかり。
中には渦巻いて何故かちぎれた物も。
時期が遅かったかなぁ。
それとも、もうあまり生えなくなってしまったのかなぁ・・・・・・
時間と交通費を費やして来たのだから無駄足は辛いなぁ・・・・・・
不安になりながら更に歩を進める。
すると新鮮な個体に遭遇。
良かった、取り敢えず新鮮な物に出逢えた♪
早速掘り出してみる。
あぁ、嬉しいなぁ♪
周囲を探すと新鮮な物に次々続々と遭遇。
場所によっては何本も隣り合って発生して居た。
この日、目視出来ただけでも30本以上はあった。
地形は多少変化してしまっていたが
この場所は変わらずにクモタケの一大発生ポイントなのだなぁ。
これからもそうあって欲しいなぁ。
さて、折角なので、そのうちの幾つかを持ち帰る事に。
良い土産が出来た。
遠路はるばるやって来た甲斐があった、と言う物。
まぁ、クモタケにしたら迷惑この上無いだろうけど。
帰宅後、クリーニングと同時に詳細に撮影してみた。
クモの巣である袋を外すとこんな感じ。
比較の為に1円玉を並べた。
こちらは大きめの個体。
クモ本体は菌糸の覆われてしまっているが足の一部が透けて見える。
生々しいなぁ。
こちらの個体はクモが更によく見える。
クモ全体が透けて見えて更に生々しい。
こちらの個体、剥いてみると意外な物が。
クモの巣の中でアリが巣食っていた。
しかもアリの卵とサナギが。
東大阪時代から結構な数のクモタケを剥いて来たが
中にアリが入っていたのは初めてだ。
こんな事もあるのだなぁ。
色合いと大きさからしてアメイロアリだろうか。
アメイロアリは落葉層や腐木内、石の下に営巣する、との事なので
クモタケにやられたキシノウエトタテグモの巣の中は
誰にも邪魔されない丁度具合の良い場所だったのかも知れないなぁ。
卵→幼虫→蛹までの生活を此処でしていたのだから
相当落ち着いた環境だったのだろうなぁ。
そんな場所を当方が壊してしまったのだ。
こめんよごめんよぉ・・・・・・(つД`)
そんな物がもう一つあった。
ごめんよごめんよぉ・・・・・・(TДT)
これは形が綺麗なので袋付きの状態で標本にする事に。
この中にも卵や蛹が
あったりしたらごめんよごめんよぉ・・・・・・。・゚・(ノД`)・゚・。
取り敢えず、東大阪のクモタケへの未練は
これで一区切りついたかな。
多分、この為だけにあの場所に行く事はもう無いと思う。
これからは余裕を持って
名古屋でのクモタケの探索が出来る、と言う物。
また何処かでクモタケに遭遇したい物だ♪
所で上掲のこのクモタケ画像。
現地で撮影していた時は気付かなかったのだが
今回画像を整理していて「ん?」と思った。
何か白い物が付いている。
その部分をトリミング。
多分2mmも無い大きさかと。
ダニなのかな?
それともトビムシ?
何か可愛い(・∀・)♪