こちらはキヌカラカサタケ(多分)。
肥沃な土壌に発生するキノコで
愛知東部のとある林内地上に発生していた。
「キヌカラカサタケ」と言えば
レモンイエローのコガネキヌカラカサタケが良く知られている。
室内の鉢植えやプランターに突然発生する事が多く
キノコマニアでは無い人が驚いて
「変なキノコが生えて来た!!」とSNSで発信している為に
Twitter上では毎年何件も目にしている(→Google画像検索結果)。
で、今回のキヌカラカサタケは
コガネじゃない、白いバージョン。
その為、「シロキツネガサ」との別名もある由。
コガネキヌカラカサタケは発生が多い為か
全国版のメジャーな図鑑に掲載されているが
コガネじゃないキヌカラカサタケは
当方が調べた限りでは
『原色日本新菌類図鑑(I)』 保育社刊
のみだった。
キヌカラカサタケの学名はLeucocoprinus cepistipes
(レウココプリヌス ケピスティピス)。
因みに上記の新菌類図鑑にはLeucocoprinus cepaestipes
(レウココプリヌス ケパエスティペス)と記載されている。
そのままGoogle検索をすると
「もしかしてLeucocoprinus cepistipes」となって
Leucocoprinus cepistipesでの検索結果が出て来る。
これは「cepaestipes」が綴り間違いと言う事なのだろうか???
良く判らない。
cepaestipesは「タマネギの茎」との事で
このキノコの基部がタマネギ状に膨らんでいる事を表している由。
このキノコの最初の登録者Grayは
「タマネギの茎の糞便」との通称を提案したのだとか。
理由は不明だが、このキノコのニオイを糞臭と感じのだろうかなぁ。
ただ、Grayは
キヌカラカサタケとコガネキヌカラカサタケを混同していたらしい。
上記の「タマネギの茎の糞便」も
コガネキヌカラカサタケの事を指していた様だ。
『日本産菌類集覧』によると
キヌカラカサタケの登録は1871年、
コガネキヌカラカサタケは1961年との事。
かなり長い間、混同されていたのだなぁ。
で、コガネキヌカラカサタケの方は月刊きのこ人氏によると
「黒板消しと苛性ソーダを足して2で割ったようなニオイ」の由。
それを糞臭と感じたのかどうかは不明。
当方はコガネキヌカラカサタケもキヌカラカサタケも
ニオイを嗅いでいないので判定不能。
実際、コガネキヌカラカサタケとキヌカラカサタケは
今でも混同されている事が少なくない様で
web上でもキヌカラカサタケと思れるキノコが
コガネキヌカラカサタケとして紹介されている模様。
写真ACさんのサイト
タイルアート工房 ラ ガジェータさんのblog
勿論、コガネキヌカラカサタケが個体差で色が薄い場合や
コガネキヌカラカサタケのアルビノの場合もあるかも知れず
あくまでも当方の見た目での判断でしかないのだが。
外見上は色の違いしか無く
コガネキヌカラカサタケの方がインパクトが強いので
キヌカラカサタケの存在が目立たないのは
まぁ仕方無いかも知れないよなぁ。
世の中、見た目がとにかく重要だからなぁ。
キヌカラカサタケは、コガネキヌカラカサタケを含む
キヌカラカサタケ属の基準種なのに
存在感が薄いのは哀しくなってしまうよ・・・・・・
コガネキヌカラカサタケは本来熱帯亜熱帯に発生するキノコで
日本では沖縄、小笠原以外の場所では
観賞用植物や用土から持ち込まれた物と考えられていると言う。
一方、キヌカラカサタケの方は元々日本に自生していた物らしい。
だが、上述している様に発生はあまり多くないので
愛媛県レッドデータブック2014によると
愛媛県では「絶滅危惧1類(CR+EN)」に指定されている由。
「絶滅危惧1類(CR+EN)」とは「絶滅の危機に瀕している種」で
指定理由として
広く分布する種と考えられているが、
発生環境が不安定であり県内での記録は非常に少ない
だからとの事。
本当に絶滅危惧種なのかどうかは判然としないが
発生の記録が少ない、と言うのは
コガネキヌカラカサタケと比べるとインパクトが弱く
目立たないから、と言うのも大きいのでは無いだろうか。
また ヒメカラカサタケ(→Google画像検索)や
シロヒメカラカサタケ↓
と言うキノコはとても良く似ており、
それらと混同されている事例もあるのかも知れない。
尚、英語版wikiによると
通常褐色になる乾燥した時のヒダの色合いが
緑や桃色になる変種がある、との事。
それが日本に発生しているかどうかは調べ切れなかった。
さて、コガネキヌカラカサタケは
上記の月刊きのこ人氏の記事によると
「ものすごい強い旨み」で「激ウマ」の大変美味なキノコ、との事。
更に、ざざむし。氏の記事でも
「こっくりとした旨味」「うっまい」と激賞していた。
近縁種であるこのキヌカラカサタケも美味の可能性は高いが
キヌカラカサタケを食べた、と言う記事を
見付ける事は出来無かった。
当方も試食者第一号になる気にはなれなかったので収穫はせず。
どなたか、機会あらば是非チャレンジを!
美味である確率が高いと思われるので
チャレンジする価値はかなりあるのでは無いかと。
どう言う結果になっても当方は責任は取れないのだけどね( ̄∀ ̄)