CALENDAR
S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2024 >>
SPONSORED LINKS
ARCHIVES
CATEGORIES
MOBILE
qrcode
アンズタケの事

前回、一年前とシロアンズタケの事を記事にした。

  シロアンズタケの事

  シロアンズタケの事 その2

 

その中で引き合いには出していたのだが

そう言えばアンズタケの事を

記事にしていなかった事に気付いたので

今回は満を持して?アンズタケの事を書いてみたい。

 

 

アンズタケは欧州ではジロール(girolle)と呼ばれ

人気が高い食キノコだ。

名前の通り、爽やかなアンズの香りがする。

キノコから果物の香りがすると言うのも実に不思議だ

 

実は当方は飛騨山中で何度も遭遇している。

鮮やかな黄橙色がとても美しい。

 

アンズタケの仲間はヒダの様子が特徴的だ。

シイタケの様な通常のヒダと違い、やや厚みが感じられる。

これは皺が深くなった状態なので「しわひだ」と呼ばれている。

そしてしわひだ同士を繋ぐ様に脈が発達しており

それを連絡脈と言う。

 

連絡脈の発達具合には個体差が大きい。

これはかなり連絡脈が顕著だ。

 

こちらはかなりあっさり目。

これは系統差なのかなぁ。

 

 

さて、前述の様にアンズタケはアンズの爽やかな香りが特徴。

折角ならそれを活かした料理にしたい物だ。

なのでオムレツにして食べてみた。

収穫したアンズタケをさっと洗って

 

細かく切る。

 

それを解き卵に混ぜて

オムレツに。

 

ソーセージも添えてみた。

アンズの香りが本当に爽やか♪

(゚д゚)ウマー

 

本では汁ものや佃煮、天ぷら等も推奨されているが

当方は今の所、オムレツ以外では食べた事が無い。

と言っても食べたのはまだ2回だけなのだがw

 

当方が毎年行っている飛騨の山中には

当方が知る限り3箇所の発生シロがあり

毎年発生に遭遇しているのだが

何故か殆どが収穫機を逸してしまっているのだ。

 

こちらは虫に喰われてしまっていてボロボロだった。

 

こちらも一見行けそうだったが

実際に触ってみたら虫に喰われてスカスカだった。

 

飛騨山中に通う様になって20年以上経ち

毎年アンズタケに遭遇はしているのだが

食べられる状態の物がそれなりの量だったのは

たったの2回だけだったのだ。

他の地域は判らないが、それだけ飛騨のアンズタケは

虫に喰われやすい、と言う事なのだろう。

 

アンズタケはアンズの香りがするので

キノコに付く虫を呼ぶ+果物に付く虫を呼ぶ、で

他のキノコに比べて虫が付きやすいのかなぁ。

当方がフィールドで見て居る限りはそう思えてならない。

 

 

さて、アンズタケは上記の様にアンズの香りと

しわひだが顕著な特徴のキノコなのだが

実は複数の種類が含まれているのかも知れない、

と言う話があるとの事。

実際、当方が遭遇して来たアンズタケの中にも

これは果たして同一種なのか?と疑ってしまう物もあった。

 

まずはこちら。

ご覧の様にやたらと白い。

しわひだもはっきりして居たしアンズの香りもしたので

アンズタケである事は間違い無いだろう。

まあ、これはただの個体差かも知れないけれど。

 

次はこちら。

色も外見もアンズタケだが、アンズの香りは弱かった。

鼻の穴に入れる位に近付けないと香りが感じられない程。

 

しかも連絡脈が全く見られない。

小さな個体では連絡脈が発達して居ない事はある様なのだが

これ程の大きな個体で連絡脈が見られない事もあるのだなぁ。

 

こちらは同じ場所で別の年に発生して居た物。

矢張り香りが弱かった。

妙に白いのを見ると、先の白っぽいアンズタケも

矢張りただの個体差なのかもなぁ。

 

 

こちらも見た目は完全にアンズタケ。

だがアンズの香りは一切しなかった。

 

連絡脈はじっくり見ないと判らない程度。

これだけアップにしてやっと痕跡程度のが見える。

 

こちらはちょっと白っぽい個体。

これも香りは一切しなかった。

 

こちらも連絡脈は見られなかった。

だが、この大きさの個体なら

それは珍しくないのかも知れない。

 

と、当方が遭遇しているだけでも特徴がバラバラだ。

 

実は日本のアンズタケは欧州種の学名

Cantharellus cibarius(カンタレルス キバリウス) が

充てられていたのだが

DNA解析の結果、別種と判明した為に近年新たに

Cantharellus anzutake(カンタレルス アンズタケ)が

充てられたとの事。

だが、将来的には更に複数の種類に

分割されるのかも知れないなぁ。

しわひだの状態も個体差系統差だけでは

無いのかも知れないよなぁ。

 

 

以下は余談。

アンズの香りのするアンズタケには

当方は今の所、飛騨山中でしか遭遇していないが

アンズタケの仲間には他の場所でも遭遇している。

 

その一つはこちら。

名古屋市内のアンズタケは色目が悪いのかな、と思ったのだが

アンズの香りはしなかった。

これは『北陸のきのこ図鑑』に掲載されている

コゲチャアンズタケなのかも知れない。

だが、同図鑑にあった

  弱い佳香あり

が感じられなかったのは古めの個体だったからなのか

または個体差なのか別種だからなのか、

それとも当方の鼻が悪いからなのかは不明。

 

 

こちらはヒナアンズタケ。


見た目はアンズタケぽいが、実物はかなり小さい。

大きさだけでなく、質感もアンズタケとは違っているので

「極端に小さいアンズタケ」ではない事が

実物を見ると結構判る。

そしてアンズの香りはしない。

これには飛騨山中と名古屋市内で遭遇している。

 

 

こちらは東大阪で遭遇した物。

特徴はアンズタケ属なのは確実。

色合いからするとオトヒメアンズタケかも知れないなぁ。

 

 

こちらも東大阪で遭遇した物。

かなり小さな個体。

全体に灰褐色だが、しわひだが確認出来るので

アンズタケの仲間である事は間違い無いが

これはさっぱり判らない・・・・・・

 

 

こちらは飛騨山中で遭遇した物。

一見、アンズタケだと思ったのだが

手にして見るとあまりにもしっかりした質感だし

しわひだは全く無く平滑だったので

ニンギョウタケモドキ属のアオロウジの仲間?

アオロウジの色変異?とさえ思ってしまった。

だが、強烈なアンズの香りがしたので

これはアンズタケモドキなのだろうなあ。

 

アンズタケモドキは当方の知る限り

山渓フィールドブックス『きのこ』にしか

掲載されておらず、同図鑑掲載の画像とは

上掲画像のキノコが全く似ていなかった。

なので始めは判らなかったのだが

アンズの香りのキノコなんて

アンズタケの仲間以外はまず考えられない。

そして、同図鑑には

  きのこの形は規則的ではない

  しわひだは不明瞭で平滑あるいはしわ状

との記載がある。

それを勘案し、色々画像検索した結果、

アンズタケモドキなのだろう、と結論付けた次第。

 

 

とにかく、アンズタケ及びアンズタケの仲間は

まだまだ判らない事だらけなのだなぁ・・・・・・

 

 

 

と、此処までアンズタケに関しての事を

画像を連ね、長々と書いてきたのだが

きのこびとさんのサイトに同様の記事があった・・・・・・

  アンズタケを眺めてみる(前編)

  アンズタケを眺めてみる(後編)

 

内容的にかなり重複していますが

そちらの記事もご覧頂けますれば

当方のこの記事とのコラボ?wと言う事で

より楽しんで頂けるかも・・・・・・

 

 

 

にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へにほんブログ村 花ブログ きのこへ人気blogランキングへ

| アンズタケ科 | 00:01 | comments(0) | - | pookmark |
紅白 その2

こちらはベニウスタケ。

漢字で書くと「紅臼茸」。

 

ベニウスタケについては以前にも記事にした事がある(→こちら)。

その時にも書いたが「ウスタケ」とあるのだが
形態的にも分類的にもアンズタケに近い。
実際、臼には見えないしなぁ。

 

因みに『日本産菌類集覧』によると
ベニウスタケは広江勇により1955年に命名。
アンズタケは川村清一により1929年に命名。
ウスタケは川村清一により1955年に命名。
「ベニウスタケ」と「ウスタケ」は同年になっているが
当然「ウスタケ」の方が先だったのだろう。

 

当時は分類基準や技術が今から見ると未熟だったので
アンズタケよりウスタケに近いと誤認してしまったのだろうかなぁ。
実際、他の種類も含め、
「アンズタケ」「ウスタケ」「ラッパタケ」の名が付くキノコは
分類群と和名が混乱している物が少なくない。

 

このベニウスタケも例えば「コベニアンズタケ」とかにした方が
形状的にも分類的にも合っている気がするのだが
菌類学者でも無い底辺菌類マニアの当方が
こんな場末のblogで書いてもどうしようも無い訳で。

 

 

周囲を見ると結構あちらこちらに発生して居た。

 

中にはこんな固まって発生した物も。

アカコウヤクタケハナビラダクリオキン

何か別のキノコに見えてしまうなぁ。

 

こちらはキセルガイ?が食事中。

因みに人間に取っても食キノコとの事。

 

 

前回このベニウスタケを取り上げた時は
隣の岐阜県の各務原市内で発生した物だったのだが
今回は名古屋市東部で発生した物。
近くで遭遇出来たのは嬉しかった。

 

前回の記事ではアルビノの個体の事も取り上げた。
周囲を探してみた所、何と今回もアルビノの個体があった。


ベニウスタケはアルビノが発生しやすいのか?と思って
「ベニウスタケ アルビノ」で検索してみたのだが
2022年1月30日にhitしたのは当方のblog記事と
地域不明の「がんもどきさん」のtweetの2件のみ。
そしてこの記事が3件目となる訳だ。


これは矢張り良くある事とは言えないのだろうなぁ。

各務原市と名古屋市で
アルビノのベニウスタケが発生した、と言うのが
同じDNA系統の菌だった為に発生した事なのか、
そもそもベニウスタケは
アルビノが発生しやすい種類なのかどうかは不明。

 

因みに「"ベニウスタケ"」で検索すると

2022年1月30日時点では4070件がhitした。

もしアルビノが発生していたら目立つだろうから

blogやサイトを運営して居る様なキノコマニアが

アルビノの個体をスルーして

ネット上にupしないとはちょっと考え難い。

 

4070件中で2〜3件なのが
アルビノベニウスタケの発生頻度を

そのまま表しているとは思わないが

キノコのアルビノの個体の記事自体が殆ど無い点からすると

他のキノコに比べたらアルビノの発生頻度は高いのかなぁ。

 

まぁ、たまたま当方が2回遭遇しただけなのだろうけれどね。

とは言え、本来滅多に無い現象であるアルビノの発生に
こうやって遭遇出来たのは貴重な経験だなぁ、と。

 

取り敢えず、紅白で目出度げなので
今回も年初の記事で取り上げた次第。

 

終わりの見通せない不穏なご時世ですが
不要不急の当blogに今年もお付き合い頂けましたら幸甚です。
m( _ _ )m

 

 

 

にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へにほんブログ村 花ブログ きのこへ人気blogランキングへ

| アンズタケ科 | 00:01 | comments(0) | - | pookmark |
紅白
こちらはベニウスタケ。
beniusu (1).JPG
beniusu (2).JPG
2014年8月、各務原市の某所での観察会にて遭遇。

ベニ「ウスタケ」とあるが
標準和名ウスタケ(→こちら)とはかなり外見が違う。
ウスタケに比べて華奢で小さく、アンズタケぽい(→こちら)。
実際に分類学的にもアンズタケに近い。
そんなキノコに何故「ウスタケ」と付けたのだろうかなぁ。
まぁ、何かのタイミングで、とか色々あるのだろうなぁ。

で、ベニウスタケは、その名の通り紅色が特徴なのだが
上掲画像の個体は橙色だ。
ベニウスタケを掲載している図鑑はかなり少ないのだが
掲載画像は紅色の物ばかり。
だが、webで画像検索をすると橙色の個体が結構出て来る。
なので、橙色の個体と言うのは実は珍しくない様だ。
紅色の個体と、橙色の個体がDNA的に同種なのかどうかは
当方には勿論判らないのだが。

こちらは同じフィールドにあった別の個体。
こちらはちゃんと紅色だ。
beniusu (3).JPG
beniusu (4).JPG
シワヒダもはっきり見える。
綺麗な赤色は薄暗い森の中でも良く目立つ。

因みに、ベニウスタケは食キノコとの事。
だが、大きくない上に華奢なキノコなので
これだけを食べる為に収穫するのはかなり大変そうだ。
料理の仕上げに散らして色を添える程度にしか
利用出来無いのでは無いだろうかなぁ。


と、こちらに見慣れない白いキノコが。
beniusu (5).JPG
この手のキノコで言うと
ユキラッパタケ(→こちら)か
オトメノカサ(→こちら)かと一瞬思ったのだが
ちょっと様子が違う。
見た感じ、ベニウスタケそっくりだなぁ。
だが、ベニウスタケの近縁種で
こんなに白いのがあるのかなぁ。

この場所をフィールドにしているA氏によると
これはベニウスタケのアルビノ(先天性色素欠乏による白化個体)
では無いだろうか、との事。
成る程、確かにその様に見える。
この場所ではちょいちょい遭遇する由。

色々な動植物、菌類にアルビノがある、とは聞くし
良くニュースで目にもするのだが(→こちら
実物に遭遇するのはこれが生まれて初めてだ。
いや、これはめでたい!

と、こちらでは紅色と白色の個体が
混在しているでは無いか。
beniusu (6).JPG
やはりこれはベニウスタケのアルビノで良い様だ。
アルビノ自体が珍しいのに
それが混在しているとは、これまた珍しい。
ただでさえ珍しいのに、それが紅白だ。
いや、これはめでたい。
貴重珍重吉祥瑞祥。
善哉々々。

なので今年最初に記事にて取り上げた次第♪




所で、2月6日に大阪のロフト プラスワン ウエストで開催される
きのこライター堀博美氏のイベント
「真冬のきのこ祭り! きのこる学習帳3冊目」にゲスト出演します。
DeepなメンバーでDeepなキノコ夜話になる???
皆様、是非お越し下さい!


にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へにほんブログ村 花ブログ きのこへ人気blogランキングへ
 
| アンズタケ科 | 00:04 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
乙姫?

画像は2005/09/07、東大阪市内にて撮影したキノコ。
薄紫色をしたアンズタケの仲間だ。

ちょっとピンボケなのが残念……(-_-;)

雨上がりだったので泥はねが酷い。

一見、ヒダの様だが、実はシワが深くなった状態の物。


それがアンズタケの仲間の大きな特徴だ。

この場所にはアンズタケ?が時々発生していた。
なので、当初はアンズタケ?の色彩変異なのかなぁ、と考えたのだが
そう決め付けるにはあまりに無理がある。
どうも良く判らないなぁ……
当時、色々調べてみたのだが、それらしい情報は得られなかった。
何となく気にしつつ、結局そのままにしてしまっていた。

そして、3年後の今年。
8月末に発行された『いきなりきのこ採り名人』と言う本を
つい最近、どんな本なんだろう、買うべきか、どうしようかなぁ……と
本屋で立ち読みしていてびっくりした。
21世紀になって名前が登録された新種キノコのコーナーに
当方が撮影した画像のキノコとそっくりな物が掲載されていたのだ。

そのキノコはオトヒメアンズタケと名付けられた、との事。
こちらのサイトに、本に掲載された画像と同じ物がUPされている(→こちら)。

「オトヒメアンズタケ」でwebを検索すると
兵庫と神奈川で、それと思われるキノコの採取例が記録されていた。
発生例は多くないが、日本各地に分布している様だ。
成る程、コイツはオトヒメアンズタケだったのかー
3年間放ったらかしだったが、名前が判明して良かったよ。
それにしても風流な名前だなぁ……

ただ、上記のリンク先に書いてある通り、
オトヒメアンズタケとされた Cantharellus atrolilacinus は
かなり色合いが違っている(→こちら)。
また、当方の画像の個体は、傘だけで無く柄も紫色だ。

オトヒメアンズタケが本当に Cantharellus atrolilacinus なのか、
当方の画像の個体が本当にオトヒメアンズタケなのか、
興味が尽きない。
そして今後この薄紫色のアンズタケに出逢えるかどうか、
それもとても楽しみだ。
次回出逢えた時は、もっとちゃんとした画像に収めたい物だ。


因みに、『いきなりきのこ採り名人』は、
立ち読みで終わらせず、ちゃんと買いましたw


にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へにほんブログ村 花ブログ きのこへ人気blogランキングへ
 

| アンズタケ科 | 01:00 | comments(6) | - | pookmark |
| 1/1PAGES |