前回、一年前とシロアンズタケの事を記事にした。
その中で引き合いには出していたのだが
そう言えばアンズタケの事を
記事にしていなかった事に気付いたので
今回は満を持して?アンズタケの事を書いてみたい。
アンズタケは欧州ではジロール(girolle)と呼ばれ
人気が高い食キノコだ。
名前の通り、爽やかなアンズの香りがする。
キノコから果物の香りがすると言うのも実に不思議だ
実は当方は飛騨山中で何度も遭遇している。
鮮やかな黄橙色がとても美しい。
アンズタケの仲間はヒダの様子が特徴的だ。
シイタケの様な通常のヒダと違い、やや厚みが感じられる。
これは皺が深くなった状態なので「しわひだ」と呼ばれている。
そしてしわひだ同士を繋ぐ様に脈が発達しており
それを連絡脈と言う。
連絡脈の発達具合には個体差が大きい。
これはかなり連絡脈が顕著だ。
こちらはかなりあっさり目。
これは系統差なのかなぁ。
さて、前述の様にアンズタケはアンズの爽やかな香りが特徴。
折角ならそれを活かした料理にしたい物だ。
なのでオムレツにして食べてみた。
収穫したアンズタケをさっと洗って
細かく切る。
それを解き卵に混ぜて
オムレツに。
ソーセージも添えてみた。
アンズの香りが本当に爽やか♪
(゚д゚)ウマー
本では汁ものや佃煮、天ぷら等も推奨されているが
当方は今の所、オムレツ以外では食べた事が無い。
と言っても食べたのはまだ2回だけなのだがw
当方が毎年行っている飛騨の山中には
当方が知る限り3箇所の発生シロがあり
毎年発生に遭遇しているのだが
何故か殆どが収穫機を逸してしまっているのだ。
こちらは虫に喰われてしまっていてボロボロだった。
こちらも一見行けそうだったが
実際に触ってみたら虫に喰われてスカスカだった。
飛騨山中に通う様になって20年以上経ち
毎年アンズタケに遭遇はしているのだが
食べられる状態の物がそれなりの量だったのは
たったの2回だけだったのだ。
他の地域は判らないが、それだけ飛騨のアンズタケは
虫に喰われやすい、と言う事なのだろう。
アンズタケはアンズの香りがするので
キノコに付く虫を呼ぶ+果物に付く虫を呼ぶ、で
他のキノコに比べて虫が付きやすいのかなぁ。
当方がフィールドで見て居る限りはそう思えてならない。
さて、アンズタケは上記の様にアンズの香りと
しわひだが顕著な特徴のキノコなのだが
実は複数の種類が含まれているのかも知れない、
と言う話があるとの事。
実際、当方が遭遇して来たアンズタケの中にも
これは果たして同一種なのか?と疑ってしまう物もあった。
まずはこちら。
ご覧の様にやたらと白い。
しわひだもはっきりして居たしアンズの香りもしたので
アンズタケである事は間違い無いだろう。
まあ、これはただの個体差かも知れないけれど。
次はこちら。
色も外見もアンズタケだが、アンズの香りは弱かった。
鼻の穴に入れる位に近付けないと香りが感じられない程。
しかも連絡脈が全く見られない。
小さな個体では連絡脈が発達して居ない事はある様なのだが
これ程の大きな個体で連絡脈が見られない事もあるのだなぁ。
こちらは同じ場所で別の年に発生して居た物。
矢張り香りが弱かった。
妙に白いのを見ると、先の白っぽいアンズタケも
矢張りただの個体差なのかもなぁ。
こちらも見た目は完全にアンズタケ。
だがアンズの香りは一切しなかった。
連絡脈はじっくり見ないと判らない程度。
これだけアップにしてやっと痕跡程度のが見える。
こちらはちょっと白っぽい個体。
これも香りは一切しなかった。
こちらも連絡脈は見られなかった。
だが、この大きさの個体なら
それは珍しくないのかも知れない。
と、当方が遭遇しているだけでも特徴がバラバラだ。
実は日本のアンズタケは欧州種の学名
Cantharellus cibarius(カンタレルス キバリウス) が
充てられていたのだが
DNA解析の結果、別種と判明した為に近年新たに
Cantharellus anzutake(カンタレルス アンズタケ)が
充てられたとの事。
だが、将来的には更に複数の種類に
分割されるのかも知れないなぁ。
しわひだの状態も個体差系統差だけでは
無いのかも知れないよなぁ。
以下は余談。
アンズの香りのするアンズタケには
当方は今の所、飛騨山中でしか遭遇していないが
アンズタケの仲間には他の場所でも遭遇している。
その一つはこちら。
名古屋市内のアンズタケは色目が悪いのかな、と思ったのだが
アンズの香りはしなかった。
これは『北陸のきのこ図鑑』に掲載されている
コゲチャアンズタケなのかも知れない。
だが、同図鑑にあった
弱い佳香あり
が感じられなかったのは古めの個体だったからなのか
または個体差なのか別種だからなのか、
それとも当方の鼻が悪いからなのかは不明。
こちらはヒナアンズタケ。
見た目はアンズタケぽいが、実物はかなり小さい。
大きさだけでなく、質感もアンズタケとは違っているので
「極端に小さいアンズタケ」ではない事が
実物を見ると結構判る。
そしてアンズの香りはしない。
これには飛騨山中と名古屋市内で遭遇している。
こちらは東大阪で遭遇した物。
特徴はアンズタケ属なのは確実。
色合いからするとオトヒメアンズタケかも知れないなぁ。
こちらも東大阪で遭遇した物。
かなり小さな個体。
全体に灰褐色だが、しわひだが確認出来るので
アンズタケの仲間である事は間違い無いが
これはさっぱり判らない・・・・・・
こちらは飛騨山中で遭遇した物。
一見、アンズタケだと思ったのだが
手にして見るとあまりにもしっかりした質感だし
しわひだは全く無く平滑だったので
ニンギョウタケモドキ属のアオロウジの仲間?
アオロウジの色変異?とさえ思ってしまった。
だが、強烈なアンズの香りがしたので
これはアンズタケモドキなのだろうなあ。
アンズタケモドキは当方の知る限り
山渓フィールドブックス『きのこ』にしか
掲載されておらず、同図鑑掲載の画像とは
上掲画像のキノコが全く似ていなかった。
なので始めは判らなかったのだが
アンズの香りのキノコなんて
アンズタケの仲間以外はまず考えられない。
そして、同図鑑には
きのこの形は規則的ではない
しわひだは不明瞭で平滑あるいはしわ状
との記載がある。
それを勘案し、色々画像検索した結果、
アンズタケモドキなのだろう、と結論付けた次第。
とにかく、アンズタケ及びアンズタケの仲間は
まだまだ判らない事だらけなのだなぁ・・・・・・
と、此処までアンズタケに関しての事を
画像を連ね、長々と書いてきたのだが
きのこびとさんのサイトに同様の記事があった・・・・・・
内容的にかなり重複していますが
そちらの記事もご覧頂けますれば
当方のこの記事とのコラボ?wと言う事で
より楽しんで頂けるかも・・・・・・