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スペクタクル

画像はサガリハリタケ。
sagarihari-S060909.JPG
sagarihari-5.JPG
文字通り、針の様な形の物が
枯れ木の一面からぶら下がっている。

広葉樹の枯れ木に発生し、特に珍しい種類では無いが
東大阪では2004年に、その後岐阜山中で2006年に、と
計2回出逢っただけだった。
それが名古屋では毎年、そして年に何回も遭遇している。
このキノコに取って名古屋一円は
余程居心地が良い環境、と言えるのかも知れない。

サガリハリタケは広葉樹の木材腐朽菌なのだが
腐朽の最終段階に発生するベニヒダタケと違って
当方が見たところサガリハリタケは
腐朽がちょっと進んで来たなー、と言う具合の枯れ木、
もしくは立ち木の枯れた部分に発生する様だ。

枯れ木一面をサガリハリタケが覆っている姿は中々に壮観だ。
sagarihari-12.JPG
sagarihari-4.JPG

この角度で見ると
ビクトリアの滝にも似た大瀑布にも見える……かなぁ?w
sagarihari-9.JPG


アップで見ると、壮大な氷柱か鍾乳石の様でもある。
sagarihari-11.JPG


サガリハリタケのその形はかなり独特だ。
知らなければとてもキノコには思えない。
場合によっては粘菌のエダナシツノホコリと良く似ている。
edanashitsuno-1.JPG
edanashitsuno-2.JPG
だが、質感がまるで違うので区別は付くだろう。


シダレハナビタケとも良く似ているが(→こちら
シダレハナビタケはシロソウメンタケ科 ハナビタケ属、
サガリハリタケはコヤクタケ科サガリハリタケ属なので
それ程近い種類とは言えない。
他人の空似、と言えよう。

こちらは発生初期の物。
sagarihari-3.JPG
この段階では、これから針が成長するとは思えないよなぁ。

こちらは小枝の一部から針が出ている個体。
sagarihari-6.JPG
一瞬、冬虫夏草の何かに見えてしまった。
こんな発生の仕方も珍しいと思う。

こちらは丸太の断面にびっしり発生していた物。
sagarihari-7.JPG
sagarihari-8.JPG
こうして見ると、何か別の生物の様にも見える。

これだとちょっとクラゲか何かの深海生物っぽいかな。
sagarihari-14.JPG
sagarihari-1.JPG


こちらは当方の人生で最初に出逢ったサガリハリタケ。
2004年9月30日、東大阪にて撮影。
sagarihari-H040930.jpg
直径は1円玉程の大きさ。

10月10日。
sagarihari-H041010.JPG
かなり針が伸びていた。

10月21日。
sagarihari-H041021.JPG
更に針が長くなっていた。
真ん中の針は古びて褐色が強くなっている。
こんな風に成長するのだなぁ。


こちらは老菌の様子。
sagarihari-old-1.JPG
sagarihari-old-2.JPG
sagarihari-old-3.JPG
全体が褐色になっている。

こちらは乾燥しかけている。
sagarihari-old-4.JPG

こちらは更に乾燥した状態。
sagarihari-old-5.JPG
sagarihari-old-6.JPG
針が萎れて細くなって目立たなくなっている。

これが
sagarihari-13.JPG

10日後にはこうなってしまう。
sagarihari-old-7.JPG
元の盛大な様子を見ているだけに何とも哀しくなってしまう……
まぁ、十分に使命を終えてる訳だから本人は本望なのだろうけど。


先に書いた様に、名古屋東部ではサガリハリタケの発生が多いが
2010年は特に多く見掛けた。
その年の気候が名古屋のサガリハリタケに取って
丁度具合が良かったのだろう。
枯れ木の腐朽具合もたまたま合致していたのかも知れない。

それを絶好のチャンス!と躍り出て来た物が居る。
それは粘菌(変形菌)だ。
sagari-nenkin-2.JPG
sagari-nenkin-3.JPG
この、種不明の粘菌の変形体はキノコを餌にしている種類の様だ。
それがサガリハリタケに覆い被さって思う存分に摂食していた。
キノコは逃げられないから
食べ尽くされるのをただ待つしか無いのだよなぁ。

こちらは一週間後の様子。
サガリハリタケはすっかり消えていた。
sagari-nenkin-4.JPG
変形体も姿を消していた。
また次の餌を求めて他の場所へ移動したのだろう。


こちらは別の場所。
このサガリハリタケも
sagari-nenkin-1.JPG

1週間後にはこんな状態に。
sagari-nenkin-5.JPG
sagari-nenkin-10.JPG
sagari-nenkin-11.JPG
こんな光景があちこちで見られた。

一部の粘菌は子実体になっていた。
sagari-nenkin-6.JPG
aomoji.JPG
詳細な種類は判らないが、モジホコリの仲間だと思われる。

この小さな丸太の上でも微生物同士の
弱肉強食のこんなスペクタクルが繰り広げられているなんてなぁ。
本当に菌類は面白くて、ときめいてしまうよ。



ときめく、と言えば。
日本で、世界で多分唯一のキノコライター、
菌友・堀博美氏が2冊目の本を出版した。
その名も『ときめくきのこ図鑑』。

キノコにちょっと興味がある、と言う人を
立派な「キノコ者」にしてしまおう、と言う啓蒙書。

90種類の綺麗なキノコ画像にときめく文章が添えられ、
専門用語の丁寧な解説もや
キノコグッズやキノコアートの紹介もあり
見やすいレイアウトも相まって誰もが楽しめる内容かと。
因みに、今回もSpecial Thanks に
当方の名を載せて頂いていますm( _ _*)m

よろしければ皆様(・∀・)つドゾー(→こちら)。



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| コウヤクタケ科 | 00:45 | comments(12) | trackbacks(0) | pookmark |
シワ? ウロコ?
画像はチャシワウロコタケ。
2006/06/16、東大阪にて撮影。

山の斜面の、伐採木置き場に転がされていた丸太の
断面と側面に渡って発生していた。

コウヤクタケの仲間なので
枯れ木の上にベタ〜っと広がっている。
所が、チャシワウロコタケ(茶皺鱗茸)と言いながら
「茶」はともかく、「シワ」でも「ウロコ」でも無い。



因みに学名は Phlebia rufa。
意味は「脈があって赤い」と言う事らしい。
矢張り「シワ」でも「ウロコ」でも無かった。

このキノコ、色と言い、変な凸凹具合と言い、
ややもすると吐瀉物に見えてしまう……(^ω^;)

2008/05/30、名古屋市内にて撮影。

こちらの画像は枯れ木全体が覆われてしまっている。
古い個体なのか、個体差なのか、色合いが違うので
もっと吐瀉物に見えてしまう……(^ω^;)


枯れ木の上だからまだしも、
地面に発生していたら、確実にそう見えてしまうだろう……

あまり見た目の良くないキノコの所為か、
Webで検索しても、hit数は少なかった。
2009/03/07現在で日本語のサイトで17件。
内、画像のあったサイトは3件。
すると、当方が4件目かw
学名で全世界を検索しても968件。
画像があるのは50件くらいか。
これはかなり少ない方だ。

図鑑でも、当方が調べた範囲で掲載されているのは、
山と渓谷社『日本のきのこ』だけだった。
『原色日本菌類図鑑』にも『原色日本新菌類図鑑』にも、
掲載数の多い『Fungi of Switzerland』にも
『北陸のきのこ図鑑』にも載っていなかった。
世界的公布種なのに、可愛そうな気もするが
見た目がこれだから仕方の無い事なのかもなぁ……(^ω^;)


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| コウヤクタケ科 | 12:49 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
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