画像はサガリハリタケ。
文字通り、針の様な形の物が
枯れ木の一面からぶら下がっている。
広葉樹の枯れ木に発生し、特に珍しい種類では無いが
東大阪では2004年に、その後岐阜山中で2006年に、と
計2回出逢っただけだった。
それが名古屋では毎年、そして年に何回も遭遇している。
このキノコに取って名古屋一円は
余程居心地が良い環境、と言えるのかも知れない。
サガリハリタケは広葉樹の木材腐朽菌なのだが
腐朽の最終段階に発生するベニヒダタケと違って
当方が見たところサガリハリタケは
腐朽がちょっと進んで来たなー、と言う具合の枯れ木、
もしくは立ち木の枯れた部分に発生する様だ。
枯れ木一面をサガリハリタケが覆っている姿は中々に壮観だ。
この角度で見ると
ビクトリアの滝にも似た大瀑布にも見える……かなぁ?w
アップで見ると、壮大な氷柱か鍾乳石の様でもある。
サガリハリタケのその形はかなり独特だ。
知らなければとてもキノコには思えない。
場合によっては粘菌のエダナシツノホコリと良く似ている。
だが、質感がまるで違うので区別は付くだろう。
シダレハナビタケとも良く似ているが(→こちら)
シダレハナビタケはシロソウメンタケ科 ハナビタケ属、
サガリハリタケはコヤクタケ科サガリハリタケ属なので
それ程近い種類とは言えない。
他人の空似、と言えよう。
こちらは発生初期の物。
この段階では、これから針が成長するとは思えないよなぁ。
こちらは小枝の一部から針が出ている個体。
一瞬、冬虫夏草の何かに見えてしまった。
こんな発生の仕方も珍しいと思う。
こちらは丸太の断面にびっしり発生していた物。
こうして見ると、何か別の生物の様にも見える。
これだとちょっとクラゲか何かの深海生物っぽいかな。
こちらは当方の人生で最初に出逢ったサガリハリタケ。
2004年9月30日、東大阪にて撮影。
直径は1円玉程の大きさ。
10月10日。
かなり針が伸びていた。
10月21日。
更に針が長くなっていた。
真ん中の針は古びて褐色が強くなっている。
こんな風に成長するのだなぁ。
こちらは老菌の様子。
全体が褐色になっている。
こちらは乾燥しかけている。
こちらは更に乾燥した状態。
針が萎れて細くなって目立たなくなっている。
これが
10日後にはこうなってしまう。
元の盛大な様子を見ているだけに何とも哀しくなってしまう……
まぁ、十分に使命を終えてる訳だから本人は本望なのだろうけど。
先に書いた様に、名古屋東部ではサガリハリタケの発生が多いが
2010年は特に多く見掛けた。
その年の気候が名古屋のサガリハリタケに取って
丁度具合が良かったのだろう。
枯れ木の腐朽具合もたまたま合致していたのかも知れない。
それを絶好のチャンス!と躍り出て来た物が居る。
それは粘菌(変形菌)だ。
この、種不明の粘菌の変形体はキノコを餌にしている種類の様だ。
それがサガリハリタケに覆い被さって思う存分に摂食していた。
キノコは逃げられないから
食べ尽くされるのをただ待つしか無いのだよなぁ。
こちらは一週間後の様子。
サガリハリタケはすっかり消えていた。
変形体も姿を消していた。
また次の餌を求めて他の場所へ移動したのだろう。
こちらは別の場所。
このサガリハリタケも
1週間後にはこんな状態に。
こんな光景があちこちで見られた。
一部の粘菌は子実体になっていた。
詳細な種類は判らないが、モジホコリの仲間だと思われる。
この小さな丸太の上でも微生物同士の
弱肉強食のこんなスペクタクルが繰り広げられているなんてなぁ。
本当に菌類は面白くて、ときめいてしまうよ。
ときめく、と言えば。
日本で、世界で多分唯一のキノコライター、
菌友・堀博美氏が2冊目の本を出版した。
その名も『ときめくきのこ図鑑』。
キノコにちょっと興味がある、と言う人を
立派な「キノコ者」にしてしまおう、と言う啓蒙書。
90種類の綺麗なキノコ画像にときめく文章が添えられ、
専門用語の丁寧な解説もや
キノコグッズやキノコアートの紹介もあり
見やすいレイアウトも相まって誰もが楽しめる内容かと。
因みに、今回もSpecial Thanks に
当方の名を載せて頂いていますm( _ _*)m
よろしければ皆様(・∀・)つドゾー(→こちら)。