
文字通り、スミレ色をしたコウヤクタケの仲間。
コウヤクタケはその名の通り
膏薬のように樹木に張り付いた形で発生するキノコの総称。
コウヤクタケの仲間の多くは白かったり褐色系だったりで
目立たない事が多いのだが
中には色鮮やかで遠目にも目立つ種類があり
このスミレウロコタケもその一つ。


この様にとても良く目立つ。
ただ、色合いには個体差がとても大きく
褐色が混じっていたり、ほとんど褐色の個体もある。
こちらはやや古くなったのか、褐色の混じった個体。


全体に何となく紫色がかって居るので
スミレウロコタケと推定出来る。
最初の画像の個体もかなり白っぽかったが
こちらは更に白い個体。


結構古くなって褪色した個体なのだろう。
こちらは殆ど褐色の個体。


こうなるとスミレウロコタケなのかどうかも良く判らない。
多分、スミレウロコタケだと思うのだけどなぁ・・・・・・
こちらは周縁部がめくれ上がっている。

これはかなり濃い褐色だが恐らくスミレウロコタケだと思う。
こちらの個体。
背着的に発生しているヒイロタケとのコントラストが
とても綺麗だ。

知らなければキノコには見えないだろうなぁ。
そしてこちら。

スミレウロコタケに良く似ているが
全くの別種、カミウロコタケと言うキノコ。
外見的な違いはカミウロコタケの方が厚みがある、と言う点。
周縁部が特に厚みがあるとの事。
カミウロコタケの外見に関して
フェルトのような質感、との記述もあるが
当方としてはパルプの塊が乾いた状態の質感、
と言った方がしっくり来る。
因みにカミウロコタケとは「紙鱗茸」の意。
まさか乾いたパルプの質感から
命名された訳では無いと思うが詳細は不明。
先の画像を見ていただければ判るが
スミレウロコタケの方が紙の様に薄いのだが
厚みのある方が「紙鱗茸」なのも妙な話だ。
どちらも色の個体差が大きく
また個体が古くなると色褪せて褐色になってしまう。
こちらはかなり青紫の個体。


こちらは白青紫、と言った感じか。



この個体は全体にパルプの塊っぽい質感だと思う。
こちらは黒味がかった紫。



何となく強そうな感じがするw
こちらはかなり褐色がかった個体。


同じ個体の筈なのに、まるでせめぎ合う様に
重層的になって発生しているのが不思議だ。
こちらは褐色がかった上にひび割れている。

それだけ古い個体、と言う事かな。
こちらの個体は殆ど褐色。


周りの個体に紫色が残っていたのでカミウロコタケだと判ったが
この個体だけだと何だか判らないよなぁ。
こちらの個体は周縁部がめくれ上がっている。


そっち側から見るとカワラタケの仲間に見えてしまうなぁ。
キノコは色々な方向から観察しないとならないから難しいし、
だから面白いよなぁ。
さて、当方の行動範囲では
スミレウロコタケよりカミウロコタケの発生の方が多い様だ。
また、カミウロコタケの方が
スミレウロコタケより鮮やかなスミレ色の個体が多い。
webで検索してもスミレウロコタケより
カミウロコタケの方が色鮮やかな個体が多い様子。
つまり、フィールドで鮮やかなスミレ色のコウヤクタケを
見付けてもそれはカミウロコタケで
紫がかった褐色なのにそれがスミレウロコタケ、
と言う事態が多いことになる。
何ともややこしい話だ。
これも恐らく先名権の問題なのだろうなぁ。
因み『日本産菌類集覧』によると
スミレウロコタケの命名は1977年、
カミウロコタケの命名は1990年との事。
例えばカミウロコタケが「スミレウロコタケモドキ」としたくても
実は両種は分類学的には離れた種類なので
幾ら似ているからと言っても、そう命名する事が
出来無かったのかも知れない。
と言うのはあくまでも当方の想像。
真相は命名者に聞かないと判らない。
まぁ、当方の様な素人がそんな事を心配しても仕方無い。
当方としてはフィールドで
鮮やかな紫色のコウヤクタケを見付けて喜べればそれで良い。
今年は遭遇する事が出来無かったので
来年はまたどこかで出逢いたい物だ。
※当記事中でスミレウロコタケ、カミウロコタケとしているのは
あくまでも当方が見た目だけで判断した物ですので本当に正確かどうかは判りません。
フィールドでは中間的な外見の物も少なく無く
画像の物も判別に迷う物がありました。
当方は一応こう判断した、と言う程度でお読み頂けましたら幸いです。


