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今話題の

こちらはニガクリタケ。
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このニガクリタケも
東大阪ではしょっちゅう見ていたのだが
名古屋の当方の行動範囲では
今年初めて見るキノコだ。

で、このニガクリタケ。
クリタケと間違えて販売された事件が
立て続けに報道され、最近話題のキノコだ。


毒キノコ:販売されたのは「ニガクリタケ」 2パック不明

 東京都墨田区の錦糸公園で開かれた「第35回すみだまつり」で毒キノコが交じった疑いのあるパック詰めが販売された問題で、同区は3日、販売されたキノコは毒性の強い「ニガクリタケ」だったと発表した。

 区によると、販売された4パックのうち、回収された2パックの検査を都健康安全研究センター(新宿区)に依頼し判明。残る2パックの購入者は不明という。同区は、広報車を走らせたり、ホームページや防災無線で注意を呼び掛けている。

 長野県阿南町の農家から委託を受けて販売した同町の物産販売業者「蔵」の金田三千男社長は「チェック体制が甘かった。反省している」と話した。【小泉大士】

毎日新聞 2010年10月3日



毒キノコに用心/誤ってニガクリタケ販売

毒キノコが誤って相次いで販売された。2日の都内の祭り会場に続いて、県食品・生活衛生課は6日、駒ケ根市内のスーパーでも5日に1パックが売られたと発表した。6日夜、無事回収され、健康被害はなかったが、いずれも毒キノコ「ニガクリタケ」を「クリタケ」と間違えていた。本来、二つは色が違うが、同課は「猛暑による日焼けの影響で見分けにくくなっている可能性もある」という。

 県などによると、ニガクリタケが販売されたのは駒ケ根市中央3丁目のスーパー「マルトシ駅前店」。市内の男性が採取し、4日夕に同店に販売を委託。3パックのうち、1パックが5日に販売された。
 クリタケより色が薄めで、時期も例年より早かったため、店長が違和感を感じて、午後7時半ごろ店頭から下げた。その後、県の「きのこ衛生指導員」の鑑定で、ニガクリタケとわかったという。スーパーによると、持ち込んだ男性は「区別して採ったつもりだった。クリタケと似た色をしていた」と説明したという。

朝日新聞 2010年10月7日



このニュースを聞いた友人から
「プロでも間違う物なの?」と聞かれた。
確かにそれは疑問に思うだろうなぁ。

世に「キノコのプロ」呼ばれる人は多い。
だが、所謂「山のキノコ名人」は
自分が食べているキノコと
換金性の高いキノコの事には詳しいが
それ以外のキノコは殆ど知らない事が多い様だ。

毒のニガクリタケは、
食のクリタケと確かに似ている(→こちらの2枚目画像)。
どちらも赤褐色のキノコだが、
クリタケはベージュ色がベース、
ニガクリタケは独特の硫黄色のベースが特徴。
だが、色の点は個体差があるだろう。

実際、こちらの個体の様に
一見するとクリタケにしか見えない色合いの
ニガクリタケもある。
nigakuri-8.JPG
だが、これも柄などは硫黄色だったので
ニガクリタケだと判断出来た。
撮影したのが4月21日だったので
時期的にもクリタケはありえない。
秋に発生するクリタケに対し
ニガクリタケは寒冷地以外では周年発生する。

クリタケとニガクリタケの一番の大きな違いは
その名の通りの苦みだ。
ニガクリタケは一口齧ればすぐに判る。

とある図鑑に「苦みを覚えておくべき」との
内容が書かれていたので
以前、それを実行した事がある。
ニガクリタケは齧って味見をして、
すぐに吐き出せば、まず大丈夫なのだ。
なので、それを試してみた。
なるほど、確かに口の中に嫌な苦みが広がった。
そしてそれは中々消えなかった。

その後、何度うがいをしても
舌を歯ブラシで擦っても
どんな物を食べても苦みは消えず、
結局半日以上苦みを感じ続ける羽目になった。
嫌と言う程ニガクリタケの味は覚えさせられた。

後日、他の人の体験談を聞くと
そこまで苦みが残る事は無い様だった。
どうやらそれは当方の体質の問題だったらしい。
恐らく、舌の苦みセンサーが
ONになったまま固まってしまっていたのだろう。
それにしてもエライ目に遭った。

と、それはともかく……
今回、ニガクリタケを納入してしまった人達は
ニガクリタケの事は知らなかったのかも知れない。
だから、ニガクリタケを
自分の知っているクリタケに当てはめてしまい
採取・販売してしまったのだろう。
ニガクリタケの事を知らなかったら
多少色が違っていようと
齧って味を確認する、と言う
基本的な判別法の事もしないだろう。

はっきり言って、これは実に初歩的なミスだ。
野生のキノコを相手にしている人なのだし
それを販売している訳なのだから
様々なキノコの事を
人一倍知らなければいけないよなぁ。


と、偉そうに書いて来たが
当方はただの一素人だ。
顕微鏡も持たず、DNA解析の技術も無いのだから
当然キノコの判別は図鑑の絵合わせでしか出来無い。
このニガクリタケにしても
あの一件に懲りて以来、
齧って確認をする事をしなくなった為、
本当にニガクリタケであるかどうかの確認は出来ていない。

実はニガクリタケには、外見はそっくりで苦みの無い
「ニガクリタケモドキ」と言う近縁種がある(→こちら)。
ニガクリタケに比べて
束生しない、と言う点でも差異がある、との事だが
ニガクリタケも束生していない場合も少なくないので
見た目だけではまず判別出来無いだろう。

このニガクリタケモドキ、
苦みが無く無毒である為に
食用にされる事もある、と言う(→こちら)。
とすると、今までにもニガクリタケモドキが
クリタケと混同、もしくは混合されて
食キノコとして供されて来た事があったのかも知れない。
そして更に、ニガクリタケを
ニガクリタケモドキと間違えて
採取してしまった、と言う可能性も考えられる。

当方も、苦みを確認していない以上
この個体がニガクリタケモドキでは無い保証も無い。
化学的分析方法を持たない素人には
キノコの同定にはどうしても限界がある。

そう考えると、
信頼出来る知人や、
自分が良く知っていて
種類が明らかに確認出来る物は別として、
見も知らない人の採って来た
山採りキノコの販売、てのは
結構怖い物ではあるよなぁ。
毎年の様にこの手のニュースが
流れるものなぁ。

実際、ニガクリタケも
こんな風にパック詰めにされたら
美味しいキノコに見えてしまうもんなぁ……w
nigakuri-7.JPG



知り合いの話で
山の売店で「雑キノコ」を買って鍋にしたら
泡と共にウジがうわ〜っと浮かんで来て
閉口した、と言う
毒云々以前の問題もあったりするけどねw



クリタケモドキと言うキノコ(→こちら)もニガクリタケに似ており
しかもクリタケよりも美味しい、との事です。
そちらと誤認した可能性もありますねー
(10/19追記)



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| モエギタケ科 | 00:32 | comments(12) | trackbacks(0) | pookmark |
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