こちらの画像は多分フクロシトネタケ。
2007/04/21、滋賀県栗東市内で撮影。
これで直径7〜8cmだっただろうか。
質感はキクラゲに似ているが、キクラゲよりはかなり分厚い。
枯木に発生するキノコで
シイタケの古ほだ木に良く発生する、との事である。
この画像の物も、森林公園の中に設置されていた、
どちらかと言えば放ったらかしの
シイタケの古ほだ木から発生していた。
ただ、同じ環境から発生する物に
オオシトネタケとヒメシトネタケと言うのがあり
それぞれは肉眼での判別は困難である、との事。
画像の物はフクロシトネタケだろう、と何とな〜く思うので
以下、それで話を進める。
こちらは同日同所の、
別の古ほだ木から発生していた物。
こちらは2005/04/17、同じ場所で撮影した物。
古くなって、半分干乾びている。
フクロシトネタケのシトネ(褥)とは布団の事。
この場合は丸い座布団と思えば良いのだろう。
このキノコは、基物に張り付く様に広がっている事が多く
その様子は正に座布団に見える。
だが、時として巾着袋状になる、との事。
其処から「袋褥茸」の名が付けられた、とも思えないのだが
どうなのだろうか……
先に「質感はキクラゲに似ている」と書いたが食毒は不明。
食べではあると思うが、「毒」との説もある。
シイタケの古ほだ木から発生し
これだけの大きさがあって目立つキノコを
いままで誰も食べた事が無い、とは考え難い。
利用価値があったら、それは伝えられているだろうから
つまりは「食用的価値が無い」と言う事なのかも知れない。
所で、フクロシトネタケは
「チャワンタケ綱 チャワンタケ目 シトネタケ科 シトネタケ属 フクロシトネタケ」。
科、属名はシトネタケだが、種名には「フクロ」が付いている。
※現在はフクロシトネタケ科フクロシトネタケ属に改称されています
そして、実は「シトネタケ」と言う名の別のキノコがある。
そちらもシイタケ栽培家の間では
ほだ木の害菌として知られている、との事。
しかし、名前は似ているが外見は全く違っている。
以前取り上げたこちら↓の画像のニマイガワと良く似ており
生態的にも同様、との事である。
こちらのシトネタケは
「フンタマカビ綱 クロサイワイタケ目 ディアトリペ科 ディアトリペ属 シトネタケ」。
一つ上のレベルの「チャワンタケ亜門」で
やっと同じ分類となるが、綱レベルで違う種類なので
殆ど類縁関係の無い、遠い種だと言って良いだろう。
綱レベルで違う、と言う事は、動物で言えば
「脊索動物門 脊椎動物亜門 哺乳綱(=哺乳類)」と
「脊索動物門 脊椎動物亜門 爬虫綱(=爬虫類)」程の違いがある。
つまり、フクロシトネタケとシトネタケの違いは
人間とトカゲ程の違い、と言う事になるのだ。
名前が似ているが別種のキノコとして、例えば
「ヒトヨタケ科ヒカゲタケ属ワライタケ」と
「フウセンタケ科チャツムタケ属オオワライタケ」がある。
だが、この場合は目レベル(ハラタケ目)では共通しているし
科名属名ともに全く違っているので
まだ問題は少ないかも知れない。
しかし「シトネタケ」の場合は、
それが「種名」なのか「科名」「属名」なのかで
全く話が違って来る。
まして、どちらもシイタケのほだ木から
良く発生する菌として知られているのだ。
どうしてこんな事になってしまっているのだろう。
和名の命名の際に何か手違いでもあったのだろうか。
全くもってややこしいなぁ……
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