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予想的中
今年の3月26日の事。
とある場所を歩いていて、クマゼミの屍骸を拾った。
その場所は、道路に面した、ちょっとした林の周縁部。
歩道から丁度目の高さにあった法面の
雑草に絡まる様に転がっていた。
咄嗟にぱっと拾ったので、転がっている状態の画像を
撮る事をうっかり忘れてしまっていた……

セミの屍骸をわざわざ拾ったのには理由がある。

画像で判る様に、この屍骸は翅がボロボロだ。
この時期はまだセミは出て来ていない。
なので、当然このクマゼミは
前年の夏に出て来た物だ、と言う事になる。
半年以上の風雨に晒されたので、
この様に翅が風化してしまったのだ。

一見、当たり前の事の様だが、実は不思議な事なのだ。
セミに限らず、昆虫の屍骸は
通常ならばアリにすぐ運ばれて、地上には残らない。
だが、この屍骸は半年以上も放って置かれているのだ。

この場所は、車道に面した地面とは言え
林の隣接部なので、アリが棲んでいないとは考え難い。
つまり、このクマゼミの屍骸は
アリが持って行きたがらなかった物なのだ。
それは何故か。

冬虫夏草等の昆虫寄生菌は
寄生した屍骸がアリに運ばれて
分解されてしまっては自分が成長出来無い。
その為、菌はそれを回避する為に、
忌避物質を出してアリに運ばれるのを防いでいる、と言う。
と言う事は、このクマゼミの屍骸は
何かの菌に寄生されているのでは無いだろうか。
だから翅がボロボロになるまで放って置かれているのでは無いだろうか。

と、気になったので、拾って持ち帰り
培養してみる事にしたのだ。
この様に、転がっているセミの屍骸から
発生する物としては「セミノハリセンボン(→こちら)」が考えられる。
なので、それが出て来る可能性が高いのでは無いだろうか。

で、11日後の4月7日の様子がこちら。

チョロチョロと針状の物が出ている。
矢張り、このクマゼミの屍骸は
セミノハリセンボンに寄生されていたのだ。

こちらは4月11日の様子。

更に針が出て来た。

こちらは4月15日の様子。


こちらは4月20日の様子。


こちらは4月28日の様子。

すっかりハリセンボンになったw

こちらは5月14日の様子。

全身胞子だらけだw

アップで見ると、シモバシラの霜柱みたいに見える。

(シモバシラの霜柱→こちら

通常、セミノハリセンボンの子実体は
まち針状と言う事になっている。
だが、画像の物はまるでシモバシラの様だ。
考えるに、自然下では常に風の刺激を受けている為に
胞子は形成されるそばから飛ばされている。
だが、タッパの中で追培養していると完全な無風状態だ。
胞子は飛ばされる事無く次々に形成されて行くので
数珠繋ぎ状に塊になってしまうのだろう。
それが丁度シモバシラの様に見えるのだろう。


所で、このクマゼミの屍骸は
ご覧の様にセミノハリセンボン菌に感染していた。
だが、環境が合わなかった為に発生する事が出来無かった。
じっと潜伏し、発生出来る環境になるのを待っていたのだ。

セミノハリセンボンの発生には十分な湿度が必要だ。
だが、この屍骸があった元々の場所は、
とても乾燥した場所だった為
そのままでは発生する事は出来無かった筈だ。
セミノハリセンボン菌が
どれだけの期間、屍骸内で潜伏が出来るのかは判らないが
そう何年も待ち続ける事は出来無いだろう。

とすると、この屍骸はセミノハリセンボンの発生が出来無いままに
やがて朽ち果ててしまう事になっていたのかも知れない。
または、風に飛ばされ道に落ちて
人や車に踏み潰されていたかも知れないし
ゴミとして処分されていたかも知れないのだ。

セミノハリセンボンは、
『冬虫夏草図鑑』には「各種の林内地上に無造作に発生する」と
記載されている様に、
本当に無造作に転がっているセミの屍骸から発生する。
遥か昔々は車道や住宅地など無く
何処でも森や林だったろう。
なので、何時寿命が尽きて、どんな状態で転がろうと
セミノハリセンボンは発生しやすかったのだろう。

だが、その頃と環境はすっかり変わってしまった。
セミノハリセンボンの発生に向かない場所が
あまりにも多くなってしまっている。
なので、今回のクマゼミの屍骸の様に
感染しても子実体を発生させる事の出来無い個体も
少なくないのでは無いだろうか。

してみると、時々街中の歩道や、ベランダに
セミの屍骸が転がっている事があるのだが
それらもひょっとしたら「保菌者」なのかも
知れないのだよなぁ……

これからそう言うのを見付けたら
可能な限り培養してみようかなw


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| 昆虫寄生菌 | 00:00 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
とうとう栽培家になるのね。

戻れなくても尻ませんw

わしは戻れますが。

因みにこの決まり台詞でタコが何個憑きましたか?w
| きのこ堂 | 2009/05/30 1:20 AM |

>>きのこ堂さん
その内「マネキヤノハリセンボン」になってしまうかとw

因みに、耳にイカが出来てますw

      <コ:彡〜〜
| まねき屋 | 2009/05/30 1:31 AM |
こんにちは☆
これはかなり貴重な段階を追った画像だと思います。
2ヶ月間も研究されて、お疲れ様です。
例のセミ博士に?!いやいや!

ところでまねき屋さん宅は菌が発生するのに
最適な環境だということを知りましたw
| gikusa | 2009/05/30 1:54 AM |

>>gikusaさん
有難う御座居ますー

この胞子を使って大々的に培養を!
……まではしませんがw(多分w)

しかしまぁ、ウチは家も体も
菌の培養には適している様です……il||li _| ̄|O il||li
| まねき屋 | 2009/05/30 11:23 AM |
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