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コツブ粒々

こちらの画像はコツブタケ。

2008年10月7日、名古屋市内にて撮影。
直径6cmほどの大きさの個体だった。

コツブタケも東大阪時代には滅多に見掛けなかったのだが
名古屋ではちょいちょい出逢うキノコの一つだ。
その度に画像に収めていたら、結構な量になってしまった。

なので、以下列挙しつつ、だらだらと長文を書いてみますです。


コツブタケは、外見的には
地面に汚れたボールの様な丸い物が
転がっている様に見えるだけなので
知らなければ、まずキノコには見えないだろう。

こちらの個体は、まるで団子が一盛り並んでいる様だ。


ますますもってキノコには見えないw
各直径5cm程。


コツブタケの名は、その内部構造による。
外見はただの丸い形なのだが
内部は小さな粒で満たされているのだ。
断面を見たら、それが良く判る。

ご覧の通り、まるパフチョコの様だ。
中国名では「豆包菌」。
直球な表現だw


解説の詳細を保育社刊「続日本菌類図鑑」より引用する。

 内部のグレバ(胞子が形成される部分:まねき屋注)
  は黄色の膜で包まれた1〜3mmの小粒でみたされる,
 小粒は互いに圧しあって不規則形にゆがめられている;
 胞子は小粒の中に形成され,上の方から熟する,
 小粒は胞子が熟するに従って黄→褐→黒と色が変わる,
 (中略)
 きのこは成熟するとき小粒を仕切る黄色の菌糸は溶けて黄褐色の液となり,
 胞子とまざって黒い汁になってキノコをよごす,
 成熟した小粒の内部は湿った時は黒,乾くとチョコレート色になる。
 キノコを割るとザクロに似ている。 


とすると、上掲の断面の物は比較的まだ若い個体なのだろうか。

こちらの個体は、表面に黄色い液が染み出ている。
成熟し始めているのだろう。

断面の様子はこちら。
判り難いが、小粒塊の周囲はかなり水分が多く、黒くなっている。



こちらの個体は成熟が進んでいる様だ。
小粒塊は黒くなっている。


こちらの断面の個体は更に成熟し、
乾燥が進んで褐色になっている。


こちらの柄の長い個体は老熟し、
既に上部は胞子となって飛散を始めている。


もう一つの中国名「彩色豆馬勃」も直球表現だなぁw
(「馬勃」はホコリタケの様に胞子を飛散させるキノコの総称)

こちらは、飛散した胞子で周囲が褐色になってしまっている。


これだけ胞子を飛散させても、
この場所がコツブタケだらけになる訳では無い。
キノコと言うのは、とても効率が悪い物なのだなぁ。

こちらは柄だけが残った状態。


胞子の小粒塊が一部まだ残っている。

こちらは殆どもう柄だけになってしまっている。

柄だけでこの大きさだから
かなり大きな個体だった様だ。


こちらの個体は、成長中に空気が乾燥してしまった為か
ひび割れて中の粒々が裂け目から見えてしまっている。

ちょっとヒョウ柄っぽいw


それにしてもコツブタケは個体差が大きい。
上記の画像だけでも柄のある物、無い物と様々な形だが
こちらの画像の様に、ニセショウロの仲間の何かかな、と思ったら

コツブタケだった、と言う物や(左側の物は小石)

地下生菌の何かかな、と思ったら

やっぱりコツブタケだった、と言う物もあった。

いずれも断面を見て初めてコツブタケと判った次第。
それぞれ直径1.5cm程だった。
大きさも様々なので
外見だけではとてもじゃないが判別が出来無い。


以下、幾つかの個体の経過観察の様子(画像重複あり)。

こちらはとある神社の境内、社務所の前。
2008年9月17日の様子。


直径は2cm程。
既に成熟している様だ。

こちらは9月20日の様子。

乾燥して来ている。

こちらは9月27日の様子。

胞子の飛散が始まっている。

こちらは10月7日の様子。

かなり飛散している模様。

翌年の2009年2月12日の状態。


大部分の胞子は飛散を終え
幾つかの小粒塊だけが辛うじて痕跡となって残っている。
これもいずれ消えてしまうのだろう。


こちらはとある寺の山門前の石像の足元に生えていた物。
2009年7月13日の状態。




直径3.5cm程。
これも殆ど成熟している模様。

9月14日の様子。

柄だけを残してすっかり胞子を飛散してしまった様だ。
真夏だからか、消失するのが早い。


こちらもとある神社の社務所の前。
実は、先程の画像と同じ場所。
2008年9月17日の様子。



各直径5cm程。
こちらも殆ど成熟している模様。

こちらは9月27日の様子。

上端は老熟して来ている。

こちらは10月7日の様子。

全体が老熟し、胞子の飛散が始まった。

10月25日の様子。

秋の神事に向けての境内の掃除で撤去されてしまっていた。
他人の土地での経過観察と言うのは中々に難しい物だ。残念。


こちらはハサミムシに蝕まれている老菌。
2005年10月5日の様子。


直径6cm程の個体。
ハサミムシは肉食性と思っていたのだが
菌食性でもある様だ。

こちらは翌年の6月16日の様子。

その後もハサミムシに蝕まれている。
こう言う消失の仕方もあるのだなぁ。
ハサミムシにしたら、8ヶ月も食べ続けているのに
まだ沢山残っている食べ物を手に入れた訳だから
有難い事だろうなぁ。


所でコツブタケ(Pisolithus tinctorius)は現在、
以下の7種類の品種に分類されている
(GLOBAL BIODIVERSITY
  INFORMATION FACILITYのサイトよりコピペ)。
尚、和名は吉見昭一氏の資料(*1、*2)による。

Pisolithus tinctorius f. clavatus     → コンボウコツブタケ
Pisolithus tinctorius f. conglomeratus → カサネコツブタケ
Pisolithus tinctorius f. olivaceus     → 和名不詳(無し?)
Pisolithus tinctorius f. pisocarpium   → タマコツブタケ
Pisolithus tinctorius f. tinctorius     → コツブタケ
Pisolithus tinctorius f. tuberosus   → ニギリコツブタケ
Pisolithus tinctorius f. turgidus    → ナガエコツブタケ

   *1:地下生菌図版集 ミクロの世界への第一歩
   *2:吉見昭一腹菌類資料集

吉見氏は子実体の外見の特徴から各々を命名している様だ。
ただ、それを個体変異の範疇として
コツブタケは1属1種とする考えもある、とも記述している。
実際、コツブタケの外見は、
上に掲載している画像でも判る様に個体差がとても大きい。
吉見氏の資料でも、観察図の線画では
各品種における形態の明確な差は判別出来無いが
顕微鏡図では各品種の構造に差異が認められる。

実は吉見氏の資料には
Pisolithus tinctorius f. olivaceus は載っていない。
先の7種の分類は最新のデータによる物なので
恐らくDNA的に分類され、新たに追加登録された物なのだろう。
なので、1属1種では無く、実際に7種に分かれている様だ。


コツブタケは、松林の砂地に発生する、と解説されている図鑑が多い。
だが、発生環境は各品種によって若干の差異がある様だ。
「原色新日本菌類図鑑」によるとコツブタケは山地、公園に、
ナガエコツブタケは海岸の黒松林内に多い、との事。
他の品種それぞれの好む環境も少しずつ違うのだろう。
『愛媛のキノコ図鑑』(愛媛新聞社)では
「生える場所によっては、3〜4の変種に分けられる」とある。
他に

 ・松林地上に群生(『きのこ』山と渓谷社刊)
 ・マツ林や雑木林の地上に散生する(『日本のきのこ』山と渓谷社)
 ・火山の礫原に発生する(『北海道のキノコ』北海道新聞社刊)
 ・主にクロマツ林やブナ科樹下に発生
               (『北陸のきのこ図鑑』橋本確文堂)
 ・海岸近くの砂地や、山中のはだかの土地などに生える
              (『新潟県のキノコ』新潟日報事業社)
 ・マツ林の砂礫地(『信州のキノコ』信濃毎日新聞社)
 ・林内の貧栄養土壌の地上に発生
            (『兵庫のキノコ』神戸新聞総合出版センター)

と、図鑑によって発生環境の説明に違いがあるのも
その所為なのかも知れない。

実際、当方が名古屋で遭遇したコツブタケだけでも
様々な場所に発生していた。
こちらは雑木林の片隅。


こちらはヒバの植え込みの周辺。



こちらは樹種不明の植え込みの周辺。


こちらは別の植え込み。



こちらはサツキの植え込みの中。


こちらは松の木の周辺。
最初の画像の個体の約1ヵ月後の様子。

発生環境がバラバラだ……(^ω^;)
それぞれが別品種なのかどうかは勿論判らない。


所で、先の記述で、コツブタケは砂礫地や火山礫地に発生する、とある様に
比較的貧栄養の土地に発生が多い様だ。
そしてコツブタケは、多くの樹種、
中でも松と菌根を形成する事で知られている。
その為、荒地を緑化する技術の一つとして利用されているらしい。
予めコツブタケと菌根を形成させた松の苗を植えると、
そうしなかった苗に比べると定着率が向上する、との事。
実際に、アメリカでは痩せた土壌で
樹木の生育を促進させる材料として
販売されている由(『兵庫のキノコ』より)。
また、中国では「菌根王」とも呼ばれているらしい(『野攷浚奸拌耋儡曄法

所が、ある方から
 「コツブタケが生えると、松の幼木から成木までもが枯れてしまう」
との話を聞いた。
先の話と矛盾している。
これはどう言う事なのだろうか。
そこで
 ・松が幼木の時にコツブタケと菌根関係を築くと成長が良い
 ・コツブタケが発生すると、やがて枯れてしまう
の点から、以下の様な事を考えてみた。

松は、荒地が森林に遷移して行く際の
初期に生える「パイオニア植物」だ、と言う。
荒地と言う貧栄養の場所で、コツブタケと菌根関係を築く事によって
成長する事が可能になるのだろう。 
だが、それは松に取って負荷の掛かる状態でもあるのでは無いだろうか。

松が若い内は潜在的な体力があるので大丈夫なのだが
老成したり、何かの理由で松の樹勢が弱ると
コツブタケとの関係が負担となり、それに耐えられなくなると、
ついには枯れてしまう、と言う事では無いだろうか。
となると、松とコツブタケと言うのは、
ただの良好な菌根関係では無いのかも知れない。

つまり、松に取ってコツブタケはカンフル剤なのでは無いだろうか。
体力に余裕がある時はそれは効果を発揮するのだが
体力が弱った時には逆に負担となり、
致命的な結果にもなってしまうのでは無いだろうか。
だとしたら、コツブタケの発生と言うのは
本当はあまり歓迎するべき事では無いのかも知れないなぁ。

この想像が合っていたとしても
実際には、他のキノコや土壌菌・バクテリア類、
そして土壌成分等と複雑な関係があって、
事はそう単純な話では無いのだろうけど。


所で当方が生まれて初めてコツブタケを見たのは
松の枯れ木の上でだった。
上記にもある様に、図鑑等では
コツブタケは地上生菌根菌と言う事になっている。
なので、最初はそれがコツブタケであるとは気付かなかった。
だが、特徴からして、それはどう見てもコツブタケだった。
その為、当方はコツブタケは
腐生的な性格も持っているのでは無いか、と疑っている。
その当時、デジカメを持って居なかったので
画像として証拠が残っていないのが実に残念だ。

そのコツブタケを見てから5年後、
同じ場所にコツブタケが発生しているのを目撃した。
それがこちらの画像。

だが、この画像では
枯れ木の根際から発生している様にしか見えない。

これでは「枯れ木から生えた」とは言えないなぁ。
最初に見たのは地面から50cmは上だったのだけどなぁ。

実は当方、枯れ木から発生しているアミガサタケや

ノウタケを目撃している。

両者は地中から伸びた菌糸がたまたま枯れ木の中を通って
樹皮の隙間から子実体を発生させた、と考えられるので
当方が最初に見たコツブタケもそうだ、と言われたら
反論は出来無いのだが……



因みに、コツブタケは不食となっているが
四手井淑子氏の『キノコ手帖』によると
ヤニ状の色素をソースの色付けに使う例があるらしい。
色付け、と言う点では兵庫きのこ研究会編『兵庫のキノコ』によると
胞子を染色の材料にも使う、との事。
その為、英名では「Dye-maker's」「Dye-ball」等と名付けられており
(「Dye」は染料の意)毛糸や絹が黄色に染まる由。
だが、『野攷浚奸戮任蓮嵳蔦腸朕」と記述されている。
「幼嫩」は「柔らかい」を意味するそうなので
ごく若い内は食べられる、と言う事なのだろうか。

色々調べたが、試食をした人の記事は見付けられなかった。
誰か、コツブタケの幼菌に出逢ったら
是非試食してみて欲しい。
どんな味なのかを是非レポートして欲しい。
当方はまだその様な発生初期の物には
出逢った事は無いからなぁ。
もし出逢っていたとしても、多分食べないと思うけど……(^ω^;)


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| 腹菌類 | 00:30 | comments(14) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
膨大な写真と資料・・・、
すげぇ〜!!!
おそれいりました。

ということで
無事カナダに戻ってきました。
またブログ再開します。
| gikusa | 2010/02/07 8:10 PM |

>>gikusaさん
どもですー

画像、絞り切れませんでした……(^ω^;)
しかも、書き始めたら止まらなくなってしまいまして。
もっと手短に出来たら良かったのでしょうが……


またそちらへもお邪魔させて頂きますですw
| まねき屋 | 2010/02/08 2:19 PM |
こんばんは。所変わればといいますが、きのこの分布も地域性があり、このコツブタケは千葉県には無いと聞いています。家の近所の公園には結構生えるのできのこ染めをする人に頼まれて採取しています。染物に使うきのこは古くてもかまわないらしいのでかなりの老菌も採るのですが、犬のウンチと間際らわしいので苦労します。
それにしてもアマチュアで吉見図版をお持ちとすごいですね。私も買いましたが一度目を通したきりです。私は今の所ヒダのあるきのこで手一杯なので、買う時かなり迷いました。これを機会にもう一度目を通してみたいと思います。
| gorosuke | 2010/02/08 11:18 PM |

>>gorosukeさん
名古屋に転居したので、
東大阪では見られなかったキノコに色々出逢え、
地域差を実感出来て楽しいですね♪
逆に、出逢えなくなって淋しいキノコもありますが……

キノコ染めですか。
染料に使うだけの量を確保するのが大変でしょうね。
犬の糞と間違えたら、それこそエライ事になりますしねw

吉見図版の件。
当方、腹菌類が大好きですので
キノコ仲間から教えて貰って1も2も無く購入しました。
値段的にもお手頃でしたしw
ただ、当方顕微鏡を持っていませんので
折角の資料を使いこなせていません……
青木図版も激しく欲しかったのですが
それこそ顕微鏡が無いとダメですし
値段の点でも断念しました……

欲しい資料や図鑑が沢山あり過ぎて困ってしまいます(^ω^;)
| まねき屋 | 2010/02/09 1:43 PM |
どもー

1週間かかって、やっと読み終わった……w
| ちば! | 2010/02/15 8:21 PM |

>>ちば!さん
まさか粒々を一つ一つ読んでいたとか???(・∀・;)
| まねき屋 | 2010/02/16 11:26 AM |
いや、今から数えようかと……ひぃふぅみぃ……w
| ちば! | 2010/02/17 2:53 PM |

>>ちば!さん
一粒一粒毎の感想も是非書いて下さいw
| まねき屋 | 2010/02/17 3:53 PM |
上から6番目画像……

粒を135個まで数えましたがw

大きいのとか小さいのとか……ムラは良くないですねw
社会的に営業や交渉には向かない性格ではないかとw

以前は蓄えがあったようですが、現在のぽっぽ政権のおかげで画像上側である現在は売り上げ不足と見えて不況の象徴なのではないかと……w

10番目の画像は既に倒産したご様子で……w
| ちば! | 2010/02/18 8:06 AM |

>>ちば!さん
すると、老菌を蝕んでいたのはハサミムシでなくて
実は公益法人と天下り役人???(・∀・;)

汁が甘い様には見えませんがw
| まねき屋 | 2010/02/18 3:28 PM |
 まねき屋さん、こんにちは。

 今回の記事は大作ですね!かなり時間をかけて読ませていただきましたw

 コツブタケは発生環境によって数種に区分されるとのこと。まねき屋さんが観察されているのは、かなり荒れた地上ですよね。私ならまさかきのこがあるとは思わず、普段だと通り過ぎてしまいそうです。。。

 大阪ではコツブタケは余りないのですかね。私も今年、腹菌類好きの息子と一緒に探してみますね。
| だんきち | 2010/02/21 9:39 PM |

>>だんきちさん
こんなダラダラとした長文を読んで頂きまして
有難う御座居ました。
実はこれでもかなり画像を絞ったのですが
書いている内にこんな事になってしまいました……(^−^;)

コツブタケは本当に意外な所に生えているので
びっくりしてしまいますねー
これからも色々な所で見付け出したいと思いますw

息子さん、腹菌類がお好きなのですか!?
将来有望ですねw
是非友達になりたいです♪
| まねき屋 | 2010/02/23 3:27 AM |
どうもです。
突然ですがボクのブログChinook Countryは
AutoPageというアホブログサービスでして、
とうとう喧嘩別れすることになりウェブリブログに引っ越しました。
Chinook Countryその2ということで
C-C-IIという名前ではじめました。

アホAutoPageは引越し機能のMovableType3などの
フォーマットがないのですべて手作業で動かしていく予定です。
残念ながらコメントまでは引っ越せませんが、
また新たな出発を始めたいと思います。

どうぞまたよろしくお願いします。
| gikusa | 2010/02/24 2:55 PM |

>>gikusaさん
あそこはそんなにアホだったのですか……w

また新居でもよろしくお願い致しますです(^−^)/
| まねき屋 | 2010/02/24 3:39 PM |
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