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コフキサルノコシカケはややこしい

 画像はコキサルノコシカケ。

大きくなる事の多い硬質菌で、多くの広葉樹に発生し
林業関係者や園芸家の間では、樹木の病害菌として知られている。
このキノコについては以前にも書いた事がある(→こちら)。
サルノコシカケの仲間の中でも比較的良く見かける種類で
名古屋市内でもちょくちょく出逢う。

以前の日記でも書いたが
コフキサルノコシカケの名は
飛散した胞子で周囲だけで無く
自分自身もココア色の粉にまみれてしまう事による。

似た外観の多いサルノコシカケ科の中でも
他の種と著しく異なっている点なので
それによって、すぐに区別が出来る。
実に判りやすいキノコの一つだ。

先にも書いたが、コフキサルノコシカケは
比較的良く見掛ける種類なのだが
以前、東京の代々木公園に行った際
桜の老木の多くにこのキノコが生えていたのにはびっくりした。
その後に行った明治神宮、井の頭公園でも
コフキサルノコシカケは幾つか見たのだが
代々木公園のコフキサルノコシカケの発生数は
ちょっと異常とも思える程だった。
代々木公園の桜の木にとって
コフキサルノコシカケはこの地特有の風土病、と言って良いのかも知れない。
こちらはその内の一枚。

他にも大きな個体が幾つもあったし
かなりの大きさだったと思われる個体を
切り取った跡も幾つもあった。

こちらは井の頭公園で見掛けた個体。


成長の速度が一時期急に良くなって
下半分が異常に大きくなった個体なのか、
別々に生えていた物が融合してしまった物なのか、
一体どっちなのだろうか……

こちらも井の頭公園にて。
そばでキマダラヒカゲが休憩中だった。

どちらも色が良く似ているw

こちらも井の頭公園にて。

キノコの向こうに、
公園で憩いの一時を過ごしている人達が見える。
哲学的に味わい深い一枚(なのか?w)。


こちらは京都御苑にて。
大きな伐採木に大きな個体が幾つも生えていた。




こちらは再び井の頭公園にて。
このまま成長したら全て融合してしまうのだろうか。



こちらは名古屋市内にて。
幹の反対側にも小型の個体が幾つも生えていた。

こう言う発生の仕方は他では見た事が無いなぁ。


こちらも名古屋市内にて。

本来、一番重要である管孔面が地面に接してしまっている。
これでは胞子が飛散出来無いのでは無いだろうか……


こちらは奈良の橿原神宮の敷地内にて。

根元からボッキリ折り取られているが、
それでもこの様に胞子を飛散させている。
 
キノコの本体である菌糸は枯れ木の中で健在なので
子実体を折り取られてもまだ生きているのだ。
実は代々木公園にもこの様な状態の物が幾つもあった。
また、既に再生しつつある物もあった。
中々しぶとい様だ。


こちらはコフキサルノコシカケと思われる物の残骸。
完全に朽ち果て、中の繊維が露出している。


こんな構造になっているのかぁ……


こちらは1枚目の画像の個体のその後の様子。
誰かに折り取られてしまっている。
経過観察していたのだが残念だ。
きっと近所のガキ共の仕業だろうなぁ。

だが、折り取られた部分から既に幼菌が発生していた。
白く見えるのがそれ。
今後はそれを経過観察する事にしよう。
コイツは無事に大きくなって欲しいな。
因みに、折り取られた物は記念(?)に持ち帰った。


こちらはウチの近所の神社にて。

こちらは御神木で、しかも柵に囲まれているので
近所のガキに悪さをされる事も無いだろう。
安心して経過観察が出来る、と言う物だ。

こちらは2008年8月25日の様子。


こちら2009年6月19日の様子。

下部を見比べるとかなり成長しているのが判る。

こちらは2009年7月24日の様子。

更に1段増えている。
このまま何処まで段を増して行くのか、興味深い。
出来る限り観察して行こう(^−^)



所で、今まで散々「コフキサルノコシカケ」と書いて来た。
どの図鑑でも、webでも、
ココア状の胞子で自身や周囲を
茶色く染めているサルノコシカケは
何の疑いも無く「コフキサルノコシカケ」とされていたのだが
実はそれは大方間違いである事が判った。

本来のコフキサルノコシカケは
高地や寒冷地を中心に発生する種類で
平地に発生している物は
「オオミノコフキタケ」と言う別の種類だ、と言う事が
2006年刊の『北陸のきのこ図鑑』によって明らかにされたのだ。

同書によると

【コフキサルノコシカケ】
 馬蹄形〜腎臓形で年を経るほど鈍縁
 灰褐色〜暗褐色の濃淡、環溝で環紋を顕著に表わす
 (環紋が明瞭で細かい)

【オオミノコフキタケ】
 半円形〜腎臓形でやや鈍縁
 淡灰褐色〜灰褐色〜暗褐色の乱れた環紋と環溝を示す
 (前者より白っぽく、縁部が薄く環紋が乱れている場合が多い)

との差異がある様だ。

「オオミノコフキタケ」は漢字にすると
「大実の粉吹茸」または「大胞子の粉吹茸」。
「ミ」は「胞子」を意味している。
そしてコフキサルノコシカケは別名「コフキタケ」。
つまり「コフキサルノコシカケに似ているが
胞子がより大きな種類」と言う訳だ。

『北陸のきのこ図鑑』掲載の写生図と記述からすると
コフキサルノコシカケはこの様な形態になるのだろうか(→こちら)。
また、「菅平高原」と言う発生地からすると
こちらもそうなのかも知れない(→こちら)。
いずれにしても当方が掲載している画像とは明らかに違う。

当方が今まで見ていた「コフキサルノコシカケ」は
実際には図鑑の掲載画像とかなり外見が違っていたのだが
「ココア色の胞子でまみれる」と言う特徴だけで
「コフキサルノコシカケ」と判断していた。
だが、どうやらそれは全て「オオミノコフキタケ」だった様だ。
今更過去の日記を全面的に書き換えることはしないが
その旨の注釈は追記する事にした。
この日記内の「コフキサルノコシカケ」も
全て「オオミノコフキタケ」と置き換えて下さい。

ただ、この事はまだ広く浸透していない様で
検索エンジン(Google)で検索すると
"コフキサルノコシカケ"の121000件に対して
"オオミノコフキタケ"では42件だし(3月19日現在)、
「コフキサルノコシカケ」や
学名の Ganoderma applanatum で検索しても
「オオミノコフキタケ」にしか見えない画像が多くhitする。
情報はまだ混乱している様だ。


所で、コフキサルノコシカケは民間薬として広く流通し
結構高値で取り引きもされている。
先日(2010年1月26日放送分)の「開運!何でも鑑定団」では
推定50年物、幅62cm、重さ8kgの特大のコフキサルノコシカケが
120万円と鑑定されていた(→こちら)。
Yahooオークションでも
多数のコフキサルノコシカケが出品されている。

だが、オオミノコフキタケが
コフキサルノコシカケと誤認されていた、となると
両者の薬効に差異があるのかどうかが気になる。
サルノコシカケは深山の物、と言う一般のイメージからすると
想像するに、民間薬として巷間に流布していたのは
本来のコフキサルノコシカケの方なのでは無いだろうか。

実際、「鑑定団」の物もオークションに出品されている物も
画像で見る限りオオミノコフキタケに見えてしまう。
万が一、オオミノコフキタケに薬効が無い、
またはコフキサルノコシカケに比べて薬効の差があるとなると
コフキサルノコシカケの積もりで高値でわざわざ買った物が
オオミノコフキタケだった場合、目も当てられない事態になる。
サルノコシカケを服用したのだが
期待した効果が全く無かった、と言う話を耳にする事があるのだが
服用者の体質差の他に
両種の混同が原因だった場合もあるのかも知れない。

ややこしいなぁ……

 

ややこしいシリーズをまとめてみました→こちら



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| 多孔菌科 | 00:30 | comments(14) | trackbacks(0) | pookmark |
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コメント
どもです。

どこにでもありますね、コレ。
お金が公園にゴロゴロしているのね?

でも、類似品があったのかw

買った人は、この判別は知らない方が幸せかもなぁw

| きのこ堂 | 2010/03/20 7:16 AM |

>>きのこ堂さん
正に「知らぬが仏」てヤツですねー

知らずに服んでた方が効くでしょうしw
| まねき屋 | 2010/03/21 3:13 AM |
さすがですね。今でもオオミノコフキタケとコフキサルノコシカケをしっかり意識して区分しているしている人は少ないです。外見だけで区別するのは難しいのですが、断面を切ってみればすぐ分かります。コフキは管口の厚さが傘全体の三分の二以上、オオミは三分の一程度です。
両種のきのこの薬効差については知りませんが、この仲間は死んでも形はそのままです。死んでしまえば、一雨で成分が流れてしまうそうです。従って、私がもし将来ガンにでもなったなら栽培品のマンネンタケを飲もうと思っています。高いお金を出して買ったゴミを煎じて飲むのも悲しいですからね。
| gorosuke | 2010/03/21 9:50 AM |

>>gorosukeさん
有難う御座居ますー(^ ^*)
たまたま『北陸のきのこ図鑑』を買ったので判った次第です。

でも、2年前にコフキサルノコシカケの記事を書いた時点で
その図鑑は所持していたのですが
その時はうっかり読み流してしまっていました。
折角の資料を活かせておらず、反省するのみです……

一雨で成分が流れてしまうのですか!?
となると、薬効を期待してオークションで買うのは
あまりにも無謀な事なのですね。
お金を無断にしている人も多い訳なのですね。
服んだけど効き目が無かった人の中には
それが原因の人も居るのでしょうね……
| まねき屋 | 2010/03/21 8:30 PM |
コメントを各場所を間違えた模様・・・すみません。
コフキサルノコシカケかぁ・・・キノコ散策中に
粉まきまくりの姿を目にしたときは何事かと驚いたもので。

僕もあの放送は見ました(録画まで・・・)が、
なかなかアレ・・・ですね。
よく行く場所のコフキがあれからひとつなくなってました。
やっぱりアレの影響かな・・・。

っと、強行軍の名古屋遠征より無事帰りました♪
| 仝radical仝 | 2010/03/22 12:23 AM |

>>仝radical仝さん
遙々の遠征お疲れ様でした。
そして遙々遠征してのコメント、有難う御座居ます♪

本文でも書きましたが、時々折り取られてる事がありますねー
本人が煎じて飲むのならまた良いのですが
一攫千金を狙って、と言うのでしたら
ちょっとアレですね……
ヤフオクで既に120万の値段付けてる人居ましたしw
| まねき屋 | 2010/03/22 2:50 AM |
どうもです。
120万ってすごいですね〜。

真偽のほどはいざ知らず 手っ取り早くボクは
写真上から9枚目のサルノコシカケに腰掛けてるものを
いただきたいです。

もともとこのサルノコシカケとかは苦手な分野だったのですが、$$が絡んでくるとなれば話は別です。
これから真剣に勉強したいと思います。

ウッシッシ〜。
| gikusa | 2010/03/22 3:42 AM |
どもです。

昨日もマイ・シロに行ったらコフキ見かけました。
この記事を速攻で思いだしましたが……

で、gorosukeさんのコメントにある

>>死んでしまえば、一雨で成分が流れてしまうそうです。

って、すんごい情報っすね。
それでは、本当になんの意味もないですね。
成分が目で見えるわけでは無いでしょうから「信じる者は救われる?」と思うしかないんですね。

美味いシイタケを喰っている方が賢明かもですね。

gikusaさん……

まねき屋さんは本物の札なんて持ってないっすよw
それはニセ札だから、横領しても幇助罪にされちゃいますよ(笑)
| ちば! | 2010/03/22 9:20 AM |

>>gikusaさん
9枚目画像の。
かなり大きな胞子ですよね。
当方もあれは栽培してみようと思っています。
でも、やはり胞子だけあって
何時の間にか何処かへ飛んでいってしまうみたいで
中々手元には残りません……

当方ももっと勉強したいです……(^ω^;)
| まねき屋 | 2010/03/22 1:49 PM |

>>ちば!さん
>一雨で流れる
ヒラタケの雨子どころの話じゃ無いですよね。

ヒラタケは「不味い!ウゲ〜……」で済みますが
(経験者は語る……(-_-;) )
サルノコシカケだと
大枚払ってるのに薬効が全く無い、て事に
なりますもんね……

所で、偽札作る技術があれば
今頃はもっと大金持ちになってますよ……(オイ
| まねき屋 | 2010/03/22 1:51 PM |
 オオミノコフキタケですか!

 大阪でもそこらへんにあるココア系は、だいたいコフキサルノコシカケかと思ってました。本来は寒冷地中心に分布しているものなのですね、勉強になりました。

 さて、御神木についてる子。しっかり成長するんですね!(当たり前か。。)1か月前と比べて一段増えてますもんね。

 一度早送り映像で成長を見てみたいものです。
| だんきち | 2010/03/22 8:45 PM |

>>だんきちさん
驚愕の事実でしたねー
キノコの世界は本当に奥が深いですね……

御神木の。
この先5年くらい撮影し続けてgif動画にしたら面白いでしょうねw
チャレンジしてみます♪
| まねき屋 | 2010/03/22 10:01 PM |
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しかし、さるのこしかけ すごいですね。
うちも母の病気が治ると聞き、採取に奔走したときが昔あります。。。でもこんな立派なのは初めて見ました☆
さて、私も花ブログプリザーブドフラワー部門に参加出場しています。クリックポチッ応援をどうかよろしくお願い致しますm___m
| フラワーアレンジフェアリーハウス | 2010/04/08 9:21 PM |

>>フラワーアレンジフェアリーハウスさん
ご来訪&コメント有難う御座居ますー

採取、かなり大変だったのでは思います……
お母様孝行なのですね(^−^)

またよろしければ覗きにいらして下さいませ♪
| まねき屋 | 2010/04/09 11:37 PM |
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