CALENDAR
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2018 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
MOBILE
qrcode
<< 持つべき物は | main | 渦と環 >>
意外な味

 タケリタケと言うキノコがある。
ご覧の様にちょっとエロい形をしている。
takeri-cha-1.JPG
先に「キノコ」と書いたが
正確にはテングタケやイグチの仲間に
Hypomyces(ヒポミケス)属の菌が寄生し
寄主のキノコを
傘が開かない状態で成長させる為に
子実体を著しく変形させ
あたかも勃起し、猛ったイチモツの様な形に
なってしまった物の総称で
正式和名として登録されている訳では無いらしい。
掲載されているキノコ図鑑も多くはないが
キノコマニアの間では良く知られている。
 
Hypomyces菌の仲間は
様々なキノコに、各々対応した菌が寄生する。
イグチの仲間に寄生するタイプで
キノコの形を変形させず
全体を白い菌糸で覆い

やがて成熟すると黄橙色になるHypomyces菌もあるが
そちらは「アワタケヤドリ」と称されている。

他にも様々な種類があるが、和名の無い物が多い。
また、研究が進んでいないのか
情報も少なく、良く判らない部分が多い。
※アワタケヤドリに関しての記述は若干誤りがありました。
 詳細はこちらをご参照下さい(→こちら
 【2012年2月25日追記】


所で、当方が毎年行く岐阜県荘川村では
タケリタケが良く発生している。
takeri-cha-2.JPG
10年ほど前には当たり年だったのか、
そこら中がタケリタケだらけ、と言う事もあった。
荘川村は余程タケリタケ的に環境が良いのだろう。
takeri-cha-4.JPG

こちらは発見した時点で既に横倒しになっていた物。
takeri-cha-3.JPG
右側の葉が白くなっているのは
Hypomyces菌の胞子なのだろう。


こちらは傘のイボの痕跡らしき物が見えているので
このタケリタケの寄主はテングタケの仲間なのだろうか。
takeri-cha-5.JPG


こちらはちょっと変わった形の物。
takeri-cha-6.JPG
先に書いた様に
タケリタケは、寄主の傘が開かず、
柄の部分のみが成長をする事によって
珍奇な形になってしまう物なのだが
この個体は傘の下部が柄の根元近くに癒着していた為に
柄の成長に傘が付いて行けずにちぎれてしまい、
傘が上部と下部に別れてしまった様だ。
これはちょっと珍しい事かも知れないなぁ。

こちらは色が違うタイプ。
takeri-hai-1.JPG
takeri-hai-2.JPG
いわゆる「タケリタケ」とされているのとは
上掲の様に褐色の個体が多い。
恐らくそれとは違う種類のHypomyces菌なのだろうが
こちらも「タケリタケ」で掲載している図鑑もある。
検索すると、褐色タイプに比べてかなり少ない。
当方が見る限り、この荘川村での発生も
褐色タイプに比べるとずっと少ない様だ。


こちらは褐色タイプのタケリタケを
ホワイトリカーに漬け込んだ物。
takeri-cha-7.JPG
キノコ酒を作る積もりでは無く
手軽に出来るアルコール液浸標本として
作成し保存している物。

2006年の事。
当方は京都で開催された
「キノコカフェ」というイベントに参加した。
キノコ関連の作品やグッズ、書籍の展示に加えて
当方の持っている各種の標本も出品した。
その際、ツクツクボウシタケを
ホワイトリカーに漬け込んだ物を持ち込み
振る舞い酒として、希望者に試飲して貰っていた。

そして、参考品として隣に
このホワイトリカーに漬けたタケリタケを置いていた。

それは、本当にあくまでも参考出品だったのだが
お客様の一人が、そのタケリタケ酒を
是非飲んでみたい、と言われた。

タケリタケは食用になるのかどうかは不明だ。
そもそも、寄主となったキノコの種類が判らないので
安全かどうかも判らない。
寄主のキノコが毒キノコだった場合は
タケリタケ酒も毒になってしまっているかも知れないのだ。

ただでさえ怪しいイベントなのに
そんな物を振る舞って中毒を起こし
大騒ぎになってしまってはシャレにならない。
あまりにも危険だ。
その旨を説明したのだが
そのお客様は是非に、と言われる。

実は当方もタケリタケ酒には興味があった。
折角酒に漬け込んでいるのだ。
ちょっと味わってみたいな、と
考えないでも無かったのだ。
だが、不安なので実際に口にした事は無かった。

そこにこんな申し出が。
折角の機会だ、このお客様のご相伴に預かって
当方もちょっと飲んでみよう。
で、お客様と共に一口。

これが結構美味しかった。
菌臭の中にもコクがあり、甘味すら感じた。
更に香ばしいとでも言うか、
ワインで言う所の「樽香」の様な物も感じられた。
全く想定外で実に意外だった。


実は東北地方の一部では
Hypomyces菌?に寄生されたハツタケを
「シモハツタケ」と称して
食用にしている、と言う記事が
 『北国のきのこ』 盛岡うえっこの会 佐藤克二著
 『岩手・青森のきのこ500種』 榊原悟・三浦寿・角田良一著
に掲載されている。
しかも通常のハツタケに比べて美味だ、との事で
とても重用されているらしい。

また、北米では
Hypomyces菌に寄生されたベニタケ科のキノコを
ロブスターマッシュルームとの名で賞味し
市場で売られてもいる(→こちら)。

同じ様な事がこのタケリタケにも
起きているのかも知れない。
Hypomyces菌によってこのキノコ酒も
味わい深い美味しい酒になったのかも知れない。


これは面白い。
なので、他の物でも試してみる事にした。

こちらは灰色タイプのタケリタケ、
2枚目画像のを漬け込んだ物。

これも試飲してみた。
こちらは、と言うと……
はっきり言って不味かった。
妙に生臭い、青臭い味がした。
菌臭と相俟って気持ち悪かった。
これにはちょっとガッカリだった。

それにしても、
同じ「タケリタケ」の名で呼ばれている物なのに
全然味が違うのだなぁ……


因みに、褐色タイプのタケリタケ酒は
試飲の申し出をしたお客様と当方を含め
当日会場に居た3〜4人しか飲んでいない。
世界的に見てもそんな事をした人は他に居ないだろう。
これはとても貴重な体験だ。

そして、灰色タイプのタケリタケ酒は
キノコカフェ終了後に作った物なので
当方以外に試飲した人は居ない。
つまり、世界でただ一人、と言う事になる。
これは自慢しても良い……のかなぁ……???


皆様もタケリタケを見付けましたら
是非お試し下さいませ。
ただし、万が一の事があっても
当方は責任を負えませんので悪しからずw

因みに、タケリタケ酒が
男性機能に対して効果があるかどうか、は
定かではありませんw



にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へにほんブログ村 花ブログ きのこへ人気blogランキングへ

| 子嚢菌類 | 00:47 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
こんにちは〜。
まだ生きてますか〜?

タケリタケのお酒、興味深いです。
しかしどう見てもテングタケっぽいやつを
漬け込んで飲むというのは なかなかの根性モノだと思いますw

ボクが食べたロブスターもそうだし、ノボリリュウタケ科のきのこも宿主は毒菌の可能性が大ですが、食ってる人多いので、多分大丈夫なんでしょうね。

次回はホワイトリカーに漬け込まないで、そのまま
調理して食べる記事を拝見したいものですw
| gikusa | 2010/08/09 12:17 AM |

>>gikusaさん
多分生きてると思いますw

生タケリタケを食材に、ですかー
それはかなりハードル高いですねw
それにロブスターと違ってかなり脆いので
調理し辛そうですねー
厭世的な気分になったら挑戦して見ますw
| まねき屋 | 2010/08/09 10:48 PM |
面白いですね
元のキノコによって味の違いがあるのは当然のような気もしますね
それにしてもまねき屋さんは 勇気があります!

私も10年ちょっと前に行ったトドマツ林で 見つけました
しかもいくつもありました
やはり まねき屋さんが書かれているように タケリタケの菌の住みやすい場所があるのでしょうか

図鑑では知っていたので 見られて嬉しかったです
あの頃カメラを持っていたなら写真を撮ったでしょうに 残念です
アルコール漬けは思いつかなかった・・・
| yuuko | 2010/08/22 8:10 PM |

>>yuukoさん
有難う御座居ますー
でも、決して他人様へはお勧め出来る行為ではありませんねーw

タケリタケ。
発生しやすい場所と、当たり年裏年があるみたいですね。
今年の岐阜ではあまり見ませんでした。
群生している状態をまた見たい物です……

キノコに寄生する菌は何故かワクワクしてしまいます。
そちらでもまた見掛けましたら是非画像をUPして下さい♪
| まねき屋 | 2010/08/25 10:06 PM |
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://kinoko-nikki.hariko-manekiya.com/trackback/993923
トラックバック