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赤団子を求めて その2
先回、竹の赤団子病の事を書いた所(→こちら
Discomania さんから赤団子病の発生情報を教えて頂いた。

香港では実物を入手したが
あくまでもそれは乾燥品だ。
矢張り一度は生の実物を手にして見たいし
発生している現場を見てみたい。
なので早速それを見に行ってきた。

現場は、とある山あいの一角。
なるほど、李時珍著の中国の明時代の百科事典、
『本草綱目』(詳細はWikipedia参照→こちら
の赤団子(「竹肉」として記載)の解説に
「湿潤の気を受けて出来る」とある様に
やや風通しの悪い、
湿気の貯まりやすそうな場所にある小さな竹林だった。
akadango2-1.JPG

道端から眺めると全く判らなかったのだが
近寄るとポツリポツリと赤団子が見えた。

(この画像では判らないなぁ……(^ω^;) )

竹林の中に入ると
固まって発生している場所もあった。
akadango2-3.JPG
akadango2-4.JPG
akadango2-5.JPG
akadango2-6.JPG
akadango2-7.JPG
akadango2-8.JPG
やっと出逢えた、生の赤団子病。
心の中でキャー(≧∀≦)キャー言いながら収穫。
枝ごと持ち帰ったので結構嵩張ってしまった(^ω^;)

帰宅後、余分な部分を切除。
だが、竹の稈から生えていた事を明示する為に
香港で買った物より枝を長い目に残して保存する事にした。
akadango2-13.JPG

色、形の良い幾つかは葉も残して標本にした。
akadango2-9.JPG
akadango2-10.JPG
当方に取っては宝物だ。

Discomania さん、本当に有難う御座居ました(^−^)


中には一部、黒くなっている個体もあった。
akadango2-14.JPG

試しに半割りに。
黒い部分はカビかバクテリアかに侵食されているのだろうか。
肉眼で見ただけでは良く判らなかった……
akadango2-15.JPG
個体としては成熟しているので
表皮側には子嚢が並んでいるのが見える。

その竹林の多くの葉はスス病に侵されていた。
susu-hanten.JPG
更に、斑点に見えるのも寄生病の一種だ。

また、天狗巣病に侵されている部分もあった。
tengusu.JPG
細かく密生しているのが天狗巣病の部分。
天狗巣病菌により、葉が正常に発育出来無くなってしまっている。

この枝には少なくとも4種類の寄生病が同居している。
akadango-tengusu2.jpg
此処の竹林は寄生菌に取って
余程住みやすい環境なのだなぁ。


所で、今回採取した赤団子には
中にはかなり弾力の残った
比較的新しいものと思われる個体もあった。
折角だからそれを食べてみた。
と言うか、食べてみる事が主目的で
生の赤団子の採取に行った次第。

実は『本草綱目』には
赤団子(竹肉)の解説として

 大変な毒があるので
 灰汁で三度しっかり煮立てた後でないと
 食べてはならない。
 その処理が不充分だと刺激で喉から出血し、
 指の爪が全て剥がれてしまう。


と、それはそれは恐ろしい猛毒の旨が書いてある。
だが日野巌著『植物怪異伝説新考』によると
別の古文書『香宇集外』には

 味は甘く、蜜に優り、
 食べると心胸が清涼になった。
 山林の茂みの深い処に生じ、
 古くなると汁が乾いてしまうが、味は変わらない。


と書いてると言う。

『本草綱目』の出版は後の知識人に
多大な影響を与えた。
日本でも、江戸時代にはそれに触発されて
様々な本草書が発行されているが
日本の本草学者は殆どが
『本草綱目』の「大毒あり」の記述をそのまま引用している。
ただ、貝原益軒は著書『大和本草』で
「小児あぶり食す。甘く香ばし」とも紹介している。
そして、前回書いた様に
中国で赤団子は生薬として利用されている。

一体どちらが本当なのだろう。
これは是非一度食べてみなければ。
と言う訳で、実際に食べてみた次第。

で、その感想。
かなり硬いグミ、と言った食感。
独特の風味の中に
何となく甘みを感じた。
なるほど、これなら昔々の子供が
おやつにしていた、と言うのも頷ける。
だが、噛んでいると、口の中に青臭い味が広がった。
はっきり言って、それ程美味しい物では無い。
そして、少し炙った物も食べてみた。
だが、炙った方が美味しい、とは思えなかった。
もっと新鮮な、発生したての物は
炙ると、より美味しくなるのだろうかなぁ。

所で、当方は灰汁で三度煮立ててはいないのだが
特に体調に変化は無かった。
どうやら『本草綱目』の大毒の記述は間違いだった様だ。
あのあまりにもわざとらしい毒具合は
最初の伝承者が口から出任せを言ったか、
もしくは赤団子を食べていた、又は
利用していた人達が
それを他人に知られたく無かった為に
嘘をついたのでは無いだろうか。

大体、灰汁で三回もしっかりと茹でこぼさないと
喉から出血、はともかく
指の爪が全て剥がれてしまう様な
そんな発症の仕方をする恐ろしい毒性の物が
この世にあるとは思えない。
其処までの強毒ならば
茹でこぼしたくらいでは、まず毒成分は消えないだろう。
まして、其処までして食べなければならない物が
あるとも思えない。
そもそも、何で其処までして
食べなければならないのだろうか。

実は『本草綱目』の該当部分は
その800年余り以前の唐時代に発行されていた
『本草拾遺』と言う書物からの引用だ。
赤団子の事を良く知らなかった
『本草拾遺』の著者、陳蔵器が
その話を検証をせずに採用したか、
または陳蔵器自身が嘘を書いたのだろう。
それを『本草綱目』が転載した為に
後世にまで延々と「大毒」として
語り継がれてしまった様だ。

そんな事を知らない、日本の一部の小児達は
山野に生じる季節のおやつとして
古くから食していたのだろう。
貝原益軒はそれを実見していたので
それを『大和本草』に記述した。
ひょっとしたら貝原自身も子供時代には
赤団子を食べていたのかも知れない。

食料が乏しかった昔、
「お菓子」と言う物は
現代では想像出来無い程の贅沢品だった。
そんな時代に甘みを感じる赤団子は
貴重なおやつだったのだろう。
様々な甘く美味しい、刺激的な味の食品が
溢れた現代となっては
わざわざ採取して食べる様な物では無いが
赤団子の発生を心待ちにして
山野を必死に徘徊していた
往時の子供達を偲ぶのも
一つの風雅かも知れない(なのか?w)。


前回、香港では乾燥品とは言え
実物を見れた事で得た情報が幾つもあった。
今回は発生状況を見れて
更に色々な事を知る事が出来た。
矢張り「百聞は一見に如かず」だなぁ……


※前編・続編も併せてお読み頂けましたら幸いです
 アーカイブス→こちら




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| 植物寄生菌 | 00:03 | comments(10) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
お久しぶりです。
大漁で良かったですねw

できれば喉が血がボタボタ落ちてる画像と
爪の標本の画像が見たかったですが、
またの機会ということでw

たしかあまりの美味しさに他のものに
採られないようにデマを流すのは
よくある常套手段ですね。
きっと本件もそうだと思いますが…(多分
| gikusa | 2010/12/23 5:48 PM |
ドモー(・∀・)

しかし、まねき屋さん……よく見つけるなー
どんな目をしてるんぢゃいw

因みにgikusaさん……

今日の業務先は血飛沫がある部屋だった……
!!(∩;゚皿゚)ヒイィィィッッッ!(∩;゚皿゚)ヒイィィィッッッ!

さすがにブログには貼れないわ……
| きのこ堂 | 2010/12/23 9:05 PM |

>>gikusaさん
お久し振りですー
有難う御座居ますー♪

流血グロ画像は面白そうですが
今回は撮れず残念でしたw

デマを流す程美味しいとも思えないのですが
最初の伝承者は余程好きだったのでしょうかねぇ。
今に至るその後、殆ど食べられていない点からして
矢張り万人に取って、さほど美味しい物では無かった様ですがw
| まねき屋 | 2010/12/24 3:23 AM |

>>きのこ堂さん
当方に発生情報を教えてくれた
Discomaniaさんこそ凄い目をしてますよねー……

で、今日、きのこ堂さんは
その血飛沫を見て(;´Д`)ハァハァ……してたのねw
当方は赤団子で(;´Д`)ハァハァ……でしたがw
| まねき屋 | 2010/12/24 3:26 AM |
おじゃまします!
部外者です。
すごいの一言です。
いえ、「赤だんご」のことではありません。
探求心と行動力と、食ってやろうという心意気がすごいと申し上げているのです。
それと深い知識、情報量、どれをとっても脱帽です。
向かう方向は違うけれど、来年から見習おうと思っています。遅いか(^^;。
本年もいろいろと、ありがとうございました。
| jkio | 2010/12/30 10:14 AM |

>>jkioさん
過分にお褒め頂きまして有難う御座居ます……m( _ _*)m

ひょんな事から赤団子が気になって調べたら
どんどん深みに嵌って行ってしまった次第ですw

それにしても、ネットであらゆる事が調べられてしまう、と言う
本当に便利な時代になった物です。
でなければ、当方もこの記事は書けませんでしたねー

また2011年もどうぞお付き合い下さいませ。
どうぞよろしくお願い致します。
(^−^)
| まねき屋 | 2010/12/30 6:38 PM |
まねき屋さん、新年明けましておめでとうございます。

この時期は角松やら何やらで竹をめでたく使いますが、一度赤団子のも使ってみれば……

生け花にはいけそうですね。ちょっと前衛的になりますかね。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
| だんきち | 2011/01/03 12:09 AM |

>>だんきちさん
ご丁寧に有難う御座居ます。
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
m( _ _ )m


生け花の素材ですかー
確かに前衛的ですねw
草月流辺りで使えるかも知れませんね♪

植物寄生菌マニアには受けるでしょうが
そう言うのがこの世に何人居るのか……(^ω^;)
| まねき屋 | 2011/01/04 3:04 PM |
よいこはけして真似しないように!

としか私には言えない、奥の深いキノコ話です。
| ぽこまむ | 2014/07/14 11:46 AM |

>>ぽこまむさん
有難う御座居ますー

赤団子に関しては真似しても大丈夫ですよw
勿論、責任は取りませんがw
| まねき屋 | 2014/07/15 10:28 PM |
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