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こぶ・こぶ・こぶ
 こちらは桜のこぶ病。
名の通り、桜の枝の一部が
異様に膨らんでしまっている。
kobu-sakura-3.JPG
kobu-sakura-1.JPG
kobu-sakura-2.JPG
名古屋市内の某公園にて撮影。
脇の道路をバイクで通過中、
ふと見た桜の枝の一部が
この様に膨らんでいるのが目に入った。

こちらは別の場所で拾った物。
kobu-sakura-4.JPG
kobu-sakura-5.JPG
新鮮な物なのか、妙に赤い。

桜のこぶ病は
Pseudomonas syringae(シュードモナス シリンガエ)
と言うウィルスが
枝の中で組織を極度に肥大化させる病気だ。
それ以上特に悪さをする訳では無い様なのだが
見た目が良くないので園芸家から嫌われている。
対処法は、罹患部分を切り取るしか無いのだから
嫌われても仕方無いだろう。
丹誠込めて育てた木がその様になったら
確かに腹も立つだろう。

だが、ウィルスからしたら
自分が漂っていた時に
取り憑いて罹患させる事の出来た木が
そこにあったのだから仕方無い。
完全に健康な木ならば
ウィルスの侵入を許さなかった筈だ。
それをさせてしまうだけの原因を
この桜の木は持っていたのだ。
この桜は自生していた訳では無い。
だから、その原因を作ったのは人間の筈だ。
健康に育てない場所に桜の木を植えてしまったのだ。
それを病原菌のせいにして目の敵にするのは
お門違いと言えるだろう。


こちらは松のこぶ病。
岐阜県荘川村にて撮影。
kobu-matsu-1.JPG
kobu-matsu-2.JPG
松のこぶ病は
Cronartium orientale(クロナルチウム オリエンタレ)
と言う菌によって引き起こされる。
この場所の松は大概こぶ病にやられている。
それだけ、この一帯の松は
何処か弱った所がある、
逆に言うと、そうならざるを得ない様な場所に
この松は植えられてしまった、と言う事だろう。

このこぶ病もやはり園芸家から嫌われている。
見た目は桜のこぶ病とそっくりだが
桜はウィルス、
松はかびやキノコの仲間(糸状菌)と
原因になる微生物は
生物分類の「5界説」「6界説」で言う所の
「原生生物界」と「菌界」と、
「界」からして全く違う。

「界」が違う、と言う事は
Pseudomonas と Cronartium には
「動物」と「植物」くらいの、
もしくはそれ以上の違いがある事になる。
それこそ縁もゆかりも無い訳だ。
それでいて同じ様に
枝の一部を肥大させる、
と言う結果を招いているのだから
不思議な話だよなぁ。

また、松のこぶ病は
春になるとこぶから胞子を放出し
ナラ類の葉の上で夏を過ごし
秋になると再び胞子となって
松へ寄生すると言う、
異種寄生性の生活環を持っている由。
その様な生態の植物寄生菌は実は少なくない。

松、桜ともに鑑賞用の
縁起の良い樹木なので
それにこぶがあってはよろしくない、と
園芸関係者からは嫌われているが
当方はこの方が面白くて
ワクワクしてしまうけどなぁw


こちらの画像はコナラのこぶ病。
kobu-konara-1.JPG
kobu-konara-2.JPG
こちらは Phomopsis amygdali(フォモプシス アミグダリ)
と言う糸状菌による病気だ。

名古屋市内の某公園で
ふと見上げたらこれが目に入った。
その一帯のコナラの枝はこぶだらけだった。
また、幾つもの枝が落ちていた。
kobu-konara-3.JPG
kobu-konara-4.JPG
多分、枝を落とすことによって
コナラも自己防衛しているのだろう。

コナラのこぶ病も発生は少なくないが
コナラが鑑賞用樹木では無い為か
桜、松程には問題視されていない様だ。
だが個人的には
やはりこぶがあるとワクワクしてしまうw
また、松と違って異種寄生性は無いらしい。
こちらも見た目は良く似ているが
全く違っているのだなぁ。


こちらは種名不明の樹木のこぶ病。
kobu-fumei-1.JPG
kobu-fumei-2.JPG
樹種不明なので原因の菌の特定は不可能。
穏やかに膨らんでいるので
一見すると病気には見えないかも知れない。
実際、本当にこぶ病なのかどうかも判らないけど……


こちらはこぶ病に罹ったソヨゴ。
kobu-soyogo-1.JPG
kobu-soyogo-2.JPG
あまりに雄大で広大だ。
アップで見ると、
まるでディズニーシーにある地球儀みたいだ(→こちら)。

ソヨゴ自体が
コナラや桜、松ほどにメジャーで無い為か
「ソヨゴのこぶ病」と言う名前は付いていない。
実際当方も、植物に詳しい人に
「この木はソヨゴだ」と教えて貰うまで
そう言う名の木がある事そのものを知らなかった。

原因になる菌も詳細は不明らしい。
「日本産樹木寄生菌目録」によると
ソヨゴを含むモチノキ科の樹木からは
Phomopsis属の菌の一種が検出されている、と言う。
Phomopsis属はコナラのこぶ病でもそうである様に
多くの植物の寄生病を引き起こす一群であるので
このソヨゴのこぶ病もそれが原因なのかも知れない。

このソヨゴは、とある神社の境内に生えている。
恐らく、まだ若木の内に
こぶ病に罹患したのだろう。
若木が成木になるに連れ
こぶも成長してこの大きさになったのだろう。
御神木では無いが、境内の一角にあるので
大事に育てられて来て
この様な大樹になり
こぶもこの様に雄大になった、と思われる。
これだけ雄大だとワクワクを通り越して
畏敬の念さえ抱いてしまう。

こちらは別の場所にあったソヨゴ。
やはり幹の一部が妙に膨らんでしまっている。
kobu-soyogo-3.JPG
このソヨゴも100年も経てば
先程のソヨゴの様に
雄大なこぶになるのかも知れない。


それにしても雄大なこぶだ。
これ程までに大きくなったこぶ病は
日本広しと言えど中々無いだろう。
寄生菌マニアとしては
こちらの方を御神木にして欲しいくらいだ。

キノコが縁起の「菌神社(くさびらじんじゃ)」
ご本尊が観音様の形をしたマンネンタケ、と言う
京都の源光庵はあるが
植物寄生菌を祀った神社と言うのは無い様だ。
これからもしそう言う神社が
創建される事があるならば
このソヨゴは是非御神木にして欲しいし
御神体にもして欲しい。
きっと全国の植物寄生病マニアが参拝に来る筈……
 

かどうかは判らないけどw

宗教法人を立ち上げるならば
是非一枚噛みたい物だ(^^;)☆\バキ




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| 植物寄生菌 | 00:05 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
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コメント
ご無沙汰ですね〜。

さて、今度はこぶですかぁ〜w
それにしてもこならの画像はキモイですね( ̄□ ̄;)

がんばって新しい団体を立ち上げて
みなを引っ張っていってくださ〜いw
| gikusa | 2010/11/23 7:08 AM |

>>gikusaさん
お久し振りです〜

「キノコblog」と言いながら
全然キノコじゃなくなってしまいました……(^ω^;)

団体立ち上げ。
当方には実務能力はありませんので
誰かにやって欲しいなぁ、とw
gikusaさんには是非カナダ支部を立ち上げて欲しいな、とw
| まねき屋 | 2010/11/25 9:19 PM |
嬉しい・・・
やっとつかめました

うちの周りのハンノキの枝にすごいこぶがたくさん!
それからカエデらしき樹木の幹も大きく膨らんだものがあります
これらを見ながら、なんだろな〜〜?と興味があるけど 撮った写真はアップせずにいました
これからこぶ病のことを調べてみます

同じようなものに関心を持つ方がおられて嬉しいです
| yuuko | 2010/12/07 8:19 AM |

>>yuukoさん
ハンノキ、カエデもこぶ病があるのですねー
またよろしければblogの方へupして下さいませ(^−^)

当方もこれからはもっと気を付けて観察したいと思います♪
| まねき屋 | 2010/12/09 3:39 PM |
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