以前、タマアセタケと言うキノコの記事を書いた(→こちら)。
あれは今から9年も前の話なのだなぁ。
時が経つのは早い物だなぁ……(シミジミ)
で、その9年後の今年、久し振りにタマアセタケに出逢った。
森の中で黄色いキノコは良く目立つ。
手頃な大きさと綺麗な黄色。
可愛いキノコだと思う。
とは言え、当方のデジカメでは
その鮮やかさがきちんとは出ていないのが残念。
老菌になると色褪せ、褐色を帯びてくる様だ。
こうなると可愛さは失せてしまうなぁ。
まぁ、当然で仕方の無い事だけどw
新鮮で綺麗な3本を収穫。
レモンイエローのひだが鮮やかだ。
とは言え、矢張りこの画像ではちゃんと再現されていないなぁ。
傘が繊維状にひび割れている。
これがアセタケの仲間の大きな特徴だ。
所で、前回の記事で
次回出逢った時は、
「これはキシメジではなくてタマアセタケ!」と
判った上で収穫し、茹でて変色した物も
きちんと画像に納めたい物だ。
と書いた。
その時はキシメジ(→こちら)と間違えての収穫だったが
今回はちゃんとタマアセタケとして収穫したw
そして、せっかくなので、タマアセタケが煮ると赤くなる、
と言う事を実証し、記録に残す事にした。
試しに一つを半切りに。
ひだが湾生(ひだがカーブを描いて柄に繋がっている)
しているのが良く判る。
実はキシメジも同じ特徴を持っており
それも前回間違えてしまった一因。
で、煮沸。
一煮立ちさせたらこの色に。
キシメジだ、と思い込んでいて
こんな色になったりしたら、そりゃぁ驚くよw
色の変化の様子を動画で。
このblogの仕様で直接の埋め込みが出来無い為
リンクを貼ってみた。
カメラの性能の関係で色合いが若干違うのが残念。
よろしければご覧下さいませ。
所で、こんなにも大きな特徴なのだが
保育社刊『原色日本菌類図鑑』『原色日本新菌類図鑑』には
何故かその件は掲載されていない。
そもそも、タマアセタケが載っている図鑑自体が圧倒的に少ない。
北國新聞社刊『北陸きのこガイド』は
お世辞にも発行部数が多いとは言えない図鑑だし
しかも、出版社のサイトを見ると、もう絶版の様だ。
橋本確文堂刊『北陸のきのこ図鑑』にも
変色の件の記載はあるが、既に絶版。
信濃毎日新聞社刊『信州のキノコ』、
熊本日日新聞社刊『熊本のきの』には
タマアセタケの記載はあるが、変色の件は触れられていない。
変色の情報が記載されている2冊が共に絶版なのだ。
タマアセタケの発生が少ないから、にしても
("タマアセタケ"で検索するとhitしたのは
2011年8月26日現在446件、あまり多い方では無い)
キシメジとタマアセタケを間違える人が
今後も居るかも知れないのだから
掲載しておくべき情報なのだと思うのだけどなぁ。
致命的では無いにしても、タマアセタケは毒キノコなのだから。
所で「タマアセタケ」の名の由来。
「アセタケ」は発汗作用を持つ毒成分を含んでいる為だが
特に丸くも無いのに何故「玉アセタケ」なのか、と言うと
アセタケの仲間の胞子は金平糖の様に
とげとげなのが多いのだが(→こちら、又はこちら)
このタマアセタケは、アセタケの仲間には珍しく
球形なのだから、との事(→こちら)。
「この仲間では珍しく、玉の様な胞子を持ったアセタケ」と言う訳だ。
そんな、高価な顕微鏡で無いと判らない特徴を言われてもなぁ。
もうちょっと外見的特長から名付けられなかった物かなぁ。
まぁ、「黄色いアセタケ」と言えば
「キイロアセタケ」と言うのが既にあるから
難しいのかも知れないけどね(→こちら)。
でも、例えば「イロガワリチャアセタケと言うのがあるのだから(→こちら)
「イロガワリキアセタケ」とかでも良いと思うのだけどねー
と、それはそれとして……
さて、このタマアセタケ。
せっかく煮たので、そのまま瓶詰めにしてみた。
この状態で保存している。
とは言え、毒キノコなので勿論食べないw
その内取り出して乾燥標本にしようかな。
それで言うと、対比の為に
変色前の状態も乾燥標本にするべきだったなぁ。
両方揃った標本、と言う物的証拠を完備してこそ実証だ。
しまったなぁ……
次回またタマアセタケに出逢えた時に
うっかり全て煮てしまわない様に気を付けよう。
でも、それってまさか更に9年後なのか!?
18年掛けないとこの実証が完結しないのかなぁ……(;´Д`)
※続編もありますので併せてお読み頂けましたら幸甚です。
9年を待たず → こちら