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赤団子を求めて その3

今年を振り返るに……

6月になり、名古屋も梅雨に入った。
すると、名古屋市東部の古本まゆさん(→こちら)から
某所(以下「A公園」と表記)にて
赤団子病発生の知らせを頂いた。
当方が名古屋に転居して以来初めてだ。
とすると5年振り位の発生なのだろうか。
遂に!やっと!名古屋でも赤団子が発生してくれた。
これは是非見に行かなくては。
早速現地へ向かう算段をする。

と、その前に。
兼ねてから目を付けていた
別の某所(以下「B公園」と表記)へ向かう。
昨年、Discomaniaさんから発生を教えて頂き
京都まで現場を見に行って以来、
名古屋市内にもそれらしい場所は無いか、と
似た感じの環境を探し、
とある場所に見当を付けていたのだ。


そのB公園に到着。
早速藪に分け入り、あちこちを探してみる。
すると、あった。
mk-0607-1.JPG
mk-0607-2.JPG
思った通り、此処は発生しやすい環境だったのだ。
狙い通りに見付かったので
嬉しくなってしまった。
やはり現場を知る、と言うのは
何よりも重要な事なのだなぁ。

この場所の個体は
昨年京都で見た物より全体的に小さい感じ。
mk-0607-4.JPG
mk-0607-5.JPG
mk-0607-7.JPG
これは環境の違いによるのか
寄主の竹、もしくは
赤団子菌の系統の違いによる物なのかは不明。

あまり固まって発生はしていないが
敷地内を探すと全体としては結構な量になる様だ。
mk-0614-1.JPG
mk-0614-2.JPG
100個体以上は優にあるのではと。
って、全くのあてずっぽうだけどw


とある個体を見ると、
脇からなにやら透明な液体が出ている。
そして、それにアリがたかっている。
mk-0607-3.JPG
mk-0607-3@.JPG
そう言えば「赤団子は甘露を分泌する」と
書いてある資料もあったっけなぁ。
すると、これがその甘露なのだろうか。
早速、枝先にすくってその液体を舐めてみた。 

あ、甘い!滅茶苦茶甘い!
白蜜その物の味。
正にこれは甘露だ!
『本草綱目』等にあった「味は蜜に勝り」と言うのは
これの事を言っているのだったのか。
中国の事だから「白髪三千丈」的に
大袈裟に記述されているかと疑っていたのだが
間違いでは無かった様だ。
昨年の記事(→こちら)で
「わざわざ採取する程の物では無い」と書いたが
これだけ甘いのであれば
わざわざ採取する必然性は十分にある。
赤団子を食べた時、最初に一瞬感じるほのかな甘みは
これが元になっていたのだなぁ。


それにしても、
何故赤団子病は甘露を分泌するのだろう。
植物の例で言えば
蜜で虫を引き寄せる事によって
花粉の散布を担わせたり、
又は、アリに餌を提供する事によって
他の害虫から植物本体を守って貰う、等の例がある。

しかし、この個体は比較的発生初期の様で
まだ胞子を散布していないと思われるので
胞子の飛散を手伝っている訳では無さそうだ。
また、赤団子を食害する昆虫を
この蜜を供給する事によって
防いで貰っている訳でもなさそうだ。

そもそも、当方は昨年今年と
数多くの赤団子病の個体を見て来たのだが
その中で甘露を分泌していたのは
この個体だけだ。
甘露の分泌によって蟻に重要な任務を負わせるには
あまりにも例が少な過ぎる。

元々赤団子病の情報自体が多くない中、
webで検索しても甘露の情報は全くhitしない。
赤団子病の中でも甘露の分泌自体が
実際にはあまり多くない現象なのかも知れない。
そうなると、ますます甘露の分泌理由が判らないなぁ。

甘露を分泌する事に
赤団子側のメリットがあまり思い当たらない、
と言う点から想像するに
赤団子が成長するに当たって
竹の樹液を吸収、分解して行く際に
排出される物がたまたま甘露になってしまう、
と言う事なのだろうかなぁ。
積極的に生成する物では無いからこそ
分泌する個体も量も少ないのかも知れない。
当方が遭遇した例では
赤団子本体からでは無く
周縁部から発生していた、と言うのも
その場所が、竹の稈内での赤団子の菌糸の
最前線基地に近いからだ、と考える事も出来る。
竹の樹液の状態や流通量、
そして赤団子菌の伸張度合いや旺盛さの兼ね合いで
甘露が分泌されるかどうかが決まるのかもなぁ。
だから甘露の分泌例が多くないのかも知れないなぁ。
わざわざ記事にしているくらいだから
ひょっとしたら中国の赤団子は
甘露の分泌が多い系統なのかも知れない。
勿論、DNA的に同一種なのかどうかも問題だけど。
ま、たった一例の観察から推論するのは
乱暴な話だけどね。


他には、橙色の物体を纏っている個体も結構見掛けた。
mk-0607-6.JPG
mk-0607-8.JPG
mk-0705.JPG
これは分生子塊との事。
他のキノコでも、未熟な時代には無性生殖の分生子を放出し
完熟したら有性生殖の胞子を放出する、と言うのは少なくないので
赤団子病もそのタイプなのだろう。
とは言え、分生子塊を噴出していない個体の方が遥かに多い。
その個体差に何か意味があるのだろかなぁ……



その後、古本まゆさんに教えて頂いたA公園へ移動。
少し探して発見。
it-0607-1.JPGit-0607-4.JPG
it-0607-5.JPG
it-0607-6.JPG
A公園、と言う大まかな場所しか聞いておらず
広大な敷地の中から
ピンポイントで探し出せるか不安だったが
ヤマ感が当たったとは言え
ちゃんと見付けられた自分を誉めてあげたいw


A公園では範囲は広くないが、割と密集していた。
it-0614-2.JPG

また、A公園には大きな個体が幾つもあった。
it-0614-1.JPG

個体が大きいと分生子塊の放出具合も派手な様だ。
it-0607-7.JPG
全体的にA公園の個体はB公園のに比べるとかなり大きい。
それが先の様に環境の違いに因るものか
寄主の竹、又は赤団子菌の系統の違いに因る物かは判らない。
これだけ大きかったら、さぞ食べでがあるだろうなぁ
勿論食べないけどw


所で、この大きな個体を良く見たのだが
甘露は分泌していない様だった。
周辺の他の個体も同様だった。
甘露の分泌は子実体本体の旺盛さとは関係が無いのだろうかなぁ。
益々持って不思議だ。
 

その後、A公園敷地内の北部でも別の発生場所を発見。
it-0627-1.JPG
今年の名古屋東部は
赤団子病の当たり年だったのかも知れないなぁ。
となると、他の地域では
どうだったのかが気になる所だ。



A公園の1週間後の様子。
大きな個体は成長も早く、既に色が黒っぽくなって来た。
また、個体の表面全体が分生子塊に覆われる様になった。
it-0621-1.JPG
it-0621-2.JPG
有性生殖と同時に無性生殖もしている訳なのだろうか。
何だか良く判らないなぁ……

更に2週間後。
組織は既に死んでいる模様。
it-0627-2.JPG

更に1週間後。
完全に死んでいる様で、全体に黒くなっていた。
it-0705-1.JPG
it-0705-2.JPG
他の小さな個体はまだまだ元気だったが
大きな個体は成長速度が桁違いだった。

こちらは上の個体が雨を受けてふやけた物。
it-0721.JPG
ふやけると幾分か赤みを取り戻す様だ。
とは言え、もう胞子を放出する事は無いだろう。

その後A公園は夏草が旺盛になり
赤団子の発生地帯が完全に覆われてしまった。
なのでA公園での経過観察は約1ヶ月あまりで断念……


こちらはB公園。
最初に観察してから約一ヵ月半後。
此処でも個体の組織は既に死んでいた。
mk-0721.JPG
mk-0805.JPG
mk-1028-2.JPG
小さな個体でも、その寿命は凡そ一ヶ月程度の様だ。

こちらはとある個体の4ヵ月後の様子。
mk-1014-2.JPG
あまり様子は変わっていない。
組織が死滅すると、そのままかなり長く残存する様だ。


最終的にどうなるのか、
剥落、脱落するとしたらどのタイミングでか、を観察する為に
6月の発生当初からずーっ撮影し続けていた個体があったのだが
草刈に遭って、その枝が切り払われてしまった。
残念……

なので、試しにまだ残っていたとある個体を剥がしてみる事にした。
mk-1014-3.JPG

赤団子病自体が堅いので手応えはあったが
比較的簡単に剥がれた。
mk-1014-4.JPG

貼り付いていた部分を見ると、殆ど痕跡も残っていない。
mk-1014-5.JPG
見た感じでは赤団子病の菌糸は
他の寄生病に比べると稈自体を殆ど損傷していない様だ。
また、結構簡単に剥がれた事からすると
稈と赤団子の結合はあまり強くない様だ。
発生頻度も高くない事からしても
赤団子病は病原性と言う点ではあまり強くない様だ。


最後はこんな感じになるのだなぁ。
どの資料にもこんな事は載っていなかった物なぁ。
経過観察が出来たのも
地元で発生してくれたからこそだ。
有難い事だなぁ……


2009年は香港で赤団子の実物を入手出来た。
2010年は京都で赤団子の発生状況を見る事が出来た。
そして2011年は名古屋市内で
赤団子病の経過観察をする事が出来た。
甘露を味わう事も出来た。
段々に赤団子病の真実(?)に
迫って来れているのが嬉しい。

さて、来年も赤団子は発生してくれるのか、
また甘露を分泌してくれるのか。
そして来年は赤団子病及び
赤団子病を取り巻く諸相に何処まで迫れるのか。
今後が楽しみで仕方無い。


※前編・続編も併せてお読み頂けましたら幸いです
 アーカイブス→こちら



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| 植物寄生菌 | 00:38 | comments(8) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
うっ……

毎度ながら、脱帽させられてしまう内容だ……( ゜Д゜)!
| きのこ堂 | 2011/12/24 9:09 AM |

>>きのこ堂さん
間違って脱糞しないでね……( ̄∀ ̄)
| まねき屋 | 2011/12/24 12:22 PM |
まねき屋 さま

 ご連絡、ありがとうございました。

 A公園でシライキンを見るのは三度目で、以前発生した場所はかなり注意深く見守っているつもりなのですが、毎回発生場所が違っています。A公園はシライキンの他にも、本草綱目の竹蓐三種が全部見られる稀な場所ではないか?と思っています。
 後、(基本無断で)リンクさせていただいております。これからも、宜しくお願いします。
| 古本まゆ | 2011/12/24 6:24 PM |

>>古本まゆさん
お陰様で赤団子病の色々な事を知る事が出来ました。
有難う御座居ました。

当方も『本草綱目』の竹蓐は気になって色々調べています。
でも、調べれば調べる程謎が深まってしまっています……
何時かはそれも纏まった文章に出来たらなぁ、と思っています。
| まねき屋 | 2011/12/25 2:58 AM |
赤団子シリーズ、超おもしろいです。
採り頃の時期は6月下旬くらいですか?
近所で探して、お酒にでも漬けてみようかと・・・
| えむっち | 2011/12/25 9:15 AM |

>>えむっちさん
有難う御座居ますー
マニアックな内容なのに、そんなに楽しんで頂けて嬉しい限りです♪

赤団子はマダケのみに発生する様です。
やや不健康な藪に発生する確率が高いですので
来年是非探してみて下さい(^−^)
| まねき屋 | 2011/12/26 4:16 PM |
やっぱり新鮮なものはすごく甘いんですね。
見た目的にはウーンですが、昔の人は色々試してスゴイと思います。

それはそうと、以前香港で大量に購入なさった赤団子は今頃どうなったんでしょうか、何だか気になります…

本年もお世話になりありがとうございました。
良いお年をお迎え下さい。
| だんきち | 2011/12/30 6:04 PM |

>>だんきちさん
遅ればせながら神農祭へはどうも有難う御座居ました(^−^)

香港の赤団子。
袋詰めのまま仕舞い込んでいて、久し振りに開けてみたら
殆ど虫に食われてしまっていました……

この先、謎の虫に日本中の乾物やキノコ標本が食い荒らされたら
その原因は当方かも知れません……(∩;゚皿゚)ヒイィィィッッッ!

今年も有難う御座居ました。
良いお年を(・∀・)♪
| まねき屋 | 2011/12/31 1:20 PM |
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