2012.01.28 Saturday
縦か横か
gorosukeさんによりますと愛知県内には
オオミノコフキタケとコフキサルノコシカケが混在しており、
御神木の個体はコフキの可能性がある、との事です。
確かに『北陸のきのこ図鑑』の記載文
【コフキサルノコシカケ】
馬蹄形〜腎臓形で年を経るほど鈍縁
灰褐色〜暗褐色の濃淡、環溝で環紋を顕著に表わす
(環紋が明瞭で細かい)
【オオミノコフキタケ】
半円形〜腎臓形でやや鈍縁
淡灰褐色〜灰褐色〜暗褐色の乱れた環紋と環溝を示す
(前者より白っぽく、縁部が薄く環紋が乱れている場合が多い)
で見ると、御神木の個体は
コフキサルノコシカケの方が良く当て嵌まっている様です。
「年を経るほど鈍縁」の意味が良く判らなかったのですが
年を経るほど厚みを増す、と言う事だったみたいですね。
今更本文の全面改訂はしませんが、以上の事をお含みの上
お読み下さいます様、お願い申し上げます。
gorosukeさん、ご教示有難う御座居ました。
(2012年2月7日追記)
こちらはオオミノコフキタケ。
以前は「コフキサルノコシカケ」と思われていたが
研究の結果、それとは別種で
新たに「オオミノコフキタケ」と名付けられた、と言う件は
以前も書いた事がある(→こちら)。
上画像のオオミノコフキタケはその記事中でも登場した物。
近所の神社の御神木に生えている。
2008年7月23日に撮影。
サルノコシカケの仲間は多年生の物が多い。
このオオミノコフキタケも支障が無ければ
この先何十年も成長し続けるだろう。
なので、それ以来、経過観察を続けている。
その画像が結構溜まったので以下に並べてみる。
既出の画像もあるが、その点は御容赦を。
こちらは2008年7月23日。
ここから始まり。
8月25日。
一番下の部分が微妙に膨らんでいる様に見える。
2009年6月19日。
明らかに段が増えている。
2010年5月8日。
更に段が増えている。
2010年9月17日。
かなり段が増えている。
2010年10月4日。
微妙に段が増えている。
2010年10月29日。
最下部が少し厚みが増している様だ。
2011年3月2日。
変化は無い様子。
2011年7月4日。
段が増えている。
2011年7月22日。
更に段が増えている。
2012年1月23日。
最下部が微妙に膨らんでいる。
不定期の撮影なので、正確な成長具合は判らないのだが
縦方向に成長し、どんどん厚みを増していっているのが良く判る。
こうして通して見てみると、ある程度の傾向が読み取れる。
この個体は6月から8月頃までの間、胞子を飛散させている。
それに合わせて、と言うか、それに備えて厚みを増している様だ。
そして秋から翌年の6月頃迄は
多少の成長をしつつ、エネルギーを蓄えているのだろう。
傘の裏の管孔部分は胞子を形成する器官(子実層)だ。
恐らくその部分を毎年更新し
新鮮な器官で健康な胞子を形成しているのだろう。
前年の子実層は性質が変化し
新鮮な子実層の土台となっているのだろう。
だが、どうせ同じエネルギーを使うのなら
横方向に成長し、子実層の面積を広げて
胞子をより多く形成・飛散出来る様にした方が
得策だと思うのだがなぁ。
それよりも子実層を毎年更新する方を選んでいる訳なのだなぁ。
と言う事は、胞子を形成する器官(担子器)が
元々毎年更新を前提に作られているのだろうなぁ。
だが、このまま成長を続け、厚みを増大し続けて行って
管孔面が地面に付く様になったらどうするのだろう。
その時は仕方無く横に広がるのかなぁ。
それが何十年先になるのか判らないけど
取り敢えず、今後も観察は続ける予定。
こちらは少し離れた、別の神社の境内の切り株に発生していた個体。
2008年10月7日撮影。
2008年12月2日。
殆ど変化は無い。
2009年4月22日。
こちらも特に変化は感じられない。
2009年6月23日。
下側が少し膨らんでいる様に見える。
2009年8月10日。
折り取られて転がっていた。
恐らく近所のガキにでも蹴られたのだろう。
成長の変化があまり感じられないまま終わってしまったのが残念だ。
折り取られた部分には白い幼菌が見えている。
今後はこの幼菌の成長を観察しよう、と思ったら
暫く後にこの切り株自体が撤去され
境内全体が砂利敷きに整備されてしまった。残念。
他人の土地での長期に及ぶ経過観察とは難しい物だよなぁ……
こちらも以前に紹介したオオミノコフキタケ(→こちら)。
以前住んでいた東大阪市の
とある学校のフェンス際に生えていた。
2005年4月25日撮影。
その時にも比較したのだが、再度掲載。
こちらは2005年4月25日。
こちらは2008年2月14日。
3年間で一回り大きくなっているだけだ。
この個体は横の成長を基本にしているタイプの様だ。
良く見ると厚みも増している様に見えるが
先の御神木の個体程の成長では無い。
横に成長するタイプは、縦に成長するタイプに比べて
成長のスピードがかなりゆっくりなのかもなぁ。
そうなると、縦に成長するタイプと、横に成長するタイプとで
本当にDNA的に同じオオミノコフキタケなのかが疑わしくなる。
以前は「コフキサルノコシカケ」として一纏めにされていた物が
コフキサルノコシカケとオオミノコフキタケに分けられた様に
この2タイプも将来的には別種に分けられるのかも知れないなぁ。
因みに、この個体も矢張り毎年梅雨〜夏に掛けて
この様に胞子を飛散させていた。
つまり、毎年更新では無く
何年も同じ子実層で胞子を形成していた事になる。
となると、毎年更新の縦成長タイプの個体とは
細胞の成り立ちが根本的に違うのだろうなぁ。
矢張りDNA的に同じ物とは思えないよなぁ。
この後、名古屋に転居してしまったので
このオオミノコフキタケの事は気になっていた。
で、最近、東大阪に行く機会があったので4年振りに様子を見てみた。
すると……
こんな状態になっていた。
立ち枯れの木は撤去され、
オオミノコフキタケも金網に食い込んでいる一部を残すだけとなっていた。
うーむ、残念……
別にフェンスを改築した訳でも無いのだから
そのまま成長させてやれば良いのになぁ。
気持ち悪いだとか、何か苦情でもあったのかなぁ。
勿体無いし、可哀相だよなぁ……
特に何かの邪魔になっていた訳でも無かったのにこれだ。
事程左様に、他人の土地での経過観察は難しい……
最初の縦方向タイプの個体は御神木に生えている。
なので、ガキに蹴り折られる事も無いし
神社の人も無碍な事はしないだろう。
とにかく今後の成長を気長に見続けて行きたいと思う。
ただ、社務所からの死角の位置にある御神木のそばで
うずくまって何か(撮影だけどw)をしている怪しい風体の男、として
何回も注意されてしまっているので(その都度説明はしているけど)
立ち入り禁止になって観察不能になったりして……(;´Д`)
とにかく長期の経過観察は色々と難しい物だよなぁ……
オオミノコフキタケとコフキサルノコシカケが混在しており、
御神木の個体はコフキの可能性がある、との事です。
確かに『北陸のきのこ図鑑』の記載文
【コフキサルノコシカケ】
馬蹄形〜腎臓形で年を経るほど鈍縁
灰褐色〜暗褐色の濃淡、環溝で環紋を顕著に表わす
(環紋が明瞭で細かい)
【オオミノコフキタケ】
半円形〜腎臓形でやや鈍縁
淡灰褐色〜灰褐色〜暗褐色の乱れた環紋と環溝を示す
(前者より白っぽく、縁部が薄く環紋が乱れている場合が多い)
で見ると、御神木の個体は
コフキサルノコシカケの方が良く当て嵌まっている様です。
「年を経るほど鈍縁」の意味が良く判らなかったのですが
年を経るほど厚みを増す、と言う事だったみたいですね。
今更本文の全面改訂はしませんが、以上の事をお含みの上
お読み下さいます様、お願い申し上げます。
gorosukeさん、ご教示有難う御座居ました。
(2012年2月7日追記)
こちらはオオミノコフキタケ。
以前は「コフキサルノコシカケ」と思われていたが
研究の結果、それとは別種で
新たに「オオミノコフキタケ」と名付けられた、と言う件は
以前も書いた事がある(→こちら)。
上画像のオオミノコフキタケはその記事中でも登場した物。
近所の神社の御神木に生えている。
2008年7月23日に撮影。
サルノコシカケの仲間は多年生の物が多い。
このオオミノコフキタケも支障が無ければ
この先何十年も成長し続けるだろう。
なので、それ以来、経過観察を続けている。
その画像が結構溜まったので以下に並べてみる。
既出の画像もあるが、その点は御容赦を。
こちらは2008年7月23日。
ここから始まり。
8月25日。
一番下の部分が微妙に膨らんでいる様に見える。
2009年6月19日。
明らかに段が増えている。
2010年5月8日。
更に段が増えている。
2010年9月17日。
かなり段が増えている。
2010年10月4日。
微妙に段が増えている。
2010年10月29日。
最下部が少し厚みが増している様だ。
2011年3月2日。
変化は無い様子。
2011年7月4日。
段が増えている。
2011年7月22日。
更に段が増えている。
2012年1月23日。
最下部が微妙に膨らんでいる。
不定期の撮影なので、正確な成長具合は判らないのだが
縦方向に成長し、どんどん厚みを増していっているのが良く判る。
こうして通して見てみると、ある程度の傾向が読み取れる。
この個体は6月から8月頃までの間、胞子を飛散させている。
それに合わせて、と言うか、それに備えて厚みを増している様だ。
そして秋から翌年の6月頃迄は
多少の成長をしつつ、エネルギーを蓄えているのだろう。
傘の裏の管孔部分は胞子を形成する器官(子実層)だ。
恐らくその部分を毎年更新し
新鮮な器官で健康な胞子を形成しているのだろう。
前年の子実層は性質が変化し
新鮮な子実層の土台となっているのだろう。
だが、どうせ同じエネルギーを使うのなら
横方向に成長し、子実層の面積を広げて
胞子をより多く形成・飛散出来る様にした方が
得策だと思うのだがなぁ。
それよりも子実層を毎年更新する方を選んでいる訳なのだなぁ。
と言う事は、胞子を形成する器官(担子器)が
元々毎年更新を前提に作られているのだろうなぁ。
だが、このまま成長を続け、厚みを増大し続けて行って
管孔面が地面に付く様になったらどうするのだろう。
その時は仕方無く横に広がるのかなぁ。
それが何十年先になるのか判らないけど
取り敢えず、今後も観察は続ける予定。
こちらは少し離れた、別の神社の境内の切り株に発生していた個体。
2008年10月7日撮影。
2008年12月2日。
殆ど変化は無い。
2009年4月22日。
こちらも特に変化は感じられない。
2009年6月23日。
下側が少し膨らんでいる様に見える。
2009年8月10日。
折り取られて転がっていた。
恐らく近所のガキにでも蹴られたのだろう。
成長の変化があまり感じられないまま終わってしまったのが残念だ。
折り取られた部分には白い幼菌が見えている。
今後はこの幼菌の成長を観察しよう、と思ったら
暫く後にこの切り株自体が撤去され
境内全体が砂利敷きに整備されてしまった。残念。
他人の土地での長期に及ぶ経過観察とは難しい物だよなぁ……
こちらも以前に紹介したオオミノコフキタケ(→こちら)。
以前住んでいた東大阪市の
とある学校のフェンス際に生えていた。
2005年4月25日撮影。
その時にも比較したのだが、再度掲載。
こちらは2005年4月25日。
こちらは2008年2月14日。
3年間で一回り大きくなっているだけだ。
この個体は横の成長を基本にしているタイプの様だ。
良く見ると厚みも増している様に見えるが
先の御神木の個体程の成長では無い。
横に成長するタイプは、縦に成長するタイプに比べて
成長のスピードがかなりゆっくりなのかもなぁ。
そうなると、縦に成長するタイプと、横に成長するタイプとで
本当にDNA的に同じオオミノコフキタケなのかが疑わしくなる。
以前は「コフキサルノコシカケ」として一纏めにされていた物が
コフキサルノコシカケとオオミノコフキタケに分けられた様に
この2タイプも将来的には別種に分けられるのかも知れないなぁ。
因みに、この個体も矢張り毎年梅雨〜夏に掛けて
この様に胞子を飛散させていた。
つまり、毎年更新では無く
何年も同じ子実層で胞子を形成していた事になる。
となると、毎年更新の縦成長タイプの個体とは
細胞の成り立ちが根本的に違うのだろうなぁ。
矢張りDNA的に同じ物とは思えないよなぁ。
この後、名古屋に転居してしまったので
このオオミノコフキタケの事は気になっていた。
で、最近、東大阪に行く機会があったので4年振りに様子を見てみた。
すると……
こんな状態になっていた。
立ち枯れの木は撤去され、
オオミノコフキタケも金網に食い込んでいる一部を残すだけとなっていた。
うーむ、残念……
別にフェンスを改築した訳でも無いのだから
そのまま成長させてやれば良いのになぁ。
気持ち悪いだとか、何か苦情でもあったのかなぁ。
勿体無いし、可哀相だよなぁ……
特に何かの邪魔になっていた訳でも無かったのにこれだ。
事程左様に、他人の土地での経過観察は難しい……
最初の縦方向タイプの個体は御神木に生えている。
なので、ガキに蹴り折られる事も無いし
神社の人も無碍な事はしないだろう。
とにかく今後の成長を気長に見続けて行きたいと思う。
ただ、社務所からの死角の位置にある御神木のそばで
うずくまって何か(撮影だけどw)をしている怪しい風体の男、として
何回も注意されてしまっているので(その都度説明はしているけど)
立ち入り禁止になって観察不能になったりして……(;´Д`)
とにかく長期の経過観察は色々と難しい物だよなぁ……