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アワタケヤドリの事
※当方は顕微鏡を持っていませんので
  今回の記事で取り上げた菌類の種類は
  正確に同定された物ではありません。
  あくまでも肉眼で素人判断した物である事を
  お含みの上、お読み下さい m( _ _ )m 


キノコ、カビ等の糸状菌類は
有機物を無機物に分解する事で
栄養を吸収している。
つまり糸状菌類は有機物に依存、寄生しないと
生きていけないのだ。
寄生の相手が生体の場合は寄生菌となり
死体の場合が腐朽分解菌となる。
 
多くの糸状菌類は植物を相手にしているが
中には他のキノコに寄生する一群がある。
有機物を無機物に分解・吸収した事によって
形成、成長した有機物であるキノコを
栄養源にしている訳なのだ。
言わば、他の菌の上前を跳ねている、と
言って良いかも知れない。

その中でも一番良く見かけるのが
Sepedonium(セペドニウム)の仲間だ。
当方は菌類の寄生的性格の部分が好きなのだが
更に寄生的性格を持つ、この仲間が好きだったりする。
特にイグチ類に寄生する S. chrysospermum は
長らく当方の行動範囲であった東大阪市内、
現在の行動範囲である名古屋市内は元より
滋賀県栗東市内、岐阜山中でも良く見かけるので
全国的に良く発生しているのかも知れない。
以下、 S. chrysospermum の画像を列挙。

こちらは2007年7月3日、東大阪市内で撮影。
寄主は恐らくクリイロイグチ。
Sepe-H070703.JPG
全体がうっすらと白い菌糸に覆われているj。

翌日、7月4日の様子。
Sepe-H070704.JPG
完全に白い菌糸で覆われてしまった。

7月5日。
Sepe-H070705.JPG
黄色いのは胞子(分生子)の色。
かなり形成されている様だ。

7月6日。
Sepe-H070706.JPG
寄主は既に崩壊していた。


こちらは近くにあった別の個体。
既に全体が菌糸で覆われている。
Sepe-H070703B.JPG

黄色くなって来た。
Sepe-H070704B.JPG

かなり黄色に。
Sepe-H070705B.JPG

寄主が随分と萎びてしまった。
Sepe-H070706B.JPG

この様に、寄主のイグチ類を白い菌糸で覆い
橙黄色の分生子を形成するのが大きな特徴だ。
ただ、菌糸の覆い方や、分生子の形成具合には個体差がある様だ。


こちらは大きなベニイグチがまだらに菌糸に覆われている。
Sepe-N110909.JPG
2011年9月9日、名古屋市内。

こちらは菌糸がコブ状になっている。
寄主はクリイロイグチ?
Sepe-H050827.JPG
2005年8月27日。東大阪市内。

こちらは薄く均一に覆われている。
寄主(不明)の形がそのままなので
最初見た時は普通の白いキノコかと思ったw
Sepe-S070813-1.JPG
Sepe-S070813-2.JPG
良く見えないが、持った時の指紋の跡が付いてしまった。
2007年8月13日、岐阜県荘川村。

こちらは菌糸の影響で寄主が奇形となってしまっている。
寄主はベニイグチ?
Sepe-N110906.JPG
2011年9月6日、名古屋市内。

こちらはまるで力瘤を誇示している様だw
寄主はベニイグチ?
Sepe-N110805.JPG
2011年8月5日、名古屋市内。


こちらは菌糸がやや黄色くなり始めた状態。
以下、寄主は全て不明。
Sepe-N080708-1.JPG
2008年7月8日、名古屋市内。

こちらは更に黄色になって来ている。
Sepe-N080708-2.JPG
右の個体は一部は成熟しているが
一部はカビにやられ、黒くなっている。
2008年7月8日、名古屋市内。

こちらはコブ状菌糸がかなり黄色くなって来ている。
Sepe-N080905.JPG
2008年9月5日、名古屋市内。

こちらは完熟に近い個体。
Sepe-H070918-2.JPG
2007年9月18日、東大阪市内。

こちらは完熟近くの個体と、未熟個体が寄り添っている。Sepe-H070918-1.JPG
2007年9月18日、東大阪市内。

こちらは傘裏、ヒダの部分のみが完熟していて
まるで砂糖菓子の様に見えるw
Sepe-N100917.JPG
2010年9月17日、名古屋市内。

こちらは完熟した個体。
薄暗い森の中で実に良く目立っていた。
Sepe-R060830-1.jpgSepe-R060830-2.jpg
寄主の形が比較的良く残っている。
2006年8月30日、栗東市内。

こちらは寄主がやや萎びた感じ。
Sepe-H070702.JPG
2007年7月2日、東大阪市内。

こちらの完熟個体はかなり萎びていた。
Sepe-N110826-1.JPG
Sepe-N110826-2.JPG
2011年8月26日、名古屋市内。


こちらはかなり崩壊して、殆ど残骸の状態。
Sepe-zanN110930.JPG
2011年9月30日、名古屋市内。

そして最終的には跡形も無く消えてしまう。
Sepedonium-zan.JPG
2005年8月31日、東大阪市内。

この様に、いずれかの段階の物を
毎年必ず見掛けている。
それだけ発生が多い、と言う事だろう。


所で以前、当方はこの Sepedonium chrysospermum を
「Hypomyces(ヒポミケス)菌の一種=アワタケヤドリ」として
色々な人に説明していたが
それは完全な間違いでは無い物の、実は正確では無かった。
本来の「アワタケヤドリ」はこちらなのだ。
Hypomyces-3.JPG
Hypomyces-4.JPG
表だけから見ると、褐色系イグチの何かに見えるが
裏を見ると、全体が何かの菌に覆われているのが良く判る。
全体の質感としてはタケリタケ(→こちら)に似ている。
2011年9月6日、名古屋市内。

こちらは形がタケリタケっぽいw
Hypomyces-1.JPG
Hypomyces-2.JPG
2009年8月5日、名古屋市内。

こちらの学名は Hypomyces chrysospermus 。
見た目も全然違う Hypomyces chrysospermus と
Sepedonium chrysospermum は、
実はとても深い関係にある。
Hypomyces chrysospermus は有性世代、
つまり有性生殖で繁殖をするが、それの無性世代、
つまり無性生殖をすると
Sepedonium chrysospermum になるのだ。

菌類には、一つの種類でありながら
有性生殖と無性生殖と言う、
全く別の繁殖方法を持つ物が少なくない。
そして全く異なる外見を持つために当初は別種として認識され、
それぞれに別の学名が与えられているのだ。
因みに有性生殖を「有性世代」または「完全世代」、
無性生殖を「無性世代」「分生子世代」または「不完全世代」と言う。

Hypomyces chrysospermus が1920年に学術報告された時に
「アワタケヤドリ」と命名されているが、
それの分生子世代が Sepedonium chrysospermum である事が
報告されたのは1975年との事だ。
だから Sepedonium chrysospermum は
「アワタケヤドリの分生子世代」と呼ぶべきだろう。
だが何処かでそれを取り違えてしまった様だ。

webで検索すると当方以外にも
「アワタケヤドリ= Hypomyces菌」と書いている人が居るので
そう書かれている何かを参照してしまったのだろう。
当方と同じ物を見て間違えたのかもなあ。
今となっては、それが何なのかは判らないのだけど。
なので、「アワタケヤドリ=Hypomyces菌」と
当方から聞かされた方はその点修正をお願い致します。

  以下、学名表記だけだとややこしくなるので 
  Hypomyces chrysospermus を「完全型アワタケヤドリ」
  Sepedonium chrysospermum を「分生子型アワタケヤドリ」
  として表記します。
  尚、それは当方の勝手な造語ですので、
  学術的には使用するべき言葉ではありません。
  他所で使って叱られても当方は責任は持ちませんw
  尚、最初に報告された個体が
  たまたまアワタケに寄生した物だった為に
  「アワタケヤドリ」と命名された、と思われますが
  上述の様に、実際には様々なイグチ類に寄生します。


所で、「分生子型アワタケヤドリ」に比べると
「完全型アワタケヤドリ」の発生は圧倒的に少ない。
当方は完全世代の方は今までに画像の2例しか出逢っていない。
大雑把に言えば200〜300:1ぐらいの感覚だろうか。

確かに無性生殖=クローン繁殖の方が
有性生殖に比べて楽で簡単だろう。
遺伝的多様性を必要としないのならば
わざわざ有性生殖をしなくても良いだろう。
こんなにも「分生子型アワタケヤドリ」の発生が多い、と言う事は
分生子がそれだけ様々な環境への適応力が高く
より汎用性が高い、と言う事だろう。

となると、どんなキッカケで
有性生殖をし始めるのかが不思議だ。         
普段、楽な無性生殖をしていて
それで十分過ぎる程に繁殖出来ているのに
何故わざわざ有性生殖に
切り替えなければならないのだろう。

当方が出逢った「完全型アワタケヤドリ」は
見た限りでは「分生子型アワタケヤドリ」とは
発生環境がなんとなく違う気がする。
あくまでも雰囲気なのだが
「完全型アワタケヤドリ」の方が
やや乾燥した環境に発生していた様に思う。
ひょっとしたらその辺が
有性生殖になる切っ掛けの一つなのかも知れないなぁ。

「完全型アワタケヤドリ」が
そんなにも少ない、と言う事は
「完全型アワタケヤドリ」の発生条件がそれ程厳しい、
もしくはややこしいのかも知れないなぁ。
または、「分生子型アワタケヤドリ」の分生子を
余程の危機的状況に陥らせて
「ヤバイ!このままだと絶滅してしまうかも知れないから
 何とかして遺伝的多様性を持たなければ!」
と追い詰めないと有性生殖を始めようとしないのだろうかなぁ。

逆に、「完全型アワタケヤドリ」の胞子でも
飛散した先がアワタケヤドリ的に厳しい環境じゃないと
すぐにだらけて(?)「分生子型アワタケヤドリ」になってしまう、
と言う事なのかなぁ。
うーむ、良く判らないや。
まぁ何にせよ、たったの2例だけで
あれこれと推測や判断をするのは危険だけどね。


取り敢えず、これからも完全型にせよ分生子型にせよ
アワタケヤドリは探索と観察をして行く積もり。
また、イグチ類の寄生菌には他の種類もあるし
イグチ類以外に寄生する種類もあるので
可能な限り見付けてみたい物だ。



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| 子嚢菌類 | 00:05 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
上前跳ね菌……w

何か菌利が良い商品はないですかね?

あってもさ……

こっちでは、漏れなく放射能菌利がおつきになって


      お・と・く・(・∀・)b


因みに……
菌遊庁への届け出は忘れちゃダメヨ(・∀・)


最近、Aなんとかで騒ぎになっているでしょ?w




  放射能で……_|' ̄|○……採取も栽培もで菌……


| きのこ堂 | 2012/02/26 2:03 PM |

>>きのこ堂さん

(・∀・)つ[座布団]10枚ドゾー


当方は菌親相姦して捕まらない様に気を付けますですw (;´Д`)ハァハァ……
| まねき屋 | 2012/02/26 9:57 PM |
面白くも奥深い話しですね〜〜菌類の動きや奥行き、

いつみても飽きないです。

初夏ぐらいの猪口はいつも色々な召し上がられ方してますねw

ベニイグチがとかくやられやすいのかなと
思ってましたが、変形しまくりながらも一応キノコの
形にはなってたりしてせめぎあってるのかな?
親指を立てたグッジョブポーズみたいになったのも見ましたw

いわゆる茶色のタケリタケさんは、長野で見かけたガンタケか何か天狗がやられたものを見たっきりで、
こっちではけっこう山を歩いても猪口のしか見ないなぁ。。。
| くさびらじかる | 2012/02/28 12:41 PM |

>>くさびらじかるさん
昨年の名古屋はベニイグチの当たり年だったみたいでして
軒並みアワタケヤドリにやられてましたねー
コビチャニガイグチも多かったのですが、
そちらはアワタケヤドリ的にはお好みに召さなかった様でしたw

タケリタケは今の所、名古屋では出会っていません。
岐阜には多いので、寒冷地山間地中心の物なのでしょうかねぇ……
| まねき屋 | 2012/02/29 12:10 PM |
何だか、きな粉を塗したのと、白い砂糖コーティングしたのと、ニッキの粉を塗したのと…
こんな感じのお菓子が京都で売っていたような…(笑)
それくらいきれいですね。
キノコに寄生する菌はキノコならぬ通称はキナコで商品化!?売れないこと間違いなしです…
| 北条氏康 | 2012/03/05 10:21 PM |

>>北条氏康さん
キナコ!
確かにあの鮮やかな白と黄色は何かに活かさないと勿体無いかもw

是非北条氏康さんに試食して頂きたいです♪
| まねき屋 | 2012/03/07 12:03 AM |
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