夏になると当blogへのアクセスが増える検索ワードに
「白いキノコ」と言うのがある。
恐らく、その多くはオオシロカラカサタケの事を
検索しようとしていたのでは無いかと思われる。
オオシロカラカサタケは山や森の中等より
市街地に多く発生する。
なので人の目に触れる機会も多く
その為に検索語句として多く登場しているのだろう。
「白いきのこ」「白いキノコ」の語句検索でこの記事に辿り着かれた方は
こちらの記事もご覧下さい(→こちら)。
お探しのキノコがあるかも知れませんw
こちらはとある公園の歩道際に発生していた個体。
ドーナツ状の厚手のツバが特徴的。
こちらは幹線道路の歩道植え込みに発生していた個体。
やや古い個体だったのでヒダは緑色掛かっていた。
これがオオシロカラカサタケの最大の特徴。
こちらは近所の児童公園の植え込みにあった物。
恐らく公園に来た子供が掘り返したのだろう。
折角ならと、ちょっと土を掘って植えて
成長を観察しようとしたのだが翌日には姿を消していた。
誰か大人が始末したのだろうなぁ。
こちらは近所の神社の境内に発生していた個体。
古い個体もあったので念の為に裏を見ると
矢張り緑色掛かっていた。
こちらはとあるマンションのフェンス際に発生していた個体。
発生したてなので、
マンション住人はこのキノコの存在に気付いていないかもなぁ。
こちらはとあるお寺の境内に発生していた個体。
すぐそばには盂蘭盆会の順番待ちをしている人達が。
皆、ここにキノコが生えてるなんて知らないんだろうなぁ。
オオシロカラカサタケは毒キノコなので
ニュースになる事も少なくない。
オオシロカラカサタケを食べると
強烈な下痢、嘔吐、腹痛を引き起こし、致死例もある由。
近年では、2005年9月に大阪城公園でバーベキューをしていた若者が、
2008年9月に大阪市内、及び2009年7月に広島市内の河川敷で、
それぞれに発生していたキノコを食べ、救急搬送騒ぎになり
調べた所、どれもオオシロカラカサタケによる事案だった、との事。
実はオオシロカラカサタケに良く似た食キノコにカラカサタケがある。
これはたまたま成長段階の違う3個体が生えていた様子。
この傘をフライにすると絶品!との事だが
残念ながら当方はまだ食べた事は無い。
で、ご覧の様にオオシロカラカサタケと実に良く似ている。
このキノコと誤認してオオシロカラカサタケを食べ、
オオシロカラカサタケが毒キノコである、と判明した由。
カラカサタケの方が大きく、柄も長いのだが、
それは個体差もあるだろう。
カラカサタケはヒダが緑色にならない、と言う差異も
若い個体では表面化しないので
食べられる程の若い、新鮮な状態では判別のしようも無いだろう。
だが、先の中毒例が全て、このカラカサタケとの誤認かどうかは判らない。
多分、「あ、キノコだ!わ〜い♪」てな感じで
その場のノリで食べてエライ事になってしまったのだろうなぁ。
大阪城公園の事例は特に、
関西人のイチビリ(悪ふざけ)が裏目に出たのだろうなぁ。
因みに、オオシロカラカサタケは南方系のキノコの由。
それが温暖化の影響で、分布域をどんどん北上させているのだとか。
数年前に群馬で発生が確認された、との記事を見た記憶がある。
今は何処まで行っているのだろうかなぁ。
遠からず東北地方でも中毒被害が出るのかも知れないよなぁ。
『千葉菌類談話会通信29号』の河合繁好氏の報告によりますと
2012年現在、宮城県での発生が確認されているそうです。
日本全土制覇も遠くないのでしょうね……
gorosukeさん、情報有難う御座居ました!
尚、別の良く似たキノコにドクカラカサタケがある。
オオシロカラカサタケと同様の症状を引き起こす由。
オオシロカラカサタケに比べると華奢な点が差異だが
それも個体差があるだろう。
決定的な差異はヒダが緑色にならない点だ。
この個体は近所の高級住宅街の
とある家の壁と、その隣の家の石垣の隙間に発生していた個体。
画像の通り、老熟してもヒダが緑色掛かってはいない。
食キノコの「カラカサタケ」に似た外見の毒キノコとして
「ドクカラカサタケ」と命名されているのは判るのだが
ドクカラカサタケより強烈な毒キノコなのに
毒の要素が無い「オオシロカラカサタケ」との命名、と言うのも
ちょっと不思議な話だ。
恐らくその毒性が判らない内に
「オオシロカラカサタケ」と命名されてしまったのだろうなぁ。
『日本産菌類集覧』及び『毒きのこ今昔』によると
カラカサタケの和名登録は1948年、
オオシロカラカサタケの和名登録は1954年、
ドクカラカサタケの和名登録は1970年との事。
そして、記録に残る
オオシロカラカサタケでの最初の中毒例は1974年、
ドクカラカサタケは1969年、との事。
ドクカラカサタケは当初、「コカラカサタケ」と命名されていたが
中毒事故を受けて「ドクカラカサタケ」に改名された由。
矢張り、そう言う事だった様だ。
それだったらオオシロカラカサタケも
「オオドクカラカサタケ」と改名されても良いと思うのだけどなぁ。
名付けのタイミング、と言うのも何かと難しい物だなぁ。
さて、この様にオオシロカラカサタケは猛毒キノコだ。
上掲の画像も、子供達が普通に遊ぶ公園だったり
幸せな家庭生活が多数営まれているであろうマンションの前庭だったり
地域を鎮護する神社だったり
先祖の供養をし、子孫の安寧を祈る寺だったりしている。
当方が最初にオオシロカラカサタケに遭遇したのも
東大阪で美味しいと評判だった近所のパン屋の向かいの駐車場だった。
そう言う、さりげない身近な場所に
猛毒を秘めたキノコが存在しているのだ。
そして殆どの人がそれに気付かず通り過ぎたりしているのだ。
そのひっそりとした禍々しさが、
当方がキノコを好きな一面だったりしているw
※オオシロカラカサタケについてはもう一つの記事があります。
そちらも併せてお読み頂けたら幸甚です(→こちら)。
所で、毒キノコを語るトークイベントを開催します。
その名も『毒キノコナイトin名古屋』w
菌友・畏友であり世界で唯一?のキノコライター堀博美氏と
啓蒙とか云々は一切考えず
ひたすら毒キノコについてダベりたいと思っています。
キノコのトークイベントは数あれど
その中でも一番ディープな内容になる???
いや、なったら良いなぁ、とw
よろしかったら是非お越し下さいませ m( _ _ )m
会場情報等、詳細はこちら→スペースたのしい。
【余談】
上掲のドクカラカサタケの老菌を撮影中、
色々な角度から撮ろうとして石垣に足を掛けた瞬間、
巡回していた若い警官に声を掛けられた。
高級住宅街で怪しい風体の男が路上にうずくまり、怪しい動き。
そしてついに石垣を乗り越えようとした!だったのだろうなぁ。
「何をしてる!」と詰問され、がっつり職務質問。
「キノコの撮影を……」と説明するが、信用していない様子。
無線で免許証や、乗っていたバイクの照合までされてしまった。
デジカメの撮影内容を全て確認されたのだが
当然写っているのはキノコだけ。
バイクの荷台には別の場所で収穫した生のノウタケ。
最初は犯罪者を見る様な目付きだったのが
次第に別の意味で不審者を見る目付きに変わって来た。
そして遂には「気持ち悪く無いんですか?」と聞いて来た。
結局(当然)犯罪的要件は満たしていなかったので
「……気を付けて下さいよ」と説教され、解放された。
若い彼に取って、自分の常識の及ばない種類の人間が居るのだ、と
勉強になってくれたのだとしたら
当方が犯罪者扱いされた甲斐がある、と言う物だw