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赤団子を求めて その6
今年も春を過ぎ、日差しが強い日も出てきた頃、
何時もの場所に行ってみた。
去年は赤団子病の幼菌を見て色々と学ぶ所があったので
今年は更に早くに現場に行ったみたのだ。

その様子がこちら。
akadango2014 (1).JPG
akadango2014 (7).JPG
甘露が湧き出て、今にも垂れそうになっている。
物によっては子実体自体は視認が難しいくらいに小さいのだが
甘露だけは盛んに生成されている様だ。

そんな状態の物が結構あちこちにある。
akadango2014 (2).JPG
akadango2014 (3).JPG
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akadango2014 (5).JPG
akadango2014 (6).JPG
akadango2014 (9).JPG
akadango2014 (10).JPG
akadango2014 (11).JPG
予想以上に甘露を湧出している個体が多くてびっくり!

その内の一つを楊枝で突っついてみた。

硬めの蜂蜜、と言った感触。
で、甘露と言うくらいだから勿論甘い。

1989年に発表された津田盛也らの研究によると、
この甘露からは通常より小型の分生子(無性生殖による胞子)が
検出されている由。
それを蟻などに舐め取らせる事によって胞子を運んで貰っているのだろう。
当方は舐め取る事は出来るが
生憎と胞子を蒔き散らす事は出来無いから申し訳無いよなぁ。

4週間後にも様子を見に行った所、
子実体ははっきりそれと判るくらいには成長していた。

だが、甘露はもう確認出来無い。
オレンジのチョロチョロした物体は分生子塊。
甘露の中に含まれている分生子とはまた別の形態の分生子、との事。


赤団子病は発生初期には小型分生子を、
幼菌時代には別の大型分生子を、
そして成菌になると有精の胞子を生成する、と言う事の様だ。
単一の生殖方法しか持たない人間からすると
とても不思議な感じだなぁ。
植物寄生菌の場合、種類によっては
更に多くの別形態の胞子を生成する物もある、と言う。
ひょっとしたら人間等は
「え?一種類しか生殖方法が無いの?何で?」と
不安や憐憫の情を植物寄生菌から持たれているのかも知れないよなぁ。


所で6月上旬の事。
一宮市内へ用事で出掛けた際に道すがらの竹林を観察。
すると赤団子病を発見。
akadango2014 (12).JPG
名古屋市外の発生場所の確認はこれが初めてだ。
思わぬ収穫で嬉しい。

オレンジ色の物は分生子の塊。
だが、見たところ、柔らかそう。
akadango2014 (13).JPG
触ってみたら甘露と同様のゲル状だった。
ひょっとして?と思って舐めてみた所、やはり甘い。

こちらの分生子塊はかなり硬くなっていた。
akadango2014 (15).JPG
試しに舐めてみたが、甘くはなかった。

こちらの分生子塊は見るからに硬そう。
akadango2014 (14).JPG
実際に触ってみたら硬かった。
舐めても勿論甘くなかった。

この場所の赤団子病は名古屋市東部の現場の赤団子病と
甘露と分生子の発生具合・タイミングが少し違うようだ。
これは個体差・系統差なのだろうか。
色々と面白いなぁ。


最初に生成される小分生子は
同時に生成されている甘露に内包されるのだろう。
それは蟻などの昆虫に摂取される事によって
散布されている、と言う。
続けて大分生子が生成される頃には甘露の分泌は徐々に減少し
やがて大分生子だけのオレンジ色の塊となって
昆虫の手助けを借りる事無く散布される。
その後に生成される有精胞子は目に見える形は取らず
通常の胞子散布の形式となる。

と言う事は、甘露に含有されている小分生子は
昆虫等に摂取ー排泄される事によって
発芽が出来るように特化されている、と言う事なのかも知れない。
その後に生成・放出される大分生子・有精胞子は
その手順を踏まずとも発芽が出来る、と言う事なのだろう。

何故そんな戦略の違いが必要なのかは勿論当方には判らない。
ただ単純に胞子散布の機会を増やすだけなら
わざわざそんな手数を掛けなくても良い様な気もするのだけどなぁ。

しかし、それだけの複数の方法で多量の胞子をまき散らしながらも
赤団子病の発生確認が多くない、と言うのは
相当に効率が悪い事になるよなぁ。

以前、大学で植物学を学んでいた友人が言っていたのだが
マダケは古くに日本に渡来した由(日本原産説もあり)。
恐らく赤団子病菌もマダケと共に渡来したのだろう、と。
となると、マダケと赤団子病菌は
同時に生息範囲を広げている事になる。
だが、全国的に赤団子病の発症はあまり多くない様だ。
その為か、赤い塊と甘露、と言う
実に特徴的な生態があるにも関わらず
赤団子病の事は世間的にはあまり知られていない。
マダケの生息地にはあまねく赤団子病菌が居るであろう筈なのに
その姿を見る事が少ない、と言うのはどう言う事なのだろう。

ひょっとしたら赤団子病菌はマダケに取って
常在菌になっているのかも知れない。
人間の腸内に様々な菌が常駐していて
それで普通に暮らしている様に
マダケの中にも赤団子病菌が常駐し
それで普通に生きているかも知れないのだ。
たまたま人間の思い込みで「赤団子病」と病気扱いしているが
ひょっとしたら赤団子病菌は
マダケと共生関係にあるのかも知れないよなぁ。

赤団子病菌にとってマダケは当たり前のパートナーなので
わざわざ子実体を作らなくても良いから
赤団子病の発生が少ないのかもなぁ。
竹の寿命は数十年と長いので
竹内部に潜在さえしていれば、その間は安泰な訳だしなぁ。

一応念の為に、定期点検みたいに
子実体を発生させて胞子を蒔いてはいるが
そんなに必死にならなくても良いのかも知れない。
だから逆に言えば、赤団子病を常に発症しているマダケは
赤団子病菌が逃げ出して新たな生息地を探す事を
考えなければいけないくらいに不健康だ、
と言う事になるのかも知れない。
または、人間の感染症の幾つかがそうである様に
赤団子病菌の暴走を押さえられないくらいにマダケが弱っている、
と言う事なのかも知れない。

まぁ、当方が幾ら考えても所詮素人の机上の空論だ。
学問的に正確な話なのか、
そしてマダケ自身が赤団子病菌の事をどう思っているか、
どう受け止めているかが判る訳が無い。
当方としては、また今年も赤団子病の発生が確認出来て
甘露が舐める事ができたので、それで満足だ。
また来年も甘露を舐めたい物だなぁ。

胞子散布の手伝いが出来無いのは、ちょっと申し訳無いのだけれど。



※前篇・続篇も併せてお読み頂けましたら幸いです
 アーカイブス→こちら


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| 植物寄生菌 | 00:09 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
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コメント
「え?一種類しか生殖方法が無いの?何で?」というのは面白いですね。
甘露とむかしからある、この言葉の意味を実感したくて飲んでみたいと思うも、気持悪くて、よいこのワタクシには真似できません。笑
もとい、私が竹林を観るかぎりそのような赤団子病に罹患している
竹もなし!
| ぽこまむ | 2014/12/30 6:25 PM |
うーん、いつもなんだかようわからん。汗
最近は、妖怪業もたいへんみたいだニャン
| よーかいうぉっち | 2015/01/02 10:01 PM |

>>ぽこまむさん
赤団子、結構ひっそりと生えてたりしますので
割と身近にあったりして???
是非、甘露を味わってみて下さい♪

| まねき屋 | 2015/01/22 10:57 PM |

>>よーかいうぉっちさん
赤団子界も訳判らんオッサンに甘露舐められたりして
色々と大変みたいですよw
| まねき屋 | 2015/01/22 10:59 PM |
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