私事だが、今年の5月に引っ越しをした。
同じ名古屋市内だが、より郊外へと転居したのだ。
その為、探索フィールドも以前とは別の場所になった。
9年にわたり、探索・観察を続けた場所を離れるのは
寂しい物はあったが
新たな場所でキノコを探すのもとてもワクワクする事だ。
そんな訳で新たに探索する事となった場所に
このキノコが沢山生えていた。
それはミカワクロアミアシイグチ。
ちょうど一年前にも記事にした事がある(→こちら)。
この場所はミカワクロアミアシイグチの一大発生坪だった様だ。
こちらは押し合いへし合いで生えている2本。
こちらはちょっとした菌輪なのだろうか。
結構密集して生えていた。
ミカワクロアミアシイグチは暗い場所に
艶消しの黒い個体を発生させるので撮影するのが中々に難しい。
例えばこちらの個体達。
普通に撮影するとこんな感じで
クロアミアシイグチと言いながら
昨年遭遇した個体に比べると褐色に近いのだが
大きさの比較で千円札を置いて撮影した所
千円札に露出が合ってしまった為に
キノコが真っ黒で殆ど見えなくなってしまった。
実際にはこんなに暗く無かったのだけどなぁ。
所で、ミカワクロアミアシイグチの大きな特徴は
「二重の網目模様」と言われる柄の網目具合だ。
こちらは前回の記事でUPした物。
最初に遭遇したミカワクロアミアシイグチの柄がこれだったのだが
此処まで顕著で深い網目はこの個体意外に遭遇した事が無い。
これはちょっと珍しいタイプだったのかもなぁ。
なので、今年遭遇したミカワクロアミアシイグチの柄を
幾つかピックアップしてみる。
撮影していてちょっと触ったら
傘がポロリと取れてしまったこの個体。
柄の部分を拡大。
深い網目が良く判る。
だが二重になっているのかどうかは良く判らない。
こちらの個体。
これも二重かどうかは判らない。
こちらの個体。
ちょっと判り難いが
網目の底に、更に網目がうっすら見える部分がある。
こちらの個体。
全体に網目が浅いが、これも何となく二重の部分が見える。
グラウンドの片隅に並んで発生して居た個体。
これも結構色が薄いなぁ。
こちらの個体。
これも全体に網目が浅い。
二重になっている様には見えないなぁ。
こちらの個体。
こちらも網目が浅いが
何となく二重構造ぽく見える部分がある。
それにしてもこの個体は色が薄い上に
紫がかっているなぁ。
これではヘタしたらムラサキヤマドリタケに見えてしまうかも。
で、こちらはムラサキヤマドリタケ。
網目が浅い。
こちらのムラサキヤマドリタケは更に浅い。
こうやって比べると網目の違いが判るなぁ。
ついでに他のイグチの網目と比較。
こちらはセイタカイグチ。
網目の顕著なイグチの一つ。
明らかに違うなぁ。
こちらはキアミアシイグチ。
どっちらかと言うとセイタカイグチに近い感じ。
こちらのキアミアシイグチの場合。
どちらかと言えばムラサキヤマドリタケに近い感じだ。
浅いタイプのミカワクロアミアシイグチに似てるとも言える。
これがキアミアシイグチの個体差なのか
実はDNA的には別種なのかは不明。
こうやって比べるとミカワクロアミアシイグチの
網目が、二重構造以外にも特徴的なのが判る。
網目の稜線の形が他のイグチに比べると
丸みを帯びた平ら、と言った感じなのだ。
稜線の形はイグチのそれ、と言うより
アミガサタケに近い気がする。
更に、柄の上部と下部は縦線が強く浮き出る傾向にある様だ。
これはイグチの網目としてはかなり特異なのでは無いだろうか。
その網目は幼菌の内から観察出来る。
こんなまだ若い個体でも
その特徴が出ている。
こんな発生初期の幼菌でもその網目が判る。
この特徴さえ押さえれば
今後はミカワクロアミアシイグチを
他のキノコと間違える事は無いだろう。
それにしてもミカワクロアミアシイグチの
一大発生坪を見付けられたのは嬉しかった。
まだまだ謎の多いこのキノコ。
今後もこの場所の観察を続けて行きたい物だ。
※アーカイブスもよろしければご覧下さい→こちら