以前、当方のキノコ画像が『ザ・鉄腕DASH』で使われる事に、
とのお知らせをした(→こちら)。
何枚かの画像を送ったのだが、実際に使われた画像は以下の2枚。
ヒイロタケのコレ↓と
オオゴムタケのコレ↓。
放映された時間は各々2秒ずつ程度だったが
当時、当blogのアクセスは一時的に増えた。
あくまでも本当に一時的にw
で、ヒイロタケの事は何回か書いていたのだが
オオゴムタケの記事は別の場所に書いていて
このblogには無かった事に後で気付いた。
オオゴムタケの画像は後に別の番組で使われたし
『鉄腕DASH』が海外に配信される事も決まったそうなので
今更ながらにオオゴムタケの記事を書く事にした。
当時、オオゴムタケの事を知りたくて
当blogに来て頂いた方々には実に申し訳ありませんです・・・・・・
因みに、画像がどれだけTVで使われても
画像使用料などは一切ありませんです、ハイ。
さて、こちらがオオゴムタケ。
夏~秋、朽ちた木から発生する。
およそキノコには見えない形と質感。
こちらの画像ではビロウド状の表皮の質感と
口縁部の毛の様子が良く判る。
キノコには見えないよなぁ。
こちらは朽ちた枯れ枝に並んで発生していた物。
ドラムセットが並んでいるようにしか見えないw
その10日後の様子。
色が黒ずみ、柄の部分が少し萎んでいる。
こちらは別の個体。
柄がかなり萎み、所謂「キノコ型」に見える。
こちらの個体は更にしぼんだのか
円盤部分も凹んでいる。
オオゴムタケの名は、その弾力のある質感による。
全体が固いゼラチン質で、とても弾力があるのだ。
この様にムギュ!と握っても、まず潰れない。
それもオオゴムタケのキノコらしく無い所の一つ。
内部のゼラチン質の画像は上にもあるが、詳細は後程。
とにかく知らなければ、まずキノコには見えない。
イソギンチャクか何か、別の生き物みたいだよなぁ。
14日後の様子。
かなり萎んでいる。
その9日後の様子。
更に萎み、黒くなった上に干乾びて来た。
その12日後。
溶けてしまい、痕跡を残すのみに。
枯葉の隙間から何かが覗いている!?
葉を除けてみるとオオゴムタケの幼菌だった。
これも何か別のブツに見えてしまうなぁ・・・・・・
2日後。
膨らんで来た。
その12日後。
先端が開いて来た。
その9日後。
先端は開ききった模様。
これはこじんまりとした個体だったのだなぁ。
こちらの画像には2つの個体が。
左下の個体を見て行こう。
まだ若い感じ。
2日後。
円盤が開いて色も重厚な感じに。
その6日後。
円盤は完全に開き、柄の部分は萎んで来ている。
もうこれ以上は膨らまないのだろうなぁ。
試しに切ってみる。
中はこのようにゼラチンの塊みたいになっている。
円盤の部分は胞子を生み出す「子嚢」という器官が
ぎっしりと並んでいる。
それをゼラチン質の部分が支えているのだ。
その支える役目をする為の組織が
何故ゼラチン質である必要があるのかは不明。
他のキノコみたいに菌糸の塊で十分だと思うのだけどね。
わざわざゼラチン質にするからには何かの理由はあるのだろうけど。
因みに、成菌に叩くなどの刺激を与えると
その子嚢から胞子が噴出されるのが見られる。
光を上手く反射させないと判らない様な
僅かで、一瞬の反応なのだが
それを見るのは中々に楽しい♪
だが、当方の技術では撮影する事は無理だった・・・・・・orz
さて、このゼラチン質部分は食べられる。
口当たりの良くない外皮を剥いて、さっと茹でる。
それを冷やして蜜をかける。
美味しいデザートの出来上がり♪
実はゼラチン質部分は無味無臭だ。
だから、それこそゼラチン固めた物と殆ど変わらない。
何も言わず、この状態で出されたら絶対にキノコだとは判らない。
色さえ良ければ普通にデザートの食材として使えるだろう。
当方はメープルシロップを掛けたが、黒蜜なら色も気にならないかもなぁ。
それにしても実に不思議なキノコだ。
『鉄腕DASH』では味付けをしない状態で食べていたが
「甘味をつければゼリーだね」と感想を述べていた。
美味しく食べて貰えなかったのは残念だった。
所で、オオゴムタケによく似たキノコに
「ゴムタケ」と言うのがある。
それがこちら。
画像だけでは違いが判り難いが、一番の差異は、その大きさ。
オオゴムタケは直径7cmに及ぶ事もあるが
ゴムタケは2〜4cm。
それに表皮の質感が全く違う。
オオゴムタケはこの様↓に毛が密生しているのだが
ゴムタケはザラザラした質感で、毛は生えていない。
その為、表皮を剥かずに、そのまま茹でれば食べられる。
こちらもメープルシロップで。
食感は殆ど変わらなかった。
因みに、両種ともシロップを掛ける以外に
酢の物、和え物にして食べるレシピもある由。
これ程よく似ている両種だが、分類学的にそんなに近い訳では無い。
分類で言うと
オオゴムタケは
子嚢菌亜門−盤菌綱−チャワンタケ目−オオゴムタケ属
ゴムタケは
子嚢菌亜門−盤菌綱−ビョウタケ目−ゴムタケ属
この様に「目」から違う種類だ。
「他人の空似」と言えるだろう。
「目」が違う、と言う事は動物で考えると
「哺乳類(哺乳綱)」と言うくくりが同じだけで
人間とそれ以外の動物くらい離れている、と言える。
つまり、「田中邦衛とラクダが似ている」とか
「オードリー若林とカワウソが似ている」レベルなのに
食べてみたら味が一緒だった、と言う事になる。
まぁ、無味無臭のゼラチン質、となれば
味が変わらないのは当然かもしれないが。
因みに、両種のゼラチン質部分が
細胞レベルでどう違うのか、実は全く同じなのか、は不明。
その点に言及した資料を見付ける事は出来無かった。
尚、両種は同じ様に枯れ木に発生するが
ゴムタケは腐朽のあまり進んでいない枯れ木に、
オオゴムタケは腐朽の進んだ枯れ木に発生する、と言う違いがある。
さて、名古屋市東部の某神社境内の某所は
オオゴムタケの一大発生ポイントだった。
上掲のオオゴムタケ画像で、食べた個体以外はその場所で撮影した物。
幾つも並んで生えている様子は中々に壮観だった。
だが、その場所は整備されてしまい、見る影も無くなってしまった。
もう其処ではオオゴムタケの発生は望めないだろう。
せっかく面白いキノコなのに勿体無い。
発生できる環境を残して、発生しやすいように整備して
採取した物は標本にしたりパネル展示して
「TOKIOも食べたオオゴムタケ!」とかやれば
大勢の人が押しかけて神社もウハウハになれたかも知れないのになー
オオゴムタケを食べるのを「神事」として執り行えば
食品衛生法にも引っ掛からないだろうし、
特別御祈祷でそれなりの金額も取れるだろうし。
全国からジャニーズファンが来ただろうにね。
そう言う意味でも勿体無かったよw