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キクバナイグチはややこしい

こちらはキクバナイグチ。

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傘の赤い色と、大きなひび割れを菊の花に見立てた命名の由。
日本らしい優雅な名前と言えるだろう。
キクバナイグチに付いては以前にも記事にした事がある(→こちら)。
一部、画像が重なるが、その点はご了承願います。


当方がフィールドとしている名古屋東部では
このキクバナイグチの発生を良く見掛ける。
以前住んでいた東大阪では17年で一回しか遭遇出来無かったのだが
名古屋東部では毎年必ず何回も遭遇している。
名古屋東部はキクバナイグチに取ってとても暮らしやすい環境なのだろう。

発生が多いからか、個体差も大きい様だ。
以下、色々な画像をズラズラダラダラと列挙。


先にも書いたが、キクバナイグチは傘のひび割れが特徴的だが
幼菌の時代には更に大きな特徴がある。
それがこちら。
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傘の縁に当たる部分が長く発達しており
この様にタートルネックのセーターの様になるのだ。

 

それが成長と共に広がり、

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次第に裂けて行く。


成菌になると、この様に周りを取り巻くフリンジになる事もある。

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個体によっては表皮がめくれて
傘の内部・管孔の裏側を露出する事も少なくない。

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当方が見た範囲では大きな個体がこうなりやすい様に感じた。

 

また、色の個体差も大きい。
図鑑に載っているのはこの様に綺麗な赤色だが

kkbnigch2017 (27).JPG


時としてこの様に赤褐色や

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カーキ色に近い物や

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色だけを見たら

とてもキクバナイグチに見えない物もある。


実は当方が東大阪で遭遇した唯一の個体も
この様にあまり赤く無かった為に最初は判断に迷ったのだった。

kkbnigch2017 (1).jpg

 

更に大きさの個体差もかなりある。
当方が遭遇するのは傘径5cm程度の物が多いのだが

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時として15cmにもなる個体もある。

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こちらは大きさもそうだが
傘の中心部がウィルスか何かに寄生されたらしく
異形のキノコになっていた為に一瞬何か判らなかった。

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この様にキクバナイグチはとても変異が大きい。
本当にこれは全て「キクバナイグチ」なのだろうか。
実際には幾つかの種類に分類されるべきなのかもなぁ。

 

・・・・・・と思っていたら2015年にキクバナイグチを
「キクバナイグチ」「コガネキクバナイグチ」

「ヒビワレキクバナイグチ」の3種に分ける研究報告が発表されていた由。

※『オニイグチ類とキクバナイグチ類の菌類で発見された新種とその形態的特徴 佐藤博俊


DNAや顕微鏡的な判別法は此処では置いて
肉眼での差異の記述を以下に抜粋引用する。


キクバナイグチ(B. emodensis (Berk.) Singer)の形態的特徴
 傘は直径6〜14cm,

 表面は厚い(3mm 以下の)圧着した赤紫色の鱗片で被われ,

 傘の端 からしばしば膜状の鱗片が垂れ下がる.

 鱗片の隙間から白色の肉が露出する.

 鱗片は生育段 階に伴い,薄い黄褐色に退色する.

 柄は長さ6〜18cm,直径10〜20mm で,全体的にローズレッド,

 頂部が黄色を呈することもある.

 菅孔は最大18mm で黄色からマスタード色を呈する.

 孔口は最大1mm で菅孔と同色を呈する.

 傘の肉は,中心部分で最大15mm,白色を呈する.

 子実体はすべての部位において,傷つけると直ちに青変するが,

 傘の肉と管孔において特に変色性が強い.
 

コガネキクバナイグチ(B. aurocontextus Hirot. Sato)の形態的特徴
 傘は直径6〜12cm,表面は赤紫色の小鱗状の細かい鱗片で被われ,

 傘の端からしばしば膜状の鱗片が垂れ下がる.

 鱗片の隙間からは鮮やかな黄色の肉が露出する.

 鱗片の色彩は生育が進んでもほとんど色あせない.

 柄は長さ6〜16cm,直径8〜16mm で,全体的にワインレッド〜赤紫色,

 頂部が黄色を呈することもある.

 管孔は最大15mm で黄色からマスタード色を呈する.

 孔口は最大1mm で管孔と同色を呈する.

 傘の肉は,中心部分で最大15mm,薄い黄色を呈する.

 子実体はすべての部位において,傷つけると直ちに青変するが,

 傘の肉と管孔において特に変色性が強い.

 

ヒビワレキクバナイグチ(B. areolatus Hirot. Sato)の形態的特徴
 傘は直径4〜10cm,

 表面は薄い(1mm 以下の)圧着した赤褐色の鱗片で被われ,

 傘の端からしばしば膜状の鱗片が垂れ下がる.

 鱗片の隙間から白色の肉が露出する.

 鱗片は生育段階に伴って黄褐色に退色する.

 柄は長さ6〜14cm,直径8〜18mm で,

 上半分は薄いクリーム色で下半分はワインレッドを呈する.

 菅孔は最大15mm で黄色からマスタード色を呈する.

 孔口は最大1mm で菅孔と同色を呈する.

 傘の肉は,中心部分で最大12mm,白色を呈する.

 子実体はすべての部位において,傷つけると直ちに青変するが,

 傘の肉と管孔において特に変色性が強い.

 

識別形質
 これら3種を識別する上では,肉眼形質と顕微鏡形質の両方が有用である.
 まず,コガネキクバナイグチは,傘の肉が黄色を呈するので,
 傘の肉が白色を呈するキクバナイグチとヒビワレキクバナイグチから

 容易に区別することができる.
 また,ヒビワレキクバナイグチはキクバナイグチの区別はより難しいが,
 前者の方が傘表面の鱗片が薄く,

 柄の色が淡いことに着目すれば区別が可能である.
 (中略)
 従来,これらの形態形質は形態種キクバナイグチの

 種内変異として扱われてきたが,
 それぞれの種を特徴づける重要な形態形質であることが分かってきた.


因みに、3種ともに共通している管孔の変色性がこちら。

 

 

上記の識別点を勝手に簡略化するとこうなるだろう。

 

「コガネキクバナイグチ」=傘のひび割れ部分が黄金色
             褪色しないので色が鮮やか

 

「キクバナイグチ」=傘のひび割れ部分が白色
          褪色する事がある
          傘の鱗片が厚い

「ヒビワレキクバナイグチ」=傘のひび割れ部分が白色
              褪色する事がある
              傘の鱗片が薄い
              キクバナイグチに比べると柄の色が淡い

 

それを元に上掲画像も含めて手持ちのキクバナイグチ画像を検証してみる。


こちらは傘の肉が黄金色に見えるので
「コガネキクバナイグチ」なのだろう。

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この様に「ウドちゃん状態(前回の記事参照)」になるのは

コガネキクバナイグチの大型個体の特性なのだろうか。

 

 

こちらは傘肉が白く、鱗片が厚いので「キクバナイグチ」だろう。

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こちらは鱗片が薄いので「ヒビワレキクバナイグチ」か。

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当方は、大きさの点で「オオキクバナイグチ」とでも名付けられる物が
あるかと予想して居たが、それは無かった様だ。
大きさの違いはただの個体差だった模様。
うーむ、そうだったのか・・・・・・

 

さて、上掲画像を含め、

当方が今迄撮影して来た【キクバナイグチ】を俯瞰した所、
「キクバナイグチ」

「コガネキクバナイグチ」

「ヒビワレキクバナイグチ」の3種は
ほぼ同じ程度の割合で発生して居る様に感じた。
これがこの3種全体の生態なのか、名古屋東部だけの現象なのかは不明。

 

 

上掲画像でもそうなのだが、ついつい傘のひび割れに気を取られて

柄を写していない画像も多かったので

キクバナイグチかヒビワレキクバナイグチか

判然としない物も少なく無かった。反省。

今迄発生が多い為に、

ややもすると見過ごして来た【キクバナイグチ】なのだが
今後は柄の様子も含め、もっと注意して行かないとならないなぁ。

 

 

ややこしいシリーズをまとめてみました→こちら

 


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| イグチ科 | 00:07 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
本当にややこしいなあ。(笑)
それがいいんでしょうねえ、、、。
| poco-mom | 2017/05/31 8:59 AM |

>>poco-momさん
それもマニアの性、と言いましょうか・・・・・・(^ ^;)
| まねき屋 | 2017/06/01 10:27 PM |
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