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仙人杖

何度も書いているのでしつこくてアレだが、
当方は「マダケの赤団子病」を追い求めている。
その為、竹が生えている場所があると
取り敢えず近付き、藪の中に入り観察している。
そうしていると時々妙な物に遭遇する事がある。

これもその一つ。

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真っ黒になった竹だ。

 

多くの物はまるで漆を塗ったような艶。

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そして、多くの場合はこの様に倒れている。

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黒い竹と言うと、その名の通り「黒竹」と言う種類の竹もある。

oniwaaichi.blogspot.jpg

ガーデニング花図鑑さんのサイトより引用)

sodatekata net.JPG

お庭ショップ・myガーデンさんのサイトより引用)

shorti jp21971.jpg

ホルティ 生活を彩ろう。花、植物、ガーデニング情報をお届けさんのサイトより引用 )


黒竹は淡竹(ハチク)の一品種で
最初は普通の竹なのだが、成長し数年経つと
メラニン色素によって表面が黒くなるのだ。
その色を生かし、工芸品や竹垣等に利用される事が多い。
また観賞用として庭園等に植栽される事もある。

 


だがこれは、それとは全くの別物。
Glomerella hsienjenchang (グロメレラ・シエンジェンチャン)
と言う菌によって枯死した竹なのだ。
病名で言うと「マダケ類黒色立枯病」。
別名「仙人杖(センニンジョウ)」。
真っ黒になった竹の不思議さを、

仙人が持っている杖に見立てた命名の由。
実は種名の「hsienjenchang」は
「仙人杖」の中国読みをそのまま学名に充てた物なのだ。


罹患の初期の状態の物はまだ見た事が無いのだが
最初はこの様に黒い点々から始まる様だ。

sen-nin-jou (36).JPG

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この黒点が子嚢と呼ばれる部分。
内部で胞子が作られ、飛散される由。

その黒点から色素が滲み、段々広がって行き

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最終的に竹全体を黒く染めてしまう。

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その為、真っ黒の部分も良く見ると黒点のブツブツが見える。

 

真っ黒で艶があるので硬そうに見えるが実はかなり脆い。
仙人杖の多くが倒れた状態で見つかるのはその為だ。
そして節の部分でパキンと折れている事も多い。

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恐らく竹がまだ筍の内に罹患し

竹としての充分な成長を遂げられない内に
菌が全体に回ってしまう為に
竹の組織が柔らかいままで枯死してしまうのだろう。
その為に脆く折れやすいのだろう。

だが、維管束の組織はそのままなのか
枯死した後でもこの様に残存している。

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(この↑画像の物を開いたのがこちら↓)

sen-nin-jou (30).JPG

 

仙人杖になった竹を観察すると根元は真っ黒でも、

先端は黒点が散らばっている状態だったり
または黒点が無い状態で枯れている事がある。

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その事から推察すると黒色立枯病菌は土壌に潜伏しており
根から維管束を通って先端に向かって感染が拡大される、
と考えられるのではないだろうか。
その為に維管束は生かされている、のでは無いだろうか。

 

そして、維管束以外の部分(基本組織、もしくは
薄壁細胞と呼ばれる部分)は菌によって消化されてしまうのか、
もしくは菌の成長には不必要なので

細胞の成長が阻害されてしまう為に
仙人杖は脆く折れやすいのではないだろうか。

 

さらに推察すると、筍の状態の時に罹患する、と言う事は
まだ皮に包まれた状態なので罹患初期の状態には

遭遇出来無いのかも知れない。

やがて立枯病として成熟した後に皮が落脱して黒い竹となって出現し

胞子を飛散させるのだろうなぁ。

 

そして皮が落脱し、罹患した稈が露出すると

急速に乾燥するのでこの様にシワシワになるのだろう。

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上掲画像の殆どがシワシワ状態な理由はそれなのだろう。

そして、維管束以外の組織が貧弱な為に折れやすいのだろうなぁ。

倒れている、と言う事は胞子を飛散させる役目を終えた、

と言う訳なのだろうなぁ。


こちらは立枯病になってはいるがカビに重複罹患してしまった為か
黒くなり切れずに枯れてしまった状態の物の様だ。

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こんな風になる事もあるのだなぁ。
で、これには皮が一部残っている。
黒色立枯病として未成熟な状態で枯死してしまったので
この様に皮が残されてしまったのでは無いだろうか。

まぁ、誰かが若竹を伐って捨てた所にカビが生えただけかも知れないけど。

 


さてこの様に、仙人杖はとても脆く折れやすいのだが
モノの本によると時として硬くなり
実際に杖として使える様な物になる事がある、との事。
まぁ、中にはそう言う事もあるのかもなぁ、と
あまり深く考えずに思っていたのだが
「マダケ類黒色立枯病」の発症と進行状況が
上で当方が推察した通りだとすると
仙人杖が本当に杖として使える様な物になるとは
ちょっと考えられない。
実際に、当方が遭遇するのは本当に脆いヤツばかりだもんなぁ。
その話は本当なのかなぁ。
中国の事だし、また「白髪三千丈」的な与太話なのかもなぁ。

 

と思っていたら、こんな状態の物に遭遇した。

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パッと見は普通に黒色立枯病なのだが
触ってみると普通の竹の様に硬い。
これは一体……

 

どうやらこれは竹として充分に成長した後に
途中から人為的に伐採された為に衰弱し
その結果、黒色立枯病菌に罹患した物の様だ。

伐られて暫くは生きていたので維管束を通じて

黒色立枯病菌が感染して行ったのだが

やがてその竹が枯死してしまったのだろう。

途中の節から上は菌が蔓延しなかった様だ。

その為、先端は普通に枯死した稈の色になっている。

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先の話の「実際に杖として使える黒色立枯病」が本当にあるとしたら
この様な成り立ちで発現した物なのでは無いのかなぁ。

それ以外ちょっと考え難いよなぁ。

 

まぁ、この一例だけで決めつけてはいけないね。

この世に数え切れない数の竹が生えていて
それこそ天文学的な数の菌がひしめいているのだ。
頑丈な仙人杖を生成する菌がいないとは言い切れない。
世界の何処かにひっそりと存在しているのかも知れないのだ。

何時か、そう言う仙人杖に遭遇したいなぁ。
取り敢えず、竹が生えている場所を見付けたら
近付いて探してみるよ。
まぁ、第一目的は仙人杖では無いのだけれどw

 


さて、この仙人杖。
マダケの竹藪に入ると、当方は実は結構な確率で遭遇する。
一度に遭遇する量は多くは無いのだが
発現頻度そのものはそれ程低くは無い様だ。
だが、web上の情報はとても少ない。

【因みに「仙人杖」だけで検索すると「仙人が持っているみたいな本物の杖」の
 画像がザラザラ出て来て「マダケ類黒色立枯病」の画像は出て来ない】

 

恐らく、ただの枯れた竹と思われていて
注目する人は殆どいないのだろう。

国内のサイトで画像を載せているのは
2018年3月30日現在、群馬県立自然史博物館の収蔵情報

滝わたるさんの里山歳時記サイトの2件だけの様だ。

となると当blogが3件目になると思われる。
これはちょっと自慢したくなるなあw

 

まぁ、仙人杖の事を検索しようとする人が
日本中でどれ位居るのかは判らないけれど。

 


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| 植物寄生菌 | 00:05 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
コメント
いつも、興味深く拝見しております。
仙人杖とは、なかなか趣きのある名前です。
でも、竹からしてみれば、恐ろしい菌ですね。
| Blue Wing Olive | 2018/03/31 12:33 AM |

>> Blue Wing Oliveさん
有難う御座居ますー(・∀・)/

爆発的な集団発生は無いみたいですので感染力は強く無いのかも知れませんねー
そこら中が仙人杖だらけ、と言う光景も見てみたいですね。
それこそ恐ろしい光景かも知れません・・・・・・

| まねき屋 | 2018/03/31 9:01 PM |
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