今年の初夏、何時もの様にキノコ探索をしていた。
メインのターゲットはヤマドリタケモドキだったのだが
今年はかなりの不漁だった(→こちら)。
雨が少なかった所為もあるのだろうが
年々発生が少なくなっているのは環境の変化もあるのかなぁ。
何れにせよ当方にはどうにもしようもない。
当方はあくまでも自然のおこぼれを頂くだけなのだから。
と、そんな今年のヤマドリタケモドキ事情だったが
そんな中、妙に目立ったキノコがあった。
それがこれ。
ヤマドリタケモドキに良く似ているが妙に黄色味が強い。
中にはとても大きな物もあった。
中々に堂々としていて風格さえ感じるw
中には老菌を通り越して腐敗した状態の物も。
これだけを見ると妖怪か何かみたいだw
上掲画像以外にもこのキノコが何本も発生していた。
これはいったい何だろう???
黄色くて柄が網目のイグチと言えばキアミアシイグチがある。
文字通り、足が顕著な網目状になっている。
こちらの個体はさらに網目が顕著。
実に見事だなぁ。
だが、今年良く目立った黄色いイグチは網目の様子が違う。
キアミアシイグチに比べると大人しい網目。
そして幼菌時、管孔が菌糸で塞がれているのが違っている。
キアミアシイグチにはその様な特徴は無い。
キノコ全体の印象で言うと
キアミアシイグチは華奢な感じなのだが
このキノコは全体にしっかりしていて重量感がある。
その点はヤマドリタケモドキに良く似ている。
このキノコは多分「キアシヤマドリタケ」なのだろうなぁ。
キアシヤマドリタケは2005年に報告された新顔のキノコとの事。
ただ、まだ「仮称」の段階なので
本来は「キアシヤマドリタケ(仮称)」と表記するべきなのだろうが
面倒だし、他にも幾つか仮称がある中で、
この仮称が定着しつつあるらしいので
当blogでは以下「キアシヤマドリタケ」と表記して行く。
その辺りの経緯の詳細は兵庫きのこ研究会の幸徳伸也氏によって
詳細にまとめられているのでぜひ参照されたい。
「なぜ、キアシヤマドリタケなのか? - きのこのしるべ」(PDFファイル)
因みに、良く似た物にコガネヤマドリがある(google画像検索)。
画像を見る限り「黄金」と言いながらあまり黄色くは無い。
どちらかと言えばキアシヤマドリタケの方が
「黄金ヤマドリ」に相応しい気がするが
コガネヤマドリの命名は1970年との事。
キアシヤマドリタケは新参者なのでその点は仕方無い。
因みにコガネヤマドリも幼菌時は管孔が菌糸で塞がれている。
それがヤマドリタケの仲間の特徴で
キアミアシイグチのグループとの違いでもある。
今回、キアシヤマドリタケの発生に遭遇し過去画像を漁ったら
不明イグチとして処理していたキノコ画像に
キアシヤマドリタケと思われる画像が幾つかあった。
こちらは2013年、名古屋市内の某所にて撮影。
因みに上掲のキアシヤマドリタケを撮影したのとは別の場所。
更に2016年、これも名古屋市内にて。
更に別の場所で。
こうして見ると、当方は結構前からこのキノコに遭遇していたのだなぁ。
気付かなかったよw
当時はまだ当方はキアシヤマドリタケの事を知らなかったので仕方無い。
とは言え、予習復習は何かとして置くべきだよなぁ、と実感。
それにしても名古屋に転居して10年の間に2回のみ、
しかも数本にしか遭遇していなかったのに
今年はイキナリ大量に遭遇したのでびっくりしてしまったよ。
恐らく今年の気象条件や何かの環境が
キアシヤマドリタケに取って発生しやすかったのだろうなぁ。
所でこのキアシヤマドリタケは
ヤマドリタケモドキに極めて近い仲間だ。
そしてヤマドリタケモドキはとても美味なキノコだ。
となると、キアシヤマドリタケの味が気になる、と言う物。
何分、新顔のキノコなので「食毒不明」と書かれている事が多い。
だが検索してみると、実際に食べた人が居た。
魚屋さんのblog「6月なんよ」の記事→こちら
茸本朗さんのblog「野食ハンマープライス」の記事→こちら
それによると、毒では無いし食べられるが特に美味しくない、との事。
食用価値無し、と言っては言い過ぎだろうか。
近縁のヤマドリタケモドキが美味キノコなので
落差による落胆がより大きく感じてしまうのかも知れないなぁ。
因みにコガネヤマドリも食べられるが美味しくは無い、との事。
どちらにしても不味い訳では無いので調理法次第かも知れない。
まぁ、当方はわざわざ食べようとは思わないけどw
それにしても毎年同じ場所を探索していても
その年によって発生するキノコがガラッと変わったりする。
それが楽しくてフィールドの探索は辞められないんだよなぁ。
また時間を見付けてフィールドに行きたいな♪