当方は「マダケの赤団子病」の事を追い求めている。
その過程で他の竹類寄生菌や
竹に関する色々な事を調べる必要が生じ
日本及び中国の様々な古文献を
渉猟する事にもなった(概略記事→こちら)。
赤団子病は日本でも発生しているので
目に付いた物は観察・撮影し、収穫もしていた。
赤団子は生薬でもあるので中国の通販サイトから購入もした。
その後も調査は可能な限り続けている。
さて、赤団子は中国では古くから知られており
竹赤団子、竹繭、竹赤斑菌、淡菊花、天竹花、
淡竹花、竹花、竹王、竹蠶(蚕の旧字)、
淡竹黄、竹三七、血三七、竹参
等の多くの異名を持っているが
生薬としての名称(薬名)は「竹黄」と言う。
所で「天竺黄」と言う薬名を持つ物がある。
それは、竹が寄生バチによって開けられた穴から
沁み出た浸出液が竹の内部で凝り固まった物で
外見的には岩塩に似ている。
天竺黄は「天竹黄」とも書かれ
略して「竹黄」とも称される為に
赤団子の「竹黄」と混同される事が多い。
なので、赤団子を追及している身としては
無視する事は出来無い。
関連物として手元に置いておきたいなぁ。
と言う訳で中国の通販サイトから購入する事にした。
中国通販サイトの日本語版にアクセス。
ホント、岩塩みたいだよなぁ。
画面内に実際「天竹黄 竹黄」と書いてあるなぁ。
赤団子と天竺黄の両方を知らなかったら
間違えて当然だよなぁ・・・・・・
因みに500g入り一袋10.5元との事。
1元≒26円(注文当時)なので270円て所か。
取り敢えず注文。
余りにも安いので逆に心配になってしまうw
また、以前取り上げた「竹燕窩」も
手元に置いておきたい物の一つだ(当該記事→こちら)。
だが、竹燕窩は生モノで水分を含んでいる為に
個人で輸入する事は不可能だ。
色々検索した所、セット物の乾燥食材の一部で
使われている事が判明したので
それも購入する事にした。
それがこちら「竹全宴」。
竹林で採取される食材を一袋に纏めた物。
内容物の一番最初に「竹燕窩」とある。
続いて「竹孫(実際は孫に草冠)」はキヌガサタケの事。
キヌガサタケは竹林で採取される、最も有名で
高級食材であるキノコだ(キヌガサタケの記事→こちら)。
続く「竹孫蓋」は胞子の含まれた粘液:グレバのある部分。
グレバは悪臭を放つのだが、それを洗い流した物の様だ。
最後の「竹孫蛋」は幼菌の時の卵の殻に当たる部分。
この両者が食用にされるとは知らなかったなぁ。
さすが中国と言った所か。
残りの「竹冬笋」は冬に採取する孟宗竹の筍、との事。
パッケージを見るに、纏めて煮て食べろ、と言う事らしい。
こちらは一袋68元。
て事は1800円くらいか。
まぁ、そんなもんでしょう。
取り敢えず注文。
序でに「雷丸」も購入しようかな。
雷丸は竹の根に寄生?共生?する菌で
樹木の根に発生するトリュフの竹版と言えようか。
雷丸も竹類寄生菌を調べていて無視出来無くなった物の一つだ。
日本でも発生はしているが当方は未見のキノコ。
フィールドで見付ける事は中々難しい。
なので、この際入手してみる事に。
こちらは100g=29.8元。
てことは780円程。
そこそこの値段だなぁ。
取り敢えず注文。
更に序でに、竹類寄生菌とは関係無いけど
ツクツクボウシタケも買ってみよう。
ツクツクボウシタケはその名の通り
ツクツクボウシから発生するキノコで
所謂「冬虫夏草」の一種だ(画像検索結果→こちら)。
「蝉花」の薬名で生薬として扱われている。
日本でも発生しており
当方も遭遇・採取をした事もあり
数点は標本として所有している。
それをザラザラと所持して置くのも面白いかな。
薬酒にして配るのも面白いかな、と思った次第。
こうやって一袋幾ら、て売ってるのだよなぁ。
こちらは100g=59.9元。
てことは1600円程。
単価で言えば結構な物だが思ったより安かった♪
更に更に序でに、セミタケも買おうかな。
セミタケも冬虫夏草の一種で(画像検索結果→こちら)
「独角蝉花」の薬名を持っている。
元々はツクツクボウシタケもセミタケも
「蝉花」として一纏めにされていたが
後年別々の物として扱われる用になった様だ。
ツクツクボウシタケは子実体が幾つも分岐し
白い胞子を纏っているのを花に見立てて
「蝉花」と名付けられたのだろうが
セミタケは一本の太い棒状の子実体なので
「独角蝉花」と名付けられたのだろうなぁ。
いや、面白い。
で、折角ならセミタケもザラザラ所有してみたい。
こちらは250g=188元。
5000円余りとややお高め。
でも、この際だから!、と思い切って購入。
それらを纏めて注文し
10日後に無事荷物が届けられた。
今回も荷物を訝しむ猫w
開封して取り出す。
因みに今回はセミタケは入手出来無かったとてキャンセルに。
一番高い物がキャンセルになったのでちょっと安心したw
こちらは天竺黄。
サイトの画像に比べると妙に白いなぁ。
これは人工モノか?
でも袋を見ると「初加工農産品」とある。
これは中国における「一次加工品農産物」の事で
「一次加工」とは
原料としての性質を大幅に変えたり
ほかの食材を加えたりすることなく、
洗浄やカット、加熱殺菌や冷凍などを
行う加工を指す(マイナビ農業より引用)
との事。
と言う事は天然物になるのだが、どうも怪しいなぁ。
何せC国クォリティだからなぁ。
うーむ・・・・・・
こちらは雷丸。
「初級農産品」とは天然物の無加工品、という事。
これは何も問題無く、ちゃんと雷丸の様だw
こちらは「竹全宴」。
早速中身を確認。
これは竹冬笋だな。
これは竹孫。
正にキヌガサタケだ。
こちらは竹孫蓋。
確かにグレバを洗い流した部分だなぁ。
こちらは竹孫蛋。
確かに幼菌の卵の外皮だなぁ。
あれ?竹燕窩は???
何処にも見当たらない。
内容物の紹介記述で真っ先に書かれているのに
入っていないだと???
これはどう言う事だ???
世間の皆様はキヌガサタケが購入動機で
竹燕窩はあっても無くても良い様な物かも知れないが
当方は竹燕窩の方がメインで
キヌガサタケはあくまでもオマケなのだ。
その肝心の竹燕窩がはいっていないなんて!
正しくこれがC国クォリティか・・・・・・
猫も憤慨してくれているよ。
こちらは蝉花。
「金蝉花」は蝉花の商品名なのだとか。
何故か謎のボトルがセットになっていた。
これを使って蝉花酒を造れ、て事なのかな。
当方的には使う用は無いし
はっきり言ってデザイン的にも使いたく無いなぁ。
資源ごみに出すしか無いかなぁ・・・・・・
それはともかく、ツクツクボウシタケが袋にギッシリ、
と言うのも中々に面白いw
しかし肝心の竹燕窩が入手出来無かったとはなぁ。
それと、天竺黄も怪しい物だしなぁ・・・・・・
ちょっとモヤモヤしてしまうよ。
暫く悩んだ末に、再度購入を決意。
別の店舗から竹全宴を注文。
更に、別メーカー製と思われる竹全宴があったので
それも注文。
こちらは先の商品に比べて半額以下と
妙に安いので気になってしまうw
天竺黄、独角蝉花も別の店舗のを注文。
さて今度はどうか。
暫くして荷物が到着
またしても訝しがる猫w
天竺黄はまたしても白過ぎた。
どう考えても合成品だよなぁ。
天然物は入手困難なのかもなぁ。
考えたら、寄生バチが穴を開けたからと言って
必ず天竺黄が出来るとも限らない訳で
更に竹を割ってみないとあるかどうかも判らない訳で。
収穫の手間暇を考えたら
そんな物が一袋数百円で買える訳無いよなぁ。
どう考えても合成品だよなぁ・・・・・・
サイトで高い値の付いた天竺黄があったとしても
それが天然物である保証は無い。
実物をこの目で見て、じゃないと怖くて注文も出来無い。
矢張り本国の生薬市場へ行かないとダメかなぁ。
それも中々ハードルが高いよ・・・・・・
さて竹全宴。
別メーカー製のは生産終了していたのか入手不可との事。
結局前回買ったメーカーの物しか送られて来なかった。
で、開封してみる。
これも竹冬笋と竹孫関連だけで
矢張り竹燕窩だけが入っていないじゃないか!
成分表示に真っ先に書くなよ!
こんなん詐欺やん!!
はぁ・・・・・・(-_-;)
こちらは序でに買ってみた竹全宴に関する書籍。
竹燕窩の情報が何かあれば、と思って購入してみた。
400円程度と安かったのでね。
書名には「全竹宴」とあるなぁ。
「竹全宴」は商品名、と言う事なのかな?
蜀南は四川省の南部にあり
竹海と言う広大な竹林が観光スポットになっている。
その面積は120平方?に及び
茨城県茨城町
山梨県富士吉田市
和歌山県みなべ町
熊本県山江村
宮崎県門川町
と同等の広さ、
又は
山手線の内側
宮城県岩沼市
埼玉県越谷市
静岡県熱海市
奈良県御所市
大阪府東大阪市
福岡県直方市
の2倍の広さなので
お近くの地域の方はその広さを想像してみて欲しい。
で、その蜀南竹海で採れる食材で調理された物の
パンフレットの様な内容だった。
全部で118種の料理が紹介されており
その中で竹燕窩が使用されているのは11種だった。
全体の1/10以下だから矢張りマイナーな食材の様だ。
しかも本書内での名称も「竹燕」はまだ解るが
料理によっては「竹花」となっているのが不思議。
上の方でも書いたのだが
「竹花」は赤団子の別名でもあるのだよなぁ。
こう言う所でも混乱を招いてしまっているのは困ったもんだ。
料理人にによって呼称が違うのだろうかなぁ。
それだけマイナーな食材と言う事か。
因みに竹燕窩が使われた料理の一部がこちら。
スープの中の黒い物がそれだ。
さらにこちら。
皿全体の濃褐色の物がそれ。
土台として使われているw
他の料理とかで見てもメインの食材では無い感じ。
あくまでも添え物的な立ち位置。
因みに袋売りの「竹全宴」を
そのまま調理したような料理は掲載されていなかった。
残念。
所で上掲画像。
まるでイカタケみたいに見えるw
まさか!?と思ったのだが
実際には淡竹の筍の先に放射状に切り込みを入れて
別の食材を挟み込んだ物だった。
良くこんな事考えるよなぁ。
余談だが、この本で気になった料理がこちら。
生のキヌガサタケの卵状の幼菌を四つ割りにしている。
上でも書いたが、悪臭を放っているであろうグレバ部分を
そのまま使っているのだ。
幼菌だから臭気は弱いのかも知れないが
何せ悪臭とは糞臭なのだ。
臭気をも楽しむ料理なのだろうかなぁ。
高級料理なのだろうが、とても食べる気にはなれない・・・・・・
中国恐るべし!
尚、独角蝉花は今回も入手不可でキャンセルとなった。
時期的な物があるのだろうかなぁ。
蝉花と違って中国での発生数が激減していて
入荷困難て事なのかなぁ。
謎だ。
と言う訳で、この度の2回にわたる
ワクドキ中華ショッピングは半分失敗に終わった。
その後検索した所、竹燕窩単品の乾燥品が売られている事が判った。
それを再々チャレンジで注文するかどうか、現在煩悶中。
独角蝉花に関しても煩悶中。
天竺黄に関しては諦める事にした。
中華ショッピングは日本では入手できない物が買えるので
ワクワクもするがギャンブルでもあるよなぁ。
ある意味、福袋みたいな物かも知れないなぁ。
だからワクワクドキドキするのかもなぁw
ただ、送料が一回5000円位掛かるのがなぁ・・・・・・
また気力が湧いたら
今度は乾燥竹燕窩を注文してみようかな。
その時はちゃんとした物が届きます様に・・・・・・
(-人-) ナム〜
※赤団子病関連アーカイブス→こちら
広葉樹の落ち枝上に
1.5?程度の小さな子実体が群生していた。
アップにするとこんな感じ。
先端が尖った状態を筆の穂先に見立てて
フデタケと命名されたのだろう。
筆にしては軸に当たる部分が小さくて細過ぎる気もするが
風流で可愛い命名だと思う。
『日本産菌類集覧』によると学名の登録は1879年と古く
「フデタケ」の命名は1939年、小林義雄によるとの事。
図鑑によると東南アジアを中心とした
アジア熱帯地域に分布しているとの事で
日本は分布の北限に当たる様だ。
フデタケはXylaria(キシラリア)科のキノコ。
キシラリアは科の上位分類である「属」の
更に上位分類である「キシラリア目(もく)」を形成しており
沢山の種類を含んだ大きな一群だ。
中でもマメザヤタケはその見た目から
「死者の指」とも呼ばれる為に比較的知られており
キシラリア目はマメザヤタケ目、
またはマメザヤタケの別名である
クロサイワイタケ目とも書かれる場合がある。
ただ、キシラリアの仲間は
多くの種類が似た様な見た目をしており
地味で目立たない上に
毒にも食用にも薬用にもならない?為か
分類・研究があまり進んでおらず
和名が付けられていない物も多い様子。
上掲の3画像も色々調べたが種の特定には至らなかった物。
研究者でも無い、当方の様な素人には中々難しい一群だ。
比較的有名であるだろうマメザヤタケも
掲載されている図鑑は多くない。
中でもマイナーなフデタケが掲載されている図鑑は更に少なく
当方が調べた限りでは
・標準原色図鑑全集14「菌類(きのこ・カビ)」 保育社刊
・北陸のきのこ図鑑 橋本確文堂刊
のみだった。
当然web上での情報も多く無く
Google検索では46件(2024/01/30現在)、
学名の "Xylaria apiculata" で
全世界を検索しても2770件(同上)だった。
全世界で2770件だからかなり少ないと言える。
黒い上に小さいので、発生していても
人の目に入っていない事が多いのかも知れないなぁ。
因みに学名の Xylaria は「木質」の意。
実際に子実体は硬く、緻密な組織で充実している。
apiculata(アピクラタ) は「先端が尖っている」の意。
筆の穂先状の子実体から来ているのだろう。
余談だが、apiculata は学名で良く使われる言葉の様で
キノコのチャホウキタケモドキ(Ramaria apiculata)の他に
酵母菌、珪藻類、更に様々な植物にも
使用されている模様(→Google検索結果)。
その為、apiculata だけで会話をした場合
相手が何の専門家・マニアかによって
指し示す物が全く違う事になってしまうので
注意が必要だ(なのか?)。
所でキシラリアの仲間は
完全世代と分生子世代(不完全世代)の
2形態を持っている事が多い、との事。
時期や条件によって胞子の状態を
有性胞子と無性胞子(分生子)とで生成し分けているのだ。
その一例がこちら↓。
Xylaria liquidambar(キシラリア・リクイダンバル)
または
Xylaria liquidambaris(キシラリア・リクイダンバリス)
と名付けられているキノコで
和名は「フウノホソツクシタケ」、
または「フウノミフデタケ」が提案されている由。
上の画像は5〜6月の発生状況だが
9〜10月頃になるとこちら↓の画像の様に様子が一変する。
同じキノコなのだが、時期で形状が変わっている。
つまり、5〜6月は無性胞子を形成・放出する分生子世代、
9〜10月は有性胞子を形成・放出する完全世代なのだ。
恐らく、「フウノホソツクシタケ」は分生子世代を
「フウノミフデタケ」は完全世代を見て命名されたのだろうなぁ。
知らなければ全くの別種として見てしまうよなぁ。
となると、こちらの画像。
フデタケの周囲に発生している先端の白いピン状の物は
フデタケの分生子世代だったのかも知れない。
当時は「何か2種が混在してるな〜」と
何も考えずに撮影していたのだが
フデタケ状の子実体は前年に発生した完全世代、
ピン状の物はその時に発生した分生子世代だったのかもなぁ。
フデタケに分生子世代がある、とは
どの図鑑にも書かれていなかったが
状況から推定するに、そうとしか思えない。
実際、"Xylaria apiculata"で画像検索すると
白いヒョロヒョロした子実体の画像もhitするので(→こちら)
矢張りピン状の物は分生子世代で合っているのだろうなぁ。
となると、正体不明として扱っていたこちらの画像↓
古くなって崩壊しつつあるフデタケと
新鮮なフデタケ分生子世代だったのかも知れないなぁ。
いやぁ、気付かなかったなぁ。
まぁ、撮影当時は知らなかったのだから仕方ない。
次に遭遇する機会があったらもっと良く観察してみよう。
ただ、画像のフデタケを撮影した場所は造成されてしまい
発生環境が消滅してしまったのはとても残念だ。
また何時か何処かでフデタケに遭遇してみたい物だ。
因みに、1月にupする記事なので
1月→正月→書初め→習字→筆
の連想でフデタケを取り上げてみた次第w
尚、「筆のキノコ」と言えばコウボウフデがあるが当方は未見。
コウボウフデも一度遭遇してみたいキノコの一つだ。
]]>
某公園に敷き詰められたウッドチップ上に多数発生していた。
イカタケは籾殻の積まれた場所や
ウッドチップ上に発生する事が多いとの事。
白い胴体から触手の様な腕が伸びていて
横から見るとそれこそイカの様な形状をしている。
触手の付け根に当たる部分に
胞子の含まれた粘液(グレバ)があり
それが異臭を放つ事でハエを呼び込み
グレバを舐め取らせる事により
胞子の飛散をさせる、と言う生態を持つ。
実はこのイカタケは自力で遭遇した物では無い。
10月21日にwvwyoさんがTwitter上に
足の踏み場が無い程イカタケが発生している、と
upしていたのだ(→こちら)。
wvwyoさんは当方が勝手に菌友と思っている人で
行動範囲は当方と結構隣接している。
と言う事はこのイカタケも当方居住地域から
それ程遠くない場所で発生しているのかも知れない。
イカタケは発生が多くないとされる珍菌。
掲載されている図鑑も少ないがとても目立つビジュアル。
一度は実物をこの目で見てみたい物だよなぁ、と
思っていたキノコの一つだ。
それを目の当たりにする事が出来るかも知れない!
思わずDMを送ってしまったよ。
するとwvwyoさんは快く発生場所を教えてくれた。
そこは当方の家から車で30分程の場所。
おぉ、それなら気軽に行ける!
これは是非とも行かなければ!
場所を教えて貰って数日後、早速現場へ。
発生場所を教えて貰ったとは言え
情報は
「〇〇公園のウッドチップの撒かれている所」
と言う内容。
その公園には着いた物の、果たしてピンポイントで
発生場所を探し出せるのだろうか・・・・・・
取り敢えず公園に足を踏み入れる。
すると全体にウッドチップが撒かれている事に気付く。
そしてふと見るとイカタケが目に入った。
その辺一帯がウッドチップの撒かれた場所だったのだが
その辺一帯のそこここにイカタケが生えていた。
それこそ気を付けないとうっかり踏んでしまう程に
そこら中に発生していた。
ただ、目立つ色では無いし、それ程大きい物でも無いので
ちょっと引きで撮影するとなんだか良く判らなくなるのが残念。
だが、本当に公園一帯のそこら中に
笑ってしまう位にイカタケが生えていたよ。
イカタケは発生の少ない珍菌、て話だった筈だよなぁ・・・・・・
この場所はこんなにもイカタケ好みな環境なのだなぁ。
タイミング的にやや合わなかったのか
枯れたり乾燥した個体が多かったが
発生直後や、
これから伸長しようとしている個体が幾つもあった。
そして伸長し切った個体も。
更に卵の状態の物も沢山あったので
暫くは発生が続くのだと思われる。
一部の卵を掘り出してみる。
根の様な菌糸がモジャモジャと出ており
ウッドチップが更に細い菌糸によって
真っ白に見える程、縦横無尽に絡め取られている。
この一帯にウッドチップが敷かれているのだから
イカタケの菌糸は恐ろしいほどの量になるのだろうなぁ。
こちらは孵化直前の状態か、触手の輪郭が見えている。
数時間後には孵化するのだろうか。
こちらは卵が輪を描いている。
菌輪になっている様だ。
wvwyoさんがTwitterに菌輪で発生しているイカタケを
「イカリング」
とupしていたので真似をしたかったのだが(→こちら)
タイミングが合わず残念・・・・・・
こちらは根元から折れていた個体。
誰かに蹴られたのかな?
スポンジ状の断面が良く判る。
こちらは根元から抜けていた個体。
卵の内側の模様が面白い♪
因みに現場は公園なので遊具で遊んでいる親子連れも居た。
それをイカタケ越しに撮影w
此処にこんな珍菌が生えている事に興味も無いのだろうなぁ。
まぁ、怪しい風体の男がうずくまって何かをしていたら
其処から目を逸らしたくなるのは当然かも知れないけどねw
とにかくそこら中イカタケだらけなので
どれだけ撮影してもし切れない状態。
調子に乗ってズラズラと列挙してしまったが
これでもかなり厳選した次第。
折角なので、比較的綺麗な成菌と卵を少し持ち帰る。
卵はウチで育ててみよう♪
持ち帰った成菌を撮影。
見れば見る程奇妙な形だ。
こちらは持ち帰る最中に孵化した物。
卵の皮が張り付いてしまって上手く成長出来ず
柄が折れてしまっていた。
中々繊細な物なのだなぁ。
撮影後は全て冷凍庫にて凍結乾燥させる事に。
卵はミズゴケを敷いたタッパに埋めた。
こうして経過観察する次第。
2日後、孵化した個体が。
卵の皮が張り付いていまっていて窮屈な様子。
取り除くように剥がすとみるみる触手が伸びて来た。
此処までで2分程。
皮を剥がさなかったらこれも折れてたのかもなぁ。
3日後。
別の卵が孵化していた。
こちらも皮が張り付いた状態。
柄は根元で折れてしまっていた。
皮から剥がし、取り出した状態に。
卵の内側の模様と、スポンジ状の絵の断面が良く判る。
柄の部分をアップで。
白いトウモロコシみたいだ♪
そして卵の皮を剥がした事によって
解き放たれたように触手が広がり始めた。
15分後、この状態に。
すっかり縦に伸長した。
さらに30分後。
今度は横に広がった。
この後は萎み始めると思われるのでこの状態で凍結乾燥に。
にしても卵の皮がどうしても張り付いてしまうよなぁ。
以前、キツネノタイマツを孵化させた時も
同様の状態になった事があった。
室内で孵化させようとすると
どうもそうなってしまい勝ちな様だ。
頻繁に霧吹きで水を掛けても
室内だとどうしても乾燥してしまうのだろうなぁ。
フィールドの地表付近と言うのは
当方の想像以上に湿度が高い、と言う事なのだろう。
となると、何か方法を考えないとなぁ。
其処で、試しにタッパ全体を覆ってみた。
八百屋で一盛り幾らの物を買った時の器を
取って置いたのが丁度良かった♪
器に入れた翌日、早速孵化していたよ。
ちゃんと脱皮して綺麗に伸展していたよ♪
矢張り地表付近の空中の湿度が大事なのだなぁ。
どれだけ霧吹きで湿らせてもそれだけではダメなのだなぁ。
その後も次々続々と孵化。
全て凍結乾燥させる事に。
こちらは死んでしまった卵。
表面にカビが生えてしまっていた。
中身を確認。
すっかり溶けてしまっていた。
残念。
新鮮な卵を割ってみる事にした。
縦に半分にする。
片方を剥いてみた。
成程、こうやって納まっていたのか。
いやぁ、面白いなぁ。
折角なので、これはこのまま凍結乾燥する事に。
それにしても不思議な形だよなぁ。
イカタケに取って重要なのは
胞子を飛散させる為にハエにグレバを舐めて貰う事。
触手はそのハエの足場として機能しているのだろうなぁ。
中心部に他のハエが陣取って独占していたとしても
触手のグレバを舐めて貰う事も出来る訳だしね。
ただ、触手部分にどの程度グレバが付着しているかは
画像検索で見ると結構個体差がある様だ(→こちら)。
今回撮影したイカタケの中にも
触手にグレバが殆ど無い個体もあった。
グレバの無い触手はそうなると
中心部が空くまでの順番待ちの場所、て事になるのかな???
所で、上の方でグレバはハエを呼ぶ為に異臭を放つ、と書いた。
例えばキツネノタイマツや
キヌガサタケは糞臭だったり
カゴタケは
腐敗又は発酵した果物のニオイだったりしている。
ではこのイカタケはどうだろうか。
因みに『日本のきのこ』山と渓谷社刊には
「強い腐肉臭」
とあった。
しかし、現場ではあまり感じなかったのだが
持ち帰った際に車内に充満したニオイで言うと
当方は「海辺のニオイ」と感じた。
ただ、爽やかな磯の香では無く
古い漁網やゴミ、魚の死骸が放置されていて
フナムシがワサワサしている様な場所のすえたニオイ。
※余談だが「すえた」って「饐えた」と書くのを今回初めて知ったw
実際、バケツで家に持ち帰った際に
外で蓋を開けたら、その瞬間に大きなハエが寄って来てたよ。
海のニオイだからイカの形なのかなぁ。
いや、まさかね・・・・・・
ただ、不思議と現場ではそこまで臭わなかった。
だからなのか、
ハエがグレバを舐めに来ている場面には遭遇出来無かった。
現場で唯一確認できたのはこの↓画像の
コバエが一匹止まっている場面だけだった。
グレバが乾燥してたからニオイが広がらなかったのかなぁ。
地形による気流の関係でニオイが広がらなかったのか、
森の中だと他の何かとニオイを打ち消し合ってしまってるとか、
色々な理由があるのかも知れないが。
所でイカタケは食べられるのだろうか?
先にも書いたが図鑑には「悪臭」とか
「強い腐肉臭」とか書かれているので
とても食用になるとは思えない。
実際、『カラー版きのこ図鑑』家の光協会刊には
「食不適」としっかり書かれてもいる。
だが上掲のキヌガサタケは
同様に悪臭を放つグレバを有しているが
中華料理の高級食材として知られている。
(Amazonの通販サイトより引用)
となるとイカタケも食用になる可能性はあるのでは???
因みに、実際にイカタケを食べた人はいる様だ。
『きのこ、だけ』のもせてさんによると
「イカのゲソを刺身でいただいているような食感」
「適切に味付けすれば、人にもよるが、
「美味しい」という感想を持っても不思議ではないと思った」
との事(→こちら)。
「グレバの刺激臭もほとんど無く」
とあったが当方には無理な臭気だった。
グレバの臭気には個体差(地域差?系統差?)があるのだろうか。
それとも個人の臭気の受け取り方の違いなのだろうか。
まぁ、上述した様に磯系のニオイ?なので
ホヤやナマコなどの強烈な磯の香りが好きだと言う人には
許容範囲なのかも知れないなぁ。
ただ、イカタケ本体の大きさは個体差があり
かなりまちまちだし
大半はキヌガサタケの様なボリュームは無いので
余程群生している状態じゃないと
収穫する甲斐は無いと言えるだろう。
その意味でもあまり食用には向いてないのだろうなぁ。
所で先にも書いたが
今回収穫+孵化させたイカタケは
全て冷凍庫で凍結乾燥させ、標本にする事にした。
すると、冷凍庫だけでなく
冷蔵庫全体にイカタケのすえたニオイが充満してしまった。
ある日、冷凍バナナをおやつに食べようとしたら
バナナにイカタケ臭が沁み込んでしまっていて
ウヘァ・・・・・・(;´Д`)な気分になってしまったよ・・・・・・
慌てて消臭袋にイカタケを閉じ込め
脱臭剤を通常の3倍の量を設置して
何とかニオイを抑える事に成功したよ・・・・・・
これだけの苦労をしたのだ。
イカタケの標本は何とか綺麗に仕上げたい物だ。
]]>
直径1?程の球形のキノコだ。
山中の地形の開けた部分に発生する為に
山道の路面や、斜面で遭遇する事が多い。
毎年行く岐阜山中でも、この様に山道際の斜面での発生が多い。
以下、画像をダラダラズラズラ列挙して行く。
こちらは斜面の奥まった部分に群生していた。
お供え物みたいで可愛い(・∀・)♪
白い胴体に、赤い頂部が特徴的。
和名は赤い部分を唇に見立てた物。
一目瞭然で解り易く、しかも風流な命名だよなぁ。
因みに学名は Calostoma japonicum 。
Calostoma は「美しい口」の意味との事。
「クチベニタケ」と命名した感覚と共通している模様。
japonicum は「日本産の」の意味。
日本では比較的遭遇する機会は多いのだが
世界的に見ると局所的な珍菌と言う事になるらしい。
菌類の学名が全て掲載されている、と言う
Index Fungoram で「Calostoma」を検索すると
35種類程のクチベニタケ属のキノコがhitする(→こちら)。
全世界で35種類だとかなり小さな属と言う事になるなぁ。
『日本産菌類集覧』によると
日本で発生しているのはその内の4種類との事。
4/35が日本で発生している、と考えると
日本に多く産している特徴的な菌、と言う事になるのだろうかなぁ。
クチベニタケは地上部は丸い体なのだが
地中部分がまた特徴的な形。
こちらは乾燥標本。
まるでタコの足の様だ。
通常は丸い本体を地表スレスレに発生させているのだが
時としてタコ足部分が地上に伸びて
それこそタコ型宇宙人状態で発生している事もある。
ただでさえ可愛い姿がより可愛い(・∀・)♪
さてこのクチベニタケ。
外見だけで無く、内部構造も独特だ。
縦に二つ割にした状態がこちら。
胞子が詰まった小さな袋状の部分が上部にあり
それ以外の大部分が空洞なのだ。
その空洞部分は胞子を飛ばしやすくする為のエアロパーツに当たる。
空洞部分に受けた刺激は胞子の入った袋を
外側に押し出す形で効率良く伝わる事になる。
つまりクチベニタケは、より少ない刺激で
より胞子を飛ばす為の構造で形成されたキノコなのだ。
その様な構造はクチベニタケ属以外には見られない。
どうやってそんな進化をしたのか、不思議でならない。
因みにクチベニタケの一つを摘まんでみた。
唇部分の狭い隙間から、ご覧の様に勢い良く胞子が噴出した。
所でクチベニタケは一見柔らかそうだが
実は革質と言うか、爪の様に
又は茹でた牛スジの様にとても硬い。
上記の断面画像も二つ割にする時にかなり苦労した。
その為に切断後は大きくへしゃげてしまったし
袋内の胞子は切断作業の際に全て放出されてしまった次第。
だが発生当初は柔らかいとの事。
こちらの画像は幼菌の断面。
(Pandaさんの『花の日記』より拝借)
幼菌の時は全体が胞子でギッシリなのだが
成長して硬くなると共に空洞が広がる、
と言う事なのだろうなぁ。
その成長の仕方を想像すると、とても不思議だ。
こちらはかなり古くなっているのか
唇部分の色褪せた状態の個体。
こちらは唇部分どころか胞子の袋まで脱落して
ぽっかり口を開けてしまっている。
右の個体が無かったら
チャワンタケの仲間だと判断してしまっていただろうなぁ。
こちらは帰宅後に画像を見ていて
一番上のクチベニタケに穴が開いている事に気付いた。
幼菌の時に虫に食べられたのだろうかなぁ。
撮影時に気付いていたらちゃんと確認していたのになぁ。
残念だ。
こちらは溶け掛けの残骸。
全体が脆くなっていたとは言え、胴体部分は弾力があった。
唇部分は脱落寸前の状態だったので
取れない様に拾い上げるのに結構気を使ったよ。
あの硬い本体が此処までに柔らかくなるのに
どれくらいの月日を要するのかは不明。
と、この様に今迄岐阜山中でだけ遭遇していたのだが
今年になって通い始めた近所のフィールドでも
遭遇出来たのでビックリしたよ。
近所とは言え、高低差のある林の切通しの斜面なので
殆ど山道とは言えるだろうけど。
とは言え、3個体だけだったので
岐阜山中に比べると微々たる数なのだが。
こちらは5日後の様子。
右側の個体に穴が開いた状態。
唇の一部が欠けて中が見えている。
胞子は全て出て行ったのか、空っぽだ。
所で、先に書いたがクチベニタケ本体はとても硬い。
この状態にするのに実は結構な力を要した。
例えばホコリタケの仲間は雨粒の刺激で胞子を飛ばすと言う。
外皮は薄く、乾燥後もペラペラしているので
雨粒程度の刺激でも大きく凹む為に十分効果があるのだ。
ニセショウロの仲間など、大きな口を開けたり
大きく裂けた状態なら風を受けて胞子を飛ばすだろう。
だが、クチベニタケは本当に硬いので
雨粒の刺激程度で胞子を飛ばせるとも思えない。
唇部分はスリットの様な極細い隙間しか無いので
風を受けて胞子を飛ばせる様にも思えない。
唇部分が欠けて穴が開いた状態ならともかく
欠けていない個体の方が圧倒的に多いしなぁ。
タコ足で地面にしっかりしがみついているので
例えばツチグリの様に転がって胞子を飛散させる訳でも無い。
一体クチベニタケの胞子飛散戦略はどうなっているのだろうか。
山道に良く発生する、と言う点で
野生動物に踏まれる事によって胞子を飛散させるのか、
とも考えたのだが、実際には斜面での発生が多いので
それには向いてないしなぁ。
何故、噴出孔がとても狭いのか、
何故、エアロパーツ部分があんなにも硬いのか。
胞子を飛散させるにはデメリットとしか思えないのだが
それでも、そうする事によって得られるメリットが
当然何かある訳なのだろうけどなぁ。
実際、画像の様に群生している事も多いのだし
それだけ胞子が広範囲に飛散している、という訳なのだし。
うーん、良く判らない・・・・・・
謎だ。
まぁ取り敢えず、これからも遭遇した時には
タコ姿を普通に愛でる事にするよ♪
【オマケ】
同じ環境に発生し、全体が赤い物にホオベニタケがある。
「頬紅茸」と言うのもまた風流な命名だよなぁ。
因みに学名は未確定なので
先のIndexFungoramの検索結果には反映されてはいない。
『日本産菌類集覧』にも記載が無いのは記載漏れなのだろうか。
地表部はクチベニタケと色合い以外の差は無いが
柄の部分がタコ足では無く、細根状だ。
クチベニタケと同種とする意見もある、との事だが
DNA的にはどうなんだろうか。
研究者でもない当方には知る由も無い。
因みにクチベニタケに比べると発生は少ない様だ。
また、クチベニタケと外見上の差異は無いが
胞子の形だけが違っている、と言う
「ツチイチジクタケ」と言うのもある由。
上掲のクチベニタケ画像の中に
ツチイチジクタケが含まれている可能性も無くは無いが
顕微鏡を持たない当方には判断のしようも無いので
全て「クチベニタケ」と勝手に断じた。
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これはウズタケだ。
ウズタケはヒダが同心円状に広がっているのが特徴で
発生の少ない珍しいキノコとの事だが
このフィールドでは安定的に発生している様で
大体年に一回は遭遇している。
なので「ほう、今年も遭遇出来たな」と撮影。
ふと周囲を見回すと他の個体も発見。
稀菌とされるウズタケにしては発生の多いポイントとは言え、
一度に複数の個体に遭遇する事は多くない。
複数遭遇も久し振りだなぁ、と思いながら
更に見回すとまた別の個体が。
と、幾つもあるでは無いか!
このフィールドに通う様になって15年以上経つが
こんな事は初めてだ!
更に周囲を確認。
すると、次々にウズタケ個体を確認出来た。
発生の少ない、珍しいキノコである筈のウズタケが
こんなに集中して発生しているなんて事もあるのだなぁ・・・・・・
そして全てが地際に発生しているので
基本的にどの個体も周囲の枝や枯葉を巻き込む
「突き抜け物件(©役に立たないきのこ@at384さん)」だった。
中には弧を描くように並んでいたポイントも。
これは菌輪なのだろうか。
そもそもウズタケが菌輪を描く様な発生を
する種類なのかどうかは知らないのだが。
そんなこんなで、この山道を挟んだ一帯で
少なくとも20個体の発生を確認。
ただ、とても地味な色だし
群生や束生している訳でも無いし
しかも地面スレスレに発生しているので
沢山生えている様に見えないのが何とも残念。
とは言え、これはかなり珍しい事なのでは無いだろうか。
因みにweb検索してもウズタケの大量発生の記事は発見出来ず。
かなり珍しいだろう現象に立ち会えた事に一人ほくそ笑むw
所でウズタケは同心円状のヒダが特徴のキノコなのだが
時として網目状(管孔状)になる事があり
それは「アミウズタケ」と呼ばれる由。
そしてウズタケをアミウズタケと同一種とする意見と、
ウズタケはアミウズタケの変種とする意見とがあるのだとか。
その辺り、図鑑ではどう記載されているのだろうか。
取り敢えず手当たり次第に調べてみた。
とは言え、ウズタケが掲載されている図鑑自体かなり少なく、
当方が調べた範囲では以下の4冊だけだった。
それぞれの解説と共に列挙する。
・『日本のきのこ』山と渓谷社刊
「ウズタケ」として掲載しているが、解説文の中で
ウズタケはアミウズタケの変種と記載している
ヨーロッパには管孔型、
日本・北米にはウズタケ型が多いの記述あり
・『山渓フィールドブックス きのこ』山と渓谷社刊
「ウズタケ」のみの掲載
ヒダの様子を「同心円状〜迷路状〜管孔状」
としているが、「アミウズタケ」の解説は無し
・『原色日本新菌類図鑑』保育社刊
「ウズタケ」として掲載しているが、
ウズタケとアミウズタケを同一種とするGilbertson
の説を紹介しつつ、ウズタケをアミウズタケの変種とする
今関の意見を付記している
・『北陸のきのこ図鑑』橋本確文堂刊
「(アミ)ウズタケ」として掲載しているが、解説文で
「管孔が同心円状になるウズタケとされる場合もあり、
区別しない場合もあるので和名のアミに( )を
付してある。」と付記している
上記で見る限り、両者の立ち位置は決定されてはいない様だ。
勿論、最新の学会情報を当方は知らないので
今はどうなのかは判らないのだが。
と言う訳でウズタケに遭遇する度に
出来るだけヒダの様子を確認する事にしている。
それを以下に列挙。
こちらはかなり網目が顕著な個体。
これだけを見たらウズタケとは思えないよなぁ。
こちらは管孔と同心円が混在している個体。
この場所ではこのタイプがとても多い。
こちらはきれいな同心円状の個体。
この場所ではこのタイプはかなり珍しい。
この場所で多くのウズタケに遭遇している当方も
ここまでちゃんとウズタケなのは初めてかもなぁ。
この場所で発生するウズタケは実は殆どがアミウズタケだ。
と言う事はこの場所にあるウズタケ菌は
ヨーロッパ型と言う事になるのかな。
同心円型ウズタケを採取しようとした所、
根元がごっそりと出て来た。
このウズタケがたまたま植物の根を巻き込んでいた為に
地下に広がっていた菌糸と共に掘り出された様だ。
となると、この一帯の地下には
この様な菌糸の塊が広がっていると言う事になるのだろうなぁ。
想像すると凄い事だよなぁ。
となると、この様に↓
弧(菌輪の一部)を描いて発生していても
不思議ではない事なのだろうなぁ。
元々発生が多くないキノコだから
菌輪を描ける程の量を発生させるのが
難しいだけなのかも知れないよなあ。
採取したウズタケを帰宅後詳細に撮影。
菌糸はウズタケ本体と同じ褐色なのだなぁ。
今迄も採取した個体の根元に
褐色のモケモケがちょっと付いていた事はあったが
此処まで顕著なのは初めて。
ウズタケの標本が世界中にどれだけあるのかは判らないが
こう言う状態の物はひょっとして世界初???
そうだったら面白いなぁ。
所で、キノコが発生している場所の事を
キノコマニア達は「シロ」と言う。
元々はマツタケの発生する場所の事を指し
それは地中でマット状に広がるマツタケの菌糸が
白い事に由来しているとの事。
マツタケが発生している地面を掘ると
マツタケの白い菌糸マットが見えるのだと言う。
マツタケはそのシロの辺縁部に発生する為に
時として列をなして発生する事があり
それが円を描いている場合を菌輪と言う。
実際には地中の障害物に邪魔をされたり等で
綺麗な円になっている事は多くないので
円が途切れた円弧状だったり
円の半径が大きい場合は直線状になっていたりもする。
そして、そこから敷衍してキノコの発生地点の事を
「シロ」と称している。
ウズタケも本来は菌輪を描いて
発生する事のある種類なのだろう。
だが、ウズタケは元々発生が多くないので
列を描く事が殆ど無いだけなのだろうなぁ。
発生が少ないキノコ、と言う事は
通常の状態なら他のキノコに負けてしまって
中々生えて来る事が出来無い、と言う事なのだろう。
だが今年の名古屋は雨が少なかった上に
夏の異常な暑さが長期間に及んだ。
その為、例年に無い程キノコの発生が少なかった。
多くのキノコに取って
発生したくても発生出来無い状態だったのだろう。
それ程迄に菌糸が痛みつけれ弱ってしまったのだろう。
だが、ウズタケの菌糸はその気候に弱る事も無く
他のキノコ達の勢力が弱ったのをこの時とばかりに
発生したのでは無いだろうか。
マツタケは実はとても弱いキノコで
他のキノコに簡単に負けてしまうので
腐葉土の少ない、貧栄養の状態の土にしか
発生出来無いと言う。
昔々は枯葉や落ち枝は日々の家庭の燃料とする為に
森林から徹底的に持ち去られていた。
そうすると腐葉土が作られ難い為に
土壌が貧栄養である事が通常の状態だった。
その為、多くのキノコは発生する事が難しく
貧栄養土壌でも生育が出来るマツタケにとっては
好条件だったのだ。
やがて燃料事情が変わり
枯葉や落ち枝が持ち去られず
放置される様になって土壌は富栄養化した。
そうなると他のキノコが勢力を伸ばす様になり
競争力の弱いマツタケは勢力争いに負けてしまった。
現在、マツタケの発生が少なくとても高価なのは
それが原因だと言う。
ウズタケにも同じ事が言えるのでは無いだろうか。
競争力の弱いウズタケは
普段はじっと耐えて地中で息を潜めていて
たまに1本程度のキノコを発生させるのが精一杯なのだが
多くのキノコが弱った気候の今年はスキを突く様に
それ!今だ!!とばかりに発生したのでは無いだろうか。
今迄に無い大発生と、今年の気候を鑑みるに
そう思えてならない。
それにしても、このウズタケ達が生えていた範囲は
ざっと見ただけで少なくとも20m四方はある。
競争力の弱いだろうウズタケが
他のキノコ達とシノギを削りながら
それだけの範囲のシロを形成する為に
どれだけの年月を要したのだろうか。
そして今年の様な発生のチャンスを
どれだけ待ち続けたのだろうか。
考えると気が遠くなりそうだ。
となると、発生が少ないとされている他のキノコも
何かの条件で大発生する事があるのかも知れないよなぁ。
近年は「異常気象」と言われる事が多いが
それは大きな気候変動の現れかも知れない訳で
今迄とは違う気候が今後定着するのかも知れないのだ。
と言う事は、これまで見掛ける事の少ない、
又は全く無かったキノコが
次々続々と大発生する可能性もある訳だ。
それはそれで楽しみではあるなぁ♪
来年以降もどんなキノコが姿を見せてくれるのか
ワクワクドキドキが止まらないよ♪
普通に今迄通りに季節が流れて
例年通りのキノコが沢山生えて来てくれる事も
望みたいのだけどね・・・・・・(;´Д`)
※過去記事・関連記事も併せてお読み頂けましたら幸いです
アーカイブス→こちら
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こちらはキヌカラカサタケ(多分)。
肥沃な土壌に発生するキノコで
愛知東部のとある林内地上に発生していた。
「キヌカラカサタケ」と言えば
レモンイエローのコガネキヌカラカサタケが良く知られている。
室内の鉢植えやプランターに突然発生する事が多く
キノコマニアでは無い人が驚いて
「変なキノコが生えて来た!!」とSNSで発信している為に
Twitter上では毎年何件も目にしている(→Google画像検索結果)。
で、今回のキヌカラカサタケは
コガネじゃない、白いバージョン。
その為、「シロキツネガサ」との別名もある由。
コガネキヌカラカサタケは発生が多い為か
全国版のメジャーな図鑑に掲載されているが
コガネじゃないキヌカラカサタケは
当方が調べた限りでは
『原色日本新菌類図鑑(I)』 保育社刊
のみだった。
キヌカラカサタケの学名はLeucocoprinus cepistipes
(レウココプリヌス ケピスティピス)。
因みに上記の新菌類図鑑にはLeucocoprinus cepaestipes
(レウココプリヌス ケパエスティペス)と記載されている。
そのままGoogle検索をすると
「もしかしてLeucocoprinus cepistipes」となって
Leucocoprinus cepistipesでの検索結果が出て来る。
これは「cepaestipes」が綴り間違いと言う事なのだろうか???
良く判らない。
cepaestipesは「タマネギの茎」との事で
このキノコの基部がタマネギ状に膨らんでいる事を表している由。
このキノコの最初の登録者Grayは
「タマネギの茎の糞便」との通称を提案したのだとか。
理由は不明だが、このキノコのニオイを糞臭と感じのだろうかなぁ。
ただ、Grayは
キヌカラカサタケとコガネキヌカラカサタケを混同していたらしい。
上記の「タマネギの茎の糞便」も
コガネキヌカラカサタケの事を指していた様だ。
『日本産菌類集覧』によると
キヌカラカサタケの登録は1871年、
コガネキヌカラカサタケは1961年との事。
かなり長い間、混同されていたのだなぁ。
で、コガネキヌカラカサタケの方は月刊きのこ人氏によると
「黒板消しと苛性ソーダを足して2で割ったようなニオイ」の由。
それを糞臭と感じたのかどうかは不明。
当方はコガネキヌカラカサタケもキヌカラカサタケも
ニオイを嗅いでいないので判定不能。
実際、コガネキヌカラカサタケとキヌカラカサタケは
今でも混同されている事が少なくない様で
web上でもキヌカラカサタケと思れるキノコが
コガネキヌカラカサタケとして紹介されている模様。
写真ACさんのサイト
タイルアート工房 ラ ガジェータさんのblog
勿論、コガネキヌカラカサタケが個体差で色が薄い場合や
コガネキヌカラカサタケのアルビノの場合もあるかも知れず
あくまでも当方の見た目での判断でしかないのだが。
外見上は色の違いしか無く
コガネキヌカラカサタケの方がインパクトが強いので
キヌカラカサタケの存在が目立たないのは
まぁ仕方無いかも知れないよなぁ。
世の中、見た目がとにかく重要だからなぁ。
キヌカラカサタケは、コガネキヌカラカサタケを含む
キヌカラカサタケ属の基準種なのに
存在感が薄いのは哀しくなってしまうよ・・・・・・
コガネキヌカラカサタケは本来熱帯亜熱帯に発生するキノコで
日本では沖縄、小笠原以外の場所では
観賞用植物や用土から持ち込まれた物と考えられていると言う。
一方、キヌカラカサタケの方は元々日本に自生していた物らしい。
だが、上述している様に発生はあまり多くないので
愛媛県レッドデータブック2014によると
愛媛県では「絶滅危惧1類(CR+EN)」に指定されている由。
「絶滅危惧1類(CR+EN)」とは「絶滅の危機に瀕している種」で
指定理由として
広く分布する種と考えられているが、
発生環境が不安定であり県内での記録は非常に少ない
だからとの事。
本当に絶滅危惧種なのかどうかは判然としないが
発生の記録が少ない、と言うのは
コガネキヌカラカサタケと比べるとインパクトが弱く
目立たないから、と言うのも大きいのでは無いだろうか。
また ヒメカラカサタケ(→Google画像検索)や
シロヒメカラカサタケ↓
と言うキノコはとても良く似ており、
それらと混同されている事例もあるのかも知れない。
尚、英語版wikiによると
通常褐色になる乾燥した時のヒダの色合いが
緑や桃色になる変種がある、との事。
それが日本に発生しているかどうかは調べ切れなかった。
さて、コガネキヌカラカサタケは
上記の月刊きのこ人氏の記事によると
「ものすごい強い旨み」で「激ウマ」の大変美味なキノコ、との事。
更に、ざざむし。氏の記事でも
「こっくりとした旨味」「うっまい」と激賞していた。
近縁種であるこのキヌカラカサタケも美味の可能性は高いが
キヌカラカサタケを食べた、と言う記事を
見付ける事は出来無かった。
当方も試食者第一号になる気にはなれなかったので収穫はせず。
どなたか、機会あらば是非チャレンジを!
美味である確率が高いと思われるので
チャレンジする価値はかなりあるのでは無いかと。
どう言う結果になっても当方は責任は取れないのだけどね( ̄∀ ̄)
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とある斜面に目が行った。
其処は起伏を削って通路にした法面に相当する場所。
土が露出している部分に何かがある。
これはカゴタケでは無いか!
しかも干乾びている状態だ。
カゴタケについては過去に2度記事にした事がある。
カゴタケはおよそキノコには見えない
奇怪で不思議な姿のキノコだ。
こちら↓は2009年に遭遇したカゴタケ。
東大阪時代に1度、名古屋では今回で3度目だ。
カゴタケはあまり発生が多くない種類との事。
それが名古屋に転居して以来、15年で3度だから
5年に1度の遭遇頻度と言う事になる。
オリンピックより間隔は長いけど
元々がレア菌なので確率は高い事になるのかな???
で、今回のカゴタケ。
外皮から飛び出る事も無く、引っ掛かった状態で干乾びていた。
正常に成長した場合は外皮から離れて転がり出るのだが
上手く成長出来無かったのだろうか。
そう言えば前回の遭遇時↓もちゃんと成長出来ていない状態だった。
降り積もった枯葉に埋もれて腐りかけていたのだ。
カゴタケは成熟し難い特徴があるのだろうかなぁ。
干乾びカゴタケの周囲を見ると怪しげな白い塊が二つ見えた。
これはひょっとしてカゴタケの卵???
一つを掘り出してみる。
見た所、カゴタケの卵っぽい。
これは是非持ち帰って育ててみよう!
湿らせた水苔に埋めて観察を。
一週間後、大きな変化は無い。
心持ち萎びてる感じかな?
東大阪での経験で言えばこれは良い感じかも。
成熟してくれているのかな?
ワクワク♪
東大阪の時はそれがカゴタケの卵とは知らずに割ろうとしたので
まさかカゴタケが飛び出すとは予想もしておらず、
それこそポンッ! と飛び出たのでびっくりしてしまったのだ。
今回はカゴタケの可能性が高い事が予め判っている。
だから上手くすれば飛び出る瞬間を撮影出来るかも知れない。
世界初日本初では無いだろうが、
レアな映像である事は間違い筈だ。
いやぁ、楽しみだなぁ。
ワクワク♪
その3日後。
何やら様子がおかしい。
カビが生えているでは無いか。
と言う事はこの卵は死んでしまったのか・・・・・・
卵をちょっと突いてみた。
外皮は力無く裂け、剥けてしまった。
矢張り卵は死んでしまった様だ。
誕生の瞬間を撮影する事は不可能になってしまった。
うーん、残念・・・・・・
取り敢えず水苔の中から取り出してみる。
これがカゴタケである事は一応解るので
このまま凍結乾燥させて、出来たら標本にしてみようかな。
折角だしね。
今回は残念な結果だったが、
また次の機会があれば挑戦したい物だ。
それはひょっとして、また5年後なのかなぁ・・・・・・(;´Д`)
所でカゴタケがあった場所。
本当に土が剝き出しの切通し状態だった。
カゴタケは腐葉土等の肥沃な場所に発生する筈なので
何でこんな場所に生えて来たのだろうか、不思議な状況。
数日後の雨の後、その場所を見に行ったら
すっかり環境が変わってしまっていた。
現場に残した卵は行方不明。
表面の土はすっかり流され、前回は無かった石が露出していた。
中央の白く丸い物はカゴタケの卵に見えるが実際には小石だ。
ホント、何でこんな不安定な場所に発生したのかなぁ・・・・・・
そして前回今回と、2回連続で成長不十分なカゴタケに遭遇した。
今回は十分に伸長できたとは思えない状態で萎びてしまっていた。
前回は降り積もった枯葉を掻き分けていたら
腐りかけの状態の物が出て来たのだ。
そんな場所ではカゴの十分な伸長が出来る訳が無いのになぁ。
ひょっとしたらカゴタケは十分な伸長には
あまり拘ってはいないのだろうか。
カゴタケは胞子の散布にコバエなどの昆虫を活用している、
カゴの内側に胞子を含んだ粘液(グレバ)を形成し
果物の腐敗臭を発生させコバエ等を呼び寄せ
グレバを舐め取らせる事によって胞子を飛散させている。
こちら↓は2007年に東大阪で遭遇した個体。
黒いグレバが良く判る。
となると、普通のキノコの様に背を伸ばし傘を広げる等をして
胞子の飛散をさせる為の空気の流れ具合を
気にしなくても良いのだと言える。
枯葉に埋もれていてもニオイに惹き付けられて
コバエ等が来てくれさえすれば良いのだ。
今回のも、十分に伸長しなかったとしても
取り敢えずコバエ等が来てくれさえすれば、それで十分なのだ。
カゴタケはそう言う戦略なのかも知れないなぁ。
そうなると、ひょっとしたらカゴタケは
我々の目に付いていないのだけど
枯葉の下で結構発生しているのかも知れないよなぁ。
そこから更に考えを敷衍させるならば
地上表面での伸長を考慮しない→将来的にカゴタケは
地下生菌になろうとしている途中なのかも知れない・・・・・・
まぁ、当方の数少ないデータで妄想を膨らませても
それこそただの妄想に過ぎない。
本当にカゴタケが地下生菌への道を辿っているとしても
この数年でどうなる話でも無いしね。
取り敢えず、またカゴタケを見る機会があれば良いな、と。
5年先、当方がどうなっているか判らないけどね・・・・・・(;´Д`)
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と言う訳で今年もヤマドリタケモドキの季節だ。
今年の名古屋東部は空梅雨だった。
雨が降らないでは無かったが「梅雨の長雨」は殆ど無かった。
そしてすぐに猛暑になってしまい地面はカラカラの状態。
これではヤマドリタケモドキの発生は望めないだろうなぁ。
そう思いながらフィールドを探索。
例年なら幾つも発生している筈のスポットに
全く姿が見当たらない。
こんなにも地面がカラカラなら仕方無いわなぁ・・・・・・
それでも何とかヤマドリタケモドキに遭遇。
ちょっと古そうな外見。
やはり採り頃を過ぎてしまっている。
何かの甲虫が食事中だったw
こちらも見るからに古びている。
こちらは多少マシかも知れないが
やはり採り頃を過ぎてしまっている。
こちらは完全に古くなるを通り越している。
こちらは比較的マシっぽい。
が、マシっぽいのがこれ一本だけだったので
遠慮して収穫はせず。
と言う訳で今年はヤマドリタケモドキの収穫はゼロだった。
発生数が少ないのもあったが
全体的にタイミングを逃してしまっていた。
名古屋でヤマドリタケモドキを採取する様になってから
初めての事態。
こんな事もあるのだなぁ・・・・・・
所でヤマドリタケモドキのシロの一つの
今年の状況はこんな感じ。
ヤマドリタケモドキ越しにプレハブの建設事務所を写してみたw
其処の一番の発生スポットはこんな様子。
今回は下水施設の資材が置かれていた。
此処は不憫なシロだなぁ。
来年は果たしてどうなっている事やら・・・・・・
続いてアカヤマドリはどうか。
矢張り例年に比べて発生数は少ない。
それでも何とか遭遇する事は出来た。
アカヤマドリも摂り頃を過ぎた物が多かった。
こちらは更に古くなってしまった個体。
白くなっている部分はヒポミケス菌では無く、白カビの様子。
こちらはその4日後の様子。
完全に朽ち果てた感じ。
白カビの他にフタマタケカビが生えている模様。
こちらは多少マシかな。
とは言え矢張り育ち過ぎ。
多分中は虫に食われているかと。
なので収穫せず。
こちらはイケそう。
ハサミムシが食事中だったので邪魔するのは遠慮したw
こちらは異形の姿。
右側のは幼菌の段階で柄を齧られていまったのだろうか。
そして成長途中で左側のと融合してしまった様子。
こんな事もあるのだなぁ。
面白いので標本にして保管して置きたかったけど
当方が処理するのには大き過ぎたので採集は断念。
こちらも異形の姿。
ふくよかな胸の水着姿みたいw
中身はイケたかも知れないけど放置。
収穫せず。
こちらは幼菌過ぎたので収穫せず。
半ば埋まった状態で発生していた。
こちらも幼菌だし、あまりにも小さ過ぎたので収穫せず。
アカヤマドリは大きくなりやすいキノコなので
こんなに小さいのは初めて見たよw
具合の良さそうなのはこの一本だけだった。
あまりに貴重だったので遠慮して収穫せず。
と言う訳で今年はアカヤマドリの収穫もゼロだった。
ヤマドリタケモドキ同様、発生数が少ないのもあったが
全体的にタイミングを逃してしまっていた。
名古屋でアカヤマドリを採取する様になってから
初めての事態。
こんな事もあるのだなぁ・・・・・・
SNSを見ると、沢山収穫している人も勿論居たが
「今年は全然ダメだ!」との報告もとても多かった。
当方も感じたが「今迄の空梅雨と様子が違う」と言う意見もあった。
温暖化が言われるようになって久しいが
キノコの発生に仕方が変わったのは
大きな気候変動の一端なのだろうか。
温暖化、とは言われているが、地球の歴史から見ると
今は間氷期なので、実は氷河期に向かっている最中なのだ、
と言う意見もある。
とすると、氷河期に向かっていながら温暖化しているので
気流や潮流に影響が出てしまい、
季節のサイクルがおかしくなってしまっている、
と言う事なのかも知れないよなぁ。
まぁ、地球規模の事など当方が考えて解る物では無い。
ただの一時的な異常なのかも知れないしね。
と言うか、そうであって欲しいよ。
来年はそれなりに収穫があって欲しい物だ。
実際、来年になってみないと判らないけどね。
とにかくキノコヌシ様に祈るのみ。
(-人-) ナム〜
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広葉樹の枯れ木に発生する。
外見的にはキクラゲに似ているが
細胞レベルで構造が違っている為に
キクラゲとは別の分類群になっている。
鮮やかな白色は森の中で良く目立つ。
こちらも良く目立った。
このキノコも東大阪や滋賀県では遭遇していなかった種類だ。
広葉樹の枯れ木なんて何処にでもあるのになぁ。
何か目に見えない様な微妙な環境の差なのだろうか。
とにかく、名古屋東部では遭遇する事が割と多い。
こちらは老菌の様子。
色がくすんでいる上に一部溶け掛けている。
こちらはHypomyces菌にやられているのだろうか。
一部が黄色くなっている。
キノコはHypomyces菌にやられると黄色くなる事が多い。
シロキクラゲに寄生するHypomyces菌があるのかどうかは
残念ながら調べきれなかったが。
因みにシロキクラゲは優秀な食菌だ。
中国では「銀耳」と呼ばれ
乾燥品がスーパーの中華食材コーナーに置かれている事が多い。
普通に中華料理の食材として使われるが
透き通った白色を生かしてデザートとしても使われる。
一番上の画像のシロキクラゲは
新鮮な状態でとても綺麗だったので早速それを収穫。
何か売り物っぽい♪
一度湯通しして冷やして置いた物を
市販のあんみつに加えてデザートに。
クニュクニュとした歯触りが楽しい。
(゚д゚)ウマー
また新鮮なシロキクラゲに遭遇したら是非収穫しよう。
今度は杏仁豆腐に混ぜてみようかな。
それも中々良さそうだ♪
所で、このシロキクラゲ。
フィールドで観察していると
クロコブタケと隣接している事が多い。
クロコブタケとは文字通りの黒いコブ状の塊のキノコだ。
広葉樹の枯れ木なら普通に見掛けるが
色も形も地味な上、毒でも薬でも無く、更に食べられない為か
キノコマニアの間でも人気が無い。
当方はその地味さが好きだったりするがw
で、上掲画像も実はクロコブタケが映り込んでいる。
小さくて判り難いので矢印で図示してみた。
わーい、白と黒だ〜♪と
なるべく両方が写り込む様に撮影していた。
そんな事に特に気を止めず暢気に過ごす事幾星霜。
少し前にTwitterを眺めていて驚いた。
何と、シロキクラゲはクロコブタケに寄生している、との事。
しかもそれが周知の事実として書かれていた。
そーだったのか!
だから何時も隣接していたのか!
隣接しているのは偶然では無く、当然の必然だったのか!
白と黒だ、わ〜い♪なんて暢気にしている場合では無かった!
しかもそれがキノコマニアの間では
周知の事実となっていたなんて当方は全く知らなかった・・・・・・
当方、キノコが全般的に好きなのだが
中でも寄生的な性格のキノコ・菌類が好きなのだ。
だから冬虫夏草や植物寄生菌、菌類寄生菌に
特に目が行ってしまうのだ。
なのに、シロキクラゲとクロコブタケが
隣接している光景を何度も目にしていたのに
それが偶然では無く、当然の必然なのだと言う事に、
「寄主と寄生菌」と言う関係なのだと言う事に
全く思いが至らなかった・・・・・・
うーむ、情けないと言うか残念と言うか。
2度目は偶然であっても3度目は偶然では無い、は
何時だったかのゴルゴ13の台詞だ。
それに全く思いが至らなかったよ。
もっと俯瞰的に総合的に
発想を柔らかくしなければなぁ・・・・・・
その話を知って、手持ちのシロキクラゲ画像を
全部見直してみた。
すると確かに殆どの場合、
クロコブタケが何処かに写り込んでいた。
両者が写り込んだ他の画像を以下に。
こちらは図示する迄も無い状態。
中には写った画像の範囲には見当たらない物もあったが
恐らく見えない部分にはあったのだろうなぁ。
シロキクラゲは白くて瑞々しい見た目に合わず
獰猛で狡猾な性格であったのだなぁ。
にしても、これだけ両者が映り込んだ画像を撮っていたのに
その理由について全く考えが及ばなかったのは
我ながら情けなくなってしまうなぁ・・・・・・
所でシロキクラゲは栽培品が市販されていると書いた。
クロコブタケの発生している枯れ木と言う
中々にニッチな発生環境を再現するのは
とても難易度が高いと思うのだが
栽培状況を見るに、それを再現しているとは思えない。
普通におがくずの菌床栽培にしか見えない。
(种植致富网様より引用)
おがくずにクロコブタケ成分を
単に混ぜただけではダメだろうなぁ。
だが、おがくずにクロコブタケを侵食させてから
シロキクラゲの菌を植える、なんて
そんな手間を掛けているとも思えないよなぁ。
となると、シロキクラゲはクロコブタケに依存しなくても
発生出来る性質がある、もしくはそう言う系統もある、
と言う事なのだろうなぁ。
実際、『家庭きのこ : 作り方・食べ方』(家の光協会刊)によると
(シロキクラゲは)「栽培の方法はキクラゲ、アラゲキクラゲと
全く同じなので、三種を同一場所で同時に栽培うることができます」
とある。
矢張りクロコブタケとは無関係の環境で育てる事が出来る様だ。
まぁ、菌根菌なのに菌床栽培しているダイコクシメジ、
(雪国まいたけ様より引用)
冬虫夏草なのに培地栽培しているサナギタケ、
(カイタックグループ様より引用)
なんてのがある訳だしなぁ。
キノコは一筋縄では行かない物だなぁ。
それを見付け出す人間側も中々にしたたかだとも思うけどね。
それはともかく。
今後もシロキクラゲを見付けた時には
周囲にも気を付けながら撮影して行くよ。
勿論、他のキノコの場合も同様。
ミクロとマクロの視点を常に持っていたい物だ。
それはキノコに限った話では無いだろうけどね。
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竹紅菌と肉球菌を購入した話を書いた(→こちら)。
赤団子を最初に香港で購入した際に
それお酒に漬け込んで「赤団子酒」を作っていたので
今回もそれぞれを酒に漬け込んでみる事にした。
容器に入れ、25度の焼酎に浸してみる。
左:竹紅菌 右:肉球菌
入れた直後から竹紅菌から赤い色が滲み出て来た。
こちらは2日後の様子。
竹紅菌の方は既に真っ赤だw
並べて撮ると明暗の差が大きいので竹紅菌の方が
綺麗に写らなかったので個別に撮影。
竹紅菌の赤がとても鮮やか♪
肉球菌の方はじんわりと色が付いていた。
そして1か月後。
竹紅菌はドス赤くなっている。
光を透かしてもかなり濃い。
肉球菌も前回より色が濃くなった感じ。
と思ったけどそれ程変わってないかw
と言う訳で出来上がった?薬酒を飲んでみた。
果たしてそのお味は・・・・・・
味自体は前回書いたニオイの記述をそのまま踏襲する形。
因みに赤団子は「甲虫のニオイに鰹節の匂いを足して薄めた感じ」、
竹紅菌は「赤団子にかなりの香ばしさを足した感じ」、
肉球菌は「赤団子を薄めてゴマ油を少し足した感じ」だ。
各々それに焼酎のアルコールの刺激が加わった状態。
独特な味わい、と言う以外の評価が思い付かない。
正直、薬酒として飲むのはやぶさかでは無いが
ゴクゴク飲みたい物では無いかなぁ。
ただ、竹紅菌の方は樽香?が強いので
それを生かして水割りやサワーにしても面白いかも知れない。
さて、この赤団子、竹紅菌、肉球菌。
薬種として販売されており、当方はそのルートで購入した。
と言う事はそれぞれに薬効がある訳だ。
此処で改めてそれを調べてみたので
『中国の薬用菌類』から専門用語等原文ママに以下に転載する。
【赤団子】
※以下文中で「竹黄」とあるのは赤団子の薬名(生薬としての名称)
(1)虚寒で、胃に疼痛のあるものを治す。
竹黄50gを50度の焼酎500gの中に24時間ほど浸しておいたのち、
1日3回、1回9g服用する。
(2)リウマチ性関節炎、坐骨神経痛、打撲傷、筋骨がだるく痛みがある物。
四肢の麻痺、腰背が疲労で損なわれたもの、貧血による頭痛を治す。
竹黄30〜46gを50度の焼酎500gの中に浸しておき、
7日後に毎晩寝る前9g服用する。
(3)体表の局部の疼痛およびリウマチによる疼痛を治す。
酒に浸した竹黄の残渣を痛む部分に擦り込み、
皮膚が熱くなる位に摩擦し(同時に竹黄酒を服用する)、
毎日数回行う。
(4)寒火で、歯痛のあるものを治す。
酒に浸した竹黄の残滓を噛んでいると、
一般に1分以内で疼痛は消失する。
(5)咳嗽があり、痰の多い気管支炎を治す。
竹黄30gに蜂蜜60gを加え、50度の焼酎500gに24時間位浸しておき、
毎朝晩9gを服用する。
(6)小児の百日咳を治す。
?竹黄9gに砂糖を適量加えて水で煎じ、しばしば服用する。
?竹黄6g、麻黄3g、枇杷葉6g、杏仁6g、茜草6gに
白糖を適量加えて水で煎じ、しばしば服用する。
意外と薬効の範囲が広いのだなぁ。
【竹紅菌】
※「竹砂仁」は竹紅菌の薬名
(1)リウマチ性関節炎を治す。
竹砂仁の子座5〜6個を100gの焼酎に浸しておき、服用する。
(2)外陰部の白斑を治す。竹砂仁の浸出液を患部に塗布する。
赤団子に比べるとかなりあっさりしている。
【肉球菌】
※「竹菌」は肉球菌の薬名
抗菌、消炎。竹菌3〜6g、水に煎じて1日2回服用する。
附注 一部の人はこの菌に対して吐き気をもよおす場合がある。
更にあっさりしている。
しかも副作用も強い様だ・・・・・・
この用途の為に、どれだけの需要があるのだろうかなぁ。
当方みたいにコレクションの為に購入する人は
まぁ中々居ないとは思うしなぁ。
入手のし難さはそれだけ流通していない=売れていない事の
表れだろうしなぁ。
所で近年、生薬から抽出した成分を西洋医学に適用し
様々な効果を上げているとの話。
その為、原料となる生薬を西洋資本が買い漁ってるのだとか。
そんな内容の番組を以前『ガイアの夜明け』で見た記憶がある。
上記の3種も薬効成分について様々な研究がなされている様子。
実際、赤団子病からは
ヒポクレチンと言う物質が抽出されている、との事。
だが、赤団子からのそれが
薬品として生産されている情報は見付けられなかった。
因みに竹紅菌からもヒポクレチンが抽出されており
そちらは「竹紅菌素軟膏」の商品名で既に販売されていた。
中国の醫學百科サイト当該ページから引用
曰く、
身体の局所組織の代謝機能を調節し、皮膚の色や細胞組織、
病変の特徴の回復を促進します。外陰部の白色病変、ケロイド、
陰部のかゆみ、外陰炎
に効能がある由。
また、竹紅菌の赤色色素は
食品添加物としての利用も期待されるとの事。
抗菌作用もあるので一石二鳥と言う所か。
中国の検索エンジン「百度」によるヒポクレチンの解説ページより
赤団子と同じ成分が抽出されているのに
竹紅菌の方が製品化されているのは
ヒポクレチンの抽出量の差から来ているのだろうかなぁ。
赤団子より竹紅菌の方が効率良く抽出出来る、と言う事なのだろうか。
または赤団子より竹紅菌の方が原料として入手しやすいのかなぁ。
そこまでは調べきれなかったよ。
漢方薬としては竹紅菌より赤団子の方が対応症状が多いのに
製品化するとなると、また別の話になるのだなぁ。
生薬の売価が赤団子より竹紅菌の方が高かったのは
その所為だったのかもなぁ。
しかし、分類学的には綱レベル、
つまり人間とトカゲ・魚レベルに離れている両者から
同じ成分が抽出されたと言う事は
竹に寄生するに当たっては同じ化学成分が必要だった、
と言う事になるのかな。
面白いなぁ。
さて、『中国の薬用菌類』の記述では肉球菌は
赤団子、竹紅菌に比べると生薬としての効能は
あまりにあっさりとしか記述されていないので
特に期待や重要視されていない様に見える。
だが、抽出された薬理成分と思われるエンゲロマイシンは
抗腫瘍薬として役立つ可能性があることを示唆されている由。
肉球菌がやたら高価だったのはその影響なのだろうかなぁ。
上記サイトによるとケニアにおいても長年にわたり
伝統的な薬草として広く使用されてきた、との事。
何に対して使用されて来たのかは残念ながら不明だが
抗菌、消炎作用薬なのだろうかなぁ。
所で当方は肉球菌の学名を Engleromyces goetzei と書いて来たが
今回改めて調べた所、2010年に Engleromyces sinensis と言う
新たな種類が新種登録されていた事を知った。
曰く、従来 Engleromyces属は
アフリカから採取された標本を基準とした
E.goetzei 一種のみとされていたのだが
北京の中国科学院の菌類標本館に所蔵されていた標本を精査した所、
E.goetzei とは明確に異なっている事が判明した為
2010年に Engleromyces sinensis として新種登録した、との事。
英語版Wikiより機械翻訳した物を要約
両者の差異は顕微鏡的な話。
実際、画像検索をしたのだが、
E.goetzei と E.sinensis との外見的な差異は
当方は判別出来無かった。
そもそもweb上の画像自体、
E.goetzei と E.sinensis とが混在している、
もしくは E.goetzei とされている画像が
全て E.sinensis なのかも知れないしなぁ。
因みに生息地は E.goetzei はアフリカとアジア、
E.sinensis は雲南省との事。
またネパールで採取された肉球菌は E.sinensis の可能性が高い由。
四川省とネパールは地図的には隣だからそうだろうなぁ。
尚、上記の「アフリカとアジア」の「アジア」に
中国が含まれているかは不明。
思うにアジア産の物は全てE.sinensis なのかも知れない訳だよなぁ。
そうなると今迄様々な文献やサイトで
「肉球菌」として扱われていた物は
E.goetzei では無く E.sinensis だと言う事になる。
今後、その辺りは修正がされて行くのだろうかなぁ。
当方の記事も修正しなければなぁ・・・・・・
上述したが、E.goetzei はケニアにおいて長年にわたり
伝統的な薬草として広く使用されてきた、との事。
となるとE.goetzei も E.sinens も
同じ?薬理作用があると言う事なのだろう。
まぁ、極近縁な種類なのだから当然かも知れないけれど。
将来、エンゲロマイシンから抗腫瘍薬が開発されたら
「肉球菌」は貴重な換金作物になるのかもなぁ、
容易に栽培出来るとも思えないので
益々高値になって行くのかもなぁ。
そうなる前に切片じゃないホールの状態を入手してみたい物だ。
取り敢えず、当方今の所リウマチ性関節炎は無いし
外陰部に疼痛や白斑も無いので
薬酒として使用する事は今後も無いかなぁ。
コレクションとして愛でるだけにして置くよw
※オマケ
と言う訳で竹紅菌をサワーにしてみた。
薄めると赤味より褐色味が目立つ感じだなぁ。
で、味は勿論上記と変わらないのだが
薄めのサワーにしても「香ばしさ」はかなり際立っていた。
スモーキーなウィスキーが好きな方には楽しめる味かも知れない。
ウィスキーとはまた違った感覚を味わえるかと。
ご入用の方は当方まで連絡を是非(・∀・)つドゾー
因みに、赤団子・肉球菌に関してはサワーにはしていない。
正直、美味しく飲めるとは思えないのでねぇ・・・・・・(-_-;)
※赤団子病関連アーカイブス→こちら
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今年もアミガサタケの季節がやって来た。
さて今年はどうなのだろうか。
不安と期待を胸に、シロを回る。
こちらはシロA。
此処は何時も安定して発生してくれている。
今年も発生してくれた!
有難いなぁ・・・・・・
だが、例年よりは少ない感じ。
普段はとても目に付きやすい場所に発生しているのだが
今年は藪で隠された様な場所でしか見付からなかった。
誰かに先を越されてしまったのかなぁ・・・・・・
まぁ、それは仕方無い。
自分の土地でも無いし、誰でも入れる場所だからなぁ。
こんな事もあるさ。
こちらもシロA。
此処は思ったより発生していた。
実は今まで「シロA」と書いていたのだが
シロAはA-1とA-2に分かれていた。
だが実際に収穫していたのはA-1で
A-2は発生が無かったので収穫出来無かった、
または数本しか発生していなかったので
収穫しなかった事が殆どだった為に
今迄一まとめに「シロA」としてカウントしていたのだ。
だが今年はシロA-2での発生がとても多かった。
当方がアミガサblogを書き出してから初めてかも知れない。
此処はA-1と違って当方以外には知られていないシロの筈だから
毎年誰かに先を越されていたとは考えられない。
今迄あまり発生が無かった場所でいきなり発生量が増えたのだ。
一体何があったのだろう???
何年周期かは判らないけれど
今年がシロA-2の当たり年だったのだろうか。
A-1とA-2はそれ程離れていないのだが
何か目に見えない様な環境変化があったのだろうか。
謎だ。
来年以降どうなるのか、観察して行きたい。
こちらはシロC。
今年も発生してくれていた。
いや、有難い。
だが、近くで造成工事が始まってしまっていた。
藪は切り払われ、日差しがガンガン入る様にもなった。
これでは来年はもうダメかも知れないなぁ・・・・・・
一時は大型の物を多数輩出していたこのシロ。
造成工事に翻弄され、地下水脈の変化に伴い
発生場所を変化させながらも
何とか発生を続けてくれていたこのシロも
遂に消滅してしまうのかもなぁ・・・・・・
残念だ・・・・・・
こちらはシロD。
木々に囲まれ、薄暗く湿った場所だったのだが
多くの木が伐採され、すっかり環境が変わってしまっていた。
完全にシロとしては死んでしまった様だ。
残念・・・・・・
こちらはシロE。
正に発生場所がピンポイントで
周辺の伐採木で埋められてしまった為に
この数年、発生を見ていない。
だが、伐採木も段々と朽ちて来たので
そろそろ発生が見られる様になったかも知れないよなぁ。
良く見ると伐採木の隙間に見える物が。
何と一本だけ発生してくれていた!
来年以降も頑張って欲しいので収穫はせず。
ホント、頑張って欲しいなぁ・・・・・・
桜の枝が大量に伐られ、土も入れ替えられて
すっかり環境が変わってしまった為に消滅したシロF。
アミガサタケは無く、マンネンタケが一本だけ
虫に食われた姿を晒していた。
寂しそうだったよ・・・・・・(つД`)
少し場所が離れているので見に行けない年もあるシロH。
今年はどうか。
中々見付からなかったのだが、遠目にふと見えた違和感。
これに気付けた自分を誉めて上げたい・・・・・・
また近くの植え込みをみると数本が。
いずれも散水ホースのそばに生えている。
名古屋でのアミガサタケの発生に置いては
通常以上の土壌水分を必要とする、と言う当方の仮説を
強く裏付けてくれているのが嬉しい。
因みにどちらも収穫せず。
元々このシロは発生量が多くは無いのでね。
来年以降も頑張って欲しいよ。
こちらはシロにはカウントしていなかった場所。
2010年に一度だけ、一本だけの発生を確認した事がある。
それ以降、発生を見ていなかったので
シロには数えていなかったのだが
その後も毎年様子を見には行っていた。
だが、今年行ってみたらこの状態。
周辺の木が伐採され、すっかり乾燥した状態に。
それまでのジメジメした環境が嘘の様だ。
名古屋には珍しい、縦線も横線もはっきりしない
クシャッとした形状の網目のアミガサタケを
発生させていたので観察を続けていたのだが
これでは今後の発生も望めそうも無い。
残念だ。
数年前に消滅し、一度だけ奇跡の復活をした事のあるシロB。
矢張り奇跡は何度も起きず、今年も発生は確認出来ず。
シロGも今年も発生は確認出来ず。
新たなシロの発見は今年も出来ず・・・・・・
そんな状況だが
今年も何とか30本は収穫出来たので良しとせねばね。
いや、有難い事だよ。
なので今年もネグラマーロへお裾分けを。
今年はお店の外観も入れてみた。
イタリアン激戦区と言われ、
何時の間にか消えている店も少なくない千種区池下界隈で
長く続いているこのお店。
それだけ多くのファンを引き付けて離さない、
シェフ渾身の北イタリア料理を皆様も是非!
(insta、食べログ、yahooロコ、Googleマップ)
一部は乾燥保存させ、残りは調理を。
何時ものパターンだがパスタに♪
まず細かく刻む。
玉ねぎを炒め
自家製パンチェッタを加える。
其処に刻みアミガサを投入。
生クリームを加え。
ゴルゴンゾーラチーズを削って加える。
それを太めのパスタに絡めて
ブロッコリースプラウトをトッピング。
ちょっと掛け過ぎたかw
(゚д゚)ウマー♪
ワインが良く合って(゚д゚)ウマー♪
これぞ季節の贅沢だよなぁ・・・・・・
今年も何とか収穫は出来た。
だが、状況は年々厳しくなっている。
刻々と変化を続けている名古屋のシロ。
来年はどうなっているのかなぁ・・・・・・
まぁ、当方自身が
来年どうなっているのか判らないけどね・・・・・・(;´Д`)
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野外で観察をしていると色々なキノコに出逢う。
色々な種類、と言うのは勿論だが
文字通り「色々な形のキノコ」に遭遇するのだ。
種類にもよるが、キノコは個体差が結構大きく、
図鑑通りの外見を呈していない事も少なくない。
キノコの形成には発生して居る環境によって様々な影響を受けており
中には極端に形が違っている為に何のキノコか判断に迷う事もある。
様々な原因でキノコは本当に色々と不思議な形になったりする。
今回はそんなキノコを幾つか。
こちらはキクバナイグチの仲間。
傘肉が白く、鱗片が厚いので本家の「キクバナイグチ」かな?
かなり褪色してしまっている様子
こちらも同様なので矢張り「キクバナイグチ」だろうか。
どちらも傘の中心部がまるで溶岩が噴出したみたいに
異常にボコボコになっている。
火山で言えばストロンボリ式噴火になるのだろうか。
火山岩塊がとても大きいので溶岩の粘度がかなり高い様子w
キクバナイグチの仲間はかなりの数を見ているが
こうなっていたのはこの2個体だけ。
これはウィルスか何かにやられてしまったのかなぁ。
時期も場所も違うのに同様の変容。
キクバナイグチ特有の何かの症状なのだろうか。
謎だ。
こちらはアンズタケの仲間。
特徴はアンズタケだったが杏の香りは感じられなかった。
通常のアンズタケはこんな感じ。
だが、このアンズタケ?はヒダの様子が違う。
全体に委縮してしまっている状態。
出始めの幼菌とも違うので
これから伸展して成長する様には思えない。
ヒポミケス菌とかに罹患した様にも見えない。
これもウィルスにでもやられてしまったのだろうかなぁ。
所で最後の画像、オナペッツを思い出してしまったよw
(オナペッツ主義様のサイトより引用)
アンズタケの仲間には何度も遭遇しているが
こんな状態の個体はこの一度だけ。
謎だ。
こちらはノウタケ。
握り拳の様な形だが
当方には全盛期のボブ・サップに見えてしまったw
(2枚とも闘道館様のサイトより引用)
スキルフルな相手をパワーで押し切る格闘スタイルは
見ていて気持ち良かったなぁ。
キャラクターも面白かったな。
wikiによると、今はグアテマラで
プロレス関連のビジネスをしているのだとか。
元々プロレスラーだったからこれは謎では無い。
何故グアテマラで、は謎だが。
こちらはオオコゲチャイグチ。
隣り合って発生しているのかと思ったら
傘も柄も融合していた。
ぼってりと膨らんだ柄の形が豊満な臀部の様だw
元々根元が太くなる種類なのでそれが融合するとモロだなぁw
穴の位置が此処なのは良かったのか残念だったのか・・・・・・
オオコゲチャイグチは名古屋東部での発生は割と多いが
こんな状態なのはこの個体が初めてだった。
何となく石器時代のビーナスを思い出したw
(wikipediaより引用)
持ち帰って祀っておけば五穀豊穣大漁大猟になってたかもなぁ。
こちらはモエギアミアシイグチ。
かなり大きな傘が倒れていた。
柄を見ると様子がおかしい。
傘との連結部が徳利の様に妙に細くなっている。
裏側は大きく抉れていた。
その為に変形してしまったのだろう。
因みに通常のモエギ〜の柄はこんな感じ。
通常は上下同大なので如何に妙な状態なのかが判る。
幼菌の段階で傘の継ぎ目から下の柄の部分を
ヨトウムシか何かに齧られてしまい
そのまま成長した、という事なのだろうかなぁ。
それにしても、この状態で良く傘がもげずに成長出来た物だ。
執念、と言うべきか。
柄の抉れた感じと、極端に細くなっている所、
そしてアンバランスに広がった傘の感じが
ハート形土偶を思い起こさせてしまったw
(縄文ドキドキ会様のサイトより引用)
抉れた部分がハート型だったしね♪
これも持ち帰って祀っておけば何かになったのかなぁ?
フィールドでどんな種類のキノコに出逢えるか、は勿論楽しみだが
この様な「どんな形のキノコに出逢えるか」も楽しみの一つだ。
今年は果たしてどんなキノコに遭遇出来るかなぁ・・・・・・
※異形のキノコまとめ→こちら
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夏〜秋に林内地上に発生する。
林の中で鮮やかな黄色はとても良く目立つ。
名古屋東部ではこのキノコの発生がとても多い。
名前の由来はその見た目から。
傘の先端が過剰に尖るのが特徴だ。
そのイボには個体差があり、時としてイボが無かったり
殆ど目立たない事もある。
その場合、識別は難しくなるが
全体的な特徴でそれと判断出来る。
こちらはイボが二つに見える個体。
だが実際には傘の真ん中で丁度二つに割れてしまった状態の物。
イボが1か0はあるが、2以上と言うのは無い様子。
こちらは妙に足が太いタイプ。
このタイプは珍しいのか、あまり見ない。
勿論、DNA的にどうなのかは当方には知る由も無い。
このキイボカサタケには色違いの仲間が存在する。
それがこちら、シロイボカサタケ。
そしてアカイボカサタケ。
この3種は発生環境も共通している様で
同じ地点に混生して居る事もある。
こちらは滋賀県栗東市内にて。
某森林公園にキイボと
すぐ近くアカイボがあった。
こちらは名古屋市内にて。
某森林公園にもキイボと
アカイボがあった。
こちらは岐阜県飛騨市内にて。
キイボと
アカイボがあった。
こちらも飛騨市内の別の場所にて。
アカイボと
シロイボがあった。
こちらも飛騨市内、別の日に。
キイボと
シロイボが
そして離れた場所にアカイボがあった。
webで検索すると3色が同じ場所で発生している事例も見られ
実際に家の光協会刊『カラー版きのこ図鑑』では
3種が混生している状態の画像が掲載されている。
だが当方は今の所、一枚の画像の収まる範囲で
混生している場面には遭遇した事が無い。
何時かは3色揃い踏みの場面を撮影してみたい物だ。
所で先に「この3種は発生環境も共通している様で」と書いた。
図鑑でもそう書かれているのだが、本当にそうなのだろうか。
それは最初に書いたが、当方が見た限り名古屋東部では
キイボカサタケだけの発生がとても多いからだ。
今迄に当方が名古屋東部で撮影した
イボカサタケの色別の画像の数で比較すると
「キ:シロ:アカ」の比率は「12:1:2」となった。
勿論、当方が名古屋東部に発生したイボカサタケ全てに
遭遇出来た訳では無いし、年によっての変異はあるだろうが
凡その傾向が表れている、と考えて良いのではないだろうか。
同様に、飛騨市内某所周辺では
「キ:シロ:アカ」の比率は「1:1:2」と、
栗東市内某所では
「キ:シロ:アカ」の比率は「1:2:2」となった。
当方の行動範囲で当方が撮影出来た内容で、
と言うとても狭い集計ではあるが
地域毎の各種の発生数に違いがある様だ。
イボカサ3種の発生環境にはかなり多くの共通点はあるが
矢張り微妙に発生用件の差異があるのでは無かろうか。
名古屋東部の環境は
シロイボカサタケやアカイボカサタケに比べると
キイボカサタケの発生にとても優位に働いている、
と言えるのでは無いだろうか。
当方が観察した限りではそう思えてならない。
所で上記で「イボカサ3種」と書いた。
実際、図鑑には3種が掲載されているが多く、
3種全てが掲載されていない場合でも
「色違いで3種ある」旨の記述がされている事が多いのだが
フィールドで見ていると中間的な色合いの物も少なくない。
例えばこちら。
古くなってくすんだキイボカサタケかも知れないが
肌色にも見えるよなぁ。
また、チャイボカサタケと言うのもあるとの事で
それが色褪せた物とも見えてしまうよなぁ。
上掲の画像でも色褪せた為に
種類が判然としない物も少なくない。
また、露出や光線の加減でどっちとも言えない感じに
写ってしまっている物もある。
当方がフィールドで観察した時点では見た目の色合いだけで
キイボカサタケ、シロイボカサタケ、アカイボカサタケと
各々判断しているので、その点はご容赦頂きたい。
こちらはアカイボカサタケにしか見えないが
傘の質感が違う。
上掲のアカイボカサ画像では表面は繊維状の物で覆われているが
これに比べたらかなりスベスベな質感だ。
色々調べた所、oso氏のサイトで
ダイダイイボカサタケと言うのがある事を知った。
曰く、「傘表面が滑らかで、微毛状になるアカイボとは
決定的に異なって」いるとの事。
また「柄はねじれることが多」いとの事。
となると、当方が今迄「赤っぽいからアカイボカサタケだ」と
無条件に信じていた物がそうでは無かった、
と言う可能性はかなりありそうだ。
実際、これ↓
なんかは微毛状では無いのでアカイボカサタケでは無く
ダイダイイボカサタケなのかも知れない。
ダイダイと言うにはかなり赤い様に思うが
色だけでは判断出来無い、と言う事の様子。
まぁ、別のアカイボカサタケの近くに生えていたので
これもアカイボカサタケと推察したのだが
イボも目立たないし、傘のフリンジは妙に目立つので
そもそもが別種なのかも知れないけれど。
色々な図鑑に掲載されているアカイボカサタケも
良く見ると傘表面が微毛状でない物が散見される。
今後、表記や掲載画像が変わって行くのもあるのだろうなぁ。
尚、きのこびとさんのサイト、及びosoさんのサイトによると
シロイボカサタケはキイボカサタケとはDNA的にかなり近く
キイボカサタケの変種、また同一種としている研究者も居るとの事だが
近年、ちゃんと別種として地位が確立されたらしい。
そしてアカイボカサタケはDNA的にはやや離れた位置に居るらしい。
その距離の差がアカイボカサタケの傘表面の毛に表れているのではと。
となると、毛の無いダイダイイボカサタケの方が
DNA的にはキイボカサタケに近い、と言う事なのかなぁ。
まぁ、外見だけでDNAが決まる訳では無いのだけど。
また更に橋本岳文堂刊『北陸のきのこ図鑑』によると
ササクレキイボカサタケ、シロイボカサモドキ、
トキイロイボカサタケと言うのもある由。
当方の揚げた画像のキノコもそのどれかなのかもなぁ。
これ↓なんか柄の感じからすると
ササクレキイボカサタケだったりするかも知れないよなぁ。
また、キイボカサタケと思われる物も
傘の表面がスベスベと
マットな感じと
質感の違う物が混じっている。
アカイボカサタケとダイダイイボカサタケの様に
実は別種なのかも知れないなぁ。
勿論、顕微鏡を持たない当方には
判断のしようも無いのだけれど。
所で、イボカサタケに近い種類の更に色違いで
ソライロタケと言うのがある。
名前の通り、空色のキノコで
キノコとしては珍しい色合いがマニアには人気のキノコだ。
以前、ガチャガチャのキノコフィギュアにも採用されていたので
それで知ったと言う人も少なくないだろう。
他のイボカサタケの仲間に比べると発生は少ない様で
当方は今の所一度遭遇しただけだ。
某所でこれを目にした時は思わず「おお〜〜〜っっ!!」と
声を上げてしまったよ。
ただ、空色が綺麗なのは若い内だけ。
古くなったり傷付いたりすると黄褐色となり
空色の鮮やかさを失って古びた感じが
ちょっと切なかったりする。
当方が撮影した範囲ではキ、シロ、アカが
広葉樹林内地上から発生しているのに対して
このソライロタケは竹藪の斜面で発生していた点からすると
他のイボカサタケ達とは発生用件はかなり違っているのかも知れない。
ソライロタケの傘は全体が微毛で覆われている。
となるとスベスベの別種のソライロタケもあるのかも知れないよなぁ。
あるのだとしたら何時かは探し出してみたい物だ。
さて、このイボカサタケ達。
ご覧の様に華奢で可憐な姿だが、実は毒キノコだ。
シロイボカサタケからはムスカリン類が検出されているとの事。
となると、幻覚作用がある事になるのだろうなぁ。
キイボカサタケ、アカイボカサタケからは
毒成分不明だが胃腸系の中毒症状を起こした事例が報告されている由。
チャイボカサタケ、ソライロタケに
毒成分があるかどうかの詳細は不明だが
近い種類なので同様の成分が含まれている可能性は極めて高いだろう。
因みに、2007年に日本で死亡事故が発生している。
▼中毒:毒キノコを食べ、東海の女性死亡 /愛知(7月24日・毎日新聞)
県知多保健所に23日入った連絡によると、
東海市内の女性(86)が今月22日、
大府市内の公園で採った毒キノコを食べ、
食中毒による脱水症で死亡した。
県によると、県内で毒キノコによる死者が出たのは2年ぶり。
女性は19日午前、同市内の知北平和公園を散歩中に、
毒性のあるキイボカサタケを採取。
同日夕方、ラーメンに入れて食べたが、
20日朝になり、吐き気や下痢を訴えた。
東海市内の病院で「食中毒の疑いがある」と診断され、
点滴を受けたうえで、自宅で静養していたが、
22日午前10時ごろ、寝室で死亡しているのを家族が見つけた。
毒キノコを食べたのは女性だけだった。
家族の話では、女性は今年に入って、2-3回、
同公園内で採ったキノコを食べていたという。(後略)
知多半島でも名古屋東部と同様に
キイボカサタケの発生が多いのだろうかなぁ。
因みにこの知北平和公園と言う所には実は斎場が隣接している。
その斎場で当方の親族を荼毘に付した事もある。
そんな場所で良く知らないキノコを採取するのかー、と思ったのだが
その公園自体は割と広く、桜の名所でもあるので
斎場から離れた位置に生えていたから気にしなかったのかなぁ。
とは言え、キノコマニア以外には知られたキノコでは無いので
その女性がキイボカサタケの事を知っていたとは思えない。
それまでの2〜3回に何を採取して食べていたのかは判らないが
たまたま毒でないキノコに当たっていた為に油断したのだろうか。
色が綺麗だったので食べてみたくなったのだろうかなぁ。
華奢だから毒キノコに見えなかったのか、
または華奢だから毒も大した事は無い、と思ったのか。
何にしてもキイボカサタケをラーメンの具にする、と言うのも
中々無い発想ではあるよなぁ。
所で症状を見るに、直接キイボカサタケの毒で死亡したと言うより
胃腸系の中毒症状を起こし、その結果衰弱死した物と推察出来る。
86歳と言う年齢的な事情もあったのだろう。
なのでキイボカサタケは「致死毒のキノコ」とは言えないと思うのだが
「致死例のある毒キノコ」と言う事にはなるのだろうなぁ。
何にせよ、注意はしなければならない事には変わりない。
それにしてもキイボカサタケを煮たら
色がどう変化するか、は気になる所。
鮮やかな黄色のタモギタケ、
鮮やかな朱色のトキイロヒラタケなど、
(めざせ!きのこの伝道師さんのサイトより引用)
色鮮やかなキノコでも火を通すと色が抜けてしまう物は少なくない。
今度イボカサタケ達に遭遇した際には収穫して煮てみたい。
キ、シロ、アカがどのような変化をするのか見てみたいなぁ。
可能ならばソライロタケもどうなるのか試してみたい物だよ。
勿論食べはしないけどね。
]]>
かなりの大長文になってしまいましたが
お読み頂けましたら幸いです。
また、総集編的に過去記事を
おさらいする記述をしてしまう部分も多いですが
ご容赦頂けましたら幸いです。
※赤団子病関連アーカイブス→こちら
「マダケの赤団子病」はその名の通り、
真竹の仲間に発生する寄生病の一種で
Shiraia bambusicola と言う菌(白井菌)によって
春に真竹の枝の途中に
赤みを帯びた灰白色の菌塊を発生させる寄生病だ。
一般にはあまり知られていないが、竹の園芸家の間では
美観を損ねる厄介な病気として知られている由。
だが、菌学者で研究対象にしている人は多くなく
菌類マニアの間でも人気が無い様で
色々調べようとしても情報がとても少ない。
名古屋東部の某公園で発生を確認して以来、
当方は毎年そこで観察をしていたのだが
ある年に罹患竹が伐採されてしまった為に、
その場所での発生が見られなくなってしまったのは
とても残念だ。
なので2014年以降、
番外編は何度か記事を書いていたのだが
本来の赤団子病の記事を書けなくなってしまっていた。
とは言え、何処かへ出掛けた折に竹林を見掛けた際には、
何とか其処を観察する機会を捻出しては
赤団子病を探し続けてはいる。
そんな成果を以下に。
こちらは2017年、岐阜県内にて。
こちらは2018年、愛知県内にて。
赤団子本体は見えていないが
画像の水滴の様な物は赤団子から分泌される甘露。
これは粘度が高く、水飴の様な質感。
そして本当に蜜の様に甘い。
内部に胞子(分生子)を包含しており
蟻に舐めさせる事によって拡散させている由。
こちらは2022年、三重県内にて。
こちらは2022年、岐阜県内にて。
天狗巣病が背景になっている。
この様に地道に探索と観察を続けている。
所で当方が赤団子病を追い続けているのは
江戸時代の書物のキノコの記事の中に
「竹蓐竹林中に生じ」と記載されていたのを
見た事が切っ掛けだ。
そしてその「竹蓐」に「すゞめのたまご」と
ルビが振られていたのだ。
(『日本山海名産図会』より 赤枠は当方による画像加工)
「竹蓐」って何?
「すずめのたまご」はどう見ても当て字(当て読み)だ。
そもそも本来は何と読むのだろう???
さっぱり判らない
色々調べた所、「竹蓐」は「チクジョク」と読み
「スズメノタマゴ」は Stereostratum corticioides
と言う菌によって引き起こされる
「メダケの赤衣病」の別名だと判明した。
だが、メダケの赤衣病は
竹の稈にマットな質感の物が薄く広がる寄生病で
とても「雀の卵」には見えない。
これは一体どう言う事なのだろうか???
と、疑問を持って調べを進めて行った所、
中国の古文書『本草綱目』の「竹蓐」の項で
複数の竹類の寄生病の事を
混同して記載してしまっていた為に生じた混乱が
原因だったと思われる事を突き止めた。
『本草綱目』は16世紀末に中国で刊行された
当時の博物学書、薬学書に当たる書籍だ。
過去の様々な文献の情報を取りまとめた大著で
その後の本草学に多大な影響を与えた。
だが、著者の李時珍は「竹蓐」の事を
良く知らなかった為に
「竹蓐」の項に「竹肉」「竹菰」「竹蕈」と
形も生態も違う、竹に関わる別の種類の物を
竹蓐の別名として一緒くたに記載してしまっているのだ。
曰く「鹿の角に似た白い物」、
「竹の枝に生える鶏卵状の肉色の物」、
「根の節に生える紅色のキクラゲ状の物」、
「弾丸の様な物で白キクラゲのような味」。
これだけ特徴の違う物を同じ物の別名扱いをしているのだ。
挿図は形状の異なる物を並列する形で描かれている。
まぁ、そう描かざるを得ないよなぁ。
その為、「竹蓐」は正体不明の謎の物として
混乱を来たす結果となってしまった。
『本草綱目』を絶対の教科書とした日本の本草家は
同書内に記載されている物が
日本の何に当たるのかを探求し、次々に比定していった。
だが竹蓐については、その正体の解明にはかなり悩んだ様で
多くは解釈を諦めて無視したり、
『本草綱目』の記述を簡略化して載せるに留めたり、
またはそれぞれが独自に解釈をしたり、と
余計にカオスな状態になってしまっていた。
高名な本草家であり、
日本の本草学に多大な影響を与えた小野蘭山も
『本草綱目啓蒙』の中で幾つもの異名を竹蓐に充てており
その中に「スズメノタマゴ」もあった。
それが見た目が全く卵らしくない「メダケの赤衣病」の事を
現在も「スズメノタマゴ」と呼ぶ様に
なってしまった原因だと当方は考えている。
上掲の『日本山海名産図会』の記述部分も
唐突に「竹蓐竹林中に生じ」としている辺り、
著者も竹蓐が何なのかを解っていないのだが
知識をひけらかす為、または
「竹蓐に触れる俺ってかっこいいや〜ん」と虚勢を張る為、
言わばマウント取りの為にわざわざ書いた、と
当方は邪推している。
そして、本来「スズメノタマゴ」と呼ぶべきは
「メダケの赤衣病」では無く
「マダケの赤団子病」の方では無かったか、
と当方は考えているのだ。
また、詳細は割愛するが
『本草綱目』の「竹蓐」の記述の中で混同された物には
「肉球菌」と呼ばれる物があるのでは無いか、と考えた。
「肉球菌」は日本には
自生していない種類の竹に発生する寄生菌で
その為、日本で観察する事は出来無い。
生態は赤団子病に似ているのだが
赤団子病は大きくてもウズラの卵大なのに比べて
肉球菌はテニスボール大、またはそれ以上にもなる、
と言う点が決定的に違っている。
(The MycoKey Mycelium blogより引用)
どちらも生薬の素材となっている点が興味深い。
肉球菌を一度見てみたいなぁと思い
香港に旅行に行った際に
生薬素材の卸店を何軒も回って尋ねた。
そして赤団子は購入する事は出来た。
だが肉球菌は香港では取り扱いが無かった様で
購入する事は出来無かった。
うーん、残念。
となると現地に足を運んで探さないとならないのかなぁ。
でも、それはあまりにもハードルが高いなぁ。
ただでさえ当方はコミュ力が低いのに
中国語も英語も話せない当方にはまず不可能だよ。
そもそも何処に生えているかも判らないしなぁ。
雲南省にはあるらしいけど、
日本より広い土地の中からどうやって探すと言うのだ。
でも何とか方法は無い物かなぁ・・・・・・
悶々としながら幾星霜。
ある時にwebで肉球菌を検索していた所、
中国の通販サイトの日本語版サイトで
肉球菌が取り扱われている事を発見!
(CHINAMARTのサイトから引用)
中国通販サイトの日本語版は他にもあったのだが
そこでは肉球菌の取り扱いは無かった。
このサイトは最近出来た物の様だ。
いやぁ、知らなかったなぁ。
これはチャンスだ。
これはもう購入するしかない。
それと、序でに赤団子も買ってみよう。
実は以前、香港で購入した赤団子と
京都・愛知・岐阜で採集した赤団子を
大きな一つの保存容器に纏めて入れて置いた所
そのどれかから虫が湧いてしまい
全てが食害を受けてしまっていたのだ。
ビニール袋に入った物も穴を開けられて食われてしまっていた。
因みに沸いた虫はアザミウマの仲間だと思われた。
保存容器の中は正に地獄絵図状態。
何せ外敵は入らない密室で
食料は潤沢にあるの天国なのだ。
それはもう、大量発生していた。
それこそ培養していた状態なのだからそれも当然だ。
あまりの事に悲鳴を上げそうだった。
あまりの光景に記録の為の撮影をする事すら出来無かった。
残せる部分だけでも何とか拾い集めようかとも思ったのだが
この虫が香港産だった場合、
当方がうっかり外に逃がした事によって
万が一国内で繁殖して大変な事になるかも知れない。
それを避けるには
これはもうこのまま蓋を閉じて処分するしか無い。
仕方無く密閉したまま可燃ゴミとして出した。
そのまま焼却場で灰になった筈だ・・・・・・
なので、手元には赤団子が無い状態だったのだ。
それをこの際、購入する事にした次第。
折角なら幾つかの産地のを買って比べて見る事にしよう。
と言う訳で「肉球菌」の他に
四川省産赤団子
(CHINAMARTのサイトから引用)
(wikipediaから引用)
河北省産赤団子
(CHINAMARTのサイトから引用)
(wikipediaから引用)
雲南省産赤団子
(CHINAMARTのサイトから引用)
(wikipediaから引用)
安徽省産赤団子
(CHINAMARTのサイトから引用)
(wikipediaから引用)
を注文してみた。
因みにそれぞれ日本円で1000円程。
最初に香港で買ったときは800円くらいだったから
少し値上がりしてるなぁ。
とは言えそれも10年以上前なのだから
値上げ幅で言えば微々たる物か。
さて、問題の肉球菌を注文する。
こちらは赤団子に比べると4倍の値段。
中々のお値段だなぁ・・・・・・
まぁ、それも仕方無い。
クレジットで支払い、注文完了。
さて、これで本当に届くのだろうか。
言ってはアレだが、C国のサイトなのだ。
まともな物が届かない可能性もあるし
そもそも詐欺サイトだった可能性もあるのだ。
だが、信じて待つしか無い・・・・・・
所でそのサイトは親切な作りで
オーダーステータスの更新がとてもマメだった。
それぞれの注文した物が現在どんな状況で
現在位置は何処なのかが詳細に更新されていた。
それを見る限り、順調に進んでいる様だった。
そして順調に中国を飛び立ち日本に到着し
税関の手続きが取られている、との表示が。
注文してから2週間後、その荷物が届いた。
それがこれ。
いかにも怪しいw
猫も訝しんでいるよw
開封すると各々が別の箱に入っている。
それを全て開梱。
いやぁ、中々壮観♪
これが遥々中国から海を越えてやって来たのだなぁ。
赤団子は見た所、地域的な差は無いみたいだなぁ。
まぁ、サイトで見た時からそうは思ってたけどね。
勿論、DNA的にどうかは判らないが
当方が調べた範囲ではその点に関しても研究はされていない様だ。
と言う事はこれらの赤団子病と日本の物は同一のDNAなのかなぁ。
まぁ、元々研究者の少ない分野だし
当方がwebで拾える範囲にその情報が無いだけで
実際には別種なのかも知れないけれど。
そもそも、販売会社がそれぞれ地域は違うけど
実は産地は皆同じだった、
なんてのだったら目も当てられないけどね。
さて、今回の本来の目当ての肉球菌。
果たしてどんな感じの物なのだろう
と、妙に小さいなぁ。
発生する個体に多少の大小の差異はあったにしても
これはあまりにも小さいではないか。
と、よく見ると「竹紅菌」と書いてある。
これは肉球菌の別名では無い。
肉球菌とは別の種類の竹類寄生菌の
Hypocrella bambusea(和名無し) の事だ。
この菌も日本では発生していない種類だ。
なんて事だ・・・・・・!
改めてサイトの画像を見てみる。
左上に「野生竹紅菌」としっかり書いてあるでは無いか・・・・・・
実はサイトには、この画像と共に別名として
野生竹紅菌 竹生小肉球菌 竹紅菌素 竹紅菌 野生竹紅菌
とも書いてあった。
この中の「竹生小肉球菌」に検索が引っ掛かったのだ。
それで当方は「やった!肉球菌だ!」と思い込んでしまったのだ。
だが、この別名は当方が参考資料にした
中国の書籍『中国薬用真菌』にも
その日本語版である『中国の薬用菌類』にも
中国の増補版である『蕈菌医方集成』にも無かった。
「竹生小肉球菌」では無く「竹生小肉座菌」は
どの書にもあったので、
「竹生小肉球菌」はサイトを作成した人が間違えたのか、
サイト作成者が個人的に使っている呼び方なのか、
書籍発行以降に定着した呼び方なのかは当方には判らない。
何にしても、竹紅菌は本来当方が欲しかった物では無い。
何てこった・・・・・・
矢張り肉球菌を入手する事は出来無いのかなぁ。
凹んだ気分で更に検索を掛ける。
今度は「肉球菌」で無く
学名の Engleromyces goetzei で検索をする。
と、別の中国の通販サイトがhitした!
(Health Wisdomのサイトより引用)
これこそ肉球菌だ!
しかしこちらは日本語の対応をしていない。
幸い、英語のサイトなので
webでの機械翻訳を駆使して何とか注文をしてみた。
先の竹紅菌と比べると倍の値段。
つまり赤団子の8倍の値段・・・・・・
だがそれも仕方無い。
あるかどうかも判らない現地に行くよりも
確実に入手出来るのだ。
その対価なのだ。
仕方無い!
そう言い聞かせて思い切って注文。
と、サイトから返事が。
それを機械翻訳をすると、
なんとサイト掲載の2倍の量を注文しないと
送れないのだとか。
ただの手違いなのか
海外へ発送する場合の縛りなのかは判らない。
だが、と言う事は赤団子の16倍の値段になる・・・・・・
(∩;゚皿゚)ヒイィィィッッッ!
だがそれも仕方無い。
仕方無いのだ!
それで注文しなければ仕方無いのだ!
それこそ清水の舞台から飛び降りる勢いで注文!
何度もやり取りをして此処まで一週間。
クレジットの支払いでもトラブルが発生し
その為だけに何度もやり取りをして更に一週間。
何とか注文完了。
本当に届くのだろうか・・・・・・
言ってはアレだが、C国のサイトなのだ。
まともな物が届かない可能性もあるし
そもそも詐欺サイトだった可能性もあるのだ。
だが、信じて待つしか無い・・・・・・
毎日サイトのオーダーステータスを見ていたのだが
何の動きも無い。
不安になりながら待つ事更に一週間。
突然オーダーステータスが動き始めた!
ちゃんと注文は通っていた様だ!
ちゃんと手続きをしてくれている様だ!
更に待つ事一週間。
中国を飛び立ち日本に到着し
税関のチェックを受けている旨の表示が。
そしてやっと届いた!
注文を始めてから一か月で遂に肉球菌が届いたのだ!
竹紅菌の時とは違う重量感。
今度こそ本物の肉球菌だ!
ワクワクして開ける。
で、出て来たのがこれ。
あっ、そうか、そうだよね・・・・・・
生薬の素材として売ってるんだよね・・・・・・
だからスライスして乾燥した物になるよね・・・・・・
赤団子と竹紅菌はそのままの形状で届いてたし
サイトには丸のままが載ってたから
丸のままの形の物が届くと思ってたのだけど
あくまでも生薬の材料だもんね・・・・・・
生薬の材料って、スライスして乾燥させるもんね・・・・・・
こうやって届くのは当然だよね・・・・・・
標本を売ってる訳じゃないもんね・・・・・・
そうだよね・・・・・・(´・ω・`)
ちょっとショックだった。
これじゃぁ元の形が正確には判らないもんなぁ・・・・・・
だが、これで良しとしよう。
実際、決死の思いで現地に行って
必死にコミュニケーションを取って竹藪を探して
運良く肉球菌の現物を採取出来たとしても
検疫の関係からそれをそのまま持ち込めるとも思えないしなぁ。
学者でも無い当方が海外から寄生菌の塊を入手しようとした場合、
スライス乾燥品になってしまうのは仕方無いだろう。
袋には「肉球菌」とのシールが貼ってある。
今度こそ本物の肉球菌だ。
良かった・・・・・・(つД`)
とにかく現物を入手する事は出来たのだし。
こう言う状態でも実物を手にする、と言うのはやはり違う物だ。
取り敢えず開封して中身を見てみる。
いやぁ、矢張り大きいなぁ。
赤団子病と全然違うよ。
これなんかは二つ折りになっててこの大きさだ。
これはソフトボール大以上だったのだろうなぁ。
折角なら赤団子、竹紅菌と並べて比べてみる。
これだけ大きさが違うのだなぁ。
肉球菌の外縁部はこんな感じ。
上掲の肉球菌の画像でもそうだったけど
赤団子に比べると色味は薄い。
画像の生の状態では赤味はあったが
乾燥するとかなり色褪せてしまう様だ。
因みに各々の匂いについて。
以前、赤団子については最初の記事で
「何とも表現の出来無い、独特の香り」と書いた。
グルメリポーターでもない当方には困難な事だが
それを無理矢理言語化すると
「甲虫のニオイに鰹節の匂いを足して薄めた感じ」
となるのだろうかなぁ。
それで想像して頂けたら有難い。
漬け込んだ焼酎の味は
更にそれが強くなった感じだった。
ちょっと生臭さを感じる気がした様な記憶が・・・・・・
竹紅菌は赤団子のそれにかなりの香ばしさを足した感じ。
ワインで言う所の「樽香が強く感じられる」となるのかな?
肉球菌は赤団子を薄めた上に
ゴマ油の香りを少し加えた感じかなぁ。
何にせよ、「独特の香り」と言うしか無いw
因みにそれぞれの菌は分類的にはそれほど近い訳では無い。
子嚢菌門
└クロイボタケ綱
└プレオスポラ目
└シライ科
└白井菌(赤団子病)
子嚢菌門
└フンタマカビ綱
└マメザヤタケ目
└クロサイワイタケ科
└肉球菌
子嚢菌門
└フンタマカビ綱
└ボタンタケ目
└ボタンタケ科
└竹紅菌
目違いと言う事は人間(霊長目)で言えば
ネズミ目、ウサギ目レベルの違いとなる。
綱違いと言う事は人間(哺乳鋼)で言えば
脊椎がある事が共通しているだけで
クジラ、トカゲ、魚レベルで違う事になる。
だがニオイ的に似通った所があるのは
竹の寄生菌と言う共通点から来る物なのだろうかなぁ。
これこそ正に「百聞は一見に如かず」だなぁ。
予定外のアクシデント?で竹紅菌を入手した事によって
新たな知見、情報を得る事も出来た。
『本草綱目』の「竹蓐」の記述の考察にも
この事を加えて更に追及して行きたい。
その為に日中の色々な古文献を更に調査したいなぁ。
日中の本草家が「竹蓐」とどう格闘したのかを
もっと詳しく知りたい。
そして、最終的には矢張り中国の竹藪に行って
肉球菌を直接探さないとならないのかもなぁ・・・・・・
今から中国語を習得するのは難しいし
肉球菌が発生している竹藪に詳しい現地の人と
知り合って仲良くなるのも
かなり難しいよなぁ・・・・・・(;´Д`)
所でプラスチック容器入りのヤツ。
良く見ると中に怪しげな粉が。
これは虫の糞だ。
中で虫が湧いてしまっているのだ。
おいおい、こんな状態で売ってるのかよ。
まぁ、1個でもチェックをすり抜けてしまうと
こうなってしまう訳なんだよなぁ。
怖い怖い。
前回の大損害の二の舞はしたくないので
届いた物はすべて一度冷凍庫で完全に凍らせた。
これでもうあんな目には遭わない筈だ。
何せ大金と多大な労力の結果、入手した物なのだから
可能な限り一日でも長く手元に保存して置きたいもんなぁ。
中国の得体の知れない虫を増殖させてみる、と言う
怪しい誘惑に駆られる所が無かった訳では無いけどねw
※赤団子病関連アーカイブス→こちら
]]>
に関して2つの仮説を立てている。
一つは発生時期による個体の差異。
当方が見る限り、ミカワクロアミアシイグチには
7月と9月に発生のピークがある。
そして、それぞれの時期に発生するミカワに
傾向の違いがあるのでは、と感じている。
ミカワの柄には特徴的な網目があるのだが
そこに「広い・狭い」と「浅い・深い」があり
また、柄その物にも「太い・細い」がある。
つまり順列組み合わせで8種類の傾向が考えられるのだが
7月に発生する物は「柄が太くて網目が深い」傾向が、
9月に発生する物は「柄が細い、柄が太くても網目が浅い」
傾向があると感じていた。
それが系統の違いなのか、DNA的に別種なのかは不明。
そもそもそう言う傾向が本当にあるのかどうか、
ミカワに遭遇する度に柄の観察を繰り返している次第。
ただ、この数年の名古屋は
ミカワの発生時期に良い感じで雨が降ってくれていないので
良い感じでミカワが発生してくれない。
そんな中で、取り敢えず遭遇したミカワを列挙してみる。
まずは7月に遭遇したこちら。
上手く撮影出来無かったのだが柄のアップ。
柄は太く、網目は細かくて深い様に見える。
こちらはヒポミケス菌にやられてしまっている。
黒白黄色のコントラストが綺麗♪
柄はやや細め?で網目は細かくて深い。
こちらはどれも古くなった個体群。
生きていた柄だけを撮影。
こちらは柄が太く、網目は細かくて浅い感じ。
こちらは柄が太め、網目は広く浅い。
こちらは元気な個体。
柄は太め、網目は広くて浅い。
こちらは9月に遭遇した物。
傘が淡色の幼菌。
柄は太め、網目は狭くて深い。
こちらは既に成菌。
柄はやや太め、網目は細かくて深い。
こちらはほとんど解けてしまった老菌
柄は良く判然としないが、やや太めで
網目は細かくて浅い様に見える。
こうして見ると、発生時期によって柄の形状の傾向が違う、
と言うのは矢張り当方の思い過ごしなのかなぁ。
そう言う傾向の見られる年がたまたまあった、と言う事なのかなぁ。
でも、天候の所為でミカワが順調に発生してくれていないので
発生傾向がごっちゃになってしまっているのかも知れないしなぁ。
まぁ、取り敢えず今後も観察は続ける予定。
そして2つ目の仮説は
「ミカワの分布状況には地質が影響している」だ。
それについては前回、年末大妄想を繰り広げた(→こちら)。
ミカワは最初、愛知県の三河地域で発見された為
「ミカワクロアミアシイグチ」と命名された。
実際、発生が多く報告されているのは愛知県で
他には岐阜、三重、大阪、兵庫からも報告されている。
そして静岡からは発生報告は当方の知る限り無いのだが
何故か飛んで埼玉、千葉からの報告がある。
そして前回、福岡での発生を記事にした、
勿論それがミカワの分布状況を
完全に表現している訳では無いのだろうが
現況をある程度反映していると考えても良いだろう。
その不思議な分布状況と当て嵌まる地質区分が「西南日本内帯」だ。
(大鹿村中央構造線博物館HPより引用)
そして更に「鬼界カルデラ」も影響していると考えている。
国立研究開発法人海洋研究開発機構 鬼界カルデラ総合調査より引用
詳細は前回の記事を参照して頂きたいが(→こちら)
日本列島の成り立ちに関わる地質学的現象が
ミカワの分布状況に深く関わっている、と当方は考えているのだ。
だが、それを証明する手立てを当方は持ち合わせていない。
ただひたすら、この場末のblogで妄想を垂れ流すしかない。
そんな中、高橋春樹氏が8月23日にTwitterにこんな投稿をした。
以下、氏のtweetから同意の下、引用。
石垣島産クロニガイグチ類似菌。
柄の表面の上半部またはほぼ全面に
やや粗大な網目状隆起を形成し、
管孔は傷をつけると黒変します。
幼菌と傘表面。
これはミカワではないか!
どこからどう見てもミカワにしか見えない!
だが、高橋氏は当方みたいな在野の底辺キノコマニアと違って
キチンとした菌類学者なので
そう見えるからと言ってこのキノコをミカワだとは安易に断じない。
実はミカワはいまだに正式に学会に報告がされていないとの事。
従って顕微鏡的データ、DNA情報が不明の為
このキノコがミカワなのかどうかを正確に同定する事が出来無いのだ。
その為「石垣島産クロニガイグチ類似菌」としているのだ。
だが当方は無責任な底辺のキノコマニアなので
これはミカワだと確信している。
で、このミカワの発生が確認された石垣島は
地質学的には西南日本内帯に含まれると推定される、との事。
※地質調査総合センター「石垣島東北部地域の地質」の4頁目と6頁目参照
矢張りミカワの分布状況には西南日本内帯が関係している、と
考えて良いのでは無いだろうか。
当方の妄想がまた一つ補強された!
石垣島を含む南西諸島は鬼界カルデラの火山灰の影響は
風向きの関係で大きくなかったと推定される。
となると、沖縄でもミカワは発生していると考えられるし
更に言えば台湾でも発生している可能性もある。
ただでさえ狭い当方の交友関係の事。
その地域に知り合いがいないのが残念だ。
沖縄や台湾のキノコマニアの方がこのblogを見てくれていて
ミカワの事を気に掛けてくれたら嬉しいのだけどなぁ・・・・・・
それを祈らずにおれないよ。
(-人-) ナム〜
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