当方は「マダケの赤団子病」の事を追い求めている。
その過程で他の竹類寄生菌や
竹に関する色々な事を調べる必要が生じ
日本及び中国の様々な古文献を
渉猟する事にもなった(概略記事→こちら)。
赤団子病は日本でも発生しているので
目に付いた物は観察・撮影し、収穫もしていた。
赤団子は生薬でもあるので中国の通販サイトから購入もした。
その後も調査は可能な限り続けている。
さて、赤団子は中国では古くから知られており
竹赤団子、竹繭、竹赤斑菌、淡菊花、天竹花、
淡竹花、竹花、竹王、竹蠶(蚕の旧字)、
淡竹黄、竹三七、血三七、竹参
等の多くの異名を持っているが
生薬としての名称(薬名)は「竹黄」と言う。
所で「天竺黄」と言う薬名を持つ物がある。
それは、竹が寄生バチによって開けられた穴から
沁み出た浸出液が竹の内部で凝り固まった物で
外見的には岩塩に似ている。
天竺黄は「天竹黄」とも書かれ
略して「竹黄」とも称される為に
赤団子の「竹黄」と混同される事が多い。
なので、赤団子を追及している身としては
無視する事は出来無い。
関連物として手元に置いておきたいなぁ。
と言う訳で中国の通販サイトから購入する事にした。
中国通販サイトの日本語版にアクセス。
ホント、岩塩みたいだよなぁ。
画面内に実際「天竹黄 竹黄」と書いてあるなぁ。
赤団子と天竺黄の両方を知らなかったら
間違えて当然だよなぁ・・・・・・
因みに500g入り一袋10.5元との事。
1元≒26円(注文当時)なので270円て所か。
取り敢えず注文。
余りにも安いので逆に心配になってしまうw
また、以前取り上げた「竹燕窩」も
手元に置いておきたい物の一つだ(当該記事→こちら)。
だが、竹燕窩は生モノで水分を含んでいる為に
個人で輸入する事は不可能だ。
色々検索した所、セット物の乾燥食材の一部で
使われている事が判明したので
それも購入する事にした。
それがこちら「竹全宴」。
竹林で採取される食材を一袋に纏めた物。
内容物の一番最初に「竹燕窩」とある。
続いて「竹孫(実際は孫に草冠)」はキヌガサタケの事。
キヌガサタケは竹林で採取される、最も有名で
高級食材であるキノコだ(キヌガサタケの記事→こちら)。
続く「竹孫蓋」は胞子の含まれた粘液:グレバのある部分。
グレバは悪臭を放つのだが、それを洗い流した物の様だ。
最後の「竹孫蛋」は幼菌の時の卵の殻に当たる部分。
この両者が食用にされるとは知らなかったなぁ。
さすが中国と言った所か。
残りの「竹冬笋」は冬に採取する孟宗竹の筍、との事。
パッケージを見るに、纏めて煮て食べろ、と言う事らしい。
こちらは一袋68元。
て事は1800円くらいか。
まぁ、そんなもんでしょう。
取り敢えず注文。
序でに「雷丸」も購入しようかな。
雷丸は竹の根に寄生?共生?する菌で
樹木の根に発生するトリュフの竹版と言えようか。
雷丸も竹類寄生菌を調べていて無視出来無くなった物の一つだ。
日本でも発生はしているが当方は未見のキノコ。
フィールドで見付ける事は中々難しい。
なので、この際入手してみる事に。
こちらは100g=29.8元。
てことは780円程。
そこそこの値段だなぁ。
取り敢えず注文。
更に序でに、竹類寄生菌とは関係無いけど
ツクツクボウシタケも買ってみよう。
ツクツクボウシタケはその名の通り
ツクツクボウシから発生するキノコで
所謂「冬虫夏草」の一種だ(画像検索結果→こちら)。
「蝉花」の薬名で生薬として扱われている。
日本でも発生しており
当方も遭遇・採取をした事もあり
数点は標本として所有している。
それをザラザラと所持して置くのも面白いかな。
薬酒にして配るのも面白いかな、と思った次第。
こうやって一袋幾ら、て売ってるのだよなぁ。
こちらは100g=59.9元。
てことは1600円程。
単価で言えば結構な物だが思ったより安かった♪
更に更に序でに、セミタケも買おうかな。
セミタケも冬虫夏草の一種で(画像検索結果→こちら)
「独角蝉花」の薬名を持っている。
元々はツクツクボウシタケもセミタケも
「蝉花」として一纏めにされていたが
後年別々の物として扱われる用になった様だ。
ツクツクボウシタケは子実体が幾つも分岐し
白い胞子を纏っているのを花に見立てて
「蝉花」と名付けられたのだろうが
セミタケは一本の太い棒状の子実体なので
「独角蝉花」と名付けられたのだろうなぁ。
いや、面白い。
で、折角ならセミタケもザラザラ所有してみたい。
こちらは250g=188元。
5000円余りとややお高め。
でも、この際だから!、と思い切って購入。
それらを纏めて注文し
10日後に無事荷物が届けられた。
今回も荷物を訝しむ猫w
開封して取り出す。
因みに今回はセミタケは入手出来無かったとてキャンセルに。
一番高い物がキャンセルになったのでちょっと安心したw
こちらは天竺黄。
サイトの画像に比べると妙に白いなぁ。
これは人工モノか?
でも袋を見ると「初加工農産品」とある。
これは中国における「一次加工品農産物」の事で
「一次加工」とは
原料としての性質を大幅に変えたり
ほかの食材を加えたりすることなく、
洗浄やカット、加熱殺菌や冷凍などを
行う加工を指す(マイナビ農業より引用)
との事。
と言う事は天然物になるのだが、どうも怪しいなぁ。
何せC国クォリティだからなぁ。
うーむ・・・・・・
こちらは雷丸。
「初級農産品」とは天然物の無加工品、という事。
これは何も問題無く、ちゃんと雷丸の様だw
こちらは「竹全宴」。
早速中身を確認。
これは竹冬笋だな。
これは竹孫。
正にキヌガサタケだ。
こちらは竹孫蓋。
確かにグレバを洗い流した部分だなぁ。
こちらは竹孫蛋。
確かに幼菌の卵の外皮だなぁ。
あれ?竹燕窩は???
何処にも見当たらない。
内容物の紹介記述で真っ先に書かれているのに
入っていないだと???
これはどう言う事だ???
世間の皆様はキヌガサタケが購入動機で
竹燕窩はあっても無くても良い様な物かも知れないが
当方は竹燕窩の方がメインで
キヌガサタケはあくまでもオマケなのだ。
その肝心の竹燕窩がはいっていないなんて!
正しくこれがC国クォリティか・・・・・・
猫も憤慨してくれているよ。
こちらは蝉花。
「金蝉花」は蝉花の商品名なのだとか。
何故か謎のボトルがセットになっていた。
これを使って蝉花酒を造れ、て事なのかな。
当方的には使う用は無いし
はっきり言ってデザイン的にも使いたく無いなぁ。
資源ごみに出すしか無いかなぁ・・・・・・
それはともかく、ツクツクボウシタケが袋にギッシリ、
と言うのも中々に面白いw
しかし肝心の竹燕窩が入手出来無かったとはなぁ。
それと、天竺黄も怪しい物だしなぁ・・・・・・
ちょっとモヤモヤしてしまうよ。
暫く悩んだ末に、再度購入を決意。
別の店舗から竹全宴を注文。
更に、別メーカー製と思われる竹全宴があったので
それも注文。
こちらは先の商品に比べて半額以下と
妙に安いので気になってしまうw
天竺黄、独角蝉花も別の店舗のを注文。
さて今度はどうか。
暫くして荷物が到着
またしても訝しがる猫w
天竺黄はまたしても白過ぎた。
どう考えても合成品だよなぁ。
天然物は入手困難なのかもなぁ。
考えたら、寄生バチが穴を開けたからと言って
必ず天竺黄が出来るとも限らない訳で
更に竹を割ってみないとあるかどうかも判らない訳で。
収穫の手間暇を考えたら
そんな物が一袋数百円で買える訳無いよなぁ。
どう考えても合成品だよなぁ・・・・・・
サイトで高い値の付いた天竺黄があったとしても
それが天然物である保証は無い。
実物をこの目で見て、じゃないと怖くて注文も出来無い。
矢張り本国の生薬市場へ行かないとダメかなぁ。
それも中々ハードルが高いよ・・・・・・
さて竹全宴。
別メーカー製のは生産終了していたのか入手不可との事。
結局前回買ったメーカーの物しか送られて来なかった。
で、開封してみる。
これも竹冬笋と竹孫関連だけで
矢張り竹燕窩だけが入っていないじゃないか!
成分表示に真っ先に書くなよ!
こんなん詐欺やん!!
はぁ・・・・・・(-_-;)
こちらは序でに買ってみた竹全宴に関する書籍。
竹燕窩の情報が何かあれば、と思って購入してみた。
400円程度と安かったのでね。
書名には「全竹宴」とあるなぁ。
「竹全宴」は商品名、と言う事なのかな?
蜀南は四川省の南部にあり
竹海と言う広大な竹林が観光スポットになっている。
その面積は120平方?に及び
茨城県茨城町
山梨県富士吉田市
和歌山県みなべ町
熊本県山江村
宮崎県門川町
と同等の広さ、
又は
山手線の内側
宮城県岩沼市
埼玉県越谷市
静岡県熱海市
奈良県御所市
大阪府東大阪市
福岡県直方市
の2倍の広さなので
お近くの地域の方はその広さを想像してみて欲しい。
で、その蜀南竹海で採れる食材で調理された物の
パンフレットの様な内容だった。
全部で118種の料理が紹介されており
その中で竹燕窩が使用されているのは11種だった。
全体の1/10以下だから矢張りマイナーな食材の様だ。
しかも本書内での名称も「竹燕」はまだ解るが
料理によっては「竹花」となっているのが不思議。
上の方でも書いたのだが
「竹花」は赤団子の別名でもあるのだよなぁ。
こう言う所でも混乱を招いてしまっているのは困ったもんだ。
料理人にによって呼称が違うのだろうかなぁ。
それだけマイナーな食材と言う事か。
因みに竹燕窩が使われた料理の一部がこちら。
スープの中の黒い物がそれだ。
さらにこちら。
皿全体の濃褐色の物がそれ。
土台として使われているw
他の料理とかで見てもメインの食材では無い感じ。
あくまでも添え物的な立ち位置。
因みに袋売りの「竹全宴」を
そのまま調理したような料理は掲載されていなかった。
残念。
所で上掲画像。
まるでイカタケみたいに見えるw
まさか!?と思ったのだが
実際には淡竹の筍の先に放射状に切り込みを入れて
別の食材を挟み込んだ物だった。
良くこんな事考えるよなぁ。
余談だが、この本で気になった料理がこちら。
生のキヌガサタケの卵状の幼菌を四つ割りにしている。
上でも書いたが、悪臭を放っているであろうグレバ部分を
そのまま使っているのだ。
幼菌だから臭気は弱いのかも知れないが
何せ悪臭とは糞臭なのだ。
臭気をも楽しむ料理なのだろうかなぁ。
高級料理なのだろうが、とても食べる気にはなれない・・・・・・
中国恐るべし!
尚、独角蝉花は今回も入手不可でキャンセルとなった。
時期的な物があるのだろうかなぁ。
蝉花と違って中国での発生数が激減していて
入荷困難て事なのかなぁ。
謎だ。
と言う訳で、この度の2回にわたる
ワクドキ中華ショッピングは半分失敗に終わった。
その後検索した所、竹燕窩単品の乾燥品が売られている事が判った。
それを再々チャレンジで注文するかどうか、現在煩悶中。
独角蝉花に関しても煩悶中。
天竺黄に関しては諦める事にした。
中華ショッピングは日本では入手できない物が買えるので
ワクワクもするがギャンブルでもあるよなぁ。
ある意味、福袋みたいな物かも知れないなぁ。
だからワクワクドキドキするのかもなぁw
ただ、送料が一回5000円位掛かるのがなぁ・・・・・・
また気力が湧いたら
今度は乾燥竹燕窩を注文してみようかな。
その時はちゃんとした物が届きます様に・・・・・・
(-人-) ナム〜
※赤団子病関連アーカイブス→こちら
広葉樹の落ち枝上に
1.5?程度の小さな子実体が群生していた。
アップにするとこんな感じ。
先端が尖った状態を筆の穂先に見立てて
フデタケと命名されたのだろう。
筆にしては軸に当たる部分が小さくて細過ぎる気もするが
風流で可愛い命名だと思う。
『日本産菌類集覧』によると学名の登録は1879年と古く
「フデタケ」の命名は1939年、小林義雄によるとの事。
図鑑によると東南アジアを中心とした
アジア熱帯地域に分布しているとの事で
日本は分布の北限に当たる様だ。
フデタケはXylaria(キシラリア)科のキノコ。
キシラリアは科の上位分類である「属」の
更に上位分類である「キシラリア目(もく)」を形成しており
沢山の種類を含んだ大きな一群だ。
中でもマメザヤタケはその見た目から
「死者の指」とも呼ばれる為に比較的知られており
キシラリア目はマメザヤタケ目、
またはマメザヤタケの別名である
クロサイワイタケ目とも書かれる場合がある。
ただ、キシラリアの仲間は
多くの種類が似た様な見た目をしており
地味で目立たない上に
毒にも食用にも薬用にもならない?為か
分類・研究があまり進んでおらず
和名が付けられていない物も多い様子。
上掲の3画像も色々調べたが種の特定には至らなかった物。
研究者でも無い、当方の様な素人には中々難しい一群だ。
比較的有名であるだろうマメザヤタケも
掲載されている図鑑は多くない。
中でもマイナーなフデタケが掲載されている図鑑は更に少なく
当方が調べた限りでは
・標準原色図鑑全集14「菌類(きのこ・カビ)」 保育社刊
・北陸のきのこ図鑑 橋本確文堂刊
のみだった。
当然web上での情報も多く無く
Google検索では46件(2024/01/30現在)、
学名の "Xylaria apiculata" で
全世界を検索しても2770件(同上)だった。
全世界で2770件だからかなり少ないと言える。
黒い上に小さいので、発生していても
人の目に入っていない事が多いのかも知れないなぁ。
因みに学名の Xylaria は「木質」の意。
実際に子実体は硬く、緻密な組織で充実している。
apiculata(アピクラタ) は「先端が尖っている」の意。
筆の穂先状の子実体から来ているのだろう。
余談だが、apiculata は学名で良く使われる言葉の様で
キノコのチャホウキタケモドキ(Ramaria apiculata)の他に
酵母菌、珪藻類、更に様々な植物にも
使用されている模様(→Google検索結果)。
その為、apiculata だけで会話をした場合
相手が何の専門家・マニアかによって
指し示す物が全く違う事になってしまうので
注意が必要だ(なのか?)。
所でキシラリアの仲間は
完全世代と分生子世代(不完全世代)の
2形態を持っている事が多い、との事。
時期や条件によって胞子の状態を
有性胞子と無性胞子(分生子)とで生成し分けているのだ。
その一例がこちら↓。
Xylaria liquidambar(キシラリア・リクイダンバル)
または
Xylaria liquidambaris(キシラリア・リクイダンバリス)
と名付けられているキノコで
和名は「フウノホソツクシタケ」、
または「フウノミフデタケ」が提案されている由。
上の画像は5〜6月の発生状況だが
9〜10月頃になるとこちら↓の画像の様に様子が一変する。
同じキノコなのだが、時期で形状が変わっている。
つまり、5〜6月は無性胞子を形成・放出する分生子世代、
9〜10月は有性胞子を形成・放出する完全世代なのだ。
恐らく、「フウノホソツクシタケ」は分生子世代を
「フウノミフデタケ」は完全世代を見て命名されたのだろうなぁ。
知らなければ全くの別種として見てしまうよなぁ。
となると、こちらの画像。
フデタケの周囲に発生している先端の白いピン状の物は
フデタケの分生子世代だったのかも知れない。
当時は「何か2種が混在してるな〜」と
何も考えずに撮影していたのだが
フデタケ状の子実体は前年に発生した完全世代、
ピン状の物はその時に発生した分生子世代だったのかもなぁ。
フデタケに分生子世代がある、とは
どの図鑑にも書かれていなかったが
状況から推定するに、そうとしか思えない。
実際、"Xylaria apiculata"で画像検索すると
白いヒョロヒョロした子実体の画像もhitするので(→こちら)
矢張りピン状の物は分生子世代で合っているのだろうなぁ。
となると、正体不明として扱っていたこちらの画像↓
古くなって崩壊しつつあるフデタケと
新鮮なフデタケ分生子世代だったのかも知れないなぁ。
いやぁ、気付かなかったなぁ。
まぁ、撮影当時は知らなかったのだから仕方ない。
次に遭遇する機会があったらもっと良く観察してみよう。
ただ、画像のフデタケを撮影した場所は造成されてしまい
発生環境が消滅してしまったのはとても残念だ。
また何時か何処かでフデタケに遭遇してみたい物だ。
因みに、1月にupする記事なので
1月→正月→書初め→習字→筆
の連想でフデタケを取り上げてみた次第w
尚、「筆のキノコ」と言えばコウボウフデがあるが当方は未見。
コウボウフデも一度遭遇してみたいキノコの一つだ。
]]>
某公園に敷き詰められたウッドチップ上に多数発生していた。
イカタケは籾殻の積まれた場所や
ウッドチップ上に発生する事が多いとの事。
白い胴体から触手の様な腕が伸びていて
横から見るとそれこそイカの様な形状をしている。
触手の付け根に当たる部分に
胞子の含まれた粘液(グレバ)があり
それが異臭を放つ事でハエを呼び込み
グレバを舐め取らせる事により
胞子の飛散をさせる、と言う生態を持つ。
実はこのイカタケは自力で遭遇した物では無い。
10月21日にwvwyoさんがTwitter上に
足の踏み場が無い程イカタケが発生している、と
upしていたのだ(→こちら)。
wvwyoさんは当方が勝手に菌友と思っている人で
行動範囲は当方と結構隣接している。
と言う事はこのイカタケも当方居住地域から
それ程遠くない場所で発生しているのかも知れない。
イカタケは発生が多くないとされる珍菌。
掲載されている図鑑も少ないがとても目立つビジュアル。
一度は実物をこの目で見てみたい物だよなぁ、と
思っていたキノコの一つだ。
それを目の当たりにする事が出来るかも知れない!
思わずDMを送ってしまったよ。
するとwvwyoさんは快く発生場所を教えてくれた。
そこは当方の家から車で30分程の場所。
おぉ、それなら気軽に行ける!
これは是非とも行かなければ!
場所を教えて貰って数日後、早速現場へ。
発生場所を教えて貰ったとは言え
情報は
「〇〇公園のウッドチップの撒かれている所」
と言う内容。
その公園には着いた物の、果たしてピンポイントで
発生場所を探し出せるのだろうか・・・・・・
取り敢えず公園に足を踏み入れる。
すると全体にウッドチップが撒かれている事に気付く。
そしてふと見るとイカタケが目に入った。
その辺一帯がウッドチップの撒かれた場所だったのだが
その辺一帯のそこここにイカタケが生えていた。
それこそ気を付けないとうっかり踏んでしまう程に
そこら中に発生していた。
ただ、目立つ色では無いし、それ程大きい物でも無いので
ちょっと引きで撮影するとなんだか良く判らなくなるのが残念。
だが、本当に公園一帯のそこら中に
笑ってしまう位にイカタケが生えていたよ。
イカタケは発生の少ない珍菌、て話だった筈だよなぁ・・・・・・
この場所はこんなにもイカタケ好みな環境なのだなぁ。
タイミング的にやや合わなかったのか
枯れたり乾燥した個体が多かったが
発生直後や、
これから伸長しようとしている個体が幾つもあった。
そして伸長し切った個体も。
更に卵の状態の物も沢山あったので
暫くは発生が続くのだと思われる。
一部の卵を掘り出してみる。
根の様な菌糸がモジャモジャと出ており
ウッドチップが更に細い菌糸によって
真っ白に見える程、縦横無尽に絡め取られている。
この一帯にウッドチップが敷かれているのだから
イカタケの菌糸は恐ろしいほどの量になるのだろうなぁ。
こちらは孵化直前の状態か、触手の輪郭が見えている。
数時間後には孵化するのだろうか。
こちらは卵が輪を描いている。
菌輪になっている様だ。
wvwyoさんがTwitterに菌輪で発生しているイカタケを
「イカリング」
とupしていたので真似をしたかったのだが(→こちら)
タイミングが合わず残念・・・・・・
こちらは根元から折れていた個体。
誰かに蹴られたのかな?
スポンジ状の断面が良く判る。
こちらは根元から抜けていた個体。
卵の内側の模様が面白い♪
因みに現場は公園なので遊具で遊んでいる親子連れも居た。
それをイカタケ越しに撮影w
此処にこんな珍菌が生えている事に興味も無いのだろうなぁ。
まぁ、怪しい風体の男がうずくまって何かをしていたら
其処から目を逸らしたくなるのは当然かも知れないけどねw
とにかくそこら中イカタケだらけなので
どれだけ撮影してもし切れない状態。
調子に乗ってズラズラと列挙してしまったが
これでもかなり厳選した次第。
折角なので、比較的綺麗な成菌と卵を少し持ち帰る。
卵はウチで育ててみよう♪
持ち帰った成菌を撮影。
見れば見る程奇妙な形だ。
こちらは持ち帰る最中に孵化した物。
卵の皮が張り付いてしまって上手く成長出来ず
柄が折れてしまっていた。
中々繊細な物なのだなぁ。
撮影後は全て冷凍庫にて凍結乾燥させる事に。
卵はミズゴケを敷いたタッパに埋めた。
こうして経過観察する次第。
2日後、孵化した個体が。
卵の皮が張り付いていまっていて窮屈な様子。
取り除くように剥がすとみるみる触手が伸びて来た。
此処までで2分程。
皮を剥がさなかったらこれも折れてたのかもなぁ。
3日後。
別の卵が孵化していた。
こちらも皮が張り付いた状態。
柄は根元で折れてしまっていた。
皮から剥がし、取り出した状態に。
卵の内側の模様と、スポンジ状の絵の断面が良く判る。
柄の部分をアップで。
白いトウモロコシみたいだ♪
そして卵の皮を剥がした事によって
解き放たれたように触手が広がり始めた。
15分後、この状態に。
すっかり縦に伸長した。
さらに30分後。
今度は横に広がった。
この後は萎み始めると思われるのでこの状態で凍結乾燥に。
にしても卵の皮がどうしても張り付いてしまうよなぁ。
以前、キツネノタイマツを孵化させた時も
同様の状態になった事があった。
室内で孵化させようとすると
どうもそうなってしまい勝ちな様だ。
頻繁に霧吹きで水を掛けても
室内だとどうしても乾燥してしまうのだろうなぁ。
フィールドの地表付近と言うのは
当方の想像以上に湿度が高い、と言う事なのだろう。
となると、何か方法を考えないとなぁ。
其処で、試しにタッパ全体を覆ってみた。
八百屋で一盛り幾らの物を買った時の器を
取って置いたのが丁度良かった♪
器に入れた翌日、早速孵化していたよ。
ちゃんと脱皮して綺麗に伸展していたよ♪
矢張り地表付近の空中の湿度が大事なのだなぁ。
どれだけ霧吹きで湿らせてもそれだけではダメなのだなぁ。
その後も次々続々と孵化。
全て凍結乾燥させる事に。
こちらは死んでしまった卵。
表面にカビが生えてしまっていた。
中身を確認。
すっかり溶けてしまっていた。
残念。
新鮮な卵を割ってみる事にした。
縦に半分にする。
片方を剥いてみた。
成程、こうやって納まっていたのか。
いやぁ、面白いなぁ。
折角なので、これはこのまま凍結乾燥する事に。
それにしても不思議な形だよなぁ。
イカタケに取って重要なのは
胞子を飛散させる為にハエにグレバを舐めて貰う事。
触手はそのハエの足場として機能しているのだろうなぁ。
中心部に他のハエが陣取って独占していたとしても
触手のグレバを舐めて貰う事も出来る訳だしね。
ただ、触手部分にどの程度グレバが付着しているかは
画像検索で見ると結構個体差がある様だ(→こちら)。
今回撮影したイカタケの中にも
触手にグレバが殆ど無い個体もあった。
グレバの無い触手はそうなると
中心部が空くまでの順番待ちの場所、て事になるのかな???
所で、上の方でグレバはハエを呼ぶ為に異臭を放つ、と書いた。
例えばキツネノタイマツや
キヌガサタケは糞臭だったり
カゴタケは
腐敗又は発酵した果物のニオイだったりしている。
ではこのイカタケはどうだろうか。
因みに『日本のきのこ』山と渓谷社刊には
「強い腐肉臭」
とあった。
しかし、現場ではあまり感じなかったのだが
持ち帰った際に車内に充満したニオイで言うと
当方は「海辺のニオイ」と感じた。
ただ、爽やかな磯の香では無く
古い漁網やゴミ、魚の死骸が放置されていて
フナムシがワサワサしている様な場所のすえたニオイ。
※余談だが「すえた」って「饐えた」と書くのを今回初めて知ったw
実際、バケツで家に持ち帰った際に
外で蓋を開けたら、その瞬間に大きなハエが寄って来てたよ。
海のニオイだからイカの形なのかなぁ。
いや、まさかね・・・・・・
ただ、不思議と現場ではそこまで臭わなかった。
だからなのか、
ハエがグレバを舐めに来ている場面には遭遇出来無かった。
現場で唯一確認できたのはこの↓画像の
コバエが一匹止まっている場面だけだった。
グレバが乾燥してたからニオイが広がらなかったのかなぁ。
地形による気流の関係でニオイが広がらなかったのか、
森の中だと他の何かとニオイを打ち消し合ってしまってるとか、
色々な理由があるのかも知れないが。
所でイカタケは食べられるのだろうか?
先にも書いたが図鑑には「悪臭」とか
「強い腐肉臭」とか書かれているので
とても食用になるとは思えない。
実際、『カラー版きのこ図鑑』家の光協会刊には
「食不適」としっかり書かれてもいる。
だが上掲のキヌガサタケは
同様に悪臭を放つグレバを有しているが
中華料理の高級食材として知られている。
(Amazonの通販サイトより引用)
となるとイカタケも食用になる可能性はあるのでは???
因みに、実際にイカタケを食べた人はいる様だ。
『きのこ、だけ』のもせてさんによると
「イカのゲソを刺身でいただいているような食感」
「適切に味付けすれば、人にもよるが、
「美味しい」という感想を持っても不思議ではないと思った」
との事(→こちら)。
「グレバの刺激臭もほとんど無く」
とあったが当方には無理な臭気だった。
グレバの臭気には個体差(地域差?系統差?)があるのだろうか。
それとも個人の臭気の受け取り方の違いなのだろうか。
まぁ、上述した様に磯系のニオイ?なので
ホヤやナマコなどの強烈な磯の香りが好きだと言う人には
許容範囲なのかも知れないなぁ。
ただ、イカタケ本体の大きさは個体差があり
かなりまちまちだし
大半はキヌガサタケの様なボリュームは無いので
余程群生している状態じゃないと
収穫する甲斐は無いと言えるだろう。
その意味でもあまり食用には向いてないのだろうなぁ。
所で先にも書いたが
今回収穫+孵化させたイカタケは
全て冷凍庫で凍結乾燥させ、標本にする事にした。
すると、冷凍庫だけでなく
冷蔵庫全体にイカタケのすえたニオイが充満してしまった。
ある日、冷凍バナナをおやつに食べようとしたら
バナナにイカタケ臭が沁み込んでしまっていて
ウヘァ・・・・・・(;´Д`)な気分になってしまったよ・・・・・・
慌てて消臭袋にイカタケを閉じ込め
脱臭剤を通常の3倍の量を設置して
何とかニオイを抑える事に成功したよ・・・・・・
これだけの苦労をしたのだ。
イカタケの標本は何とか綺麗に仕上げたい物だ。
]]>
直径1?程の球形のキノコだ。
山中の地形の開けた部分に発生する為に
山道の路面や、斜面で遭遇する事が多い。
毎年行く岐阜山中でも、この様に山道際の斜面での発生が多い。
以下、画像をダラダラズラズラ列挙して行く。
こちらは斜面の奥まった部分に群生していた。
お供え物みたいで可愛い(・∀・)♪
白い胴体に、赤い頂部が特徴的。
和名は赤い部分を唇に見立てた物。
一目瞭然で解り易く、しかも風流な命名だよなぁ。
因みに学名は Calostoma japonicum 。
Calostoma は「美しい口」の意味との事。
「クチベニタケ」と命名した感覚と共通している模様。
japonicum は「日本産の」の意味。
日本では比較的遭遇する機会は多いのだが
世界的に見ると局所的な珍菌と言う事になるらしい。
菌類の学名が全て掲載されている、と言う
Index Fungoram で「Calostoma」を検索すると
35種類程のクチベニタケ属のキノコがhitする(→こちら)。
全世界で35種類だとかなり小さな属と言う事になるなぁ。
『日本産菌類集覧』によると
日本で発生しているのはその内の4種類との事。
4/35が日本で発生している、と考えると
日本に多く産している特徴的な菌、と言う事になるのだろうかなぁ。
クチベニタケは地上部は丸い体なのだが
地中部分がまた特徴的な形。
こちらは乾燥標本。
まるでタコの足の様だ。
通常は丸い本体を地表スレスレに発生させているのだが
時としてタコ足部分が地上に伸びて
それこそタコ型宇宙人状態で発生している事もある。
ただでさえ可愛い姿がより可愛い(・∀・)♪
さてこのクチベニタケ。
外見だけで無く、内部構造も独特だ。
縦に二つ割にした状態がこちら。
胞子が詰まった小さな袋状の部分が上部にあり
それ以外の大部分が空洞なのだ。
その空洞部分は胞子を飛ばしやすくする為のエアロパーツに当たる。
空洞部分に受けた刺激は胞子の入った袋を
外側に押し出す形で効率良く伝わる事になる。
つまりクチベニタケは、より少ない刺激で
より胞子を飛ばす為の構造で形成されたキノコなのだ。
その様な構造はクチベニタケ属以外には見られない。
どうやってそんな進化をしたのか、不思議でならない。
因みにクチベニタケの一つを摘まんでみた。
唇部分の狭い隙間から、ご覧の様に勢い良く胞子が噴出した。
所でクチベニタケは一見柔らかそうだが
実は革質と言うか、爪の様に
又は茹でた牛スジの様にとても硬い。
上記の断面画像も二つ割にする時にかなり苦労した。
その為に切断後は大きくへしゃげてしまったし
袋内の胞子は切断作業の際に全て放出されてしまった次第。
だが発生当初は柔らかいとの事。
こちらの画像は幼菌の断面。
(Pandaさんの『花の日記』より拝借)
幼菌の時は全体が胞子でギッシリなのだが
成長して硬くなると共に空洞が広がる、
と言う事なのだろうなぁ。
その成長の仕方を想像すると、とても不思議だ。
こちらはかなり古くなっているのか
唇部分の色褪せた状態の個体。
こちらは唇部分どころか胞子の袋まで脱落して
ぽっかり口を開けてしまっている。
右の個体が無かったら
チャワンタケの仲間だと判断してしまっていただろうなぁ。
こちらは帰宅後に画像を見ていて
一番上のクチベニタケに穴が開いている事に気付いた。
幼菌の時に虫に食べられたのだろうかなぁ。
撮影時に気付いていたらちゃんと確認していたのになぁ。
残念だ。
こちらは溶け掛けの残骸。
全体が脆くなっていたとは言え、胴体部分は弾力があった。
唇部分は脱落寸前の状態だったので
取れない様に拾い上げるのに結構気を使ったよ。
あの硬い本体が此処までに柔らかくなるのに
どれくらいの月日を要するのかは不明。
と、この様に今迄岐阜山中でだけ遭遇していたのだが
今年になって通い始めた近所のフィールドでも
遭遇出来たのでビックリしたよ。
近所とは言え、高低差のある林の切通しの斜面なので
殆ど山道とは言えるだろうけど。
とは言え、3個体だけだったので
岐阜山中に比べると微々たる数なのだが。
こちらは5日後の様子。
右側の個体に穴が開いた状態。
唇の一部が欠けて中が見えている。
胞子は全て出て行ったのか、空っぽだ。
所で、先に書いたがクチベニタケ本体はとても硬い。
この状態にするのに実は結構な力を要した。
例えばホコリタケの仲間は雨粒の刺激で胞子を飛ばすと言う。
外皮は薄く、乾燥後もペラペラしているので
雨粒程度の刺激でも大きく凹む為に十分効果があるのだ。
ニセショウロの仲間など、大きな口を開けたり
大きく裂けた状態なら風を受けて胞子を飛ばすだろう。
だが、クチベニタケは本当に硬いので
雨粒の刺激程度で胞子を飛ばせるとも思えない。
唇部分はスリットの様な極細い隙間しか無いので
風を受けて胞子を飛ばせる様にも思えない。
唇部分が欠けて穴が開いた状態ならともかく
欠けていない個体の方が圧倒的に多いしなぁ。
タコ足で地面にしっかりしがみついているので
例えばツチグリの様に転がって胞子を飛散させる訳でも無い。
一体クチベニタケの胞子飛散戦略はどうなっているのだろうか。
山道に良く発生する、と言う点で
野生動物に踏まれる事によって胞子を飛散させるのか、
とも考えたのだが、実際には斜面での発生が多いので
それには向いてないしなぁ。
何故、噴出孔がとても狭いのか、
何故、エアロパーツ部分があんなにも硬いのか。
胞子を飛散させるにはデメリットとしか思えないのだが
それでも、そうする事によって得られるメリットが
当然何かある訳なのだろうけどなぁ。
実際、画像の様に群生している事も多いのだし
それだけ胞子が広範囲に飛散している、という訳なのだし。
うーん、良く判らない・・・・・・
謎だ。
まぁ取り敢えず、これからも遭遇した時には
タコ姿を普通に愛でる事にするよ♪
【オマケ】
同じ環境に発生し、全体が赤い物にホオベニタケがある。
「頬紅茸」と言うのもまた風流な命名だよなぁ。
因みに学名は未確定なので
先のIndexFungoramの検索結果には反映されてはいない。
『日本産菌類集覧』にも記載が無いのは記載漏れなのだろうか。
地表部はクチベニタケと色合い以外の差は無いが
柄の部分がタコ足では無く、細根状だ。
クチベニタケと同種とする意見もある、との事だが
DNA的にはどうなんだろうか。
研究者でもない当方には知る由も無い。
因みにクチベニタケに比べると発生は少ない様だ。
また、クチベニタケと外見上の差異は無いが
胞子の形だけが違っている、と言う
「ツチイチジクタケ」と言うのもある由。
上掲のクチベニタケ画像の中に
ツチイチジクタケが含まれている可能性も無くは無いが
顕微鏡を持たない当方には判断のしようも無いので
全て「クチベニタケ」と勝手に断じた。
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これはウズタケだ。
ウズタケはヒダが同心円状に広がっているのが特徴で
発生の少ない珍しいキノコとの事だが
このフィールドでは安定的に発生している様で
大体年に一回は遭遇している。
なので「ほう、今年も遭遇出来たな」と撮影。
ふと周囲を見回すと他の個体も発見。
稀菌とされるウズタケにしては発生の多いポイントとは言え、
一度に複数の個体に遭遇する事は多くない。
複数遭遇も久し振りだなぁ、と思いながら
更に見回すとまた別の個体が。
と、幾つもあるでは無いか!
このフィールドに通う様になって15年以上経つが
こんな事は初めてだ!
更に周囲を確認。
すると、次々にウズタケ個体を確認出来た。
発生の少ない、珍しいキノコである筈のウズタケが
こんなに集中して発生しているなんて事もあるのだなぁ・・・・・・
そして全てが地際に発生しているので
基本的にどの個体も周囲の枝や枯葉を巻き込む
「突き抜け物件(©役に立たないきのこ@at384さん)」だった。
中には弧を描くように並んでいたポイントも。
これは菌輪なのだろうか。
そもそもウズタケが菌輪を描く様な発生を
する種類なのかどうかは知らないのだが。
そんなこんなで、この山道を挟んだ一帯で
少なくとも20個体の発生を確認。
ただ、とても地味な色だし
群生や束生している訳でも無いし
しかも地面スレスレに発生しているので
沢山生えている様に見えないのが何とも残念。
とは言え、これはかなり珍しい事なのでは無いだろうか。
因みにweb検索してもウズタケの大量発生の記事は発見出来ず。
かなり珍しいだろう現象に立ち会えた事に一人ほくそ笑むw
所でウズタケは同心円状のヒダが特徴のキノコなのだが
時として網目状(管孔状)になる事があり
それは「アミウズタケ」と呼ばれる由。
そしてウズタケをアミウズタケと同一種とする意見と、
ウズタケはアミウズタケの変種とする意見とがあるのだとか。
その辺り、図鑑ではどう記載されているのだろうか。
取り敢えず手当たり次第に調べてみた。
とは言え、ウズタケが掲載されている図鑑自体かなり少なく、
当方が調べた範囲では以下の4冊だけだった。
それぞれの解説と共に列挙する。
・『日本のきのこ』山と渓谷社刊
「ウズタケ」として掲載しているが、解説文の中で
ウズタケはアミウズタケの変種と記載している
ヨーロッパには管孔型、
日本・北米にはウズタケ型が多いの記述あり
・『山渓フィールドブックス きのこ』山と渓谷社刊
「ウズタケ」のみの掲載
ヒダの様子を「同心円状〜迷路状〜管孔状」
としているが、「アミウズタケ」の解説は無し
・『原色日本新菌類図鑑』保育社刊
「ウズタケ」として掲載しているが、
ウズタケとアミウズタケを同一種とするGilbertson
の説を紹介しつつ、ウズタケをアミウズタケの変種とする
今関の意見を付記している
・『北陸のきのこ図鑑』橋本確文堂刊
「(アミ)ウズタケ」として掲載しているが、解説文で
「管孔が同心円状になるウズタケとされる場合もあり、
区別しない場合もあるので和名のアミに( )を
付してある。」と付記している
上記で見る限り、両者の立ち位置は決定されてはいない様だ。
勿論、最新の学会情報を当方は知らないので
今はどうなのかは判らないのだが。
と言う訳でウズタケに遭遇する度に
出来るだけヒダの様子を確認する事にしている。
それを以下に列挙。
こちらはかなり網目が顕著な個体。
これだけを見たらウズタケとは思えないよなぁ。
こちらは管孔と同心円が混在している個体。
この場所ではこのタイプがとても多い。
こちらはきれいな同心円状の個体。
この場所ではこのタイプはかなり珍しい。
この場所で多くのウズタケに遭遇している当方も
ここまでちゃんとウズタケなのは初めてかもなぁ。
この場所で発生するウズタケは実は殆どがアミウズタケだ。
と言う事はこの場所にあるウズタケ菌は
ヨーロッパ型と言う事になるのかな。
同心円型ウズタケを採取しようとした所、
根元がごっそりと出て来た。
このウズタケがたまたま植物の根を巻き込んでいた為に
地下に広がっていた菌糸と共に掘り出された様だ。
となると、この一帯の地下には
この様な菌糸の塊が広がっていると言う事になるのだろうなぁ。
想像すると凄い事だよなぁ。
となると、この様に↓
弧(菌輪の一部)を描いて発生していても
不思議ではない事なのだろうなぁ。
元々発生が多くないキノコだから
菌輪を描ける程の量を発生させるのが
難しいだけなのかも知れないよなあ。
採取したウズタケを帰宅後詳細に撮影。
菌糸はウズタケ本体と同じ褐色なのだなぁ。
今迄も採取した個体の根元に
褐色のモケモケがちょっと付いていた事はあったが
此処まで顕著なのは初めて。
ウズタケの標本が世界中にどれだけあるのかは判らないが
こう言う状態の物はひょっとして世界初???
そうだったら面白いなぁ。
所で、キノコが発生している場所の事を
キノコマニア達は「シロ」と言う。
元々はマツタケの発生する場所の事を指し
それは地中でマット状に広がるマツタケの菌糸が
白い事に由来しているとの事。
マツタケが発生している地面を掘ると
マツタケの白い菌糸マットが見えるのだと言う。
マツタケはそのシロの辺縁部に発生する為に
時として列をなして発生する事があり
それが円を描いている場合を菌輪と言う。
実際には地中の障害物に邪魔をされたり等で
綺麗な円になっている事は多くないので
円が途切れた円弧状だったり
円の半径が大きい場合は直線状になっていたりもする。
そして、そこから敷衍してキノコの発生地点の事を
「シロ」と称している。
ウズタケも本来は菌輪を描いて
発生する事のある種類なのだろう。
だが、ウズタケは元々発生が多くないので
列を描く事が殆ど無いだけなのだろうなぁ。
発生が少ないキノコ、と言う事は
通常の状態なら他のキノコに負けてしまって
中々生えて来る事が出来無い、と言う事なのだろう。
だが今年の名古屋は雨が少なかった上に
夏の異常な暑さが長期間に及んだ。
その為、例年に無い程キノコの発生が少なかった。
多くのキノコに取って
発生したくても発生出来無い状態だったのだろう。
それ程迄に菌糸が痛みつけれ弱ってしまったのだろう。
だが、ウズタケの菌糸はその気候に弱る事も無く
他のキノコ達の勢力が弱ったのをこの時とばかりに
発生したのでは無いだろうか。
マツタケは実はとても弱いキノコで
他のキノコに簡単に負けてしまうので
腐葉土の少ない、貧栄養の状態の土にしか
発生出来無いと言う。
昔々は枯葉や落ち枝は日々の家庭の燃料とする為に
森林から徹底的に持ち去られていた。
そうすると腐葉土が作られ難い為に
土壌が貧栄養である事が通常の状態だった。
その為、多くのキノコは発生する事が難しく
貧栄養土壌でも生育が出来るマツタケにとっては
好条件だったのだ。
やがて燃料事情が変わり
枯葉や落ち枝が持ち去られず
放置される様になって土壌は富栄養化した。
そうなると他のキノコが勢力を伸ばす様になり
競争力の弱いマツタケは勢力争いに負けてしまった。
現在、マツタケの発生が少なくとても高価なのは
それが原因だと言う。
ウズタケにも同じ事が言えるのでは無いだろうか。
競争力の弱いウズタケは
普段はじっと耐えて地中で息を潜めていて
たまに1本程度のキノコを発生させるのが精一杯なのだが
多くのキノコが弱った気候の今年はスキを突く様に
それ!今だ!!とばかりに発生したのでは無いだろうか。
今迄に無い大発生と、今年の気候を鑑みるに
そう思えてならない。
それにしても、このウズタケ達が生えていた範囲は
ざっと見ただけで少なくとも20m四方はある。
競争力の弱いだろうウズタケが
他のキノコ達とシノギを削りながら
それだけの範囲のシロを形成する為に
どれだけの年月を要したのだろうか。
そして今年の様な発生のチャンスを
どれだけ待ち続けたのだろうか。
考えると気が遠くなりそうだ。
となると、発生が少ないとされている他のキノコも
何かの条件で大発生する事があるのかも知れないよなぁ。
近年は「異常気象」と言われる事が多いが
それは大きな気候変動の現れかも知れない訳で
今迄とは違う気候が今後定着するのかも知れないのだ。
と言う事は、これまで見掛ける事の少ない、
又は全く無かったキノコが
次々続々と大発生する可能性もある訳だ。
それはそれで楽しみではあるなぁ♪
来年以降もどんなキノコが姿を見せてくれるのか
ワクワクドキドキが止まらないよ♪
普通に今迄通りに季節が流れて
例年通りのキノコが沢山生えて来てくれる事も
望みたいのだけどね・・・・・・(;´Д`)
※過去記事・関連記事も併せてお読み頂けましたら幸いです
アーカイブス→こちら
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こちらはキヌカラカサタケ(多分)。
肥沃な土壌に発生するキノコで
愛知東部のとある林内地上に発生していた。
「キヌカラカサタケ」と言えば
レモンイエローのコガネキヌカラカサタケが良く知られている。
室内の鉢植えやプランターに突然発生する事が多く
キノコマニアでは無い人が驚いて
「変なキノコが生えて来た!!」とSNSで発信している為に
Twitter上では毎年何件も目にしている(→Google画像検索結果)。
で、今回のキヌカラカサタケは
コガネじゃない、白いバージョン。
その為、「シロキツネガサ」との別名もある由。
コガネキヌカラカサタケは発生が多い為か
全国版のメジャーな図鑑に掲載されているが
コガネじゃないキヌカラカサタケは
当方が調べた限りでは
『原色日本新菌類図鑑(I)』 保育社刊
のみだった。
キヌカラカサタケの学名はLeucocoprinus cepistipes
(レウココプリヌス ケピスティピス)。
因みに上記の新菌類図鑑にはLeucocoprinus cepaestipes
(レウココプリヌス ケパエスティペス)と記載されている。
そのままGoogle検索をすると
「もしかしてLeucocoprinus cepistipes」となって
Leucocoprinus cepistipesでの検索結果が出て来る。
これは「cepaestipes」が綴り間違いと言う事なのだろうか???
良く判らない。
cepaestipesは「タマネギの茎」との事で
このキノコの基部がタマネギ状に膨らんでいる事を表している由。
このキノコの最初の登録者Grayは
「タマネギの茎の糞便」との通称を提案したのだとか。
理由は不明だが、このキノコのニオイを糞臭と感じのだろうかなぁ。
ただ、Grayは
キヌカラカサタケとコガネキヌカラカサタケを混同していたらしい。
上記の「タマネギの茎の糞便」も
コガネキヌカラカサタケの事を指していた様だ。
『日本産菌類集覧』によると
キヌカラカサタケの登録は1871年、
コガネキヌカラカサタケは1961年との事。
かなり長い間、混同されていたのだなぁ。
で、コガネキヌカラカサタケの方は月刊きのこ人氏によると
「黒板消しと苛性ソーダを足して2で割ったようなニオイ」の由。
それを糞臭と感じたのかどうかは不明。
当方はコガネキヌカラカサタケもキヌカラカサタケも
ニオイを嗅いでいないので判定不能。
実際、コガネキヌカラカサタケとキヌカラカサタケは
今でも混同されている事が少なくない様で
web上でもキヌカラカサタケと思れるキノコが
コガネキヌカラカサタケとして紹介されている模様。
写真ACさんのサイト
タイルアート工房 ラ ガジェータさんのblog
勿論、コガネキヌカラカサタケが個体差で色が薄い場合や
コガネキヌカラカサタケのアルビノの場合もあるかも知れず
あくまでも当方の見た目での判断でしかないのだが。
外見上は色の違いしか無く
コガネキヌカラカサタケの方がインパクトが強いので
キヌカラカサタケの存在が目立たないのは
まぁ仕方無いかも知れないよなぁ。
世の中、見た目がとにかく重要だからなぁ。
キヌカラカサタケは、コガネキヌカラカサタケを含む
キヌカラカサタケ属の基準種なのに
存在感が薄いのは哀しくなってしまうよ・・・・・・
コガネキヌカラカサタケは本来熱帯亜熱帯に発生するキノコで
日本では沖縄、小笠原以外の場所では
観賞用植物や用土から持ち込まれた物と考えられていると言う。
一方、キヌカラカサタケの方は元々日本に自生していた物らしい。
だが、上述している様に発生はあまり多くないので
愛媛県レッドデータブック2014によると
愛媛県では「絶滅危惧1類(CR+EN)」に指定されている由。
「絶滅危惧1類(CR+EN)」とは「絶滅の危機に瀕している種」で
指定理由として
広く分布する種と考えられているが、
発生環境が不安定であり県内での記録は非常に少ない
だからとの事。
本当に絶滅危惧種なのかどうかは判然としないが
発生の記録が少ない、と言うのは
コガネキヌカラカサタケと比べるとインパクトが弱く
目立たないから、と言うのも大きいのでは無いだろうか。
また ヒメカラカサタケ(→Google画像検索)や
シロヒメカラカサタケ↓
と言うキノコはとても良く似ており、
それらと混同されている事例もあるのかも知れない。
尚、英語版wikiによると
通常褐色になる乾燥した時のヒダの色合いが
緑や桃色になる変種がある、との事。
それが日本に発生しているかどうかは調べ切れなかった。
さて、コガネキヌカラカサタケは
上記の月刊きのこ人氏の記事によると
「ものすごい強い旨み」で「激ウマ」の大変美味なキノコ、との事。
更に、ざざむし。氏の記事でも
「こっくりとした旨味」「うっまい」と激賞していた。
近縁種であるこのキヌカラカサタケも美味の可能性は高いが
キヌカラカサタケを食べた、と言う記事を
見付ける事は出来無かった。
当方も試食者第一号になる気にはなれなかったので収穫はせず。
どなたか、機会あらば是非チャレンジを!
美味である確率が高いと思われるので
チャレンジする価値はかなりあるのでは無いかと。
どう言う結果になっても当方は責任は取れないのだけどね( ̄∀ ̄)
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とある斜面に目が行った。
其処は起伏を削って通路にした法面に相当する場所。
土が露出している部分に何かがある。
これはカゴタケでは無いか!
しかも干乾びている状態だ。
カゴタケについては過去に2度記事にした事がある。
カゴタケはおよそキノコには見えない
奇怪で不思議な姿のキノコだ。
こちら↓は2009年に遭遇したカゴタケ。
東大阪時代に1度、名古屋では今回で3度目だ。
カゴタケはあまり発生が多くない種類との事。
それが名古屋に転居して以来、15年で3度だから
5年に1度の遭遇頻度と言う事になる。
オリンピックより間隔は長いけど
元々がレア菌なので確率は高い事になるのかな???
で、今回のカゴタケ。
外皮から飛び出る事も無く、引っ掛かった状態で干乾びていた。
正常に成長した場合は外皮から離れて転がり出るのだが
上手く成長出来無かったのだろうか。
そう言えば前回の遭遇時↓もちゃんと成長出来ていない状態だった。
降り積もった枯葉に埋もれて腐りかけていたのだ。
カゴタケは成熟し難い特徴があるのだろうかなぁ。
干乾びカゴタケの周囲を見ると怪しげな白い塊が二つ見えた。
これはひょっとしてカゴタケの卵???
一つを掘り出してみる。
見た所、カゴタケの卵っぽい。
これは是非持ち帰って育ててみよう!
湿らせた水苔に埋めて観察を。
一週間後、大きな変化は無い。
心持ち萎びてる感じかな?
東大阪での経験で言えばこれは良い感じかも。
成熟してくれているのかな?
ワクワク♪
東大阪の時はそれがカゴタケの卵とは知らずに割ろうとしたので
まさかカゴタケが飛び出すとは予想もしておらず、
それこそポンッ! と飛び出たのでびっくりしてしまったのだ。
今回はカゴタケの可能性が高い事が予め判っている。
だから上手くすれば飛び出る瞬間を撮影出来るかも知れない。
世界初日本初では無いだろうが、
レアな映像である事は間違い筈だ。
いやぁ、楽しみだなぁ。
ワクワク♪
その3日後。
何やら様子がおかしい。
カビが生えているでは無いか。
と言う事はこの卵は死んでしまったのか・・・・・・
卵をちょっと突いてみた。
外皮は力無く裂け、剥けてしまった。
矢張り卵は死んでしまった様だ。
誕生の瞬間を撮影する事は不可能になってしまった。
うーん、残念・・・・・・
取り敢えず水苔の中から取り出してみる。
これがカゴタケである事は一応解るので
このまま凍結乾燥させて、出来たら標本にしてみようかな。
折角だしね。
今回は残念な結果だったが、
また次の機会があれば挑戦したい物だ。
それはひょっとして、また5年後なのかなぁ・・・・・・(;´Д`)
所でカゴタケがあった場所。
本当に土が剝き出しの切通し状態だった。
カゴタケは腐葉土等の肥沃な場所に発生する筈なので
何でこんな場所に生えて来たのだろうか、不思議な状況。
数日後の雨の後、その場所を見に行ったら
すっかり環境が変わってしまっていた。
現場に残した卵は行方不明。
表面の土はすっかり流され、前回は無かった石が露出していた。
中央の白く丸い物はカゴタケの卵に見えるが実際には小石だ。
ホント、何でこんな不安定な場所に発生したのかなぁ・・・・・・
そして前回今回と、2回連続で成長不十分なカゴタケに遭遇した。
今回は十分に伸長できたとは思えない状態で萎びてしまっていた。
前回は降り積もった枯葉を掻き分けていたら
腐りかけの状態の物が出て来たのだ。
そんな場所ではカゴの十分な伸長が出来る訳が無いのになぁ。
ひょっとしたらカゴタケは十分な伸長には
あまり拘ってはいないのだろうか。
カゴタケは胞子の散布にコバエなどの昆虫を活用している、
カゴの内側に胞子を含んだ粘液(グレバ)を形成し
果物の腐敗臭を発生させコバエ等を呼び寄せ
グレバを舐め取らせる事によって胞子を飛散させている。
こちら↓は2007年に東大阪で遭遇した個体。
黒いグレバが良く判る。
となると、普通のキノコの様に背を伸ばし傘を広げる等をして
胞子の飛散をさせる為の空気の流れ具合を
気にしなくても良いのだと言える。
枯葉に埋もれていてもニオイに惹き付けられて
コバエ等が来てくれさえすれば良いのだ。
今回のも、十分に伸長しなかったとしても
取り敢えずコバエ等が来てくれさえすれば、それで十分なのだ。
カゴタケはそう言う戦略なのかも知れないなぁ。
そうなると、ひょっとしたらカゴタケは
我々の目に付いていないのだけど
枯葉の下で結構発生しているのかも知れないよなぁ。
そこから更に考えを敷衍させるならば
地上表面での伸長を考慮しない→将来的にカゴタケは
地下生菌になろうとしている途中なのかも知れない・・・・・・
まぁ、当方の数少ないデータで妄想を膨らませても
それこそただの妄想に過ぎない。
本当にカゴタケが地下生菌への道を辿っているとしても
この数年でどうなる話でも無いしね。
取り敢えず、またカゴタケを見る機会があれば良いな、と。
5年先、当方がどうなっているか判らないけどね・・・・・・(;´Д`)
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と言う訳で今年もヤマドリタケモドキの季節だ。
今年の名古屋東部は空梅雨だった。
雨が降らないでは無かったが「梅雨の長雨」は殆ど無かった。
そしてすぐに猛暑になってしまい地面はカラカラの状態。
これではヤマドリタケモドキの発生は望めないだろうなぁ。
そう思いながらフィールドを探索。
例年なら幾つも発生している筈のスポットに
全く姿が見当たらない。
こんなにも地面がカラカラなら仕方無いわなぁ・・・・・・
それでも何とかヤマドリタケモドキに遭遇。
ちょっと古そうな外見。
やはり採り頃を過ぎてしまっている。
何かの甲虫が食事中だったw
こちらも見るからに古びている。
こちらは多少マシかも知れないが
やはり採り頃を過ぎてしまっている。
こちらは完全に古くなるを通り越している。
こちらは比較的マシっぽい。
が、マシっぽいのがこれ一本だけだったので
遠慮して収穫はせず。
と言う訳で今年はヤマドリタケモドキの収穫はゼロだった。
発生数が少ないのもあったが
全体的にタイミングを逃してしまっていた。
名古屋でヤマドリタケモドキを採取する様になってから
初めての事態。
こんな事もあるのだなぁ・・・・・・
所でヤマドリタケモドキのシロの一つの
今年の状況はこんな感じ。
ヤマドリタケモドキ越しにプレハブの建設事務所を写してみたw
其処の一番の発生スポットはこんな様子。
今回は下水施設の資材が置かれていた。
此処は不憫なシロだなぁ。
来年は果たしてどうなっている事やら・・・・・・
続いてアカヤマドリはどうか。
矢張り例年に比べて発生数は少ない。
それでも何とか遭遇する事は出来た。
アカヤマドリも摂り頃を過ぎた物が多かった。
こちらは更に古くなってしまった個体。
白くなっている部分はヒポミケス菌では無く、白カビの様子。
こちらはその4日後の様子。
完全に朽ち果てた感じ。
白カビの他にフタマタケカビが生えている模様。
こちらは多少マシかな。
とは言え矢張り育ち過ぎ。
多分中は虫に食われているかと。
なので収穫せず。
こちらはイケそう。
ハサミムシが食事中だったので邪魔するのは遠慮したw
こちらは異形の姿。
右側のは幼菌の段階で柄を齧られていまったのだろうか。
そして成長途中で左側のと融合してしまった様子。
こんな事もあるのだなぁ。
面白いので標本にして保管して置きたかったけど
当方が処理するのには大き過ぎたので採集は断念。
こちらも異形の姿。
ふくよかな胸の水着姿みたいw
中身はイケたかも知れないけど放置。
収穫せず。
こちらは幼菌過ぎたので収穫せず。
半ば埋まった状態で発生していた。
こちらも幼菌だし、あまりにも小さ過ぎたので収穫せず。
アカヤマドリは大きくなりやすいキノコなので
こんなに小さいのは初めて見たよw
具合の良さそうなのはこの一本だけだった。
あまりに貴重だったので遠慮して収穫せず。
と言う訳で今年はアカヤマドリの収穫もゼロだった。
ヤマドリタケモドキ同様、発生数が少ないのもあったが
全体的にタイミングを逃してしまっていた。
名古屋でアカヤマドリを採取する様になってから
初めての事態。
こんな事もあるのだなぁ・・・・・・
SNSを見ると、沢山収穫している人も勿論居たが
「今年は全然ダメだ!」との報告もとても多かった。
当方も感じたが「今迄の空梅雨と様子が違う」と言う意見もあった。
温暖化が言われるようになって久しいが
キノコの発生に仕方が変わったのは
大きな気候変動の一端なのだろうか。
温暖化、とは言われているが、地球の歴史から見ると
今は間氷期なので、実は氷河期に向かっている最中なのだ、
と言う意見もある。
とすると、氷河期に向かっていながら温暖化しているので
気流や潮流に影響が出てしまい、
季節のサイクルがおかしくなってしまっている、
と言う事なのかも知れないよなぁ。
まぁ、地球規模の事など当方が考えて解る物では無い。
ただの一時的な異常なのかも知れないしね。
と言うか、そうであって欲しいよ。
来年はそれなりに収穫があって欲しい物だ。
実際、来年になってみないと判らないけどね。
とにかくキノコヌシ様に祈るのみ。
(-人-) ナム〜
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広葉樹の枯れ木に発生する。
外見的にはキクラゲに似ているが
細胞レベルで構造が違っている為に
キクラゲとは別の分類群になっている。
鮮やかな白色は森の中で良く目立つ。
こちらも良く目立った。
このキノコも東大阪や滋賀県では遭遇していなかった種類だ。
広葉樹の枯れ木なんて何処にでもあるのになぁ。
何か目に見えない様な微妙な環境の差なのだろうか。
とにかく、名古屋東部では遭遇する事が割と多い。
こちらは老菌の様子。
色がくすんでいる上に一部溶け掛けている。
こちらはHypomyces菌にやられているのだろうか。
一部が黄色くなっている。
キノコはHypomyces菌にやられると黄色くなる事が多い。
シロキクラゲに寄生するHypomyces菌があるのかどうかは
残念ながら調べきれなかったが。
因みにシロキクラゲは優秀な食菌だ。
中国では「銀耳」と呼ばれ
乾燥品がスーパーの中華食材コーナーに置かれている事が多い。
普通に中華料理の食材として使われるが
透き通った白色を生かしてデザートとしても使われる。
一番上の画像のシロキクラゲは
新鮮な状態でとても綺麗だったので早速それを収穫。
何か売り物っぽい♪
一度湯通しして冷やして置いた物を
市販のあんみつに加えてデザートに。
クニュクニュとした歯触りが楽しい。
(゚д゚)ウマー
また新鮮なシロキクラゲに遭遇したら是非収穫しよう。
今度は杏仁豆腐に混ぜてみようかな。
それも中々良さそうだ♪
所で、このシロキクラゲ。
フィールドで観察していると
クロコブタケと隣接している事が多い。
クロコブタケとは文字通りの黒いコブ状の塊のキノコだ。
広葉樹の枯れ木なら普通に見掛けるが
色も形も地味な上、毒でも薬でも無く、更に食べられない為か
キノコマニアの間でも人気が無い。
当方はその地味さが好きだったりするがw
で、上掲画像も実はクロコブタケが映り込んでいる。
小さくて判り難いので矢印で図示してみた。
わーい、白と黒だ〜♪と
なるべく両方が写り込む様に撮影していた。
そんな事に特に気を止めず暢気に過ごす事幾星霜。
少し前にTwitterを眺めていて驚いた。
何と、シロキクラゲはクロコブタケに寄生している、との事。
しかもそれが周知の事実として書かれていた。
そーだったのか!
だから何時も隣接していたのか!
隣接しているのは偶然では無く、当然の必然だったのか!
白と黒だ、わ〜い♪なんて暢気にしている場合では無かった!
しかもそれがキノコマニアの間では
周知の事実となっていたなんて当方は全く知らなかった・・・・・・
当方、キノコが全般的に好きなのだが
中でも寄生的な性格のキノコ・菌類が好きなのだ。
だから冬虫夏草や植物寄生菌、菌類寄生菌に
特に目が行ってしまうのだ。
なのに、シロキクラゲとクロコブタケが
隣接している光景を何度も目にしていたのに
それが偶然では無く、当然の必然なのだと言う事に、
「寄主と寄生菌」と言う関係なのだと言う事に
全く思いが至らなかった・・・・・・
うーむ、情けないと言うか残念と言うか。
2度目は偶然であっても3度目は偶然では無い、は
何時だったかのゴルゴ13の台詞だ。
それに全く思いが至らなかったよ。
もっと俯瞰的に総合的に
発想を柔らかくしなければなぁ・・・・・・
その話を知って、手持ちのシロキクラゲ画像を
全部見直してみた。
すると確かに殆どの場合、
クロコブタケが何処かに写り込んでいた。
両者が写り込んだ他の画像を以下に。
こちらは図示する迄も無い状態。
中には写った画像の範囲には見当たらない物もあったが
恐らく見えない部分にはあったのだろうなぁ。
シロキクラゲは白くて瑞々しい見た目に合わず
獰猛で狡猾な性格であったのだなぁ。
にしても、これだけ両者が映り込んだ画像を撮っていたのに
その理由について全く考えが及ばなかったのは
我ながら情けなくなってしまうなぁ・・・・・・
所でシロキクラゲは栽培品が市販されていると書いた。
クロコブタケの発生している枯れ木と言う
中々にニッチな発生環境を再現するのは
とても難易度が高いと思うのだが
栽培状況を見るに、それを再現しているとは思えない。
普通におがくずの菌床栽培にしか見えない。
(种植致富网様より引用)
おがくずにクロコブタケ成分を
単に混ぜただけではダメだろうなぁ。
だが、おがくずにクロコブタケを侵食させてから
シロキクラゲの菌を植える、なんて
そんな手間を掛けているとも思えないよなぁ。
となると、シロキクラゲはクロコブタケに依存しなくても
発生出来る性質がある、もしくはそう言う系統もある、
と言う事なのだろうなぁ。
実際、『家庭きのこ : 作り方・食べ方』(家の光協会刊)によると
(シロキクラゲは)「栽培の方法はキクラゲ、アラゲキクラゲと
全く同じなので、三種を同一場所で同時に栽培うることができます」
とある。
矢張りクロコブタケとは無関係の環境で育てる事が出来る様だ。
まぁ、菌根菌なのに菌床栽培しているダイコクシメジ、
(雪国まいたけ様より引用)
冬虫夏草なのに培地栽培しているサナギタケ、
(カイタックグループ様より引用)
なんてのがある訳だしなぁ。
キノコは一筋縄では行かない物だなぁ。
それを見付け出す人間側も中々にしたたかだとも思うけどね。
それはともかく。
今後もシロキクラゲを見付けた時には
周囲にも気を付けながら撮影して行くよ。
勿論、他のキノコの場合も同様。
ミクロとマクロの視点を常に持っていたい物だ。
それはキノコに限った話では無いだろうけどね。
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竹紅菌と肉球菌を購入した話を書いた(→こちら)。
赤団子を最初に香港で購入した際に
それお酒に漬け込んで「赤団子酒」を作っていたので
今回もそれぞれを酒に漬け込んでみる事にした。
容器に入れ、25度の焼酎に浸してみる。
左:竹紅菌 右:肉球菌
入れた直後から竹紅菌から赤い色が滲み出て来た。
こちらは2日後の様子。
竹紅菌の方は既に真っ赤だw
並べて撮ると明暗の差が大きいので竹紅菌の方が
綺麗に写らなかったので個別に撮影。
竹紅菌の赤がとても鮮やか♪
肉球菌の方はじんわりと色が付いていた。
そして1か月後。
竹紅菌はドス赤くなっている。
光を透かしてもかなり濃い。
肉球菌も前回より色が濃くなった感じ。
と思ったけどそれ程変わってないかw
と言う訳で出来上がった?薬酒を飲んでみた。
果たしてそのお味は・・・・・・
味自体は前回書いたニオイの記述をそのまま踏襲する形。
因みに赤団子は「甲虫のニオイに鰹節の匂いを足して薄めた感じ」、
竹紅菌は「赤団子にかなりの香ばしさを足した感じ」、
肉球菌は「赤団子を薄めてゴマ油を少し足した感じ」だ。
各々それに焼酎のアルコールの刺激が加わった状態。
独特な味わい、と言う以外の評価が思い付かない。
正直、薬酒として飲むのはやぶさかでは無いが
ゴクゴク飲みたい物では無いかなぁ。
ただ、竹紅菌の方は樽香?が強いので
それを生かして水割りやサワーにしても面白いかも知れない。
さて、この赤団子、竹紅菌、肉球菌。
薬種として販売されており、当方はそのルートで購入した。
と言う事はそれぞれに薬効がある訳だ。
此処で改めてそれを調べてみたので
『中国の薬用菌類』から専門用語等原文ママに以下に転載する。
【赤団子】
※以下文中で「竹黄」とあるのは赤団子の薬名(生薬としての名称)
(1)虚寒で、胃に疼痛のあるものを治す。
竹黄50gを50度の焼酎500gの中に24時間ほど浸しておいたのち、
1日3回、1回9g服用する。
(2)リウマチ性関節炎、坐骨神経痛、打撲傷、筋骨がだるく痛みがある物。
四肢の麻痺、腰背が疲労で損なわれたもの、貧血による頭痛を治す。
竹黄30〜46gを50度の焼酎500gの中に浸しておき、
7日後に毎晩寝る前9g服用する。
(3)体表の局部の疼痛およびリウマチによる疼痛を治す。
酒に浸した竹黄の残渣を痛む部分に擦り込み、
皮膚が熱くなる位に摩擦し(同時に竹黄酒を服用する)、
毎日数回行う。
(4)寒火で、歯痛のあるものを治す。
酒に浸した竹黄の残滓を噛んでいると、
一般に1分以内で疼痛は消失する。
(5)咳嗽があり、痰の多い気管支炎を治す。
竹黄30gに蜂蜜60gを加え、50度の焼酎500gに24時間位浸しておき、
毎朝晩9gを服用する。
(6)小児の百日咳を治す。
?竹黄9gに砂糖を適量加えて水で煎じ、しばしば服用する。
?竹黄6g、麻黄3g、枇杷葉6g、杏仁6g、茜草6gに
白糖を適量加えて水で煎じ、しばしば服用する。
意外と薬効の範囲が広いのだなぁ。
【竹紅菌】
※「竹砂仁」は竹紅菌の薬名
(1)リウマチ性関節炎を治す。
竹砂仁の子座5〜6個を100gの焼酎に浸しておき、服用する。
(2)外陰部の白斑を治す。竹砂仁の浸出液を患部に塗布する。
赤団子に比べるとかなりあっさりしている。
【肉球菌】
※「竹菌」は肉球菌の薬名
抗菌、消炎。竹菌3〜6g、水に煎じて1日2回服用する。
附注 一部の人はこの菌に対して吐き気をもよおす場合がある。
更にあっさりしている。
しかも副作用も強い様だ・・・・・・
この用途の為に、どれだけの需要があるのだろうかなぁ。
当方みたいにコレクションの為に購入する人は
まぁ中々居ないとは思うしなぁ。
入手のし難さはそれだけ流通していない=売れていない事の
表れだろうしなぁ。
所で近年、生薬から抽出した成分を西洋医学に適用し
様々な効果を上げているとの話。
その為、原料となる生薬を西洋資本が買い漁ってるのだとか。
そんな内容の番組を以前『ガイアの夜明け』で見た記憶がある。
上記の3種も薬効成分について様々な研究がなされている様子。
実際、赤団子病からは
ヒポクレチンと言う物質が抽出されている、との事。
だが、赤団子からのそれが
薬品として生産されている情報は見付けられなかった。
因みに竹紅菌からもヒポクレチンが抽出されており
そちらは「竹紅菌素軟膏」の商品名で既に販売されていた。
中国の醫學百科サイト当該ページから引用
曰く、
身体の局所組織の代謝機能を調節し、皮膚の色や細胞組織、
病変の特徴の回復を促進します。外陰部の白色病変、ケロイド、
陰部のかゆみ、外陰炎
に効能がある由。
また、竹紅菌の赤色色素は
食品添加物としての利用も期待されるとの事。
抗菌作用もあるので一石二鳥と言う所か。
中国の検索エンジン「百度」によるヒポクレチンの解説ページより
赤団子と同じ成分が抽出されているのに
竹紅菌の方が製品化されているのは
ヒポクレチンの抽出量の差から来ているのだろうかなぁ。
赤団子より竹紅菌の方が効率良く抽出出来る、と言う事なのだろうか。
または赤団子より竹紅菌の方が原料として入手しやすいのかなぁ。
そこまでは調べきれなかったよ。
漢方薬としては竹紅菌より赤団子の方が対応症状が多いのに
製品化するとなると、また別の話になるのだなぁ。
生薬の売価が赤団子より竹紅菌の方が高かったのは
その所為だったのかもなぁ。
しかし、分類学的には綱レベル、
つまり人間とトカゲ・魚レベルに離れている両者から
同じ成分が抽出されたと言う事は
竹に寄生するに当たっては同じ化学成分が必要だった、
と言う事になるのかな。
面白いなぁ。
さて、『中国の薬用菌類』の記述では肉球菌は
赤団子、竹紅菌に比べると生薬としての効能は
あまりにあっさりとしか記述されていないので
特に期待や重要視されていない様に見える。
だが、抽出された薬理成分と思われるエンゲロマイシンは
抗腫瘍薬として役立つ可能性があることを示唆されている由。
肉球菌がやたら高価だったのはその影響なのだろうかなぁ。
上記サイトによるとケニアにおいても長年にわたり
伝統的な薬草として広く使用されてきた、との事。
何に対して使用されて来たのかは残念ながら不明だが
抗菌、消炎作用薬なのだろうかなぁ。
所で当方は肉球菌の学名を Engleromyces goetzei と書いて来たが
今回改めて調べた所、2010年に Engleromyces sinensis と言う
新たな種類が新種登録されていた事を知った。
曰く、従来 Engleromyces属は
アフリカから採取された標本を基準とした
E.goetzei 一種のみとされていたのだが
北京の中国科学院の菌類標本館に所蔵されていた標本を精査した所、
E.goetzei とは明確に異なっている事が判明した為
2010年に Engleromyces sinensis として新種登録した、との事。
英語版Wikiより機械翻訳した物を要約
両者の差異は顕微鏡的な話。
実際、画像検索をしたのだが、
E.goetzei と E.sinensis との外見的な差異は
当方は判別出来無かった。
そもそもweb上の画像自体、
E.goetzei と E.sinensis とが混在している、
もしくは E.goetzei とされている画像が
全て E.sinensis なのかも知れないしなぁ。
因みに生息地は E.goetzei はアフリカとアジア、
E.sinensis は雲南省との事。
またネパールで採取された肉球菌は E.sinensis の可能性が高い由。
四川省とネパールは地図的には隣だからそうだろうなぁ。
尚、上記の「アフリカとアジア」の「アジア」に
中国が含まれているかは不明。
思うにアジア産の物は全てE.sinensis なのかも知れない訳だよなぁ。
そうなると今迄様々な文献やサイトで
「肉球菌」として扱われていた物は
E.goetzei では無く E.sinensis だと言う事になる。
今後、その辺りは修正がされて行くのだろうかなぁ。
当方の記事も修正しなければなぁ・・・・・・
上述したが、E.goetzei はケニアにおいて長年にわたり
伝統的な薬草として広く使用されてきた、との事。
となるとE.goetzei も E.sinens も
同じ?薬理作用があると言う事なのだろう。
まぁ、極近縁な種類なのだから当然かも知れないけれど。
将来、エンゲロマイシンから抗腫瘍薬が開発されたら
「肉球菌」は貴重な換金作物になるのかもなぁ、
容易に栽培出来るとも思えないので
益々高値になって行くのかもなぁ。
そうなる前に切片じゃないホールの状態を入手してみたい物だ。
取り敢えず、当方今の所リウマチ性関節炎は無いし
外陰部に疼痛や白斑も無いので
薬酒として使用する事は今後も無いかなぁ。
コレクションとして愛でるだけにして置くよw
※オマケ
と言う訳で竹紅菌をサワーにしてみた。
薄めると赤味より褐色味が目立つ感じだなぁ。
で、味は勿論上記と変わらないのだが
薄めのサワーにしても「香ばしさ」はかなり際立っていた。
スモーキーなウィスキーが好きな方には楽しめる味かも知れない。
ウィスキーとはまた違った感覚を味わえるかと。
ご入用の方は当方まで連絡を是非(・∀・)つドゾー
因みに、赤団子・肉球菌に関してはサワーにはしていない。
正直、美味しく飲めるとは思えないのでねぇ・・・・・・(-_-;)
※赤団子病関連アーカイブス→こちら
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今年もアミガサタケの季節がやって来た。
さて今年はどうなのだろうか。
不安と期待を胸に、シロを回る。
こちらはシロA。
此処は何時も安定して発生してくれている。
今年も発生してくれた!
有難いなぁ・・・・・・
だが、例年よりは少ない感じ。
普段はとても目に付きやすい場所に発生しているのだが
今年は藪で隠された様な場所でしか見付からなかった。
誰かに先を越されてしまったのかなぁ・・・・・・
まぁ、それは仕方無い。
自分の土地でも無いし、誰でも入れる場所だからなぁ。
こんな事もあるさ。
こちらもシロA。
此処は思ったより発生していた。
実は今まで「シロA」と書いていたのだが
シロAはA-1とA-2に分かれていた。
だが実際に収穫していたのはA-1で
A-2は発生が無かったので収穫出来無かった、
または数本しか発生していなかったので
収穫しなかった事が殆どだった為に
今迄一まとめに「シロA」としてカウントしていたのだ。
だが今年はシロA-2での発生がとても多かった。
当方がアミガサblogを書き出してから初めてかも知れない。
此処はA-1と違って当方以外には知られていないシロの筈だから
毎年誰かに先を越されていたとは考えられない。
今迄あまり発生が無かった場所でいきなり発生量が増えたのだ。
一体何があったのだろう???
何年周期かは判らないけれど
今年がシロA-2の当たり年だったのだろうか。
A-1とA-2はそれ程離れていないのだが
何か目に見えない様な環境変化があったのだろうか。
謎だ。
来年以降どうなるのか、観察して行きたい。
こちらはシロC。
今年も発生してくれていた。
いや、有難い。
だが、近くで造成工事が始まってしまっていた。
藪は切り払われ、日差しがガンガン入る様にもなった。
これでは来年はもうダメかも知れないなぁ・・・・・・
一時は大型の物を多数輩出していたこのシロ。
造成工事に翻弄され、地下水脈の変化に伴い
発生場所を変化させながらも
何とか発生を続けてくれていたこのシロも
遂に消滅してしまうのかもなぁ・・・・・・
残念だ・・・・・・
こちらはシロD。
木々に囲まれ、薄暗く湿った場所だったのだが
多くの木が伐採され、すっかり環境が変わってしまっていた。
完全にシロとしては死んでしまった様だ。
残念・・・・・・
こちらはシロE。
正に発生場所がピンポイントで
周辺の伐採木で埋められてしまった為に
この数年、発生を見ていない。
だが、伐採木も段々と朽ちて来たので
そろそろ発生が見られる様になったかも知れないよなぁ。
良く見ると伐採木の隙間に見える物が。
何と一本だけ発生してくれていた!
来年以降も頑張って欲しいので収穫はせず。
ホント、頑張って欲しいなぁ・・・・・・
桜の枝が大量に伐られ、土も入れ替えられて
すっかり環境が変わってしまった為に消滅したシロF。
アミガサタケは無く、マンネンタケが一本だけ
虫に食われた姿を晒していた。
寂しそうだったよ・・・・・・(つД`)
少し場所が離れているので見に行けない年もあるシロH。
今年はどうか。
中々見付からなかったのだが、遠目にふと見えた違和感。
これに気付けた自分を誉めて上げたい・・・・・・
また近くの植え込みをみると数本が。
いずれも散水ホースのそばに生えている。
名古屋でのアミガサタケの発生に置いては
通常以上の土壌水分を必要とする、と言う当方の仮説を
強く裏付けてくれているのが嬉しい。
因みにどちらも収穫せず。
元々このシロは発生量が多くは無いのでね。
来年以降も頑張って欲しいよ。
こちらはシロにはカウントしていなかった場所。
2010年に一度だけ、一本だけの発生を確認した事がある。
それ以降、発生を見ていなかったので
シロには数えていなかったのだが
その後も毎年様子を見には行っていた。
だが、今年行ってみたらこの状態。
周辺の木が伐採され、すっかり乾燥した状態に。
それまでのジメジメした環境が嘘の様だ。
名古屋には珍しい、縦線も横線もはっきりしない
クシャッとした形状の網目のアミガサタケを
発生させていたので観察を続けていたのだが
これでは今後の発生も望めそうも無い。
残念だ。
数年前に消滅し、一度だけ奇跡の復活をした事のあるシロB。
矢張り奇跡は何度も起きず、今年も発生は確認出来ず。
シロGも今年も発生は確認出来ず。
新たなシロの発見は今年も出来ず・・・・・・
そんな状況だが
今年も何とか30本は収穫出来たので良しとせねばね。
いや、有難い事だよ。
なので今年もネグラマーロへお裾分けを。
今年はお店の外観も入れてみた。
イタリアン激戦区と言われ、
何時の間にか消えている店も少なくない千種区池下界隈で
長く続いているこのお店。
それだけ多くのファンを引き付けて離さない、
シェフ渾身の北イタリア料理を皆様も是非!
(insta、食べログ、yahooロコ、Googleマップ)
一部は乾燥保存させ、残りは調理を。
何時ものパターンだがパスタに♪
まず細かく刻む。
玉ねぎを炒め
自家製パンチェッタを加える。
其処に刻みアミガサを投入。
生クリームを加え。
ゴルゴンゾーラチーズを削って加える。
それを太めのパスタに絡めて
ブロッコリースプラウトをトッピング。
ちょっと掛け過ぎたかw
(゚д゚)ウマー♪
ワインが良く合って(゚д゚)ウマー♪
これぞ季節の贅沢だよなぁ・・・・・・
今年も何とか収穫は出来た。
だが、状況は年々厳しくなっている。
刻々と変化を続けている名古屋のシロ。
来年はどうなっているのかなぁ・・・・・・
まぁ、当方自身が
来年どうなっているのか判らないけどね・・・・・・(;´Д`)
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野外で観察をしていると色々なキノコに出逢う。
色々な種類、と言うのは勿論だが
文字通り「色々な形のキノコ」に遭遇するのだ。
種類にもよるが、キノコは個体差が結構大きく、
図鑑通りの外見を呈していない事も少なくない。
キノコの形成には発生して居る環境によって様々な影響を受けており
中には極端に形が違っている為に何のキノコか判断に迷う事もある。
様々な原因でキノコは本当に色々と不思議な形になったりする。
今回はそんなキノコを幾つか。
こちらはキクバナイグチの仲間。
傘肉が白く、鱗片が厚いので本家の「キクバナイグチ」かな?
かなり褪色してしまっている様子
こちらも同様なので矢張り「キクバナイグチ」だろうか。
どちらも傘の中心部がまるで溶岩が噴出したみたいに
異常にボコボコになっている。
火山で言えばストロンボリ式噴火になるのだろうか。
火山岩塊がとても大きいので溶岩の粘度がかなり高い様子w
キクバナイグチの仲間はかなりの数を見ているが
こうなっていたのはこの2個体だけ。
これはウィルスか何かにやられてしまったのかなぁ。
時期も場所も違うのに同様の変容。
キクバナイグチ特有の何かの症状なのだろうか。
謎だ。
こちらはアンズタケの仲間。
特徴はアンズタケだったが杏の香りは感じられなかった。
通常のアンズタケはこんな感じ。
だが、このアンズタケ?はヒダの様子が違う。
全体に委縮してしまっている状態。
出始めの幼菌とも違うので
これから伸展して成長する様には思えない。
ヒポミケス菌とかに罹患した様にも見えない。
これもウィルスにでもやられてしまったのだろうかなぁ。
所で最後の画像、オナペッツを思い出してしまったよw
(オナペッツ主義様のサイトより引用)
アンズタケの仲間には何度も遭遇しているが
こんな状態の個体はこの一度だけ。
謎だ。
こちらはノウタケ。
握り拳の様な形だが
当方には全盛期のボブ・サップに見えてしまったw
(2枚とも闘道館様のサイトより引用)
スキルフルな相手をパワーで押し切る格闘スタイルは
見ていて気持ち良かったなぁ。
キャラクターも面白かったな。
wikiによると、今はグアテマラで
プロレス関連のビジネスをしているのだとか。
元々プロレスラーだったからこれは謎では無い。
何故グアテマラで、は謎だが。
こちらはオオコゲチャイグチ。
隣り合って発生しているのかと思ったら
傘も柄も融合していた。
ぼってりと膨らんだ柄の形が豊満な臀部の様だw
元々根元が太くなる種類なのでそれが融合するとモロだなぁw
穴の位置が此処なのは良かったのか残念だったのか・・・・・・
オオコゲチャイグチは名古屋東部での発生は割と多いが
こんな状態なのはこの個体が初めてだった。
何となく石器時代のビーナスを思い出したw
(wikipediaより引用)
持ち帰って祀っておけば五穀豊穣大漁大猟になってたかもなぁ。
こちらはモエギアミアシイグチ。
かなり大きな傘が倒れていた。
柄を見ると様子がおかしい。
傘との連結部が徳利の様に妙に細くなっている。
裏側は大きく抉れていた。
その為に変形してしまったのだろう。
因みに通常のモエギ〜の柄はこんな感じ。
通常は上下同大なので如何に妙な状態なのかが判る。
幼菌の段階で傘の継ぎ目から下の柄の部分を
ヨトウムシか何かに齧られてしまい
そのまま成長した、という事なのだろうかなぁ。
それにしても、この状態で良く傘がもげずに成長出来た物だ。
執念、と言うべきか。
柄の抉れた感じと、極端に細くなっている所、
そしてアンバランスに広がった傘の感じが
ハート形土偶を思い起こさせてしまったw
(縄文ドキドキ会様のサイトより引用)
抉れた部分がハート型だったしね♪
これも持ち帰って祀っておけば何かになったのかなぁ?
フィールドでどんな種類のキノコに出逢えるか、は勿論楽しみだが
この様な「どんな形のキノコに出逢えるか」も楽しみの一つだ。
今年は果たしてどんなキノコに遭遇出来るかなぁ・・・・・・
※異形のキノコまとめ→こちら
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夏〜秋に林内地上に発生する。
林の中で鮮やかな黄色はとても良く目立つ。
名古屋東部ではこのキノコの発生がとても多い。
名前の由来はその見た目から。
傘の先端が過剰に尖るのが特徴だ。
そのイボには個体差があり、時としてイボが無かったり
殆ど目立たない事もある。
その場合、識別は難しくなるが
全体的な特徴でそれと判断出来る。
こちらはイボが二つに見える個体。
だが実際には傘の真ん中で丁度二つに割れてしまった状態の物。
イボが1か0はあるが、2以上と言うのは無い様子。
こちらは妙に足が太いタイプ。
このタイプは珍しいのか、あまり見ない。
勿論、DNA的にどうなのかは当方には知る由も無い。
このキイボカサタケには色違いの仲間が存在する。
それがこちら、シロイボカサタケ。
そしてアカイボカサタケ。
この3種は発生環境も共通している様で
同じ地点に混生して居る事もある。
こちらは滋賀県栗東市内にて。
某森林公園にキイボと
すぐ近くアカイボがあった。
こちらは名古屋市内にて。
某森林公園にもキイボと
アカイボがあった。
こちらは岐阜県飛騨市内にて。
キイボと
アカイボがあった。
こちらも飛騨市内の別の場所にて。
アカイボと
シロイボがあった。
こちらも飛騨市内、別の日に。
キイボと
シロイボが
そして離れた場所にアカイボがあった。
webで検索すると3色が同じ場所で発生している事例も見られ
実際に家の光協会刊『カラー版きのこ図鑑』では
3種が混生している状態の画像が掲載されている。
だが当方は今の所、一枚の画像の収まる範囲で
混生している場面には遭遇した事が無い。
何時かは3色揃い踏みの場面を撮影してみたい物だ。
所で先に「この3種は発生環境も共通している様で」と書いた。
図鑑でもそう書かれているのだが、本当にそうなのだろうか。
それは最初に書いたが、当方が見た限り名古屋東部では
キイボカサタケだけの発生がとても多いからだ。
今迄に当方が名古屋東部で撮影した
イボカサタケの色別の画像の数で比較すると
「キ:シロ:アカ」の比率は「12:1:2」となった。
勿論、当方が名古屋東部に発生したイボカサタケ全てに
遭遇出来た訳では無いし、年によっての変異はあるだろうが
凡その傾向が表れている、と考えて良いのではないだろうか。
同様に、飛騨市内某所周辺では
「キ:シロ:アカ」の比率は「1:1:2」と、
栗東市内某所では
「キ:シロ:アカ」の比率は「1:2:2」となった。
当方の行動範囲で当方が撮影出来た内容で、
と言うとても狭い集計ではあるが
地域毎の各種の発生数に違いがある様だ。
イボカサ3種の発生環境にはかなり多くの共通点はあるが
矢張り微妙に発生用件の差異があるのでは無かろうか。
名古屋東部の環境は
シロイボカサタケやアカイボカサタケに比べると
キイボカサタケの発生にとても優位に働いている、
と言えるのでは無いだろうか。
当方が観察した限りではそう思えてならない。
所で上記で「イボカサ3種」と書いた。
実際、図鑑には3種が掲載されているが多く、
3種全てが掲載されていない場合でも
「色違いで3種ある」旨の記述がされている事が多いのだが
フィールドで見ていると中間的な色合いの物も少なくない。
例えばこちら。
古くなってくすんだキイボカサタケかも知れないが
肌色にも見えるよなぁ。
また、チャイボカサタケと言うのもあるとの事で
それが色褪せた物とも見えてしまうよなぁ。
上掲の画像でも色褪せた為に
種類が判然としない物も少なくない。
また、露出や光線の加減でどっちとも言えない感じに
写ってしまっている物もある。
当方がフィールドで観察した時点では見た目の色合いだけで
キイボカサタケ、シロイボカサタケ、アカイボカサタケと
各々判断しているので、その点はご容赦頂きたい。
こちらはアカイボカサタケにしか見えないが
傘の質感が違う。
上掲のアカイボカサ画像では表面は繊維状の物で覆われているが
これに比べたらかなりスベスベな質感だ。
色々調べた所、oso氏のサイトで
ダイダイイボカサタケと言うのがある事を知った。
曰く、「傘表面が滑らかで、微毛状になるアカイボとは
決定的に異なって」いるとの事。
また「柄はねじれることが多」いとの事。
となると、当方が今迄「赤っぽいからアカイボカサタケだ」と
無条件に信じていた物がそうでは無かった、
と言う可能性はかなりありそうだ。
実際、これ↓
なんかは微毛状では無いのでアカイボカサタケでは無く
ダイダイイボカサタケなのかも知れない。
ダイダイと言うにはかなり赤い様に思うが
色だけでは判断出来無い、と言う事の様子。
まぁ、別のアカイボカサタケの近くに生えていたので
これもアカイボカサタケと推察したのだが
イボも目立たないし、傘のフリンジは妙に目立つので
そもそもが別種なのかも知れないけれど。
色々な図鑑に掲載されているアカイボカサタケも
良く見ると傘表面が微毛状でない物が散見される。
今後、表記や掲載画像が変わって行くのもあるのだろうなぁ。
尚、きのこびとさんのサイト、及びosoさんのサイトによると
シロイボカサタケはキイボカサタケとはDNA的にかなり近く
キイボカサタケの変種、また同一種としている研究者も居るとの事だが
近年、ちゃんと別種として地位が確立されたらしい。
そしてアカイボカサタケはDNA的にはやや離れた位置に居るらしい。
その距離の差がアカイボカサタケの傘表面の毛に表れているのではと。
となると、毛の無いダイダイイボカサタケの方が
DNA的にはキイボカサタケに近い、と言う事なのかなぁ。
まぁ、外見だけでDNAが決まる訳では無いのだけど。
また更に橋本岳文堂刊『北陸のきのこ図鑑』によると
ササクレキイボカサタケ、シロイボカサモドキ、
トキイロイボカサタケと言うのもある由。
当方の揚げた画像のキノコもそのどれかなのかもなぁ。
これ↓なんか柄の感じからすると
ササクレキイボカサタケだったりするかも知れないよなぁ。
また、キイボカサタケと思われる物も
傘の表面がスベスベと
マットな感じと
質感の違う物が混じっている。
アカイボカサタケとダイダイイボカサタケの様に
実は別種なのかも知れないなぁ。
勿論、顕微鏡を持たない当方には
判断のしようも無いのだけれど。
所で、イボカサタケに近い種類の更に色違いで
ソライロタケと言うのがある。
名前の通り、空色のキノコで
キノコとしては珍しい色合いがマニアには人気のキノコだ。
以前、ガチャガチャのキノコフィギュアにも採用されていたので
それで知ったと言う人も少なくないだろう。
他のイボカサタケの仲間に比べると発生は少ない様で
当方は今の所一度遭遇しただけだ。
某所でこれを目にした時は思わず「おお〜〜〜っっ!!」と
声を上げてしまったよ。
ただ、空色が綺麗なのは若い内だけ。
古くなったり傷付いたりすると黄褐色となり
空色の鮮やかさを失って古びた感じが
ちょっと切なかったりする。
当方が撮影した範囲ではキ、シロ、アカが
広葉樹林内地上から発生しているのに対して
このソライロタケは竹藪の斜面で発生していた点からすると
他のイボカサタケ達とは発生用件はかなり違っているのかも知れない。
ソライロタケの傘は全体が微毛で覆われている。
となるとスベスベの別種のソライロタケもあるのかも知れないよなぁ。
あるのだとしたら何時かは探し出してみたい物だ。
さて、このイボカサタケ達。
ご覧の様に華奢で可憐な姿だが、実は毒キノコだ。
シロイボカサタケからはムスカリン類が検出されているとの事。
となると、幻覚作用がある事になるのだろうなぁ。
キイボカサタケ、アカイボカサタケからは
毒成分不明だが胃腸系の中毒症状を起こした事例が報告されている由。
チャイボカサタケ、ソライロタケに
毒成分があるかどうかの詳細は不明だが
近い種類なので同様の成分が含まれている可能性は極めて高いだろう。
因みに、2007年に日本で死亡事故が発生している。
▼中毒:毒キノコを食べ、東海の女性死亡 /愛知(7月24日・毎日新聞)
県知多保健所に23日入った連絡によると、
東海市内の女性(86)が今月22日、
大府市内の公園で採った毒キノコを食べ、
食中毒による脱水症で死亡した。
県によると、県内で毒キノコによる死者が出たのは2年ぶり。
女性は19日午前、同市内の知北平和公園を散歩中に、
毒性のあるキイボカサタケを採取。
同日夕方、ラーメンに入れて食べたが、
20日朝になり、吐き気や下痢を訴えた。
東海市内の病院で「食中毒の疑いがある」と診断され、
点滴を受けたうえで、自宅で静養していたが、
22日午前10時ごろ、寝室で死亡しているのを家族が見つけた。
毒キノコを食べたのは女性だけだった。
家族の話では、女性は今年に入って、2-3回、
同公園内で採ったキノコを食べていたという。(後略)
知多半島でも名古屋東部と同様に
キイボカサタケの発生が多いのだろうかなぁ。
因みにこの知北平和公園と言う所には実は斎場が隣接している。
その斎場で当方の親族を荼毘に付した事もある。
そんな場所で良く知らないキノコを採取するのかー、と思ったのだが
その公園自体は割と広く、桜の名所でもあるので
斎場から離れた位置に生えていたから気にしなかったのかなぁ。
とは言え、キノコマニア以外には知られたキノコでは無いので
その女性がキイボカサタケの事を知っていたとは思えない。
それまでの2〜3回に何を採取して食べていたのかは判らないが
たまたま毒でないキノコに当たっていた為に油断したのだろうか。
色が綺麗だったので食べてみたくなったのだろうかなぁ。
華奢だから毒キノコに見えなかったのか、
または華奢だから毒も大した事は無い、と思ったのか。
何にしてもキイボカサタケをラーメンの具にする、と言うのも
中々無い発想ではあるよなぁ。
所で症状を見るに、直接キイボカサタケの毒で死亡したと言うより
胃腸系の中毒症状を起こし、その結果衰弱死した物と推察出来る。
86歳と言う年齢的な事情もあったのだろう。
なのでキイボカサタケは「致死毒のキノコ」とは言えないと思うのだが
「致死例のある毒キノコ」と言う事にはなるのだろうなぁ。
何にせよ、注意はしなければならない事には変わりない。
それにしてもキイボカサタケを煮たら
色がどう変化するか、は気になる所。
鮮やかな黄色のタモギタケ、
鮮やかな朱色のトキイロヒラタケなど、
(めざせ!きのこの伝道師さんのサイトより引用)
色鮮やかなキノコでも火を通すと色が抜けてしまう物は少なくない。
今度イボカサタケ達に遭遇した際には収穫して煮てみたい。
キ、シロ、アカがどのような変化をするのか見てみたいなぁ。
可能ならばソライロタケもどうなるのか試してみたい物だよ。
勿論食べはしないけどね。
]]>
かなりの大長文になってしまいましたが
お読み頂けましたら幸いです。
また、総集編的に過去記事を
おさらいする記述をしてしまう部分も多いですが
ご容赦頂けましたら幸いです。
※赤団子病関連アーカイブス→こちら
「マダケの赤団子病」はその名の通り、
真竹の仲間に発生する寄生病の一種で
Shiraia bambusicola と言う菌(白井菌)によって
春に真竹の枝の途中に
赤みを帯びた灰白色の菌塊を発生させる寄生病だ。
一般にはあまり知られていないが、竹の園芸家の間では
美観を損ねる厄介な病気として知られている由。
だが、菌学者で研究対象にしている人は多くなく
菌類マニアの間でも人気が無い様で
色々調べようとしても情報がとても少ない。
名古屋東部の某公園で発生を確認して以来、
当方は毎年そこで観察をしていたのだが
ある年に罹患竹が伐採されてしまった為に、
その場所での発生が見られなくなってしまったのは
とても残念だ。
なので2014年以降、
番外編は何度か記事を書いていたのだが
本来の赤団子病の記事を書けなくなってしまっていた。
とは言え、何処かへ出掛けた折に竹林を見掛けた際には、
何とか其処を観察する機会を捻出しては
赤団子病を探し続けてはいる。
そんな成果を以下に。
こちらは2017年、岐阜県内にて。
こちらは2018年、愛知県内にて。
赤団子本体は見えていないが
画像の水滴の様な物は赤団子から分泌される甘露。
これは粘度が高く、水飴の様な質感。
そして本当に蜜の様に甘い。
内部に胞子(分生子)を包含しており
蟻に舐めさせる事によって拡散させている由。
こちらは2022年、三重県内にて。
こちらは2022年、岐阜県内にて。
天狗巣病が背景になっている。
この様に地道に探索と観察を続けている。
所で当方が赤団子病を追い続けているのは
江戸時代の書物のキノコの記事の中に
「竹蓐竹林中に生じ」と記載されていたのを
見た事が切っ掛けだ。
そしてその「竹蓐」に「すゞめのたまご」と
ルビが振られていたのだ。
(『日本山海名産図会』より 赤枠は当方による画像加工)
「竹蓐」って何?
「すずめのたまご」はどう見ても当て字(当て読み)だ。
そもそも本来は何と読むのだろう???
さっぱり判らない
色々調べた所、「竹蓐」は「チクジョク」と読み
「スズメノタマゴ」は Stereostratum corticioides
と言う菌によって引き起こされる
「メダケの赤衣病」の別名だと判明した。
だが、メダケの赤衣病は
竹の稈にマットな質感の物が薄く広がる寄生病で
とても「雀の卵」には見えない。
これは一体どう言う事なのだろうか???
と、疑問を持って調べを進めて行った所、
中国の古文書『本草綱目』の「竹蓐」の項で
複数の竹類の寄生病の事を
混同して記載してしまっていた為に生じた混乱が
原因だったと思われる事を突き止めた。
『本草綱目』は16世紀末に中国で刊行された
当時の博物学書、薬学書に当たる書籍だ。
過去の様々な文献の情報を取りまとめた大著で
その後の本草学に多大な影響を与えた。
だが、著者の李時珍は「竹蓐」の事を
良く知らなかった為に
「竹蓐」の項に「竹肉」「竹菰」「竹蕈」と
形も生態も違う、竹に関わる別の種類の物を
竹蓐の別名として一緒くたに記載してしまっているのだ。
曰く「鹿の角に似た白い物」、
「竹の枝に生える鶏卵状の肉色の物」、
「根の節に生える紅色のキクラゲ状の物」、
「弾丸の様な物で白キクラゲのような味」。
これだけ特徴の違う物を同じ物の別名扱いをしているのだ。
挿図は形状の異なる物を並列する形で描かれている。
まぁ、そう描かざるを得ないよなぁ。
その為、「竹蓐」は正体不明の謎の物として
混乱を来たす結果となってしまった。
『本草綱目』を絶対の教科書とした日本の本草家は
同書内に記載されている物が
日本の何に当たるのかを探求し、次々に比定していった。
だが竹蓐については、その正体の解明にはかなり悩んだ様で
多くは解釈を諦めて無視したり、
『本草綱目』の記述を簡略化して載せるに留めたり、
またはそれぞれが独自に解釈をしたり、と
余計にカオスな状態になってしまっていた。
高名な本草家であり、
日本の本草学に多大な影響を与えた小野蘭山も
『本草綱目啓蒙』の中で幾つもの異名を竹蓐に充てており
その中に「スズメノタマゴ」もあった。
それが見た目が全く卵らしくない「メダケの赤衣病」の事を
現在も「スズメノタマゴ」と呼ぶ様に
なってしまった原因だと当方は考えている。
上掲の『日本山海名産図会』の記述部分も
唐突に「竹蓐竹林中に生じ」としている辺り、
著者も竹蓐が何なのかを解っていないのだが
知識をひけらかす為、または
「竹蓐に触れる俺ってかっこいいや〜ん」と虚勢を張る為、
言わばマウント取りの為にわざわざ書いた、と
当方は邪推している。
そして、本来「スズメノタマゴ」と呼ぶべきは
「メダケの赤衣病」では無く
「マダケの赤団子病」の方では無かったか、
と当方は考えているのだ。
また、詳細は割愛するが
『本草綱目』の「竹蓐」の記述の中で混同された物には
「肉球菌」と呼ばれる物があるのでは無いか、と考えた。
「肉球菌」は日本には
自生していない種類の竹に発生する寄生菌で
その為、日本で観察する事は出来無い。
生態は赤団子病に似ているのだが
赤団子病は大きくてもウズラの卵大なのに比べて
肉球菌はテニスボール大、またはそれ以上にもなる、
と言う点が決定的に違っている。
(The MycoKey Mycelium blogより引用)
どちらも生薬の素材となっている点が興味深い。
肉球菌を一度見てみたいなぁと思い
香港に旅行に行った際に
生薬素材の卸店を何軒も回って尋ねた。
そして赤団子は購入する事は出来た。
だが肉球菌は香港では取り扱いが無かった様で
購入する事は出来無かった。
うーん、残念。
となると現地に足を運んで探さないとならないのかなぁ。
でも、それはあまりにもハードルが高いなぁ。
ただでさえ当方はコミュ力が低いのに
中国語も英語も話せない当方にはまず不可能だよ。
そもそも何処に生えているかも判らないしなぁ。
雲南省にはあるらしいけど、
日本より広い土地の中からどうやって探すと言うのだ。
でも何とか方法は無い物かなぁ・・・・・・
悶々としながら幾星霜。
ある時にwebで肉球菌を検索していた所、
中国の通販サイトの日本語版サイトで
肉球菌が取り扱われている事を発見!
(CHINAMARTのサイトから引用)
中国通販サイトの日本語版は他にもあったのだが
そこでは肉球菌の取り扱いは無かった。
このサイトは最近出来た物の様だ。
いやぁ、知らなかったなぁ。
これはチャンスだ。
これはもう購入するしかない。
それと、序でに赤団子も買ってみよう。
実は以前、香港で購入した赤団子と
京都・愛知・岐阜で採集した赤団子を
大きな一つの保存容器に纏めて入れて置いた所
そのどれかから虫が湧いてしまい
全てが食害を受けてしまっていたのだ。
ビニール袋に入った物も穴を開けられて食われてしまっていた。
因みに沸いた虫はアザミウマの仲間だと思われた。
保存容器の中は正に地獄絵図状態。
何せ外敵は入らない密室で
食料は潤沢にあるの天国なのだ。
それはもう、大量発生していた。
それこそ培養していた状態なのだからそれも当然だ。
あまりの事に悲鳴を上げそうだった。
あまりの光景に記録の為の撮影をする事すら出来無かった。
残せる部分だけでも何とか拾い集めようかとも思ったのだが
この虫が香港産だった場合、
当方がうっかり外に逃がした事によって
万が一国内で繁殖して大変な事になるかも知れない。
それを避けるには
これはもうこのまま蓋を閉じて処分するしか無い。
仕方無く密閉したまま可燃ゴミとして出した。
そのまま焼却場で灰になった筈だ・・・・・・
なので、手元には赤団子が無い状態だったのだ。
それをこの際、購入する事にした次第。
折角なら幾つかの産地のを買って比べて見る事にしよう。
と言う訳で「肉球菌」の他に
四川省産赤団子
(CHINAMARTのサイトから引用)
(wikipediaから引用)
河北省産赤団子
(CHINAMARTのサイトから引用)
(wikipediaから引用)
雲南省産赤団子
(CHINAMARTのサイトから引用)
(wikipediaから引用)
安徽省産赤団子
(CHINAMARTのサイトから引用)
(wikipediaから引用)
を注文してみた。
因みにそれぞれ日本円で1000円程。
最初に香港で買ったときは800円くらいだったから
少し値上がりしてるなぁ。
とは言えそれも10年以上前なのだから
値上げ幅で言えば微々たる物か。
さて、問題の肉球菌を注文する。
こちらは赤団子に比べると4倍の値段。
中々のお値段だなぁ・・・・・・
まぁ、それも仕方無い。
クレジットで支払い、注文完了。
さて、これで本当に届くのだろうか。
言ってはアレだが、C国のサイトなのだ。
まともな物が届かない可能性もあるし
そもそも詐欺サイトだった可能性もあるのだ。
だが、信じて待つしか無い・・・・・・
所でそのサイトは親切な作りで
オーダーステータスの更新がとてもマメだった。
それぞれの注文した物が現在どんな状況で
現在位置は何処なのかが詳細に更新されていた。
それを見る限り、順調に進んでいる様だった。
そして順調に中国を飛び立ち日本に到着し
税関の手続きが取られている、との表示が。
注文してから2週間後、その荷物が届いた。
それがこれ。
いかにも怪しいw
猫も訝しんでいるよw
開封すると各々が別の箱に入っている。
それを全て開梱。
いやぁ、中々壮観♪
これが遥々中国から海を越えてやって来たのだなぁ。
赤団子は見た所、地域的な差は無いみたいだなぁ。
まぁ、サイトで見た時からそうは思ってたけどね。
勿論、DNA的にどうかは判らないが
当方が調べた範囲ではその点に関しても研究はされていない様だ。
と言う事はこれらの赤団子病と日本の物は同一のDNAなのかなぁ。
まぁ、元々研究者の少ない分野だし
当方がwebで拾える範囲にその情報が無いだけで
実際には別種なのかも知れないけれど。
そもそも、販売会社がそれぞれ地域は違うけど
実は産地は皆同じだった、
なんてのだったら目も当てられないけどね。
さて、今回の本来の目当ての肉球菌。
果たしてどんな感じの物なのだろう
と、妙に小さいなぁ。
発生する個体に多少の大小の差異はあったにしても
これはあまりにも小さいではないか。
と、よく見ると「竹紅菌」と書いてある。
これは肉球菌の別名では無い。
肉球菌とは別の種類の竹類寄生菌の
Hypocrella bambusea(和名無し) の事だ。
この菌も日本では発生していない種類だ。
なんて事だ・・・・・・!
改めてサイトの画像を見てみる。
左上に「野生竹紅菌」としっかり書いてあるでは無いか・・・・・・
実はサイトには、この画像と共に別名として
野生竹紅菌 竹生小肉球菌 竹紅菌素 竹紅菌 野生竹紅菌
とも書いてあった。
この中の「竹生小肉球菌」に検索が引っ掛かったのだ。
それで当方は「やった!肉球菌だ!」と思い込んでしまったのだ。
だが、この別名は当方が参考資料にした
中国の書籍『中国薬用真菌』にも
その日本語版である『中国の薬用菌類』にも
中国の増補版である『蕈菌医方集成』にも無かった。
「竹生小肉球菌」では無く「竹生小肉座菌」は
どの書にもあったので、
「竹生小肉球菌」はサイトを作成した人が間違えたのか、
サイト作成者が個人的に使っている呼び方なのか、
書籍発行以降に定着した呼び方なのかは当方には判らない。
何にしても、竹紅菌は本来当方が欲しかった物では無い。
何てこった・・・・・・
矢張り肉球菌を入手する事は出来無いのかなぁ。
凹んだ気分で更に検索を掛ける。
今度は「肉球菌」で無く
学名の Engleromyces goetzei で検索をする。
と、別の中国の通販サイトがhitした!
(Health Wisdomのサイトより引用)
これこそ肉球菌だ!
しかしこちらは日本語の対応をしていない。
幸い、英語のサイトなので
webでの機械翻訳を駆使して何とか注文をしてみた。
先の竹紅菌と比べると倍の値段。
つまり赤団子の8倍の値段・・・・・・
だがそれも仕方無い。
あるかどうかも判らない現地に行くよりも
確実に入手出来るのだ。
その対価なのだ。
仕方無い!
そう言い聞かせて思い切って注文。
と、サイトから返事が。
それを機械翻訳をすると、
なんとサイト掲載の2倍の量を注文しないと
送れないのだとか。
ただの手違いなのか
海外へ発送する場合の縛りなのかは判らない。
だが、と言う事は赤団子の16倍の値段になる・・・・・・
(∩;゚皿゚)ヒイィィィッッッ!
だがそれも仕方無い。
仕方無いのだ!
それで注文しなければ仕方無いのだ!
それこそ清水の舞台から飛び降りる勢いで注文!
何度もやり取りをして此処まで一週間。
クレジットの支払いでもトラブルが発生し
その為だけに何度もやり取りをして更に一週間。
何とか注文完了。
本当に届くのだろうか・・・・・・
言ってはアレだが、C国のサイトなのだ。
まともな物が届かない可能性もあるし
そもそも詐欺サイトだった可能性もあるのだ。
だが、信じて待つしか無い・・・・・・
毎日サイトのオーダーステータスを見ていたのだが
何の動きも無い。
不安になりながら待つ事更に一週間。
突然オーダーステータスが動き始めた!
ちゃんと注文は通っていた様だ!
ちゃんと手続きをしてくれている様だ!
更に待つ事一週間。
中国を飛び立ち日本に到着し
税関のチェックを受けている旨の表示が。
そしてやっと届いた!
注文を始めてから一か月で遂に肉球菌が届いたのだ!
竹紅菌の時とは違う重量感。
今度こそ本物の肉球菌だ!
ワクワクして開ける。
で、出て来たのがこれ。
あっ、そうか、そうだよね・・・・・・
生薬の素材として売ってるんだよね・・・・・・
だからスライスして乾燥した物になるよね・・・・・・
赤団子と竹紅菌はそのままの形状で届いてたし
サイトには丸のままが載ってたから
丸のままの形の物が届くと思ってたのだけど
あくまでも生薬の材料だもんね・・・・・・
生薬の材料って、スライスして乾燥させるもんね・・・・・・
こうやって届くのは当然だよね・・・・・・
標本を売ってる訳じゃないもんね・・・・・・
そうだよね・・・・・・(´・ω・`)
ちょっとショックだった。
これじゃぁ元の形が正確には判らないもんなぁ・・・・・・
だが、これで良しとしよう。
実際、決死の思いで現地に行って
必死にコミュニケーションを取って竹藪を探して
運良く肉球菌の現物を採取出来たとしても
検疫の関係からそれをそのまま持ち込めるとも思えないしなぁ。
学者でも無い当方が海外から寄生菌の塊を入手しようとした場合、
スライス乾燥品になってしまうのは仕方無いだろう。
袋には「肉球菌」とのシールが貼ってある。
今度こそ本物の肉球菌だ。
良かった・・・・・・(つД`)
とにかく現物を入手する事は出来たのだし。
こう言う状態でも実物を手にする、と言うのはやはり違う物だ。
取り敢えず開封して中身を見てみる。
いやぁ、矢張り大きいなぁ。
赤団子病と全然違うよ。
これなんかは二つ折りになっててこの大きさだ。
これはソフトボール大以上だったのだろうなぁ。
折角なら赤団子、竹紅菌と並べて比べてみる。
これだけ大きさが違うのだなぁ。
肉球菌の外縁部はこんな感じ。
上掲の肉球菌の画像でもそうだったけど
赤団子に比べると色味は薄い。
画像の生の状態では赤味はあったが
乾燥するとかなり色褪せてしまう様だ。
因みに各々の匂いについて。
以前、赤団子については最初の記事で
「何とも表現の出来無い、独特の香り」と書いた。
グルメリポーターでもない当方には困難な事だが
それを無理矢理言語化すると
「甲虫のニオイに鰹節の匂いを足して薄めた感じ」
となるのだろうかなぁ。
それで想像して頂けたら有難い。
漬け込んだ焼酎の味は
更にそれが強くなった感じだった。
ちょっと生臭さを感じる気がした様な記憶が・・・・・・
竹紅菌は赤団子のそれにかなりの香ばしさを足した感じ。
ワインで言う所の「樽香が強く感じられる」となるのかな?
肉球菌は赤団子を薄めた上に
ゴマ油の香りを少し加えた感じかなぁ。
何にせよ、「独特の香り」と言うしか無いw
因みにそれぞれの菌は分類的にはそれほど近い訳では無い。
子嚢菌門
└クロイボタケ綱
└プレオスポラ目
└シライ科
└白井菌(赤団子病)
子嚢菌門
└フンタマカビ綱
└マメザヤタケ目
└クロサイワイタケ科
└肉球菌
子嚢菌門
└フンタマカビ綱
└ボタンタケ目
└ボタンタケ科
└竹紅菌
目違いと言う事は人間(霊長目)で言えば
ネズミ目、ウサギ目レベルの違いとなる。
綱違いと言う事は人間(哺乳鋼)で言えば
脊椎がある事が共通しているだけで
クジラ、トカゲ、魚レベルで違う事になる。
だがニオイ的に似通った所があるのは
竹の寄生菌と言う共通点から来る物なのだろうかなぁ。
これこそ正に「百聞は一見に如かず」だなぁ。
予定外のアクシデント?で竹紅菌を入手した事によって
新たな知見、情報を得る事も出来た。
『本草綱目』の「竹蓐」の記述の考察にも
この事を加えて更に追及して行きたい。
その為に日中の色々な古文献を更に調査したいなぁ。
日中の本草家が「竹蓐」とどう格闘したのかを
もっと詳しく知りたい。
そして、最終的には矢張り中国の竹藪に行って
肉球菌を直接探さないとならないのかもなぁ・・・・・・
今から中国語を習得するのは難しいし
肉球菌が発生している竹藪に詳しい現地の人と
知り合って仲良くなるのも
かなり難しいよなぁ・・・・・・(;´Д`)
所でプラスチック容器入りのヤツ。
良く見ると中に怪しげな粉が。
これは虫の糞だ。
中で虫が湧いてしまっているのだ。
おいおい、こんな状態で売ってるのかよ。
まぁ、1個でもチェックをすり抜けてしまうと
こうなってしまう訳なんだよなぁ。
怖い怖い。
前回の大損害の二の舞はしたくないので
届いた物はすべて一度冷凍庫で完全に凍らせた。
これでもうあんな目には遭わない筈だ。
何せ大金と多大な労力の結果、入手した物なのだから
可能な限り一日でも長く手元に保存して置きたいもんなぁ。
中国の得体の知れない虫を増殖させてみる、と言う
怪しい誘惑に駆られる所が無かった訳では無いけどねw
※赤団子病関連アーカイブス→こちら
]]>
に関して2つの仮説を立てている。
一つは発生時期による個体の差異。
当方が見る限り、ミカワクロアミアシイグチには
7月と9月に発生のピークがある。
そして、それぞれの時期に発生するミカワに
傾向の違いがあるのでは、と感じている。
ミカワの柄には特徴的な網目があるのだが
そこに「広い・狭い」と「浅い・深い」があり
また、柄その物にも「太い・細い」がある。
つまり順列組み合わせで8種類の傾向が考えられるのだが
7月に発生する物は「柄が太くて網目が深い」傾向が、
9月に発生する物は「柄が細い、柄が太くても網目が浅い」
傾向があると感じていた。
それが系統の違いなのか、DNA的に別種なのかは不明。
そもそもそう言う傾向が本当にあるのかどうか、
ミカワに遭遇する度に柄の観察を繰り返している次第。
ただ、この数年の名古屋は
ミカワの発生時期に良い感じで雨が降ってくれていないので
良い感じでミカワが発生してくれない。
そんな中で、取り敢えず遭遇したミカワを列挙してみる。
まずは7月に遭遇したこちら。
上手く撮影出来無かったのだが柄のアップ。
柄は太く、網目は細かくて深い様に見える。
こちらはヒポミケス菌にやられてしまっている。
黒白黄色のコントラストが綺麗♪
柄はやや細め?で網目は細かくて深い。
こちらはどれも古くなった個体群。
生きていた柄だけを撮影。
こちらは柄が太く、網目は細かくて浅い感じ。
こちらは柄が太め、網目は広く浅い。
こちらは元気な個体。
柄は太め、網目は広くて浅い。
こちらは9月に遭遇した物。
傘が淡色の幼菌。
柄は太め、網目は狭くて深い。
こちらは既に成菌。
柄はやや太め、網目は細かくて深い。
こちらはほとんど解けてしまった老菌
柄は良く判然としないが、やや太めで
網目は細かくて浅い様に見える。
こうして見ると、発生時期によって柄の形状の傾向が違う、
と言うのは矢張り当方の思い過ごしなのかなぁ。
そう言う傾向の見られる年がたまたまあった、と言う事なのかなぁ。
でも、天候の所為でミカワが順調に発生してくれていないので
発生傾向がごっちゃになってしまっているのかも知れないしなぁ。
まぁ、取り敢えず今後も観察は続ける予定。
そして2つ目の仮説は
「ミカワの分布状況には地質が影響している」だ。
それについては前回、年末大妄想を繰り広げた(→こちら)。
ミカワは最初、愛知県の三河地域で発見された為
「ミカワクロアミアシイグチ」と命名された。
実際、発生が多く報告されているのは愛知県で
他には岐阜、三重、大阪、兵庫からも報告されている。
そして静岡からは発生報告は当方の知る限り無いのだが
何故か飛んで埼玉、千葉からの報告がある。
そして前回、福岡での発生を記事にした、
勿論それがミカワの分布状況を
完全に表現している訳では無いのだろうが
現況をある程度反映していると考えても良いだろう。
その不思議な分布状況と当て嵌まる地質区分が「西南日本内帯」だ。
(大鹿村中央構造線博物館HPより引用)
そして更に「鬼界カルデラ」も影響していると考えている。
国立研究開発法人海洋研究開発機構 鬼界カルデラ総合調査より引用
詳細は前回の記事を参照して頂きたいが(→こちら)
日本列島の成り立ちに関わる地質学的現象が
ミカワの分布状況に深く関わっている、と当方は考えているのだ。
だが、それを証明する手立てを当方は持ち合わせていない。
ただひたすら、この場末のblogで妄想を垂れ流すしかない。
そんな中、高橋春樹氏が8月23日にTwitterにこんな投稿をした。
以下、氏のtweetから同意の下、引用。
石垣島産クロニガイグチ類似菌。
柄の表面の上半部またはほぼ全面に
やや粗大な網目状隆起を形成し、
管孔は傷をつけると黒変します。
幼菌と傘表面。
これはミカワではないか!
どこからどう見てもミカワにしか見えない!
だが、高橋氏は当方みたいな在野の底辺キノコマニアと違って
キチンとした菌類学者なので
そう見えるからと言ってこのキノコをミカワだとは安易に断じない。
実はミカワはいまだに正式に学会に報告がされていないとの事。
従って顕微鏡的データ、DNA情報が不明の為
このキノコがミカワなのかどうかを正確に同定する事が出来無いのだ。
その為「石垣島産クロニガイグチ類似菌」としているのだ。
だが当方は無責任な底辺のキノコマニアなので
これはミカワだと確信している。
で、このミカワの発生が確認された石垣島は
地質学的には西南日本内帯に含まれると推定される、との事。
※地質調査総合センター「石垣島東北部地域の地質」の4頁目と6頁目参照
矢張りミカワの分布状況には西南日本内帯が関係している、と
考えて良いのでは無いだろうか。
当方の妄想がまた一つ補強された!
石垣島を含む南西諸島は鬼界カルデラの火山灰の影響は
風向きの関係で大きくなかったと推定される。
となると、沖縄でもミカワは発生していると考えられるし
更に言えば台湾でも発生している可能性もある。
ただでさえ狭い当方の交友関係の事。
その地域に知り合いがいないのが残念だ。
沖縄や台湾のキノコマニアの方がこのblogを見てくれていて
ミカワの事を気に掛けてくれたら嬉しいのだけどなぁ・・・・・・
それを祈らずにおれないよ。
(-人-) ナム〜
※アーカイブスもよろしければご覧下さい→こちら
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各種の広葉樹の枯れ木や枯死した部分から発生する。
名前の通りの柳の木の他に
ポプラ、カエデ、ニレの木等の他、
当方が見た所では桜の木からも発生していた。
街中の街路樹に発生し歩行者を驚かせる事も少なくない。
近年では栽培品が「しゃっきり茸」「茶樹茸」等の名で
市販されている優秀な食キノコだ。
しっかりとして歯切れの良い柄が特徴的。
「しゃっきり茸」の商品名はそこから来ているのだろう。
栽培品は傘が小さく、柄の部分を強調する形となっているが
天然物では傘は大きく広がりとても食べでがある。
この様に成長すると傘が大きく広がる。
そして大きなツバも特徴的。
自身の胞子を受けて茶褐色になっている。
上部の虫は恐らくその胞子を食べに来たのだろう。
こちらは雨を受けた個体。
湿るとヌメリを生じる。
こちらはやや古くなった個体。
全体に色が濃くなっている。
こちらは古くなった上にやや干乾びた状態。
ツバは脱落してしまっている。
一度発生すると何年も続けて発生する事が多いので
発生場所を覚えて置くと長い間収穫が楽しめる。
上掲画像の1枚目2枚目は実は
同じ場所で別の年に発生した状態の物。
東大阪時代、居所の近所の神社の広葉樹から
毎年発生していて何度も収穫していた。
ある年、その神社で撮影していた際に
神社の人に「何してるんですか?」声を掛けられて
「キノコの撮影を・・・・・・」と言った所、
「毎年生えてくるんですよね。食べられるみたいで
採って行く人が居るんですよー」との事。
それはワタシです、とは言えず
「へぇ、そうなんですねー」と答えたが。
栽培品では穏やかになっているが
天然物は形容し難いやや独特な香りがある。
色々な料理法が合う、との事だが
油を使った濃い味付けが合う、と当方は感じた。
因みに当方はトマトソースに入れて
パスタに掛けて食べた。
このキノコも東大阪時代には
上記の神社を含め何カ所も発生ポイントがあって
毎年必ず何処かで遭遇していたのだが
名古屋に転居以来、一度も見ていない。
広葉樹の枯れ木なんてそこら中にあるのだが
名古屋周辺の環境が何か微妙に
ヤナギマツタケ向きでは無いのだろうかなぁ。
不思議だ。
所でヤナギマツタケは別名「ヤナギタケ」とも言うとの事。
文字通り柳から生えるからだろう。
椎茸も椎の木から生える為にそう名付けられたのだが
実際にはクヌギ、コナラ類からの発生が多く、
ほだ木として使われるのがそれらの樹種である、みたいに
たまたま柳の木から生えているのが最初に見つかったので
ヤナギタケと命名された(のかな?)だけで
実際には上述した様に様々な広葉樹から発生する。
その点はヤナギマツタケの命名の難点と言うべきか。
因みにヤナギマツタケと本家のマツタケとは
分類学的に言うと同じハラタケ目だが
オキナタケ科とキシメジ科で少し離れている。
人間で言えばヒト科とテナガザル科、オマキザル科等
近いと言えなくもないが
とは言えあまり近くない、と言った所か。
恐らく美味なキノコだ、と言う事で
「柳に生えるとても美味しいキノコ」の意味で
ヤナギマツタケとしたのかも知れない。
だが、そもそも外見的にマツタケらしい部分は何処にも無いし
香りがマツタケを思わせる部分も何処にも無い。
幼菌も成菌もマツタケらしい形では全く無い。
何か共通点・類似点があるならまだしも
そのどれも無いのに「マツタケ」と付けている点は
分類的にはマッシュルームに近い健康食品のアガ○クス茸を
マツタケとは全く無関係なのに
「ヒメマツ○ケ」と称しているのと同じ様な
さもしさ的な物をどうしても感じてしまうなぁ。
因みにア○リクス茸は元々日本には自生していないし
「ヒ○マツタケ」はあくまでも商品名、通称であって
標準和名では無い。
栽培品のヤナギマツタケを何も知らずに
「ヤナギマツタケ・・・・・・え?マツタケ!?」と
その部分だけに惹かれて買ったとしたら
がっかりするだけだろうになぁ。
折角の本来の実力を
評価されなくなってしまう結果となって可哀想だ。
その点もヤナギマツタケの命名の難点と言えると思う。
恐らく商品名もその点を勘案して
マツタケ要素を絡めていないのだろう。
いずれにしても罪な名前だよなぁ・・・・・・
所で天然物には独特の香りがある、と書いたが
当方はそれを「FRPのニオイ」と感じてしまった。
FRPとは強化ポリエステル樹脂の事で
風呂桶、浄化槽や貯水槽等のタンク類、船舶のボディ、
車やバイクの軽量ボディ、サーフボードの他、
様々な造形品の素材として使われている。
街中にある樹脂製オブジェやモニュメントは大概FRP製だ。
2液性硬化樹脂としてハンズや大きなホームセンターで
缶入りの物を買う事も出来る為、種々の造形作品の作成に
使用している人も多いだろう。
実際、当方も仕事でFRPを使用している。
で、硬化剤を混ぜて液状の樹脂を硬化させるのだが
硬化反応をする時に発するニオイが
ヤナギマツタケとそっくりなのだ。
調理すると薄くなってあまり気にならなくなるのだが
何時も仕事で使っている物で
作業中にウンザリする程嗅いでいる
食べ物でも無い物のニオイと同じだ、
と言う事に萎えてしまって当方は次第に
ヤナギマツタケを収穫する事を辞めてしまった。
折角身近に食キノコが大量に発生していたのになぁ。
とても残念だ。
だが、色々調べたり掲示板で意見を聞いたりしたが
ヤナギマツタケの香りをFRPのニオイと感じた、
と言う例は出て来なかった。
考えたら、FRPの硬化反応時のニオイを知っている人は
仕事や趣味でそれを使っている人以外はあまり多くないだろう。
そしてその中で天然物のヤナギマツタケのニオイを
知っている人は更に少ないだろう。
その両方を満たすのはひょっとしたら当方だけなのかもなぁ。
二つのニオイの共通点を知っているのが
日本で(世界で?)当方ただ一人だ、と考えたら
自慢できる事なのかも知れないが
この感覚を共有出来る人が誰もいないのは寂しくもある。
そもそもこの感覚自体が正しいのかどうかも判らないしなぁ。
自分の感覚が正しいのか、
それとも全く個人的な物なのかを知りたいなぁ。
誰かヤナギマツタケと硬化反応時のFRPのニオイを
嗅ぎ比べてみてくれないかなぁ。
そしてその結果を教えて欲しい。
特にお礼は出来無いけれどね。
結果を聞いてどっちだったとしても
「あぁ、そうだったのね」との感想を持つだけだしね。
それでも嗅ぎ比べてくれる奇特な人が現れてくれます様に。
(-人-) ナム〜
]]>
その中で引き合いには出していたのだが
そう言えばアンズタケの事を
記事にしていなかった事に気付いたので
今回は満を持して?アンズタケの事を書いてみたい。
アンズタケは欧州ではジロール(girolle)と呼ばれ
人気が高い食キノコだ。
名前の通り、爽やかなアンズの香りがする。
キノコから果物の香りがすると言うのも実に不思議だ
実は当方は飛騨山中で何度も遭遇している。
鮮やかな黄橙色がとても美しい。
アンズタケの仲間はヒダの様子が特徴的だ。
シイタケの様な通常のヒダと違い、やや厚みが感じられる。
これは皺が深くなった状態なので「しわひだ」と呼ばれている。
そしてしわひだ同士を繋ぐ様に脈が発達しており
それを連絡脈と言う。
連絡脈の発達具合には個体差が大きい。
これはかなり連絡脈が顕著だ。
こちらはかなりあっさり目。
これは系統差なのかなぁ。
さて、前述の様にアンズタケはアンズの爽やかな香りが特徴。
折角ならそれを活かした料理にしたい物だ。
なのでオムレツにして食べてみた。
収穫したアンズタケをさっと洗って
細かく切る。
それを解き卵に混ぜて
オムレツに。
ソーセージも添えてみた。
アンズの香りが本当に爽やか♪
(゚д゚)ウマー
本では汁ものや佃煮、天ぷら等も推奨されているが
当方は今の所、オムレツ以外では食べた事が無い。
と言っても食べたのはまだ2回だけなのだがw
当方が毎年行っている飛騨の山中には
当方が知る限り3箇所の発生シロがあり
毎年発生に遭遇しているのだが
何故か殆どが収穫機を逸してしまっているのだ。
こちらは虫に喰われてしまっていてボロボロだった。
こちらも一見行けそうだったが
実際に触ってみたら虫に喰われてスカスカだった。
飛騨山中に通う様になって20年以上経ち
毎年アンズタケに遭遇はしているのだが
食べられる状態の物がそれなりの量だったのは
たったの2回だけだったのだ。
他の地域は判らないが、それだけ飛騨のアンズタケは
虫に喰われやすい、と言う事なのだろう。
アンズタケはアンズの香りがするので
キノコに付く虫を呼ぶ+果物に付く虫を呼ぶ、で
他のキノコに比べて虫が付きやすいのかなぁ。
当方がフィールドで見て居る限りはそう思えてならない。
さて、アンズタケは上記の様にアンズの香りと
しわひだが顕著な特徴のキノコなのだが
実は複数の種類が含まれているのかも知れない、
と言う話があるとの事。
実際、当方が遭遇して来たアンズタケの中にも
これは果たして同一種なのか?と疑ってしまう物もあった。
まずはこちら。
ご覧の様にやたらと白い。
しわひだもはっきりして居たしアンズの香りもしたので
アンズタケである事は間違い無いだろう。
まあ、これはただの個体差かも知れないけれど。
次はこちら。
色も外見もアンズタケだが、アンズの香りは弱かった。
鼻の穴に入れる位に近付けないと香りが感じられない程。
しかも連絡脈が全く見られない。
小さな個体では連絡脈が発達して居ない事はある様なのだが
これ程の大きな個体で連絡脈が見られない事もあるのだなぁ。
こちらは同じ場所で別の年に発生して居た物。
矢張り香りが弱かった。
妙に白いのを見ると、先の白っぽいアンズタケも
矢張りただの個体差なのかもなぁ。
こちらも見た目は完全にアンズタケ。
だがアンズの香りは一切しなかった。
連絡脈はじっくり見ないと判らない程度。
これだけアップにしてやっと痕跡程度のが見える。
こちらはちょっと白っぽい個体。
これも香りは一切しなかった。
こちらも連絡脈は見られなかった。
だが、この大きさの個体なら
それは珍しくないのかも知れない。
と、当方が遭遇しているだけでも特徴がバラバラだ。
実は日本のアンズタケは欧州種の学名
Cantharellus cibarius(カンタレルス キバリウス) が
充てられていたのだが
DNA解析の結果、別種と判明した為に近年新たに
Cantharellus anzutake(カンタレルス アンズタケ)が
充てられたとの事。
だが、将来的には更に複数の種類に
分割されるのかも知れないなぁ。
しわひだの状態も個体差系統差だけでは
無いのかも知れないよなぁ。
以下は余談。
アンズの香りのするアンズタケには
当方は今の所、飛騨山中でしか遭遇していないが
アンズタケの仲間には他の場所でも遭遇している。
その一つはこちら。
名古屋市内のアンズタケは色目が悪いのかな、と思ったのだが
アンズの香りはしなかった。
これは『北陸のきのこ図鑑』に掲載されている
コゲチャアンズタケなのかも知れない。
だが、同図鑑にあった
弱い佳香あり
が感じられなかったのは古めの個体だったからなのか
または個体差なのか別種だからなのか、
それとも当方の鼻が悪いからなのかは不明。
こちらはヒナアンズタケ。
見た目はアンズタケぽいが、実物はかなり小さい。
大きさだけでなく、質感もアンズタケとは違っているので
「極端に小さいアンズタケ」ではない事が
実物を見ると結構判る。
そしてアンズの香りはしない。
これには飛騨山中と名古屋市内で遭遇している。
こちらは東大阪で遭遇した物。
特徴はアンズタケ属なのは確実。
色合いからするとオトヒメアンズタケかも知れないなぁ。
こちらも東大阪で遭遇した物。
かなり小さな個体。
全体に灰褐色だが、しわひだが確認出来るので
アンズタケの仲間である事は間違い無いが
これはさっぱり判らない・・・・・・
こちらは飛騨山中で遭遇した物。
一見、アンズタケだと思ったのだが
手にして見るとあまりにもしっかりした質感だし
しわひだは全く無く平滑だったので
ニンギョウタケモドキ属のアオロウジの仲間?
アオロウジの色変異?とさえ思ってしまった。
だが、強烈なアンズの香りがしたので
これはアンズタケモドキなのだろうなあ。
アンズタケモドキは当方の知る限り
山渓フィールドブックス『きのこ』にしか
掲載されておらず、同図鑑掲載の画像とは
上掲画像のキノコが全く似ていなかった。
なので始めは判らなかったのだが
アンズの香りのキノコなんて
アンズタケの仲間以外はまず考えられない。
そして、同図鑑には
きのこの形は規則的ではない
しわひだは不明瞭で平滑あるいはしわ状
との記載がある。
それを勘案し、色々画像検索した結果、
アンズタケモドキなのだろう、と結論付けた次第。
とにかく、アンズタケ及びアンズタケの仲間は
まだまだ判らない事だらけなのだなぁ・・・・・・
と、此処までアンズタケに関しての事を
画像を連ね、長々と書いてきたのだが
きのこびとさんのサイトに同様の記事があった・・・・・・
内容的にかなり重複していますが
そちらの記事もご覧頂けますれば
当方のこの記事とのコラボ?wと言う事で
より楽しんで頂けるかも・・・・・・
]]>
その記事でも書いたが、
シロアンズタケは実は知られざる有用な食キノコだ。
で、その記事の最後に書いたが
シロアンズタケはアンズの香りがする、と
中でも北米のシロアンズタケは収穫直後はあまり匂わないのだが
熟成させるとアンズの香りがする、との事。
F氏から貰ったシロアンズタケはアンズの香りは全くしなかった。
果たして熟成させれば香る様になるのだろうか。
だが、昨年は熟成の話を知る前に
シロアンズタケを全て食べてしまっていたので
それを試す事は出来なかった。
残念・・・・・・
と、それからちょうど一年。
昨年と同じ場所でシロアンズタケを収穫した、と
連絡があり、今回もわざわざ送ってくれた。
F氏、Tさん、本当に有難う御座居ます。
m( _ _ )m
届けられたのがこちら。
大きさも様々。
幼菌の形が可愛い♪
それこそエリンギぽい♪
丁度天ぷらをしようとしていたので
ブナシメジ、マイタケと共に一部を食べてみる事に。
試し、なので少量だけ。
衣をつけて
揚げる。
美味しそう♪
してお味の程は。
前回、炒め物で食べた時は
エリンギの様な食感、と書いたのだが
天ぷらにするとトロリとした食感になった。
それでいて多少の歯応えはある。
この感じ、何処かで食べたような気が・・・・・・
ハタ!と思い当たった。
ショウゲンジに似ている!
当方の記憶ではショウゲンジも天ぷらにすると
トロリとした食感がありながら
シャッキリとした歯切れが感じられた。
ショウゲンジよりは全体的にはソフトな歯応えだが
何となく味も似ていた様に思った。
矢張りシロアンズタケはあまり知られていないが
良い食キノコと言えるだろう。
残りのシロアンズタケは4日ほど冷蔵庫で「熟成」させた。
だがアンズの香りはしなかった。
うーむ、残念。
まぁ、じゃないかなぁ、とは思ってたけどねー
取り敢えず残りは炒めてパスタにする事に。
細く切ってみた。
左は比較用のエリンギ。
今回は市販のジェノベーゼソースで味付け。
赤パプリカを差し色に♪
混同しない様に右側にエリンギを寄せてみた。
火が通るとシロアンズタケは紫褐色になるので
間違える事は無いけどね。
で、実食。
うん、エリンギと比べると歯応えの差を感じる。
シロアンズタケは矢張りソフトだなぁ。
で、普通に美味しい。
癖が無いのでどんな料理にも合うだろう。
世に知られていないのが惜しい気がするよ。
ああ、シロアンズタケが
うちの近所にも生えていて欲しいなぁ・・・・・・
さて、当方の食べたシロアンスタケは
「熟成」させてもアンズの香りはしなかった。
「アンズの香りがするシロアンズタケ」と
当方の食べたシロアンズタケとは種類が違うのだろうか。
そこでアンズの香りがすると言う白川渓一郎氏の記事と
当方の食べたシロアンズタケを見比べてみた。
どちらのシロアンズタケも
当方の食べたシロアンズタケと比べると
シワヒダの感じが本来のアンズタケに近い様に見える。
こちら↓は白川氏のblogから拝借した画像。
画像の使用をご快諾頂きまして有難う御座居ます m( _ _ )m
画像を見る限り、シワヒダはアンズタケのそれに見える。
横の連絡脈もある様に感じる
こちら↓はアンズタケの画像。
縦方向のシワヒダの間に横方向の連絡脈が見える。
上掲画像の「シロアンズタケ」にもそれがある様に思う。
だが、当方の食べたシロアンズタケにはそれは無い。
となると、矢張りこれは別種と考えて良いのでは無いだろうか。
まぁ、実際見るからに違うしねw
思うに、アンズの香りがするシロアンズタケは
アンズタケのごく近縁な種類で
言わば「アンズタケの白化種」なのでは無いだろうか。
だからアンズの香りもするのだろう。
当方の知る限り、図鑑には掲載されていないし
検索しても他に出て来ないのは
未記載、未報告のキノコ、と言う事なのだろうか。
ひょっとしたら、本来「シロアンズタケ」と呼ぶべきなのは
こちらの種類の方なのかも知れないよなぁ。
もし、この「白化種のアンズタケ」が未記載種で
これから和名を付けるとしたら
「ニオイシロアンズタケ」とでもなるのだろうか。
何ともややこしい事になってしまうなぁ・・・・・・
まぁ、単にアンズタケのアルビノなのかも知れないけれど。
取り敢えず色々な人の協力のお陰で
「シロアンズタケの熟成問題」は一年越しで解決?出来た。
だが余計に謎が深まったと言える。
キノコは知れば知る程底が知れない。
正に沼だよなぁ・・・・・・
それでも今後も色々なキノコに出逢いたい物だ。
勿論、何時かはこの白いアンズタケにも遭遇したい物だ。
]]>
一見キノコにはとても見えない。
下手すると吐瀉物の様でもあり
使用済み吸水ポリマーが不法投棄された状態の様でもある。
また、粘菌のシロススホコリとかにも見えてしまうが
これでもれっきとしたキノコだ。
ロウタケとは「蝋茸」の意味で
見た通り「蝋の様な質感のキノコ」の事。
不定形のキノコで、地面から発生し
上掲画像の様にその場にある物を覆う様に広がる。
また、生きている植物や枯れ枝を這い上がる事も少なくない。
そして時としてカレエダタケの様に伸長する事もある。
こちらは地表を離れ、枯れ枝の上に広がった状態の物。
何故か宙に浮いた状態の枯れ枝の上に広がっている。
少しでも高くなる場所を選んだ、と言う事なのかなぁ。
こちらは地面から突き出た小枝?に纏わり付いた状態。
こちらは切断された植物(笹?)の茎に纏わり付いた状態。
こちらは地表の枯葉と、更に突き出た枯れ枝に纏わり付いた状態。
こちらは地表に出始めた段階か。
一部は枯れ枝に纏わり付いている。
こちらは苔の先端に広がっている状態。
苔の先端から伸びてカレエダタケ状になっている。
こちらはロウタケが乾燥した状態。
蝋の様な透明感が無くなっている。
こちらはロウタケにフタマタケカビ?が生えている状態。
ロウタケもキノコだから別の菌にやられる事もあるのだなぁ。
ロウタケは東大阪時代にちょくちょく遭遇していた。
一度、20〜30cm四方に広がる
とても大きな個体に遭遇した事があったのだが
そんな時に限ってカメラを持っていなかった。
当時はスマホも無かったので画像での記録が出来ず。
今でもとても残念に思っている。
名古屋に移ってからは岐阜山中では何回か遭遇しているが
何故か名古屋市内では一度も無し。
東大阪、飛騨にはあって、名古屋には無い
地質的な特徴が何かあるのかなぁ。
謎だ。
と、当方は見る機会が少なくないのだが
掲載されている図鑑は極めて少ない。
当方が調べた限りでは
『山渓フィールドブックス きのこ』 山と渓谷社刊
『新版北海道きのこ図鑑』 亜璃西社刊
のみだった。
掲載図鑑が少ない所為か、google検索しても
2022年8月30日現在、91件のみ。
キノコマニアからしても人気が無い様だ。
学名は Sebacina incrustans(セバキナ インクルスタンス)。
sebacina は sebum(脂肪)+ina(学名命名の際に使う接尾辞)。
incrustans は「外皮で覆って」の意味。
つまり「脂身の様な質感で覆われたキノコ」と言う意味の様子。
確かに脂身の様な半透明な感じはあるけど
蝋の方がより質感が近いと思うのだけどなぁ。
何故「蝋の様な」にしなかったのだろうかなぁ。
命名者の感覚はちょっと独特な気がする。
以前は見た目からシロキクラゲの仲間と考えられていて
異型担子菌綱
└シロキクラゲ目
└シロキクラゲ科
└ロウタケ属
└ロウタケ
に分類されていたが、近年のDNA解析の結果
ハラタケ綱
└ロウタケ目
└ロウタケ科
ロウタケ属
└ロウタケ
全く別の所属先に分類され、
更に「ロウタケ目」と独立する事になった様だ。
それだけ独特な種類だ、と言う訳なのだろうなぁ。
因みにロウタケは中国では「蜡壳耳」と言う由。
簡体字を繁体字にすると「蠟殼耳」となる。
「蝋で覆われた耳」と言う意味になるのだが
此処での「耳」は「銀耳」=「シロキクラゲ」の事。
つまりロウタケがシロキクラゲ科に分類されていた名残だろう。
となると、今後表記が変わって行くのかなぁ・・・・・・
因みに『日本産菌類集攬』によると日本産のロウタケ属は
・イトタケ(Sebacina dendroidea)
・ロウタケ(Sebacina incrustans)
・オオロウタケ(Sebacina laciniata)
の3種類となっている。
「イトタケ」は色々探したが掲載されている図鑑は無く
画像検索しても何もhitしなかった。
なので詳細は不明だが
イトツキマクコウヤクタケと言うキノコがあるので
ロウタケの周囲に糸を張り出している様な外見では無いかと
勝手に想像。
尚、「イトタケ」の命名者は安田篤の由。
やっぱり、と言った感じの命名だなぁ・・・・・・
「オオロウタケ」は
『信州のキノコ』信濃毎日新聞社刊
に唯一画像が掲載されているのだが
『日本産菌類集攬』ではロウタケの別名扱い、
つまりロウタケの個体差と言う事の由。
実際、図鑑の画像もロウタケとは
大きさ(広がっている範囲)以外、区別が付かない。
世界中のキノコの学名が検索できると言う
Mycobankと言うサイトで「Sebacina」の検索をすると
180種以上のロウタケの仲間がhitした。
ただ、世界全体で180種と言うのはかなり少ないとは言える。
しかも画像検索をしても画像が出て来ないのが殆ど。
それだけ研究が進んでいない、人気の無い種類と言えるだろう。
画像の出て来る一部の種類も色合いやロウ感の多少の違いはあれど
外見上はロウタケに非常に良く似ていた。
顕微鏡を見ないと、とても判別出来無い。
肉眼だけででも判別はまず不可能と言える。
と言う事は当方の画像の物も実はロウタケではなく
「××ロウタケ」とでも言うべき別の種類である可能性が
あるのかも知れないよなぁ。
所で国立科学博物館の
植物研究部多様性解析・保全グループの研究によると
シュンラン属の一部のランは
ロウタケと菌根関係(共生し栄養のやり取りをしている)を
築いている、との事。
しかも幼若期のみで、成長後は別の菌と菌根関係を結ぶのだとか。
つまり、ロウタケの何かが無いと発芽が出来ず、
それ以降は逆にロウタケでは成長が出来無い、と言う事になる。
何そのワガママ偏食っぷりw
そのランは何故そんな複雑な生活環を形成したのだろう。
ロウタケが常にそこら中にある訳では無いと思うのだけど
そうする方が有利な事って何なのだろう。
それとも、目に見えてないだけで実はロウタケは
そこら中に存在している、と言う事だろうか。
だったとしても、何故途中で
菌根関係を変更させなければならないのかなぁ。
ランなりの必然性があるからなのだろうけど・・・・・・
謎だ。
こんな何気無い、地味で目立たないキノコにも
今だに解らない事は沢山あるのだなぁ。
いや、地味で目立たないからこそなのかな?w
キノコの事を調べれば調べる程謎が深まって行く。
これだからキノコは辞められない♪
何時何処でどんなキノコに遭遇出来るか
ドキドキワクワクが止まらない。
そして何時かは名古屋市内でもロウタケに遭遇したい物だ。
]]>
今年の梅雨は妙だった。
梅雨入りしたかと思ったらすぐに梅雨明けしてしまい
40度の猛暑になったと思ったら戻り梅雨。
ヤマドリタケモドキ的には
一番欲しいタイミングで雨が降らなかった所為か
当方のフィールドでは中々発生してくれなかった。
SNSを見ると大豊作で歓喜の投稿をしている人が多数。
一体何処の世界戦なのか、と思いつつ待つ事暫し。
何とか名古屋でもヤマドリタケモドキに遭遇。
良かった、今年も発生して来てくれたのだなぁ、
なのでその様子を画像をズラズラ列挙しダラダラと記述。
最後までお読み頂けましたら幸いです。
m( _ _ )m
まずはヤマドリタケモドキ。
最初に目に飛び込んできたのはこの個体。
おぉ、これは形も良いし丁度採り頃な感じ。
だが、柄を切って中を見るとこんな状態。
虫に喰われてグズグズだった。
傘の近くはまだあまり虫が来ていない様子。
これなら傘は大丈夫か?
だが、傘を切断してみたらこんな感じ。
うーん、これはちょっと使えないかなぁ。
ヤマドリタケモドキの発生を心待ち似ていたのは当方だけでは無い。
あくまでも趣味として待っていた当方と違って
虫達に取っては死活問題だもんなぁ。
しかも発生と同時に駆けつける事の出来る環境・生態な訳で
当方がそんな相手に敵う訳がない。
残念だが仕方無い。
その後は中々良い物に遭遇出来無かった。
こちらは見るからに良さげだが
柄を触ったらフカフカに柔らかかった。
既に中身は相当虫に喰われていた模様。
切断して確かめる事もしなかった。
こちらは斜面の奥にあった物。
この場所で、こんなに大きく育った物は
中身は既にグズグズの可能性は高いのでスルー。
どうせ酸っぱいやい!
こちらはちょっと不思議な形状。
通常、ヤマドリタケモドキの柄は
下部に向かって太くなるのだが、こちらはその逆。
当方の知る限り、
こう言う異形の物は内部が既にグズグズの場合が殆どだ。
虫に喰われた所為で異形になってしまったのかもなぁ。
なので撮影だけしてスルー。
これは既に傘が溶け始めている。
こちらも異形。
傘が異様に小さくて薄かった。
しかも既に溶け始めていて半透明状態だったので
光を通して綺麗ではある。
こちらはやや遠目にあった物。
見るからに古そうだったのでスルー。
これももう駄目だなぁ。
これなんか既に溶けてるし・・・・・・(;´Д`)
これも既に虫にやられてる感じだったのでスルー。
こちらは幼菌だったのでスルー。
見た感じ、既にやられてそうだったしなぁ。
と、そんな中、群生している所に遭遇。
全体的に若く、丁度採り頃な感じ。
見た目の良い物も多いし。
幸い、虫は全く来ていない様子。
その内、4本を収穫。
成長段階によって傘裏の色合いが変化しているのを
上手い事収穫する事が出来た♪
全体的に見るとタイミングが合わなかったなぁ、
と言うのが正直な所。
もう数日早かったらもっと収穫出来ていたのだろうなぁ。
虫達と違って発生と同時に駆け付けられる訳では無いので
それはもう仕方無い。
こちらはオマケ。
ヤマドリタケモドキに押さえつけられているテングタケ。
恐らくヤマドリタケモドキの方が先に成長して居て
テングタケは後から出て来たのだろう。
両者の攻防がこの後どうなったのかは不明。
さてアカヤマドリの方はどうか。
まず最初に遭遇したのがこれ↓。
柄の残骸。
誰かが蹴飛ばしたのだろうか。
傘の部分は周囲には見当たらなかった。
うーん、これは前途が厳しいか・・・・・・
こちらは既に溶けてしまっている。
残念・・・・・・
これはよさそうな感じ?
だが、まだ若いのに既に傘の方まで虫が回ってしまっていた。
残念。
こちらは中々の大物。
だが、思ったより虫が回ってしまっていた。
左側の、使えそうな部分だけ収穫。
こちらは幼菌が近接。
こちらは幼菌ランド、と言った所。
どちらも幼菌過ぎなので収穫せず。
こちらは丁度良い感じ。
虫も回っておらず、当然収穫。
こちらは正に「成年」と言った成長具合。
どちらも虫が回っておらず良い状態。
収穫。
こちらは不思議な形。
二つが融合した物だった。
面白いので放置。
その後の成長した様子を見れなかったのは残念。
以前にも書いたがどうも名古屋東部では
ヤマドリタケモドキの発生が少なくなって来ていて
アカヤマドリの発生が増えている様だ。
しかも、それまでアカヤマドリが発生して居なかった場所に
ヤマドリタケモドキを押しのけて発生して来た様な場所もあった。
ヤマドリタケモドキとアカヤマドリは競合関係にあって
アカヤマドリの方が優勢なのだ、と言う事なのだろうか。
少なくとも名古屋東部においてはそう思えて仕方無い。
さて、収穫したアカヤマドリを調理しよう。
傘をスライス。
今回はスライスを大量に使って濃厚な味を目指す♪
白ワインとオリーブオイルを加えてミキサーに掛ける。
それを牛乳と共に加熱。
塩コショウで味を調える。
茹でたフジッリを入れてソースを絡める。
濃厚なソースをより多く絡めるにはフジッリが最適かと。
ブロッコリースプラウトを散らして映えさせる♪
見るからに濃厚そうなアカヤマドリソースのパスタの出来上がり♪
さて実食。
お味は・・・・・・
アカヤマドリの量が多すぎたなぁ。
あまりにも濃厚過ぎた。
そう言うのが好きな人なら好いのだろうが
当方的にはパスタとしてのバランスがよろしくない。
あまりにも欲張り過ぎた。
反省。
後日、バランスを考えて再チャレンジしよう。
残りはスライスして乾燥させる事に。
ヤマドリタケモドキも同様に。
天日乾燥させる。
瓶詰保存し、来年までそれで楽しむ事に。
取り敢えず、今年も収穫出来て良かった。
大量に収穫している皆様に比べたら微々たる量だが
少しでも収穫出来たので当方は満足。
虫達の食料を掠め取っている訳なのだから
収穫ゼロだったとしても文句は言えないしね。
また来年もヤマドリタケモドキ・アカヤマドリに遭遇し
収穫したい物だ。
虫達との争奪戦になるが
勝利!とは言わないまでも
完敗しない程度には競いたい物だ。
ヤマドリタケモドキとアカヤマドリの競合関係?の
動向にも注視したい。
それにしてもキノコはタイミングが難しいなぁ・・・・・・
]]>
ドクダミだけ、全て採取。
この場合、駆除の為なので根や根茎ごと採取。
友人は庭が綺麗になり、当方はドクダミが入手出来た。
正にwin=winの関係♪
ただ、これだけではドクダミの葉は一年持たない。
他で大量に採取し、一年分を確保する必要がある。
ドクダミは山野や空き地等に生えている事が多いが
実は都会地でも密集して生えている場所がある。
それは駐車場だ。
何故か駐車場の周縁部でアスファルトを破って
群生している事が少なくないのだ。
駐車場でのドクダミの採取は
山野に自生している物に比べて利点が多い。
まず、ドクダミ以外の他の植物の混入が少ない事だ。
山野での採取は他の植物の混入を避けるのは難しい。
つる草が絡んでいる事も少なくない。
それに、山野でのドクダミは虫が付いていたり
蜘蛛が巣を張っている事が多いが
駐車場のドクダミではそう言う事は殆ど無いのだ。
更に、アスファルトの隙間、割れ目から密集して生えているので
簡単に大量に採取する事が可能だ。
元々が駐車場脇に勝手に群生している雑草だ。
それを勝手に採取しても多分問題は無いだろう。
むしろ感謝されるかも???
まぁ、基本的に雑草だから当方が採取する前に
全て刈り取られてしまっている事も少なくないのだけど。
さて、採取したドクダミは干す前に処理が必要だ。
まず洗って泥を落とす。
何せ駐車場の片隅産なので
犬や人の小便が掛けられてるかも知れないしね。
そして枯れ葉や病葉を取り除く。
更に花を除去する。
ドクダミ茶をハーブティーとする場合は
「映え」の為に花の部分はあった方が良いだろうが
生薬とした場合、薬効があるのは葉の部分だけなので
余計な物は極力排除するのは当然。
何せ大量に集めているので花の量も大量になってしまう。
こうする↑と何か毛虫がうじゃうじゃしているみたいで
ちょっと気持ち悪いw
そして除去処理をしたドクダミ20本程を輪ゴムで束ねて
ハンガーに下げて天日で干す。
乾燥後、千刃扱きよろしくシゴいて葉のみを集める。
こちらは葉を除去した後の茎の束。
葉のみになった乾燥ドクダミ。
それをフリーザーバッグに小分けにしてから
圧縮した状態で保存し、一年中愛飲しているのだ。
以前、山採りのドクダミを安価で売っているサイトから
注文して取り寄せた事がある。
届いた物を見てみると、花も茎も色の悪い葉も
そのままに乾燥させた物だった。
だから安かったのかー
で、茶にしてみると
普段飲んでいる物とは味が違っていた。
ふーむ、ハーブティとしてのドクダミ茶は
こう言う味なのかぁ。なるほど。
これはこれで悪くは無いのだけど
矢張り当方は「十薬」としての
ドクダミ茶の味の方が好きだなぁ・・・・・・
なのでそれ以来、自分で採取して制作している次第。
さて、今年もドクダミの花の季節。
今年は別の友人からドクダミを提供して貰っていた。
庭の掃除でドクダミを除去した物を
45リットルの袋満杯でくれたのだ。
これも正にwin=win。
早速洗って処理を。
と、その最中にこんな物を発見。
なんだこれは?
これはムラサキカタバミの葉だ。
それにさび病(銹病)が発生している模様。
ムラサキカタバミは何処にでもある雑草だ。
それにさび病が発生するなんて知らなかった。
レンズを使って接写。
更にトリミング。
当方のカメラと技術ではこれが限界だ・・・・・・
にしても正に「さび病」と言った見た目だなぁ。
ドクダミと共に刈り取られ
ドクダミと共に水洗いされた為に
クチャクチャになってしまっていた。
なんとか新鮮な状態の物を見てみたいなぁ。
これをくれた友人の家の庭に行けばまだあるかも知れないが
既に全て刈り取られてしまった後かも知れない。
そもそも友人はムラサキカタバミに興味はなかったのだろう。
だからドクダミと共にウチにやって来たのだ。
残っているかどうかも判らない、
何処にあるのかも判らない物を探しに
友人の家に押し掛けるのも気が引けるしなぁ。
そもそも友人はさび病には興味無いだろうしなぁ。
まぁ、先述した通りムラサキカタバミは
何処にでも生えている雑草だ。
その内遭遇できる機会もあるだろう。
それを期待して居よう。
さて数日後。
駐車場のドクダミを刈りに某所へ。
採取しようとしてふと見るとムラサキカタバミが!
その中に怪しげな色あせた葉が。
葉を裏返してみる。
さび病が発生している!
しかも沢山あるではないか!
いやぁ、早速遭遇出来るなんてなぁ。
正に僥倖♪
帰宅後、色々調べてみた。
この病状を引き起こしているのは「ムラサキカタバミさび病菌」で
学名は Puccinia oxalidis (プクキニア オキザリディス)。
「プクキニア」はイタリア人の姓「Puccini(プッチーニ)」の事で
さび菌の総称。
何故「プッチーニ」なのかは調べ切れなかった。
「オキザリディス」は「オキザリス」=「カタバミ」の学名からで
「カタバミの」の意。
ギリシア語で「酸性」を意味するオクシス(oxys)を元に
カタバミの葉に酸味がある所から「オキザリス」と名付けられた由。
つまり Puccinia oxalidis (プクキニア オキザリディス)とは
「カタバミのさび病菌」と言う意味になる。
そのまんまやんw
このムラサキカタバミさび病。
実は園芸家の間では良く知られた病気だった模様。
園芸種のカタバミでの発生頻度も高く
ごく普通に存在している菌の由。
いやぁ、知らなかったなぁ。
検索した所、キノコの著書もあるoso氏のサイトにも掲載されていた。
氏も同じく、ごく普通にある菌とは
遭遇するまで知らなかった由。
この菌についてとても詳細に書かれている上に
さび菌の部分の鮮明な画像も満載ですので
ご興味がありましたら是非ご参照下さい(→こちら)。
因みにoso氏のサイトには何時もお世話になっております。
不躾ながら此処でお礼申し上げます。
m( _ _ )m
所でムラサキカタバミは当方の実家の庭にも普通に生えていた。
思い返せばこんな黄ばんだ葉も見ていたと記憶する。
だが裏返して見る事はしていなかった。
まさかそんな病変だったなんて思いもしなかったよ。
まさかそんな身近にさび病があったなんてなぁ。
まぁ、当時は昆虫少年だったので
植物や菌類にはあまり興味が無かったしなぁ。
ましてさび病なんて存在自体知らなかったし。
その時に見ていたら、その後の人生変わっていたかも???
そんな「今まで気付かなかった物」のもう一つがこちら。
これは「メヒシバ黒穂病」と思われる物。
メヒシバはごく普通の雑草。
(wikipediaより引用)
日本全国の道ばたや空き地、庭などに
当たり前の様に生えている。
あまりにも当たり前過ぎる為に
逆に目に入っていない人の方が多いかも知れない。
実際、当方もそうだった。
近所の河川敷でたまたまこの黒穂病を見付け
調べた所、ホストは「メヒシバ」で
何処にでもある雑草だと知った次第。
黒穂病が無かったら目に留めなかったよ。
「メヒシバの黒穂病」を引き起こしているのは
Ustilago syntherismae(ウスティラゴ シンゼリスマエ)と言う菌。
和名は無い様だが「メヒシバの黒穂病菌」ではダメなのかなぁ?
因みに「Ustilago」は「スス」の意で黒穂病全体を指す。
「syntherismae」は調べたが解らなかった。
メヒシバは田のあぜ道や畑にも普通に生える為、
肥料や水を横取りする目障りな物として
農業関係者に嫌われている由。
その駆除を目的に
農作物や環境に影響を与えない「生物農薬」として
この黒穂病菌を利用する研究がされている事が
2010年の宮城大学食産業学部紀要に掲載されていたが
現在それが実用化されているかどうかは不明。
メヒシバはイネ科なので
万が一稲に感染しては、と考えて慎重になっているのだろうか。
今の所、稲への病害は報告されていない様だが。
因みに「イネ墨黒穂病」と言う病害は存在しているが
全く別の菌による病害なので
「メヒシバの黒穂病菌」とは無関係の様子。
それにしても色々な研究があるもんだなぁ。
と、それはともかく。
そんな風に漫然と見逃している物って
実は沢山あるのだろうなぁ。
足下のそこら中にムラサキカタバミさび病や
メヒシバ黒穂病があったなんて
つい最近まで知らなかったよ。
それがこういう菌だからまぁ良かった?物の
それが「幸せ」や「金儲け」の切っ掛けだったりしてる事も
実は多いのかも知れないよなぁ。
それに気が付いて、それを逃さない人が
所謂「成功者」なのかも知れないんだよなぁ・・・・・・
まぁ、当方はこういう菌を見付けられる事が
幸せでもあるからそれで良いのだけどね。
金儲けにはならないけれどね・・・・・・il||li _| ̄|○ il||li
]]>
此処の所、良い感じで雨が降ってくれていないので
全般的にキノコが少ない。
仕方無いよなぁ、と思いつつ歩いていると目に入った物が。
うん、あれはホウロクタケだなぁ。
名古屋地域では元々発生の多い種類だが
この某緑地公園では特に多い。
正直「またか・・・・・・」と思ってしまった。
この辺のホウロクタケは何回も撮影しているしなぁ。
なのでスルーしようかと思ってしまった。
だが、何かちょっと違和感が。
気になったので近寄って見てみる。
これは一体?
なにかちょっと厚みが妙な感じ。
どうやら90度回転物件の様子。
※硬質菌が発生基部ごと90度転回してしまった為に
傘が異常な成長をしている物の事、と勝手に決めました
過去記事『どうしても』を参照の事(→こちら)
○○物件の名称は「役に立たないきのこ」さんの
『突き抜け物件』のインスパイア?です(→こちら)
だが、90度回転物件にしても何か妙だ。
良く良く見ると
厚み部分の輪郭が不思議な感じ。
ギアナ高地のテーブルマウンテンみたいだなぁ。
西田進のホームぺージ: パタゴニアとギアナ高地(2)---- ギアナ高地の旅より引用
その一つ、画面左奥の個体を更に観察する。
当方から見て右側側面がこちら。
左側側面がこちら。
どっちの面にも管孔と傘表面の構造が見える。
どうやらこれは180回転物件だった模様。
※過去記事『どうしても』を参照の事(→こちら)
そしてそれが更に90度回転し
新たに傘を成長させている状態なのだろう。
つまりこれは270度回転物件なのだろう。
だが、通常の90度回転物件なら管孔面の方をメインに
新たな傘が進展する筈だ。
こちらはカワラタケの90度回転物件。
管孔面のある方向に新たな傘が発達しているので
まるで強風に流された様な形状になっている。
だが、今回のホウロクタケは
元々が180度回転物件だったので
裏表両面に管孔が出来て居て
それが両方とも生きている状態だった為、
両側へ傘が発達する事になったのだろう。
その為、まるでテーブルマウンテンの様な
輪郭が出来たのだろう。
何とも逞しい話だなあ。
とにかく、どうしても管孔面を地面に向けて
展開させたい訳なのだよなぁ。
凄い生命力だ。
だが、それってどんな感覚なのだろうかなぁ。
裏と表、と言う厳然とした組織の違いがあって
それがある日180度回転して突然逆にされたのだ。
その為、本来下側だった管孔面が上側に、
本来上側だった傘面が下側になってしまった。
この非常事態に対応したのが
下側になってしまった傘の面に管孔を発達させ
上側になってしまった管孔面に傘の組織を発達させる事だったのだ。
その途中、組織を逆転させて生育している最中の状態って
むず痒いと言うか、気持ち悪く感じたりしないのかなぁ。
当方だったらきっと耐えられないと思うよ。
しかもこのホウロクタケは180度回転されて
組織を反転させている最中に
更に90度回転されて、また違う方向に組織を作り変えている状態。
むず痒くて気持ち悪くて仕方無い筈だ。
まぁ、キノコに感覚神経が無い(多分)のが幸いなのだろうなぁ。
所で、このホウロクタケはまだ成長途上。
この後テーブルマウンテンがどの様になって行くのか
今後も観察して行きたい。
ひょっとしたら更に転がされて角度が変わってしまい、
また違う形状に成長して行くのかも知れないよなぁ・・・・・・
]]>
今年もアミガサタケの季節がやって来た。
嫌でも季節は廻って来る物なのだよなぁ。
今年は出て来てくれるのだろうかなぁ・・・・・・
シロA。
この場所は比較的安定して発生してくれている場所。
さて今年はどうか。
今年も出てくれていた。
有り難いなぁ。
季節になるとちゃんと生えて来てくれる。
本当に有り難い事だ。
シロE。
形が良く、比較的大きな物が多く発生していた場所なのだが
去年、伐採木捨て場にされてしまっていた為に不安があった。
今年も伐採木はそのまま。
周辺の笹や雑草の発生状況が少し変わってしまっている様子。
その所為なのか、今年は発生を見なかった。
アミガサタケ向きの環境では無くなってしまったのかなぁ。
この場所のアミガサタケは形も大きさも贈答用向きだったので
その意味でも残念だ。
シロB。
暫く発生が途絶えていたのだが
3年前に奇跡的復活?を見せた場所。
その後も発生が途絶えていたのだが
今年は2本だけ発生を確認。
今後も奇跡の復活を期待したい所。
シロC.
周辺の造成の影響か発生ポイントが20m程移動した場所。
さて今年は。
今年も20m移動した場所で発生を確認。
所が今年は15m程以前のポイントに戻った場所、
つまり元々のポイントからは5m程離れた場所での発生を確認。
その後も周囲の造成は微妙に進行中なので
その影響で地下水脈がまた変わったのだろうか。
だが、以前のポイントには矢張り発生は見られなかった。
地上からは見えない、地下での何かの微妙な違いが
そうさせているのだろうなぁ。
良く判らないけど、だからこそキノコは面白いのだけどねー
柄がやたらに大きな個体が発生して居たシロD。
様子を見に行った所、草木が盛大に伐採されていて
すっかり環境が変わってしまっていた。
元々発生数が少なかったのだが
今後の発生は望めない感じだなぁ。
此処も消滅シロになってしまったのだなぁ・・・・・・
桜の大胆な枝切りと、造成の為に消滅したシロF。
様子を見に行った所、矢張り消滅したまま。
シロGも様子を見に行ったのだが
発生しそうもない感じだったのでその後は確認せず。
シロHは見に行く機会が持てなかった。
当方が観察している範囲:名古屋東部では
アミガサタケの発生には通常以上の雨量を必要とする、と
当方は感じている。
恐らく土壌の関係で、高水準の水分量が保てないと
アミガサタケが発生し難い、と言う事なのだろうなぁ。
で、今年はその雨が少なかったので
アミガサタケの発生も少なかった様子。
その為、元々それ程期待出来無かったシロは
あまり見に行かなかった次第。
そして今年も新たなシロの発見はならず。
当方が原付で気軽に行ける範囲には
どうやら新たなシロは無さそうだ・・・・・・
それでも何とか30本弱の収穫はあった。
なので今年もネグラマーロにお裾分けが出来て良かった♪
折角なのでお店の前で記念撮影♪
ランチタイム終了直後だったのでCLOSEの札が出てるw
店の看板が上手く写せなかったのは残念・・・・・・
来年もお裾分け出来たら今度はもっとちゃんと撮影しよう。
コロナ禍でも力強く、
北イタリアの美味しい、そして珍しい料理を
提供し続けているこのお店。
それは、このお店がそれだけ多くの人に愛されている証し。
色々な料理が気軽に楽しめるネグラマーロへ皆様も是非!
※食べログの当該ページ→こちら
一部は乾燥保存する事にして、残りは生で食べる事に。
どう調理しようかと色々考えたのだが矢張りパスタにする事に。
細かく切って
バターで炒めて
生クリームと牛乳を加えて
今回はブロッコリーと自家製パンチェッタを加えて
パスタに絡める。
(゚д゚)ウマー (゚д゚)ウマー
結局こうやってクリーム系で食べるのが
このキノコには一番合っている気がするなー
まぁ、当方の料理のレパートリーが少ないので
これ以外にこのキノコを活かせる技術を持っていない、
と言うのは大きいのだろうけど・・・・・・
そう言う訳で今年も何とかアミガサタケを楽しむ事が出来た。
来年もこうやって楽しみたい物だ。
来年の春、世の中はどうなっているのだろうかなぁ・・・・・・
そもそも当方自身がどうなっているのだろうかなぁ・・・・・・
]]>
カビにやられてしまっている。
カビの種類は不明。
それぞれ別種だとは思うが
顕微鏡を持たない当方には判別のし様が無い。
この画像に関しては以前に記事にしている(→こちら)。
こちらは多分、別の種類のカビの模様。
白いモケモケが可愛い♪
だが、柄の白い部分は別の菌だと思われる。
そちらは恐らくヒポミケス菌だろう。
ヒポミケス菌は多くのキノコに感染する寄生菌の一種で
中でも Hypomyces chrysospermus (アワタケヤドリ)は
色々な種類のイグチの仲間に発生する。
発生当初はこの様に平面的な状態で白い菌糸が広がり
やがて成熟すると鮮やかな黄色〜黄橙色となる。
この菌に寄生されたキノコ本体は脆くなってしまう為に
柄が折れて傘の部分だけになってしまっている事も多い。
当方が良くミカワクロアミアシイグチを観察している
名古屋東部の某緑地公園では
この様な状態のミカワクロアミアシイグチに
たびたび遭遇している。
古くなったキノコにカビが生えたり
イグチ類にアワタケヤドリが発生するのは特に珍しくない事なので
それは当たり前だと思っていたのだが
以前の記事でgorosukeさんと言う方から
「このきのこにカビが生えているのを初めて見ました」
とのコメントを頂いた。
ミカワクロアミアシイグチは猛毒のキノコで、その為
「毒性が強いのでそんなものは感染出来ないのかと
勝手に思い込んでいました」
ともコメントされていた。
gorosukeさんはミカワクロアミアシイグチの発見者と
行動を共にされていた方で
ミカワクロアミアシイグチに限らず
キノコに関してとても詳しい方だ。
そんな方から上記の様なコメントを頂いたので驚いてしまった。
ミカワクロアミアシイグチに取ってレアな状態が
この場所では当たり前の様に発生して居ると言うのだ。
確かにこのフィールドでも
この様に老熟してドロドロに溶けた状態の物にも良く遭遇する。
最終形態がこうなるのがこのキノコに取っては当たり前の事で
それ以外は無いのだと思われていた、と言う事なのだなぁ。
いやぁ、知らなかった・・・・・・
更に、ヒポミケス菌と別のカビが混生している状態の物も
この場所では少なくない。
こちらはヒポミケス菌とフタマタケカビと思われるカビが
混生している状態。
こちらはまた別の種類のカビだろうか。
たまたま色が違うだけで
これもフタマタケカビかも知れないけど。
それにしてもこのフィールドは
寄生菌に対して抵抗性が強いでのあろう
ミカワクロアミアシイグチさえも
この様に罹患してしまうくらいに
寄生菌が強い場所なのかも知れないなぁ。
因みにミカワクロアミアシイグチ以外のイグチ類にも
アワタケヤドリは勿論普通に発生して居る。
こちらは画像では解り辛いがキアミアシイグチが
罹患して居る状態の物。
こちらはキアシヤマドリタケ。
中でも発生が多いのはベニイグチが罹患した物。
こちらは二つの大きなベニイグチが罹患し
融合した状態の物。
何か別の生き物にも見えてしまう。
こちらは一見「タケリタケ」に見えるが
これもアワタケヤドリに寄生された物と思われる。
タケリタケもヒポミケス菌の一種ではあるが
アワタケヤドリに罹患したと思われるキノコが
この様なタケリタケ型になるのは結構珍しいと思う。
名古屋東部ではベニイグチの発生がとても多い。
その分、ヒポミケス菌に罹患したベニイグチもとても多く
その殆どが上掲画像の様に異形と言うべき状態になっている。
何時かはそれを取りまとめた記事も書いてみたいと思っている。
ヒポミケス菌と言えばクラガタノボリリュウタケが
罹患した状態の物も以前記事にしている(→こちら)。
記事で取り上げて以降も
同じ状態の物に何回も遭遇している。
ノボリリュウタケの仲間に寄生するヒポミケス菌に関しては
webで検索してもあまり情報が出て来ない。
ノボリリュウタケの仲間の発生自体が
イグチの仲間に比べて少ないからなのだろうが
イグチに比べて小さなキノコが多い事と
色合いが地味な為に目立ち難いから、と言うのも
情報が少ない要因なのかもなぁ。
まぁ、当方はヒポミケス菌の事が好きだから目が行く、
と言うのが一番大きいのだろうけど。
更にニッケイタケが罹患している状態の物も
記事にした事がある(→こちら)。
これの発生の報告は更に少ない模様。
ニッケイタイケ自体が地味でマイナーだからなぁ。
こうやって並べてみると
このフィールドは「寄生菌の坩堝」と言っても
過言では無い様な気にもなってしまう。
寄生菌が好きな当方にはたまらないポイントだよ♪
寄生菌と言えば昆虫に寄生する菌、冬虫夏草の仲間がある。
だが、名古屋東部では限られた種類しか見付けられていない。
当方の探し方が下手な所為かも知れないが
今の所、このフィールドで遭遇出来た冬虫夏草は
ツブノセミタケだけだ。
それも、ツバキキンカクチャワンタケの探索中に
偶然発見したこの一体のみ。
折角の「寄生菌の坩堝」なのだから
上手く探せばもっと色々な種類の冬虫夏草があるのだろうけどなぁ。
それにはもっと目を養わなければならない。
それは今後の課題。
難しい事だが楽しみでもある。
何はともあれこれからも色々なキノコが、
そして色々な寄生菌が発生してくれる様に
キノコヌシ様にお願いするのみ。
(-人-) ナム~
]]>
最初の遭遇は2005年8月、代々木公園にて。
その次は2009年8月、岐阜県高山市内にて。
初見から2例続けてこんな感じの物に遭遇していたので
カワウソタケはこう言う感じの
色合いと質感なのかと思ってしまったのだが
実はこれは自らが放出した胞子をかぶってしまっている状態。
実際、周囲の葉が胞子をかぶって茶色になってしまっている。
胞子をかぶっていないとこんな感じ。
発生初期はこんな感じ。
丸っこくて可愛い♪
図鑑には「広葉樹の枯れ木に発生する」とあるが
桜の木に特異的に発生する硬質菌だ。
上掲画像も全て桜の木から発生している。
枯れた桜だけでなく、弱った部分にも発生する。
『標準原色図鑑全集 菌類(きのこ・かび)』 保育社
『日本のきのこ』 山と渓谷社
『原色日本菌類図鑑』 保育社
『原色日本新菌類図鑑』 保育社
『山渓フィールドブックきのこ』 山と渓谷社
『カラー版きのこ図鑑』家の光協会
『猿の腰掛け類きのこ図鑑』 地球社
等の全国版のキノコ図鑑には掲載されているので
目にした事のある人は多いだろう。
だが、全国版でも上掲以外の図鑑にはまず掲載されていない。
そして、新旧合わせれば100種は超えるであろう
数ある地方のキノコ図鑑には殆ど掲載されていない。
当方の調べた限りでは
『庄内のきのこ』 鶴岡書店
『岩手・青森のきのこ500種』 トリョーコム
『茨城のきのこ』 茨城新聞社
『北陸のきのこ図鑑』 橋本確文堂
『岡山のキノコ』 山陽新聞社
だけだった。
桜の木は日本中にあるのだから
カワウソタケも日本中で発生して居るの思うのだが
食でも毒でも無く、薬効も特に無いらしいので
興味を持つ人が少ないからなのだろうなぁ。
以前は日本特産種と考えられていた様だが
今は日本の他、韓国・台湾でも確認されている模様。
となると中国にもありそうだが当方には調べ切れなかった。
web検索では「北アメリカ,ヨーロッパにも分布する」とあったが
日本からの桜の移植によって持ち込まれた物かも知れない。
この妙な名前は、黄褐色〜茶褐色の粗毛が
傘に密に生えている様子をカワウソの毛皮に見立てたらしい。
当方はカワウソの実物を間近で見た事が無いのだが
まぁこんな風な感じなのだろうかなぁ。
カワウソの毛並みが他の獣達のそれとどれだけ違っていて、
どの部分が「これぞカワウソ!」なのかは判らないが。
因みに日本在来のニホンカワウソは
1979年(昭和54年)を最後に目撃例が無く
現在は絶滅したとされている。
『日本産菌類集覧』によると
「カワウソタケ」と命名したのは安田篤で1913年との事。
当然、安田はニホンカワウソ本体、
もしくはその毛皮を実見していて
そう命名したのだろう。
因みにキツネタケ、イタチタケ、ムジナタケ、ムササビタケがあるが
カワウソタケとは全く遠い種類。
しかしカワウソタケの近縁種には「ラッコタケ」と言うのがある由。
どれも褐色系の似た色合いだ。
キツネ、イタチが先に使われていた為に仕方無く
残っていた「カワウソ」にしたのかと思ったのだが
同書によると和名登録されたのは
キツネタケ:1954年
イタチタケ:1938年
ムジナタケ:1954年
ムササビタケ:1951年
ラッコタケ:1955年
との事。
となると、安田篤は仕方無くでは無く
「この風合いはキツネでもイタチでも無く
絶対カワウソだ!」
と思ってカワウソタケと命名した事になる。
このキノコの命名をしようとした時に
何故真っ先に一般的とは思えないカワウソを選んだのか、
そもそも何故カワウソなのかは今となっては不明。
もうちょっと違う命名もあったろうになぁ。
それとも安田にとってはキツネやイタチに比べて
カワウソの方が身近だったのだろうか。
100年あまり前の当時はカワウソの毛皮は
そんなにもありふれた物だったのだろうかなぁ。
他のキノコでもそうだが
安田により命名されたキノコの和名は
今となっては難解なのが幾つもあるんだよなぁ・・・・・・
(安田篤によるキノコの命名まとめ→こちら)
で、カワウソタケが先にあったので
色合いから連想してキツネタケ他の命名がされたのかなぁ。
ラッコタケはカワウソタケよりも暗い色合い、との事なので
カワウソに合わせてラッコにしたのだろうなぁ。
それも今となっては判らないけれど。
カワウソタケの2022年現在の学名は Inonotus mikadoi。
米国の菌類学者カーティス・ゲーツ・ロイドにより
1912年に新種登録された。
Inonotus は「背面に毛が生えた」の意で
傘面が粗毛に覆われている事による
カワウソタケ属のキノコ全体の説明。
mikadoi とは「帝」、つまり天皇陛下の事。
ロイドと陛下に直接交流があったのかどうかは不明だが
「日本の象徴である桜」に特異的に発生する事から
「日本の象徴である天皇陛下」に献名した、と
当方は勝手に推測している。
だが、どちらかと言えば
カワウソタケは桜の木に取って良い菌ではない。
何より見た目的にもよろしくない。
そう言うキノコに天皇陛下の名前を冠するのはどうなんだろうかなぁ。
下手したら不敬にならないのかなぁ。
当時は「不敬罪」と言う法律もあった訳だし。
過激な右翼だったら黙っていないのでは無いだろうか。
菌類学会の総会に過激な右翼が乗り込んで来たりしかねない。
まぁ、過激な右翼にキノコマニアが居ない(多分)のが
幸いしているのだろうなあ。
最初の学名の登録は大正元年。
和名登録は翌年になる。
今とは天皇陛下の位置づけはかなり違う筈だ。
それなのに何故安田はカワウソタケと命名したのだろう。
「mikadoi」の意味に気付かなかったのかなぁ。
メールや電話が当たり前の今みたいに
気軽に連絡の取れる時代では無かったにしても
登録者のロイドに聞かなかったのかなぁ。
それとも何も考えていなかったのかなぁ。
勿論それも今となっては判らない。
そして、更に言えば
「日本の象徴である桜」に発生するから
「日本の象徴である天皇陛下」に献名されたキノコが
殆どのキノコ図鑑に掲載されていない、と言うのも
どうなんだろうなぁ。
学名の由来からしたら全日本国民が
知っておくべきキノコなのかも知れないのになぁ・・・・・・
過激な右翼がこのblogを見ない事を祈るよ。
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漢字で書くと「紅臼茸」。
ベニウスタケについては以前にも記事にした事がある(→こちら)。
その時にも書いたが「ウスタケ」とあるのだが
形態的にも分類的にもアンズタケに近い。
実際、臼には見えないしなぁ。
因みに『日本産菌類集覧』によると
ベニウスタケは広江勇により1955年に命名。
アンズタケは川村清一により1929年に命名。
ウスタケは川村清一により1955年に命名。
「ベニウスタケ」と「ウスタケ」は同年になっているが
当然「ウスタケ」の方が先だったのだろう。
当時は分類基準や技術が今から見ると未熟だったので
アンズタケよりウスタケに近いと誤認してしまったのだろうかなぁ。
実際、他の種類も含め、
「アンズタケ」「ウスタケ」「ラッパタケ」の名が付くキノコは
分類群と和名が混乱している物が少なくない。
このベニウスタケも例えば「コベニアンズタケ」とかにした方が
形状的にも分類的にも合っている気がするのだが
菌類学者でも無い底辺菌類マニアの当方が
こんな場末のblogで書いてもどうしようも無い訳で。
周囲を見ると結構あちらこちらに発生して居た。
中にはこんな固まって発生した物も。
何か別のキノコに見えてしまうなぁ。
こちらはキセルガイ?が食事中。
因みに人間に取っても食キノコとの事。
前回このベニウスタケを取り上げた時は
隣の岐阜県の各務原市内で発生した物だったのだが
今回は名古屋市東部で発生した物。
近くで遭遇出来たのは嬉しかった。
前回の記事ではアルビノの個体の事も取り上げた。
周囲を探してみた所、何と今回もアルビノの個体があった。
ベニウスタケはアルビノが発生しやすいのか?と思って
「ベニウスタケ アルビノ」で検索してみたのだが
2022年1月30日にhitしたのは当方のblog記事と
地域不明の「がんもどきさん」のtweetの2件のみ。
そしてこの記事が3件目となる訳だ。
これは矢張り良くある事とは言えないのだろうなぁ。
各務原市と名古屋市で
アルビノのベニウスタケが発生した、と言うのが
同じDNA系統の菌だった為に発生した事なのか、
そもそもベニウスタケは
アルビノが発生しやすい種類なのかどうかは不明。
因みに「"ベニウスタケ"」で検索すると
2022年1月30日時点では4070件がhitした。
もしアルビノが発生していたら目立つだろうから
blogやサイトを運営して居る様なキノコマニアが
アルビノの個体をスルーして
ネット上にupしないとはちょっと考え難い。
4070件中で2〜3件なのが
アルビノベニウスタケの発生頻度を
そのまま表しているとは思わないが
キノコのアルビノの個体の記事自体が殆ど無い点からすると
他のキノコに比べたらアルビノの発生頻度は高いのかなぁ。
まぁ、たまたま当方が2回遭遇しただけなのだろうけれどね。
とは言え、本来滅多に無い現象であるアルビノの発生に
こうやって遭遇出来たのは貴重な経験だなぁ、と。
取り敢えず、紅白で目出度げなので
今回も年初の記事で取り上げた次第。
終わりの見通せない不穏なご時世ですが
不要不急の当blogに今年もお付き合い頂けましたら幸甚です。
m( _ _ )m
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今までに何回も記事にしているが(※アーカイブス→こちら)
当方が観察している範囲では
7月と9月に発生のピークがあるような気がしている。
そして、そのピーク毎に発生している
ミカワクロアミアシイグチの系統が違う様に感じている。
それを更に詳細に観察したいのだが
此処数年、7月と9月に良い感じで雨が降ってくれていない。
その為にミカワクロアミアシイグチの発生がとても少なく
思う様な観察が出来ていない。
その少ない観察例の中で撮影出来た物を以下に。
こちらは7月に遭遇した物。
網目は広く彫りが浅い。
こちらはどうか。
網目は広く、彫りは深い様だ。
二重構造の網目が良く判る。
こちらはどうか。
網目は広く、彫りは浅い。
二重構造もあまりはっきりしていない。
こちらはどうか。
網目は狭く、彫りも浅い。
因みに、ヒポミケス菌にやられた物や
こんなドロドロの物にも遭遇。
勿論こうなっては網目の判断は不可能。
こちらは9月に遭遇した物。
網目は狭く、彫りは浅い様だ。
こちらはどうか。
一部ヒポミケス菌にやられてしまっているが
網目は狭く彫りは深い様だ。
こちらはどうか。
網目は狭く、彫りは深い様子。
こちらはどうか。
網目はやや広目、彫りは深い様だ。
こちらはどうか。
網目は狭く、彫りは深い様だ。
こちらはどうか。
網目は広く、彫りは深い様だ。
こちらはどうか。
網目は狭く、彫りは深い様だ。
上掲画像だけで見ると7月と9月で
発生する系統の傾向の偏差は見られない様だなぁ。
7月に発生するのは柄が太く彫りの深い系統が多く
9月に発生するのは柄が細く彫りの浅い系統が多い、と言う
当方の予想と違っていた。うーむ・・・・・・
まぁ、天候不順も影響しているのかも知れないが
時期による系統差があるのかどうか、の点は
これからも注意して観察して行きたい。
因みに、こちらは7月に三重県内で撮影した物。
柄がとても細く、編目も緻密なので難しいのだが
全体的な特徴はミカワクロアミアシイグチに思える。
こう言う系統もあるのかなぁ。
正確な所はDNAを見ないと判らないだろうけど。
尚、古い画像を整理していた所、こんな物が出て来た。
ドロドロの老菌で裏面は虫がビッシリだった。
こちらはまだ若い成菌。
こちらも若い成菌。
これはミカワクロアミアシイグチだろうなぁ。
その時は気付かなかったよ。
当方は2011年には既に遭遇していたのだなぁ。
特に最後の画像。
当時、判らないなりに柄の網目に違和感を感じて
アップで撮影していた自分を自分で褒めたい。
惜しむらくは、その事をすっかり忘れてしまっていた事。
今回たまたま古い画像を整理して気が付いたけど
本当にすっかり忘れてしまっていたよ・・・・・・
さて、この様に観察は中途半端な感じで
2021年は終わってしまったのだが
別の所で進展があった(と個人的には思っている)。
FacebookでYasuko Otaさんと言う人が
こんなキノコの画像をUPしていた。
これはミカワクロアミアシイグチにしか見えない。
Yasuko Otaさんは福岡県内でこのキノコに遭遇した、との事。
ミカワ〜はその名が示す様に、最初は三河地域で発見された。
そして発生地域は東海地域を中心に西日本に広がっている。
以前にも書いたのだが
この不思議な分布域を見て思い当たる地質的な特徴がある。
それは「西南日本内帯」だ。
結論を先に書いてしまうと当方は
「ミカワクロアミアシイグチは西南日本内帯が
発祥の地なのでは無いか」と妄想している。
それを説明するには日本列島の成り立ちと言う
壮大な地質学の仮説を書いていかなければならない。
諸説ある上に当方も完全に理解している訳ではないので
間違っている部分もあるかも知れないし
端折って書く事になるので曖昧な内容にならざるを得ない。
それなのに長くなってしまうが
お付き合い頂けましたら幸いです。
地球の内部の話。
地表である地殻は場所によって違うが
5?〜60?の厚さがあると言う。
その更に下の地下部分にはマントルと言う溶けた岩石が
内部で対流を起こしている。
また地殻部分はプレートと呼ばれており、
マントルの対流を受けて地球表面を動かされている。
ある場所からは湧き出たり、ある場所からは地中深くに入り込み
マントルの熱により溶かされて
地球内部での大循環を形成している。
プレートとプレートが衝突する部分では
片方は圧縮され押し上げられ、
もう片方は地中に深く入り込む状態になる。
その時に地下に入り込む下側の
海底のプレート上に堆積していた泥や砂、珊瑚礁等は
上側のプレートにこそげ取られる形で
やがて陸地に押し上げられる事になる。
それを「付加体」と言う。
山賀 進のWeb site 地球の科学 第15章 付加体より引用
さて1億5000万年前、日本はユーラシアプレートに乗っている
中国大陸の一部だった。
そこにフィリピン海プレートが押し寄せ潜り込む際に
摩擦でユーラシアプレートが引っ張られ、
中国大陸の東端が切り取られる形で
後の西日本の大本の陸地が生まれた。
おおだwebミュージアム しまねの自然〜文化の背景としての自然〜より引用
その後もどんどん引っ張られ、
中国大陸との距離が離れると同時に
フィリピン海プレートによって2000万年前迄に
西日本の大本の陸地に付加体が付与され一つの陸地となる。
それを「西南日本帯」と言う。
元あった陸地を「西南日本内帯」、
新たに付与された付加体は「西南日本外帯」と言う。
(大鹿村中央構造線博物館HPより引用)
その両者が衝突し結合した部分は
「中央構造線」と言う大断層帯となり
日本半分を貫き普通に地図でもはっきり判る様な
大規模な地形となっている。
その後、北アメリカプレートの動きによって
海底が陸地化し「東北日本帯」と言う
東北地方の元を形成する。
東北日本帯は西南日本帯に比べて
海底にあった期間が長かったので
西南日本帯とは地質的にかなり異なっている。
東北日本帯は北アメリカプレートの動きによって
700万年程前には西南日本帯と衝突する。
東北日本と西南日本が衝突した部分は
「フォッサマグナ」と呼ばれる大地溝帯を形成している。
また両方からの圧縮によって押し上げられ
この地域は日本有数の山岳地帯ともなっている。
Web版 「有鄰」より引用
この様に日本は幾つものプレートの衝突によって形成された
とても複雑な地形なのだ。
狭い国土に火山や温泉が多く、地震が多いのもそれが原因だ。
国土の狭さに比べて動植物そして菌類の生物層が豊かなのも同様だ。
因みに西南日本内帯は福岡県〜中国地方、
関西北部、東海地域に渡っている。
そして一部の地質はフォッサマグナを挟んで関東北部に及んでいる。
そしてそれがミカワクロアミアシイグチの分布域と似通っているのだ。
2020年時点でのミカワクロアミアシイグチの発生が確認されたのは
千葉県・埼玉県・愛知県・三重県・岐阜県・大阪府・兵庫県だ。
山口県でもそれらしきキノコの画像が報告されているが(→こちら)
良く似たモエギアミアシイグチでは無いか、との声もある。
それを報告された方は
モエギアミアシイグチを既に観察していた上で違和感を感じ
これはミカワクロアミアシイグチではないか?
としているので、当方もそう思う事にしている。
と、そんな中、福岡県での発生報告があったのだ。
これは当方の「ミカワクロアミアシイグチの分布の偏りは
当該キノコが西南日本内帯で発生・進化した事を
表しているのでは無いか」と言う妄想を
補強してくれている、と感じた。
当方に取ってはとても重要な情報だったのだ。
そして画像の使用を快諾頂きまして
Yasuko Otaさん、本当に有難う御座居ました(^-^)
所で、ミカワクロアミアシイグチが
西南日本内帯で生まれた物だとしたら
東半分の東海・近畿地域が発生報告の中心で
西半分での発生報告が少ないのは何故だろうか。
当方はそれにも地質学的な大事件が関係している、と妄想している。
それは「鬼界カルデラ」だ。
鬼界カルデラはおよそ7300年前に
鹿児島県南部の海底で発生した
火山の大爆発によって形成された地形だ。
その爆発規模は凄まじく、
それによって当時南九州に居た縄文人が
絶滅してしまった、とされている程だ。
国立研究開発法人海洋研究開発機構 鬼界カルデラ総合調査より引用
それだけの大爆発であれば火山灰も想像を絶する量が
九州を中心に降り積もった筈だ。
そしてそれはキノコの発生環境へ大きな影響を与えた筈だ。
火山灰が大量に降った事による土壌の変化が
ミカワクロアミアシイグチにとっては
良くない環境変化だったのでは無いだろうか。
だから同じ西南日本内帯でも火口からの距離が離れていて
火山灰の降灰の少なかった東海・近畿地域が
現在の発生高密度地域なのでは無いだろうか。
火口からの距離によって
発生密度が決まってしまっているのでは無いだろうか。
鬼界カルデラ噴火から7300年経って
ようやく九州方面でもミカワクロアミアシイグチが
生える様になって来たのかも知れない。
ただ、それを証明するのはとても難しいだろう。
各地域でシラミ潰しにミカワクロアミアシグチの発生状況を
詳細に確認しなければならない。
また、各地域の土壌を分析し、それが鬼界カルデラの噴火と
どのような関係があるかを突き止めなければならない。
それには植物の発生状況も絡んでくる筈だし
地域による気候の差も勘案しなければならないだろう。
そのどの技術も当方は持ち合わせていない。
また、大きな人海戦略が必要となるのだが
それを実現する為の強力なコネクションも当方には無い。
だからこうやってこんな場末のblogで
妄想を垂れ流す他はない。
今後、万が一その様な研究する人が現れて
更に万々が一それが証明されたならば
当方は一人ほくそ笑んでいる事にするよ。
誰か、この妄想を現実化して欲しいなぁ・・・・・・
尚、同様の分布域を示すキノコには他に
オオコゲチャイグチ、ティラミステングタケ等がある。
それらも西南日本内帯が発生起源なのだと妄想している。
そして、ミカワクロアミアシイグチを含め
それらの発祥の時期によっては
中国・朝鮮地域にも分布が広がっていると妄想している。
因みに、Yasuko Otaさんによると
ミカワクロアミアシイグチの生えた場所は
地元で「UFOが着陸した事がある」と噂されている場所との事。
その事と、キノコの発生に関連があるかどうかは不明。
それを検証するのは鬼界カルデラの火山灰の影響の調査以上に
難しいだろうなぁ・・・・・・
※アーカイブスもよろしければご覧下さい→こちら
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タンポタケモドキに就いては何度か記事にした事がある(→こちら)。
その時にも書いたが
タンポタケモドキは通常、寄主のツチダンゴから
一本の子実体を直接生やしているのだが
(山渓カラ―名鑑 日本のきのこ』山と渓谷社刊より)
この場所で発生するタンポタケモドキは
やや細い根状の多数の組織で寄主と繋がり
その上で複数の子実体を生じさせている。
これはタンポタケモドキしてはかなり異形だ。
その為、形状からすると
シロネノハナヤスリタケでは無いか、との疑いも出るが
子実層表面の質感で見るとタンポタケモドキで良いのだと思う。
まぁ、当方は顕微鏡を持っておらず
当然DNA解析も不可能なので断言は出来無いのだが。
それにしてもこの場所で発生するタンポタケモドキは
全てが異形だ。
この場所のタンポタケモドキは
どうしてもこう言う形にならざるを得ない系統なのだろうか。
所謂「通常の形」にはなれない宿命なのだろうかなぁ。
不思議だ。
さてそんな折、こういう個体に遭遇した。
これは今迄とは違う外見。
これこそが所謂タンポタケモドキの外見だ。
ほう、この場所にもこんな個体が発生するのだなぁ。
これに最初に遭遇していたなら
ハナヤスリタケと間違える事はなかったかもなぁ。
早速掘り出してみる。
と、寄主との繋がりの部分が
矢張り典型的なタンポタケモドキとは違う。
この場所のタンポタケモドキは
この様な細根状じゃなければいけない系統なのだろうか。
その中でも比較的典型的個体に近くはあるけれど。
とは言え、この発生シロではごく少数派。
多数決をしたら負けてしまう。
あくまでも自分の所属している範疇において
どちらが多数派か、なのかが問題なのだ。
幾ら「世界のタンポタケモドキ界」から見たら
自分の方が主流派だと言っても
「名古屋東部某所のタンポタケモドキ界」では
圧倒的少数派、泡沫な存在でしか無いのだ。
民主主義に於いては仕方の無い事だ。
まぁ実際は世界標準のタンポタケモドキからしても
外れた形状なのだけどね。
この一つのタンポタケモドキが
民主主義の矛盾点を体現している、
等と言う尊大な事をふと考えてしまった。
勿論タンポタケモドキに取っては
「何を言うとんねん!?」な
どうでも良い話ではあるのだけれど。
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マットな質感と、ポツポツとしたコブの様な装飾?が
特徴的な硬質菌の一種だ。
ホウロクタケに関しては以前、記事にした事がある(→こちら)。
その際に少し触れたが
通常の傘裏は管孔が均等に並んでいるが
時として迷路状になる、との事だ。
ホウロクタケの報告・命名者の安田篤は
管孔が迷路状になる個体を別種と見なし
迷路状の物を「ミダレホウロクタケ」と報告した。
だが、それはただの個体差とされ、
「ミダレホウロクタケ」の名は幻となった様だ。
以下、『原色日本新菌類図鑑』より引用。
ホウロクタケは普通整然たる管孔状であり、
孔の径も0.5〜1mmと狭い。
しかし管孔はくずれやすくしばしば迷路状になり、
安田はその形の菌を
ミダレホウロクタケD.diskinsii Yasuda(新種)として
ホウロクタケと区別したことがあるが、
単なる変異形であることはいうまでもない。
ケンもホロロとでも言う様な書かれ方だ・・・・・・
以前の記事で当方は「ミダレホウロクタケ」の画像を揚げた。
ホウロクタケは東大阪時代には見た事は無かったのだが
名古屋東部では発生がとても多く
季節を問わず探索に行くと必ずの様に何度も遭遇しているが
管孔が迷路状になった物はその一度の一個体しかなかった。
以来、ホウロクタケを見付ける度に
傘裏を覗き込み、管孔面を確認しているのだが
どれもが通常の均等に並んだ管孔だった。
この数年で恐らく100枚以上のホウロクタケの裏側を見ているが
その後一度も遭遇していない。
ここまで例の少ない物とは思わなかったなぁ。
前回の時はそんなに珍しい物とは思っていなかったので
ピンポイントの場所を記憶していなかったのが残念。
前回遭遇した際に標本として保存しておけば良かったなぁ・・・・・・
そんなある日、何時もの様にフィールドを探索していた。
そしてまたホウロクタケに遭遇。
まず上から撮影。
そして下から覗き込む。
これも均等に並んだ管孔だった。
まぁ仕方無い。
それは当然だ。
それにしてもホウロクタケは
傘の色や形状、模様が千差万別で
一つ一つが大きく違っているので
どれも見ていて楽しくなってしまう。
色合いや質感がクッキーみたいで更に楽しい。
なので遭遇する度につい撮影してしまう。
それを以下に列挙。
当方同様に楽しんで頂けますれば幸いです。
こちらは白い粉砂糖が少し掛かってる感じ。
こちらは粉砂糖が少し多めかな?
そして下から覗き込む。
これも均等に並んだ管孔だった。
こちらはコーヒー系?
砂糖衣も多目で美味しそう。
そして下から覗き込む。
これも均等に並んだ管孔。
こちらは砂糖衣が過剰なタイプ。
美味しそう♪
管孔も何となく砂糖ぽくてカワ(・∀・)イイ!!
こちらは粉砂糖の掛かっていないタイプ。
管孔は通常の物だった。
こちらは黄な粉?
こちらはバウムクーヘン?
管孔は通常の物。
その後も探索を続ける。
この日は特にホウロクタケに多く遭遇した。
そしてまたホウロクタケが。
まず上から撮影。
そして下を覗き込む。
これも丸い管孔だ。
まぁ仕方無い。
それは当然だ。
同じ切り株から生えている別の個体。
こちらも同様にまず上から撮影。
そして下から覗き込む。
これも丸い管孔だ。
まぁ仕方無い。
それは当然だ。
さて、移動して探索を続けようかな。
一応念の為、他の個体も確認してみようかな。
まず上から撮影。
そして下を覗き込む。
こ、これは!?
管孔が迷路状だ!
「ミダレホウロクタケ」だ!
まさかこんな所に「ミダレホウロクタケ」があったなんて。
場所と周囲の環境を見ると
前回遭遇したのは正に此処だったのかも知れない。
この切り株には沢山のホウロクタケが発生している。
最初、その中の一枚の裏側を見て
それが普通の管孔だったので
全てが普通のホウロクタケと判断してしまっていたが
その中の一部が「ミダレホウロクタケ」だったのだ。
ざっと確認した所、
20個程の子実体がこの切り株から発生していた。
そして「ミダレホウロクタケ」だったのは
先の一つと、隣接して発生して居た2個の
合わせて3個だけだった。
これはどういう事だろう。
当方はホウロクタケとミダレホウロクタケは
系統差なのだと何となく思っていた。
ホウロクタケの中で、とある系統の物が
ミダレホウロクタケになる、もしくは
ミダレホウロクタケになりやすいのかと思っていた。
例えば劣性遺伝か優性遺伝みたいに
とあるグループに出現しやすい形質みたいに思っていた。
だから一本の枯れ木から発生しているホウロクタケは
一つが綺麗な管孔だったら
どの子実体も同じ形の管孔をしている物だ、と単純に思っていた。
ミダレホウロクタケがあったとしたら
その枯れ木に生えている物は全て、
もしくは大部分が管孔が迷路状になるのだ漠然と思っていた。
この切り株の周辺一帯に
ホウロクタケの生えている枯れ木は幾つもあったのだが
そのどれもが普通のホウロクタケだった。
だが、この切り株はそうではなかった。
沢山生えているホウロクタケの中で
その中の一部だけがミダレホウロクタケだったのだ。
同じ菌糸から発生している筈なのに
その中の一部がミダレホウロクタケになるのだ。
此処の枯れ木に発生しているホウロクタケの中で
まさかこのミダレホウロクタケの部分だけが
別系統の菌糸から発生している、と言う訳では無いだろう。
管孔面が迷路状になる、何かの理由がこの部分にはあるのだろうか。
この一部分だけ先祖帰りしたみたいな事なのだろうか。
それとも逆に、この部分だけが進化の先取りをしているのだろうか。
またはこの部分だけ子実体を発生させる際に
何らかのバグを生じてしまい、それが結果として
「ミダレホウロクタケ」と呼ばれる物になった、
と言う事なのだろうか。
管孔をわざわざ迷路状にするからには
そこに何らかの理由があるのだろうけどなぁ。
先祖帰りだとしたら迷路状である事にはデメリットが、
進化の先取りだとしたら迷路状になる事に
メリットがあるからそうなった、となるのだろうが、
果たしてどちらなのだろうか。
それとも、たまたまで意味が無い事なのだろうか。
うーむ、良く判らないなぁ・・・・・・
所で突然話が変わるが「イブキ」と言う種類の樹木がある。
その中の一品種「カイヅカイブキ」は
生け垣や街路樹で見かける事が多い。
イブキは通常この様なウロコ状の形の葉をしているのだが
一部が杉の葉の様な形状になる事がある。
一本の木の中で良く探せば
杉の葉状になっている場所が必ず何処かにあるくらい
その発生頻度はとても高い。
それはその一部分だけが先祖帰りしてしまっているとの事で
イブキが杉の仲間から進化した事の証明なのらしい。
尚、上掲画像のオレンジ色の部分は「リンゴの赤星病」と言う菌の冬胞子堆です。
気になる方は当blogの過去記事『近隣との距離』をご参照下さい(→こちら)。
余談だが当方の先祖の墓のある埼玉県川口市の長徳寺には
高さ13mに及ぶビャクシン(イブキの別名)の大木があり
県の天然記念物に指定されている。
川口市立文化財センターのサイト「川口の文化財」より転載
そして一番下に生えている大きな一枝が
丸々杉の葉の形になっており
そこまで大々的なのは珍しい由。
で、一部分が杉の葉の様になっているからと言って
その部分が別系統のイブキ(ビャクシン)が
生えている、と言う訳ではない。
一本の木の中でたまたまその部分だけが
何らかの原因で先祖帰りという形の成長をしてしまったのだ。
してみるとこの「ミダレホウロクタケ」も
同様なのだと考えられないだろうか。
一つの枯れ木に蔓延しているホウロクタケの菌糸から
発生した複数の子実体の一部が
先祖帰りか進化の先取りかは不明だが
「ミダレホウロクタケ」と言う形で
成長してしまった、と言う事なのでは無いだろうか。
そう考えれば辻褄が合う気がする。
同じ菌糸から発生する子実体の中で
何らかの原因で管孔が迷路状になってしまう事がある。
どう言う原因でそうなるのかは判らないが
ホウロクタケはそう言う形質を持っている種である、
と言う事なのだろう。
結局、「ミダレホウロクタケ」は
ホウロクタケの個体差に過ぎない、と言う
最初の結論に至る、と。
ただ、その発生頻度はイブキに比べると
かなり低い、と言う事は言えそうだ。
あくまでも当方の観察範囲内の話ではあるけれど。
それにしても今まで一つの発生場所に対して
1〜2個の子実体の裏面しか確認していなかったよ。
そうなると、ひょっとしたら
今迄沢山の「ミダレホウロクタケ」を
見逃していたのかも知れないのだよなぁ。
これからは全ての裏面を確認しないとならなくなったなぁ。
面倒臭いが仕方無い。
それもそんな事に気付いてしまったキノコマニアの宿命だ。
これから遭遇するであろう、全てのホウロクタケの裏面を
可能な限り見て行く事にするよ。
]]>
こちらは昨年、秘密のシイノトモシビタケスポットに
当方を案内してくれたF氏から送られて来た物。
キノコの季節になってF氏は
積極的にあちこちでキノコ探索をしている様子。
これは奈良県の山中の杉林で遭遇した物との事。
うん、これはシロアンズタケだなー
前回と違って一見して判った♪
図鑑掲載の画像とそっくりだよ。
そう回答した所、「食えるの?」との質問が。
シロアンズタケは「食毒不明」と書かれていたり、
食毒について触れられていない図鑑が多く
あまり知られてはいないが実は食キノコだ。
そもそも、掲載されている図鑑自体があまり多くない。
その数少ない掲載図鑑の中で
メジャー所である
『日本のきのこ』山渓カラー名鑑
『日本新菌類図鑑』保育社
で食毒について触れられていないと言う影響が大きいだろう。
キノコ食に関しては貪欲ですらあり
30種以上出版されている北海道・東北地方の図鑑でも
掲載されているのは当方が調べた限りでは
『新版北海道きのこ図鑑』亜璃西社刊
『青森県産きのこ図鑑』アクセス21出版
『秋田きのこ図鑑』無明舎出版
『岩手・秋田のきのこ500種』トリョーコム
しか無かった。
その4冊の中でも食キノコとして扱っていたのは
『秋田きのこ図鑑』と『岩手・秋田のきのこ500種』だけだった。
だが、
『カラー版きのこ 見分け方食べ方』家の光協会
には
中部山岳の村落では、伝承的に食タケとして実用されている
(中略)収量も多く、実用的価値が高い
とあった。
因みに、甲信越地方の各キノコ図鑑を当たった所
掲載されていたのは
『北陸のきのこ図鑑』橋本確文堂
だけで、同書では「食」となっていた。
キノコ食文化では東北地方と匹敵する
信州地方のキノコ図鑑にも掲載されて居ないのだなぁ。
となると、「中部山岳の村落〜」の情報は
かなりニッチな物なのかも知れないなぁ。
尚、余談だが
『食べられるキノコ200種』信濃毎日新聞社
にシロアンズタケは掲載されていなかったのだが
近縁種の「シロアンズタケモドキ」が
食キノコとして掲載されていたのがちょっと不思議だった。
さて、と言う訳で
「食べられるみたいだよ」と返信した所、
F氏は食べてみるかどうか、かなり迷ったらしい。
webで色々と検索し、ネガティブな情報にも逡巡した様だが
結局食べる事にした様子。
で、送られて来たのがこちらの画像。
パスタの具のトッピングにした由。
中々オシャレやないかーい!
で、恐る恐る食べてみた所、
「普通に食べられる」との事。
特筆すべき特徴は無いけど、まぁ美味しかったらしい。
翌日も普通に出掛けていたので体調の変化も無かった由。
良かった良かった。
所で当方、シロアンズタケは未見。
なので、良かったら着払いでいいから送ってw(゚Д゚)w クレッ!!
と言った所、快諾してくれた。
2日後、夕食の調理をしていた所、それが到着。
これは丁度良い、てんで具材として追加する事に。
スライスして
炒める。
その時作っていたのは豚バラの野菜炒め・煮卵添えだったので
それにトッピング。
で、食してみた。
うん、普通に美味しい。
確かに特筆すべき味、旨味、香りは無いけれど
だからこそ普通に食べられる。
歯切れの良い食感はエリンギを思わせる。
これなら色々な料理に使えるだろうなぁ。
食キノコとしてあまり知られていないのは勿体無い気はする。
所で、本当にタイミング良く調理中に届いたので
そのまま食材として使ってしまった為に
届いてすぐの状態の画像を撮るのを
うっかり忘れてしまった―よ・・・・・・(;´Д`)
切る前の状態の画像すら撮っていなかったよ・・・・・・
F氏はシロアンズタケを
たまたま手元にあった器に入れて送ってくれていたのだが
こんなお茶目な事をしてくれていたのにも
その時には気付かなかったよ・・・・・・
しかも「着払いで」と言ったのに元払いで。
いや、申し訳無い。
本当に有難う御座居ますですm( _ _ )m
さて、折角なので残りのシロアンズタケを
じっくり観察する事にした。
この個体は中々立派な大きさ。
いやぁ、雄大ですらあるなぁ。
残りの3個は手頃な大きさだなぁ。
並べて立てるとこんな感じ。
いやぁ、生えてる姿を見てみたかったよ。
これはこのまま凍結乾燥させて標本にする予定。
ヒダに当たる部分をアップで。
ヒダの様なはっきりした形状では無いけど
シワと言うには起伏が大きい状態。
これは「しわひだ」と呼ばれている。
「しわひだ」はアンズタケの仲間の大きな特徴。
こちらはアンズタケ。
ヒダに見える程に深いシワになっている。
その為、アンズタケと同じ特徴を持つ
良く似た白いキノコ、との事で
「白杏茸:シロアンズタケ」と命名されたのだろう。
だが、実はアンズタケとシロアンズタケは
分類学的に言うとそれ程近くない。
以前は
ヒダナシタケ目
└アンズタケ科
└アンズタケ属
└アンズタケ
└ラッパタケ科
└ラッパタケ属
└シロアンズタケ
と、同じ目に分類されていたが
近年、DNA解析が進んだ結果
アンズタケ目
└アンズタケ科
└アンズタケ属
└アンズタケ
ラッパタケ目
└ラッパタケ科
└オオムラサキアンズタケ属
└シロアンズタケ
と、目レベルから違う物となった。
目が違う、と言うのは人間で考えると
人間は「サル目」だが、それに並列される分類群で言うと
「ウサギ目」「ネズミ目(齧歯類)」等がある。
生物全体から見れば「哺乳類」と言う括りでまずまず近いが
とは言え実際にはそんなに近くない、と言った所だろうか。
実はアンズタケの縦方向のしわひだの間で
横方向に形成される連絡脈が顕著だが
シロアンズタケのしわひだでは連絡脈は見えない。
目レベルで違うから、と言われたら確かになぁ、と思う。
その点では、同じラッパタケ目ラッパタケ科だが別属の
ウスタケ属のキノコのしわひだに近い。
こちらはフジウスタケ。
まぁ、そっくりそのまま!瓜二つ!と言う訳では無いが
アンズタケに比べればかなり近いだろう。
それにしても、技術の進歩は思わぬ結果をもたらす物だなぁ。
去年に引き続き、新たなキノコ体験をさせてくれて
F氏、本当にどうも有難う御座居ました。
因みにF氏はその後、他のキノコも食べたりしているらしい。
少し前まではキノコに特に興味を持っていなかったであろう所から
今では積極的に探索して撮影するに留まらず、
自分で採取して食べる様にもなった。
これはもう「キノコ中毒」になっていると言って良いだろう。
「キノコの毒」とは本当に恐ろしい物だ。
当方も気を付けねば・・・・・・
【おまけ】
シロアンズタケを調べて居た所、
「アンズの香りがする」との情報が散見された(こちらとこちら)。
だが、当方が送られたシロアンズタケからは
その様な香りは一切感じられなかった。
掲載されている図鑑にもそのような記述は無かった。
良く良く調べてみた所、収穫後保存して熟成させると
アンズの香りがする様になる、との事(→こちら)。
ただ、リンク先は北米のキノコの話なので
日本のシロアンズタケとは種類が違うのかも知れないが
もし今後、シロアンズタケに遭遇した時には是非試してみたい。
※続編『シロアンズタケの事 その2』もご参照下さい→こちら
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撮影者Mさんの話によると、
場所は名古屋の中心街のビルの一角、
歩道の植え込みの中に発生していたものとの事。
地方都市とは言え、名古屋は都会だ。
そのド真ん中のオフィス街に
こんなのが生えていたらびっくりするよなぁ。
一見、この形からするとマンネンタケの様に見える。
黒い色合いからするとマゴジャクシ?
そのどちらも艶があるのが通常なのだが
画像のキノコにはその艶が無い。
マゴジャクシは針葉樹の枯れ木に発生するが
画像の街路樹はどう見ても針葉樹では無い。
そもそも全体的に何か雰囲気も違うよなぁ。
一体何だこれは???
所でMさんもキノコ好きで
地元の緑地公園でのキノコ探索会にも参加する程のマニア。
なので、キノコを同定するには
どんな画像が必要なのかを判っていて
キノコの裏側の画像もちゃんと送ってくれた。
矢張りマンネンタケぽいなぁ。
だが、その画像を見て気が付いた。
綺麗な赤い部分が沢山あるでは無いか。
これは触ったりして傷付いた部分が変色したのだろう。
マンネンタケやマゴジャクシはこんな変色はしない。
マンネンタケに似て、この様に変色するキノコに
思い当たる物がある。
それはコマタケだ。
コマタケは硬質菌の一種。
掲載されている図鑑は多くない。
一般販売されているキノコ図鑑では
『原色日本新菌類図鑑』保育社刊
『山渓フィールドブックス きのこ』山と渓谷社刊
の2冊だけの様だ。
コマタケは真っ直ぐ延びた柄を中心に
円盤型の傘を発生させるキノコで
その形状がまるで独楽の様に見える事から
「独楽茸=コマタケ」と命名された由。
(大分県農林水産研究指導センター林業研究部きのこグループのサイトより引用)
(マレーシア・サラワク州シンガイ山の一部の菌類活動より引用)
だが、柄が真っすぐにならず円盤型の傘にならない場合は
この様にマンネンタケの様な外観になってしまう。
その為、傷付けた部分が血の様に赤く変色する点から
「シュッケツマンネンタケ」と命名された事もある様だ。
その部分、上記の保育社刊の図鑑から引用。
生育時の子実体に傷をつけると血のように赤いしみができるので、
安田はシュッケツマンネンタケの和名を、また新種として
Polyporus juxtarugosus Yas. の名を与えたが、
Corner によるとこの性質は
コマタケ属の他の種でもしばしば見られると言う。
と言う訳でその名は採用されなかったらしい。
尚、この部分に関しては『日本産菌類集覧』では
コマタケの命名者は安田篤、
シュッケツマンネンタケの命名者は澤田兼吉、
学名Polyporus juxtarugosus の命名者は Lloyd となっている。
保育社図鑑の方が正しいのだろうか・・・・・・
その後、Mさんがそのキノコを採って来てくれた。
こんなに沢山生えていたのかー
折角なので色々な角度から撮影してみた。
まず一番右の個体をアップに。
ん?白い毛が生えてる?
な訳は無くて、誰かの長い髪の毛を巻き込んで成長した様だ。
思わぬ突き抜け物件w
硬質菌は髪の毛みたいな
簡単に動く物すら巻き込んで成長するのだなぁ。
それにしても、この髪の毛を落とした人も
こんな風にキノコに巻き込まれて
見も知らない当方の手に渡るとは思ってなかっただろうよなぁw
面白いけど、ちょっと気持ち悪いかな・・・・・・
裏返してみる。
黒い部分は元は赤かった部分だろう。
白かった部分もかなり黒ずんでいるのは
成長し終えて古くなった個体だからなのか。
もう一つもアップに。
これが送られて来た画像の個体だ。
こちらの裏側はまだ白い。
この個体は新鮮なのだなぁ。
が、赤かった部分はすっかり黒くなっている。
と、良く見たら細い葉っぱ巻き込んでいる。
これも突き抜け物件だったのだなぁw
大きな個体をアップに。
裏返してみると、これは二つの個体が融合した物の様だ。
裏側はまだ白い部分が多い。
この個体達はまだ新鮮な様だ。
試しに傷付けてみる。
30秒程で真っ赤になった。
そして10分後には完全に黒くなっていた。
気が付いたらこうなっていたので
何分後に黒くなったのか、正確には不明。
確信は無いけど多分5分後くらいには黒くなったのだとは思う。
小さな個体もアップに。
キチンとコマタケの特徴を持っているなぁ。
これも何かを巻き込んでいるw
生えていた状態を想像してみる。
こんな感じだったのだろうなぁ。
マンネンタケに見えてしまうのも仕方無いよなぁ。
図鑑によるとコマタケは南方系のキノコとの事。
以下、平成元年(1989)刊の上掲の保育社図鑑より引用。
アジア熱帯地方の菌で、熱帯では普通であるが
日本では沖縄から九州、四国の南部に発生
実際、地方のキノコ図鑑では
『熊本のきのこ』熊本きのこ会編(1992年)
『大分と九州のきのこ』大分きのこ会編(2010年)
には掲載されている。
また、15年くらい前に熊本の人がSNSにコマタケの記事をupし
「当地では良く発生している」と書いていた記憶もある。
尚、四国地方を始め、全国で刊行されている地方のキノコ図鑑には
当方が調べた限りでは掲載されている物は無い様だ。
「コマタケ」をwebで検索したところ
2021年8月30日現在でhitしたのは83件。
学名の Amauroderma rugosum でも94件だった。
これは元々発生が多くない、
キノコ食文化の盛んな信州東北北海道には発生していない、
と言う事情に加えて
堅くて食べられない上に毒でも薬でも無い、
色も地味な目立たないキノコ、
と言う理由によるのだろう。
山口県の吉敷川周辺のキノコを探索して居る
『きのこワールド』内の『きのこ図鑑』というサイトによると
2013年に撮影したコマタケのページに
「暖帯性で稀とあるが、市内でよく見かけるようになった」とある。
矢張り段々北上して行っているのかも知れない。
そして2021年に名古屋でも確認された訳だ。
勿論、2021年に初めて生えて来た、と言う訳では無いだろうが。
と、思っていたら実は2020年の時点で
埼玉県北本市での発生が確認されているらしい(→こちら)。
なんだ、名古屋はとっくの昔に通り過ぎていた様だ。
残念w
尚、そのサイトにも記述があるが平成8年(1996)刊行の
『猿の腰掛け類きのこ図鑑』神奈川キノコの会編
にもコマタケが掲載されている。
その標本はつくば市内の植物温室内に発生した物、との事。
当時は温室内と言う限られた環境に発生していた様だが
その後は野外にも普通に発生する様になったのだろう。
さて、名古屋の中心部と言えば都会の例に漏れず
ヒートアイランド現象の激しい場所だ。
大都会の真ん中にこんなキノコが発生するのは
一見すると不思議な感じだが
ヒートアイランド現象によって
熱帯地域の気候により近い環境になっている、と考えれば
当然の事なのかも知れない。
それに加えて温暖化の影響も勿論あるのだろう。
同様の事はオオシロカラカサタケでも言える。
オオシロカラカサタケも元々は南方系のキノコで
段々と発生地域が北上しているのが観察されている。
千葉菌類談話会通信29号によると
2010年時点で宮城県での発生が記録されていると言う。
オオシロカラカサタケについては過去に記事にしているので
因みにオオシロカラカサタケは毒キノコで
毎年の様に中毒事故がある為か
発生の北上の様子が詳細に調査されているが
コマタケに関してはその様な研究は無い様だ。
所で、名古屋のヒートアイランド現象によって
発生した熱気が上昇気流によって流れ
下降して地上に降りる場所が岐阜県多治見市との事。
その為、日本最高気温が多治見市で観測された事もある。
因みに、関東で言えば熊谷市や伊勢崎市辺りが
その場所に当たると言う。
ひょっとしたら北本市でコマタケが発生した、と言うのも
それと関係があるのかも知れないなぁ。
で、それで考えれば気温の点で名古屋市内よりも
より熱帯環境に近いであろう多治見市近辺にも
コマタケが発生していても不思議は無いのだが
多治見市にはコマタケに気が付く程の
キノコマニアが居ないのかも知れないなぁ。
まぁ、当方の狭いネットワークには
引っ掛かっていないだけかも知れないけどね。
しかし、都会の真ん中のこんな小さな植え込みに
良くぞコマタケの胞子が辿り着いて
こうやってキノコを発生させるまでに成長したものだ。
目に見えない大きさの胞子が
どれだけ離れた場所からかは判らないけど
風に流されて此処に降り立ち成長し
こうやって姿を現したのだよなぁ。
その不思議さがキノコの魅力の一つな訳で
興味が尽きない点だ。
そしてMさん、良くぞこのコマタケに気付いてくれた。
綺麗なオフィスビルの真ん前の植え込みに生えていたのだから
Mさんが気付かなければこのコマタケは
得体の知れない物、雑草扱いで駆除・廃棄されていた筈だ。
今までにもきっとそうやって
幾つものコマタケが誰に気付かれる事も無く
闇に葬られてしまっていたのだろうなぁ。
学術的にどうかは判らないが
当方的にはとても貴重な資料を入手出来た。
正に奇跡的な出逢い。
Mさん、キノコヌシ様、本当にありがとうございました。
さて、そうなると次はコマタケが生えている状況を
この目で見てみたいものだ。
辺縁部とは言え名古屋市内、
当方の周辺にも生えている可能性だってある筈だ。
実は当方も今まで見逃してしまっていたかも知れないよなぁ。
そして折角なら独楽の形をした子実体も見てみたいよ。
フィールドを探索する楽しみがまた増えた♪
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ヤマドリタケモドキの季節がやって来た。
今年の梅雨入りは例年より早かったのだが
すぐに中休みに入ってしまい晴れ続きだった。
そのまま6月末になり
乾燥状態のままヤマドリタケモドキシーズンに入ってしまった。
そして7月上旬も迎えヤキモキして居た所にやっと雨が。
喜び勇んで何時ものフィールドに向かった。
するとあった!
今年も生えて来てくれていた!
だが触ってみた所、柄がスカスカな状態。
既に中は菌食昆虫に食い荒らされてしまっている様子。
これでは収穫出来無いなぁ。
ヤマドリタケモドキの発生を心待ちにしていたのは
勿論当方だけでは無いのだ。
趣味で収穫をしたい当方と違って
彼らに取ってはそれこそ死活問題。
優先順位として当方は負けてしまう。
それはもう仕方無い。
以下、画像をダラダラと列挙。
こちらはあまりにも幼菌なので収穫せず。
また来年の為に胞子を撒いておくれ。
こちらも幼菌だし小さいので収穫せず。
こういう異形の物は虫食いの可能性が高いしね。
こちらは見る限り良さそうな感じ。
だが、触ってみたら柄はフカフカ状態だった。
またしても出遅れたか・・・・・・
これはどうか。
見た所良い感じ。
矢張り柄がフカフカだった。
こちらはちょっと育ち過ぎだったので収穫せず。
管孔の凸凹具合がちょっと面白い。
これも育ち過ぎだなぁ。
異形だしなぁ。
収穫せず。
これは完全に育ち過ぎ。
収穫せず。
これも育ち過ぎ。
当然中は虫にやられてるだろうなぁ。
こちらはヒポミケス菌にやられている。
残念だなぁ。
こちらは一見良い感じぽい。
だが、これもヒポミケス菌にやられていた。
残念。
こちらは老成を通り越して完全に溶けてしまっている。
多分、胞子を沢山撒いてくれた事だろう。
来年に期待。
こちらは山道に転がっていた物。
誰かが蹴り倒したのだろうなぁ。
何でそんな事するかなぁ・・・・・・
数日後の様子。
更に誰かが蹴った模様。
死体に鞭打つ、とはこの事か。
こちらは良い感じ。
断面も良い感じ。
やっと収穫出来た♪
結果で言うと、収穫出来たヤマドリタケモドキは
この一本だけだった・・・・・・
しかし、これだけ育ち過ぎの物があった、と言う事は
雨の全く降っていない時期に発生して居た、と言う事だよなぁ。
キノコの発生をピンポイントで的中させるのは
矢張り難しい物だ。
こちらはアカヤマドリ。
名古屋のこの地ではアカヤマドリは
ヤマドリタケモドキに比べると虫に喰われ難いのだが
この個体はこの幼菌の状態で既にかなり食害されていた様で
触った所柄がフカフカだった。
矢張り菌食昆虫達は発生を心待ちにしていたのだなぁ。
こちらは良い感じ。
若干虫食いの跡が見えるなぁ。
傘まではまだ虫は来ていない様だ。
収穫。
こちらはどうか。
思ったより食害されている。
傘は何とか使えそうだ。
収穫。
こちらはどうか。
これも傘は使えそうなので収穫。
こちらは幼菌過ぎるので収穫せず。
こちらはやや異形なので収穫せず。
タケリタケに見えてしまうなぁ。
こちらは誰かが蹴り倒した様子。
勿体無いなぁ、
こちらも誰かが蹴り倒してる。
傘は使えそうなので収穫する事に。
こちらも蹴り倒されてる。
何でそんな事するかなぁ。
こちらは斜面の下の方に生えていた物。
これはちょっと育ち過ぎか。
多分虫にも喰われているだろうよ。
どうせ酸っぱいやい!
去年、建設資材に占拠されていたシロ。
今年はこんな様子。
これなら今年は生えててくれるかと思ったのだが
建材が退かされたタイミングが合わなかったのか
あまり生えてくれてはいなかった。
数少ない、発生してくれて居た物がこちら。
右側のは良さげ。
柄はやや虫食い。
傘の部分は使えそうだ。
収穫。
左側はやや育ち過ぎかな。
こいつには胞子を撒いて貰おう。
こちらは老成を通り越してドロドロに。
きっと沢山の胞子を撒いてくれた事だろう。
来年に期待。
と言う訳で、今年収穫出来たのはこれだけ。
例年からするとかなり少ないが
収穫があっただけでも良しとせねばね。
早速スライス。
そして乾燥。
一部は自家製パンチェッタと共にリゾットに。
(゚д゚)ウマー
今年は雨のタイミングが合わなかった為に
発生自体が多く無かった。
それでも少量とは言え、収穫出来たのは良かった。
菌食昆虫達の命の糧を奪った事にはなるのだが
その地域全体から見れば極一部の筈だから勘弁して貰おう。
また来年も収穫出来れば良いな。
来年がどんな年になっているかは判らないけれど。
]]>
各種の広葉樹の枯れ木に発生する硬質菌で
名古屋東部では毎年必ず何度も遭遇している。
アジアに分布する種との事だが
東大阪や滋賀県栗東市では一度も見た事が無かったので
棲息地域に多少の偏向はあるのかも知れない。
ホウロクタケに関しては以前にも記事にした事があるので
興味のある方はそちらをご覧頂きたい(→こちら)。
先にも書いたが、名古屋東部ではごく普通に見かけるキノコだ。
前回の記事を書いて以降も幾つも遭遇している。
こちらは比較的大きな個体。
質感から見ると、老熟した個体の様だ。
と、こちらのホウロクタケ。
傘の質感が少し妙だ。
近寄って良く見てみる。
どうやら傘の表面に管孔が広がっている様子。
これは一体どう言う事なんだろう???
このホウロクタケは地面に放置された丸太に発生している。
想像するに、キノコを発生させた後に
丸太が転がって裏返しになってしまったのだろう。
大多数のキノコは胞子を放出する器官であるヒダや管孔を
傘の裏側に形成している。
それはその位置でないと
基本的に胞子を上手く放出する事が出来無いからだ。
このホウロクタケはこれから、と言う時に
人為的か偶然かは不明だが発生基物である丸太が転がってしまい
管孔部分が裏向きにされてしまったのだろう。
これは一大事だ。
何とかして管孔を地面に向けて形成しなければならない。
そこでこのホウロクタケが取った方法が
今現在、地面の側を向いている傘表面に
管孔を形成する事にしたのだろう。
因みに、そのホウロクタケを裏返してみた。
管孔の様子が矢張り通常では無い様子。
管孔部分に傘表面に当たる組織を形成した状態なのだろうかなぁ。
似た様な状況の物は今迄に何度か遭遇した事がある。
それは枯れ木が倒壊し横倒しになって
発生状態が90度変わってしまった状態のカワラタケ等だ。
これは地面に対し90度の角度になってしまった為に
管孔面をどうしても下に向けなければならず
苦肉の策として垂直方向になってしまった子実体から
新たな子実体を水平方向に発生させたのだ。
その所為でまるで強風にたなびいている様な外見になってしまったw
こちらは茶色タイプのカワラタケ。
こちらは強風には吹かれなかった様だw
花びらの様で華やかな印象。
こちらはシロハカワラタケ。
こちらもとても派手。
こちらはツガサルノコシカケ。
こちらも90度方向が違ってしまっている。
カワラタケ程派手では無いが
新たな子実体を発生させて何とか対応しようとしている。
木材腐朽菌は基物である樹木を腐朽・分解させるのだから
その結果、基物の強度が弱くなり
何時しか重力に負けて倒壊してしまう様になるのは必然だろう。
となると、この様に管孔面の向きが
思わぬ方向になってしまう事は少なくないのかも知れない。
その為に、そう言う緊急事態を回避する能力を
予め備えているのだろう。
画像で見た感じではツガサルノコシカケは
まだ成長途中と思われるのでちょっと違うが
カワラタケ達を見ると
結果的に管孔部分の面積が増えている様な気がするなぁ。
災い転じて福となす、て所だろうか。
まぁ、通常なら必要のない筈のかなりな労力を費やしている訳だから
それでトントンと言う事なのかな?
とにかく、どうしても管孔面を
地面に向けて形成しなければならないから必死だよなぁ。
90度傾きの場合だったら上掲のカワラタケ達の様な対処になるが
このホウロクタケの様に180度の場合はそうは行かない。
その為、この裏返ってしまったホウロクタケは
本来は管孔部分を支え、保護する役割であった
傘の表面(裏返った時点では裏面になるが)に
管孔を形成して何とか異常事態を回避しなければならなかったのだ。
そして頑張って管孔を形成したと思ったら
人為的か偶然かは不明だが器物である丸太がまた転がってしまい
再度傘の上下が逆になってしまった。
つまり、元の状態に戻ったのだ。
ホウロクタケにして見たら
折角頑張って問題の対処をしたのに
それを「無」にされてしまった状態だ。
何の為に努力をしたのか。
ただもう無駄な労力を使わされた事になる。
それまでの努力をそれこそ根底から覆された訳だ。
このホウロクタケには同情してしまうよ。
これが人為的な事なら、その人を恨みもするだろう。
所で考えたら、自然界に於いて
器物の枯れ木が倒壊して位置が90度変わる事はあるだろうが
180度や360度変化する、と言う事は無いのではないだろうか。
丸太、と言う人為的な加工品だからこそ
転がって上下が反転する状況が起こってしまうと考えられる。
となると、このホウロクタケは
人間の行いによって翻弄された可哀想なヤツ、と言う事になる。
そんな場所に発生してしまった己の不運を嘆くしか無いよなぁ。
(-人-) ナム~
所で、この裏返ってしまった管孔から胞子は放出されるのだろうか。
そして、元々あった管孔からも胞子は放出されるのだろうか。
両方から放出されるのだったら一粒で2度おいしい状態だが
そんな器用な事が出来るのかなぁ。
其処までの観察が出来無かったのは残念だった。
今後またこう言う個体に遭遇したら
その辺も注意して観察してみたい物だ。
まぁ、キノコに取ってはそんな状況になりたくは無いだろうけど。
]]>
濃いブドウ色が特徴的。
裏側もブドウ色っぽい感じ。
帰宅後撮影したのだが乾燥した為に色合いが変わってしまっていた。
裏側の色合いも濃くなった感じ。
ブドウタケと言ってもブドウの木や葉、実に生える訳ではない。
ブドウの実の様な歯応えであったり味や香りがする訳でもない。
見た通り、ブドウ色が特徴的なので「ブドウタケ」と命名された由。
ブドウタケはその名に関わらず針葉樹の枯れ木に発生する。
こちらの個体は山中にあった小さな神社の鳥居から発生していた。
実は10年程前にもブドウタケと思われるキノコに遭遇している。
それも、とある神社の鳥居の地際だった。
と言って別にブドウタケが信心深いキノコと言う訳では無い。
多くの簡易な鳥居は大抵は杉の丸太に防腐処理を施し
そしてペンキを塗装して作成されている。
その状態ではキノコが発生する事は中々無い事だ。
だが、長年風雨に晒された為に防腐剤の効力が低下し
その為にこのブドウタケの発生を見たのだろう。
かなりハードな環境だが
そんな環境を乗り越えて発生した訳なのだから
ブドウタケはかなりのツワモノだと言える。
だが、逆に考えると他のキノコが敬遠する様な、
他のキノコの発生が難しい様な環境でないと
ブドウタケは他の菌に負けてしまって
生えて来れない、と言う訳なのかも知れない。
そして、どちらも地面から離れていない場所に発生していた、
と言う事は、発生に当たっては枯れ木の中の水分量が
ある程度高くないとダメ、と言う事と考えられるのではないだろうか。
実際、ブドウタケと思われるキノコに遭遇した他の場面も
地面に横たわった枯れ木からの発生だった。
こちらはかなり褐色が強い個体。
こちらは全体にブドウ色の個体。
裏側は淡い紫色。
こちらはかなり波打った達だ。
この個体にはホウロクタケの様な
コブ状の部分が。(ホウロクタケの記事→こちら)
裏側はこちらも淡い紫色。
こちらは幼菌の為なのか縁のっ白い部分が大きい。
こちらはかなり不定形の発生具合。
こんな風になる事もあるのだなぁ。
どれも見るからに枯れ木は湿っている様に感じる。
矢張り枯れ木内の水分量が大事なのかも知れないなぁ。
ブドウタケは図鑑的にはレア菌と言う訳ではないが
フィールドで遭遇する機会が多くない気がする。
それはやはりブドウタケが
他のキノコが発生を遠慮する様な環境を好む、
そんな環境でしか生きられないキノコだからなのだろう。
ニッチな環境と言うのはやはりあまり多くないからこそ
ニッチな訳なのだよなぁ。
web上での情報が少ないのは毒でも食用でも薬用でもなく
特に大きくもならない地味なキノコだからだろうけど。
所で、上掲のブドウタケ。
画像によってかなり物が違って見える。
当方は顕微鏡を持たないのでキノコの同定は
あくまでも画像の絵合わせと、図鑑の記述に頼るしか無い。
なのでそれらが本当にブドウタケかどうか、
確定的な事が言えない点は御了解願いたい。
因みにブドウタケが掲載されている図鑑は多くは無いが
メジャー所の図鑑には掲載されているので
ご覧になった方は多いかも知れない。
以下、掲載されている図鑑の記述を抜き書き。
『日本のきのこ』山と渓谷社刊
傘はほぼ半円形
幅4〜10cm、厚さ0.5〜1cm程
扁平〜貝殻状〜波型
ぶどう色〜暗紫褐色で環紋を表す
管孔は微細
松類の切り株に重生
熱帯系の菌、ヨーロッパには無く、日本には普通
『原色日本新菌類図鑑』保育社刊
傘は幅4〜10cm、厚さ0.5〜1cm程
扁平〜やや貝殻状に湾曲、乾けば一層強く湾曲
縁は薄く鋭く、表面は殆ど無毛
濃いブドウ色〜暗紫褐色〜紫黒色
濃淡の環紋と浅い環溝を表す
下面はブドウ色〜紫黒色、孔口は微細
針葉樹、特に松の切り株に重なり合って群生
分布:北アメリカ東南部、東半球熱地域、日本
『山渓フィールドブックス きのこ』山と渓谷社
マツ類などの枯れ木上に発生
南西諸島〜熱帯地域では広葉樹枯木上
傘は半円形〜棚型またはやや不定形
扁平で薄い
帯紫褐色〜暗紫褐色
多数の環溝
孔口は薄紫色〜紫褐色、微細
『カラー版きのこ図鑑』家の光協会刊
マツ類の枯れ木上、熱帯地域等では広葉樹上
傘は半円形、扁平で縁部は薄く鋭い
帯紫褐色〜暗褐色
細かい環紋を多数備える
裏面は淡紫色〜紫褐色、孔口は極めて微細
同じ種類のキノコの解説だから似た記述になるのは当然だが
良く読むと微妙に違っている部分もある。
色合いや環紋の具合に関しての記述に結構差があるが
その記述の違いは個体差だ、と言う事にした。
上掲画像の個体達もどれかの記述に当て嵌まっている、
と思えたのでブドウタケと判断した次第。
一つの図鑑の記述だけを拠り所にすると
判断を誤る可能性もあるので色々見比べる事も大事かな、と。
ホウロクタケのコブ状部分に関しては
どの図鑑にも記述は無かったのだが
『カラー版きのこ図鑑』掲載画像の個体には
ホウロクタケの様なコブ状部分があったので
これもブドウタケの個体差と考えた。
取り敢えず、記事中の同定に関しては
あくまでも当方の「個人の感想です」と言う事で。
それにしても「ブドウ+タケ」と言う命名もなかなか面白い。
『日本産菌類収攬』によるとブドウタケは安田篤による命名、との事。
色合いを基準にした判りやすい命名ではあるが
今後ブドウの木から特異的に発生するキノコが発見されたとしたら
ややこしい事になるかも知れないなぁ。
以前「色名+タケ」のキノコの和名を取り上げたが(→こちら)
今回もそれをやってみることにした。
ブドウタケの「ブドウ」は色合いの事なのだが
それを「果実の名前+タケ」と解釈し
「八百屋などで買える物の品名+タケ等」として
該当するキノコの和名を
『日本産きのこ目録2020』を元に探してみた。
尚、「モドキ」等の別の語の付いた物は除外した。
アケビタケ
アズキタケ
アンズタケ
イモタケ
カキシメジ
カボチャタケ
クリタケ
クルミタケ
ザボンタケ
ジャガイモタケ
スグリタケ
ダイダイイグチ
ダイダイガサ
ダイダイシメジ
ダイダイタケ
ブドウシメジ
ブドウタケ
ホオズキタケ
ムカゴタケ
レモンハツ
ワサビタケ
以上、21種類。
カキノミタケ
ダイコンシメジ
が抜けているとのご指摘を頂きました。
合計は23種類となります。
hさん、有難う御座居ました!
これが多いのか少ないのかは何とも。
興味がある方はそれぞれ画像検索して頂きたいが
殆どが色合いか形状から命名されている様子。
他には八百屋では売っていないが
ドングリタケ
ナタネハツ
と言うのもあった。
今後、どんな和名のキノコが新たに出て来るのか、
色々と期待したい所。
当方が命名者になれる可能性がまず無いのは残念だけど。
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どんなに世情不安でも春は確実にやって来てくれるのだなぁ。
今年もアミガサタケに出逢えるかなぁ・・・・・・
まずはシロA。
ちょっと早いかな、と思いつつ
様子を見に行ったら既に何本か生えていた。
所々にポツポツと生えている。
ありがたやありがたや。
例年よりちょっと発生が早いかな。
これは幸先良いな、と思ったのだが
その後の発生は少なかった。
裏年だったのかなぁ。
またはこの場所の発生力が落ちているのか。
それとも誰かに先を越されたのか。
そのどれかなのか、複合的要因なのかは判らない。
当方にはどうする事も出来無いしなぁ。
シロB。
この場所は長い事発生が途絶えていたのだが
一昨年に数本発生し
奇跡の復活か!?と大いに期待を持ったシロ。
だがその後、今の所再度の発生は見ていない。
一昨年のあれはやはり奇跡だったのだなぁ。
何度もそうそう起きないからこそ奇跡な訳だが
それでも期待してしまうのは人間のサガと言う物。
これからも大いに奇跡を期待してしまうよ。
シロC。
この場所は数年前から発生ポイントが20m程移動している。
今年もそれは変わらなかった。
しかも、何故か鬱屈した様な極端に変形した個体の多い場所。
その点も今年も変わらなかった。
今年は特に日当たりの良い場所に発生していた。
しかもかなり鬱屈している。
以前の場所の方が木陰もあり
発生環境としては条件が良い様に見えるのだが
それでも尚、アミガサタケ的には
この日当たりの良い、こちらの場所の方が
発生の為の環境が整っている、と言う訳なのだよなあ。
やっぱりキノコはムツカシネー
シロE。
この場所のアミガサタケはとてもプロポーションが良いので
贈答用に最適だったのだが
そのポイントに周辺の伐採木を投棄された事により
昨年は収穫が出来ず、とても残念だった。
さて、今年はどうか。
結果的には収穫は3本だけ。
周囲を散々探し回ってやっとの事で、だったが
3本だけとは言え、収穫出来て良かった・・・・・・
何故か全体的にスリムな個体ばかりだった。
この伐採木が投げ込まれた場所は
発生地点の本当にピンポイントな場所。
ここは周囲に比べて少し窪んでいる。
周りに比べて一段低い、と言う事は
それだけ水が溜まりやすい=土壌水分量が周りより多い、
と言う事にもなる。
やはり、アミガサタケの発生には土壌水分量が関係している、
と言う証左と言えるのでは無いかなぁ。
所で窪地と言うのはゴミを捨てやすい場所でもある。
人間が何かゴミを捨てようとした場合、
窪地に捨てたくなるのは当然と言えよう。
周囲に比べて高くなっている様な場所には
わざわざ捨てないだろう。
となると、この周辺の地形で言えば
通路からちょっと入ったこの窪地は
ゴミを捨てるに正に絶好の場所でもある。
かくしてアミガサタケスポットはゴミに埋められる事となった。
ゴミを捨てた人は決して当方に意地悪をしようとした訳でも
アミガサタケに恨みを抱いていた訳でも無い。
これは仕方の無い、至極当然の結果なのだ。
以前にもこの場所はかき集められた枯れ葉で
埋め尽くされた事があったが
その時は翌年には枯れ葉は腐葉土となり
アミガサタケの発生は再開していた。
しかも、その環境の変化に伴い
発生するアミガサタケの種類が若干変わっていた。
この伐採木が腐朽する事によって環境が変化し
発生するアミガサタケの種類もまた変化するかも知れない。
それは楽しみではある。
ただ、枯れ葉と違い、伐採木が土壌に溶け込むには
まだまだ年月が掛かりそうだ。
その時まで当方が生きていられる保証は無い。
またこの場所でアミガサタケに出逢える日は
来るのだろうか・・・
また、この場所ではこのピンポイントの場所の周辺エリアでも
以前は発生がそこそこあった。
なので、それを期待したのだが周辺エリアでの発生は全く無かった。
メインステージが不調ならば
サブステージが頑張ってくれよ、と思うのだが
どうもそうも行かない様だ。
言わば中核都市と衛星都市みたいな関係なのだろうか。
衛星都市は中核都市が十分発展しているからこそ
その補完として機能している訳で
中核都市が寂れてしまっては
補完装置としての機能が維持出来ない。
あくまでも中核都市があってこそ、なのだ。
この場合、中核都市であるアミガサタケの発生ポイントは
壊滅状態なのだ。
それでは周辺地域での発生も難しいのだろう。
何とか頑張って欲しいのだけどなぁ。
シロD、シロG,シロHは一度様子を見に行ったのだが
その時は発生しておらず
その後、見に行ける機会が無かった。
また来年に期待。
まぁ、あまり発生の多いポイントでは無いのだけどね。
昨年、桜の枝が大幅に伐られ、
発生ポイントが砂で埋められたシロF。
ダメだろうな、と思いつつ見に行ったが矢張りダメだった。
このシロは完全に消滅したと考えて良いだろう。
勿論これからも未練たらしく様子は見に行くけれど。
そんな訳で、今年はかなり厳しかった。
それでも何とか20本余りは収穫出来た。
良かった良かった。
SNSを見ると50本だ100本だ、と大漁の報告が目立つ。
そう言えば当方も遙か昔は
そんな本数を収穫していた時代もあったっけなぁ。
良い時代だったのだなぁ・・・・・・シミジミ
その中から見繕って何時もの様にネグラマーロへお裾分け。
それが当方の楽しみでもある♪
他の店では見られない北イタリアの郷土料理が
リーズナブルな価格で楽しめる貴重なお店。
今のご時世で中々行く事も難しく、
お店としてもとても厳しい状況だろうが
何とかまた美味しい食事をしに行きたい物だ。
皆様も名古屋へお越しの折には是非!
※食べログの当該ページ→こちら
残りのアミガサタケは乾燥に。
一部は生の状態で調理する事に。
細かく切ってバターで炒める。
其処に生クリームと牛乳を加える。
小麦粉を加えとろみを出し、今回はディップとして食べる事に。
クロワッサンに付けて食す。
(゚д゚)ウマー
更に焼いたベーコンと合わせる。
(゚д゚)ウマー
(゚д゚)ウマー
ワインが進む♪
この季節ならでは楽しみを味わえた。
御馳走様でした(・∀・)b
だが、今年も新たなシロの発見は叶わなかった。
このままではジリ貧だよなぁ。
何とか新規開発をしたい所だが
自分の希望だけでどうにかなる物でも無い。
これからも地道に探して行くしか無い。
そしてひたすらキノコヌシ様に祈るのみ・・・・・・
(-人-) ナム~
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林内地上に発生し、特に珍しくはない種類だが
傘径が2cm程度で色合いも褐色系で地味な上、
あまり大量に群生する種類でも無い為に目立たない事が多い。
だが、綺麗な同心円状の環紋と絹のような光沢が美しいので
気を付けて見ると道の脇などで目に入りやすいかもしれない。
小さくて華奢だが硬質菌なので堅くて丈夫。
当然食べられないが一部の硬質菌(アシグロタケ等)の様に
出汁用として使えるのかどうかは不明。
調べた限り、試した人は居ない様だ。
上述したように何分小さく、
大群生して大量に収穫出来る種類では無い為に
試してみる気にもなれないだろう。
当方も試す気は無い
ニッケイタケのニッケイは香料のニッキ、シナモンの事。
とは言え、ニッキの様な味や匂いがする訳ではなく
単に傘の色合いから命名された由。
その点は少し残念だ。
もしニッキの匂いがするとしたら
硬質菌だから長持ちしただろうになぁ。
因みに学名もシナモンの色合いから取って
「Coltricia cinnamomea」となっている。
Coltricia はイタリア語でキノコの意、
cinnamomea はニッケイ色の、の意。
「ニッケイ色のキノコ」なのでそのまま「ニッケイタケ」の事になる。
『日本産菌類収覧』によると
ニッケイタケの学名登録は最初は200年以上前に
オランダの植物学者
ニコラウス・フォン・ジャカンによって行われた由。
最初は硬質菌と言う事でサルノコシカケなどと一纏めにされて
Polyporus属とされていた様だが、
現在は上記の様にColtricia属となっている。
そして和名の「ニッケイタケ」は1904年に安田篤による命名の由。
安田が独自に「ニッケイ色のキノコなのでニッケイタケとした」のか
「学名がニッケイ色のキノコなので
和訳してニッケイタケとした」のかは判然としなかった。
さてこのニッケイタケ。
東大阪時代には全くお目に掛かれなかったのだが
岐阜山中と名古屋市各所ではほぼ毎年遭遇している。
大阪東部に比べたら東海地域は
ニッケイタケ的には住みやすいのかも知れない。
当方が追い続けているキノコの一つ、ウズタケは
ニッケイタケとは同じオツネンタケモドキ属に分類されているので
とても近縁な種類とされている。
とすると、東海地域はオツネンタケモドキ属にとって
住みやすい地域と言う事なのだろうかなぁ。
上述の様に小さくて地味なのだが
色合いや紋様の個体差が大きいので
遭遇する度に撮影するのも中々に楽しい。
大体はこの様にニッケイ色。
暗褐色の物も結構多い。
こちらの個体。
周縁部が淡い色合いなのは成長過程だからなのだろうか。
こちらの個体。
表面の艶が消え妙に毛羽立っているのは老菌だからなのか
それとも個体差なのかは不明。
まだデジカメを持っていなかった頃。
岐阜山中で暗紫色の物を見た事があったのだが
画像を残せなかったのは残念だった。
別種だったのかも知れないが、今となっては不明。
ニッケイタケにしか見えなかったのだけどなぁ・・・・・・
この個体は暗紫褐色、と言う事になるのかな。
所でこの画像。
周囲の黒くて細いニョロニョロした物。
これは一体何なのだろう???
一瞬、冬虫夏草か何かと思って「お!?」と色めきたったのだが
どうやらこれはニッケイタケの幼菌の様だ。
良く見ると手前には傘の開きかけの個体も。
ニッケイタケはこの様に柄の部分がスルスルと延びてから
先端が広がって傘になる訳なのだなぁ。
いや、これは意外だった。
キノコの幼菌時代の姿というのは
種類によっては成菌のそれとは全く違っていたりする。
予めそれと知っていなければ何だか判らなかったり
別の種類の物と間違えてしまう事も少なくない。
これも正にそうだなぁ。
成菌の側にあったし傘の開きかけがあったから
これが幼菌か、と判断出来たけど
これ単体だったら判らなかっただろうなぁ。
色々な状態の物を見て行く事が本当に大事だなぁ。
こちらは別の場所での物。
開き掛けで乾燥して成長が止まってしまったのか
そのまま枯れてしまっている。
上掲の生えかけ画像が無かったら
これもニッケイタケとは判断出来無かったかもなぁ。
と、このニッケイタケ、何か妙だ。因みに左側のキノコは恐らくモミジタケ。
手に取って裏返してみる。
傘裏の質感が異様で孔口は全く見えない。
通常はこの画像の右側個体の様に裏側には管孔があるのだが
こちらの個体はそれが何かに塞がれてしまっている。
どうやら菌に冒されている様子。
キノコに寄生する菌といえばヒポミケス菌が知られている。
ヒポミケス菌はキノコ専門に寄生する菌で
色々な種類がそれぞれに対応した種類のキノコに寄生し
寄主のキノコを変形させる。
ヒポミケス菌に関しては何回か記事にしたことがある(→こちら)。
となれば、
ニッケイタケに寄生するヒポミケス菌があっても不思議はない。
とは言え、ニッケイタケは今まで結構な数を見てきたが
この様な状態の物は初めて見た。
当方はヒポミケス菌が好きなので
個人的に色々調べたりもしているが
ニッケイタイケに寄生する種類の事は聞いたことが無い。
勿論、在野のイチ素人、野良学問の当方が
知れる事なんて範囲が限られる。
だから一概には言えないのだが
結構珍しい物なのかも知れないなぁ。
なので折角なら、と持ち帰る事にした。
で、乾燥保存。
その後もヒポミケス菌関連の事を色々探ったのだが
それらしい情報は出てこなかった。
元々ヒポミケス菌に関する資料はあまり多くない。
更に、日本語以外に疎く
専門の研究者ではない当方には
海外の文献を渉猟するのも限界がある。
それでも何とか引っかかったのが
アメリカのキノコアドバイザー?的な人、
Gary Lincoff氏のサイトの中の
キノコ観察会で観察できたキノコのデータ一覧の中の情報。
Gary Lincoff氏は
ニューヨーク植物園でガイドをしているキノコ研究者
amazonで著書が幾つも出て来る程著名な人らしい。
氏は定期的にWOLFE’S POND PARKでキノコ観察会を行っている様子。
WOLFE’S POND PARK=ウルフズポンドパークは
直訳すると狼池公園。
ニューヨークの近くにある海沿いの公園で
2000エーカーが森林保護区になっている由。
2000エーカーは809ヘクタール≒8.1㎢
つまり東京ドーム170個分、
東京都国立市、名古屋市熱田区、大阪市鶴見区と同じくらい、
横浜市西区より大きいくらいの広さとの事。
その例えがどの程度伝わるかは判らないが、
とにかく広大だと言う事は判って頂けた事と思う。
そんな広大な場所に「池公園」と名付けてしまうのは
矢張りアメリカは巨大な国だからこそなのだろうなぁ。
そして2017年6月8日に行われた観察会で作成されたリストの中に
「Hypomyces on Coltricia cinnamomea」
の記述があった(→こちら)。
だがこれ以上の情報は無い。
画像も無いので当方の採取した物と同じかどうかも判らないが
Coltricia cinnamomea に発生したHypomyces菌と言う事なので
同じ様な状態の物だったのでは無いだろうか。
やはり珍しい物なのかも知れないなぁ。
と言う事はこれは貴重な標本なのかもなぁ。
ひょっとして世界で2例目とか!?
まさかねw
元々発生が多くない
×
ヒポミケス菌に興味を持っている人が少ない
×
ネット上にヒポミケス菌の事をupする人が少ない
なのでとにかく情報が多くないので検索しても出て来ないのだろうなぁ。
希少性はどうか判らないが取り敢えず数量的な意味だけだとしても
貴重な標本である事は間違いない。
全国の、そして世界のヒポミケス菌研究者の皆様。
もし、この標本が研究の為に必要でしたら
喜んで提供させて頂ますですので
当方に是非ご一報を。
そう言うアカデミックな方々が
こんな場末のblogを読んでくれているとも思えないけれどw
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2020年の秋以降は雨が少なかった。
その為、秋のキノコシーズンは
ちょっと期待外れで残念だった。
だが、6〜7月頃は雨続きの日が多かった。
何日も雨が続き、洗濯物を干すのに難儀した程だった。
それだけ雨が多いと、当方の居住地である郊外の住宅地周辺でも
普段見ないキノコが生えて来たりもする。
それがこちら。
シロソウメンタケだ。
居住地のすぐそばの公園の植え込みに発生して居た。
シロソウメンタケはその名の様に
ソウメンの様な細い子実体が特徴的なキノコ。
正に素麺を束ねた様な外見をしている。
シロソウメンタケ自体は特に珍しいキノコと言う訳では無い。
実際、飛騨の山中では良く遭遇して居た。
とても派手な束だ。
また、こんな風に小さな束で発生したり
あまり束にならず、散生する場合もある。
飛騨山中では比較的遭遇する事の多いキノコだ。
実はシロソウメンタケには名古屋市内でも遭遇自体はしていた。
だが、それはこんな風にまばらな感じ。
侮蔑する訳では無いが、かなり貧弱な生え方。
飛騨山中とは環境が違う所為か
束で群棲した状態は見た事が無かった。
だが、2020年6月は大雨の影響か上掲の様な束生状態の物が
しかも居住地のすぐ近くに発生したのだ。
と言う事はシロソウメンタケ的には
名古屋市東部と飛騨山中の環境的差異は
土壌の水分量だけ、と言う事になるのだろうかなぁ。
その束生シロソウメンタケは
数日後には枯れて消失してしまったのだが
2週間後に矢張り大雨を受けて再び同じ場所に発生して来た。
それがこちら。
今回はやや控えめな発生だった。
前回の大束発生で養分や労力を消費してしまったのかもなぁ。
そして、その後発生は見られなくなってしまった。
雨が少なくなったので
シロソウメンタケ的には環境が合わなくなったのだろう。
この場所は毎日の様に通るので何時も見ているのだが
シロソウメンタケが発生したのを見たのは今回が初めて。
この場所で何時の頃からか人知れず菌糸を広げていて
発生のチャンスを待っていたのだろうなぁ。
この雨続きの日が無かったら
発生出来無かったのかも知れないのだよなぁ。
シロソウメンタケ的にも当方的にも良かったよ。
それにしてもキノコは本当に神出鬼没だなぁ。
更にその10日後、雨上がりに買い物に出るべく
自転車置き場に行き、ふと足元を見るとこんな物が。
これはムラサキナギナタタケだ。
周囲を見回すと更に発見。
片方にはダンゴムシが。
思わぬ御馳走?に有り付けている様子。
ムラサキナギナタタケもシロソウメンタケに近い仲間で
特に珍しい種類では無いとの事だが
当方は20年前に飛騨山中で一度遭遇しただけ。
当方は当時デジカメを持っていなかったので
同行者に撮影して貰ったのがこの画像。
当方の唯一のムラサキナギナタタケ画像なので貴重な一枚w
その後、この場所を含め毎年探し続けているのだが
全く出逢う事の無かったムラサキナギナタタケに
こんな足元で遭遇出来るなんてなぁ。
とは言え、矢張り飛騨山中に比べると発生の仕方が貧弱だ。
ムラサキナギナタタケ的には
まだ土壌水分が足りなかったのだろうか。
となると、シロソウメンタケに比べる
ムラサキナギナタタケの方が
より土壌水分を必要とするのだろうかなぁ。
まぁ、この一例だけで判断するのはあまりにも乱暴だけど。
それにしても当方が
20年探し続けていたあのムラサキナギナタタケが
こんな足元の場所で何時の間にか潜伏していただなんて
全く気付かなかったよ。
2020年のこの天候じゃなかったら遭遇出来無かった訳だよなぁ。
それにしても本当にキノコ委は神出鬼没だなぁ。
雨が続くと何かと不便を強いられる事は多いのだが
こうやって色々なキノコに遭遇出来るのも悪くない。
今年はどんなキノコに遭遇出来るか。
楽しみでならない。
そこそこに雨は降って欲しいけれど。
]]>
当方は仕事で絵具類を使う機会が多い。
勿論ビンに蓋をした状態で保管している。
ただ、作業の段階によっては暫く使わない時期があり
上記の状態で放ったらかしとなる。
すると何時の頃からかカビが発生する様になってしまった。
まぁ考えたら、常に水分が保たれた状態で
長い事放置されているのだ。
カビが生えても仕方無いと言えるが
以前住んでいた家ではそんな事起こらなかったのになぁ。
何時の間にか当方がカビを呼び込む様になって
しまったのだろうかなぁ・・・・・・(∩;゚皿゚)ヒイィィィッッッ!
因みに、カビの生える色の種類は大体決まっている。
色によってカビが生えやすいのと、そうでないのがあるのだ。
恐らく、絵具の色=成分によって
カビが生えやすい/生え難いの差があるのだろう。
なので、普段はカビの生えやすい色のビンを気に掛けている。
時々蓋を開け、中を見て
カビが生えかけていたらその部分を削って処分し
エタノールで消毒をしているのだ。
だが今回は普段気に掛けていなかった色のビンで
中々の事態が起こってしまった。
と言う訳でそんな画像を以下に。
絵具に関する商品名や
専門用語的な単語が頻出してしまうのはご容赦を。
こちらは既に不穏な見た目w
当方が顔彩の朱色と
ターナーのポスターカラーの白を混合して作った色。
オレンジ掛かった桃色が当方の好みの色合いなので
この色の使用頻度はとても高いのだが
このビンの物は、とある限定的な部位の彩色に使用する為に
定着材であるアラビアゴムを通常よりかなり多く配合してある。
限定的な使い方をする、と言う事は
使用機会が少ない、と言う事でもある。
で、久し振りに使おうとして蓋を開けたらこんな状態。
因みに黒いモケモケの上に所々に見える桃色の部分は
開けた際に蓋にこびり付いた乾燥した絵具が散らばって落ちた物。
カビ自体とは関係が無い。
今迄も一部に黒カビが発生してしまって居た事はあり
その時はその部分を除去して使い続けていたのだが
此処まで全体に発生してしまうと
絵具の色自体がくすんでしまう可能性が高いので
これはもう使い物にならないなぁ。
此処までになったら、もう面白いから
これはこのまま保存する事にしようかな。
キノコは好きだがカビに疎い当方には
何の種類だかはさっぱり判らないし
顕微鏡も持っていないので調べようも無いけれどね。
こちらはバーントシェンナー。
ビンはターナー社の物だが
中身はニッカー社のデザイナーズカラーの
バーントシェンナーのチューブを絞り出した物。
ラベルも張り替えてある。
個人的に、ターナー社の物よりキメが細かくて塗りやすいのと
同じ色名でもメーカーによって色合いが微妙に違っていて
ニッカー社のこの製品の色の方が好きなので愛用している。
茶色として使用頻度が高いのだが
この時は茶色に塗らなければならない物が少なかったので
たまたま暫く使っていなかった物。
で、開けたらこんな状態。
この色にカビが生えたのは初めての事態。
桃色のと同じカビかなぁ。
これも中々。
カビに覆われた部分をこそげ取ったら使えるかなぁ。
でも、やっぱり廃棄かな。
勿体無いけどなぁ・・・・・・
こちらはイエローグリーン。
所謂「黄緑色」だ。
これは当方の場合は使う場所がとても限られているので
使用頻度はかなり低い。
年に一度蓋を開けるかどうか、て感じかも。
で、開けてみたらこんな状態。
こ、これは・・・・・・!?
なんとキノコが生えているではないか!!!
今迄絵具には散々カビが生えた事はあったのだが
こんな風に子実体になっているのは初めて見た!
そもそも今迄イエローグリーンにカビが生えた事自体が無かった。
それがいきなり子実体だよ。
これは一体何だ???
パッと見、キクラゲに思えてしまうが
良く見るとどうも少し違う様だ。
チャワンタケの仲間みたいにも見えるが
矢張りちょっと違う様にも見える。
これ!と言った物が思い浮かばない。
謎だ・・・・・・
そもそもコイツは何処からどうやって
此処に来たのだろう。
当方がキノコ探索した時に
何処からか胞子を持って来てしまったのかなぁ。
それともベランダから舞い込んで来た、とか?
そして、このイエローグリーンと言う
とても使用頻度の低い絵具のビンの蓋が開いた
そのホンの数分?の間に入り込んで
何が入ってるのか判らないけど
とても栄養分が豊富とは思えない
むしろ阻害要素が豊富としか思えない絵具の中に菌糸を広げ
こうして子実体を出現させた。
しかもキノコマニアの当方の目の前で。
これはもう、このまま保存するしか無いだろう。
もっと育ててコイツの正体を知りたくなってしまったよw
このまま蓋をして放置して置こう。
で、5か月後。
ビンの蓋を開けてみる。
殆ど変わっていない (∩;゚皿゚)ヒイィィィッッッ!
正体は謎のまま・・・・・・
育っていなかったのは意外だったが
枯れていなかったのは幸いだった。
折角なのでトリミングでドアップに。
コイツは一体何者なんだろうかなぁ・・・・・・
取り敢えず今後もコイツを育て続ける事にしよう。
だが、絵具の養分だけで育つのだろうか。
栄養が足りないから変化が無いのだろうかなぁ。
栄養を与えるにしても何をどう与えたら良い物か。
下手な事をしてコイツを枯らしてしまったら元も子も無いしなぁ。
取り敢えずこのまま様子見をするしか無いか。
もし枯れる兆候が見えたら
すぐに冷凍庫に放り込んで凍結乾燥標本にするよ。
キチンと標本になってくれるかどうかは判らないけれど。
それにしても絵具にこんな物が生えるなんて想像だにしなかった。
世間の水彩系の絵具を使っている皆様はどうなのだろうか。
画家とかデザイナー、絵を趣味にされている皆々様方、
どうなんでしょう???
何か生えて来た人が居られたら是非お教え下さいませ。
※この記事を見たとある方から、このキクラゲ?は
「析出では無いか?」とのご指摘を頂きました。
絵具内の成分の一部が何らかの理由で分離して
個体となったのでは、との事です。
確かにそう考えると何か月もの間
様子が変わっていないのも納得できます。
色合い的にも絵具中のアラビアゴム成分が
析出したのだと考えられます。
たまたまキノコみたいな形になったので
当方が勘違いした様です。
だとしても、何故コイツだけが
何故この様になったのかは不思議ではあります。
尚、今更記事の全面改正はしませんが
その点をお含み頂けましたら幸いです。
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洗濯物は良く乾くので有難い事ではあったが
キノコ的にはあまり好ましい状態ではない。
特に秋口に極度の乾燥状態になる事が多かった。
なのでこの数年、シロテングタケの発生は少なかった。
勿論発生がゼロだった訳では無いが
遭遇した時点ではあまり良い状態では無かったりで
当方にとってはタイミングが合わなかったのだ。
その為、「シラフタケの実証実験」がこの数年止まったままだった。
過去に何度も触れているが、
致死毒キノコであるシロテングタケは
東北北部のとある地域ではマツタケの代用品として
シラフタケ、シラフマツタケと呼ばれて
重宝されている、と言う。
※シロテングタケ関連の記事のアーカイブ→こちら
そのシラフタケとシロテングタケとは外見的には差異が無い。
だが、DNA的にどうなのか、の研究は成されてはいない様だ。
そのシロテングタケと思われるキノコが名古屋でも発生している。
それがシラフタケだとしたら
マツタケの代用品として使えるかもしれない。
果たして・・・・・・
だが、上記の様にここ数年、名古屋での発生があまり見られなく
その追及は中断していた。
2020年の9月も雨は少なく、
今年もダメかなぁ・・・・・・、と半ば諦めていたのだが
9月下旬にシイノトモシビタケを
観に連れて行って貰った際(当該記事→こちら)、
途中で立ち寄った場所に
シロテングタケがとてもたくさん発生していた。
シロテングタケの大きな特徴の一つの
幼菌の時にヒダの部分を保護して居た被膜が
成長とともにちぎれて
レースの様に垂れ下がっているのがハデで綺麗(・∀・)♪
今後名古屋でシロテングタケが発生するかどうかは判らない。
なので、その一部を持ち帰る事にした。
その後、名古屋では
シロテングタケに遭遇する事は結局無かったので
ここで持ち帰っていて本当に良かった。
F氏とTさん、本当に有難う御座居ました (-人-) ナム〜
さて、持ち帰ったシロテングタケは一部は水煮に、
そして一部は生のままSさんに送った。
因みに、瓶詰や梱包した状態を撮影するのを
すっかり忘れてしまってたーよ・・・・・・(;´Д`)
Sさんは信州出身のキノコ猛者。
キノコを採取し食べる、と言う事への情熱は高く、そして深い。
信州を離れて暮らしている今では
フリマサイトで山採りキノコを取り寄せる事にも情熱を注いでいる。
当然マツタケも自分で信州で採取する他に
フリマサイトや通販で色々なマツタケを入手し食している。
その追及意欲は中国産マツタケ、北米産マツタケに留まらず
2020年の岩手産マツタケ、トルコ産マツタケ、
果てはマツタケモドキ、ニセマツタケにまで及んでいる。
尚、バカマツタケは今年フリマサイトで購入したのだが
実際に送られて来た物はニセマツタケだったので
バカマツタケはまだ食べた事は無い、との事。
因みにその件は、出品者がバカマツタケの事を良く知らなかっただけで
詐欺の意図は無かった事が判明している。
Sさんの指摘に素直に反省と謝罪があった由。
と言う訳でマツタケに対する有難みに疎い当方と違って
Sさんなら「シラフタケ問題」に対しての正確な判定をして貰える筈だ。
到着してすぐに開封し、匂いを嗅いだ由。
で、Sさん曰く「全っ然違う!」との事。
やっぱりそうかー
まぁ、収穫してた時にF氏も同じ事を言っていたよ。
いや、当方だってマツタケと同じだと迄は思ってなかったよ。
マツタケに疎い当方からしたら似た系統の芳香かな、と思ったのだけど
それはダイコンやニンジンに比べたらマツタケに近い、
と言う程度の事だったのかもなぁ・・・・・・
やっぱマツタケとシロテングタケは別物かー
まぁ、当然か。
その後、色々やり取りをして考察した事を以下に。
シラフタケをマツタケの代用品に、と言うのは
香りの問題だけでは無いのではないのかも知れない。
スライスした時の形と歯応えが重要で
更に「出汁が出る事」がポイントだったのでは無いだろうか。
スライス品がマツタケに近い物で言えばエリンギがある。
webで検索するとエリンギを使った
「なんちゃってマツタケご飯」のレシピが
それこそ山ほど出て来る。
そう言えば昔見たTV番組で
スライスエリンギにマツタケ香料を掛けて作った物を
「マツタケご飯」として出した所、
それを食べたタレント達は全員が見事に騙されていた、
てのがあったっけ。
それだけ形と歯応えはマツタケに似ていると言う訳なのだろう。
だが、エリンギはマツタケの様な出汁が出ない。
エリンギはヨーロッパ原産の種類なのだが
日本に自生していたとしても
それが理由でマツタケの代用品にはされなかったかも知れない。
また、Sさんによると信州ではマツタケが採れなかった時には
仕方無いから、と言う理由でオオツガタケを代用品にしていたと言う。
その為か、地元ではオオツガタケを「サマツ」と呼んでいた由。
オオツガタケとマツタケでは全くの別物だが
スライスした時の形状はとても良く似ている。
そして独得の良い香りと出汁が出る点で共通している。
それ程「出汁が出る」事が重要と言う事なのだろう。
Sさんによると瓶詰のシロテングタケからは
出汁が出ている香りがした、との事。
その昔、京都の人達は上流階級では無くとも
季節になるとマツタケを普通に食していたと言う。
その頃の評価では伏見や竜安寺産のマツタケが最上品で
今では最高級ランクの丹波産などは下等品だった、との事。
当時は輸送技術、保存技術が低かった為に
収穫してすぐに食べられる近場の物以外は
丹波産の物ですら香りが落ちてしまう為に下等品扱いだったらしい。
それ程迄に新鮮さを重視していたマツタケだが
当時でもマツタケを長期保存する為に
マツタケを塩漬けにする事は盛んに行われており
「漬け松茸」「塩松茸」の名で市場でも売られていた由。
塩漬けマツタケは会食や懐石料理等
ちょっとした御馳走の食材として、
多くは吸い物の具材として一年中使用されていたらしい。
それを使用する際には水に浸して塩抜きしなければならない。
そうなると香りは殆ど抜けてしまうのだが
そうしてでも「マツタケの吸い物」を
特別な食事として食べたかった訳なのだろう。
となると形と歯応えと出汁が重要視されるのも当然だろう。
シラフタケは他のキノコに比べると
それに相応しいと言う事なのかも知れないなぁ。
尚、マツタケの保存法としては塩漬けの他に
乾燥させた「干し松茸」と言うのもあったそうだが
香りが飛んでしまう点では変わらないだろう。
技術の進んだ現代でも
マツタケの香りを失わさせずに長期保存するのは不可能の由。
マツタケが高価なのもむべなるかな、て事か。
小川真『「マツタケ」の話』、岡村利久『まつたけの文化誌』等より適宜要約
因みにSさんによると水煮のシロテングタケの香りは
ニセマツタケのそれに似ていたらしい。
その意味でもシラフタケは
マツタケの代用品なのかもなぁ。
ただ、飲んでいないので
シロテングタケから本当に出汁が出ていたかどうかは不明。
どんなに薦めても飲んでくれなかったなー
残念w
結局シラフタケ問題の完結は出来無かったが
一つの区切りは出来たかと思う。
お陰で色々な知識を得る事が出来た。
それが合っているかどうかは別として色々な考察も出来た。
Sさん、有難う御座居ました。
そしてそのチャンスをくれたF氏とTさん、有難う御座居ました。
2021年も、色々なキノコに出逢えます様に。
(-人-) ナム~
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目映いばかりの鮮やかな青い木の枝。
何故こんな所にイヴ・クラインの作品が!?
イヴ・クラインはフランスの現代芸術家。
様々な活動をしたが、中でも有名なのは
鮮やかな青で塗った多くの作品を制作した事だろう。
イヴ・クラインは自身の理想の青い顔料を開発し
それを「インターナショナル・クライン・ブルー(IKB)」と命名し
その顔料を使用して多くの作品を制作した。
IKBについては特許も取得していると言う。
こちらはギリシャ彫刻で有名な「サモトラケのニケ」を
IKBで塗った物。
(アート・キュリオさんのサイトより引用)
他にもキャンバスを一面IKBで塗った作品や
人体に塗り、キャンバスに押し付けた「人拓」も有名だ。
ご興味がある方は公式サイトをご覧頂きたい。
(イヴ・クラインの公式サイトより作品一覧)
そしてその一連の中に木の枝をIKBで塗った作品がある。
(『世界一周!で漏らしてみる』さんのサイトより引用)
このイブ・クラインの作品が
瀬戸の森の中に放置されているとはっ!!
勿論これはイヴ・クラインの作品では無い。
アイコウヤクタケと言うキノコに覆われた枯れ枝だ。
アイコウヤクタケは「藍膏薬茸」の事。
「膏薬茸」とは枯れ木の表面に薄く広がるキノコの総称。
文字通り、「藍色の膏薬茸」だ。
しかし見れば見る程鮮やかに青い。
とても天然自然の色合いとは思えない。
どうみてもIKBだよw
拡大してみると所々に小さな穴が見える
これは成熟して居る証拠との事。
若い部分には白い菌糸が見える。
この部分もやがて青くなるのだろう。
アイコウヤクタケは世界的汎布種、との事だが
掲載されている図鑑はかなり少ない。
だが、山渓刊『日本のきのこ』や
山渓フィールドブックス『きのこ』と言った
有名所の図鑑には掲載されているので
画像をご覧になった方は多いかも知れない。
それにしても見るからにIKBだよなぁ。
先にも書いたがアイコウヤクタケは世界的汎布種なので
フランスにも発生して居るのかも知れない。
ひょったしたらイヴ・クラインは
フランスの森の中でアイコウヤクタケを見て
IKBを思い付いたのかも知れないよなぁ。
キノコが現代美術で独自の境地を開いた、と考えるのも
ちょっと面白いw
まぁ、本人に聞いてみないと判らないし
本当にそうだとしても素直に答えてくれるかどうか判らない。
そもそも、イヴ・クラインはとっくに故人になっている。
これは永遠の謎だなぁ・・・・・・
コウヤクタケの様な背着生のキノコの仲間は
白色系や褐色系等の地味な色合いの物が多いのだが
アイコウヤクタケの他にも鮮やかな色合いのキノコが幾つか存在する。
青いコウヤクタケに対して「アカコウヤクタケ」と言うのがある。
それがこちら。
名前こそアイコウヤクタケに対抗してアカコウヤクタケだが
見た目はかなり違っている。
膏薬と言うよりワッペンを貼ったと言うべきか
カイガラムシが貼り付いた、と言うべきか。
他にヤナギノアカコウヤクタケと言うのもあるが
そちらはゼラチンの質感なのでイメージとしては
コウヤクタケと言うよりはヒメキクラゲに近い気がする(→こちら)。
鮮やかさ、と言う点ではちょっと弱いかもなぁ。
赤い色で膏薬状に張り付いたキノコで言うとヒイロハリタケがある。
だが、全体に針状突起があるので
膏薬のイメージからははなれてしまうかもなぁ。
当方が調べた限りでは鮮やかな赤のコウヤクタケは見当たらなかった。
だが、それに近くなる物はある。
それはヒイロタケ。
ヒイロタケは普段はご覧の様な傘を作るキノコだが
時として背着的に広がる事がある。
こちらは枝の断面に背着的に広がっている物。
こちらは樹皮の上に背着的に広がっている物。
「アカコウヤクタケ」と言う名前だと
こう言うのをイメージしてしまうよなぁ。
それにぴったりなのが無いのは残念w
それにしてもこれらの赤いキノコも
ややもすると天然自然の色合いには見えない。
こちらは紫色のコウヤクタケ型キノコ。
だが名前は「スミレウロコタケ」。
「ウロコタケ」と言うのも背着生キノコに良く使われる名称だ。
外見的に良く似たキノコに「カミウロコタケ」がある。
漢字で書くと「紙鱗茸」との事。
スミレウロコタケとの外見的な違いは
スミレウロコタケは薄く平滑に広がるのに対して
カミウロコタケは厚みのあるフェルト状の質感、との事。
その質感を厚手の和紙にでも例えたのだろうか。
だが、時としてその見分けが難しい物もある。
この2種も中々に綺麗な色合いだ。
こちらは鮮やかな黄色。
とても薄く平滑に広がっているのでニオイウロコタケかも知れない。
こちらは桜の老木の樹皮に広がっていた物。
不思議と樹皮の凹部分にだけ広がっていた。
これもニオイウロコタケかもなぁ。
こちらは良く似ているがイボ状の突起が沢山あるので
コガネヒメシワタケかも知れない。
それにしても鮮やかな黄色だ。
森の中で遭遇した時はびっくりしてしまったよ。
ニオイウロコタケもコガネヒメシワタケも
掲載されている図鑑は少なく、web上の情報も殆ど無い。
ニオイウロコタケに関しては『北陸のきのこ図鑑』に
「生時香りあり」と書かれているが
それがどの様な香りなのかは他の図鑑含め一切書かれていなかった。
今度遭遇した際には確認してみないとなぁ。
それにしてもこんな鮮やかな色合いを無視して
解説すられていない香りの部分だけに注目して命名されているのは
何故なんだろうかなぁ。
因みに、『日本産菌類集覧』によると
上掲のカミウロコタケもニオイウロコタケも命名者は安田篤との事。
なるほど〜、と言うか何と言うか・・・・・・(参照→こちら)。
更に調べるとアイコウヤクタケもアカコウヤクタケも
スミレウロコタケも安田の命名だった。
だったら「キイロコウヤクタケ」とか「コガネコウヤクタケ」でも
良かったと素人考えでは思うのだけど
どうしても「匂い」の部分を押し出したかったのだろうなぁ。
今となってはその意図は判らないけれど。
さて、このように鮮やかな色合いの背着生菌は色々あるが
それぞれが混在した状態で発生して居るのは見た事が無い。
どれも一種類だけが枯れ木を覆っている状態の物ばかりだ。
発生に際して他の菌を寄せ付けない何かの戦略があるのだろうかなぁ。
枯れ木を独占完了してからでないと発生出来無いのだろうかなぁ。
良く判らないや。
折角だから色々な色合いのコウヤクタケ類が
混生して居たら綺麗で面白いと思うのだけどなぁ。
当方が遭遇した唯一の例がこちら。
カミウロコタケ?と背着生ヒイロタケが近接して発生していた物。
ヒイロタケは本来コウヤクタケ型では無いので
「鮮やかなコウヤクタケが混生して居る」
と言う例にはならないのだが、まぁ御愛嬌?と言う事で。
とは言え、これも中々珍しい例かも知れない。
まぁ、この広い世界の事。
何処かには赤青黄紫の鮮やかなコウヤクタケが
混生した枯れ木があるのかも知れない。
今の時期ならクリスマスにぴったりかもなぁ。
一度見てみたい物だ♪
(-人-) ナム~
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F氏とTさんから
「南紀にシイノトモシビタケを見に行こう!」
と誘われた。
F氏は古くからの友人で、星景写真を趣味とする人。
星を撮るには空が開けていて、町の明かりが入らない場所、
つまり山の上や高原に行かなければならない訳で、
数年前に明るい都会から暗い田舎に引っ越したそうだ。
キノコ撮影が趣味のTさんと知り合ってからは
夜は星空、昼はキノコを撮る様になったらしい。
その流れで南紀のシイノトモシビタケの観察会に参加。
そこで発生環境を理解し、シイノトモシビタケスポットを
自力で探し出してしまった、と言うツワモノ。
その秘密の場所へ当方を案内してくれた次第。
シイノトモシビタケは「光るキノコ」としてマニアの間では有名だ。
だが、当方はまだ実見した事は無かった。
シイノトモシビタケは主にスダジイと言う樹木に発生すると言う。
そのスダジイのある環境が海沿いの温かい場所、との事なので
当方在住の名古屋東部では恐らくお目に掛かれない種類だろう。
最初にシイノトモシビタケが発見されたのは八丈島、との事。
その後、他の伊豆諸島・三重・和歌山・兵庫・九州・沖縄で
発生が報告されている由。
今の所、日本特産種とされているらしい。
そんなシイノトモシビタケ、一度は見てみたかったのだ。
実は何年も前から誘われてはいたのだが
当方在住の名古屋から南紀は距離的にも
移動に要する時間的にも中々の遠さ。
しかも相手は夜光キノコなので当然夜でないと観察が出来ない。
となると泊りは必須になる。
9月は当方が繁忙期に入り始める時期なので
その時期に泊りがけでキノコを観に行く、と言うのも躊躇してしまい
毎年断り続けてしまっていた。
が、「それなら何とか日帰りで観に行こう!」と誘って貰い、
かなりな強行スケジュールにも関わらず連れて行ってくれたのだ。
本当に有難い事この上無い。
F氏とTさんの方角に足を向けて眠れないと言う物。
さて当日朝に某駅で待ち合わせ、
途中でキノコの寄り道しながら6時過ぎに現場に到着。
その時間はまだ薄暗い程度で
ライト無しでも森の中を歩けた。
その状態ではシイノトモシビタケは見えない由。
完全に暗くならないと判らない程に仄かな光らしい。
30分程待つと完全に暗くなった。
それに目が慣れて来てから森を見ると
暗闇の中にボ〜ッっと光る物が浮かび上がって来た。
シイノトモシビタケだ!
仄かだが確実に光っているのは判る。
因みに、実物はこんな感じ。
これが、ライトを消してみると、こんな感じで浮かび上がる。
こちらの個体も。
こんな感じに。
こちらは明かりをつけて撮影していても
何となく蛍光色に見える。
発光している状態が写り込んだのかな?
電気を消すとこんな感じ。
綺麗だなぁ・・・・・・
とは言え、真っ暗な中で
仄かに光る小さなキノコを撮影するのは中々に難しい。
そもそも、撮影しやすい様に生えてくれている訳では無いしなぁ。
キノコにピントを合わせた積りでもこんなだったり
こんな風になってしまう。
それでも何とか綺麗に撮れたのもあったので良かった・・・・・・
それこそ真っ暗な、漆黒の闇に包まれた森の中で
其処此処に浮かび上がるキノコの明かりには感動してしまった。
以前、別の友人に栽培ヤコウタケを見せて貰った事があって
それはそれでとても綺麗だったのだが
闇の森の中で見る光るキノコは本当に神秘的で幻想的だった。
9月下旬はシーズン末期なので
シイノトモシビタケはもう見れないかも知れない事も
実は半分覚悟していたのだが
幸いその前日に降った大雨を受けて発生してくれた様子。
いや、有り難や有り難や。
キノコヌシ様とF氏とTさんに本当に感謝するしか無い。
とは言え、闇の中で仄かに光る小さなキノコを
ぶっつけ本番で撮影する、と言うのは
当方の撮影技術では矢張り無謀ではあった。
前以て練習して置くべきだったなぁ。
因みにこちらはF氏が撮影した物。
プロが撮影するとこうも違うのだなぁ・・・・・・
また機会があれば次回はちゃんと綺麗に撮影したい物だ。
シイノトモシビタケを十分堪能し一路駅へ。
電車に乗り換え、日付が変わる頃には無事帰宅出来た。
何度も書いてしまうがF氏とTさん、
強行スケジュールなのに案内してくれて有難う御座居ました。
そしてキノコヌシ様、本当に有難う御座居ました。
(-人-) ナム〜
所で日本に発生する光るキノコは
上述のシイノトモシビタケ、ヤコウタケの他にも
ツキヨタケ
アミヒカリタケ
スズメタケ
エナシラッシタケ
ギンガタケ
アリノトモシビタケ
シロヒカリタケ
ホシノヒカリタケ
等があるとの事。
研究は途上で未分類の物もあるそうで
恐らく今後更に種類が増えるのだろう。
尚、ナラタケは菌糸が光る、と言われている。
キノコ本体では無く、樹木を蝕んでいる菌糸が発光する由。
同様に北米産ワサビタケ、一部のベニタケ属のキノコも
菌糸が発光するらしい。
上掲の内、
シイノトモシビタケ
ヤコウタケ
アミヒカリタケ
スズメタケ
エナシラッシタケ
ギンガタケ
アリノトモシビタケ
ホシノヒカリタケ
はクヌギタケ属またはそれに近い属に分類されると言う。
クヌギタケ近辺に集中しているのは何故なのだろうかなぁ。
不思議だ。
尚、ツキヨタケはホウライタケ科ツキヨタケ属、
シロヒカリタケはヒラタケ科シロヒカリタケ属なので
分類的にそれほど近い訳では無い様だ。
さて発光キノコは何故光るのだろうか。
そもそも何故光る必要があるのだろうか。
結論から言うと「不明」との事。
闇の中で光によって虫を呼び寄せ、
胞子の散布に役立てているのでは、との説もあるが
そうなるとキノコが「虫を呼ぶ為に光るぞ!」
との意思を持って進化した事になってしまうよなぁ。
また、もしそうだとしたら
ナラタケの菌糸だけが光る事の説明も付かない。
発光キノコの中には菌糸も光る種類があるそうだしなぁ。
思うに、それは「たまたま」なのでは無いだろうか。
キノコは自分が成長するに当たり有機物を分解し、
それを養分として吸収している。
その際に様々な物質が生成されるのだが
どの様な物質が生成されるかはキノコの種類によって異なっている。
それが物によっては旨味成分だったり薬効成分っだったり、
または有毒成分だったりしてしまうのだろう。
キノコによって美味だっりゲロマズだったり、
生薬になったり毒薬になったり、と差異があるのは
それが理由なのだろう。
そして、キノコから生成される成分の一つとして
光る成分がたまたま出来てしまった、
と言う事なのでは無いだろうかなぁ。
クヌギタケの仲間の中のとある一群には
たまたま光る成分を生成しやすい傾向があるので
光るキノコの種類が集中してしまっている、と
考えられるのでは無いだろうか。
ツキヨタケ、シロヒカリタケ、ナラタケ菌糸も
たまたま発光物質を生成してしまっているのでは無いのかなぁ。
発光した事によって虫を呼び寄せ胞子の散布に役立っているとしたら
それは結果論で、それこそたまたまなのでは無いだろうか。
まぁ、名古屋の片隅で
専門の研究論文を読む機会の無いイチ素人の当方が
考察出来る事なんてタカが知れている。
それこそ素人の妄想でしか無いしね。
因みに、東京農業大学の大場由美子氏は以下の説を取り上げている。
1. 誘引説 … 発光することで動物を呼び寄せ、胞子を運ばせる
2. 警告説 … 光で有毒であることをアピールし、捕食を回避する
3. 進化説 … 元々きのこは全て光っていたが、
光らないきのこが多数になった
4. 解毒説 … 体内の物質代謝過程の副産物として光っている
5. ホームセキュリーティー説 … 光を目印にして、
ボディーガードを呼び寄せる
千葉県立中央博物館で2018年12月16日に行われた
千葉菌類談話会の講演会「八丈島の光るきのこ」の講演要旨より
上記の「解毒説」が「たまたま説」に当たる訳なのだろうなぁ。
当方の様な素人だったらこうやって
「光るのなんて意味無いんじゃね?」で済むのだが
学説として主張しようとした場合、論文と言う形にしなければならない。
「光るのなんて意味無いんじゃね?」がどの様な文章で
学術論文として書かれているのか、はちょっと興味があるw
まぁ、「何故光っているのか」は
キノコ本人じゃないから本当の所は判らないのだろうけどね。
それにしても漆黒の闇の森の中で仄かに光るキノコは
本当に幻想的な光景だった。
またあの光景を見てみたい物だ。
そして、名古屋市内にそう言うキノコは生えていない、
と言う確証は無い。
ひょっとしたら何時も行くフィールドにも
実は密かに生えているのかも知れないのだ。
何時か、自力で探し出せたら良いなぁ・・・・・・
]]>
こちらはクモタケ。
名古屋市内某所にて撮影。
キシノウエトタテグモと言う、地中に穴を掘って
巣を作るクモに寄生する冬虫夏草の一種だ。
画像の様に、薄紫色の細長い子実体を地表に伸ばしているので
発生して居れば比較的目に付きやすい。
以前住んでいた東大阪はクモタケの一大発生地帯だった。
毎年7月になると、とある場所に多数発生して居たのだ。
当方が目視出来た範囲だけでも毎年少なくとも50本以上、
周囲の目視出来無い場所を含めたら
その数倍は生えていたのではないだろうか。
それだけのクモタケが毎年生える事自体が凄いと思うのだが
毎年それだけ生えてもキシノウエトタテグモが減らない、
と言う事がまた凄いなぁ、と思う。
その場所が割と特殊だろうな、と言うのは当時から感じてはいた。
所でクモタケは日本では千葉県以西に分布すると言う。
当方が最初にクモタケを見たのは明治神宮の鎮守の森だった。
その後、上記の様に東大阪で遭遇出来た訳で
なるほど、千葉県以西に分布しているのだなぁ、と実感した。
なので、名古屋に転居しても東大阪程でなくても
それなりに遭遇出来る物だと思っていた。
だが、2008年に名古屋に転居して以来、
探し続けていたのだが中々見付ける事が出来無かった。
クモタケに遭遇出来たのは2019年になってから。
上掲画像の1個体と、こちら↓の瀬戸市内での1個体。
画像は撮影出来無かったが萎びた老菌状態の1個体(同日)と
僅か3個体だけだった。
クモタケが生えている、と言う事は
キシノウエトタテグモが棲息している、と言う訳だ。
キシノウエトタテグモがこの3匹しか居ない、
と言う訳は無いだろうから
クモタケがもっと発生しても良いと思うのだが
このクモさえ居ればクモタケが発生出来る、と言う訳では無い様だ。
東大阪に比べたらクモタケが発生し難い理由が何かあるのだろう。
それは地質なのか何なのか、気候の影響なのか良く判らない。
それを研究している人が居るのかどうかも判らない。
謎だ、としか言いようが無い・・・・・・
さて、それまで当たり前の様に見ていた季節の物が
パタッと見られなくなってしまうととても寂しい物だ。
毎年初夏になると普通に遭遇出来ていたクモタケに
何せ10年以上に渡って出逢えなかったのだ。
そしてやっと出逢えた物も小さな個体が3個だけ。
名古屋市内の個体はあまりにも貴重だな、と思ったので
掘り出してからは元の場所に埋め戻したよ。
※因みに瀬戸市内の個体は観察会での遭遇だったので主催者が資料として持ち帰った
そうなると東大阪のクモタケが恋しくなるよなぁ・・・・・・
まだあそこに生えているのかなぁ・・・・・・
と言う訳で、今年7月の某日に
東大阪にクモタケを見に行って来た。
いや〜、12年振りの現場だよ。
名古屋へ転居以来、仕事では東大阪に行く事はあったけど
キノコ探索で行くのは初めてだよ。
とにかく12年振り。
一体現場はどうなっているのかなぁ・・・・・・
クモタケは生えていてくれるのかなぁ・・・・・・
当時、原付バイクで通っていた場所に初めて電車で行ってみた。
駅を降りて暫く歩く。
すると12年の間に現場の様相がすっかり変わってしまっていた。
この数年の大雨でか斜面が崩れ、道が一部塞がれてしまっていた。
取り敢えず周囲を探す。
するとあった!
あるにはあったが、既に萎びてしまった物ばかり。
中には渦巻いて何故かちぎれた物も。
時期が遅かったかなぁ。
それとも、もうあまり生えなくなってしまったのかなぁ・・・・・・
時間と交通費を費やして来たのだから無駄足は辛いなぁ・・・・・・
不安になりながら更に歩を進める。
すると新鮮な個体に遭遇。
良かった、取り敢えず新鮮な物に出逢えた♪
早速掘り出してみる。
あぁ、嬉しいなぁ♪
周囲を探すと新鮮な物に次々続々と遭遇。
場所によっては何本も隣り合って発生して居た。
この日、目視出来ただけでも30本以上はあった。
地形は多少変化してしまっていたが
この場所は変わらずにクモタケの一大発生ポイントなのだなぁ。
これからもそうあって欲しいなぁ。
さて、折角なので、そのうちの幾つかを持ち帰る事に。
良い土産が出来た。
遠路はるばるやって来た甲斐があった、と言う物。
まぁ、クモタケにしたら迷惑この上無いだろうけど。
帰宅後、クリーニングと同時に詳細に撮影してみた。
クモの巣である袋を外すとこんな感じ。
比較の為に1円玉を並べた。
こちらは大きめの個体。
クモ本体は菌糸の覆われてしまっているが足の一部が透けて見える。
生々しいなぁ。
こちらの個体はクモが更によく見える。
クモ全体が透けて見えて更に生々しい。
こちらの個体、剥いてみると意外な物が。
クモの巣の中でアリが巣食っていた。
しかもアリの卵とサナギが。
東大阪時代から結構な数のクモタケを剥いて来たが
中にアリが入っていたのは初めてだ。
こんな事もあるのだなぁ。
色合いと大きさからしてアメイロアリだろうか。
アメイロアリは落葉層や腐木内、石の下に営巣する、との事なので
クモタケにやられたキシノウエトタテグモの巣の中は
誰にも邪魔されない丁度具合の良い場所だったのかも知れないなぁ。
卵→幼虫→蛹までの生活を此処でしていたのだから
相当落ち着いた環境だったのだろうなぁ。
そんな場所を当方が壊してしまったのだ。
こめんよごめんよぉ・・・・・・(つД`)
そんな物がもう一つあった。
ごめんよごめんよぉ・・・・・・(TДT)
これは形が綺麗なので袋付きの状態で標本にする事に。
この中にも卵や蛹が
あったりしたらごめんよごめんよぉ・・・・・・。・゚・(ノД`)・゚・。
取り敢えず、東大阪のクモタケへの未練は
これで一区切りついたかな。
多分、この為だけにあの場所に行く事はもう無いと思う。
これからは余裕を持って
名古屋でのクモタケの探索が出来る、と言う物。
また何処かでクモタケに遭遇したい物だ♪
所で上掲のこのクモタケ画像。
現地で撮影していた時は気付かなかったのだが
今回画像を整理していて「ん?」と思った。
何か白い物が付いている。
その部分をトリミング。
多分2mmも無い大きさかと。
ダニなのかな?
それともトビムシ?
何か可愛い(・∀・)♪
]]>
これはトキイロヒラタケだ。
トキイロヒラタケに遭遇するのは多分3度目。
以前見た物はかなり色褪せた状態だったので(過去記事→こちら)
初見ではトキイロヒラタケとは判らなかったのだが
こんな風に綺麗に朱鷺色の状態の個体に
遭遇したのは初めての事だったので感激してしまった。
トキイロヒラタケは栽培品が市販されている。
(BIOCOSMOさんのサイトより引用)
だが当方が遭遇した物はかなり外見が違う。
画像検索をするとこの様な形状での発生も少なくない様だ。
(google画像検索の結果→こちら)
上掲の過去記事にもあるが
当方は2005年に井の頭公園で良く似た物に遭遇している。
画像では判り難いが、
そのキノコには薄っすらとピンク色が感じられたので
「多分トキイロヒラタケなのだろうな」と漠然と思っていた。
今回遭遇したトキイロヒラタケも形状が良く似通っていたので
やはりそれで良かったのだな、と勝手に納得した。
それにしても綺麗な色合いだなぁ。
裏返してヒダを見てみる。
ヒダも綺麗。
と、ちょっと違和感が。
何かブツブツの様な物が見える。
これは一体???
これは「ヒラタケ白こぶ病」では無いだろうか。
名前に「ヒラタケ」とある様にヒラタケでの発生が多く、
ヒラタケの栽培家にとっては恐るべき病気の一つ、との事。
(岐阜県森林研究所さんのサイトより引用)
このこぶの中には線虫と言う
体長1mm程度の小さなウジ虫の様な
白いイトミミズの様な物が潜んでいると言う。
多くのキノコはキノコバエと言う、
キノコの中に入り込んでキノコを食べて成長し、
蛹化→羽化する小さな羽虫に食害されるのだが
その中でもナミトモナガキノコバエと言う種類の蛹の中に入り込み
羽化したナミトモナガキノコバエによって他のキノコに運ばれ
そこで繁殖し、そしてまたナミトモナガキノコバエの蛹に入り込み、
と言う風な生態を持っている由。
(森林総合研究所九州支所さんのサイトの内容を適宜要約)
となると、ヒラタケ以外のキノコに
連れて行かれた場合はどうなるのだろうかなぁ。
ヒラタケ以外では繁殖できず死んでしまう、と言う
とてもリスクの大きな賭をしているのだろうか。
まぁ、寄生生物の多くは
そう言うリスキーな生活環を持っている物だけど
どうなんだろうかなぁ。
それともナミトモナガキノコバエは
ヒラタケ科以外には産卵しないのだろうか。
アゲハチョウの幼虫がミカン科の植物の葉しか食べない様に
ヒラタケ科しか食べないと言うニッチな食性なのだろうかなぁ。
そして、同じヒラタケ科でも成分の関係で
ヒラタケを一番好んで繁殖場所に選んでいる、
と言う事なのだろうかなぁ。
うーむ、良く判らない。
幾ら検索してもその辺の事は判らなかった。
そう言う研究がされているのかどうかも不明。
在野のイチ素人の当方にはお手上げだ。
その後も調べた所、
ヒラタケ白こぶ病から検出される線虫について
2001年に「ヒラタケヒダコブセンチュウ」として
新種登録された(アグリナレッジさんのサイトより)点からすると
線虫に関してはヒラタケ科のキノコを
「食草」ならぬ「食菌」としている種類なのだろう。
となるとヒラタケ以外では繁殖出来無いのかも知れない。
ナミトモナガキノコバエに関しては
ヒラタケ科以外のキノコに産卵するのかどうかは
判らなかった。 (20200901追記)
さて、『栽培きのこ害菌・害虫ハンドブック』によると
この病気が最初に確認されたのは1978年島根県にて。
だが、その子実体の詳しい調査はされたのかどうかは不明。
1979年、屋久島で発見された罹患子実体によって
詳細な調査がされた、との事だが
その時には既に脱出して居たのか、
線虫の確認はされなかった、との事。
その後、こぶの中に線虫が居る事が判明はしたが
病因についての詳細は
この図鑑の初版の1986年時点では不明だった様子。
キノコバエに媒介された線虫による病害、
と言う実態が判明したのは2000年に発表された
研究での事の様だ(アグリナレッジさんのサイトより)。
当初、「いぼ病」「ひだこぶ病」の名が提唱されていたのだが
「白いこぶ」がヒダ以外の場所にも出来る事から
同書によって「ヒラタケ子実体の白こぶ病」の名称が提案されている。
そこから「ヒラタケ白こぶ病」の名で広く定着した様だが
正式名称は2000年に開かれた日本植物病理学会にて採用された
「ひだこぶ線虫病」との事。
それにしても「ヒラタケ白こぶ病」という名前なもんだから
ヒラタケ以外にも発生するかどうかを考えた事無かったなぁ。
トキイロヒラタケは分類的にヒラタケととても近いので
発生してもおかしくは無いかも知れないけれど。
で、調べてみたら実際にヒラタケの他には
ウスヒラタケ、トキイロヒラタケ、エリンギにも発生する事が
確認されているらしい(岐阜県森林研究所さんのサイトより)。
エリンギは元々日本には自生していなかった種類だし
自然下での発生量もウスヒラタケ、トキイロヒラタケに比べて
ヒラタケの発生量、発生頻度の方が格段に高い。
栽培量もヒラタケは段違いに上なので
「ヒラタケ白こぶ病」の命名で問題なかったのだろうが
ヒラタケの栽培量は近年かなり減っているし
今ではエリンギの栽培量の方が遙かに上回っているので
今後のことを考えると
病名の変更は考えた方が良いのかも知れないなぁ。
もっとも、それを鑑みてか「ヒラタケ類白こぶ病」と
”類”を付けて表記している所もあったので、
既にそう言う考慮が
なされているのかも知れない(アグリナレッジさんのサイトより)。
また、「白こぶ病」の点も
ヒラタケのヒダ・菌糸が白かったのでコブも白かったのだが
トキイロヒラタケの場合はご覧の様に「赤こぶ」なので
正式名称の「ひだこぶ線虫病」の方が
この病状の実態に即していると考えるのだがどうだろうか。
まぁ、当方みたいな門外漢が
こんな場末のblogで言っても仕方無いのだけれど。
尚、こぶ病には毒性は無い、との事。
だから白こぶ病のキノコを食べても問題は無いらしいが
見た目がよろしくないのでそのまま食べる人はまぁ、いないだろう。
検索すると、こぶの部分を取り除いて食べている人の記事はあった。
さて、せっかくなのでトキイロヒラタケの一部を持ち帰り
標本にする事にした。
ふと見ると傘の下だった部分が白くなっている。
これは降り積もったトキイロヒラタケの胞子だ。
この胞子達には頑張って成長して貰って
また何時か、綺麗なトキイロヒラタケに遭遇したい物だ。
で、一ヶ月程凍結乾燥させたものがこちら。
かなり色が変わってしまった。
実はトキイロヒラタケは調理すると色が薄くなってしまうのだが
乾燥させると色合い自体が変わってしまう様子。
うーん、元の色合いを保存出来無いのは残念だなぁ。
ひだのこぶはどうか。
かなり目立たなくなってしまったが何とかこぶは確認出来る。
矢張りヒラタケのくらいに派手な病状でないと
こうなってしまうのは仕方無いか。
でも、今回はこぶを残す事が主題だったので取り敢えず良かった♪
そう言えば、この場所では以前何回かヒラタケには遭遇して居るが
その時は白こぶ病は見られなかった。
ヒラタケの方をより好んでいる筈なのに
何故このトキイロヒラタケの方に発生したのだろうかなぁ。
何かのちょっとした環境や条件の問題なのか、
その時はナミトモナガキノコバエが
まだこの場所に進出して居なかったからなのか。
良く判らない。
謎だ。
今後もヒラタケ科のキノコに遭遇した場合は
白こぶ病の有無を良く確認する事にしよう。
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まずはヤマドリタケモドキ。
一見、良さげだったが柄を触ったらフニャフニャだった。
既に虫に中を食い荒らされている模様。
残念。
こちらは育ち過ぎだなぁ。
こちらは一部ヒポミケス菌に冒されているみたいだし。
確認するまでもないので、撮影のみ。
こちらは誰かに蹴られて転がされていた物。
こちらは蹴られてはいないが良く似た形状。
この手のは柄の中は既にスカスカの状態が多いので
愛でるだけで放置。
これは見た感じも触った感じも良かった。
だが切ってみたらこんな状態。
傘の中までかなりやられていた。
外見だけでは本当に判らないなぁ・・・・・・
これはどうか。
これもダメだなぁ。
これはどうか。
うん、良い感じ。
当然収穫。
これは柄が細いタイプだなぁ。
収穫。
と、こんな風に群生している場面に遭遇。
こんな風にボコボコ生えているなんて初めて見た。
当方の知る限り、ヤマドリタケモドキは群生する種類では無い。
今迄の画像でも判る様に、そこここに単生〜散生する種類だ。
今年は例年に無く雨が多かったので、
余程良い感じに成長出来たのだろうなぁ。
その中の適度な大きさの物を切って見たらこれがまた良い感じ。
収穫。
こちらは柄が変な事になっている。
まるで殻を突き破って爆発的に成長したみたいだ。
それこそキノコ雲にも見えてしまう。
どうしようかと思ったが、一応傘を切ってみた。
中々良い感じだったので収穫。
こちらはアカヤマドリ。
ちょっと育ち過ぎかなぁ。
根元近くはこんな状態だし。
笠付近もこんな状態。
管孔部分にも虫が外に出た後も見えるし、収穫断念。
こちらは良い感じかな。
素晴らしい状態!
勿論収穫。
これはどうか。
うん、これも良い感じ。
収穫。
因みに、昨年巨大な個体を多数発生させていた場所。
今年はどうか、と行ってみたらこんな状態。
ドーンッ!
ドドーンッッ!!
ドドドーーーンッッッ!!!
近くの工事現場の資材置き場になってしまっていた。
モロに発生地点を直撃だよ。
これでは今年はダメだなぁ。
残念。
世間では、特に工事関係者にとっては
ここがアカヤマドリの発生坪だなどと言うことは知った事ではない。
資材を一時保管して置くのに丁度良い空間でしかないのだ。
当方の土地でないのだから文句の言いようも無い。
仕方無いよなぁ。
果たして来年はどうなる事やら。
そこから少し離れた場所。
アカヤマドリが群生していた。
この場所にこんな風に発生するのは初めてのこと。
そもそもがアカヤマドリが固まって発生する、
と言う状況自体を初めて見たよ。
今迄の画像にある様に、アカヤマドリも
所々に単生しているのしか見た事無かったからなぁ。
先ほどのシロがダメになったから
近くにこんな風に発生したのだろうか。
まぁ、上述のヤマドリタケモドキも群生していたのだし
今年はたまたまなのだろうなぁ。
来年はどうなのか、その辺りも期待したいな。
中身も良さげ。
一部を収穫。
と、此処で結構な雨が降ってきてしまった。
残念だが探索を終了する事に。
何だかんだそこそこ収穫出来たのだから良しとしよう。
残りは来年に向けて胞子を撒いてもらう、と言う事で。
例年ならすぐにスライスして天日乾燥させるところだが
何せその後も雨続き。
仕方無いので、こんな時期なのに
ストーブを焚いて強制乾燥する事に。
今年はタイミングが合わなかったので
生の状態の物を使って料理は出来無かった。
なので料理画像も無し。
取り敢えずは今年も遭遇出来て良かった。
一日だけの探索で、これだけ収穫出来たのだから十分。
キノコヌシ様、今年も有難う御座居ました。
m( _ _ )m
来年もまた収穫出来るかなぁ。
そもそもが来年は世界がどうなっている事やら。
来年も無事にシーズンを迎えられます様に。
(-人-) ナム〜
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だが名古屋東部には毎年発生して居るポイントがある。
その場所で今年も発生を確認。
本当にこのポイントはウズタケに取って住みやすい環境なのだなぁ。
因みに前回書いたウズタケの記事は2017年(→こちら)。
こちらは2018年に発生していた物。
このポイントに発生するウズタケは不定形の物ばかりだ。
裏側はこの様にウズタケの特徴を現している。
だが、枯葉や木の実を巻き込んでグロとも言える様相。
こんなに色々な物を巻き込んでグシャグシャの状態で
キチンと胞子の散布が出来るのかどうか、心配になってしまうよ。
こちらは同じ場所で2019年に遭遇した物。
知らなければとてもキノコには見えない。
裏側は更に混沌としている。
最早何が何だか判らない、と言った感じ。
当方は此処がウズタケの発生ポイントだと言う事を知っているから
これもウズタケなのだろうと推察出来るけど。
それにしてもあまりにもアバンギャルドだ。
ウズタケ界の前衛の最先端で、あまりにも突き抜け過ぎて
キノコの面影すら無くなってしまった、と言った所だろうか。
若い芸術家にあり勝ちな独りよがりみたいな物か。
このウズタケがそう言うつもりなのかどうかは判らないけれど。
こちらは2020年に遭遇した物。
同じ敷地内だが先の2点とは少し離れた場所。
この場所に発生するウズタケは比較的図鑑掲載画像に近い。
先の2点がああも異形になるのは局所的な環境の影響なのだろうかなぁ。
裏側の渦模様も割りと綺麗。
虫に喰われて渦が消えている部分もあるが。
所でこの個体、採取したらこの様に柄が地中で横に伸びていた。
これはまさか地下茎みたいになっていて、
他の個体と繋がっているのか???
と一瞬色めき立ったのだが、勿論そんな事は無かった。
たまたまこんな形になってしまっただけらしい。
更に別の場所にはこんな物が。
パッと見、何が何だか判らなかった。
近寄って手にして見ると、こんな様子。
ウズタケを木の若苗が貫いていて
その部分だけが取り残された状態になっていたのだ。
自然の状態で、その部分だけが綺麗に取り残されるとは思えない。
人為的にこうなったと考えざるを得ないよなぁ。
ウズタケに取り囲まれてしまった木の若苗の保護の為だったら
ウズタケを全て撤去するよなぁ。
わざとこの部分だけを残してる、と言う事になるよなぁ。
何故だ???
謎だ。
面白がってこう言う風にしたのかなぁ・・・・・・
所でこの同じ場所で8年前にこんなウズタケに遭遇して居る。
この時は笹の一枝が貫いていた。
まぁ、そう言う事もあるよなぁ、と受け流していたのだが
同じ場所で同じ状況のウズタケが発生する、と言うのも不思議だ。
この場所のウズタケは枝とかを傘に巻き込むのが仕様なのか?
実は「マキコミウズタケ」と言う新種とか???
んなアホなw
と、ふと疑問に思った。
キノコが成長する際に硬い物を巻き込んでしまう事はままある。
例えばこのコフキサルノコシカケ?は
金網のフェンスを巻き込んで成長してしまっている。
金網は硬い上に、押しても動かないので
こうやって巻き込みながら成長せざるを得ないだろう。
だが、木の若苗や笹の一枝は硬い物では無い。
ちょっと押せばしならせて追いやる事は出来る。
だが、ウズタケはそうしなかった。
しならせて追いやる事はせずに包み込んでしまったのだ。
成長の仕方を考えると
傘が成長して広がって行く時に何か障害物に当たっても
それを押しのけようとはせずに
接触点はそのままにして周りが成長・伸長する事によって
結果的にその障害物を取り込んでしまう、
と言う事になるのだろうなぁ。
柔らかいキノコ・軟質菌ならともかく、
硬質菌でそう言う成長の仕方をするのが不思議な気がする。
逆に、軟質菌で傘が障害物を取り巻いて成長した物は
見た事が無い様に思う。
軟質菌の場合は障害物を押しやるか、
障害物に負けて自分が変形してしまっているか、の
どちらかだった気がするなぁ。
とすると、軟質菌と硬質菌では
「傘が大きくなる」と言う現象に於いて
成長の仕組みが違う、と言う事になるのだなぁ。
まぁ、確かに組織そのものが違うのだから
子実体の伸長のメカニズムが違うのは当然かも知れないけれど。
因みにこちらはカイメンタケ。
このカイメンタケも周辺の柔らかい葉を取り込んでしまっている。
少なくともある種の硬質菌はそう言う成長をしやすい、
と言う事なのかも知れないなぁ。
上掲のウズタケ画像で、枯葉や木の実を巻き込んでいるのも
その所為なのだろうなぁ。
さて、そこで考えた。
そんな動かしやすい物でさえ取り込んでしまうのならば
何かを其処に置いてキノコに取り込ませる事も出来る筈だ。
例えば、美少女やヒーロー系のフィギュアを置いておけば
そのフィギュアをキノコがぐるりと取り囲んだ状態で
成長するのではないだろうか。
となると「キノコに取り込まれて〇〇ピーンチ!」
なオブジェが出来るかもw
まぁ、作ってみたいのは山々だが
これから成長するであろう若い硬質菌を見付けるのは
中々に難しい。
そして、森の中にフィギュアを置いておいて
硬質菌が成長するまでその場に置かれている可能性は
かなり低いだろう。
子供や、その趣味の人が持って行ってしまうか
森の管理者にゴミとして処分されてしまうのがオチだ。
その制作にはかなりの困難を極めそうだ。
とは言え、機会があったらチャレンジしてみたいなぁ。
何時そのチャンスに邂逅出来るか判らないから
その為のフィギュアを毎日持ち歩く、と言うのも
中々にハードルの高い行為ではあるけどね・・・・・・
※過去記事・関連記事も併せてお読み頂けましたら幸いです
アーカイブス→こちら
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何時もの場所を探索して居た所、こんな物に遭遇。
この場所には良く発生して居るキアミアシイグチだが
ちょっと様子が普通では無い。
近寄ってみるとこんな状態。
アメイロオオアリと思われる小さなアリが沢山集っている。
しかも一斉に柄を齧っている様だ。
結構抉られているから、かなり齧り続けていた模様。
アリがキノコを食べるとは珍しいなぁ。
このキアミアシイグチの柄が
何かアリの好む物質でも分泌しているのだろうか?
だが、そんな話は聞いた事が無い。
しかも、キアミアシイグチは他の場所にも生えていたのだが
アリが集っているのはこのキノコだけだった。
これはどういう事なのだろう・・・・・・
同様の光景は以前にも見た事がある。
その時はヒメカタショウロ?だった。
この時もアメイロオオアリと思われるキノコが
この一角のヒメカタショウロ?だけに集っていた。
ヒメカタショウロ等からアリの好む成分が分泌される、と言う話も
聞いた事が無い。
そして、近くには別のヒメカタショウロ?が発生して居たのだが
アリが集っていたのはこの場所の物だけだった。
暫く観察していて気が付いた。
このヒメカタショウロ?は
アリの巣の出入り口を塞いでしまっているのだ。
アリ達はヒメカタショウロ?を退かそうとして右往左往しているのだ。
その時の話は以前記事にした事がある(→「邪魔!」)。
となると、先のキアミアシイグチも
巣の出入り口を塞いだ状態で発生してしまった為に
退かそうとしてアリが必死になっているのかも知れないなぁ。
キノコは当然ながら、自分の好きな場所に生えて来る。
となると、アリの巣に取って
邪魔な場所に生えてしまう事もあるだろう。
ある日突然、キノコに巣の出入り口を塞がれてしまうのだ。
アリはパニックになってしまうだろうなぁ。
ヒメカタショウロ?の時は動かす事を断念し、
巣の出入り口を別の場所に作る事で事態を回避して居た。
だが、キアミアシイグチの時は
齧ってキノコの存在を消す事を選んだ様だ。
誰がどう考えてそれを決断したのだろうかなぁ。
偉くまた遠い道を選んだ物だ。
しかも、アリはこのキノコを
人間の様に俯瞰して見る事が出来ない。
現場監督の立場のアリが居ないのだから
何処を集中的に攻めれば良いかを指示出来無い。
その為、皆が思い思いの場所を齧っている。
結果として広範囲を齧る事となり
かなりの労力のロスをしてしまっている。
このアリの一齧りの大きさを考えると
気が遠くなってしまう。
その後の様子を見ていないので
果たして齧り尽くして退かす事に成功したのかどうかは不明。
ヒメカタショウロ?の場合の様に
巣の入り口を別の場所にした方が良かったと思うのだが
それをしなかったのは
ヒメカタショウロ?の表面はアリにとっては齧るには硬く、
キアミアシイグチの柄は幸か不幸か
齧り取れる程度には柔らかかったからかも知れないなぁ。
こちらは別の場所。
ヤマドリタケモドキの柄の上を小さなアリが沢山這い回っている。
この時は動画でも撮っていた。
このアリは大きさ的にアメイロアリと思われる。
これも矢張り入り口を塞がれてしまったのだろうなぁ。
パニックになって右往左往している真っ最中かと。
このアリ達はこのキノコにどう対処したのかは
その後を見ていないので不明。
このアリの大きさで、
この大きさのキノコを齧って無き物にしようとしたとしたら
それこそ気が遠くなってしまうよ。
こちらもヤマドリタケモドキの上をアリが這っている。
柄の上で無く、傘の上を数匹のアリが居るだけなので
これはたまたまなのかな?
管孔部分が凹んでいるのはアリに齧られたから?
食料として齧り取って巣に持ち帰ろうとしているのか?
暫く観察していたが、どうにも判断が出来無かった・・・・・・
それにしても、キノコとアリが地球に誕生して
それぞれ何千万年何億年経っているのかは良く知らないが
今迄世界中で何億回もこんな場面が繰り返されて来たのだろうなぁ。
その度にアリは余計な労力を強いられたのだろうなぁ。
キノコを食べる様に進化していれば問題無いと思うのだけど
そうは行かなかったのは何故なのだろうか。
「キノコを食料として栽培する」と言うハキリアリは居るが
実際に食べるのは菌床表面に形成される菌糸の緩い塊部分だけで、
キノコその物は食べない、と言う話だしなぁ。
アリの巣穴の通気性がキノコ発生に及ぼす影響とか、
ひょっとしたらキノコのシロの部分に巣穴が掘られた刺激によって
キノコが発生しているのでは?とか、
考えたら色々ありそうだなぁ。
アリとキノコの関係、と言うのも中々に興味深い。
アリとキノコに限らず
これからも色々な場面を目撃したい物だ。
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どんなに世情が不安でも、春になれば新芽が膨らみ花は咲く。
そして春はアミガサタケの季節だ。
と言う訳で今年も何時ものシロを探索した。
シロAは例年より出足が早かった感じ。
暖冬だった影響なのかなぁ。
一部には少し干乾びていた物も。
残念・・・・・・
と、出足は良かったのだが、その後は不発。
タイミングが合わなかったのか、誰かに先を越されたかは不明。
昨年、奇跡的に復活の兆しがあったシロB。
今年は一切発生が見られなかった。
矢張り昨年は奇跡でしか無かったのかなぁ。
20m程の発生スポットの移動が見られたシロC。
今年も移動先の場所にて発生確認。
有り難い事だ。
だが、タイミングが合わなかった様で
乾燥気味の個体が多かった。
また来年に向けて胞子を撒いていておくれ。
そして今回も妙に鬱屈した個体が。
殆ど地面にめり込んでしまっている。
去年も同じ様に、地面にめり込んでるのがあったよなぁ。
この個体の胞子から発生した物はこうなってしまうのだろうか。
これはひょっとして、地下生菌に進化している途中とか???
いや、まさかw
移動元の場所は肉眼的には藪も回復して
土壌の乾燥も以前より治まった様に見えるのだが
発生は確認出来無かった。
矢張り見た目では判らない、
何かが変わってしまったのだろうなぁ。
例年、多くの発生を見ているシロE。
今年も発生を確認。
だが、一番の発生スポットには周辺で伐採された枝が山積みに。
この下で人知れず発生して居るのかなぁ。
うーむ残念。
この枯れ枝が今後どのようにシロに影響を与えるのだろうか。
要経過観察だなぁ。
周辺の笹藪は切り払われてしまっていた。
笹藪の中も発生ポイントだったのだが
伐り払われた所為か、今年は発生を確認出来無かった。
来年はどうなるかなぁ。
昨年、環境が激変してしまったシロF。
此処はもう、回復出来無いだろうなぁ。
この桜の木が回復してシロの環境が整うには
少なくとも10年以上の面月が必要だろうなぁ。
その時まで当方が生きていられるかどうか・・・・・・(;´Д`)
その他のシロD、G、Hは一度しか見回りに行けず、
その時に発生の確認が出来無かったので今年は無し。
新たなシロの開発は今年も不発だった・・・・・・
それでも何だかんだで40本程度は収穫出来た。
例によってネグラマーロに貢ぎ物w
ブラック系のアミガサタケなので敷き紙を黒くしてみたw
イケメンシェフによる珍しい北イタリア料理が楽しめるネグラマーロ。
コロナ禍が治まったら皆様是非お越し下さい(^-^)
(食べログのページ→こちら)
すぐに使わない分は乾燥保存に。
虫食いのある物、形の良く無い物は
昨年の乾燥保存品と合わせて調理に。
細かく切って。
オリーブオイルで炒める。
生クリームと牛乳を加えて。
パスタに絡める。
映えを意識してブロッコリースプラウトをトッピング。
(゚д゚)ウマー
季節の楽しみだなぁ♪
来年の春も、こうやってアミガサタケを楽しみたい物だ。
当方もそうだが、皆様もどうぞご無事で。
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広葉樹の枯れ木に発生する硬質菌だ。
このキノコも東大阪時代には見た事が無かったのだが
名古屋転居後には普通に遭遇する様になった。
ホウロクタケには他の硬質菌には無い、大きな特徴がある。
上掲画像でも少し見えているが、傘表面の主に根元に近い部分に
艶消しの白〜灰褐色の小さなこぶ状の物が生じるのだ。
質感で言えばアイシングクッキーの
アイシング(砂糖衣)部分に似ている。
なので、ややもするとホウロクタケは美味しそうに見えてしまうw
そのアイシング部分の色・形・大きさの個体差はとても大きい。
そしてホウロクタケ本体の色の個体差もとても大きい。
以下、その差異の様子を列挙。
この個体は全体に落ち着いた灰褐色でアイシング部分がとても大きいので
何処か高級な焼き菓子の様に見えてしまう。
和三盆の風合いもあるので高級な落雁とか?
こちらは枯れ木の頂部から発生して居て丸くなっている為に
それこそ焼き菓子みたいだ。
こちらはアイシング部分が傘の縁に近い部分に集中している。
こんな風になる事もあるのだなぁ。
こちらは暗褐色の個体。
縁の部分は黄褐色だ。
こちらは暗灰褐色。
アイシングとのコントラストがよりお菓子っぽい。
こちらは褐色が中心の個体。
コーヒー風味のお菓子かな?
こちらは傘部分が赤褐色だ。
キャロット風味かな?
こちらは黄褐色。
きなこ味?もしくはマンゴー風味?
こちらは赤褐色のグラデーション。
カフェオレ風味?
こちらは暗褐色。
完全にチョコ風味だろうなぁ。
こちらはアイシング部分が傘と殆ど同色なので目立たない個体。
こちらはアイシングが少しあるのでホウロクタケと判断しやすい。
こちらはアイシング部分が僅かしか無い個体。
こちらもアイシング部分がほんの僅かしか見当たらない。
他の硬質菌にも見えてしまうがこれもホウロクタケだと思うなぁ。
傘の裏側はこんな感じ。
大きめの管孔が綺麗にひしめき合っている。
時としてこの様に迷路状になる事もある由。
模様として面白いなぁ。
こちらは古くなって朽ちている個体。
アイシング部分が何とか確認出来るので、
これもホウロクタケで良いと思う。
さてこのホウロクタケ。
硬いので当然食べられない。
また、毒でも無い様だし、他の硬質菌に様に薬効も特に無い様だ。
なのでこれ以上書くべき記事が特に無いのが残念だ。
尚、『北陸のきのこ図鑑』によると胞子の形状が違う
「マルミノホウロクタケ」と言う近縁種があるとの事。
また、『日本産菌類集覧』によると
「アケボノホウロクタケ」と言うキノコもある由。
顕微鏡を持たない当方には勿論その区別は出来無い。
所でこのホウロクタケ。
漢字で書くと「焙烙茸」となる。
では「焙烙」って何?
今、「焙烙」を画像検索すると、この様な物がhitする。
amazonの優美さんのサイトより引用
これはゴマや豆、茶葉などを炒る為の道具だ。
これをコンロなどの火に掛け、中の物を炒るのだ。
楽天 茶屋葉桐さんのサイトより引用
近年ではコーヒー豆を炒る道具としても知られている。
自分で好きに炒り具合を調製したいマニアには必携の道具だ。
だが、これは本当は「手焙烙」と言う名称の道具。
本来の「焙烙」とは素焼きの薄い皿の事だ。
これも物を炒る為の鍋で、鉄製のフライパンが無かった時代には
広く家庭で使われていた、と言う。
近年では深い蓋とセットにして蒸し焼き用の炮烙鍋として
使用される事もある由。
ジモティー京都版より引用
この画像の物は釉薬が掛かっているが
元々は上述の様に素焼きの皿の事を「焙烙」と言うのだ。
恐らくこのキノコのマットな質感で大きな褐色系の子実体の様子を
素焼きの皿に見立てたのだろう。
こちらの個体は丸いから余計に焙烙っぽいかと。
色合いが素焼きらしく無いのは残念だけど。
『日本産菌類集覧』によると
安田篤によりこのキノコが新種登録されたのは1922年との事。
だが「ホウロクタケ」の名が安田の命名として
記載されたのは1955年となっている。
安田篤は1924年に逝去しているので
その31年後に論文が発表されたと言う事になる。
安田が1922年に「ホウロクタケ」と命名したのだが
その論文発表前に体調を崩し、そのまま逝去した為に
別の人が安田の論文を31年後に代理で発表した、と言う事なのだろうか。
うーむ、良く判らない・・・・・・
と、それはともかく1922年と言えば大正11年。
鉄のフライパンが日本の一般家庭で普通に使われる様になったのが
何時からなのかは調べても解らなかったのだが
恐らくは戦後の事だろう。
大正時代にはまだ家庭には出回ってなかったと考えても
多分間違いはないだろう。
となると、当時は焙烙が普通に使用されていたと考えられる。
素焼きの皿の様な色合いと質感のキノコを
ホウロクタケと命名しても
説明不要で誰にでも通じたのだろう。
だが、100年近く経って生活環境は変わってしまった。
今の時代、皿状の焙烙を物を炒る為の道具として使っている人は
殆ど居ないだろう。
手焙烙を使っている人もかなりの少数派と言えるだろう。
ホウロクタケを知っているキノコマニアで
焙烙の意味を知っている人となると更に少数になると思われる。
時代が変わると命名の意味合いが通じなくなる事もあるのだよなぁ。
今後、そう言うキノコが更に増えるのかもなぁ。
以前、クジラタケの記事で同じ様な事を書いた(→こちら)。
クジラタケも安田篤により1918年に命名されたとの事。
安田の感性が今の時代には理解され難くなった、
と言う事になるのだろうなぁ。
どちらも似た外見のキノコなのも運命と言うか因果と言うか。
大正は遠くになりにけり、と言った所だろうか。
因みに、クジラタケとホウロクタケ。
外見だけで言えば個体によってはかなり見分けが付き難い事がある。
なので、クジラタケの記事にホウロクタケが混じっていたり
この記事の中にクジラタケが混じっている可能性も無きにしも非ず。
もしそうだったとしたら平にご容赦を・・・・・・
m( _ _ )m
]]>
何時もの公園を歩いているとこんなキノコが目に入った。
これは硬質菌の何かだな。
でもカワラタケでは無いなぁ。
全体に厚みが感じられず、かなり薄いみたいだから
まばらに生えた、形の悪いチャウロコタケとかかな?
チャウロコタケは広葉樹の枯れ木に群生する硬質菌。
東大阪時代には殆ど遭遇した事が無かったのだが
名古屋周辺では頻繁にお目に掛かる。
この様に大量に群生して居る事が多いのだが
場合によってはまばらに生える事もある。
これもそうなのかもなぁ。
近寄って裏側を見てびっくり!
何と綺麗な黄橙色!
因みにチャウロコタケの裏側はこんな感じ。
全く違う事が判る。
これはチャウロコタケでは無くて多分ダイダイタケだ。
ダイダイタケも広葉樹の枯れ木に発生する硬質菌だ。
上掲画像の様に、表から見ると良くある硬質菌に見えるが
裏側の鮮やかな橙色が特徴のキノコ。
図鑑的にはアジアを中心に発生する普通種、との事だが
当方は初めて見た。
普通種と言う割には掲載されている図鑑もかなり少ない。
食用は勿論、毒でも無く薬効成分も無い様なので
取り上げる価値のないキノコ、とされてしまっているのかも知れない。
その為か、webでの情報も多くない。
2020年2月時点で
"ダイダイタケ"で検索してもhitするのは100件弱(→こちら)
旧学名の Hymenochaete xerantica (→こちら)、
現学名の Inonotus xeranticus でも同様だ(→こちら)。
「普通種」なのにこの情報量。
つまり、世界的に興味を持たれていないキノコと言えるだろう。
なのでどんなに検索しても
図鑑に掲載されている以上の情報は得られなかった。
当方も「ダイダイタケに遭遇した」以上の情報は特に無い。
さて、このダイダイタケ。
裏側の鮮やかな橙色から命名されたのは明らかだろう。
「色名+タケ」とはまた大雑把な判りやすい命名だなぁ。
で、ふと気になった。
他にも「色名+タケ」の和名のキノコはあるのかな?
実は以前にもそのキノコは記事にした事はある。
それは「ヒイロタケ」だ。
ヒイロタケも一目瞭然、「緋色」のキノコだ(当該記事→こちら)。
他にアカタケと言うのもある。
アカタケは図鑑によると北方系のキノコとの事。
名古屋に生えていたこれはDNA的には別種かも知れないが
外見的にはアカタケにしか見えなかった。
他にどれくらいあるのだろうか、と気になったので
『日本産きのこ目録2020』を元に調べてみた。
キノコの和名の一覧をシラミ潰しに見て
「色名+タケ」を抽出した結果、29種類あった(50音順)。
※「色名+タケ」のみを抽出(漏れはあるかも知れません)
「オオ」等の修飾語や他の言葉が含まれている物は除外
手持ちの画像がある物は逐次差し込んだ
アカタケ(上掲)
アカネタケ
ウグイスタケ
ウスクレナイタケ
ウスズミタケ
エビタケ
カバイロタケ
キツネタケ
クサイロアカネタケ
クリタケ
クロガネタケ(色名からかどうかは不明)
コウバイタケ
コガネタケ
コケイロタケ
サクライロタケ
サクラタケ
シュタケ
ソライロタケ
ダイダイタケ(上掲)
ニッケイタケ
ヒイロタケ(上掲)
フジイロタケ
ブドウタケ
ベッコウタケ
ミドリタケ
ムラサキタケ
モエギタケ
レンガタケ
ワカクサタケ
因みに、以下のキノコは除外した。
アイタケ:キノコシーズンの合間に生えるの意で色名では無い
カレバタケ:枯葉に生えるの意で色名では無い
キハツダケ:ルールから外れる
ベニタケ:種名では無い
オウバイタケ:「黄梅の色」の意だが「黄梅色」と言う色名は無い
カラスタケ:「烏羽色(からすばいろ)」はあるが「烏色」は無い
イタチタケ: 同様の理由
ムササビタケ: 〃
チシオタケ: 〃
ニシキタケ: 〃
ネンドタケ: 〃
ヤケイロタケ: 〃
ヤケコゲタケ: 〃
ヤニタケ: 〃
ヤミイロタケ: 〃
ボタンタケ:牡丹ではなく釦
フジタケ:由来不明
抽出してみたら結構あったなぁ。
軽く考えて探し始めた事を後悔したよ・・・・・・
でも、そうなると他のパターンのも探してみたくなると言う物。
例えば他にキノコの代表的な括りで言うと「〜ガサ」もある。
そこで「色名+ガサ」を抽出してみた所、9種類あった。
アクイロガサ
ウコンガサ
ウスムラサキガサ
オレンジガサ
シュイロガサ
ダイダイガサ
ハダイロガサ
ヒイロガサ
ヒスイガサ
更についでに。
「タケ」「ガサ」に比べると一多くないが
キノコの名前の括りとしては他に「シメジ」もある。
スーパーなどではブナシメジが、
以前はヒラタケが「シメジ」の名で売られていたりもする。
シメジは「占地」の意で、本来は地面に群生するキノコを指すが
多くの種類のキノコ和名に使用されている。
「色名+シメジ」を抽出した所、14種類あった。
ウスムラサキシメジ
オウドシメジ
キシメジ
クロシメジ
コガネシメジ→現和名:タモギタケ
サクラシメジ
シロシメジ
ダイダイシメジ
ネズミシメジ
ハイイロシメジ
ハダイロシメジ
バライロシメジ
ミドリシメジ
ムラサキシメジ
尚、以下の物は除外した。
アイシメジ:キシメジとシモフリシメジの中間の見た目だから
クロズミシメジ:色名では無い
スミゾメシメジ: 〃
更に「イグチ」もある。
イグチは傘の裏側がスポンジ状のキノコの総称で
ハナイグチが中でも良く知られた和名だろう。
「色名+イグチ」を抽出してみた所、7種類あった。
アヤメイグチ
ウグイスイグチ
キイロイグチ
クリイロイグチ
クロイグチ
コゲチャイグチ
ダイダイイグチ
更についでに。
ベニタケ科で多くのキノコに使用されている名称に「ハツ」がある。
「色名+ハツ」で抽出すると23種類あった。
アカハツ
ウグイスハツ
ウコンハツ
ウスズミハツ
ウスチャハツ
ウスハイイロハツ
ウスフジイロハツ
ウスボタンハツ
ウスムラサキハツ
ウスモモハツ
カバイロハツ
カレバハツ
キイロハツ
キツネハツ
キチャハツ
クサイロハツ
クロハツ
シュイロハツ
シロハツ
ツチイロハツ
ハダイロハツ
バライロハツ
ヤマブキハツ
レモンハツ
以下の物は除外した。
クサハツ:臭いハツの意で色名では無い
チシオハツ:血潮は色名では無い
ダイダイタケとダイダイガサ、
ヒイロタケとヒイロガサは
名前は似てるけど形も何も全く違うキノコだから
ややこしいよなぁ。
「ダイダイ」は他に
ダイダイイグチもダイダイシメジもあるんだなぁ。
ダイダイハツがあればコンプリートだなw
それにしても色名を命名の基準にしたキノコは
思ったより多かった。
軽い気持ちで調べ始めたのだが
こんな大変な事になるとは思わなかった(-_-;)
しかも、色名の種類の多い事。
命名者の苦労が偲ばれる。
だがサクラとかコウバイとかウスクレナイとか
ウスモモとか色合いの良く似た感じの微妙な色名も少なくない。
アカタケとヒイロタケとシュタケとアカネタケ、
ミドリタケとモエギタケとワカクサタケ、
オレンジガサとダイダイガサ、
シュイロガサとヒイロガサ等は
聴いただけでは色がどの様に違うのか想像も出来無いしなぁ。
その辺、何とかならない物かなぁ。
まぁ、どうしようも無いか・・・・・・
今後も新たに色名のある和名が付けられるキノコが
どんどん出て来るだろう。
これからの命名者も大変だろうなぁ。
ひょっとしたら今迄使われていない色名、例えば
「利休鼠タケ(リキュウネズタケ)」とか
「鉄納戸タケ(テツナンドタケ)」とか
「一斤染カサ(イッコンゾメカサ)」とか
「秘色シメジ(ヒソクシメジ)」とか
「空五倍子色カサ(ウツブシイロカサ)」とか
「憲房色タケ(ケンボウイロタケ)」
なんて聞いただけでは色目の判らない名前のキノコが
出て来るかも知れないよなぁ。
当方が命名者になれるのならば、そう言うキノコを発見してみたいな♪
]]>
それに付随し、色々な竹の病気の事も調べている。
そうして竹の事を常に気にしていると、別の物が目に入る事もある。
今回は菌類とは関係ないのだが、そんな話をば。
2019年5月の事。
日常の買い物をしてバイクで何時もの道を走行中、
ふと目にした光景にちょっとした違和感があった。
それはとある住宅の竹の生け垣(A地点とする)。
一見、何の変哲の無い生垣なのだが妙な質感があった。
それはこの部分。
これはひょっとして・・・・・・
これは竹の花だ。
一見、花には見えないのだが雄しべが垂れているのが見える。
これは竹の花なのだ。
竹の花は60年に一度とも100年に一度とも
言われているくらいに滅多に咲かない。
その為、「竹の花が咲くと不吉だ」との言い伝えもある。
そして、花が咲くとその竹は枯れてしまうと言う。
この生垣の竹を良く見ると稈が黒い。
これは「黒竹(クロチク)」と言う品種の様だ。
こちらは別の場所の生け垣(B地点とする)。
其処に数本の竹が。
この竹にも花が咲いていた。
ちょっと判り難いが雄しべも見える。
この竹も稈が黒いので黒竹の様だ。
ひょっとして同じ庭師さんの手による生垣で
元は同じ竹から株分けされたものだったりして。
それとも、まさか黒竹に取って2019年は開花期で、
世界中で一斉に開花しているのだとか???
こちらはまた別の場所の黒竹。
こちらは花は咲いていない様子。
となると世界中で一斉開花、と言う事では無かった様だ。
検索した所、世界中で一斉にと言う訳ではなかったが
2019年はあちこちで黒竹の花が咲いていた様で
各々地域のニュース等で取り上げられていた模様。
・100年に1度の珍現象 小松島で竹の開花
・120年に一度しか咲かない…「竹の花」が開花
“珍現象”を専門家に聞いた
・竹にも「花」が咲くこと、知っていましたか?
開花は「数十年に1度だけ」
報道されたもの以外にもblogや動画等、SNSに多くの情報があった。
それによると黒竹を含む淡竹(ハチク)、マダケの開花は
120年に一度の由。
あまりにもスパンが長すぎるので
竹の一生を最初から最後まで観察をする事が不可能な為、
「120年」と言うのも推測の域を出ない、との事。
何れにせよ、竹の開花を見ずに一生を終える人も多いと言える訳だ。
それを目撃出来たのは幸運かも知れない。
とは言え、外見的にはとても地味なので気付かない人が殆どだ。
なので買い物帰りの人も普通に通り過ぎるし
学校帰りの学生さんも通り過ぎる。
勿論、車は気付けないで通り過ぎる。
今後、もう見られないかも知れない現象が
今ここにあるのですよー
折角だから見て置くべきですよー
だから何?と言われたらそれまでだが。
こちらはA地点の2020年1月の様子。
別の種類の竹も混在している為に判り難いのだが
少なくとも黒竹から緑色の葉が出ている様には見えない。
黒竹は枯れてしまった様に見える。
こちらはB地点。
こちらは一部に緑色の葉が見える。
こちらは枯れてはいない様だ。
「竹は一度花が咲くと枯れてしまう」と言うのは間違いなのだろうか。
実は、竹には「一斉開花」と「部分開花」があるとの事。
「一斉開花」はその名の通り竹藪の全ての竹が
一斉に開花し一斉に枯れてしまうだが、
「部分開花」は一部の竹が開花するのだが枯れる事は無い、との事。
それで言うとA地点は一斉開花、
B地点は「部分開花」と言う事だったのだろうか。
A地点は枯れてしまったのだとしたら生垣の入れ替えが必要だろう。
B地点は枯れはしなかった物の
竹の花の部分は残っているので
異様な質感がそのままになってしまっている。
生垣の価値としてはかなり落ちてしまった、と言えるだろう。
「竹の花が咲くと不吉だ」との言い伝えは
そのあまりのスパンの長さの為に
竹の生活サイクルを人間が捕らえきれないと言う
不安を原因としている、と言うのが大きいと言われているが
実際この様に、その形や色艶が不変であると信じていた竹が
花が咲く事によって価値を失ってしまう、と言う
現実的側面もあるのかも知れないなぁ。
こちらは三重県某所のマダケの竹藪。
この画像では伝わり難いのだが竹藪全体が異様な雰囲気だった。
良く見ると、こちらは竹の花が咲いた後に全体が枯れている様子。
花の様子からすると、結構前に咲いた物の様子。
移動中に発見し、ゆっくり撮影している時間が無かったのと
竹林自体が道と水路を隔てた向こう側にあったので
近寄って撮影する事が出来無かった為に
画面では殆ど表現出来ていないのが実に残念なのだが、
一角の竹が全面的に枯れている、と言うのは
本当に異様な光景だった。
沢山の竹が枯れる、と言うので言うと
天狗巣病が大規模に発生した最末期・痕跡の状態、と言う場合もある。
※天狗巣病に関しての記事→こちら
だが、それとはまた違う雰囲気だった。
当方がその時に感じた言葉は
天狗巣病の痕跡は「枯れた状態」、
開花後の竹のそれは「死んだ状態」だった。
同じやんけ!と言われたら返す言葉も無いのだが
とにかく当方はそう感じてしまったのだから仕方無い。
昔、某TV番組で開花後の竹藪の事を
「死後の世界の様だ」と表現した人が居たのだが
当方も正にそう思った。
さて、上掲の竹の開花の画像を見て
疑問に思った方もおられるかも知れない。
花は咲いてるけど実は生ってないの? と。
実はマダケ類・ハチク類の多くは
開花しても実は生らないのだと言う。
そして枯死するのだが、生き残った一部の地下茎から発芽して
やがて竹藪は回復する、との事。
それなら何の為に何十年も掛けて開花するのだろうかなぁ。
良く判らないや。
中には結実せず、生き残った部分も無く完全に枯れてしまった為に
絶滅した種もあるのだとか。
本当かなぁ・・・・・・
ますますもって訳が判らない。
とにかく竹はまだ謎の多い植物なのらしい。
因みにマダケ類・ハチク類は滅多に結実しないと言うが、
笹類は結実する場合が多いらしい。
こちらは2013年に京都市内で撮影した物。
細かい種類は判らないが、笹が開花していた。
そして結実している部分もあった。
黒いツヤのあるのが結実部だ。
こんなぼけた画像しかないのがとても残念だ。
この笹も部分開花の様でごく一部で結実しているだけだったが
これが一斉開花ですべて結実した場合、
その実の量は地域全体で考えるとかなりの物になるだろう。
この実は栄養価が高く、虫害も受けにくい為に
その昔は穀物として貯蔵されていた、との事。
そんな栄養価が高い物は当然野生動物も好んで食する。
突然大量に発生した高栄養のエサを野ネズミが食べ
養分を蓄えた親ネズミは子ネズミを大量に生み育てる。
やがて増殖したネズミはエサを求めて田畑を荒らすようになる。
その為、大飢饉となってしまう・・・・・・
風が吹けば桶屋が、的な話ではあるが
「竹の花が咲くと不吉だ」と言うのはそう言う所からも来た、
との説もあるとの事。
とにかくまぁ、珍しい現象が起きると
思わぬ所に影響が及ぶのだなぁ、と言うお話。
それはともかく、今後も竹の事には色々と注目して行きたい。
※過去記事も併せてお読み頂けましたら幸いです
アーカイブス→こちら
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暑くなって来ると、今年もこのキノコが顔を出した。
それはミカワクロアミアシイグチ。
愛知県の地名を冠したキノコだ。
このキノコについては何度も記事にしている。
※アーカイブスはこちら
ミカワクロアミアシイグチには
「柄の網目が二重構造だ」と言う大きな特徴がある。
柄に網目のあるイグチの仲間は多いが
深い網目の下に更に網目が見えると言う独特な構造があるのだ。
そして、その状態には個体差がとても大きい。
当方はそれが気になっているので
ミカワクロアミアシイグチに遭遇すると
その網目具合を観察せずには居れないのだ。
こちらは上掲画像のミカワクロアミアシイグチの柄のアップ。
深い網目がくっきりとしており、その中に下部の網目が伺える。
こちらの大きめの個体はどうか。
こちらもかなり網目がくっきりとしている。
こちらはどうか。
深い網目がくっきりしている。
こちらは別の個体。
やや細めの柄だが網目はくっきりとしている。
こちらはまた別の個体。
太めの柄にとても深い網目が見て取れる。
以上は7月13日と16日にH公園で遭遇した物。
全体的に柄は太く、網目は狭く深い様に思う。
以下は7月17日と20日にO緑地で遭遇した物。
こちらはやや細めの柄だが網目ははっきりくっきり。
こちらも同じく。
こちらは太短い柄だった。
網目は広いが比較的深い。
こちらも柄は太い。
だが網目は広くて浅い。
この場所で発生するミカワクロアミアシイグチの柄の網目は
H公園の物に比べると広い様だ。
そして深い物と浅い物がある模様。
こちらは同じO緑地に8月に発生して居た物。
柄は太短く、網目はとても広く浅くなっている。
以下は9月5日にO緑地にて遭遇した物。
前日の大雨を受けて幾つもまとまって発生していた。
どれも柄はやや太め〜細めで網目はあまり深くない様だ。
当方が今迄見て来た所、
ミカワクロアミアシイグチの発生は夏〜秋なのだが
7月と9月の2回のピークがある様に感じている。
そして、7月には柄の太いタイプが、
9月には柄のやや太め〜細いタイプが多く発生している様に感じている。
また、柄の太いタイプには網目が狭く深い系統と広く浅い系統があるが
柄の細いタイプは網目の深い浅いは分かれてはいない様だ。
その事を更に確認すべく探索をしていたのだが
今年の夏は雨の降り方が異常で
台風の大雨以外は極端な日照りが続いた為に
9月5日以降はミカワクロアミアシイグチには遭遇出来無かった。
残念・・・・・・
また来年、観察を続けねば。
因みに、柄の太い細い、網目の深い浅いが単なる個体差なのか
DNA的に別種なのかどうかは不明。
まぁ、将来的には幾つかの種類に分かれるのかもなぁ。
当方が知らないだけで
既にそういう研究がなされているのかも知れないけれど。
さてイグチ類はヒポミケス菌に寄生される事が多いのだが
ミカワクロアミアシイグチは耐性があるのか
寄生されている個体を見る事は少ない。
2019年はこの↓画像の物を含め、数個体にしか遭遇出来無かった。
その点もまた来年も観察したい所。
ミカワクロアミアシイグチは寄生菌を寄せ付けずに
老熟した後は溶けて消失する事が多い様だ。
こんな状態の物に毎年遭遇している。
ただ、今年はこんな場面に初遭遇。
老成した個体を食べているダンゴムシ♀とオオセンチコガネ(多分)。
オオセンチコガネは通常は獣糞や動物の死骸を食料としているのだが
腐ったキノコを食べる事もある由。
獣糞・死骸・腐ったキノコの共通点となると
細菌などによって処理された有機物、と言う事になるのかな?
それにしても、ミカワクロアミアシイグチは猛毒キノコなのだが
こうやって食べる生物もいるのだなぁ。
猛毒の河豚の卵巣がぬか漬けされる事によって無毒の珍味になる様に
ミカワクロアミアシイグチの猛毒成分が
細菌によって無毒化されているのかどうかは不明。
当方は食べて確認する気は無いよw
と、それはともかく。
来年以降もミカワクロアミアシイグチは色々と観察して行く所存。
今後も是非生えて来て下さいな。
※アーカイブスもよろしければご覧下さい→こちら
]]>林内地上に発生する世界的公布種との事。
東大阪時代は良く遭遇して居たが
名古屋ではたまにしかお目に掛かれない。
土壌の関係なのだろうなぁ。
「鬼茸」の名は傘表面のトゲトゲを鬼の角に見立てた物の由。
名前はイカツイが、実際には結構繊細なキノコ。
図鑑では傘径7〜10cmとあるが
当方が遭遇するのは5cm〜の物が多い様だ。
「鬼」と言う程大きくもないし、
傘裏のヒダはとても緻密で更にイカツク無い。
組織も柔らかく、柔和な感じ。
当方がこのキノコだったら「鬼」なんて名付けられて
ちょっと気恥ずかしくなってしまうかもなぁ。
トゲトゲの色合い、大きさ、配置は個体差が大きい様だ。
上掲画像で膜質のツバがハッキリ確認出来るが
幼菌の時にはそれとは別に蜘蛛の巣状のツバ?が見て取れる。
その点だけを見るとフウセンタケ科とかと間違えてしまいそうだが
オニタケはハラタケ科なので
市販のマッシュルームに近い仲間と言える。
こちらは成長中に乾燥した為か傘が大きくひび割れている。
花みたいでカワイイ♪
オニタケは一応食キノコとなっているが
食べでが無い事と、旨味が少ないとの事で
あまり利用されていない様だ。
当方も食べる気にはならず一度も収穫した事は無い。
こちらはシロオニタケ。
こちらも林内地上に発生するが、東アジアに分布する種類との事。
こちらも傘のトゲトゲを角に見立てた命名なのだろう。
シロオニタケは高さ30cm、
傘径が20cmを超える事もある堂々たる体躯なので
「鬼」の名に相応しいキノコと言えるかも知れない。
シロオニタケについては以前に記事にした事がある(→こちら)。
その時にも書いたが、シロオニタケは丈夫な膜質のツバが特徴。
傘の伸展と共に剥がれ、ヒダを露出させて行く。
こちらは殆ど剥がれた状態。
こちらは菌輪の一部なのだろうか。
当方の観た範囲ではあまり群生する事の無い種類の様に思う。
こちらは何故か竹の葉が傘を貫いてしまっている。
ヤクザな感じでちょっとカッコイイ(・∀・)♪
こちらは発生初期の幼菌。
雪ダルマみたいでカワイイ(^-^)♪
これが数日経つと高さ30cm傘径20cmとかになるのだもんなぁ。
因みにシロオニタケはオニタケと名前は良く似ているが
こちらはテングタケ科なので種として近い訳では無い。
傘の突起が目立つと言う共通点があるだけだ。
オニタケは可食のキノコとの事だが
シロオニタケは毒キノコ。
猛毒キノコの少なくないテングタケ科の
見るからに禍々しい感じのこのキノコを食べた人が居るのが凄いよなぁ。
こちらはシロオニタケモドキ。
シロオニタケと良く似ているが
外見的な違いは全体に褐色がかっている事。
「黄ばんだシロオニタケ」と言った風情。
他の外見的特徴としては
シロオニタケのツバが剥落しやすいのに比べて
シロオニタケモドキのツバは永続性が高い、との事。
剥落しないで柄に接続されたまま、との事だが
当方の画像ではそれの確認が出来無いのは残念。
シロオニタケとシロオニタケモドキの一番の外見的差異は
上記したようにその色合いだが
シロオニタケも古くなるとやや褐色を帯びる様になるし
真っ白なシロオニタケも撮影時の光の加減や露出の設定などで
黄ばんだり褐色を帯びて写る事もある。
どちらも似た環境に発生するのでその点もややこしい。
柄の形状がシロオニタケモドキの方が少しずんぐりとしてて
シロオニタケの方がスラッとしている、というのもあるが
それも個体差もあるしね。
各々、実物では結構はっきりと違いが判る事が多いが
画像だけでの判別は難しい場合があるだろう。
上掲画像でも、シロオニタケと言いながら
褐色がかって見える物もあるが
きっとシロオニタケで合っている筈・・・・・・
因みにシロオニタケモドキは食毒不明との事。
無毒だが食不適、との説も。
まぁ、当方は食べる気になれないけど。
今の所、当方の行動範囲・名古屋東部では
シロオニタケの発生がとても多く
ほぼ毎年、何度も遭遇して居るが
シロオニタケモドキは数える程しか遭遇出来ていない。
webで検索してもシロオニタケの方が情報量は圧倒的に多い。
勿論それがそのまま
両種の発生量の差を表している、と言う保証は無いのだが
取り敢えずは名古屋東部は
シロオニタケに取ってとても住みやすい環境の様だ。
と、そんな今年(2019年)、こんなキノコに遭遇。
遠目で見た時はシロオニタケだと思った。
だが全体に灰色っぽい。
シロオニタケモドキに様に黄ばんでいない。
個体差と言うにはあまりにも色合いの違いが大きい。
周辺にあった別の個体。
既に誰かに折られた後だった。
観察の為に採った、と言うより
単に遊びで蹴り倒しただけなのだろうなぁ。
こちらは並んで生えてる幼菌。
カワイイ(・∀・)♪
左側の一本を採取。
持ち帰って標本にしようかな。
こちらはミニミニな幼菌。
これは成熟しても大きくはならないのだろうなぁ。
灰色を帯びたシロオニタケ、となると
「ハイイロオニタケ」とでも言うべきか、と思って調べてみたら、
実際に「ハイイロオニタケ」と言う和名のキノコがあったので
多分それで良いのだろう。
この周辺は今迄シロオニタケは何度も生えて来ていた場所。
だが、今年はシロオニタケは生えて来ず
その代わりなのかハイイロオニタケに初遭遇。
今年の名古屋は雨が異常に少なかったのだが
それがシロオニタケに取っては具合が悪く
ハイイロオニタケに取っては具合が良かったのかなぁ。
来年以降どうなのか、是非とも観察したい物。
ハイイロオニタケは掲載されている図鑑も殆ど無く
web上の情報も少ない。
当然食毒不明。
当方も食べる気にはなれない。
それにしても「こんな外見ならこんな名前かなぁ」と想像した名前が
実際にそのキノコの和名として存在しているとなると
まるで自分が命名したみたいな気になって何となく嬉しい。
命名者からしたら「何勝手な事言うとんねん!」なのだろうけど。
しかし「鬼茸」があって「白鬼茸」があって、
更に「灰色鬼茸」があるのだから
折角なら「赤鬼茸」「青鬼茸」も欲しい所。
例えばこんな感じで「アカオニタケ」、
「アオオニタケ」があるかもw
これは当方が画像をいじって色を変えた物です。実際にこう言うキノコがある訳ではありません(多分)
この広い地球の事。
世界には当方の想像の及ばないキノコが沢山あるのだ。
だから世界の何処かには実際に
こんな「アカオニタケ」「アオオニタケ」があるかも知れないよなぁ。
「そんなん絶対ある訳無いやん(プ」と否定出来無い筈だよ。
「無い事の証明」は不可能だしね。
世界の何処かのまだ見ぬキノコにこんなのがあれば面白いのになぁ。
]]>
岐阜県旧荘川村の某所、モミの木の根元に
大きな塊がまるで其処に置かれた様に生えていた。
ハナビラタケは食キノコ。
近年では栽培品も売られている。
ハナビラタケの名はその見た目から。
この個体は淡褐色だが、もっと色の薄いタイプだと
白い花びらが一塊になった様だ。
因みに栽培品はかなり白いので
「ハナビラタケ」の商品名により似合う様に
色の白い系統を選抜しているのだと思われる。
Mマートさんのサイトより引用
真っ二つに切るとこんな感じ。
幹状の部分を中心にハナビラが広がっているのが判る。
断面に年輪の様な縞模様が見えているが、これが本当に年輪の様に
成長速度の違いを表しているのかどうかは不明。
因みにこの時はホイル焼きで食べた。
(゚д゚)ウマー
こちらは老菌。
採り頃を過ぎるとこんな感じなのだなぁ。
また来年、遭遇出来たら良いなぁ。
こちらはハナビラニカワタケ。
色の個体差はかなりあるが、赤みがかった淡い色が多い。
こちらはやや古い個体。
若干萎れかけている。
こちらは更に古い個体。
一部、溶け始めている。
こちらは更に古い個体。
殆ど溶けている。
その10日後。
どんどん溶けている。
更に17日後。
最末期。
経過観察していたからこれがハナビラニカワタケな事は判るが
これだけにいきなり遭遇したら何が何だか判らないよなぁ。
こちらは古くなった上に
乾燥して萎びている状態だと思われる。
こちらは古くなって萎びかけなのか、
生え始めだけど乾燥してしまったのかは不明。
こちらは発生初期。
別の種類のキノコ(例えばモモイロダクリオキン→こちら)にも見えてしまうが
近くに別のハナビラニカワタケがあったので
これが発生初期の状態と考えて良いだろう。
ハナビラタケと名前もパッと見も似ているが、実は全く別の種類。
ハナビラタケは分類学的に言うと
菌界
└担子菌門
└ハラタケ鋼(真正担子菌鋼)
└タマチョレイタケ目
└ハナビラタケ科
└ハナビラタケ属
└ハナビラタケ
ハナビラニカワタケは
菌界
└担子菌門
└シロキクラゲ鋼(異型担子菌綱)
└シロキクラゲ目
└シロキクラゲ科
└シロキクラゲ属
└ハナビラニカワタケ
と、「鋼」から違っている。
「鋼」が違うと言う事は「ヒト」を基準に考えた場合、
脊椎がある事が共通しているだけで
「ヒト」と「魚」「カエル」「キリン」位の遠さと言える。
他人の空似、と言った所だろう。
因みに、「鋼」の名前にもなっているシロキクラゲはこちら。
ぱっと見はハナビラニカワタケに確かに似ている。
白いハナビラタケの方が似ているとも言えるが
実物で比較するとシロキクラゲの方は透明感がある点が違う。
ハナビラタケに比べるとハナビラ部分に厚みがあるのが
外見的な大きな違いだ。
ただ、ハナビラタケは淡褐色〜灰白色だが
ハナビラニカワタケは赤みがかった色合いで、
個体によってはそれこそ花の様に綺麗なので
どちらかと言えばハナビラニカワタケの方が
花びらぽいと言えてしまいかねないのがややこしい所だが。
因みにハナビラニカワタケは食べられる。
一度だけ食べた事があるが、柔らかいキクラゲの様だった記憶がある。
図鑑には「良い出汁が出る」とあったが
当方はその時は特にそう感じなかった。
ひょっとしたら雨に当たって
風味が抜けてしまっていた個体だったのかもなぁ。
こちらはクロハナビラニカワタケ。
分類学的に言うと
菌界
└担子菌門
└シロキクラゲ鋼
└シロキクラゲ目
└シロキクラゲ科
└シロキクラゲ属
└クロハナビラニカワタケ
ハナビラニカワタケと「属」まで一緒なので
「ヒト」を基準に考えた場合、
ネアンデルタール人や北京原人くらいの違い、
獣で言えばライオンとジャガー、虎ぐらいの違いだ。
かなり近いと言える。
だが、実際に見てみると
クロハナビラニカワタケはハナビラニカワタケに比べると
シロキクラゲの仲間と言う程には厚みを感じない。
薄さの点ではハナビラタケに近いと言える。
だが、分類学で言うと「ヒト」と「魚」くらいに遠いのだ。
ホント、キノコは難しいなぁ。
尚、ハナビラニカワタケとクロハナビラニカワタケは
実は同一の種類なのだと主張する研究もある、との事。
ますますもって、良く判らないw
クロハナビラニカワタケの裏側はこんな感じ。
断面は撮っていないので厳密には比べられないのだが
ハナビラタケの様に「幹」に当たる部分は無く
一点の根元からワサワサ分岐している様だ。
その点では確かにシロキクラゲと共通している。
こちらはやや古いクロハナビラニカワタケ。
全体に萎び始めている。
こちらはかなり古い個体。
殆ど溶けてしまっている。
近くに別のクロハナビラニカワタケがあったので
それの末期的な個体だと判断したのだが
勿論そうだと断言出来る訳では無い。
因みにクロハナビラニカワタケは食毒不明との事。
近縁には食べられる種類が多いので
クロハナビラニカワタケも可食の可能性が高い。
実際、クロハナビラニカワタケの可食と書いているサイトもあったが
少なくともweb上では試食例を見付けられなかった。
こちらはクロハナビラタケ。
名前は上記の種類と似ているが外見はかなり違っている。
上記の3種はカリフラワー状にワサワサしているのだが
こちらは皿状の物が群生している、と言った感じ。
暗い場所に発生していて、黒い小さなキノコだった為に
当方の技術では上手く撮影出来無かったのが残念だった。
因みに分類学的には
菌界
└子嚢菌門
└ズキンタケ鋼
└ビョウタケ目
└ビョウタケ科
└クロムラサキハナビラタケ属
(クロハナビラタケ属)
└クロハナビラタケ
何と「門」から違っている。
「門」が違うと言えば「動物(生物)」と言う点で共通しているだけの
「ヒト」と「ウニ」「ミミズ」「カブトムシ」くらい程遠い。
それなのに、こんな似た名前と言うのもどうなのかなぁ。
因みに、クロハナビラタケの上位の括りはビョウタケ目。
その名の基準となっているビョウタケはこちら。
正に、画鋲を刺したような外見だ。
大枠の形で言えば確かにクロハナビラタケは
ハナビラタケやクロハナビラニカワタケに比べると
ビョウタケの仲間の方だ、と言うのはお判り頂けるだろうか。
さて、このクロハナビラタケは毒キノコとの事。
中国名では「毒木耳」、つまり「ドクキクラゲ」と言う由。
その名の通り、キクラゲと間違えて食べてしまった為に
中毒してしまった人が居たのだろう。
因みにキクラゲはこちら。
だがクロハナビラタケはキクラゲと比べると一つ一つはとても小さい為
採取も調理する手間も結構な物だと思うのだがなぁ。
その点で違和感を感じなかったのだろうかなぁ。
因みにキクラゲは分類学的に言うと
菌界
└担子菌門
└シロキクラゲ綱
└キクラゲ目
└キクラゲ科
└キクラゲ属
└キクラゲ
と、「門」から違うので全く遠い関係と言える。
他人の空似どころでは無いし、そもそもそんなに似ているとも思えない。
でもまぁ、クロハナビラタケの事を予め知らなかったら
「これは小さなキクラゲだ!」と思い込んでしまうかもなぁ。
そう思い込まないとこれを食べようとは中々思わないよなぁ。
と言うのは当方の想像でしか無いのだけれど。
それはともかく、そうやって食べた人が居たからこそ
クロハナビラタケが毒キノコである事が判った訳で。
だから当方はクロハナビラタケを
うっかり食べずに済んでいる訳で(かな?)。
クロハナビラタケが毒キノコだと言う事を
身をもって証明してくれた人、どうも有難う!
所で「毒キノコ」と言えば
この度菌友・畏友で日本唯一のキノコライター・堀博美氏が
『毒キノコに生まれてきたあたしのこと。』と言う本を上梓した。
タイトルの通り、全編が毒キノコについての本。
44種の毒キノコについてデータと事例を踏まえたエッセイ集。
ヒグチユウコ氏のカバーがまた素晴らしい。
恐縮する事に、資料を提供した縁で当方の名前も出して頂いているし
データの一つとして当方のこのキノコblogも一部引用して頂いている。
とにかく全編毒キノコの事が詳細に、
そしてとても読みやすく纏められているので
これを読めばあなたも毒キノコのエキスパートに???
一家に一冊、是非(・∀・)つドゾー(amazonのサイト→こちら)
また、発売記念イベントも開催される由。
そちらも是非(・∀・)つドゾー(Loft PlusOne Westのサイト→こちら)
※本文中の分類学的位置付け部分は2019年10月現在の物です。
今後、表記や内容が変わる可能性もあります。
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飛騨市、旧荘川村の某所の斜面に発生していた。
遠景はこんな感じ。
斜面の窪みの中に、まるで其処に置かれたかの様に発生していた。
シャカシメジはキノコ好きの間では有名な食菌だ。
余程優秀な食菌と言う事なのか、
大概のキノコ図鑑に掲載されている。
まぁ、似た外見の毒キノコが無い(多分)と言うのも
図鑑に掲載しやすい理由の一つなのかな。
山渓カラー名鑑『日本のきのこ』によると
シャカシメジは一度発生すると同じ場所に生え続ける、との事。
だが、その年によって気候は違っている。
気温や雨量、風の変化で、
去年と今年が全く同じ気候の推移と言う事はあり得ない。
年に一度、夏休みと言う決まった時期の数日しか訪れないこの場所で
毎年遭遇するとしたら奇跡以外有り得ないだろう。
実際、この場所には20年以上通い続けているが
シャカシメジに遭遇出来たのは5回のみ。
それも、全く同じ場所では無く、微妙にポイントが違っている。
この界隈にはシャカシメジの発生ポイントが幾つかある様だ。
となると、この付近全体がシャカシメジの発生坪だ、
と言う事になるのだろうかなぁ。
この近辺に住んで通い続ければ毎年幾つものシャカシメジを
収穫出来る事になるのかも知れないよなぁ。
その為だけに此処に移り住む事は出来無いけどw
因みに、上掲画像は2008年撮影の物。
こちら↓は最初に遭遇した2004年撮影の物。
こちらは収穫後に撮影した物。
如何に密集して発生して居るかが判る。
こちらは2005年。
こちらは飛んで2012年。
この時はタイミングが良かったのか、3つの株を収穫出来た。
こちらは2016年。
珍しく2012年と同じ場所で遭遇出来た。
下の株はやや育ち過ぎか。
食べれない事も無いかも知れないがスルーで。
また来年以降に向けて胞子を撒いて貰おう。
上側には大小3つの株が。
一番右の株はこの大きさ。
根元は菌糸の塊になっている。
この部分はキノコ本体とはまた違った歯触りで美味しいとの事。
大きい株のみを採ったのだが、掘り取りの際に割れてしまった。
折角なので、シダを添えて映えさせてみた♪
そしてこれは菌友に。
美味しく食べてくれた由 (^-^)
その近くにこんな状態の物が。
これは育ち過ぎを通り越してかなりの老菌。
既に溶け始めている様子。
かなり急な斜面の上の方だったので
思い切りのズームで撮影したのだが当方のカメラではこれが限界。
近付いて撮影出来無かったのは残念だった。
図鑑にしてもwebにしても
キノコ画像を掲載する時にはどうしても綺麗な物を選んでしまう。
図鑑は基本的に、その種類の典型的な、
一番良い状態の物を取り上げざるを得ないので仕方無い。
webの場合も、判りやすい状態の物を採用するし
綺麗な画像を選んで自慢したい旨もあるので(だよね?w)
こう言う溶けかけの老菌を掲載する人もまず居ない。
当方も今迄、まるで図鑑にある様な
若い状態のシャカシメジにしか遭遇して居なかったので
老熟した株がこんな感じになるとは考えてもみなかったなぁ。
その必要も無かったしw
これは大きな株だったので、
これだけ崩れていてもシャカシメジである事は推察出来たが
もっと小さな株だったりしたら
それが老熟したシャカシメジだと判断出来無かったかも知れない。
その点はラッキーだった。
これで今後、老熟してたり溶けている状態の物を見ても
シャカシメジの判断は出来る様になったと思うよ。
だから何?と言われたらそれまでだけど。
さてこのシャカシメジ、別名は「センボンシメジ」。
上掲画像の様に沢山のキノコが密集しているので「千本シメジ」だ。
名は体を表すと言った感じで、実に判りやすい呼び名と言える。
だが、標準和名はそれにはならず「シャカシメジ」。
漢字で書くと「釈迦占地」となる。
「占地」は元々は地面に群生するキノコの総称。
ただ、今では群生しない種類でも
「〜シメジ」と名付けられている物も多い。
では「釈迦」は。
これは仏教の開祖、お釈迦様から来ている。
シャカシメジの小さな傘が密集している状態を
お釈迦様の頭の螺髪(ラホツ)に見立てているのだ。
螺髪とは、例えば大仏様の頭のあのブツブツの事。
いらすとやフリー素材より
決してこれはパンチパーマなのではない。
話は脱線するが。
今時はパンチパーマの人も中々居ないからナウなヤング(←)には通じないかもなぁ。
パンチパーマが出来る理髪師も少なくなっているらしいし。
今の10代に伝えるとしたら超ショートのドレッドヘアー、の方が通じやすいかもなぁ。
面白い見立てだが、何故わざわざお釈迦様の頭にしたのかなぁ。
センボンシメジの方が判りやすいと思うのだけどなぁ。
センボン〜て名前のキノコは他にもあるのだし。
他のセンボン〜のキノコは不食菌が多いのでそれと間違えない様に
美味しいキノコであるシャカシメジを区別したかったのかなぁ。
まぁ、命名者に聞かないと判らない所。
ただ、密集して生えるから「センボンシメジ」にした場合、
同じ様に密集した発生の仕方をするニオウシメジと
画面上は区別が付き難いから敢えて変えたのかも知れない。
因みにニオウシメジはこちら↓。
ブログきのこ三十郎さんのサイトより引用
サムネイルで見るとシャカシメジと大差ないが大きさが決定的に違う。
ブログきのこ三十郎さんのサイトより引用
大きいのを仁王様にしたから
小さい方はお釈迦様(の頭)にしたのかなぁ。
と思ったので色々調べてみた所、
「センボンシメジ」は江戸時代のキノコ図鑑と言うべき
坂本浩然による『菌譜』の記述に由来しているとの事。
1954年刊行の川村清一著『日本菌類図鑑』でもそれを踏襲している。
だが、1957年刊行の本郷次雄著『原色日本菌類図鑑』では
「シャカシメジ」で掲載されている。
その辺りで和名が変更された様だ。
そして『日本産菌類集覧』によると
「ニオウシメジ」の命名・登録は1981年との事。
順番は逆だった。
何故「釈迦」にしたのかは結局判らなかったよ・・・・・・
さて、先にも書いたが、「シャカシメジ」の名は
お釈迦様の螺髪を由来としている。
では、お釈迦様は何故あの頭なのだろうか。
それは、お釈迦様、つまり仏様は悟りを開いた特別な人なので
他の一般人とは外見から違う物なのだ、と言う思想が元になっている。
その沢山の差異を纏めて「三十二相八十種好」と言う。
詳細は検索して頂きたいが
悟りを開くと色々な身体変化が現れるのだ、と言う。
仏像はそれを元に形作られている。
曰く「足は偏平足になって足の裏に輪相と言う
めでたい模様が現れる(これが仏足石の由来)」、
曰く「指の間に水かきが出来る」etc・・・・・・
そして「体の全ての毛の先端が全て上になびき、右巻きになる」
と言うのがあり、螺髪はそれを表現している次第。
所で、仏像には色々な種類があるが
無理やり大きく分けると「如来」と「菩薩(及びその他)」となる。
「如来」とは「悟りを開いた人」の事。
お釈迦様もこちらに含まれる。
「菩薩」とは「まだ悟りを開いていない人」の事で
「悟りを開けるけれど、敢えて悟りを開かないで
民衆を救う為に我々の側に居る」と言う立場を差す。
悟りを開いてしまうと「あちら側の世界」に行ってしまうので
敢えて「こちら側の世界」に留まってくれているのだ。
菩薩やその他の仏像は悟りを開いていない為に
装飾品を身に付けていたり、色々な衣装まとっていたり
更には色々なグッズを手にしているのだが
如来は悟りを開いた、つまりあらゆる欲望から解脱しているので
身なりは極めてシンプル。
装飾品は一切身に着けず、衣装もあっさりとしている。
つまり螺髪頭の人は欲望にまみれてはいけないのだ。
と、仏教の話を長々として来たのだが
何が言いたいのかと言うと
「欲望を解脱したお釈迦様」を命名の由来としているのに
シャカシメジは美味なキノコゆえに
キノコ探索者の欲望を刺激してしまっているよなぁ
と言う事。
シャカシメジの命名者は其処までは考えてなかったのだろうな、と。
当方も今後シャカシメジに遭遇出来たら
欲望に忠実に行動する事にするよ( ̄∀ ̄)
]]>
当初はタンポタケモドキでは無くハナヤスリタケと思い込んで記事にし、
後に反省と言い訳を記事にしたのだ。
その時にハナヤスリタケと誤認するのではなく
「これはタンポタケモドキだ!」と認識した上で採取したい
と書いた。
で、今年の初夏。
その場所を探索し、遭遇したのがこれ。
これはタンポタケモドキだ。
今度こそタンポタケモドキだ。
早速掘り出してみる。
立派なタンポタケモドキだ。
泥を落とすとこんな感じ。
子実体部分のアップ。
柄が絡み合う様な状態。
不思議な造形だ。
近くに別の個体が。
これもまた立派なタンポタケモドキ。
泥を落とすとこんな感じ。
裏を返すとツチダンゴ部分に大きな穴が。
掘り出した時に壊してしまった様子。
因みに1円玉は大きさの比較用。
その部分をアップに。
ツチダンゴの中身はこんな風になっているのだなぁ。
壊してしまったのは残念だが、これはこれで面白いw
更にこんな個体も。
これもまた立派なタンポタケモドキ。
泥を落とすとこんな感じ。
子実体部分がまた更にゴチャゴチャしてる。
これもまたツチダンゴ部分に大きな欠損が。
掘り出した時に割ってしまっていたよ・・・・・・
欠けた相方はこちら。
合わせてみるとこんな感じ。
まぁ、これはこれで面白いか。
所で、撮影して居て
昨年のタンポタケモドキと微妙に違う点に気付いた。
こちらは昨年の物。
こちらは今年の物。
光の加減等で写り方が違ってしまっているが
それだけでは無い差異がある。
一つは柄の部分の色合い。
昨年の物はクリーニング後の撮影時には赤っぽくなっているのだが
今年の物はそうなっていない。
昨年もこれだったら
ハナヤスリタケと間違う事は無かったろうになぁ(かな?)。
因みに昨年の物は乾燥標本にしてあるのだが、
それがこちら。
全体に色が薄くなっているのだが
特に柄の部分の赤みが抜けてしまっている。
となると、あの赤みがかったのは
一時的な現象だったのかなぁ。
混乱させてくれるよなぁ・・・・・・
それと、ツチダンゴ部分の状態。
昨年の物はツチダンゴの表皮が綺麗に現れているが
今年の物は植物のひげ根の様なものに覆われている為に
黒く見えている。
しかもそれはツチダンゴに強く貼り付いていて
中々剥がれなかった。
なので、無理に剥がすのを辞めた次第。
この違いは何なのだろうなぁ。
昨年のと今年のとで、発生場所も発生時期も同じなのだが
系統差か何かでこう言う差異があるのかなぁ。
良く判らない。
謎だ・・・・・・
それと、昨年掘り出していた時には気付かなかった事。
こちらの画像に写り込んでいるが
タンポタケモドキの周囲の苔の下には白い菌糸が見えている。
こちらはタンポタケモドキが無かった部分の苔の下。
特に白い物は見当たらない。
と言う事は、あの菌糸は矢張り
タンポタケモドキの物だったのだなぁ。
こんなにも周囲に菌糸を巡らせているとは思わなかった。
昨年は掘り出しに夢中になって其処まで気が回らなかったよw
それにしても昨年今年と、
この場所で遭遇したタンポタケモドキは子実体が派手だ。
図鑑や画像検索しても子実体は一本だったり
(山渓カラ―名鑑 日本のきのこ』山と渓谷社刊より)
多い物でもこんな感じだが
(『冬虫夏草生態図鑑』誠文堂新光社刊より)
こんな状態の物は無かったよ。
この場所で発生するタンポタケモドキは特に派手な様だ。
ここまで子実体をゴチャゴチャさせる理由は何なのだろう。
名古屋人は派手好きだと言うが徳川宗春時代からの伝統を
菌類も受け継いでしまっているのだろうかなぁ。
謎だw
所で今回、タンポタケモドキを
ちゃんと認識した上で遭遇出来たのが嬉しくて
その時にあった3体全てを掘り出してしまった。
そのお蔭で子実体がこんな色々な形なのを知る事が出来たのだが
掘り出したのはまぁ、其処までは良いとして
全て持ち帰る必要は無かったよなぁ。
一つくらいは現場に残しておくべきだったなぁ。
冷静さを欠いてしまっていた。
ちょっと反省。
この事によってこの場所のタンポタケモドキが
絶えてしまわない事を祈るのみ。
でも、今後も遭遇出来たとして
掘り出さず、持ち帰らずにいられる自信は無いなぁ・・・・・・
]]>
それ以降は日照り続き。
今年も空梅雨かなぁ。
愛知県東部では貯水ダムが底を尽き
取水制限も、なんてニュースが流れたりもしたし。
例年、名古屋のヤマドリタケモドキは
6月下旬がシーズンなのだが
その時期には全く発生を見なかった。
今年はダメかもしれないなぁ・・・・・・
と諦めていた所、7月中旬になって雨が続いた。
正に恵みの雨。
かなり時期はズレたが果たして出てくれただろうか。
期待と不安を胸にフィールドへ。
と、出てくれていた!
ヤマドリタケモドキは今年も出てくれた!
以下、ズラズラと画像を列挙し、ダラダラと記述。
早速柄を切り取ってみる。
と、こんな状態・・・・・・
ヤマドリタケモドキの発生を
心待ちにしていたのは当方だけでは無い。
当方は自分の趣味の為にヤマドリタケモドキを待っていたのだが
キノコバエなどにしてみたら
それこそ「生死を賭けて」待ち望んでいたのだ。
そりゃぁ、生えて来たら「それっっっ!!」とばかりに
繁殖しようとするよなぁ。
それを、こんな風に邪魔されたら堪ったもんでは無いだろう。
実に申し訳ない。
とは言え、矢張り当方は自分が食べる為に収穫をしたい。
なので、食べられる部分が無いかを探る為に柄を更に切ってみる。
右側は傘にまで虫の喰い痕がはびこっているが
左側の方は傘の部分にはまだ虫は来ていない様子。
なので左側のみ持ち帰る事に。
右側のもこんな風に切られては虫的にはとんだ災難だろうなぁ。
人間とはなんと傲慢なものか(棒
こちらでは一直線に5本並んでいた。
菌輪の一部なのかもなぁ。
その内の3本を切ってみるとこんな状態。
これはダメだったなぁ。
幼虫達にしてみたらただもう棲み処を荒らされて
それこそ死に目に会わされただけ。
可哀想だよなぁ(棒
こちらには小さなヤマドリタケモドキが点々と。
こんなに小さいからなぁ。
これはこのままにして置こう。
と思ったけど、2日後に様子を見に行ったら
こんな状態になっていた。
こんなに立派になるとは思わなかったw
なので当然収穫する事に。
こちらはどれもダメそうだなぁ。
と思ったら、意外に使えそう。
勿論収穫♪
これはまた柄に比べて傘の小さな個体。
これはどうだろうか。
うーん、手遅れ。
こちらの大きな個体は
傘と柄の繋ぎ目部分に既に虫に喰われた穴があったので
切って見る事も無く断念。
と言うか、放置。
これも見るからにダメそうだ。
当然放置。
これはイケるかな?
と思ったのだが
柄を触ったら中身がスカスカな感触だったので断念。
これはまた傘が妙にこじんまりしてる。
こう言う異形的な物は経験的に収穫に適さない場合が殆どなので
確認もせずに収穫断念。
これは良さそうな感じ。
傘の部分は何とか使えそう。
こちらはどうか。
これも傘の部分は使えそう。
こちらは収穫期は完全に過ぎてる感じ。
この場所でこの大きさのヤマドリタケモドキを見るのは久し振り。
収穫は出来無かったが、
その分胞子を撒いてくれたのだから来年にまた期待。
こちらも手遅れ。
その分胞子を(以下同文)。
こんなチビな個体もあった。
多分これ以上は成長しないだろう。
成長出来ても異形になりそうだしなぁ。
こちらはダンゴムシが摂食中。
当方含め、本当に色々な生物達が
ヤマドリタケモドキを待っていた訳なのだよなぁ。
ここからはアカヤマドリ。
アカヤマドリも同時期に発生するキノコだ。
以前は当方のフィールドではあまり遭遇してなかったのだが
ここ数年、発生が多くなった様に感じている。
こちらでは並んで発生して居た。
だが虫喰いが激しい。
左側の傘部分は何とか使えそうか。
こちらは傘表面の食害が激しい。
リスにでも食べられたのだろうか。
内側は更に食害が激しい。
使える部分は全く無かった。
こちらはどうか。
これもダメだったなぁ。
こちらは既に採り頃は過ぎている。
その分胞子を(以下略)。
こちらはどうか。
何か表面が妙な状態だ。
中身も当然ダメだろう。
なのでこれ以上切らずに放置。
中々使えそうな物に遭遇出来ないなぁ。
と思って居たらこんなに立派な個体に。
切って見たが、食害も殆ど無い。
いや、これは有り難い。
勿論、喜んで収穫。
更にこんな物も。
ド──────────ン!
ドド──────────ン!
ドドド──────────ン!
いやぁ、これはまた素晴らしい♪
これだけで今年の夏キノコの収穫は満足出来た♪
例年より3週間遅れだったが
なんだかんだでそれなりに収穫があったなぁ。
いやぁ、良かった良かった。
とは言え、贈答用に出来る物は殆ど無かったので
全て自家消費する事に。
早速調理。
小さい物、形の悪い物をスライス。
更に細かく切って。
オリーブオイルで炒める。
生クリームと牛乳で伸ばす。
パスタに絡める。
映えさせる為にブロッコリースプラウトをトッピング。
(゚д゚)ウマ〜♪
次の日にはドリアを。
赤パプリカを差し色に。
溶けるチーズをたっぷり乗せ、パン粉を振りかけて
オーブンで焼き色を付ける。
これにもブロッコリースプラウトをトッピング。
これも(゚д゚)ウマ〜♪
正に季節の味わい、季節の贅沢だよなぁ♪
残った分はヤマドリタケモドキも含め
スライスして天日干しする事に。
これでまた当分は楽しめると言う物。
キノコヌシ様、今年も有難う御座居ました。
また来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
(-人-) ナム〜
【オマケ】
アカヤマドリの生えていた近くにこんな物が。
一見、アカヤマドリに見えてしまいかねないが
これはオオコゲチャイグチ。
オオコゲチャイグチは当方のフィールドでは
9月の発生が多いのだが、初夏に発生する物も少なくない。
それがアカヤマドリの発生時期・発生場所が重なるので
ややこしい事になる。
幼菌の段階ではご覧の様に色合いと形が良く似ているのだ。
アカヤマドリは美味な食キノコだが
オオコゲチャイグチは毒キノコなのだ。
間違えて収穫したらえらい事になる(→こちら)。
なのでどうぞお気を付け下さい。
まぁ、切ってみたら違いは判るとは思うけど。
それに、このフィールドにアカヤマドリを採取しに来る人が
当方以外に居るとは思えないのだけどね。
]]>
「キヌガサタケが生えて来てるよ・・・・・・」
キヌガサタケは「キノコの女王」と言われるとても華やかなキノコだ。
当方、実はキヌガサタケを実見した事が無い。
キヌガサタケは孟宗竹の竹林に発生する、と言う独自の生態を持つ。
だが、当方の行動範囲には孟宗竹の大きな竹林が見当たらない為に
今まで見る機会が無かったのだ。
なので一度は見てみたい、憧れのキノコの一つだったのだ。
「キヌガサタケが生えて来てるよ・・・・・・」
そのキヌガサタケが生えているのを
見に行かないか、とキノコメイトから誘惑されてしまったのだ。
その場所は京都府南部、との事で
当方在住の名古屋からはかなり遠い。
行こうと思ったら新幹線を使うにしてもかなり早起きしなければならない。
だが、今のこの時期に行かないと見れない。
当方の周辺で生えている環境を今シーズン中に見付けられる保証も無い。
「キヌガサタケが生えて来てるよ・・・・・・」
キヌガサタケは見たいなぁ。
でもその場所は何分遠いしなぁ。
相当早起きしないと行けないしなぁ。
交通費もかなり掛かるしなぁ。
どうしようかなあ・・・・・・
「キヌガサタケが生えて来てるよ・・・・・・」
「キヌガサタケが生えて来てるよ・・・・・・」
「キヌガサタケが生えて来てるよ・・・・・・」
( ・o・)ハッ! と気が付くと
当方は某所の竹林内に立っていた。
つい、悪魔の誘惑に負けてしまったのだ。
事ほど左様にキヌガサタケの魔力は恐ろしい。
そして目に飛び込んで来たのはこんな光景。
これが憧れのキノコの女王、キヌガサタケだ。
キヌガサタケはご覧の様に大きなレースのマントが特徴的なキノコ。
なので、キノコを擬人化した際には
キヌガサタケはほぼ100%女性として描かれる。
その竹林にはキヌガサタケがそこここに生えていた。
上から見るとこんな感じ。
全く不思議な、そして綺麗な形だよなぁ。
それにしても本当にいきなりこんなのが竹林の中にあるんだもんなぁ。
これがキノコだと判っていてもびっくりしてしまうよ。
まして、キヌガサタケの事を知らない人がいきなりこれに遭遇したら
怖いとか気持ち悪いとか思っても仕方無いだろうなぁ。
こちらは新鮮な個体と、朽ち果てた個体。
朽ち果てた方は柄以外が綺麗に無くなっている。
こちらの古い個体はレース部分のみが無くなっている。
上部にほんの少し残骸が残っている点から見ると
多分、虫やナメクジなどに食べ尽くされたのだろうなぁ。
レース部分は柔らかくて食べやすいのだろうなぁ。
こちらは卵(幼菌)の状態。
知らなければ爬虫類の卵にしか見えないよなぁ。
こちらの卵は孵化?直前なのだろう。
外皮が薄くなってキノコ本体の頭頂部が透けて見えている。
こちらは頭部を取り去った状態。
これを乾燥させた物が中華料理の高級食材、
「竹孫(ツーソン・本字は竹冠に孫)」だ。
頭部が外してある理由は後述。
一度だけ食べた事があるが
ふわふわシャクシャクとした歯触りが何とも言えず
如何にも高級食材!と言う感じだった。
所でそのマント部分、軸の長さに対応して
裾がちょうど地面に着く様な長さになっているので
卵の上に枯葉が思いもよらず厚く積もっていたりすると
この様にスカートを引き摺る様な状態になってしまう事もある。
何か障害物があるとこんなスカートをめくられたみたいな状態に。
斜めに生えるとマントも偏った状態になってしまう。
何か、とても残念な感じだ。
折角ならこんな風に綺麗に開いてほしい所だよなぁ。
さて、このキヌガサタケ。
暗緑色の頭頂部の笠とそれを支える軸(柄)、
そしてレースマント部分(菌網)からなる。
笠の暗緑色部分は胞子を形成する組織(グレバ)で
成熟すると胞子を含んだゲル状になり
これが強烈な悪臭(モロにウ●コ臭)を放つ。
それに誘われたハエにゲルを舐め取らせる事により
胞子を拡散させるのだ。
こちらの画像で、笠の暗緑色部分が無くなり
白い地が見えているのはグレバが全てハエに舐め取られたからなのだろう。
そのハエ達によって胞子が撒かれた事により
また来年キヌガサタケが生えて来てくれるのだろうなぁ。
キヌガサタケを食材にする為には
悪臭のグレバが本体に付かない様に
慎重に取り外さなければならない。
この画像で傘部分が丁寧に取り外されていたのはそれが理由。
竹孫は高級食材とは言え、中国や香港では
大袋にガサッと入れられた普及品も売られているのだが
そう言う物はややウ●コ臭がしてたりしている。
多分、グレバの取り外しの際の扱いが雑なのだろうなぁ。
だからこそ一袋ナンボの安価で売られているのだろうけど。
竹林の少し奥に行くと
近縁種のアカダマキヌガサタケも生えていた。
アカダマキヌガサタケは卵の部分が暗赤色なのが特徴。
中にはこんなにアカダマの卵が密集している場所も。
これが全部開いたらさぞ壮観だったのだろうなぁ。
こちらは萎れて倒れた個体。
この個体にはまだ結構グレバが残っているなぁ。
志半ばで倒れた、感じがしてちょっと寂しい。
因みにキヌガサタケのグレバはウ●コ臭がするが
アカダマキヌガサタケは臭くない、と言う。
そうなのかぁ、と思って実際にニオイを嗅いでみたら
やはり異様なニオイがする。
当方はそのニオイを
「野菜や大きなキノコが古くなって腐って溶けた時のニオイ」と感じた。
ウ●コ臭とは違うが、それもハエ等をおびき寄せる種類のニオイだ。
実際、撮影していた時も
グレバ部分にショウジョウバエがたかっていた。
矢印を付けてみたが判り難い・・・・・・
また、別の個体には撮影中ゴキがやって来た。
これが、臭気に引き寄せられたからのか、
たまたまなのかは不明。
所でこのキヌガサタケのレースマントの部分。
何故この様な構造の物があるのかは実は良く判っていないと言う。
グレバはハエ等を呼び寄せ、舐め取らせる為に臭気を放っているが
歩いて来る虫を登らせる為にマントがあるのだ、と言う説もある由。
だが、アカダマキヌガサタケのマントはキヌガサタケと比べると短く
地面には接して居ない様だ。
また、雑木林に発生する近縁種のマクキヌガサタケは
アカダマ以上にマントが短く、完全に宙に浮いている(→こちら)。
また、別の近縁種のスッポンタケにはマントが完全に無い(→こちら)。
そうなると益々マントに意味が判らないなぁ。
因みに、色々画像検索をして見ているとマントの短い種類は
マントの長い種類に比べると圧倒的に少ない。
それはビジュアル的な問題で
ネット上にアップされているマントの短い種類の画像が少ない、
と言う事もあるのかも知れないが、
ひょっとしたら進化の最終形として長いマントがあり、
短いマントはその途上にある、と言う事なのかも知れない。
ま、これは当方の勝手な想像なのだけど。
所で日本には他に全体に黄色いウスキキヌガサタケがある(→こちら)。
世界に目を向けるとマントが赤みを帯びた物(→こちら)や
緑色を帯びた物もあるのだとか(ネットでチラッと見た話なので
実在するかどうかは不明、画像は見付けられず)。
中にはこんな変わった形になる物もある由(→こちら)。
本当にキノコは思いもよらない物があるよなぁ。
因みにキヌガサタケとは「衣笠(絹笠)の様なキノコ」の意。
衣笠とは貴人が外出する際に
付き人が後ろから差し掛け長柄の傘の事(→こちら)。
とても優美な名前だよなぁ。
余談だが「衣笠」で検索すると「衣笠祥雄」ばかり出て来るのが閉口物だった・・・・・・
そして別名は虚無僧タケ、シケダケとの事。
虚無僧タケは、マント部分の形態から来た名称。
虚無僧は臨済宗の一派・普化宗の修行僧が托鉢行脚をする際の扮装で
その際に頭に被る籠状の深編み笠に
キヌガサタケのマントを見立てた物だ。
いらすとやフリー素材より引用
シケダケは「湿気タケ」の意味で、
湿気の多い梅雨時に発生するからと言うのだが
当方はそれを「師家タケ」では無いか、と考えていた。
「師家(シケ、シイケ)」とは「師匠」の意味で
宗教の分野では修行の指導をしてくれる先生。先達を指す。
そして、尊崇の念を込めて「お師家さん(オシケサン)」と呼ぶ。
虚無僧姿の宗教者を「師家」と呼ぶ地域、または時代があり
そこから「師家タケ」と呼ぶ様になったのでは、と考えたのだ。
だが、この日は雨上がりと言う事もあり物凄い湿気だった。
不快指数は個人的には完全に100%。
時としてメガネが曇ってしまう程だった。
やはり「シケダケ」は「湿気タケ」なのかなぁ、と実感した次第。
さて、折角なので卵を幾つか持ち帰ってみた。
試しに一つを分解してみる。
まずは真っ二つに。
グレバの部分の内側に軸とレースに当たる部分が
圧縮されて収まっているのが見て取れる。
陰影を強調してみた。
笠(グレバ)部分の内側に
柄とマントの組織が見えるのが判るだろうか。
このキノコの場合、卵が割れて伸びるのは
所謂「成長する」と言うより
圧縮されていた状態の物が伸長し展開する、と言うのが正しいのだろう。
更に分解。
卵の外皮部分と中身を剥がす。
柄の根元部分の保護膜?を剥がす。
グレバ部分を外す。
グレバ部分の内側にマントが綺麗に収まっていた。
笠の内側がなんだか綺麗。
キノコとしてはこのグレバの所だけが
胞子を形成する点で必要な部分な訳で
軸もマントも必要不可欠とは言えないオマケみたいな物になるのだが
それでもわざわざ軸とマントを形成しなければならない理由が
このキヌガサタケ達にはあるのだろうなぁ。
謎だ・・・・・・
さて、別の卵は育ててみる事にした。
たっぷり水を含ませたミズゴケに埋めて観察する事に。
毎日観察していたのだが中々変化は現れず。
と、育て始めて5日目の朝。
いきなり卵が割れて本体が伸び出していた。
2時間後、マントが伸び始めて来た。
これからの展開がワクワク♪
だが当方、基本的に在宅で仕事をしているのだが
この日は出掛けなければならない日だった。
なのでギリギリの時間まで待ったのだが此処でタイムリミット。
用事を済ませて帰宅後、こんな状態に。
完全に伸長は終わってしまっていた。
普段ずっと家に居るのに何でこんな日に限って。
嗚呼・・・・・・
折角ならこれを食べる事に。
ウ●コ臭では無いとは言え、慎重にグレバ部分を取り外す。
因みに卵部分はこんな感じ。
上掲の分解作業画像の「柄の根元部分の保護膜?」は
実際に成長した際にはこの様に卵の側に取り残される組織だ。
柄とマントを鍋で煮る。
鳥ガラスープで味付け。
彩りに細かく切った人参も入れた。
で、実食。
乾燥品とはまた違った柔らかい食感で(゚д゚)ウマー♪
いやぁ、早朝から交通費を掛けて京都まで行った甲斐があったよ。
色々な観察も出来たし、中々得難い経験だった。
今後の目標は名古屋東部でキヌガサタケの発生坪を探す事だな。
そして今度こそは成長段階を最後までちゃんと観察したい物だ。
そしてまたあの食感を味わいたいなぁ・・・・・・
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当方はマダケの赤団子病を追い求めている。
※アーカイブスへのLINKは最下段にあります
名古屋東部の某公園の竹藪に良く発生して居るので
毎年定点観察をしているのだが
赤団子病が発生して居た竹が何本も刈られてしまっていた為に
今年はその場所で赤団子に遭遇する事が出来無かった。
赤団子が発生して居たから刈られたのか
刈った竹がたまたま赤団子が良く発生する竹だっただけなのかは不明。
どちらにしても残念。
また来年に期待したい所。
さて、竹を観察していると
赤団子以外の妙な物に遭遇する事が少なくない。
以前にも記事にしたが(アーカイブスの番外編参照)
それ以外の物もまだ幾つもある模様。
その一つがこちら。
一見なんでも無い竹の一枝だが実は妙な物が写り込んでしまっている。
お判り頂けただろうか・・・・・・
その部分をアップしてみる。
所々に付いている黒い粒々がそれ。
これは「マダケの小団子病」と言われる物。
Mycocitrus phyllostachydis(マイコシトラス フィロスタキディス)
と言う菌がマダケ類に寄生する事により発生する。
因みに属名のMycocitrus は「Myco」と「citrus」の複合語。
「Myco」は接頭語で「菌類の」の意味。
「citrus」は「シトラス」で柑橘類の意味。
つまり「Mycocitrus」とは「菌類の柑橘類」の意味となる。
何のこっちゃと思ったのだが「Mycocitrus」と言う属には
Mycocitrus aurantium と言う種類があり
それが柑橘類にしか見えない外見なので
これが属の基準名になっているのかも知れない。
Dr. D. Haelewatersさんのtwitterより引用
そして小種名のphyllostachydisはマダケの学名から来ている。
つまり「マダケに発生するMycocitrusの仲間」と言う事の由。
で、小団子病は実は結構発生して居ると思われるのだが
何分とても小さくて黒い上に先の画像の様に転々と発生し
枝一面にびっしりと群生する、と言う事も無いらしく
殆ど目立たない為に人の目に留まる事はかなり少ない様だ。
当方も赤団子病の事を色々調べていてその存在を知り
気を付けて竹を観察する様になって初めて気が付いた次第。
ご覧の様に枝の分かれ目、節の部分を選んで発生する様だ。
ぱっと見、そう言う部分にゴミが溜ってる様にしか見えないよなぁ。
さてこちらは天狗巣病の初期、所謂「つる状化期」の様子。
枝の先端が細かく分かれ始めた状態(「天狗の巣」参照→こちら)。
これがどんどん枝の分岐が激しくなり
何年も掛けて房状になって行く、その初期段階。
で、つる状部分を良く見ると其処にも小団子が。
その中の一部を切り取ってみた。
小団子の一つをアップにしてみる。
更にドアップ!
何か虫の糞みたいだなぁ・・・・・・
実際、たまたま小団子に目が向いたとしても
何かの糞と思われて無視されるのが関の山かもなぁ。
赤団子や天狗巣病に比べると、とても地味で控え目。
天狗巣病は最終的には寄主である竹を枯らせてしまうのだが
赤団子も小団子も、其処までの病原性は無い様に見える。
ひょっとしたら竹の中で常在菌として振る舞っているのかもなぁ。
特に小団子は、この控え目具合はとてもお淑やかだよなぁ。
勿論、当方には竹の気持ちは判らないので
実はとんだ厄介者と思って迷惑しているのかも知れないけれどw
所で赤団子は生薬として漢方薬に使われているのだが
小団子に関しては食用かどうかに言及された資料も見ないし
何がしかの薬効も毒も無い様だ。
まぁ、何せ物があまりにも小さいので
そう言う事を試してみよう、と言う気にもなれないだろうしなぁ。
粉末にして胡椒みたいに香辛料として使えたら面白いけど
それにしたって実用に足る量を確保するのはとても大変そうだ。
其処までしなくても、現代は様々なちゃんとした香辛料が
普通に買える時代だしね。
当方も敢えて試してみる気は無いよw
さてこの小団子。
この黒い状態で長期間残存するのでこうやって目に付くのだが
発生初期はもっと質感も色も違う状態との事(→こちら)。
黒いのは枯死してミイラ状になった物の由。
ミイラだから長期に残存出来るのだなぁ。
ミイラになる前の新鮮な状態の物に是非遭遇してみたい物だ。
それが今後の課題。
所で、今から12年前に撮影したこの画像。
これも小団子かと思って居た。
だが、この扁平な形からすると小団子では無くて
タケクロイボタケ(Coccodiella arundinariae)
だったのかも知れないなぁ。
タケクロイボタケは笹の葉の上に発生する種類との事だが
竹に発生する時は画像の様に葉柄に発生するのだと言う(→こちら)。
当時使っていたデジカメではあまり接写が出来無かった上に
当方の撮影技術も今よりアレだった為に
こんな画像しか撮影出来無かったのが残念。
それ以来遭遇出来ていないしなぁ。
赤団子、小団子だけで無く、タケクロイボタケにも気を付けて
今後観察して行かなければなぁ・・・・・・
※過去記事も併せてお読み頂けましたら幸いです
アーカイブス→こちら
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前回の記事でツバキキンカクチャワンタケの事を
「春の訪れを告げるキノコ」と書いたが
食キノコの収穫マニアに取っては
アミガサタケこそが「春を訪れを告げるキノコ」と言える。
桜が咲く頃になるとそわそわしてしまう物だ。
で。今年もアミガサタケは生えて来てくれていた。
いや、本当に有り難い事だ(-人-) ナム〜
こちらはシロA。
近年、発生を徐々に減らしていたのだが
今年はそれなりに出てくれていた。
今年はタイミングが良かったのかな。
有り難い有り難い。
こちらはシロB。
このシロは以前はかなり発生の多いシロだったのだが
焼却炉の撤去に伴って環境が変化した為か徐々に発生量を減らし
昨年は遂にゼロになってしまっていた。
だが、今年は少し発生してくれていた。
このまま回復してくれたら良いなぁ・・・・・・
こちらはシロC。
こちらもとても良く発生していたのだが
発生を見なくなってしまっていた場所。
それが5年振りに発生して居たのでびっくり!
とても立派な物だった♪
この場所はシロCとは言え、以前収穫していた場所からは
20m程離れた地点。
なのでシロC´と言うべきか。
シロCは直撃は逃れた物の、周辺が一部造成された為に
環境が変化してしまっていた。
元の場所で多数収穫して居た時には
この場所では発生して居なかったのは当時何度も確認している。
だが、造成によって恐らく土中の水分の流れが変化したのだろう。
その為、この場所がアミガサ向きの環境になったのだと思われる。
今後、この場所がどう変化するのか、注視して行きたいと思う。
他にもかなり奇形していた物も幾つかあった。
変形し過ぎて何がどうなってるのか。
これは収穫せずに来年に期待。
頑張って胞子を撒いておくれ!
こちらはシロD。
こちらも発生が減少していた為に暫く観察のみて
収穫は控えていた場所。
それが今年は10本程発生してくれていた。
なのでこちらも5年振りに収穫。
著しい変形や
ヘタってたり、虫害を受けた物は収穫せず。
これも来年に向けて胞子を撒いて貰わねば。
こちらはシロE。
此処はとても安定的に発生していてくれる。
いや、有り難いなぁ。
この場所でも曲がったのや
ヘタってるのもあったが、これは収穫した。
だが、鬱屈し過ぎて妙な事になってるコイツは収穫せず。
来年に向けて胞子を撒いて貰いたいけど
こんなのばかりで生えて来たら嫌だなぁw
いや、当方の勝手な都合でしか無いのだけど。
こちらはシロF。
此処も段々に発生が減って来ていた場所なのだが
今年来て見てびっくり!
完全に造成されてしまっていた。
木は殆ど伐採され、砂交じりの土で埋め尽くされたいた。
大物個体を輩出していたシロF-aは完全に消失してしまった!
残念だなぁ・・・・・・
実はこの場所はスミレホコリタケの残骸が
大量にあった場所でもある(→こちら)。
スミレホコリタケの再大発生の夢も潰えてしまった。
嗚呼・・・・・・
一時はこの場所だけで50本近く収穫していたシロF-bも
造成の直撃は逃れた物の
そのシロの発生環境を形作っていたであろう桜の大樹の枝が
とても大胆に伐られていたので
環境もかなり変わってしまっただろうなぁ。
その為か、今年は発生を確認出来無かった。
来年以降はどうなる事やら。
何とか踏ん張って欲しいけどなぁ。
今回登場しなかったシロG、シロH共に
様子を見に行ったのだがアミガサタケには出逢えず。
来年以降も観察は続ける予定。
そんなこんなの今年だったが
あちこちを駆けずり回り何とか50本程は確保成功。
上出来上出来♪
その中から、網目の形状や柄の付き方等で
差異がある物を抜き出してみた。
少なくとも5種類のアミガサタケが名古屋には混在しているのではと。
細かく調べればもっとあるのだろうけど。
こちらはシロEで収穫した物。
このシロで採取出来る物は手頃な大きさで、網目も緻密で綺麗。
贈答品には最適♪
なので、それを使って今年もネグラマーロにお裾分け。
他のお店には無い珍しい北イタリア料理が味わえるお店です。
名古屋へお越しの折には是非!
(食べログのページ→こちら)
他の手頃な大きさの物は乾燥保存する事にして
残りの形の良く無い物、虫食い痕のある物等を使って料理を。
普段は簡単にバターで炒めてパスタにする所だが
今年は一手間掛けてみる事に。
大量のオリーブオイルで炒め、牛乳を加える。
それをフードプロセッサーでペーストに。
それを生クリームで伸ばす。
其処にパスタを投入。
ソースが良く絡む様に、今回はフジッリで。
ブロッコリースプラウトをトッピングして映えさせるw
(゚д゚)ウマー(゚д゚)ウマー(゚д゚)ウマー
ワインが進む♪
これぞ春の贅沢だなぁ・・・・・・
また来年もこんな風に楽しめたら良いなぁ。
各シロの今後に注視しなければ。
何よりもキノコヌシ様のご加護有らんことを。
(-人-) ナム〜
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早春にだけ発生する、と言う種類も少なくない。
そのキノコの発生を見ると春を感じる。
言わば「春の訪れを告げるキノコ」だ。
その一つがこちら、ツバキキンカクチャワンタケ。
漢字で書くと「椿菌核茶碗茸」で
「椿で菌核を作る茶碗茸の仲間」の意。
早い物では1月から発生を始めると言う。
茶碗の直径は1cm程度の物が多く、色もご覧の通り地味なので
その気で探さないと見付ける事は中々難しい。
全くの偶然で遭遇すると言う事はまず無いだろう。
ツバキキンカクチャワンタケの事を知っているマニアでないと
見付けられないキノコだと言えるかな。
先に「椿で菌核を作る」と書いたが
このツバキキンカクチャワンタケの発生環境はかなり独特。
椿の樹下で、椿の落花が何年も放置される場所限定なのだ。
例えばこんな環境。
古い落花が降り積もり、雑草で覆われている為に湿度も高い。
この草むらを掻き分けるとこんな感じで遭遇。
この場所は余程環境が合っていたのか、他にも多数発生していた。
例えばこの場所。
民家の軒先で比較的地面は乾燥していたが
枯葉が厚く積もっており、それを掻き分けたら出て来た。
もっと探したかったけど、ご覧の様に他人の敷地内だったので
急いで探して一つ出て来たのでそれで納得し、
住人に見付かる前にそそくさと退散した。
この場所はどうか。
此処は落花がすぐに排除されてしまうので見付からなかった。
矢張りあまり手入れをされていない、
落花が何年も放置されている様な環境でないとダメなのだなぁ。
逆に言えば、そう言う環境の椿の樹下を探すと
結構な確率で遭遇出来るキノコではある。
そう言う意味では
キノコマニアでなくても見付けやすいキノコとも言えるかと。
さて、このツバキキンカクチャワンタケ。
古くなった椿の花びらを母体にしてキノコの菌が
「菌核」と言う、球根のようなものを作り
其処から柄を伸ばして先端に茶碗を広げる。
地上部はこんな感じだが
掘り出してみたらこんな状態。
この部分が菌核。
古くなった椿の花びらを菌糸が取り込んで
この様な菌糸の塊を作り、其処から柄を伸ばして
先端に茶碗を広げる次第。
菌核の形や大きさ、柄の長さには個体差が大きい。
こちらはまだ若いのか、小さくて茶碗の広がりが深い。
こちらは老菌なのか、縁が波打っている。
こちらは大きさが様々。
一番上はツバキキンカクチャワンタケとしてはかなり大きい個体。
1円玉と大きさを比較してみた。
1円玉は直径2cmなので、上の茶碗は直径2.5?かな。
直径1cm以下が中心なので、かなりな大きさだよなぁ。
こちらの個体は柄がやたらとまっすぐで長い。
こちらも結構長い。
当方が見た範囲ではこれくらいが多いかな。
並べて比較。
こちらは花びらではなく、萼(がく)を菌核にしている。
これまで結構な量のツバキキンカクチャワンタケを見て来たが
こう言うのは初遭遇。
画像検索すると他にも例があるので
全く無い訳では無いみたいなのだが、あまり多くは無い様だ。
右側の個体は例の2.5?の傘径の物。
菌核は小さいが傘はやたらと大きい。
左のは幾つもの傘に栄養が分散したので小さくて
右のは一つなので傘が大きくなったのかなぁ。
このツバキキンカクチャワンタケ。
先に書いたように古い椿の落花のみに発生するのだが
似た様な生態を持つキノコは少なくない。
・イチリンソウ等をホストとするアネモネタマチャワンタケ
・ドングリを菌核化するドングリキンカクキン
・朴の木の実を菌核化するCiborinia gracilipes (キボリニア グラキリペス)
※ホオノキキンカクキンまたはホオノキチャワンタケの仮称がある由
・ハンノキの花序を菌核化するCiboria amentacea(キボリア アメンタケア)
※ハンノキキンカクキンとも言う由
・桑の実を菌核化するキツネノワン
他にもあるだろうが、当方は何れも未遭遇。
生態が似ているのならば「〜キンカクチャワンタケ」で
和名を統一した方が判りやすいとも思うのだけど
まぁ、事はそう単純には行かないのだろうなぁ。
尚、似た様な生態と書いたがアネモネタマチャワンタケだけは
ツバキキンカクチャワンタケ等とは異なっていて
生きている根に寄生する為に「根腐れ病」の病原菌となっている。
実はツバキキンカクチャワンタケも古い資料には
「ツバキキンカクビョウキン」と書かれている物もあるのだが
椿の生木に対しては病原性が無い為に
ツバキキンカクチャワンタケと改称された物と思われる。
尚、花に対しては褐変の病徴を引き起こす。
感染した花が数年後に菌核となって、また子実体を発生させるのだ。
さて、LINK先を見て頂ければ判るのだがどれもとても良く似た外見だ。
子実体だけを見たらどれが何だか良く判らない。
それ以外にもチャワンタケの仲間は大体こんな見た目だしね。
なので、撮影する場合は
ホストの植物を入れるのがお約束となっている。
ツバキキンカクチャワンタケの場合は当然椿の花。
こうすれば「あぁ、これはツバキキンカクチャワンタケなんだな」
と他人にも判るし、後で画像がごっちゃになったとして
自分で迷う事も無くなると言う物。
なので、上掲の画像でも椿の花を映し込んでいるのが多い次第。
さて、このツバキキンカクチャワンタケ、食毒は不明。
何となく毒ではない可能性が高いと思うのだが
今の所食べた人はいない模様。
食キノコとして扱われるのには毒ではない事は勿論当然なのだが
「食べで」がある事が重要だろう。
何せツバキキンカクチャワンタケは小さい。
そして、一か所でそう大量に採れるキノコでは無い。
ツバキキンカクチャワンタケを食べようとした時に
食べた!と言う感覚を得られる量を採取するのはとても大変だ。
それこそ「歯に挟まって終わり」になってしまうだろう。
これでツバキキンカクチャワンタケが美味でなかったら
苦労して大量に採取する意味も無い事になるしなぁ。
誰かツバキキンカクチャワンタケを食べてみてくれないかな。
それが頗る美味であったとしても、ゲロマズであったとしても、
または何の味が無かったとして、そして猛毒だったとしても
「あ、そうなんだ。なるほど〜」と納得したいしなぁ。
いや、自分でする気は無いのだけど本当にただ知りたいだけなのでw
どなたかどうぞよろしくお願い致しますm( _ _ )m
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