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2015名古屋アミガサタケ事情
と言う訳で今年も名古屋にアミガサタケの季節が来た。
今年は桜の時期にかなり雨も降ったので
大きく期待をしてシロ巡りをした。


最初に発生の確認を出来たのは
昨年発見したシロF。
昨年、大物が発生していたシロFーaには
今年も矢張り大物が発生していた。
F-morel (1).JPG
F-morel (2).JPG
とにかくゴツイ。

中〜小物が多数発生していたシロF−bには
昨年より少ないながらも矢張り中〜小物が発生していた。
F-morel (3).JPG
F-morel (5).JPG
F-morel (12).JPG

取り敢えず、これくらいの収獲。
F-morel (6).JPG
まずまずかな。

シロFーaの個体と並べてみる。
F-morel (7).JPG
とにかく大きさが違うから面白い。

シロF−aとFーbの違いと言えば周辺の樹種相。
どちらも桜はあるが、
F−aはヒノキの周辺、
Fーbはツツジの植え込みの中になっている。
その差が発生する種類の違いになるのだろうなぁ。

ふと見ると、地面に這いつくばって居る様に
生えている個体が。
F-morel (8).JPG

一つを掘り出す様にして取り上げてみる。
F-morel (9).JPG
妙に丸まった形に変形してしまっている。
一体何がどうなってしまっているのか。
何か不憫な気になってしまったので
収獲せずに元の場所に戻した。


次に同日、シロB。
此処は毎年安定的に発生しているシロだ。
B-morel (4).JPG
A-morel (4).JPG
A-morel (5).JPG
B-morel (1).JPG

が、思った程は生えていなかった。
B-morel (2).JPG
B-morel (3).JPG
まぁ、こんなもんかな。

此処は「マガリアミガサタケ」のシロでもある。
矢張り今年も大きく折れ曲がった個体が。
B-morel (5).JPG
安定してるなぁ。

と、こちらの個体。
手前のは傘の部分が殆ど無くなっている。
B-morel (7).JPG
カタツムリやナメクジが食べたにしてはあまりにも大規模。
こう言うのは恐らくヨトウムシに食べられたのだろうなぁ。
実は今回、収穫したアミガサタケの中に
ヨトウムシが入っていたのが幾つかあったのだ。
アミガサタケはヨトウムシにとっても美味しいのだろう。
 

8日後。
昨年、枯葉に分厚く埋められていた為に
アミガサタケの発生が望めなかったシロE.
これは昨年の様子。
amigasa2014-mk.JPG
で、こちらは今年の様子。
E-morel (1).JPG
枯葉はかなり腐葉土と化していた。

見ると幾つか発生が。
E-morel (7).JPG

E-morel (10).JPG
此処の個体は相変わらずトウモロコシ型だ。

と、妙な大きな個体が。
E-morel (2).JPG

取り上げてみると柄がやたらにゴツイ。
E-morel (3).JPG
E-morel (4).JPG
大量の枯葉が腐葉土になった為に
栄養を十二分に受けた結果だろうか。

こちらの個体は同じく柄がゴツイが
傘の網目が荒く、他の個体とは様子が違う。
E-morel (5).JPG
E-morel (6).JPG

そんな個体が他にも幾つか。
E-morel (9).JPG
多分、トウモロコシタイプとは種類が違うのだろう。

大きな個体は何故かどれも柄が極端に曲がっている。
E-morel (12).JPG
E-morel (13).JPG
それも不思議だなぁ。

一昨年、このシロを見つけた時には
生えていなかったタイプの種類が今回は発生していた。
大量の腐葉土で土壌環境が変わった影響なのだろうか。
来年以降、どうなって行くのか、要経過観察。



そして同日。
こちらはシロA。
A-morel (1).JPG
A-morel (4).JPG
A-morel (5).JPG
こちらも少ないながらも発生。
が、物陰みたいな場所にチョロッとあっただけ。
誰かにこのシロが見付かってしまったのかなぁ。
だとしたら残念だ。
まぁ、当方が文句を言う筋合では無いけどね。


所で、毎年大きな個体を幾つも収獲していたシロC。
今年は何故か一本も出て居なかった。
期間中に何回も偵察していたので
誰かに先を越されてしまった訳では
無いと思うが、今年はゼロ。
雨が少なくて地面が乾燥していた年でも
数本は収獲出来ていたのだが、今年はゼロ。
こちら↓は一昨年の収穫の様子。
amigasa-heiwa-5.JPG
15冂教蕕ザラだったのだけどなぁ。

伐り払われた周囲の藪が復活し
肉眼では昨年よりアミガサタケ向きな環境に見えたのだが
目に見えない部分で何か大きな変化があって
生える事が出来なくなってしまったのだろうか。
一体、地下で何が起きているのか。
謎だ・・・・・・

因みに、大きな個体が発生していたこのシローCは
桜の木の近くにスギが生えている環境。
ひょっとしたら大型アミガサタケとスギ・ヒノキは
何か関係があるのかも知れないなあ。
取り敢えず、どちらも要経過観察。


そして、傘の部分に対して
妙に柄の大きな個体が発生していたシローDも
今年はゼロだった。
因みにこちら↓は一昨年の収穫の様子。
amigasa-nittai-2.JPG
元々あまり量は多くないシロだったが
此処もゼロとはなぁ・・・・・・
矢張り名古屋の地下で何かが起こっているのだろうか……


アミガサタケとスギナの
熾烈なせめぎあいを演じていた(?)シローGも
今年は発生を確認出来無かった。
こちら↓は昨年の個体。
amigasa2014-ch-1.JPG

スギナに負けてしまったのかなぁ。
此処も要経過観察。


最初に「今年は桜の時期にかなり雨も降った」と書いたが
実際には桜がかなり咲いてから=
アミガサタケの発生時期になってから連日の雨だったので
雨のタイミング的には少し遅かった事になる。
もう1〜2週間ほど早めに降っていてくれたら
アミガサタケ的には良かったかもなぁ。
発生が少なかったのはそれも一因かと。

ただまぁ、アミガサタケからしたら
今迄気ぃ良く生えていたのに
当方がそのシロを見付けてしまったが為に
楽園を踏みにじられ荒らされた事になるのだ。
当方はアミガサタケからしたら侵略者なのだ。
生えたくなくなるのも、
生えたくても生えられなくなるのも当然だろう。
発生が少なかった一番の原因はこれだろうなぁ。
いや、申し訳無い事をした。
とは言え、矢張り来年も収獲を期待してしまうよ。


それでも何だかんだでそれなりに収獲。
その中で、傘部分のアミの形状、
傘部分の全体的な形状、
傘部分と柄の繋がり方等を観察して
少なくともこれくらいの種類には分けられるかな、と。
morel-var.JPG
勿論、DNA的にどうかは不明。

毎年、「マガリアミガサタケ」は少なくないが
今年は曲りどころか変形・奇形としか
言い様が無い個体が多かった気がした。
morel-strenge.JPG
中には奇形すぎて収獲しなかった物もあったし。
矢張り名古屋の地下で何かが起きつつあるのだろうか……
(∩;゚皿゚)ヒイィィィッッッ!

と、それはともかく、きれいなのを見繕って
今年もネグラマーロにお裾分けが出来た。
morel-present.JPG
段々予約の取り難い店になりつつあるネグラマーロ。
イケメンシェフによる北イタリアの郷土料理が
お値打ちで堪能できますので
名古屋へお越しの際には是非ドゾー(→たべログ)。

大部分は乾燥保存へ。
一部を生で調理。
morel-cook1.JPG
細かく切ってパスタに。
今回はブロッコリーと共に生クリームで。
morel-cook2.JPG
(゚д゚)ウマー


また来年もアミガサタケに再会出来たら良いなぁ。
そして、今年は叶わなかった新たなシロの発見もしたい。
それはつまり、新たに侵略の被害者を増やす、
と言う事になってしまうのだけどね・・・・・・


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ヘタ
2009年8月の事。
栗東市の某神社の境内の大きなクスノキで
こんな物に遭遇。
hetatake2009 (1).JPG
hetatake2009 (2).JPG
hetatake2009 (3).JPG
丸でコールタールの様な塊。
何だこれは???

こんな感じのキノコと言えばクロコバンタケがある。
クロコバンタケはクヌギ、コナラ等の枯木の樹皮下に発生し
成熟すると樹皮を丸く突き破り黒い子実体を露出させる、
と言う不思議な生態のキノコだ(→こちら)。

樹皮下に黒い子実体を形成させるキノコ、と言うと
以前「ニマイガワ」について記事を書いた事がある(→こちら)。
「樹皮下に形成される」「表面は黒いブツブツ」
と言う点で似ており
実際、検索をするとニマイガワをクロコバンタケと
混同していると思われる画像もあるが全くの別種。

で、そのクロコバンタケ。
検索しても56件しかhitしない(2015年2月現在)。
発生の少ない珍しいキノコ、との事だが
とても地味で目立たない為に
発生していても気付かれていないだけなのかも知れない。
実際、名古屋でも発生は確認されているので
当方も気付かずにスルーしてしまっているのかもなぁ。
実は何処にでもあるキノコだったりしてw

と、それはともかく、
クロコバンタケは樹皮下に発生するのだが
画像のキノコは材上に露出している。
これは別のキノコなのだろうか。
それとも、発生場所の関係で
たまたま露出してしまった個体なのだろうか。


翌2010年8月。
同所に行くと、こんな状態。
hetatake2010 (4).JPG
hetatake2010 (1).JPG
hetatake2010 (2).JPG
hetatake2010 (3).JPG
矢張り材上に露出している。
しかも幼菌なのか、丸い塊。

試しに一つ、手に取ってみる。
hetatake2010 (7).JPG
実は2009年の遭遇時、コールタールの様な部分を
落ちていた小枝で突いてみた所、
そのベタベタがくっ付いて来てしまった為
迂闊に採取も出来なかったのだが
今回は幼菌で、ベタベタが露出していなかったので
この様に収穫する事が出来た次第。

裏返してみると柄に当たる部分が確認出来る。
hetatake2010 (5).JPG
hetatake2010 (6).JPG
こうして見ると、大きなカイガラムシか何かみたいだ。

ナイフで真っ二つにしてみる。
hetatake2010 (8).JPG
結構硬く、切るのに一苦労。

一つ一つのツブツブは子嚢殻。
此処で胞子が形成される訳だ。
hetatake2010 (9).JPG
断面だけを見ると、チョコクッキーみたいだw
とてもキノコには見えないよなあぁ。


更に翌2011年8月。
こんな状態。
hetatake2011 (1).JPG
hetatake2011 (2).JPG
hetatake2011 (3).JPG
hetatake2011 (4).JPG
矢張りこれはクロコバンタケが
外に出てしまった物では無い模様。
一体何だろう……???

で、調べた所、どうやらこれは「ヘタタケ」らしい。
このヘタタケの「ヘタ」は
「下手」では無く「蔕」、つまりコレ↓の事。
hetatake2014 (3).JPG
ミカンや柿の蔕みたいな形のキノコ、との意味だ。

2011年の分の最後の画像の個体を持ち帰り
乾燥標本にしたのがこちら。
hetatake2014 (1).JPG
hetatake2014 (2).JPG
hetatake2014 (4).jpg
コールタールの様な質感は消え、マットな状態になった。
こうなるとますます「蔕感」が増している。
ひょっとしたらこの様な状態の物を見て
「ヘタタケ」と命名されたのかも知れないなあ。

学名で言うと Camarops petersii。
因みに、クロコバンタケの学名は  Camarops polysperma。
実はヘタタケとクロコバンタケは
同じ「ヘタタケ属」のキノコなのだ。
似ているのも当然と言えよう。

試しに「ヘタタケ」で検索をすると
28件しかhitしない(2015年2月現在)。
クロコバンタケより発生が少ない様だ。
「ヘタタケ属」と、クロコバンタケを自分の配下に置きながら
ヘタタケより目立ちにくい筈のクロコバンタケより観察例が少ない、
と言うのも何とも不思議な話だ。

『日本産菌類集覧』によるとヘタタケの和名登録は1980年、
クロコバンタケは1986年との事。
たまたま日本ではヘタタケの方が先に発見されてしまったので
そんな事態になったのだろうかなぁ。

因みに学名で世界中の検索をしても
Camarops petersii(ヘタタケ)では1360件。
Camarops polysperma(クロコバンタケ)では2450件。
世界的に見てもクロコバンタケの方が多い。
クロコバンタケからしたら忸怩たる思いがあるのかも知れない。

と、それはともかく、ヘタタケ属は全世界でも
10種程度しかない小さな属。
日本産種は今の所、ヘタタケとクロコバンタケだけらしい。
せっかくだからクロコバンタケにも遭遇して
日本産ヘタタケ属を制覇したい物だ。
上述した様に名古屋での発生は確認されている。
あとは当方の探索次第。

そして、栗東市のヘタタケにもまた遭遇したい物だ。
実は2012.2013年には遭遇出来無かった。
2014年は行く機会は無かった。
何時かまた、採取したい物だ。
クロコバンタケも採取・標本にして
日本産ヘタタケ属のコンプリートモデルを作りたいなぁ。

で?と言われたらそれまでだけどw


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2014名古屋アミガサタケ事情
JUGEMテーマ:趣味

と言う訳で名古屋にもアミガサタケの季節が来た。
今年は桜の時期に良い感じで雨も降ったので
かなり期待してシロ巡りをした。

何時ものシロA。
期待して行ったのだが、
最初に見た日には全く生えていなかった。
後日再度訪れた所、やっと数本を発見。
amigasa2014-itB-1.JPG
amigasa2014-itA-3.JPG
この場所は周辺の樹木が2本伐られていた。
当方の目にはほんの少しの変化にしか見えないのだが
アミガサ的には致命的な環境変化だったのだろうか。
今後、回復する事を切望する限り。

近くにはこんな個体が。
amigasa2014-itB-2.JPG
柄が異様に太かった。
単なる異常発育なのか、
本来は2本になる筈だった物が融合してしまったのかは不明。


続いてシロB。
こちらは例年安定的に発生する場所だったのだが
今年は妙に少なく、去年の半分以下だった。
amigasa2014-ke-3.JPG
amigasa2014-ke-2.JPG
amigasa2014-ke-1.JPG
それでも何とか収穫はあった。

そしてこのシロは「マガリアミガサタケ」の
安定的発生地点でもある。
今年はそれも殆ど無かったのだが
1本だけ妙に歪んだ個体があった。
amigasa2014-ke-4.JPG
amigasa2014-ke-5.JPG
あまりに歪み過ぎていて
画像にその歪み具合を写しきれなかった。
何がどうなってこんな歪み方をしたのだろうかなぁ。
成長過程を考えると不思議でならない。


そしてシロC。
此処は昨年は結構な発生があったのだが
今年はとても少なかった。
周囲の笹薮が刈り払われてしまった影響なのだろうなぁ。
amigasa2014-itA-1.JPG
amigasa2014-he-4.JPG
amigasa2014-he-2.JPG
amigasa2014-he-1.JPG
それでも何とか収穫はあったので良しとせねば。
来年はどうかなぁ。
ちょっと不安。


そしてシロD
此処もとても発生が少なかった。
amigasa2014-ni-2.JPG
amigasa2014-ni-1.JPG
収穫出来たのはこの2本だけ。

にしても、このシロのアミガサは
傘部分と柄部分のバランスがおかしい。
上画像の個体が顕著だが、
傘部分に比べて柄が異様に大きいのだ。
因みにこちら↓は昨年発生していた個体。
amigasa-nittai-2.JPG
とにかく妙に柄がデカイ。
アシブトアミガサタケと言う
標準和名を持つアミガサタケは既にあるので
「アシデカアミガサタケ」とでも言うべきか。


こちらはシロE。
発生坪が枯葉に完全に埋め尽くされていた。
amigasa2014-mk.JPG
これは自然に堆積したのではない。
一帯の落ち葉を此処に集積した様だ。
此処はちょっとした窪地だったので
20儖幣紊和論僂靴討い詒Δ澄
このシロの個体はトウモロコシの様で
ちょっと独特の形だったのだが
これではアミガサの発生は望めない。

因みに、こちら↓は昨年発生した物。
amigasa-makino-3.JPG
傘部分が円筒形で長く、網目が緻密なので
トウモロコシぽく見える。
名古屋特産?の「コーンアミガサタケ」の
発生坪が消滅してしまっては残念だ。
来年は発生して欲しいなぁ。


それにしても今年は何処のシロも発生量が少ない。
雨もそれなりに降ったと思うのだけどなぁ。
今年の名古屋東部は裏年なのかなぁ。
どのシロも誰かに先を越された訳では無いと思いたい。


そんな中、今年新たに見付けたシロF。
イキナリこんな大型の個体に遭遇したのでビックリ!
amigasa2014-jnA-1.JPG
amigasa2014-jnA-2.JPG
しかも周囲には残骸状態の大きな個体が幾つも。
この場所は大型の個体が密生する場所だったのだなぁ。

実はこの場所。
以前から目を付けていた場所だったのだ。
それが今年初めての遭遇。
狙いが当たって嬉しかった。
とは言え、この個体が発生していたのは
当方が目を付けていた場所の隣の空き地。
ピンポイントで当たった訳では無いのがちょっと悔しい。

それでも新たなシロを発見した訳で
シメシメ、とバイクで帰途に就こうとした所、
道の脇にアミガサを発見!
これ↓が
amigasa2014-jnB-1.JPG
amigasa2014-jnB-2.JPG
に生えていたのだ。

びっくりして周囲を探したら
植え込みの中に多数のアミガサを発見。
amigasa2014-jnB-3.JPG

こんな形の個体が幾つかあった。
amigasa2014-jnB7.JPG
昨年、シロEに発生していた個体に形が似ている。
より鈍頭なのは個体差なのか、そう言う系統なのか。
柄もやや太目かな。

で、結構な収穫があった。
amigasa2014-jnB-5.JPG

此処にもあった「マガリアミガサタケ」。
amigasa2014-jnB-4.JPG
此処まで来ると、マガリと言うより
「オジギアミガサタケ」と言うべきかw

この場所は、ついさっきの
新たなシロ発見!となった場所のすぐ近く。
先程のシロは、元々目を付けていた場所の奥、
とでも言うべき場所で
こちらは元々目を付けていた場所の手前、と言った所。
奥と手前で、何でそう言う風に
ピンポイントから少しズレるのかなぁ……
悔しいw

それにしても、1本のアミガサが
斜面に突き出ていたので気付いたのだが
この場所は何年にもわたり、何度も通っていたのだ。
こんなに素晴らしいシロなのに
今迄気付かずに通り過ぎてしまっていたのだとしたら
実に悔しいなぁ。
それとも、たまたま今年はこの場所が当たり年だったのだろうか。
経過観察が必要だ。
来年が楽しみだなぁ。


更に、新たに発見したシロG。
小ぶりのアミガサが数本出ていた。
amigasa2014-ch-2.JPG
amigasa2014-ch-1.JPG
形と言い、色合いと言い
チブル星人シーボーズ、もしくは吹雪饅頭を連想させるなぁ。

この場所は桜とイチョウがあり
適度に日陰で土壌水分も十分、と
その点だけを見ると実にアミガサ的な場所なのだが
実はあまり期待はしていなかった。
と言うのも、この場所にはスギナが多く生えていたからだ。

アミガサはアルカリ性土壌を好む、と言う。
それに対し、スギナは酸性土壌を好む、と言うのだ。
なので、アミガサハンターの間では
スギナの生えている場所には
アミガサタケは生えない、と言われているのだ
なので、この場所にアミガサタケは
期待出来無い事になる。

とは言え、「絶対!」と言う訳では無いだろうから
ぬるく期待をしていたのだが
今年になって初めてこの場所での発生を確認した。

画像では判り難いが、アミガサ発生地点のすぐ傍に
スギナが生えている。

このタイプのアミガサタケは
スギナの生える様な土質にも発生出来る種類なのかもなぁ。

ただ、スギナと土質の関係には諸説あり
実は酸性土壌とは関係無いのだ、とも言う。
そうなると上記の話もあやふやになってしまうなぁ。
ひょっとしたら酸性アルカリ性関係無く、
スギナの生える土壌はアミガサタケに向いていない、
もしくはスギナが放出する何らかの物質が
アミガサタケを排除しているのかも知れない。
上の画像でもスギナとアミガサタケは隣接しているだけだ。
今後、スギナが勢力を拡大すると
アミガサタケは発生しなくなってしまうのかもなぁ。
この場所も要経過観察だ。
とても小さな個体ばかりで、本数も少ない為、収穫はせず。
あくまでも観賞用シロかな。


そんなこんなで今年収穫出来た中から
特徴が違って見える個体を並べてみた。
amigasa2014.JPG
各々、別種として分類される物なのかもなぁ。
名古屋特産の種類もあるかもね。
顕微鏡もDNA解析機も持ち合わせていない当方には
勿論判らないが。
因みに、シロGの個体は明らかに別種と思われるが
食用として収穫しなかったので此処には無し。
此処に並べても小さ過ぎて良く判らないだろうし。

それはともかく、今年もネグラマーロへのお裾分けが
出来たのは良かった。
osswk2014.JPG
最近、各所で評判のネグラマーロへ
皆様も是非ドゾー(・∀・)つこちら


今年は友人にもお裾分けをし、
残りの一部を生で調理。
coock2014-1.JPG

ポテトグラタンにしてみた。
coock2014-2.JPG
ワインに合って(゚д゚)ウマー


今年は新たなシロの発見もあって
何とか例年並みの収量を確保出来て良かった。
勿論今後も新たなシロ探しは継続する予定。
それと共に、各所の経過観察も続行。
スギナとの攻め合いも見届けたいしなぁ。

今から来年の春が楽しみだ(^−^)


 
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2013名古屋アミガサタケ事情

以前、少し触れた事があるが
『冬虫夏草の科学』と言う本によれば
愛知県の大部分は花崗岩地域の為、
保水力が無く土壌が乾燥しやすく
冬虫夏草に取っては劣悪な環境なのらしい。

保水性が無い、と言う事は
水はけが良い、と言う事で
人間が生活する分には良いのだろうが
冬虫夏草に限らずキノコ的にはとても厳しい事になる。

何と名古屋はキノコにとって鬼門だった様だ。
確かに東大阪に比べて乾燥気味で
キノコが少ないなぁ、とは感じていた。
東大阪より都会だ、と言うのもあるだろうが
そんな要因だったとはなぁ。

だが、多くないとは言え
名古屋にもアミガサタケは発生している。
土壌に水分が補給さえされれば
生えて来るだけのポテンシャルはある様だ。
ただ、そう言う場所がとても少ない次第。

そして、アミガサタケの旬は短い。
その丁度良い時期に、丁度良い具合に
雨が降って水分が供給されないと発生が望めない事になる。
だが、今年はその時期に上手い具合に雨は降ってくれなかった。
なのであまり多くを望めない・・・・・・
そんな中で、とにかく今年も
アミガサタケを求めて名古屋をさ迷った。
で、今年の成果。


去年見つけたシロA。
中々良い環境の場所だったので
今年は大いに期待をして行ったのだが
案に相違して全然生えていなかった。
まさか誰かに先を越された???
amigasa-idaka-1.JPG
amigasa-idaka-2.JPG
それでも何とか収穫はあった。
此処の個体は柄が短く、全体的にずんぐりとした感じ。



こちらは何時ものシロB。
amigasa-kenchu-1.JPG
此処は毎年安定して収穫できる場所なのだが
それでも去年よりは少なかった。

此処の個体は傘の網目が少し大振り。
amigasa-kenchu-4.JPG
ややもするとヒロメノトガリアミガサタケぽく見える(→こちら)。

amigasa-kenchu-5.JPG
そして柄の部分も大きめ。

このシロのアミガサは大きさがまちまちなのも特徴的。
amigasa-kenchu-6.JPG
大小の差があまりにも極端だ。

因みに、今年も生えていた「マガリアミガサタケ」。
amigasa-kenchu-2.JPG
amigasa-kenchu-3.JPG
この場所特産なのかなぁ。

※「マガリアミガサタケ」は
 当方が冗談で勝手に命名した物です。
 余所で使って怒られても責任は取れません・・・・・・



こちらも何時ものシロC。
amigasa-heiwa-2.JPG
今年は此処の環境がアミガサ的に改善していたので
去年より発生が多かった。

と、此処にも「マガリアミガサタケ」が。
amigasa-heiwa-3.JPG
amigasa-heiwa-4.JPG
シロB以外では初めての発見。
「マガリアミガサタケ」は勢力を広げているのだろうか。
このまま名古屋独自のキノコとして発展して行ったら面白いのだけどなぁ。

此処の個体は傘の網目はシロBに比べると細かい。
amigasa-heiwa-1.JPG

柄の部分はやたらと大きいのが多いが
全体的に大型なのも特徴的。
amigasa-heiwa-5.JPG
15cm超級がざらざらあった。



そして、今年新たに見つけたシロD。
amigasa-nittai-1.JPG
此処は前から目を付けていた場所。
今まで見つからなかったのに、何故か今年になって初収穫。 
たまたま今年の気候条件の何かが
此処の場所に取って具合が良かったのだろうか。
不思議だ。

ただ、当方が目を付けていたズバリその場所では無く
その隣の斜面にポツポツと生えていたのがちょっと悔しかった。
取りあえず今後も要注目。
amigasa-nittai-2.JPG
此処の場所の個体は傘の部分は小振りなのに
やたらと柄の部分がゴツく、バランスが悪いのが特徴的だ。



更に、今年見つけた新たなシロE。
この場所も付近を探し回っていたのだが
当方が目を付けていたズバリその場所では無く
そのちょっと脇の3畳程の小さな場所に
ちょろちょろと発生していたのが悔しかった。
此処の個体は今までに見た事の無いタイプ。
amigasa-makino-2.JPG
amigasa-makino-1.JPG
傘の部分が柄に比べてとても大きく、
しかも鈍頭で円筒に近い様な形。
更に傘の網目がとても細かく、緻密。
ちょっとトウモロコシぽい感じw
amigasa-makino-3.JPG
シロBの個体とは対照的だなぁ。


右からシロC、シロB、シロE、シロA。
こうやって並べてみると違いが良く判る。
因みに、シロDの収穫は別の日だったので一緒には並べられず。
amigasa-hikaku.JPG
とてもじゃないが同一種とは思えない。
恐らく、各々別種の「××アミガサタケ」として
分類されるべき物なのだろう。
勿論当方には正確な種類は判らない。
ひょっとしたら新種もあったりするのかもね。

それにしても、色々なアミガサタケが
一斉に生えて来る、と言うのも面白い物だなぁ。
まぁ、当方はただ「アミガサタケ」として全部食べてしまうけどね。


何時もは収穫するとすぐに乾燥保存していたのだが
今年は久し振りに生の物をバター炒めにしてみた。
amigasa-cook-3.JPG
ワインにとても良く合う。
(゚д゚)ウマー


更に一部は焼き肉をした際に
鉄板でカリカリになるまで焼いて食べてみた所、
これはこれで結構美味しかった。
amigasa-cook-1.JPG
amigasa-cook-2.JPG
アミガサタケ本来の味わい方では無いかも知れないけどね。



何だかんだで今年もネグラマーロ(→こちら)に
お裾分け出来る位には収穫があって良かった。
amigasa-share.JPG
来年もそれ位は収穫をしたい物だ。
それには、とにかく雨が降ってくれない事にはどうしようも無い。
花見客と、花見客目当ての商売の人には恨まれてしまうだろうけど
桜の時期に雨を願わずにはおれないよ・・・・・・



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| 子嚢菌類 | 00:05 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
2012年名古屋アミガサタケ事情

今年の春キノコもひと段落。
なので名古屋のアミガサタケの状況の報告を。

聞いた所によると、土壌の関係か
名古屋周辺はアミガサタケ不毛地帯の由。
名うてのキノコ猛者でも中々見付けられていない、との話。
と言う事は、当方のフィールドはかなり環境が良い部類なのだろう。
実に有難い事だ。

それでも今年も新たなシロを求めてあちこちを徘徊。
旬が短いので勢い一日の移動距離が長くなる。
そして見付けた新たなシロ。
amigasa-120413-it-1.JPG
amigasa-120413-it-2.JPG
小規模ながら安定的な環境なので今後に期待出来そう。
2回に分けて5本の収穫。


更に新たなシロ。
此処はミクロなサイズだけだった。
amigasa-120416-hg.JPG
amigasa-120423-hg.JPG
今後も収穫は期待出来無いけど、可愛いから良いかw
あくまでも鑑賞用シロ。
標本にする為に1本だけ採取。

 
昨年、造成されて消滅したと思ったシロは
辛うじて残った周辺部分に少し出ていた。
amigasa-120423-hw-1.JPG
amigasa-120423-hw-2.JPG
amigasa-120423-hw-3.JPG
だがこれも恐らく今年限りだろう。
ご覧の様に、メガ物を輩出していたシロだけに本当に残念だ……
取り敢えず4本を収穫。


昨年見つけた新たなシロ。
大いに期待して見に行った所、造成こそされていない物の
灌木や下草が刈り取られて環境が大きく変わってしまっていた。
amigasa-120418-gk.JPG
「樹木を大切に」の標識が虚しい。

指定樹木さえ伐らなければ
その樹木と周囲が織りなす環境はどうなろうと関係無い、と言う事なのだろう。
いや、アミガサタケが採れなかったから
文句を言っている訳では無いのだけどね(多分w)。

それでも何とか3本を収穫。


そして、何時ものシロ。
此処は安定して発生している。
今年は天候も合ったのか、かなり纏めて発生していた。
中でも目立ったのがひん曲がった個体。
例年、1〜2本は発生していたのだが
今年は何故かとても多かった。
magari-120412-3.JPG
magari-120412-4.JPG


これは転がっているのではなくて
根本から折れ曲がっていた為に
横倒し状態になってしまった物。
magari-110411.JPG
magari-100405-1-2.JPG
こんな個体も多かった。

こちらは更にひん曲がってる。
magari-120416-1.JPG
magari-120412-1.JPG
magari-120412-2.JPG


これは完全に折り畳まれている。
まるで携帯電話を閉じた状態みたいだ。
magari-120416-2.JPG
magari-120416-2-1.JPG
magari-120416-2-2.JPG
良く見たら、アミガサの先端と、柄の根元が癒着していた。
だから此処まで綺麗に折り畳まれた模様。
原基形成(キノコとして成長する前の、菌糸の集合した状態)から
どう言う経過を辿ってこの様に成長したのか、
考えると不思議でならない。

この場所にはこんなにも曲がった個体が多い、と言うのも不思議な話だ。
此処の個体はひん曲がるDNAが固定されているのかもなぁ。
と言う事は、ひょっとして「マガリアミガサタケ」と言う新種かも。
奇形と思われていた、渦巻きにならないアンモナイトが
実はそう言う種類だった、なんて事もあるのだ(→こちら)。
折れ曲がるタイプのアミガサタケがあっても不思議では無い。・
ひょっとしたら、トガリアミガサタケが
「マガリアミガサタケ」に進化している、正にその瞬間に
当方は立ち会ったのかも知れない。
なんてねw

そんなこんなで30本程を収穫。
そう言う訳でこのシロでは収穫量自体はそこそこあるのだが、
綺麗な形の物が中々採れない。
amigasa-120412-get.JPG
勿論、食べる分には問題無いのだけどね。

で、形の良い物を幾つか見繕ってパック詰め。
近くに丁度ヒノキがあったので、それを敷いてマツタケ風にw
amigasa-120416-gift.JPG
何時も色々と無理を聞いて頂いている
近所のイタリア料理店「ネグラマーロ」へお裾分け。

開店準備中で忙しいお店に伺い、手渡す。
イキナリ押しかけて押し付けた訳なので
どう思われたのか、やや不安・・・・
すると、シェフはその事をblogに書いて下さった(→こちら)。
喜んで頂けた様で良かった。

後日、お話を伺うと
イタリアではアミガサタケは利用されてはいる物の
それはフランスからの輸入物で殆ど流通もしておらず、
それこそ超高級食材になるのだとか。
更には、とても小さな物しか使われていない、との事。
ふーん、それは意外だなぁ。

因みに、手元のイタリア語のキノコ図鑑には
アミガサタケが載っていたので発生していない訳では無いのだろう。
ただ、流通する程は収穫出来無い、と言う事なのかもなぁ。
ある意味、マツタケ以上の高級食材なのだなぁ。
マツタケと違う点は、マツタケは日本人以外は殆ど食べないから
海外からどんどん輸入されるけど
アミガサタケは産出国でも人気のキノコの為に
輸出に回されるのはショボイ物だけだ、と言う事か。

ヨーロッパでは何処でも採れる物、と思っていたので勉強になったなぁ。
どうも有難う御座居ましたm( _ _ )m
皆様の名古屋へお越しの際には是非ネグラマーロへ(→こちら)。
イケメンシェフの渾身の料理がとてもお値打ち価格で楽しめます♪


収穫したアミガサタケは全て乾燥保存。
またその内、ネグラマーロに預けて美味しい料理にして貰おうかな。

さて、来年はどうなるか。
既存のシロの充実も願いたいし、新たなシロの発見もしたい。
とにかくこんな風に、平和に収穫が出来れば良いなぁ・・・・・・

(-人-) ナム〜


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| 子嚢菌類 | 00:05 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
Sepedonium 色々
今回は前回の話のオマケ。

前回、 Sepedonium chrysospermum (分生子型アワタケヤドリ)は
色々なイグチ類に寄生する、と書いた。
なので、その「色々」を以下に列挙。


2011年の名古屋東部はベニイグチの発生がとても多かった。
そうなると、それに応じてベニイグチの Sepedonium も
とても多く見掛けた。
ベニイグチとはその名の通り紅色で、
比較的大きくなる為に、とても目立つイグチだ。
beni.JPG

こちらは老菌の傘に白い菌糸が広がり始めている。
beni-sepe-1.JPG

こちらは前回も使った画像。
大きなベニイグチのあちこちに菌糸が広がっている。
Sepe-N110909.JPG

左の個体は全体が白くなってしまっている。
右の個体はまだ傘だけが白い状態。
beni-sepe-2.JPG
左の個体は柄の部分だけが肥大した上に屈曲し
傘の部分は極端に小さい状態の奇形化となっている。

こちらも柄が極端に肥大化している。
beni-sepe-3.JPG
柄の凸凹は、寄主であるベニイグチの柄の網目が
そのまま出ている物。

こちらは分生子が成熟し始めた為に黄色くなりかかっている。
beni-sepe-4.JPG
完熟するともっと綺麗な黄橙色になる筈だ。
この様に「赤→白→黄橙(なりかけ)」と言う変遷を観察出来た。


同じく2011年の名古屋東部はキアミアシイグチも多かった。
kiami-1.JPG

キアミアシイグチは文字通り柄の網目がとても顕著。
kiami-2.JPG

で、キアミアシイグチも多くが Sepedonium にやられていた。
kiami-sepe-1.JPG

こちらは柄の下部が菌糸に覆われていない為に
寄主がキアミアシイグチだと確認出来る。
kiami-sepe-3.JPG

こちらはすっかり菌糸に覆われ全体が白くなってしまっている。
kiami-sepe-2.JPG
傘の付け根の一部が露出していて
寄主がキアミアシイグチだと確認出来る。
こちらは「黄褐色→白」までだったのが残念。


こちらはヤマイグチ。
岐阜県荘川村内にて撮影。
yama.JPG

こちらは4日後の様子。
yama-sepe.JPG
萎びて倒れ、傘が白い菌糸に覆われている。
こちらも「灰黒色→白」止まり。


こちらはブドウニガイグチ。
こちらも岐阜県荘川村内にて撮影。
budouniga.JPG

こちらは傘裏左側が白い菌糸に覆われている。
budouniga-sepe-1.JPG
白い部分の右側の一部は胞子が成熟し、黄色くなっている。
管孔が元々黄色っぽいので良く判らないが……

こちらは全体が真っ白。
budouniga-sepe-2.JPG
発生場所の状況から寄主はブドウニガイグチだと思われる。

こちらは柄の部分に地色のブドウ色が透けて見えている。
budouniga-sepe-3.JPG
こちらは「紫色→白→(一部)黄橙」と言う変遷を観察出来た。


こちらはムラサキヤマドリタケ。
こちらも岐阜県荘川村内にて撮影。
murasaki.JPG

こちらは柄の根元部分がうっすら白くなっている。
murasaki-sepe-1.JPG

やがてこの様に全体が白く覆われる事になるのだろう。
murasaki-sepe-2.JPG
回りの状況と、柄に浮かぶ凸凹模様から
寄主はムラサキヤマドリタケだと推定出来る。
こちらは「紫色→白」止まり。


こちらは成熟した「分生子型アワタケヤドリ」。
Sepe-R060830-1.jpg
菌糸で覆われて白い物も
やがてこの様に、とても鮮やかな黄橙色になる。


所が、一見すると成熟した「分生子型アワタケヤドリ」だが
実は元からそんな色のイグチもある。
それがこちら、ハナガサイグチ。
色の鮮やかさを「花笠」に見立てた命名なのだろう。
hanagasa.JPG
もとから鮮やかな黄橙色な上に、マットな質感なので
遠目では「分生子型アワタケヤドリ」の成熟個体に見えてしまった。

で、そんなハナガサイグチも矢張り
Sepedonium にやられてしまう。
hanagasa-sepe.JPG
成熟するとこれも黄橙色になる筈だ。
つまり「黄橙色→白→黄橙色」と言う変遷を辿る事になる次第。
最終的な黄橙色を見届けられなかったのが残念……


こちらはキイロイグチ。
こちらも元々黄色いイグチだ。
kiiro.JPG

キイロイグチも矢張り Sepedonium にやられていた。
kiiro-sepe-1.JPG
だが、傘の表面にも濃褐色の水滴が点在していた。 

傘裏には大きな水滴がビッシリ!
kiiro-sepe-2.JPG
恐らくこれは分解水だろう。
分解水とは、菌糸が有機物を分解した際に
放出される余分な水分の事。
実は上で真っ白になったブドウニガイグチにも
小さな水滴が点在しているのだが
こんなに派手に水滴が付いているのにはびっくりした。
それだけ菌糸がキイロイグチを旺盛に分解している、と言う事なのだろう。
これもその後の様子を観察出来無かったので
「黄→白→黄橙」の変遷を見届けられず残念。


他に、名古屋東部では白いイグチの発生に遭遇しているが
その時は Sepedonium の寄生は確認出来無かった。
「白→白→黄橙」が観察出来ず残念。

また、黒系イグチ及び緑色系も発生していたが
そちらも Sepedonium は確認出来ず。
「黒→白→黄橙」「緑→白→黄橙」も見たかったなぁ。

もし青系イグチがあるならば
それの Sepedonium も是非見てみたい物だ。
まぁ、見たからどうだ、て話では無いのだけどw

そんな楽しみ方もある、と言うお話でした(^−^)



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| 子嚢菌類 | 00:07 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
アワタケヤドリの事
※当方は顕微鏡を持っていませんので
  今回の記事で取り上げた菌類の種類は
  正確に同定された物ではありません。
  あくまでも肉眼で素人判断した物である事を
  お含みの上、お読み下さい m( _ _ )m 


キノコ、カビ等の糸状菌類は
有機物を無機物に分解する事で
栄養を吸収している。
つまり糸状菌類は有機物に依存、寄生しないと
生きていけないのだ。
寄生の相手が生体の場合は寄生菌となり
死体の場合が腐朽分解菌となる。
 
多くの糸状菌類は植物を相手にしているが
中には他のキノコに寄生する一群がある。
有機物を無機物に分解・吸収した事によって
形成、成長した有機物であるキノコを
栄養源にしている訳なのだ。
言わば、他の菌の上前を跳ねている、と
言って良いかも知れない。

その中でも一番良く見かけるのが
Sepedonium(セペドニウム)の仲間だ。
当方は菌類の寄生的性格の部分が好きなのだが
更に寄生的性格を持つ、この仲間が好きだったりする。
特にイグチ類に寄生する S. chrysospermum は
長らく当方の行動範囲であった東大阪市内、
現在の行動範囲である名古屋市内は元より
滋賀県栗東市内、岐阜山中でも良く見かけるので
全国的に良く発生しているのかも知れない。
以下、 S. chrysospermum の画像を列挙。

こちらは2007年7月3日、東大阪市内で撮影。
寄主は恐らくクリイロイグチ。
Sepe-H070703.JPG
全体がうっすらと白い菌糸に覆われているj。

翌日、7月4日の様子。
Sepe-H070704.JPG
完全に白い菌糸で覆われてしまった。

7月5日。
Sepe-H070705.JPG
黄色いのは胞子(分生子)の色。
かなり形成されている様だ。

7月6日。
Sepe-H070706.JPG
寄主は既に崩壊していた。


こちらは近くにあった別の個体。
既に全体が菌糸で覆われている。
Sepe-H070703B.JPG

黄色くなって来た。
Sepe-H070704B.JPG

かなり黄色に。
Sepe-H070705B.JPG

寄主が随分と萎びてしまった。
Sepe-H070706B.JPG

この様に、寄主のイグチ類を白い菌糸で覆い
橙黄色の分生子を形成するのが大きな特徴だ。
ただ、菌糸の覆い方や、分生子の形成具合には個体差がある様だ。


こちらは大きなベニイグチがまだらに菌糸に覆われている。
Sepe-N110909.JPG
2011年9月9日、名古屋市内。

こちらは菌糸がコブ状になっている。
寄主はクリイロイグチ?
Sepe-H050827.JPG
2005年8月27日。東大阪市内。

こちらは薄く均一に覆われている。
寄主(不明)の形がそのままなので
最初見た時は普通の白いキノコかと思ったw
Sepe-S070813-1.JPG
Sepe-S070813-2.JPG
良く見えないが、持った時の指紋の跡が付いてしまった。
2007年8月13日、岐阜県荘川村。

こちらは菌糸の影響で寄主が奇形となってしまっている。
寄主はベニイグチ?
Sepe-N110906.JPG
2011年9月6日、名古屋市内。

こちらはまるで力瘤を誇示している様だw
寄主はベニイグチ?
Sepe-N110805.JPG
2011年8月5日、名古屋市内。


こちらは菌糸がやや黄色くなり始めた状態。
以下、寄主は全て不明。
Sepe-N080708-1.JPG
2008年7月8日、名古屋市内。

こちらは更に黄色になって来ている。
Sepe-N080708-2.JPG
右の個体は一部は成熟しているが
一部はカビにやられ、黒くなっている。
2008年7月8日、名古屋市内。

こちらはコブ状菌糸がかなり黄色くなって来ている。
Sepe-N080905.JPG
2008年9月5日、名古屋市内。

こちらは完熟に近い個体。
Sepe-H070918-2.JPG
2007年9月18日、東大阪市内。

こちらは完熟近くの個体と、未熟個体が寄り添っている。Sepe-H070918-1.JPG
2007年9月18日、東大阪市内。

こちらは傘裏、ヒダの部分のみが完熟していて
まるで砂糖菓子の様に見えるw
Sepe-N100917.JPG
2010年9月17日、名古屋市内。

こちらは完熟した個体。
薄暗い森の中で実に良く目立っていた。
Sepe-R060830-1.jpgSepe-R060830-2.jpg
寄主の形が比較的良く残っている。
2006年8月30日、栗東市内。

こちらは寄主がやや萎びた感じ。
Sepe-H070702.JPG
2007年7月2日、東大阪市内。

こちらの完熟個体はかなり萎びていた。
Sepe-N110826-1.JPG
Sepe-N110826-2.JPG
2011年8月26日、名古屋市内。


こちらはかなり崩壊して、殆ど残骸の状態。
Sepe-zanN110930.JPG
2011年9月30日、名古屋市内。

そして最終的には跡形も無く消えてしまう。
Sepedonium-zan.JPG
2005年8月31日、東大阪市内。

この様に、いずれかの段階の物を
毎年必ず見掛けている。
それだけ発生が多い、と言う事だろう。


所で以前、当方はこの Sepedonium chrysospermum を
「Hypomyces(ヒポミケス)菌の一種=アワタケヤドリ」として
色々な人に説明していたが
それは完全な間違いでは無い物の、実は正確では無かった。
本来の「アワタケヤドリ」はこちらなのだ。
Hypomyces-3.JPG
Hypomyces-4.JPG
表だけから見ると、褐色系イグチの何かに見えるが
裏を見ると、全体が何かの菌に覆われているのが良く判る。
全体の質感としてはタケリタケ(→こちら)に似ている。
2011年9月6日、名古屋市内。

こちらは形がタケリタケっぽいw
Hypomyces-1.JPG
Hypomyces-2.JPG
2009年8月5日、名古屋市内。

こちらの学名は Hypomyces chrysospermus 。
見た目も全然違う Hypomyces chrysospermus と
Sepedonium chrysospermum は、
実はとても深い関係にある。
Hypomyces chrysospermus は有性世代、
つまり有性生殖で繁殖をするが、それの無性世代、
つまり無性生殖をすると
Sepedonium chrysospermum になるのだ。

菌類には、一つの種類でありながら
有性生殖と無性生殖と言う、
全く別の繁殖方法を持つ物が少なくない。
そして全く異なる外見を持つために当初は別種として認識され、
それぞれに別の学名が与えられているのだ。
因みに有性生殖を「有性世代」または「完全世代」、
無性生殖を「無性世代」「分生子世代」または「不完全世代」と言う。

Hypomyces chrysospermus が1920年に学術報告された時に
「アワタケヤドリ」と命名されているが、
それの分生子世代が Sepedonium chrysospermum である事が
報告されたのは1975年との事だ。
だから Sepedonium chrysospermum は
「アワタケヤドリの分生子世代」と呼ぶべきだろう。
だが何処かでそれを取り違えてしまった様だ。

webで検索すると当方以外にも
「アワタケヤドリ= Hypomyces菌」と書いている人が居るので
そう書かれている何かを参照してしまったのだろう。
当方と同じ物を見て間違えたのかもなあ。
今となっては、それが何なのかは判らないのだけど。
なので、「アワタケヤドリ=Hypomyces菌」と
当方から聞かされた方はその点修正をお願い致します。

  以下、学名表記だけだとややこしくなるので 
  Hypomyces chrysospermus を「完全型アワタケヤドリ」
  Sepedonium chrysospermum を「分生子型アワタケヤドリ」
  として表記します。
  尚、それは当方の勝手な造語ですので、
  学術的には使用するべき言葉ではありません。
  他所で使って叱られても当方は責任は持ちませんw
  尚、最初に報告された個体が
  たまたまアワタケに寄生した物だった為に
  「アワタケヤドリ」と命名された、と思われますが
  上述の様に、実際には様々なイグチ類に寄生します。


所で、「分生子型アワタケヤドリ」に比べると
「完全型アワタケヤドリ」の発生は圧倒的に少ない。
当方は完全世代の方は今までに画像の2例しか出逢っていない。
大雑把に言えば200〜300:1ぐらいの感覚だろうか。

確かに無性生殖=クローン繁殖の方が
有性生殖に比べて楽で簡単だろう。
遺伝的多様性を必要としないのならば
わざわざ有性生殖をしなくても良いだろう。
こんなにも「分生子型アワタケヤドリ」の発生が多い、と言う事は
分生子がそれだけ様々な環境への適応力が高く
より汎用性が高い、と言う事だろう。

となると、どんなキッカケで
有性生殖をし始めるのかが不思議だ。         
普段、楽な無性生殖をしていて
それで十分過ぎる程に繁殖出来ているのに
何故わざわざ有性生殖に
切り替えなければならないのだろう。

当方が出逢った「完全型アワタケヤドリ」は
見た限りでは「分生子型アワタケヤドリ」とは
発生環境がなんとなく違う気がする。
あくまでも雰囲気なのだが
「完全型アワタケヤドリ」の方が
やや乾燥した環境に発生していた様に思う。
ひょっとしたらその辺が
有性生殖になる切っ掛けの一つなのかも知れないなぁ。

「完全型アワタケヤドリ」が
そんなにも少ない、と言う事は
「完全型アワタケヤドリ」の発生条件がそれ程厳しい、
もしくはややこしいのかも知れないなぁ。
または、「分生子型アワタケヤドリ」の分生子を
余程の危機的状況に陥らせて
「ヤバイ!このままだと絶滅してしまうかも知れないから
 何とかして遺伝的多様性を持たなければ!」
と追い詰めないと有性生殖を始めようとしないのだろうかなぁ。

逆に、「完全型アワタケヤドリ」の胞子でも
飛散した先がアワタケヤドリ的に厳しい環境じゃないと
すぐにだらけて(?)「分生子型アワタケヤドリ」になってしまう、
と言う事なのかなぁ。
うーむ、良く判らないや。
まぁ何にせよ、たったの2例だけで
あれこれと推測や判断をするのは危険だけどね。


取り敢えず、これからも完全型にせよ分生子型にせよ
アワタケヤドリは探索と観察をして行く積もり。
また、イグチ類の寄生菌には他の種類もあるし
イグチ類以外に寄生する種類もあるので
可能な限り見付けてみたい物だ。



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| 子嚢菌類 | 00:05 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
カエンタケの事

今年の8月下旬から10月にかけて
立て続けにカエンタケのニュースが報道された。


 猛毒キノコ 滋賀で拡大 カエンタケ、ナラ枯れ影響か
 
猛毒のキノコ「カエンタケ」が今年に入り、
滋賀県内の各地で確認されている。
広葉樹のコナラが枯れると根の近くに生えるキノコで、
発生の広がりは「ナラ枯れ」の拡大が背景にある。
秋のキノコ狩りシーズンを前に、県は注意を呼び掛けている。

県によると、カエンタケは手の指のような形で
高さが3〜15センチ、太さは鉛筆ぐらい。
表面は赤色。6月から10月末にかけて、広葉樹林内に生える。
キノコの汁に触れただけで皮膚が炎症になり、
食べると全身の炎症などが起き、致死量は3グラム。
1999年に新潟県、2000年には群馬県で死亡中毒事故が起きたという。

今年は大津、野洲、高島の3市でカエンタケが見つかっている。
県森林センター(野洲市)周辺の県有林では
8月上旬に50〜60株を確認。
大津市の龍谷大瀬田キャンパスの西隣にある同大学所有の森でも
7月下旬、7〜8株が見つかり、
森の入り口に注意喚起の看板を立てた。

2カ所とも昨年から、カシノナガキクイムシが持ち込む病原菌が原因の
「ナラ枯れ」が広がっている。
県内のナラ枯れ被害は00年度は4・38ヘクタールだったが、
10年度は22・96ヘクタールに増えており、
龍谷大理工学部の宮浦富保教授(森林生態学)は
「確認されている場所以外にも、発生地は多いのでは」と懸念する。
(2011/08/24 23:10 【京都新聞】)



以下は同様の内容なので本文を縮小して掲載した。


猛毒のキノコ「カエンタケ」が、関西で急速に増殖している。

奥深い山地にある大木の株に生えるため、従来はほとんど人目に触れることがなかったが、ナラやシイなどが枯死する「ナラ枯れ」が広がるにつれて自生の範囲が拡大。里山でもカエンタケが生える株が増えたためらしい。1999年には新潟県で、食べた人が死亡した例もあり、自治体や専門家が注意を呼びかけている。
カエンタケは高さ3〜15センチ。赤やオレンジ、赤茶色で、人間の手の指のような形をしている。触ると、その後皮膚がただれ、食べた場合は下痢や嘔吐(おうと)、運動や言語の障害を引き起こす。致死量は3グラムとされる。
大阪
市立自然史博物館の佐久間大輔・主任学芸員によると、全国での目撃情報は年1、2件だったが、2000年以降は毎年十数件寄せられるようになった。京都市内では08年から10か所以上で見つかっている。
(2011年9月24日14時55分 読売新聞)



猛毒キノコのカエンタケ、東海地方でも急増

発生が増えている「カエンタケ」(岐阜市で)=尾賀聡撮影 猛毒のキノコ「カエンタケ」が東海地方でここ数年、急速に増えていることがわかった。
 触って汁が付くだけで皮膚がただれ、食べた場合は激しい下痢になったり、言語や運動に障害が出たりする。1999年には新潟県で食べた人が死亡する例もあり、自治体が注意を呼びかけている。
 カエンタケは赤やオレンジ色で高さ3〜15センチ。人の手や指のような形で、コナラやミズナラなど「ナラ類」の枯れ木の根元近くに多く生えるという。
 岐阜市北部の森林公園では4、5年前から、複数の場所で見つかるようになった。今のところ被害はないが、先月、「触らないで」との看板を数か所に立てた。
 キノコの専門家によると、昔は山深い所でしか見られなかったが、この2、3年は愛知県の尾張旭市や春日井市、三重県いなべ市など住宅地に近い里山でも見つかっているという。
(2011年10月3日12時37分  読売新聞)
 


実は数年前からカエンタケのニュースが増えて来ている。
どうやら全国的にカエンタケの発生が増えている様だ。
実際に当方の行動範囲の名古屋東部でも毎年発生を確認している。
なので、この3年に出逢ったカエンタケの一部を以下に。

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何か別の生物が首をもたげている様だ。

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kaentake-5.JPG
これが成長した状態を見てみたかったなぁ。

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上の変形した個体はやたらブツブツした質感だった。

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可愛いので採ってみた。

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こちらは奇妙な形。
赤子の手みたいで気持ち悪い……

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こちらは細長く、色鮮やかな個体。

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kaentake-17.JPG

こちらは岐阜県荘川村で発生していた個体(画像提供HM氏)。
kaentake-1.JPG
kaentake-2.JPG
指みたいで気持ち悪いw

本当に色も形も様々だ。


上の記事にもあるが、カエンタケは
カシノナガキクイムシ(通称:カシナガ)の
食害によって枯れたナラの木から発生すると言う。
だが、当方が見た範囲では
枯れていないナラの根元からも発生している。
カシナガとカエンタケの関係の詳細は不明との事で
カシナガが直接カエンタケの胞子を媒介している、
と言う訳では無いらしいが
カシナガによって衰弱したナラには
カエンタケが発生しやすい何かの条件が生じているのだろう。

Wikipediaによると
分類上カエンタケの所属するニクザキン属は
他のキノコの菌糸に寄生する「菌寄生菌」との事だ。
カシナガは、樹木に穿孔し
内部に特殊な菌を植え付け、それを餌に幼虫が成長すると言う。
ひょっとしたらカエンタケは
その菌に寄生しているのかも知れないなぁ。


カシナガは体長5mm程度の小さな甲虫だ。
それが数え切れない程の数がナラに穿孔、食害し
樹勢を弱らせ、最終的に枯死に至らせてしまう。
名古屋東部ではそのカシナガの害を受けたナラがとても多い。
kashinaga.JPG
この様に、木の根元にカシナガの穿孔した際に出る木の粉が
雪の様に降り積もっている光景を良く見掛ける。
体長5mmの虫1匹が出す木の粉なんて微々たる物の筈だ。
それがこんなにも降り積もっているのだから
どれだけの数のカシナガが
この木に穿孔しているのかと考えると気が遠くなりそうだ。
このナラも数年内に枯死してしまうのだろう。
そして、この場所にカエンタケが発生するのかも知れない……



先の報道では、どれもカエンタケは猛毒菌だと紹介しているが
どの様な猛毒なのかの詳細は書かれていない。
紙面では字数の関係もあるので、仕方無いだろう。
ちょうど当方の手持ちの資料、
『どうしん10号』(新潟きのこ同好会2000-9刊)に、
1999年新潟における中毒死亡事故の詳細な記録があったので
長くなるが以下に引用してみたい。


        カエンタケによる食中毒の発生について 

              
県生活衛生課 川上直也

1 事件の概要

 平成11年10月03日、見附市の温泉旅館でテーブルの角に置いてあった
カエンタケ(採取してから日時が経過して小豆色に変色した物)を
2.5cm〜3cm程度にちぎり、ぐい呑みに入れてキノコ酒として飲んだ5人が
30分経過した頃から腹痛、下痢、悪寒、手足のしびれ等の症状を呈し
4人が医師の手当てを受け、3人が入院したが、うち一人が5日の夜、
循環器不全で死亡した。他の2人は腹痛、下痢、嘔吐等の胃腸炎症状の他、
口内の潰瘍、四肢顔面の脱皮、脱毛等の特異的な症状を呈し
回復するまで50日以上の入院加療を要した。


2 死亡した患者の摂食からの経過

 摂食後54時間後に循環器不全、腎不全で死亡した。

10/03   14:30 カエンタケ約3cm程度をぐい呑みに入れ酒とともに飲む。
            15:00 腹痛、悪寒、頭痛、手足の痺れ、嘔吐、下痢の症状を発症
                      病院で受診。
            19:30 輸液後帰宅
10/04   10:00 症状の改善が見られず、口の渇き、
                       痺れを訴え腎機能障害の疑いで再受診し入院。
10/05     0:00 尿が出なくなり血圧が低下。昇圧剤を投与。
              6:00 昇圧剤、及び抗ステロイド剤が投与されたが
                       ショック症状を呈し意識混濁、多呼吸となる。
            11:00 別の病院に移送。
            12:00 一時心肺停止したが治療で再動。
            17:00 循環器、呼吸器、腎不全、DICでショック状態となる。
            20:43 循環器不全、腎不全で死亡。

               (DIC:播種性血管内凝固症候群)

3 症状


 発症は摂食後30分経過した頃から始まり、嘔吐、下痢、
腹痛の胃腸炎症状、悪寒、頭痛、めまい、発熱等の風邪様症状を示した後、
24時間から48時間を経過したころから口内炎、脱皮等の症状を併発し、
10日を経過した頃から頭髪の脱毛症状が発現した。



4 検査所見  (略)
5 まとめ    (略)



6 過去カエンタケによる食中毒が疑われた事例

  1983年頃、山形県米沢市で症状の激しい食中毒があった事を
   清水大典氏から報告を受け、標本が届けられた。

 ◆1991年10月26日 山梨県の47歳の男性が、
   数センチをてんぷらにして食べたところ
   数日後、発熱、頭髪脱毛、運動機能障害の症状を呈し、
   医師の診断では小脳の萎縮が認められたとの報告が
   森林研究所根田仁氏から土井氏にあった。
   なお、両事件の共通症状は、言語障害と運動障害と記載されている。

  1997年10月05日、青梅市内で採取した物を
   家族3人がバター炒めにして食べた。
   調理した主婦(37)は一口噛んで見て異常に苦かったので
   吐き出したが、長男(13)はマッチ棒程度の太さの物を
   1cm程度齧った所、あまりの苦さに思わず飲み込んでしまった。
   また、祖父(62)は苦さに耐えて摂食した。
   摂取後30分程で長男が、3時間後に祖父が発症。
   2人とも医療機関を受診し、その後長南は4日間入院した。
   症状は嘔吐、下痢、発熱、頭痛、眼球血脈充血、顔面・口唇腫脹、
   咽頭浮腫、嗄声、呼吸困難を呈した。
   なお、当該キノコをマウスに経口投与し経過観察をしたが異常を
   認めなかった為、カエンタケが原因の中毒とは診定されていない。



2010年新潟日報事業社刊『新潟のきのこ』には
この記事がそのまま掲載され、
カエンタケへの注意喚起がなされている。
補足情報として、当時の報道では
元々は旅館従業員が
「珍しい、色の綺麗なキノコ」を見付けたので
飾りとして置いていた物で
薄気味悪いとして一度捨てられた物が
何故かまた館内の囲炉裏端に置かれており
それを宿泊客が酔っ払いのノリで
キノコ酒だ!として飲んだ、と言う事だったと記憶している。

この事故で恐ろしいのは
被害者はカエンタケを浸した酒を飲んだだけで
キノコ本体を食べていないにも関わらず
この様な重篤な事態に至った、と言う事だ。

カエンタケの毒成分としては
トリコテセン類が検出されていると言う。
トリコテセン系化合物はベトナム戦争時、
化学兵器として使用された、と言われている。
酒に浸した、と言う事は「アルコール抽出をした」
と言う事なのかも知れないが
ほんの数十秒〜数分浸しただけ、と思われるので
それでも上述の症状を引き起こすのだから、
それ程強烈な猛毒と言う事なのだろう。
実際、摂食しないでも
皮膚に汁が付いただけでも炎症を引き起こすと言われている。
なので、先の画像の様に
採取した時はその点にかなり注意をした。

キノコの新種登録の際には
何故かにおいと味の記述をする事が要求されている(らしい)。
図鑑でも、食毒関係無く、その記述がされている物が多い。
その為、軽くかじって味を確認するのだ。
どんな毒キノコでも、
味を確認しても飲み込まなければ大丈夫だ、と言われていたが
このカエンタケに関してはそれも通用しないのだ。


所で、上で掲載した画像を見ても判る様に
カエンタケは色形の個体差がとても大きい。
webで画像検索しても、本当に千差万別だ。
その点に関して、上記の『どうしん』の中の
「カエンタケの子のう果 中野正剛」の項では

 「(カエンタケは)同一状況にあっても鮮やかな赤橙色の物と、
  黄褐色、 汚黄色になる物がみられる。
  又、外形もとさか状やてのひら状に一つの柄から
  枝分かれする物、棒状や角状になりあまり分枝しない物がある。」


として、それらが別種の可能性もあり、
毒性の程度の含め分類研究が必要である事を示唆している。
実際、当方が実見した例だけでも
個体差があまりにも大きくて
本当にそれらが全てDNA的に同一種なのか
疑問に感じてしまう程だ。

2010年ソフトバンククリエィティブ刊小宮山勝次著
『キノコの魅力と不思議』には
カエンタケの味噌汁を食べた3日後に昏倒し
原因不明の再生不良性貧血と診断、治療され
意識は当日に回復、本人は既に完治したと訴えたが念の為入院、
数週間後に退院した、と言う例が上げられている。
その人は退院後小宮山氏の本を見て
初めてカエンタケの事を知り、それによる中毒事故だった事が判明した、
との事である。
新潟の事例と、症状と経過にあまりにも差がある。
これが中毒者の体質の差による物だけなのか、
カエンタケの個体差による物なのかは判らない。
ひょっとしたらカエンタケは
「カエンタケ複合種」と呼ぶべき物で
将来的には幾つかの種に分けられ
種によってこの様に毒性に大きな差があるのかも知れない。
尚、同書によると
カエンタケの味噌汁は不味かったとの事だ。


新潟の中毒事故の翌年の2000年には
群馬県の男性がベニナギナタタケと間違えて食べた為に
死亡した、と言う事例も発生している。
『北海道のキノコ』(五十嵐恒夫 北海道新聞社刊)では
カエンタケの中毒事例に関して

 ベニナギナタタケと間違えたり、
 乾燥して黄土褐色となったものをマイタケと間違えたようである。


と書かれている。

あまり利用されていないが、ベニナギナタタケは可食のキノコだ。
因みにベニナギナタタケはこちら。
benminaginata-1.JPG
こちらはちょっと古びた個体。
benminaginata-2.JPG
確かに細長いタイプのカエンタケなら
間違えてしまう事もあるかも知れない。
だが、ベニナギナタタケは中空で柔軟な肉質なのに比べて
カエンタケは中実で硬い肉質なので区別は付きやすい。
恐らく中毒者はカエンタケの事を知らなかった為に
色形の類似だけでベニナギナタタケである、と思い込んでしまったのだろう。
尚、マイタケと誤認してしまう様な形状のカエンタケ、と言うのが
どの様な物なのかは、当方にはちょっと想像が出来無い。
 


所で、Wikipediaによると
江戸時代の植物図鑑、『本草図譜』にカエンタケの記載がある、と言う。
同書は国立国会図書館のデジタル資料で公開されているので
早速閲覧してみた(こちらの7ページ目(「/22」とある欄に「7」を選択)を参照)。
すると「火焔たけ」として珊瑚状のキノコの絵に
以下の解説文が添えられていた。

 状(かたち)細條の珊瑚の如く
 其色紅赤火の炎々たるが如く
 高さ三〜五寸、大なるものは尺余に至る
 大毒ありといへり
 
(カタカナ→平仮名、読み仮名と句点追加、変体仮名の変換、改行等はまねき屋)

描かれたキノコの形だけを見ると、あまりにも枝分かれが多いので
それが本当にカエンタケを描いているのかどうかは確信が持てない。
詳細は上記リンクから参照して貰いたいが
それが面倒だ、と言う人の為に当方が模写してみた。

いや、本当にこんな感じなのだ。

これだと、カエンタケと言うより
分岐の多いタイプのハナホウキタケと見えなくも無い。
hanahouki.JPG
ハナホウキタケも毒キノコなので
それと混同した可能性もあるのでは無いだろうか。

さらに言えば、形状的にはムラサキホウキタケやmurasakihouki.JPG

ニカワホウキタケの方が近い。
nikawahouki-1.JPG
nikawahouki-2.JPG
こちらはやや古びたニカワホウキタケ。
乾燥すると赤みを差すようになる

ムラサキホウキタケ、ニカワホウキタケは食キノコだが
ハナホウキタケの中毒に懲りた人が
それらも同じ物だと混同してしまい、
その情報を元に描かれた可能性も捨て切れない。
ただ、ムラサキホウキタケ、ニカワホウキタケ共に
大きな個体でも精々5〜6cm、2寸程度なので大きさが合わない。
ハナホウキタケでも精々15cm、5寸で、
「尺に余る=30cm以上」になるとは思い難い。
カエンタケも同様で、大きくても5寸程度だが
先の『新潟のきのこ』だけは
「時に20cmを超える」「25cm」と書かれている。

『本草図譜』の他のキノコ絵図を見ると、
他書からそのまま書写し転載した物が多く
著者の岩崎常正が実物を写生したと思われる物は実は少ない。
この「火焔たけ」も『菌譜』(坂本浩然著)からの転載と思われる。
『菌譜』も国立国会図書館のデジタル資料で公開されているので
早速閲覧してみた(こちらの17ページ目)。

『菌譜』の「火焔蕈 クワヱンダケ」は
『本草図譜』の物より更に細長く描かれている。
と言う事は、転載したと言っても
正確に写した訳では無く、
かなり岩崎常正の主観が加わっている様だ。
尚、添えられた説明書きは『本草図譜』と大差無い。

 状ち細條の珊瑚の如く
 其色紅赤火の炎々として燃るが如し
 高さ三〜五寸、大なるものは尺許に至る
 毒あり食うべからず

 (カタカナ→平仮名、句点追加、変体仮名の変換、改行等はまねき屋)

どちらも「毒あり」とはあるが
どの様な毒なのかには触れられていない。
カエンタケの様な重大な毒ならば
その記述があっても良いだろう。
また、カエンタケの苦味にも触れられていない。
となると、「食べる事すら困難」なカエンタケよりも
「食べる事は容易だが毒」のハナホウキタケの可能性が
より高い様に思われる。

『菌譜』にしても『本草図譜』にしても
突拍子も無い色形の為、何のキノコを描いたのか
現在でも判明していない、と言う物がある。
つまり、実在のキノコを目の前にして
写生したとは思えない絵図がある、という事だ。
恐らく伝聞情報を元に想像で描かれた物もあるのでは無いだろうか。
またキノコの名称も現在の標準和名と対応している訳では無いので
描かれた物をどの様に解釈するか、は慎重にならざるを得ない。

また、更に調べてみると『梅園菌譜』にも
「火焔蕈 クワヱンダケ」が掲載されている(こちらの51ページ目)。
そちらは明らかにベニナギナタタケの形状だ。


添えられた説明文はこちら。

 坂本氏菌譜に出す
 火焔蕈と微(すこし)異(ことな)り
 然(しかれ)とも菫(わずか)に股をなす
 恰(あたか)も珊瑚の細條に似たり
 其大きさ図の如し
 一尺に至ると云うもの諸州の風土に違い有るべし
 大毒あり
 (カタカナ→平仮名、句点追加、変体仮名の変換、改行等はまねき屋)


どちらかと言うと自信なさげだ。

添え書きに「根村山中笹林に採之真写」とあるので
『梅園菌譜』の著者、毛利元寿は
恐らくこのキノコを実際に見て描いているのだろう。
だが、名称を知らなかった為に
色合いと、何となくの形状だけで
坂本浩然の『菌譜』の「火焔蕈」に当て嵌めてしまった、と思われる。

写真や正確な写生図を使用した図鑑の無い時代。
それも仕様が無い事だろう。
後年の我々が、その時代の情報に接する場合には
その事を十分に承知して置かなければならない、と言う事だよなぁ。



所で、最初に引用した報道では
カエンタケの発生はナラ枯れと関係があるらしい、とあった。
ナラ枯れはカシナガによる物だ。
そのカシナガが近年生息数と生息域を増やしている為に
ナラ枯れが広がり、その結果カエンタケの発生が増えているのだ。
カシナガの増加の原因として、森林環境の変化が上げられている。

その昔、野山は薪等の燃料を採取する場所だった。
枯れ木、枯れ枝は可能な限り人間に持ち去られていた。
所が、時代が進み、燃料事情が変化した為、
それらを採取する人は居なくなり、野山に放置される様になった。
カシナガからしたら、生息環境が増えた事になる。
その為、カシナガの個体数が増加し
ナラ枯れの蔓延に至った、と言う話だ。

それに加え、大気汚染等の環境悪化により
ナラの樹勢が弱っている、と言うのも原因の一つだろう。
ナラの抵抗力が落ちている為に、カシナガの侵入を防ぎきれず
ナラ枯れに至ってしまったのだろう。
つまり、人間がカシナガの個体数増加とナラの弱体化を引き起こし
結果的にカエンタケの増加と招いている、と言う事になる。

其処から更に考えを広げてみる。
遥か昔は枯れ木も枯れ枝も完全に放置されていた筈だ。
とすると、カシナガはそれなりの数が生息していた筈で
ナラ枯れもそれなりにあっただろう。
元々、カシナガの様な虫は
樹勢の弱った樹木を速やかに枯死させ
森林の新陳代謝を促進させる、と言う役割があるのだ。
健全な森林でもナラ枯れは必須の存在の筈だ。

そうなると、カエンタケもそれなりに発生していたのだろう。
所が、人間が枯れ木、枯れ枝を利用する様になって
カシナガは数を減らし、カエンタケの発生も減っていた。
カエンタケの発生は、人の手の届かない山奥等に限られ
カエンタケが人の目に触れる事は少なかった。
それが時代が進み状況が変化し
以前は山奥にしか無かったカエンタケの発生条件が
里山(=人間の生活圏)に頻出する様になった。
その為、カエンタケの中毒事故が発生する様になった……

これだけ特徴的で目立つキノコでありながら
カエンタケの存在が世間にはあまり知られておらず
カエンタケの中毒事故が、つい最近まで報告されていなかった、
と言う理由はその辺りでは無いだろうか。
もし、江戸時代などにカエンタケの中毒事故があったとしても
山奥での事なので伝承もされ難かったろうし
元々発生の少なかったキノコなので
中毒者が少なかった為に伝承されなかった、とも考えられる。
そもそも、近年になるまで
人間社会はカエンタケとは出会っていなかったのかも知れない。
人間とカエンタケの遭遇は実は数百年振りなのかも知れないよなぁ……


とにかく、カエンタケが非常に危険なキノコである事は
こうやって広く知られる事になった。
その為、カエンタケの発生が確認されると
直ちに除去される様になった。

こちらは発生してすぐに折り取られたが
その後暫く成長を続けた個体。
kaentake-18.JPG
kaentake-19.JPG
万が一の危険を回避するにはそれも仕方無いだろう。

だが、綺麗な、立派なカエンタケを目にする機会が減ってしまったのは
得体の知れない物が大好きな
当方の様なキノコマニアにはちょっと残念だったりする……(^ω^;)



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| 子嚢菌類 | 00:07 | comments(16) | trackbacks(0) | pookmark |
アミガサタケ追悼
2011年、名古屋のアミガサタケはさっぱりだった。
その時期に全くと言って良い程、
雨が降らなかったのだから仕方が無い。
お陰で花見には絶好の天気だったのだが。

とにかく、今年はアミガサタケの姿が中々見れなかった。
それでも駆けずり回って、
何とか10数本を収穫出来たから良しとしよう。
amigasa2011-1.JPG

新たなシロも発見出来たので来年を楽しみにしよう。
amigasa2011-2.JPG
この場所は比較的大きな個体が発生している様だ。
今年は収穫期を逃してしまい、
画像の物は食用には適さない状態だったのが残念だった。
来年は旬を逃さない様にしなくては。

そして、ショックだった事もあった。
当方がアミガサタケ収穫のメインにしていたシロが
造成によって消滅してしまったのだ。
其処はメガ物を輩出していただけに残念だった。
まぁ、じわじわと造成の魔手は迫って来ていたので
時間の問題ではあったのだが
実際にその状況を目の当たりにすると
矢張りショッキングだった。
自分の土地じゃないから文句も言えないしねー

しかも、その場所は、世界的にも珍しい(?)
枯木生アミガサタケが
発生する場所でもあっただけに余計に残念。

その事は2008年4月5日の日記に書いている(→こちら)。

そちらでも解説している通り、「枯木生」とは書いたが
アミガサタケは土壌から発生する種類のキノコで
枯れ木から直接発生する事は無い。
恐らく、地中から伸びた菌糸がこの枯れ木の中を通って
たまたま樹皮の隙間から子実体を成長させただけなのだろう。
とは言え、それ自体が珍しい現象と思われる。
キノコマニア、アミガサタケマニアから見たら
中々に衝撃的な画像なのでは無いだろうか。

実際、以前海外のアミガサタケ関係の掲示板を見ていたら
その画像が引用されていてびっくりした。
そして投稿者(ケニー:仮名)のコメントに

 ヘイ!これを見てくれよ!
 何てこったい、枯れ木から生えてるぜ、ワォ!
 皆、これを信じられるかい?オゥ、グレィト!
(大意)

と言う様なコメントが添えられていた。

当方のblogには、特に必要な場合以外、学名を記載していない。
日本語を駆使出来るとは思えない、
日本語入力が出来るキーボードを
持っているとは思えないケニー(仮名)は
どうやって当方のblogのこの画像に辿り着いたのだろう?

アミガサタケの欧米の通称「morille(モリーユ、モレル)」、
または代表的な学名「Morchella esculenta」で検索をして
日本語の「アミガサタケ」を探し当て、
そこから再度検索でもしたのだろうか。

「morille」「Morchella esculenta」で検索すると
それこそ世界中の膨大な情報がhitする。
そして、「アミガサタケ」で日本語の情報だけを検索しても
かなりの件数の情報がhitする。
その中から当方のblogのこの画像に辿り着いた、のだとしたら
ケニー(仮名)の、欧米人のアミガサタケに対する
情熱の凄まじさを感じてしまうなぁ……

まぁ、この画像が世界の人に見られた、と言うのは
実に面白い(・∀・)♪
ただ、欧米人にも信じられない画像だったからなのか
その掲示板で特に反応は無かった様だ。
当方のblogにコメントが来る事も無かったのが
残念な様な、安心した様な……


だが、この土地の造成によって
新たな画像を世界の人に見せる機会を失ってしまった。
もう2度と見られないだろう、枯木生アミガサタケ。
当方が記録出来たのは2008〜2010の3年間だけだった。

折角なので、その3年分を掲載して
枯木生アミガサタケの追悼とする事にしよう。

2008年の発生分。
amigasa2008-1.JPG

こちらは別の個体。
amigasa2008-2.JPG

その部分を樹皮ごと剥がしてみた。
amigasa2008-3.JPG

樹皮下はかなりボロボロ。


樹皮の裏も同じく。
amigasa2008-4.JPG

アミガサはこの辺りに生えている。
amigasa2008-5.JPG
白く見えているのは菌糸。

その部分を更にアップで。
amigasa2008-6.JPG
これが地下から繋がって来ていたのだなぁ。


こちらは2009年に発生していた個体。
3月16日の様子。
amigasa2009-1.JPG

3月19日。
amigasa2009-2.JPG

4月1日。
amigasa2009-3.JPG

4月6日。
amigasa2009-4.JPG
すっかり萎びてしまった。

4月15日。
amigasa2009-5.JPG
更に萎びている。

4月22日。
amigasa2009-6.JPG
片方は消失してしまっていた。


こちらは2010年に発生していた個体。
3月10日の様子。
amigasa2010-1.JPG

3月17日。
amigasa2010-2.JPG

4月1日。
amigasa2010-3.JPG
立派に成長していた。

4月14日。
amigasa2010-4.JPG
完全に萎びてしまっていた。

安らかに成仏して下さい(-人-) ナム〜


また何時か何処かで、枯木生アミガサタケに出逢えたら良いなぁ……



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| 子嚢菌類 | 00:53 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
3.11

その時、当方は出掛けた帰りに寄り道をして
名古屋東部のとある林の中に居た。
そしてクロコブタケを発見。

クロコブタケ自体は珍しく無いが
食べられもせず、毒でも無く、
ひたすら地味なのでWebでの人気も低い。
だが、シイタケほだ木の害菌なので栽培家の間では有名だ。

ただ、当方はその地味さが好きである。
しかも、このクロコブタケは
自身の胞子で周囲を黒くしていて
更に目立たない様になっていたので
面白いから撮影して置こう、としゃがんだ。
kurokobu-1.JPG
kurokobu-2.JPG

と、その瞬間、足元がぐらついた。
当方がバランスを崩したのか?と思ったが
どうも様子がおかしい。
地震だ!

当方、屋外で地震に遭遇するのは初めてだ。
林の全ての木、そして小山全体が揺れていた。
なるほど、「地震」とは「地面」が「震動」する事なのだな、と実感した。
なんて暢気な事を考えつつ帰宅。
TVを点けると、東北で未曾有の大災害が起きている事を知った。

阪神淡路大震災の時の事を思い出す。
当方は東大阪でそれを体験した。
当方の住居は、棚から物が落ちた程度で済んだが
どれ程の大災害だったかは周知の通り。
被害が甚大過ぎて、その情報発信すら出来ず
被害状況が伝わらない不穏な感じ、
そして、時間が経つに連れ、被害の大きさが判明し
報道する側の緊張感を高まって行く、と言うのが
あの時と同じだ。

埼玉や東京在住の家族、友人達は
その日の内に無事が確認出来た。
福島県田村市に単身赴任している義弟は
翌日に無事が確認出来た。
だが、原発の事故が報道される。
田村市は原発に近い。
放射能は大丈夫だろうか。

そして福島原発と言えば、すぐ隣に川内村がある。
キノコを通じて知り合い
お世話になっている知人が川内村在住だ。
安否が気になるが、ネットが繋がらない様で
他の連絡手段が当方には無い。

原発の様子は刻々と悪化している。
どうなるのだろう……

義弟は車で脱出した、との連絡を受けた。
新潟経由で翌日、愛知県に無事到着した。
だが、川内村の知人の消息は依然不明だった。

数日して、その知人がmixiに記事をUPした事で消息が判った。
それを元に、ネットに記事が配信された(→Astand。以下に引用)。


過疎の村・川内村が全村でとった行動
      鐸木能光(たくき・よしみつ)=作家・作曲家 
          福島県川内村在住2011年03月16日(約3800字)

 私はいま、川内市の自分の仕事場にいます。ここで原稿を書いています。家は福島県川内村にあります。福島第一原発から20kmちょっとというところです。私は12日午後6時過ぎに村を出て、途中で一泊して川崎市に13日午後4時頃に着きました。

 川内村の家は、11日の地震被害はほとんどありませんでした。周囲の家も、古い家で瓦が落ちた程度です。しかし、原発事故で一変しました。

 携帯電話は地震直後から遮断され(圏外の表示に)、12日の午前中までは、まだインターネット回線が通じていましたが、午後からまずネットが、次に固定電話が……と次々に通信手段がなくなり、不安になっていたところ、夕方、つけっぱなしにしていたテレビに最初の水素爆発の映像が流れました。この映像は地元テレビ局の定点観測カメラのものらしいのですが、放送されたのは爆発から1時間半くらい経ってから。

 これで私は相当慌てました。1時間半も経って第一報。しかも格納容器ごと吹っ飛んだのか、建屋が吹っ飛んだのか、建屋の外の爆発なのかという情報が入ってきません。最悪の事態であれば、1時間半は致命的なタイムロスです。幸い、そうではありませんでしたが。移動準備をしながら、6時からあるという官房長官会見を見届けようと待っていました。しかし、会見が始まって見ていると、あまりに楽観的なことを言っているので、逆に恐怖感が一気に増しました。あの会見の前、官邸や東電、保安院の間で、どこまで発表するかを相談していたのでしょう。その結果の発表が、具体的情報がほとんど含まれていないあの会見。「これは見捨てられた。自分で判断し行動しなければ」と自分なりに覚悟を決めた瞬間、正直、心臓が少しバクバクし始めました。

 すぐに準備して家を出て、風上(南東方向)に逃げ、白河市のお寺に一泊させてもらい、翌朝、川崎市の仕事場をめざしました。

 川崎市の仕事場に着いてからは、ネット、携帯電話などを通じて、知人・友人たちの安否を確認し合っていました。友人たちの何人かはすでに脱出していましたが、村が情報遮断されていて、残っている人たちの状況がなかなか掴めません。

 3月16日になって、ようやく友人の村議会議員(商工会会長でもある)井出茂さんがmixiに書き込んだメッセージを読めました。

 国が発した20km圏内避難、30kmまでは屋内待避という指示を守っていたが、国からも県からも村にはなんの連絡もない。一方で、現場に入っていた作業員が村に戻ってきたり、消火活動の応援にいった近隣の消防が帰ってきたりして、現場の様子がリアルに伝わってくる。「現場ではとんでもないことになっているのに、テレビでは何も伝えていない!」という悲鳴に近い訴えを聞き、村に残っている人たちの緊張感が限界に近づいていることを感じました。

 現場を見ている人は必ずしも原子力の基礎知識を持っているわけではないので、放射線量の意味や、避難の際の注意点を正確に伝えられるわけではありません。しかし、惨状だけはリアルな感覚で分かります。そうした状況で、上部組織からの指示はまったくないという「見殺し状態」(井出氏)がずっと続いたのです。

 その後、白河市に避難した友人からの情報では、15日の段階で、遠藤雄幸(ゆうこう)村長は「(20〜30kmの屋内待避に従わずに)もっと遠くへ避難すべきだ」という決断をしたとのことですが、その段階では「自主避難を勧める」ということだったようです。(http://www.youtube.com/watch?v=2LHFznIFhD4

 16日になってからは、特に4号機が相当危ない状態だという情報が現場から伝わってきて、村の緊張はピークに達したようです。

 4号機は定期点検で休止中ですが、燃料棒交換してまだ間もなく、かなりの熱を持っている上、放射能は使用済み燃料のほうがはるかに高いので、それが露出し、発熱を続けていることは極めて危険な事態も想定されるということでしょう。

 そしてついに、遠藤村長は独自に全員強制避難を決定。郡山ビッグパレットに向かって村内に残る全員を移動させ始めました。西風(海に向かう風)が強く吹くという予報の出ている今日、明日が、移動するなら最大のチャンスですからこの決断は正しいと思います。

 井出さんは16日13時24分、mixiへこう書き込みます。「孤立無援の状態が続いています。政府、県がいつまでも方向性を示さない現状を打開すべく強制避難をします。郡山のビッグパレットを目指して大移動を開始しました。総理、県知事の高度な政治的判断を期待したが、全く期待はずれでした。こういう時に力量が分かるものです」

 彼はこれを、避難者の誘導や近隣自治体との連絡などで村から出たとき、わずかに残った通信可能エリアから発信しています。その後また、通信遮断された村に戻る……。その姿を想像すると、本当に後ろめたい思いですが、通信可能な場所にいる私にできることは、このことをメディアに知らせることだと割り切り、発信しています。 

 これを書いている16日15時40分現在、第一陣はすでに郡山入りしたと、朝日新聞の地元記者からも連絡がありました。国の指示を超えて決断した遠藤村長の行動の是非を問う論調の記事などがこれから出てくるかもしれませんが、孤立した現場の切迫感と、あまりにも無責任な、あるいは無責任にならざるをえないほど追いつめられている国、県、そして東電の姿勢を考えれば、村長の決断を安易に批判することなど到底できません。私は村長の決断を断固支持します。どちらかに決めなければならない場合、最悪の事態を避けられるほうの決断をするのは当然のことでしょう。

 今回の災害は、地震災害というより、9割以上は「津波災害」です。川内村は、津波被害はなかったので、地震だけであれば、今もいつも通りの暮らしをしており、冷静に浜側(富岡町、双葉町など)で津波被害にあったかたたちの受け入れをしていたはずです。

 住んでいる私がいちばんよく知っていますが、川内村は本来、災害には強い場所なのです。それを根底からひっくり返し、さらには緊急を要する津波被害の被災地救援をも極めて困難にさせたのが今回の甚大な原発事故なのです。

 つい先日、3月1日付けの福島民友の記事は、第一原発での多数の点検漏れなどを報じています(http://www.minyu-net.com/news/news/0301/news3.html)。そもそも、バックアップ電源関連の設備を原発本体より海側に用意しているというのはお話になりません。陸側に何重にも強固な送電手段を作っておくのはあたりまえでしょうに。これでは天災ではなく人災というしかないと私は思います。

 これが日本の原発の実態です。

 最後に、今必要なのは、こまめで正確な風向き情報と、風上は安全なので慌てず冷静に行動せよ、という情報伝達だということを強調しておきます。

 半径20km、30kmで一律に区切っても意味がありません。風上10kmより風下100kmのほうがはるかに高い数値が出るはずです。こういうときにこそ、行政や企業のトップの力量が問われているのです。とにかく正確で「正直な」情報をすぐに発信してください。知らせることによるパニックより、知らされないと疑心暗鬼になることからのパニックのほうがずっと起こりやすいのですから。

 今回の事故は、放射能漏れによる直接の健康被害はもとより、「世界的な風評被害」によるダメージが計りしれないということを教えています。すでに海外メディアは、津波被害の悲惨さよりも、放射能漏れのニュースが大半を占めていて、関心はほとんど原発事故に集中しています。

 これから事故が収束し、後始末をするのには長い時間と莫大なお金がかかるでしょう。信用を失った日本の経済や技術からくる損失もはかりしれません。そういうコストがすべてこれから先、電気料金や税金にはねかえってきます。

 実効性の高い、技術の確立された発電方法を見直し、なによりも、少ないエネルギー消費で豊かな幸福感を得られる文化的な生活をめざす国になるようシフトチェンジすることが絶対に必要です。

 日本人はもともと、大食い、欲望暴走型の生活をする人たちではなかったはずです。今はまず人命第一でこの難局を乗り越え、少し時間が経ったら、そのことを真剣に考え直したいと願っています。


【追記】

19時50分の井出さんからのメッセージを紹介します。

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これからビッグパレットを目指します。 2011年03月16日19:50
避難所であるかわうちの湯から富岡町民を全員避難させるべくバスに乗車させました。
7時でした。ぼくは、これから故郷を後にします。涙が勝手に出て止まりません。
復興
を心に誓い後にします。村民の皆さんまた笑顔でお会い出来るのを楽しみにしています。
その時が来るまで頑張りましょう。
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井出さんが当方のその知人だ。
取り敢えずの無事は確認出来たので良かった。
だが、安心は出来無い、困難な状況には変わりが無い。

井出さんはmixiで次の様にも書いている


「相双地方振興局に通信機能の確保を再三再四お願いしているにも関わらず、全く前向きに事が運んでいません。前提に30キロ圏は被爆地域としているために、二次被害を懸念して全く動こうとしないのが真実です。避難場所を県が指定出来ないのも、このことが原因なんだろう言われています。いまだに、屋内待避が指示されたままで、何の解決策も提案されていません。」

「国も県もこの状況の中にあって、川内村に避難している住民のこの惨状を全く伝えていない。しかも、原発からの半径30キロの上空は飛行禁止区域に指定されました。つまり、救援のヘリは来ないと言うことです。避難場所の指定すらないまま屋内待機を余儀なくされています。結局見殺し状態としか考えられません。」


その為、決死の自主避難を決定した、と言う事だ。
翌日、この事は新聞報道もされた。
が、新聞記事では、この様な切迫感は削ぎ取られていた。
それがマスコミの限界なのかも知れない。

実際、マスコミが真実を伝えるとは限らない。
何を伝えるか、何を伝えないか、はマスコミが取捨選択しているのだから
伝えられた事が本当に真実であるかどうかは判らないのだ。
原発その物にしても実態はこんな物だろうし(→こちら)。
福島原発の状況にしても、本当の所は判らないのだし。

原発は今後、どの様になるのか判らない。
無事沈静化したとしても、
井出さん達が川内村に何時戻れるのか、
無事に戻れるのか、の保障も全く無い。

だが、井出さんは川内村の復興を誓っている。
当方は遠くから見守る事以外、何も出来無いのだが
井出さんと、お仲間の皆さんが
また穏やかにキノコ狩りを出来る日が
一日も早く訪れる事を切に願って止まない。




頑張って下さい、なんて言葉は
被災者の皆さんの現状を考えると
軽過ぎるし無責任な感じがしないでも無いのですが
他に言葉が浮かびません。


井出さん、そして皆さん。
頑張って下さい!



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| 子嚢菌類 | 22:05 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
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